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アップデート版

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アップデート版
平成18年度実施 インパクトに関する調査
参考資料1. 本調査の概要(アップデート版)
第2回分散型電池電力貯蔵技術開発プロジェクト追跡評価WG
料3
資
1. 本プロジェクトが及ぼしたインパクト総括図
本PJ成果
インパクト総括
インパクト総括
実用化主要事例
①目標(移動体で85%、定置型で90%)を大きく上回
るエネルギー変換効率の実現(移動体で96.6%、定置型
で97.9%)などにより、大型リチウム二次電池実用化
可能性を世界で初めて提示した。
実用化製品事例
日産・ティーノハイブリッド
2000年
日産・ハイパーミニ
2000年
トヨタ・ヴィッツ
2002年
②電極・電解質等の材料技術、セル構造、モジュール設
計技術、制御技術など、大型電池・組電池に関する基
礎的知見を蓄積し、後の商品化・実用化に貢献した。
バス
三菱ふそう・エアロノンステップ
2004年
トラック
いすゞ・エルフ
2005年
三菱ふそう・キャンター
2006年
③大型リチウム二次電池に関する安全性試験方法が
参加電池メーカーの間で安全性評価に関する共通技
術基盤的として活用され続けている。
二輪車
ヤマハ・電動スクーター
2003年
自転車
ヤマハ・電動アシスト自転車
2004年
鉄道
JR東日本・小海線
2007年
人工衛星
SERVIS-1衛星など
2003年
車椅子
ヤマハ・電動車いす
2005年
リチウム二次電池開発PJの継続・発展状況
本プロジェクト
定置型
1992∼2001年度
乗用車
●世界的にも先陣を切った本PJでの取り組みが、大型リチウ
●世界的にも先陣を切った本PJでの取り組みが、大型リチウ
ム電池分野での我が国の国際競争力向上に大きく貢献した。
ム電池分野での我が国の国際競争力向上に大きく貢献した。
●本PJの成果が移動体用、定置型ともに後継的な国家PJに
●本PJの成果が移動体用、定置型ともに後継的な国家PJに
よってさらに改良・発展し、実用化に近づいている。
よってさらに改良・発展し、実用化に近づいている。
●量産ハイブリッド車でニッケル水素電池からリチウム二次電
●量産ハイブリッド車でニッケル水素電池からリチウム二次電
池へのシフトが見込まれ、さらに2010年頃rとに実用化が期待
池へのシフトが見込まれ、さらに2010年頃rとに実用化が期待
されるプラグインハイブリッド車にも搭載されることで経済効果、
されるプラグインハイブリッド車にも搭載されることで経済効果、
環境貢献の拡大が期待される。
環境貢献の拡大が期待される。
●本PJでの電池性能評価に関する知見や安全性試験技術、
●本PJでの電池性能評価に関する知見や安全性試験技術、
さらに安全性試験データのストック等は現在においても大型
さらに安全性試験データのストック等は現在においても大型
電池開発安全性技術の基盤として活用されている。
電池開発安全性技術の基盤として活用されている。
発売
(百万円) リチウム電池搭載ハイブリッド車による経済的インパクト見通し
600,000
自動車用
小型民生用
移動体用
(件)
30
400,000
248,207
次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発
2007∼2011年度
●中∼大容量リチウム二次電池
●中∼大容量リチウム二次電池
分野における我が国の技術的優
分野における我が国の技術的優
位性を今後も維持し続けることが
位性を今後も維持し続けることが
求められる。
求められる。
30
将来的市場ポテンシャル大
20
13
11
9
8
10
HEV 15万台/年として2010年300億
295,624
系統連系円滑化蓄電システム技術開発
2006∼2010年度
●小型民生用で近年急速に技術
●小型民生用で近年急速に技術
力・シェアを向上させている中国・
力・シェアを向上させている中国・
韓国等のメーカーが本PJ終盤∼
韓国等のメーカーが本PJ終盤∼
終了後、自動車用大容量リチウ
終了後、自動車用大容量リチウ
ム二次電池の国家PJを相次いで
ム二次電池の国家PJを相次いで
スタート。中・韓競合メーカーへの
スタート。中・韓競合メーカーへの
人的資産流出も問題
人的資産流出も問題
PJ終了後の知的資産ストックの動向(登録特許数推移)
プロジェクト後の特許登録数推移
30万台/年として2020年600億円
燃料電池自動車等用 リチウム電池技術開発
2002∼2006年度
課題
課題
4
305,548
289,148
293,751
30,000
0
60,000
∼2002.3
250,966
2002.4∼12
2003
2004
2005
2006 (年)
●PJ期間中出願された特許の、PJ終了後の登録数は45件で、PJ期間中を
上回る。
200,000
小型民生用は3000億円/年レベルで推移
PJ終了後の人的資産の動向
夜間電力貯蔵によるピークカットの
ニーズ希薄化。風力発電との組合わ
せ・出力変動調整設備でのニーズが
拡大。
CO2排出削減目標クリアの必要性な
どからクリーンエネルギー自動車とし
てのHEVやPEVに対するニーズが急
速に高まる。
300,000
300,000
0
2000 2001 2002 2003 2004 2005
2010
2020
(年)
リチウム二次電池搭載車によるCO2とガソリン消費削減効果
本PJ参加企業・機関の継続状況
提案者
テーマ
日立製作
所
電力貯蔵用アドバンストLiイオン
電池の研究開発
電力中央
研究所
高安全電解質に着眼したLi
二次電池の開発研究
大阪ガスケ
ミカル
Liイオン二次電池用低コスト新
規負極材の研究開発
CO2削減効果
ガソリン消費量削減効果
2010年
約31.5万トン
約13.6万キロリットル
2020年
約220万トン
約95万キロリットル
本PJ参加企業・機関の継続状況
燃料電池自動車等用リチウム電池開発参加企業
<車載用リチウム電池要素技術開発>
日立製作所−新神戸電機
松下電池工業
日本電池(ユアサコーポレーションと合併)
<高性能リチウム電池要素技術開発>
三菱電機
ユアサコーポレーション(日本電池と合併)
電力中央研究所
産業技術総合研究所
●2010年、2020年段階ではまだ自動車全体に占めるハイブリッド車ウェ
イトは小さいが、将来的な普及拡大を考えれば市場規模の成長余地、
CO2削減効果の拡大余地は極めて広い。
分 類
概 要
二次電池関連研究開
発を継続
・後継PJの2003年度の電池メーカー研究員のほぼ半
数が本PJ経験者
・自社での継続研究例も多数
子会社等で関連研究
開発継続
・合弁電池事業会社への移籍、電池専門子会社への
転出・移籍
国内他企業に転出
・国内大手自動車メーカー研究職に転出。
海外企業に転出
・主に中国、韓国の電池メーカーに5∼6名
大学等に転出
国立大学教授等に3名
自社他部門、他の研
究テーマに移動
・PJ終了後、電子機器等の部品開発に(非電池メー
カー研究者5名など)
2. 本プロジェクトでの主な電池技術成果の整理
モジュール化技術、制御技術
エネルギー貯蔵 高密度化技術
正極
負極
セル構造
●エネルギー貯蔵密度と安全性のバランスの
中で最適な正極物質の探索(マンガン添加ニッケ
ル・コバルト正極、リチウムリッチ正極等)
●炭素負極の開発において、モノマーから炭
素までの構造設計に基づいた材料の開発・
調製を理論的に解析
●エネルギー高密度充填に適した各種単電池
構造(円筒形、角形、楕円筒系等)の開発
●捲回構造等によるコンパクト性と高エネル
ギー密度との両立
性能評価・シミュレーション技術
信頼性評価
技術
●大型リチウム二次電池の熱挙動シ
ミュレーションプログラム開発→電池内
最高温度や熱暴走温度領域の予測
材料評価技術
●高分子電解質の動的構造解明、イオ
ン拡散・イオン伝導機構等の解明
構造(強度)設計技
術
安全性試験基準
●モジュールの軽量化と強度(重量)の最適
設計技術の開発
単電池
外部短絡、過充電、過放電、圧壊 、釘刺し
熱設計技術
●特に移動体用電池における強制空気冷
却などの熱冷却技術の開発
モジュール
電池
火炎、浸水、絶縁、過充電、過放電、圧壊、釘刺し
事故波及観察、外部短絡、耐震または振動
集電構造設計 技
術
●各セルの低抵抗接続技術の開発
充放電制御技術
●セルコントローラによる電池状態の監視・
検知・判定・制御技術を開発
●上位制御(バッテリーコントローラ)との通
信機能システムを開発
本PJにおけるこれらの技術的知見、さらに後継
PJでの改良・発展技術が中∼大容量リチウム電
池の実用化製品に結実
安全性
試
験項目
(一部抜粋)
試験条件
外部短絡
短絡抵抗:0.5mΩ
釘刺し
釘直径:8mm、 釘材質:鋼鉄、
貫通速度:2cm/秒
圧壊
丸棒直径:10mm、速度:1cm/秒
過充電
メーカー推奨の電流地で容量の250%まで充電
過放電
メーカー推奨の電流地で容量の250%まで放電
早期実用化を目指した製品試作
早期実用化
リチウム二次電池モジュール(写真はハイブリッド車用)
●電気自動車、スクーター等への搭載・走
行テスト等によって実機レベルでの性能検
証と基礎的なデータを収集
3. 本プロジェクト技術成果応用の拡大状況
①ハイブリッド車(日産自動車2000年) 新神
戸電機製電池
製品・用途
②アイドリングストップ車(ト
ヨタ2005年)
三菱化
学製電池素材
HEV、PEVなどの低燃
費・低公害自動車での
応用
⑪人工衛星用Li電池実験モジュール
(SERVIS-1衛星 2003年)
三菱電機・ジーエスユアサ共同開発
市場動向
ロボット
リチウム電池搭載警備用ロボットなど試作・実験機の
開発活発。
電力貯蔵設備
自然エネルギー発電との組み合わせで将来の普及期待。
電気自動車
販売規模は一車種数百台レベル。本格的市場形成は
今後。
ハイブリッド車
2008年頃からリチウム電池へのシフト開始。2010年頃
には単年の国内販売台数15万台規模に。
スクーター
全体では約45万台/年の市場規模。リチウム電池搭載
車は累計でも1万台弱程度とみられる。
鉄道
(ディーゼル車両)
ディーゼル車両は年間数十両、数十億円市場。リチウ
ム電池搭載車両は2007年から登場。
電動アシスト自転車
年間約25万台の市場規模を有するがリチウム電池搭
載車は現状では数千台規模。
○出力密度向上技術
○モジュール制御技術
車椅子
○電池搭載車の電装品設計
ノウハウ
電動車椅子の市場規模は生産ベースで約2万台/年。リ
チウム電池搭載の電動車椅子は年間数百台規模。
バッテリーフォークリフト
バッテリー式は年間約4万台の市場規模。現状は鉛蓄
電池主流。
人工衛星
衛星打ち上げは世界で20∼30個/年。リチウム電池搭
載衛星は過去数個の実績。
シニアカート
用途は車椅子に近い。現状は殆ど鉛蓄電池。
介護用リフト
入浴などのリフト駆動用。現在はニカドやニッケル水素
中心。
鉄道車両での応用
二輪車での応用
○難燃電解液等、材料技術
トラック・バス等大
型車での応用
③電気自動車(日産自動車2000年)新神
戸電機製電池
○出力密度向上
技術 等
○エネルギー密度向上に
よる小型軽量化技術
等
人工衛星での応用
○熱シミュレーション技術
○エネルギー密度向上による小
型軽量化技術 等
ゴルフカート等での応
用
○モジュール制御技術
○出力密度向上技術 等
⑩Li電池搭載カート(新神戸電機2004年) 新
神戸電機製電池
車椅子等、介護用品
での応用
○エネルギー密度向上によ
る小型軽量化技術等
○大容量セル製造技術
○大型モジュール設計技術 等
⑨Li電池搭載電動車椅子(ヤマハ2005年)日
立ビークルエナジー製電池
④ハイブリッドバス
(三菱ふそうトラック・バス2004年)
ジーエス・ユアサ製電池
⑧Li電池搭載ディーゼル車
(JR東日本・小海線で2007年
より3両本格導入予定。右写真は
実験用車両)
新神
戸電機製電池
⑥電動アシスト自転車
(ヤマハ2004年) 三
洋電機製電池
⑤ハイブリッドトラック
(いすゞ 2005年)
日立ビークルエナジー製電
池
資料出典:
⑦電動スクーター(ヤマハ2003年)日立
ビークルエナジー製電池
①、③日産自動車(株)、 ②トヨタ自動車(株)、 ④三菱ふそうトラックバス(株)、 ⑤いすゞ自動
車(株)、 ⑥、⑦、⑨ヤマハ発動機(株)、 ⑧フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia』 、⑩新
神戸電気(株)、 ⑪(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構
4. 移動体用・定置用での展開と今後の見通し
本プロジェクト1992∼2001年度
後継プロジェクト、関連プロジェクト
移動体用モジュール電池開発目標と成果
項目
目標
性能
電池容量
ニッケル・コバルト系
マンガン系
H13開発品
H13開発品
3kWh
3.75
4.13
重量エネルギー
密度
150Wh/kg
150
155
体積エネルギー
密度
300Wh/l
252
244
出力密度
400W/kg
489
438
エネルギー
変換効率
85%
96.6
95.7
1000サイクル
570終了※1
580終了※1
小型モジュールで
1000超実証
小型電池で
1000超実証
サイクル寿命
自動車用電池については本プロジェクト終了翌年の2002年度から後継プロジェ
クトスタート。開発目標も出力密度のハイスペック化にシフトし、具体的な経済目
標も設定するなど、より実践的な開発に継続・発展。2007年度から、さらに高い
開発目標で新プロジェクトがスタートした。
燃料電池自動車等用 リチ
ウム電池技術開発
次世代自動車用高性能蓄
電システム技術開発
2002∼2006年度
2007∼2011年度
開発目標
開発目標
出入力密度 : 1800W/kg
量エネルギー密度:70Wh/kg
寿 命 :
15年
充放電エネルギー効率:96%
済性 : 5万円/kWh
重
経
安全性・信頼性:車載での濫用・
使用条件に耐える
(要素技術開発目標)
出入力密度 : 2000W/kg
重
量エネルギー密度:100Wh/kg
寿 命 : 10年以上
経済性 : 4万円/kWh程度
安全性 :車載時の濫用に耐える
今後の見通し
2020年には国内保有ハイブリッド車のほぼ100%が リ
チウム電池搭載
2008年頃からハイブリッド車においてニッケル水素→リチウム
二次電池への切り替えがスタート。
2008年半ば以降に販売されたハイブリッド車の大半がリチウム
二次電池搭載と考えられ、2010年時点でのハイブリッド車国内
販売台数は約15万台/年(2006年約7万台/年)、2020年は30万
台/年と想定。ハイブリッド車の使用年数を10年程度と考えれば
2020年頃国内保有ハイブリッド車搭載電池の「リチウム化」が
ほぼ完了すると予想される。
(千台)
2500
ハイブリッド車電池タイプ別将来予測(保有台数ベース)
2020年ころ 事実上保有ハイブリッド車の
すべてがリチウム搭載車に
2000
2015年 保有ハイブリッド車
の8割にリチウム電池
※1:平成12年度開発大型モジュール電池の試験結果
本プロジェクトが我が国の中∼大容量リチウム二次電池開発に
基盤となり、その後の継続・発展的な国家プロジェクトへとつなが
る
1500
本プロジェクトで目指した移動体用・定置型という二
つのターゲットが、後継的なプロジェクトでのさらな
る発展・改良を経て普及・実用化に近づく
2010年 保有ハイブリッド車の
半分弱にリチウム電池
項目
目標
電池容量
2kWh
重量エネルギー
密度
120Wh/kg
体積エネルギー
密度
240Wh/l
エネルギー
変換効率
サイクル寿命
ニッケル・コバルト系
マンガン系
系統連系円滑化蓄電システム技術開発
H13開発品
H13開発品
2006∼2010年度
2.32
2.49
240
255
重量エネルギー密度:70Wh/kg
命 : 10年
総合効率:80%以上
4万円/kWh
90%
97.9
96.1
3500サイクル
795経過※2
812経過※3
小型電池で
2350実証
小型電池で
3000実証
※3:平成12年度開発大型モジュール電池の試験終了時点(H14.3)
寿
システム
経済性 :
電力需要量伸び悩みや料金ダウン、法規制等の問題で、現状のままでは家庭
用電力貯蔵システムの需要形成は困難。RPS法※の整備等によって自然エネ
ルギー発電負荷平滑化ニーズ高まる。新たなプロジェクトでは風力発電との組
み合わせを前提に、経済性目標4万円/kWhを設定した上、関連して寿命評価
方法等の開発も目指す。
※ RPS方:Renewable Portfolio Standard 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関す
る特別措置法」
350
500
開発目標
安全性確保を前提とした1MW級蓄電システム
※2:平成12年度開発大型単電池試験の終了時点(H14.3)。試験装置
の制約のため大型モジュール電池の試験は実施せず
リチウムイオン電池
ニッケル水素電池
50 75 91
4 22 37
122
128
1200
1000
定置型モジュール電池開発目標と成果
性能
2450
133
197
257
450
300
50
0
97
99
01
03
05
2010
2015
2020 (年)
2005年までは(財)日本自動車研究所 電動車両協普及センター資料。将来予
測はヒアリング調査結果、トヨタ自動車販売目標等から東レ経営研究所予測
定置型は風力発電出力平滑化用途での拡大期待
レドックスフロー電池を使った風力発電負荷平滑化テスト施設に比べ、
リチウム二次電池はエネルギー貯蔵密度が圧倒的に高く、同容
量でコンパクトなプラント建設が可能に。
5. 本プロジェクトの経済面・環境面での定量的インパクト試算
リ チウム 二次電池市場将来予測
(百万円)
600,000
●自動車用市場は2020年の600億円程度と試算。
しかしその後の市場ポテンシャル、普及余地はきわ
めて大きい。
自動車用
小型民生用
30万台/年として2020年600億円
●現在のリチウム二次電池市場約3000億円は実質
的にすべて小型民生用で占められるが、携帯電話
やPCなどの用途の劇的拡大余地は少なく、市場は
飽和状態に近い。
400,000
305,548
289,148
293,751
経済効果試算
248,207
設定1:ハイブリッド車1台あたり電池価格20万円※1
設定2:小型民生用市場は約3000億円で横ばい
60,000
30,000
250,966
●トヨタ、GMは2010年頃にプラグインハイブリッド車を
実用化する計画を発表しており、2010年頃から現在の
ハイブリッド車よりさらにリチウム二次電池搭載量の多
い車の普及が始まっていると想定すれば、自動車用リ
チウム二次電池のマーケット規模はさらに拡大する可
能性が十分ある。
200,000
※1 「新世代自動車の基礎となる次世代電池技術に関する研究
会」2006年提言報告書における高性能ハイブリッド車電池
搭載量、後継PJの「燃料電池自動車等用リチウム電池技
術開発」の経済性目標(単価)等を元に算出
小型民生用は3000億円/年レベルで推移
300,000
予測1:ハイブリッド車国内年間販売台数
→2010年・15万台 2020年・30万台
予測2:ハイブリッド車国内累計保有台数
→2010年・80万台 2020年・250万台
300,000
0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2010
2020
(年)
小型民生用市場の2005年までのデータは電池工業会の統計データを使用
CO 削減効果試算
設定1:年間走行距離を1万kmとする
設定2:燃費はハイブリッド車36km/リットル※1
一般ガソリン車燃費15km/リットル
設定3:ガソリン1リットル当たりのCO2排出量2.3kg※2
リチウム二次電池搭載車によるCO2とガソリン消費削減効果
※1 国土交通省 平成17年版「自動車燃費一覧」の最も燃費の
良いハイブリッド車の数値を使用
※2 省エネルギーセンターの排出原単位数値を使用
CO2削減効果
ガソリン消費量削減効果
2010年
約31.5万トン
約13.6万キロリットル
2020年
約220万トン
約95万キロリットル
●2010年時点で31.5万t、2020年で220万tというCO2削
減効果は、京都議定書に対して我が国が計画している
運輸部門でのCO2削減目標のうちの「クリーンエネル
ギー車による削減560万t」に対してそれぞれ5.6%、
39.2%を占める。
クリーンエネルギー車によるCO2排出削減目標に対するウェイト
●リチウム二次電池搭載のハイブリッド車が大量普
及することで、ガソリン消費量の削減、それに伴う
CO2排出量の削減など、環境面での効果が顕著に
あらわれる。
●上記設定に基づけば、ハイブリッド車1台が年間1
万km走行することでガソリン消費量を389リットル、
CO2排出を900kg減らす効果がある。
●グローバルレベルで捉えれば、ハイブリッド車の販売
台数は2010年には80万台/年、2020年には150万台
/年程度と見込まれ、その全てがリチウム二次電池搭
載車であると考えれば、自動車用リチウム二次電池の
世界市場規模は2020年の段階で約3000億円に達する。
HEV 15万台/年として2010年300億
295,624
2
●左記試算は、日本国内市場に限定した試算であり、
海外でのハイブリッド車販売等にリチウム二次電池が
搭載される分はカウントしていない。
将来的市場ポテンシャル大
削減目標
560万t
2020年
220万t
2010年
31.5万t
0%
20%
40%
60%
80%
100%
●2020年のハイブリッド車保有台数の世界トータルを
1000万台程度と想定すれば、グローバルレベルでの
CO2削減効果も1000万t弱の規模に達する。
●2010年、2020年のガソリン消費削減量はそれぞれ
13.6万キロリットル、95万キロリットルという規模になる。近年の
原油価格高騰によって削減による経済的効果も大きい
(後述 8.項参照)
●将来的な石油資源減少+石油価格の上昇トレンド
が続くと考えれば、ガソリン削減による経済的メリットが
拡大するのは確実といえる。
6. 大型リチウム二次電池開発トレンドと国の施策との整合性
本プロジェクト終了後の動向
移動体用電池
関連レンド
2000.リチウムイオンHEV車
ティーノハイブリッド発表
1994リチウムEV車 プ
レーリージョイ発表
2002.3 本PJ終了
2002.4 後継PJスタート
1997 ハイブリッド車 プ
リウス発売開始
1992 本PJスタート
2008 HEVでニッケル水
素からリチウムへのシフ
ト開始見込み
2007.3 後継PJ終了
2007.4 次期PJスタート
次世代自動車用高性能蓄
電システム技術開発
燃料電池自動車等用リチウム電池技術開発
(2002∼2006年度)
「分散型電池電力貯蔵技術開発」( 1992∼2001年度)
定置型電池
関連トレン
ド
1995 電力卸売自由化
2000 電力小売一部自由化
2003 NEDO蓄電池併設風力
発電導入可能性調査実施→鉛、
NaS等の比較評価
電力自由化進行により電力価格ダウン傾向
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1997 京都議定書・温暖
化ガス6%削減公約
1999
2000
系統連系円滑化蓄電システム技術
開発(2006∼2011年度)
2004 NEDO風力発電電力系
統安定化PJスタート
→レ
ドックスフロー実証プラント
2001
1998 地球温暖化対
策推進大綱策定
2002
2003
2002.6 RPS法成立 自
然エネルギー発電促進
2006.4 NEDO系統連系円
滑化PJ スタート
→風
力用リチウム電池開発
2004
2005
2003 住宅用太陽光発電
導入促進事業スタート
政策トレンド
総合資源エネルギー調査会新
エネルギー部会
→風力、太陽光などの再生可
能エネルギー発電の一定量購
入を電力事業者に義務付け
→電気自動車、ハイブリッド車などを含むクリーン
エネルギー自動車の2010年普及目標を348万台
に設定(1999年の55.3倍)
→2010年までの122億kwhを
目標(わが国の電力総販売量
の1.35%)
→住宅用の太陽光発電導入に
補助金。94年度からのモニ
ター事業、97年度からの導入
基盤整備事業と併せて一般住
宅での太陽光発電、大きく普及。
2006
2007
2008
2006.5 総合資源エネルギー調査会
新エネ部会中間報告
→太陽電池や燃料電池と並んで蓄電池・キャパシタなど
のエネルギー貯蔵技術開発の推進を求める
→特にリチウムイオン電池については風力・太陽光への
併設やHEVでの普及促進を指摘。
→政府による自動車用および風力・太陽光併設用等の重
点開発の必要性をうたう
→さらに、韓国・中国等に対する優位性確保という側面に
も言及。
→出力変動による系統への悪影響などを抑えるなど、自然エ
ネルギー発電との組み合わせニーズ高まる
→普及に不可欠な要素技術として高効率蓄電池開発の
社会的ニーズ高まる
→風力発電との組み合わせではより小さなプラントで対応で
きるなど、エネルギー貯蔵密度が高いリチウムイオン電池が
有望
→国家的な技術開発戦略、エネルギー戦略において高性
能リチウムイオン電池開発の重要性が高まる
PJ実施期間後半、および終了後に自動車用・定置型の両方でリチウム二次電池技術開発に対する社会的ニーズ拡大
($/バレル)
75.00
50.00
→ハイブリッド車、電気自動車などを短期間のうちに
大々的に普及させる国家的な必要に迫られる
原油価格・電力料金推移
(円/kWh)
30.00
20.00
原油価格は資源エネルギー庁データ
原油価格
電力料金
電力料金は東京電力(低圧契約平均)データを元に作成
25.00
10.00
0.00
0.00
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
(年)
7. 本プロジェクトの知的資産・人的資産の動向整理
(件)
30
本PJ事後評価時点の
許の状況(2002.9)
特
特許出願:198件
プロジェクト後の特許登録数推移
30
20
9
8
10
プロジェクト終了後も知的財産ストック充実化
13
11
4
登録特許:37件
本プロジェクトで出願された特許の登録数は、プロジェクト終了後、現時点までに45件
が登録されており、プロジェクト期間中の登録数30件を大きく上回る。
0
∼2002.3
2002.4∼12
2003
2004
2005
2006 (年)
(人)
注)意匠登録、現時点での権利放棄等は除外している
プロジェクト終了後の研究者の動向パターン整理
分 類
本プロジェクト終了時点・
事後評価時点での状況
本プロジェクトと継続
性の強い二次電池関
連研究開発を継続
本PJ最終年度(2001年度)参
加企業・研究者数
参加企業・機関:13
参加研究者数:148人
注)最終年度のトータルであるため
三洋電機分は含まれていない
子会社・事業会社等
で関連研究開発継続
概
要
国内他企業への
転出
・E社から国内大手自動車メーカー研究職に転出。
(現在の研究テーマ等は不明だが、リチウム二次電池応用研
究に従事している可能性が高い)
海外企業への転出
・主に中国、韓国のリチウム電池メーカーに転出。人数等の把握
が困難だが、本プロジェクト参加研究者の中でも最低5∼6人程
度は海外企業に移籍したとみられる。
大学等への転出
自社他部門、他の研
究テーマに移動
後継PJへの
継続参加
・電池メーカー、材料メーカー等で多数。当時研究スタッフで現在
では研究グループ長などのマネジメントを担当する例もあり。
(→A社・B社等多数)
・研究所の蓄電デバイス研究グループ長 C氏
・日立製作所と新神戸電機が共同出資で設立した移動体用リチ
ウム電池事業会社への移籍。
・電池専門子会社への転出(→D社)
・G大学先端物質化学研究所教授 H氏
(リチウム電池用材料、安全性向上等を研究)
・I大学工学部材料工学科教授 J氏
(リチウム電池新規材料等を研究)
・K大学教授 L氏 (次世代電池等を研究)
・会社として電池開発を終了したため、本プロジェクト終了後、電
機部品関連研究に移動(→F社)
本PJと後継PJ研究担当者の継続状況
20
15
後継PJから新たに参加した研究担当者
本PJ最終年度参加研究担当者
9
11
10
5
5
5
5
6
7
B社
C社
D社
9
0
A社
企業名
リチウム二次電池研究を継続
IMLB2006(フラン
ス)において論文
発表を行った本プ
ロジェクト参加研
究者、および関連
企業
海外転出
日立製作所(A氏)
三洋電機(B氏)
三菱電機(C氏)
三菱化学(D氏)
産業技術総合研究所(E氏)
ジーエスユアサコーポレーション
G大学・H氏は大学で教鞭をと
る傍ら、(社)電気化学学会内
電池技術委員会の平成19年
度委員長も兼任
松下電池工業
日立ビークルエナジー(F氏)
(元新神戸電機研究者)
G大学教授(H氏)(元NTT研究者)
中国・韓国における自動車用リチウム二次電池関連プロジェクト
本プロジェクト期間中の海外に
おけるリチウム二次電池関連国
家PJは米国のUSABCがメイン。
大型リチウム二次電池主要メー
カーもSAFT社、Ovonic Battery
社など欧米中心
中国・韓国のリチウム電池メーカーが急速に台頭
○2000年頃から中国・韓国のメーカーがリチウムイオン電池分野で急速に技術力を伸ばし、
シェアも拡大して日本を急追。
○自動車用大型リチウム二次電池開発でも中国・韓国は国家プロジェクトで開発を推進してお
り、官民あげた取り組みが活発化。
国名
プロジェクト概要
韓国
(国家PJ)
2004∼2009年予定で高容量リチウム二次電池とキャパシタの開発を
国家プロジェクトとして実施。予算は年間10億円程度。
韓国
(民間)
○両国の技術力急伸には日本の電池メーカー技術者の転出も大きく影響。本プロジェクト研究
者でも移籍例あり。結果的に我が国の国際的な競争力の相対的な低下の一因になっている。
中国
(国家PJ)
電池メーカーLG Chem社と現代自動車がリチウムポリマー電池を
使ったHEV開発を共同で実施。2005年にはLG Chem社が容量
5.0Ah、重量エネルギー密度66Wh/kgの40個モジュールを発表。
2001∼2005年の第10次五ヵ年計画でHEV、EV等に向けたリチウム
イオン電池・ニッケル水素電池の国家プロジェクトを実施。2006年から
も新5ヵ年計画が継続中で、HEV用に9Ah電池などを開発。
8. CO2削減、ガソリン消費削減量の金額換算
リチウム二次電池搭載車によるCO2とガソリン消費削減効果
CO2削減効果
ガソリン消費量削減効果
2010年
約31.5万トン
約13.6万キロリットル
2020年
約220万トン
約95万キロリットル
「5. 本PJの経済面・環境面での定量的インパクト試算」でみた、2010年、2020年におけるリ
チウム二次電池搭載車普及によるCO2削減量、ガソリン削減量の試算結果を金額換算する
と以下のようになる。
上記試算ではニッケル水素電池搭載のハイブリッド車の削減分はカウ
ントしていない
CO2単価×試算削減量による金額的効果
ガソリン単価×試算削減量による金額的効果
CO2単価
ガソリン単価条件 → 150円/リットル
環境省が2007年9月に「自主参加型国内排出量取引制度(第1期)の取引実績について」
の中で、同制度による取引量や件数等の数値を公表しているが、そのうちCO2の取引価
格に関しての実績を見ると
最高取引価格 2,500円/トン
最低取引価格
900円/トン
平均取引価格 1,212円/トン
となっていることから、その平均取引価格の数値を単価として採用。
2010年削減量金額換算
→ 31.5万トン × 1,212円 = 約3.8億円
2020年削減量金額換算
→ 220万トン × 1,212円 = 約26.7億円
→ 15万円/キロリットル
2010年削減量金額換算
→13.6万キロリットル × 15万円 = 約200億円
2020年削減量金額換算
→ 95万キロリットル × 15万円 = 約1,425億円
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