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世界の有力大学の国際化の動向

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世界の有力大学の国際化の動向
世界の有力大学の国際化の動向
ー グローバル化の波の中の国際化の争点 ー
RCUSセミナー
東京大学国際連携本部
船守 美穂
2008年4月28日
Ⅰ.世界の有力大学の国際化の動向
Ⅱ.人の移動と高等教育の国際化
Ⅲ.世界の有力大学の分析
Ⅳ.まとめ:
グローバル化の波の中の国際化の争点
1
調査対象と調査項目
(調査対象)
1. 米国私立有力大学:
Yale、Stanford、MIT、Harvard
2. 米国州立有力大学:
UC Berkeley
3. 英国有力大学
:
Oxford, Cambridge
4. 欧州有力大学
:
ETHZ、ドイツ・フランス大学の国際化
5.
アジア有力大学
: 北京大学・清華大学、ソウル国立大学校
6.
オセアニア等
:
シンガポール国立大学、
オーストラリア国立大学
(調査項目)
† 全学の国際化の方針
←国際担当副学長
† 特筆すべき国際化の取り組み
←担当部局
† 国際化の推進体制 等
←国際関連部署
2
1.米国私立有力大学…イエール大学
† 国際化の基本方針
† 「イエール大学の国際化
„ “Global University”への転換
- 新たな枠組みの構築」
(地域大学→米国大学→グローバル大学)
† 中心的課題
„ 世界のリーダーの育成
„ 優秀な人材の獲得
„ 国際連携の強化
† キーワード
†
2005年12月発表
†
長期的ヴィジョンと当面の行動計画
(3目標・16戦略・58行動計画)
„ Inter-connectedness
(相互結合性)
†
„
†
上層部の人材に焦点を絞り、
世界に対する主導権と影響力を狙う。
英文A3-8頁(和訳:A4-30P)の
大部の戦略文書
(出典)The Internationalization of Yale
http://www.world.yale.edu/news/pdf/Internationalization_of_Yale.pdf
17名の学内責任者の名前入り
3
1.米国私立有力大学…イエール大学…世界のリーダーの育成
1. 国内学生の資質向上
„
(学部学生)
„
国際関係のカリキュラム充実
†
教員の登用拡大
„
†
„
2. 世界の幹部研修
文理学部に教授6名新規雇用、法
科大学院・地域研究センター・国際
関係論の基礎コースにも教員枠拡
大
図書館と情報サービスの充実
短期海外留学経験の拡大
„
専門職大学院による実施
†
中国政府幹部・大学幹部
†
カザフスタン・アラブ・日本・南米・イ
ンドなどの政府幹部
†
法科大学院(中国法律センター他)
†
疫学・公衆衛生学部と看護大学院
†
林学・環境大学院 他
全学主催
†
World Fellowship Program他
※大学院生については、若干の奨学金等を用意
(コラム)イエール大学の特徴など
† 特
徴: 「リーダー教育」を歴史的使命とし、「学部教育」に力を入れる
† 比較優位: 「人文学と芸術」と「生物医科学」
† 重点領域: 「科学と医学の強化」と「イエール大学の国際化」
(出典: イエール大学HP)
4
(参考)米国大学の国際化の動向…グローバル・ユニバーシティー
† グローバル・ユニバーシティー:
„
米国で広く注目を浴びている概念
„
第119回米国州立大学等(NASULGC)年次会合(2006年11月)にてオープ
ニング、学長会議、教育・研究部会、特別セッション等で大きく取り上げられる。
„
「グローバル・ユニバーシティー」の概念化セッション
1.
2.
3.
4.
„
†
法的および財務面の機会と挑戦
学術的な機会と挑戦
国際研究パートナーシップ
教育上の機会と挑戦
「グローバル・
ユニバーシティー」の
概念はまだ
定まっていない。
大学の海外展開や学生の海外留学などの活発化を受けて議論を実施。
NASULGC年次会合
„
„
米国州立大学・国有地付与大学の年次会合。
3日間にわたり10以上の会場で並行してセッションが行われる大規模な会合。
„
私立大学関係者も参加する。
5
1.米国私立有力大学…Global University
幹部研修
政治連携
共同
研究
地域
教育連携
国際協力
世界
委託
研究
大学
コミュニティ
米国
地球規模の
課題解決
頭脳
Global University
国内外の人々・コミュニティ・教育機関・産業・政府と密に連携することを通じて
相互依存の関係を創り、存続の安定化を図る。
(寄付金・授業料・研究費・委託費等の導入)
国際機関
6
1.米国私立有力大学…スタンフォード大学
† イニシアティブの内容
„ 地球規模の課題解決
†
†
†
†
† ザ・スタンフォード・チャレンジ
†
The Stanford Challenge:
「人の健康」
「環境とサステナビリティ」
「国際」
「その他学際領域研究」
„ 教育の充実
„ 研究への投資
† チャレンジの目的
„ 社会への貢献
„ 寄付金の獲得
„ 21世紀における
「学際領域型」大学への転換
†
†
2006年10月開始。
ヘネシー学長の最重要イニシアティブ
†
0.5兆円規模の全学キャンペーン
†
半年未満で目標額の7割達成。
7
1.米国私立有力大学…「学際領域型」大学への転換
†
Stanford Challengeの真の目的
„ 21世紀に向けての大学の形成
„ 社会と実質的に関わる「学際領
域型」大学への転換
† 米国における危機意識
„
„
科学技術力の低下
20年後も米国の研究型大学が
世界をリードするためには、従来
のように学問分野毎に卓越して
いるだけでは不十分である。
† 実情としては…
„
„
„
産業構造の変化
第二次産業が急速に縮小
第三次産業が発展
(参考)
†
2006年MIT卒業生(学部・大学院含む)
の就職先
„
MIT
20名
„
ゴールドマン・サックス
20名
„
マッキンゼイ
19名
„
ボストン・コンサルティング・グループ
16名
„
マイクロソフト
14名
„
モーガン・スタンレー
13名
„
リーマン・ブラザーズ
13名
„
ベイン
13名
„
JPモーガン
12名
„
Google
12名
„
IBM
12名
„
インテル
8名
„
オラクル
8名
„
ボーイング
8名
„
クレディ・スイス
8名
„
ブーズ・アレン
7名
„
ジョンソン&ジョンソン
6名
„
ドイツ銀行
6名
(出典)MIT Careers Office
8
(http://web.mit.edu/career/www/infostats/graduation06.pdf)
1.米国私立有力大学…ハーバード大学
† 国際化の方針
„
„
なし
但し、学部学生の短期海外留学は推進
„
部局自治の伝統が強く、国際的活動が活発であるが、本部はイニシアティ
ブを発揮しない。
† 国際活動の規模:
„
最低、120カ国にて海外プロジェクト・海外拠点を展開。
„
海外における経費支出総額4000-6000万ドル(教員人件費除く)。
† 中心課題
„
海外活動の管理 [Reports of the Task Force on International
Projects and Sites (30 April 2005)]
† ハーバード名の不正使用防止
† 脱税行為・納税行為の監督
† 会計面の健全性の確保 等
(参考) Reports of the Task Force on International Projects and Sites (30 April 2005)
http://www.provost.harvard.edu/reports/TFonInternationalProjectsandSites.pdf
9
2.米国州立有力大学…カリフォルニア大学バークレー校
† 国際化の方針
„ なし
„ 教員の自由な気風が伝統であるため、国際戦略にかかわらず、
全学の方針は希薄。
† 国際的取り組み:
„
„
„
IASの地域研究・外国語教育
EAP(学生交流プログラム)
中国・インドを対象とした外部資金導入
† Berkeley China Initiative
† Berkeley India Initiative
† 国際化の特徴
„ 学生の人種構成が多様化したことによる、国際化への内圧
の高まり
10
2.米国州立有力大学…カリフォルニア州の人口推計とUCBの国際化
カリフォルニア州の人種構成
UCB学部学生の
人種構成
カリフォルニア州の
年齢層別人種構成
アジア
スペイン
アジア
白人
白人
† UCB学部学生の人種構成が実質的に変容したことが、UCBの国際化に大きな
影響を与えている。学生は出身国への関心が高い。
„ Study Abroadへのニーズ
„ 外国語教育へのニーズ
„ 地域研究のニーズ 等
(出典) Hans P. Johnson, “California’s Demographic Future”, Public Policy Institute of California (2003.12)
11
2.米国州立有力大学…カリフォルニア大学短期留学プログラム(EAP)
† Education Abroad Program
留学期間 学年 教授言語 付記
1年・秋・春・夏 1・2・3・4
„ 学部学生対象の学生交流プログラム
„ カリフォルニア大学10分校共通
„ 派遣先: 約35ヶ国・150大学
„ 学生交流の規模:
† 派遣: 年間約4000名
† 受入: 年間約1000名
(UCBは年間約800名の派遣、200300名の受入)
„ 原則、自費負担
(但し、経済的に恵まれない学生に
補助あり)
(出典)EAPホームページ
http://www.eap.ucop.edu/eap/reference/genbr0708chart.pdf
12
(参考)米国大学の国際化の動向…学部学生を対象とした国際化
(背景)
†
9.11同時多発テロ事件以降、世界の他の地域に関する米国市民の知識不足
が深刻に受け止められ、米国一般市民に対する外国語教育や国際対応能力
(Global Competence)を向上させるための教育が強化された。
† 米国学部学生・年間100万人留学構想
(Commission on Abraham Lincoln Study Abroad Fellowship Program
/ Senator Paul Simon Study Abroad Foundation Act)
„
米国の学部生の半数を海外留学させる構想。
„
基金の設置を提案。ただし、奨学金は呼び水程度。
† 国家安全保障言語構想
(National Security Language Initiative, NSLI)
„
幼稚園から大学院レベルの外国語教育の強化
†
„
アラビア語、中国語、ロシア語、日本語、韓国語、インド系言語(5)、イラン系言語(2)
大学でも”Language Across the Curriculum”で一般科目を外国語で提供
13
2.米国州立有力大学…米国私立有力大学との競争
† 教員・学生を巡る人材獲得面の競争
„ 教員の待遇面での競争
† 年俸 (9ヶ月分相当)
(UCBは年収平均12.5万ドル vs. ハーバード大学は15万ドル以上)
† サマー・ペイ
† 研究費 (特に、理工系の場合)
† 子供の大学の学費、住宅ローン、ボーナス、配偶者の職の確保など
† 米国私立大学に対して不利な点:
„ 俸給基準額が州政府によって設定されている。
„ 大学基金の規模が10分の1程度
„ 教育負担 (ほぼ同規模の教職員で、約2-3倍の学生を教育)
→ 近年では、私立の有力大学が優勢であり、州立大学は困難な立場に立
たされつつある。
14
2.米国州立有力大学…州の「教育機能」としてのUCB
†
カリフォルニア州知事との契約内容:
„ 運営費交付金の算定根拠は学生数に応じる。
„ カリフォルニア州の高校卒業者のうち成績上位8分の1を入学させなければならない。
„ 学位取得者のうち3割はCCCからの転入生でなければならない。
„ 大学院の学生定員は全体の17-18%でなければならない。
„ 学部学生について、州外からの学生は3%に留めなければならない。
世界の有力大学における留学生比率
(学部・大学院別)
教員・学生規模
留学生比率
世界の有力大学の人員規模 (学生数-教員数)
(人)
100%
3,000
2,500
1,500
Stanford
ANU
大学院留学生
Yale
大学院における留学生比率
80%
2,000
教員数
教員数
90%
東京大学
SNU
NUS
UCB
Cambridge
Oxford
Harvard
1,000
MIT
70%
NUS
60%
Oxford
Cambridge
50%
ETHZ
40%
MIT
30%
Harvard
Yale
20%
500
ETHZ
ANU
Stanford
UCB
東京大学
10%
SNU
0
0%
0
5,000
10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000
学生数 (学部+大学院)
学生数(学部+大学院)
(人)
0%
5%
10%
15%
20%
25%
学部における留学生比率
学部留学生
(注)CCC: カリフォルニア・コミュニティ・カレッジ
15
3.Oxbridge…オックスフォード大学…米国大学との競争
† 学術戦略(Academic Strategy)を策定:
„ “Corporate Plan 2005-6 to 2009-10”
† 戦略策定の背景:
„ 大学のこれまでの優位性を保つことへの不安 (財政的困窮等)
† 検討ポイント:
„ 教員数と教育負担、教員の待遇(給与、住居、環境等)
„ 学部:大学院比率
„ 研究力 (各分野ごとに研究評価を実施)
† 世界大学ランキングでピア・レビューは高かったが、論文引用度が低かった。
† 比較対象:
„ 世界有力大学 (特に、米国私立有力大学)
(Harvard, Yale, Princeton, UCB, NYU, MIT, Columbia, Cambridge大学)
16
(参考)外国人研究者の状況…英国の事例
† 英国大学協会(UUK)(2007.7発表)
„ 「卓越した人材の争奪戦: アカデミアの国際市場」
”Talent wars: the international market for academic staff”
(要旨抜粋)
†
2005/06年度において、アカデミアの19.1%は非英国民であった。また、
2005/06年度に雇用されたアカデミアの27%が非英国民であった。
†
英国では全体としてアカデミアの流入が流出より多い。しかし、シニアの教員や研
究者その他の専門的なレベルでは流出が流入に優った。シニアのレベルにおける
流出増については継続的に監視する必要がある。
†
外国人スタッフの出身国は主にドイツ・中国・米国・アイルランド・イタリア・フランス
で、言語・情報科学・数学・物理学・工学・技術・社会/政治学の分野に集中してい
る。
†
外国人スタッフは、英国人研究者数が減少しつつあるいくつかの重要な分野で教
育研究を支えているが、過度に依存することは危険である。
(出典)UUKレポート ”Talent wars: the international market for academic staff”
http://bookshop.universitiesuk.ac.uk/downloads/Policy%20Brief%20Talent%20Wars.pdf
17
(参考)外国人研究者の状況…米国における外国人研究者
米国における外国人研究者の役割
(2005/06)
その他
教育研究 5%
7%
米国における外国人研究者の出身国
(2005/2006; 計96,981名))
ポーランド, 983, 1%
オランダ, 996, 1%
メキシコ, 1,250, 2%
トルコ, 1,355, 2%
イスラエル, 1,618, 豪, 1,265, 2%
2%
ブラジル, 1,711, 2%
アルゼンチン, 864, 1%
台湾, 1,737, 2%
教育
12%
中国, 19,017, 24%
スペイン, 2,185, 3%
ロシア, 2,402, 3%
イタリア, 2,983, 4%
研究
76%
英, 3,334, 4%
仏, 3,380, 4%
韓国, 8,907, 11%
カナダ, 4,496, 6%
独, 5,117, 7%
インド, 8,836, 11%
日本, 5,600, 7%
・米国における外国人研究者の主要な役割は、「研究」である。
・出身地域は、中国・韓国・インド・日本・独・カナダ・仏・英・・・などが多い。
(出典) Open Doors 2006
http://opendoors.iienetwork.org/page/89233/
18
(参考)外国人研究者の状況…米国における外国人研究者
米国における外国人研究者の専門分野の推移
100000
90000
80000
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
06
05
/
05
20
04
/
04
20
03
/
03
20
02
/
02
20
01
/
01
20
00
/
00
20
99
/
99
19
98
/
98
19
97
/
97
19
96
/
19
95
/
95
19
94
/
94
19
93
/
19
96
0
マーケティング
ライフ
家計
建築・環境
宗教
コミュニケーション
公共政策
教養
芸術
法学
心理学
地域研究
教育
外国語・文学
数学
MBA
その他
情報科学
農学
社会科学・歴史
工学
物理学
ライフ・バイオ
健康科学
米国における外国人研究者は過去10年間で1.5倍以上に伸びている。
・主要分野は、健康科学、ライフ・バイオ、物理学、工学である。
・近年は特に、ライフ・バイオが伸びている。
(出典) Open Doors 2006
http://opendoors.iienetwork.org/page/89233/
19
3.Oxbridge…ケンブリッジ大学…国際活動を厳選する
† 国際戦略の有無: あり
† 国際関係実施体制:
„ 1990年代に入って大学に国際室を設置 (留学生受入機能等)。
† 国際化の方針:
„ 大学の国際的活動の規模や留学生数の拡大ではなく、むしろより選択的で質
を追求する。
† 海外における教育サービスの提供はしない。海外分校等も設けない。
(Cambridgeらしい教育は国内のみにて提供可能である)。
† 大学間協定は、5-6協定のみ。これも厳選の方向。
(部局間協定は、本部では把握されていない)。
† 学生交流は原則しない(特に、学部)。
(Oxbridgeの教育の特色である、カレッジにおける教育体制が、他
大学と整合的でない)。
† 留学生は量や地域的バランスより、質を追求。奨学金の整備も実施。
20
4.欧州有力大学…スイス連邦工科大学チューリヒ校 (ETHZ)
† 国際戦略の有無: なし
† 国際化ポリシー: 「教育の国際化」の推進
„ 学生交流の拡大
„ 修士課程の英語への移行
† 中心課題:
„ 教育連携プログラムの企画・実施
„ 大学間協定の締結 (但し、学生交流を伴う場合のみ)
† 特記事項:
„
科学技術特別立法で設置された大学であるため、教員は国際公募され6割が
外国人教員。
„
12ヶ月分の給与+大学からの研究費+教員1名につき4-5名のアシスタント
の体制で、(米国の競争的環境に比べて)安定した研究体制が魅力。
21
4.欧州…ドイツ大学の国際化
† 国際化の中心課題
„ 国際競争力の強化
„ 優秀な人材(特に留学生)の獲得
† 国際化の取り組み:
„ 中国等における留学生リクルーティング活動を組織的に展開
(DAAD, HRK等)
„ ボローニャ・プロセスへの移行とともに、英語による国際的色彩
の強いプログラムを導入(IDP; Intl. Degree Program)。
„ シンガポールやカイロに分校を設置するなど、海外展開が活発。
† 教授言語の考え方:
„ 優秀な学生獲得のためには、英語への移行は必須である(IDP
等)。
† 世界大学ランキング:
重視
22
4.欧州…ドイツの大学が海外で提供する教育プログラム(2005年)
工学
人文系
社会科学
自然科学
芸術
23
(出典)http://www.daad.de/hochschulen/studienangebote-ausland/studienangebote-deutscher-hochschulen-im-ausland/05107.de.html
4.欧州(フランス) …フランス大学の国際化の動向
† (擬似的な)大学の統合化
„
„
„
Pôle de Recherche et d’Enseignement Supérieur (PRES)
[研究・高等教育拠点]
これまでの学問分野別に分かれていた大学(及びグランゼコール)を地域/
都市ごとにコンソーシアムとしてまとめ、擬似的に総合大学とする。
ヴィジビリティー向上による世界大学ランキングの上位が狙い。
Main domains of research and
formation
•Basic Science and Technology
•Ingineering studies
•Law
•Management and business
•Social Sciences
•Medicine and Health
•Language, litterature and
contemporary societies
(出典)Paris Universitas (パリ第6大学提供資料)
24
4.欧州…EUの教育・研究関連の施策
† リスボン戦略(2000.3)
„
2010年までに、EUを「より良い職業をより多く創出し、社会的連帯を強化した
上で、持続的な経済成長を達成しうる、世界中で最もダイナミック、か
つ、競争力のある 知識経済」地域に発展させる。
„ IT技術革新、市場の活性化、完全雇用の実現、また、企業競争力の
強化等
† EUの教育・研究関連の施策
„
„
„
„
„
„
高等教育制度の共通化: Bologna Process
学生交流: Erasmus計画
研究者交流: Marie Curie Action
大学のガバナンスの強化: Modernization of Universities
教育面の国際連携: Erasmus Mundus計画
研究開発力の強化: European Institute of Technology (仮称:EIT)等
† European Higher Education Area(欧州高等教育圏)
† European Research Area(欧州研究圏)
25
4.欧州…教育連携プログラム(事例)
† UNITECH
† T.I.M.E.
(Top Industrial Managers for Europe)
„
„
„
欧州20ヶ国46大学による
工学系・ 二重学位プログラム
国際的に活躍できる技術者の
育成が目的
†
†
2つの言語習得
各大学の工学教育の特色に基づ
いた教育を受ける
特別のプログラムは設けない。
†
„
„
7つの工科大学23 企業によ
る学生交流プログラム
グローバル・カンパニーで活躍
を希望する人材の登竜門とな
ることが目標
プログラムの構成:
†
†
European T.I.M.E. Partners
NTNU Trondheim
Univ. Louvain-la-Neuve
HUT Helsinki
UL Bruxelles
†
KTH Stockholm
CTH Göteborg
LTH Lund
FP Mons
DTU Copenhagen
QUB Belfast
Wroclaw TU
TU Berlin
Université Liège
RWTH Aachen
École Centrale de Lille
ENSTA
BMSTU Moscow
MIREA Moscow
École Centrale Paris
TU Dresden
Supelec
TU Darmstadt
TU Prague
École Centrale de Nantes
„
参加大学・企業
„
(大学)RWTH Aachen・カタルニア工科大学バルセロ
ナ校・デルフト工科大学・チャルマース工科大学・ミラノ
工科大学・パリテク・ ETHZ
(企業)ABB, Agbar, Atlas Copco, Degussa,
Heidelberger Druckmaschinene, Hilti, IBM,
Infineon, Mapei, Repsol, SCA, Schindler
Elevators, Schott AG, Shell, Siemens, SKF,
Sony Corp, STMicroelectoronics, Telecom
26
Italia Group, Voith, ZF Friedrichshafen
BUTE Budapest
École Centrale de Lyon
Univ. Stuttgart
TU München
ENSAE Toulouse
IST Lisboa
TU Wien
ETSII Madrid
ICAI Madrid
ITU Istanbul
TU Thessalonique
UPV Valencia
EMP Athens
UPA Padova
UTN Trente
Univ. Poli Catalunya
EPF Lausanne
ETH Zürich
Poli. Milano
Poli. Torino
(出典) エコール・サントラル・パリ提供資料
(T.I.M.E.ホームページ) https://www.time-association.org/
参加学生全員が集まる共通
コース(1週間×3回)
加盟校への短期留学(M1;
半年~1年)
加盟企業でのインターンシッ
プ(最低3ヶ月以上)
„
5.アジア…国際競争力強化の取り組み
† 韓国
„
„
† 日本
Brain Korea 21 (BK21)
急速な英語化
†
†
†
高麗大学: 2010年までに、
講義の6割を英語に移行?
KAIST: Globalization
Project
SNU:学部における英語の講
義実施率を1割から2割に拡
大予定。
„
„
„
„
„
国際戦略本部強化事業
大学教育の国際化推進プログラ
ム
先端的/戦略的国際連携支援
グローバルCOE
世界拠点構想
† 中国
„
211工程(1993ー):21世紀に向けて100余りの大学を重点的に発展
„
985工程(1998ー):世界一流大学を目指す(対象校:38校(2006.5))
„
税収が毎年、前年度比2-3割増であるため、高等教育投資が拡大している。
27
6.オセアニア等…オーストラリア国立大学
† 国際戦略の有無: なし
† 基本方針:
„ 南半球にある大学として、北半球と関係を構築・維持すること。
† 米国旗艦大学との競争:
„ 特になし。
„ 競争するのではなく、戦略的に協調することが大事。 単独で出来な
いことが可能となる。
† 留学生受入に関する考え方:
„ 豪州学生では専攻分野に偏りがあるため、これをバランスするため
に博士の留学生を希望。
„ 修士課程学生は財源確保目的。
„ 英語圏・治安・気候・自然等が売り
28
6.(参考)留学生収入の確保…豪州:教育産業は第4の輸出産業
†
教育産業 (2004)
„
†
留学生リクルーティング体制
„
†
59豪ドル相当の輸出産業
IDP Education Australia(世界約100
箇所)
特色: オフショア留学者
„
„
留学生数の推移
・豪州への留学者
・オフショア留学者
国内留学生数の約3割に相当
(総留学生人口: 15万人強)
豪州はツイニング・プログラム等を通じて、
海外で教育サービスを提供している。
豪州教育サービス輸出高の推移
(1990-2004)
豪州5大輸出産業(2004)
石炭
観光
鉄
教育
(出典) 豪・外務貿易省 “EDUCATION WITHOUT BORDERS International Trade In Education”
http://www.dfat.gov.au/publications/eau_education/education_without_borders.pdf
金
29
7.教育ハブ…シンガポールの事例:Global Schoolhouse
2015年までにシンガポールを
世界の「教育ハブ (Global Schoolhouse)」
にする。
(目標)
・留学生
: 150,000名
・世界の企業幹部: 100,000名
16の世界有力大学をシンガポールに誘致。
経済開発庁(EDB)が積極的に支援活動を展開。
・教育プログラムの提供
・二重/共同学位プログラム
・海外分校
・研究開発等
(出典) シンガポール・経済開発庁(EDB) Global Schoolhouse資料
(EDBより東京大学に提供。 取扱注意要)
30
7.教育ハブ…世界の高等教育の受入国と提供国
(出典) 英国・Observatory on Borderless Higher Education
(http://www.obhe.ac.uk/resources/speeches/IAU_05.pdf)
31
世界の有力大学の国際化
† 世界の有力大学の国際化:
1. 世界との関係強化を通じた「グローバル戦略」
① 優秀な人材の流れ
② 外部資金の流れ
③ 世界で影響力を有する要職者
… を制するものは、世界を制する
2. 優秀な研究者・留学生の争奪戦
3. 国内学生の国際的視野の醸成(学生派遣)
4. (国内の外国人比率の拡大が圧力となった国際化)
32
Ⅰ.世界の有力大学の国際化の動向
Ⅱ.人の移動と高等教育の国際化
Ⅲ.世界の有力大学の分析
Ⅳ.まとめ:
グローバル化の波の中の国際化の争点
33
人の移動…OECD諸国における外国人比率
OECD: Foreign Populations, 2004
(39.0%)
(20.2%)
(%) 15.0
10.0
5.0
(1.5%)
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..
日本における外国人比率は1.5%程度と低い。
(出典)OECD Factbook 2007 - Economic, Environmental and Social Statistics; MIGRATION
http://masetto.sourceoecd.org/vl=39930113/cl=19/nw=1/rpsv/factbook/data/12-02-01-T01.xls
34
人の移動と高等教育の国際化…国内外国人比率と外国人大学生比率
国内外国人比率と外国人学生比率
25.0
外国出生人口比率
外国籍人口比率
外国人大学生比率
20.0
15.0
10.0
5.0
..
豪州
カナダ フランス ドイツ
イタリア
日本
韓国
スペイン スイス
英国
米国
・外国人人口比率の高い国は外国人大学生比率が高い。
外国籍人口より外国出生人口比率の方が外国人大学生比率と相関が高い。
※「留学生(international students)」データには欠落が多かったため、「外国人大学生(foreign students)」データを
用いた。前者は、大学に留学するために入国した学生を指し、後者は外国籍の学生を指す(OECD定義)。
(出典)OECD Factbook 2007 - Economic, Environmental and Social Statistics; MIGRATION
http://masetto.sourceoecd.org/vl=39930113/cl=19/nw=1/rpsv/factbook/data/12-02-01-T01.xls
OECD Education at a Glance 2006
http://dx.doi.org/10.1787/221673686112
35
人の移動…OECD諸国における高等教育を受けた外国人比率
Foreign-born persons with tertiary attainment
As a percentage of all residents with tertiary attainment, circa 2000
流入
流出
日本は人の流入・流出、ともに少ない。
・豪・カナダ・スイスは多量の高等教育人口を受け入れている。
・英・独は流入・流出が拮抗している。
(出典)OECD Factbook 2007 - Economic, Environmental and Social Statistics; MIGRATION
http://fiordiliji.sourceoecd.org/vl=3581639/cl=21/nw=1/rpsv/factbook/12-03-03-g01.htm
36
人の移動…OECD諸国における外国人の出身地域
Foreign-born population by region of origin
As a percentage of total foreign-born population, aged 15 and above, circa 2000
日本における外国人の8割はアジア系で、日本は「アジアの国」であると言える。
・仏・ポルトガル・ベルギーには、アフリカ系外国人が多い。
・英・カナダ・NZ・豪・ノルウェー・デンマークは、アジア系外国人が比較的多い。
(出典)OECD Factbook 2007 - Economic, Environmental and Social Statistics; MIGRATION
http://puck.sourceoecd.org/vl=33578271/cl=13/nw=1/rpsv/factbook/12-02-02-g01.htm
37
7.世界における留学生の動向
† 世界の留学生人口は急速に拡大している。
† 2005年現在で250万人弱の留学生数が、2020年には580万人となる見通し。
† アジア(特に、中国・インド)からの留学生が拡大している。
† 留学生の7割は、米・英・豪・独・仏・日の主要先進国に留学している。
† 英語圏への留学が多く、留学生の44%が米・英・豪の3国に留学している。
2020年には
580万人?
世界における留学生数の推移
留学生の受入国の分布
(2005)
3000000
2500000
250万人
不明
オセアニア
南米
北米
アフリカ
欧州
アジア
国内留学
2000000
1500000
1000000
500000
0
1999
2000
2001
2002
2003
2004
その他
24%
米国
2 3%
南ア
2%
ロシア
4%
日本
5% 仏
10%
英国
13 %
豪州
独 8%
11%
2005
(出典)UNESCO Institute for Statistics
Table 17: Inbound mobility rate, female percentage, and sums of internationally mobile students in tertiary education 38
by host country and continent of origin
Table 18: International flows of mobile students at the tertiary level (ISCED 5 and 6)
留学生…主要受入国における留学生の分布
留学生受入状況 (出身地域別) (2005年)
700000
600000
出身地域
不明
オセアニア
南米
北米
アフリカ
欧州
アジア
国内留学
500000
400000
300000
200000
100000
ダ
オ
ラ
ン
ダ
イ
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ア
ス
ペ
イ
ン
カ
ナ
州
豪
イ
ス
ス
イ
ツ
ド
ス
ラ
ン
国
フ
英
国
米
日
本
0
受入国
(出典)UNESCO Institute for Statistics
Table 17: Inbound mobility rate, female percentage, and sums of internationally mobile students in tertiary education 39
by host country and continent of origin
留学生…中国人・インド人留学生の推移
中国
世界における中国人留学生の推移
37万人
400000
350000
その他
韓国
マカオ
仏
ニュージーランド
独
豪州
英国
日本
米国
300000
250000
200000
150000
100000
50000
インド
2000
2001
2002
2003
2004
2005
世界におけるインド人留学生の推移
14万人
140000
120000
100000
その他
ウクライナ
カザフスタン
ニュージーランド
独
英国
豪州
米国
80000
60000
40000
ニュージーランド
6%
独
7%
豪州
11%
日本
22%
英国
14%
世界におけるインド人留学生の分布
(2005)
0
1999
世界における中国人留学生の分布
(2005)
その他
マカオ 韓国 6%
米国
仏 3%
2%
25%
4%
ニュージーランド
1%
ウクライナ
カザフスタン
1% その他
4%
1%
独
3%
英国
12%
豪州
16%
20000
米国
62%
0
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
(出典)UNESCO Institute for Statistics
Table 18: International flows of mobile students at the tertiary level (ISCED 5 and 6)
40
学生交流(米国)…米国学生の短期留学 (留学先別)
米国学生の短期留学の推移 (留学先地域別)
200000
150000
100000
50000
その他
オセアニア
北米
中東
南米
欧州
アジア
アフリカ
米国学生の短期留学の推移 (留学先国別)
200,000
150,000
19
93
/9
19 4
94
/9
19 5
95
/9
19 6
96
/9
19 7
97
/9
19 8
98
/9
19 9
99
/0
20 0
00
/0
20 1
01
/0
20 2
02
/0
20 3
03
/0
20 4
04
/0
5
0
100,000
50,000
20
04
/0
5
20
03
/0
4
20
02
/0
3
20
01
/0
2
20
00
/0
1
19
99
/0
0
19
98
/9
9
0
その他
日本
コスタリカ
アイルランド
中国
ドイツ
メキシコ
豪州
フランス
スペイン
イタリア
英国
短期留学をする米国学生は年々増加傾向にあり、
2004年度には20万人強の学生が留学をしている。多くは欧州に留学する。
特に英語圏である英国・豪州や、ラテン系の伊・西・仏・メキシコなどへの留学が多い。
(出典) Open Doors, US Study Abroad
(http://opendoors.iienetwork.org/?p=89216)
41
学生交流(米国)…米国学生の短期留学 (専攻分野別)
米国学生の短期留学の推移 (専攻分野別)
200000
150000
100000
50000
19
93
/
19 94
94
/
19 95
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/
19 96
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/9
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/
19 99
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/
20 00
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/
20 01
01
/
20 02
02
/
20 03
03
/
20 04
04
/0
5
0
ダブル・メジャー
農学
数学・情報
工学
不明
健康科学
教育学
物理学
言語
芸術
その他
MBA
人文
社会科学
人文・社会科学
短期留学する米国学生の専攻分野は、文系が7割以上を占める。
(出典) Open Doors, US Study Abroad
(http://opendoors.iienetwork.org/?p=89218)
42
学生交流(米国)…米国学生の短期留学 (留学期間・学年別)
米国学生の短期留学の推移 (留学期間別)
200000
150000
100000
50000
1年
その他
2四半期
1四半期
冬学期
1学年
8週間以内
夏期
1学期
米国学生の短期留学の推移 (学年別)
200000
19
93
/9
19 4
94
/9
19 5
95
/9
19 6
96
/9
19 7
97
/9
19 8
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/9
19 9
99
/0
20 0
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/0
20 1
01
/0
20 2
02
/0
20 3
03
/0
20 4
04
/0
5
0
150000
100000
50000
その他
研究生
大学院(不明)
専門職
博士
修士
学部生(不明)
4年生
3年生
2年生
1年生
19
93
/
19 94
94
/
19 95
95
/
19 96
96
/
19 97
97
/
19 98
98
/
19 99
99
/
20 00
00
/
20 01
01
/
20 02
02
/
20 03
03
/
20 04
04
/0
5
0
半年以内の短期留学が9割以上を占める。
また、学部学生の留学が9割近くを占め、特に第3年次の学生の留学が多い。
(出典) Open Doors, US Study Abroad
(http://opendoors.iienetwork.org/?p=89222)
43
学生交流(欧州)…エラスムス計画による国際交流
エラスムス計画(学生交流)
1987/88 – 2004/05
14万人
従来、一国あるいは大学レベルでは
予算の付きにくかった人の交流にEUの予算
が付いたことから、
一気に人の移動と「大学の国際化」が
加速した。
エラスムス計画に基づく学生交流の現状 (2004/05)
学生受入
エラスムス計画予算 (2006年度)
314.6 億円相当
教員交流
27.5 億円相当
組織交流
39.5 億円相当
2.2 億円相当
計
383.8 億円相当
イタリア
英国
ドイツ
フランス
スペイン
エラスムス集中語学コース
ポーランド
学生交流
学生派遣
(出典) Universities UK (http://bookshop.universitiesuk.ac.uk/downloads/Intl_perspectives.pdf )
(出典) European Commission, Education and Training
(http://ec.europa.eu/education/programmes/socrates/erasmus/stat_en.html)
44
学生交流(日本)…協定等に基づく日本人学生の海外派遣(派遣先別)
H17年度・協定等に基づく日本人学生の海外派遣
(派遣地域別)
ヨーロッパ
24%
アジア
23%
協定等に基づく日本人学生の海外派遣
(派遣先別)
中近東
0%
アフリカ
0%
中南米
1%
その他
スペイン
アメリカ
ドイツ
フランス
ニュージーラ
ンド
韓国
オセアニア
16%
オーストラリア
カナダ
イギリス
中国
北米
36%
半数以上の学生が英語圏である北米・オセアニアに留学する。
欧州・アジアへの留学者はそれぞれ全体の1/4程度である。
アジアに留学する学生は中国・韓国に主に留学する。
(出典) (独)日本学生支援機構(JASSO)・H18年度協定等に基づく日本人学生の海外派遣状況
(http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data06_s.html)
45
学生交流(日本)…協定等に基づく日本人学生の海外派遣(専攻分野別)
H17年度・協定等に基づく日本人学生の海外派遣
(専攻分野別)
社会
人文
人文
社会
理学
工学
農学
保健
家政
教育
芸術
その他
短期留学する学生の3/4は人文・社会科学系の専攻である。
特に、人文系の留学者が全体の6割を占める。
(出典) (独)日本学生支援機構(JASSO)・H18年度協定等に基づく日本人学生の海外派遣状況
(http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data06_s.html)
46
人の移動と高等教育の国際化
† 一国における「外国人の割合」と、「高等教育の国
際化」の程度には強い相関関係がある。
† 人の移動には、
„ 言語(特に英語)
„ 地理的近接性
が、大きく影響する。
† 短期留学で流動性が高いのは文系の学生である。
47
Ⅰ.世界の有力大学の国際化の動向
Ⅱ.人の移動と高等教育の国際化
Ⅲ.世界の有力大学の分析
Ⅳ.まとめ:
グローバル化の波の中の国際化の争点
48
世界の有力大学…人員規模
† 世界の国立および州立大学は学生規模が大きい。
† 米国の私立大学は総じて規模が小さい。
世界の有力大学の人員規模 (学生数-教員数)
(人)
3,000
東京大学
2,500
教員数
2,000
Yale
1,500
Stanford
ANU
SNU
NUS
UCB
Cambridge
Oxford
Harvard
1,000
MIT
500
ETHZ
0
0
5,000
10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000
学生数 (学部+大学院)
(人)
49
世界の有力大学…学部生:大学院生比率
† 世界の国立および州立大学は学部の規模が大きい。
† 米国の私立大学は規模が小さく、かつ、大学院の比重が高い。
大学院生
学部生
世界の有力大学の学生の構成 (学部・大学院別)
(人)
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
世界の有力大学の学生構成 (学部:大学院)
0
大学院生
学部生
100%
50%
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0%
50
世界の有力大学…大学院生の分布(研究者養成系・専門職系別)
† 世界の有力大学の大学院の多くは研究者養成系の比重が高い。
† ハーバード大学、イエール大学は専門職大学院の比重が極めて高い。
14,000
専門職系 … professionally oriented
12,000
研究者養成系 … academically oriented
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
Ca
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京
大
学
-
51
世界の有力大学…教員と大学院生の学問分野別分布
† 東京大学とOxford大学の教員と大学院生の学問分野別分布は類似して
いる。
† 米国の有力私立大学の教員・大学院生の分布はアンバランスである。教
員は医学系が多く、学生は専門職大学院の学生が多い。
(人)
世界の有力大学の教員の分布 (分野別)
3000
(人)
世界の有力大学の大学院生の分布 (分野別)
その他
医薬・公衆衛生
学際・情報・環境
農
理工
芸術・神学
教育
ビジネス・公共政策
法
人文社会
教養
その他
14000
医薬・公衆衛生
学際・情報・環境
12000
農
理工
芸術・神学
10000
教育
公共・ビジネス
8000
法
人文社会
6000
教養
2500
2000
1500
1000
4000
500
2000
SN
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東
京
大
学
東
京
大
学
0
0
52
世界の有力大学…卒業生の進路
† 東京大学は学部からの大学院進学率が5割以上と高い。
† 修士課程修了後の博士課程進学者と「技術・研究」関係に就職する者は
合わせて7割以上いる。
† 東京大学は「研究者養成型」の色彩が強い(といえるか?)。
(人)
7000
学部学生の大学院進学率
世界の有力大学の学士課程卒業者の進学率
学士課程
卒業者数
進学者数
6000
進学率
5000
修士課程修了者の進路
進学率
100%
東京大学
90%
80%
70%
MIT
修士課程卒業者数
3003
博士課程進学者数
981
33%
141
10%
1585
53%
801
55%
1110
(70%)
497
(62%)
304
(38%)
1467
60%
4000
50%
3000
2000
40%
技術・研究
30%
金融・コンサル
20%
一般職
1000
0
東京大学
UCB
Stanford
MIT
Yale
Cambridge Oxford
就職者数
10%
不明者数
0%
(再掲)博士課程進学者
+「技術・研究」就職者
475
(30%)
-
437
15%
525
36%
2091
70%
638
43%
53
世界の有力大学…1教員あたりの学生数(学部・大学院別)
† 米国の私立の有力大学は(専門職)大学院の負担が大きい。
† 世界の公立の有力大学は学部の教育負担が大きい。
(人)
世界の有力大学の1教員あたりの学生数
(学部・大学院別)
大学院生/教員
15.0
Harvard
10.0
MIT
UCB
東京大学
OxfordSNU
Stanford
5.0
Cambridge
Yale
NUS
ANU
0.0
0.0
5.0
10.0
学部生/教員
15.0
(人)
54
世界の有力大学…教職員と学生の比率
† 米国の私立の有力大学は1教職員あたりの学生数が1.5名と負担
が低い。
† 世界の国立および州立大学は1教職員あたりの教育負担が重い。
アジアの大学は特に負担が大きい。
(学生/
教職員比)
8.0
世界の有力大学の人員構成: 教職員と学生の規模と構成比
(人)
教職員
7.0
30,000
学生
(学部・大学院)
学生/教職員比
6.0
5.0
20,000
4.0
3.0
10,000
2.0
1.5
1.0
U
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京
大
東
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B
0.0
学
0
55
世界の有力大学…教職員の構成
† 欧米の大学は1教員あたりの支援スタッフ(職員+アカデミックス
タッフ)が4名以上と多い。
† アジアの大学は少ない(東大は2.2名)。
職員
アカデミックスタッフ(AS)
教員
(AS+職員)/教員
世界の有力大学の教職員の構成
(人)
(AS+職員)
/教員比
18.0
16,000
16.0
14.0
12,000
100%
12.0
80%
8,000
10.0
8.0
60%
6.0
40%
4,000
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東
京
St
an
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0.0
UC
B
00%
大
学
20%
4.0
3.0
2.0
56
世界の有力大学…年間収入
† 米国の私立大学の基金運用益の規模は大きい。
† この基金運用益を除くと、世界の有力大学の予算規模は同程
度である。
4000
(億円相当)
(100mil. YEN)
3500
・その他
・基金運用益等
3000
・寄付金収入
2500
基金運用益
・研究助成等収入
2000
・授業料
1500
・政府機関補助
1000
500
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東
京
大
学
0
57
世界の有力大学の特質
† 世界の国立・州立大学
„ 国民・州民の高等教育
を担うために設置
† (特に学部の)
「教育機能」が大き
い
„ 国・州の研究機能(競
争力)を担う役割
† 基礎研究など「研究
者養成系」の学問
領域
† 米国の私立大学
„ 経営的視点が強い。
† 授業料収入
† 卒業後の寄付、社会
における影響力が期
待できる人材を輩出
„ 専門職大学院
„ ミッドキャリア養成
† 大学基金
58
(参考)ハーバード大学の運営構造(イメージ)
ハーバード大学
ハーバード・ブランド
大学基金
PhD対象
・授業料
・奨学金
・運営費
(大学院)
Graduate
School of
Arts & Science
(GSAS)
大学院生の
教育活動
授業料収入
(運営費)
独立採算
(専門職
(専門職
大学院)
大学院)
Professional Professional
School
School
Law School
MBA
Kennedy School
Medical School
School of Education
:
:
卒業生
(学部) ハーバード・カレッジ
59
Ⅰ.世界の有力大学の国際化の動向
Ⅱ.人の移動と高等教育の国際化
Ⅲ.世界の有力大学の分析
Ⅳ.まとめ:
グローバル化の波の中の国際化の争点
60
世界の大学改革の進行
大学改革
大学の管理運営体制の近代化
高等教育財政改革
社会への説明責任の強化
市場原理の導入
「社会の期待に
応える大学」
社会からの
要請
高等教育制度改革・・・
† 大学改革:
„ 「大学の自治」を越えて、大学の運営を社会の要請に応える
大学へと変革していく動き
„ 21世紀の大学が社会との連携、社会の要請への対応を通じ
てのみ、存続できるようになってきた現状を反映
61
「取組主体」別に見た「大学の国際化」
国 民、 各種機関、 政 府
一般の
社会
圧力
本部
大学経営
学術の
世界
「国際競争力の強化」
「国際教育」
「財政面」への圧力
大学間協定
圧力
本部
大学経営
部局
部局
部局運営、学術の推進
部局運営、学術の推進
教員
教員
学術の推進
大学A
学術交流
国際連携
学術の推進
大学B
「大学本部」は、社会とのインターフェースになっている。
62
「大学の国際化」はどうして世界で大流行することになったのか?
† 「大学の国際化」もまた、社会からの要請に応える一つの動
きであり、大学改革と同様に、大学が必然性をもって取り組
まなければならない課題となっている。
† これに伴い、これまでと異なり、国際交流の主体が教員・部
局から、大学経営層(本部)に移行してきている。
† 社会からの要求:
„ 世界大学ランキング等による「国際競争力強化」の要求
„ 国内の「国際化」の進行による、大学の「教育の国際化」への要求
„ (財政運営面からの要求)
63
世界の有力大学にとっての国際化とは…
† 世界の有力大学への(国内)社会からの要求:
„ (一国内ではなく)世界の中の最高峰の大学であること
† この社会からの要求に応えられないと、自らの存続意義を十
分に説明できなくなり、以下の3点に支障をきたすこととなる。
„ 資金獲得面
„ 人材獲得面
„ 学術水準の維持・向上
† 世界の有力大学にとっての国際化:
„ 国内における自らの存続維持のための、国内から世界競
争への転換
64
世界の有力大学にとっての
グローバル化の波の中の国際化の争点:
† 世界の有力大学にとってのグローバル化:
„ 世界の有力大学との競争を促す触媒
国際化
„ 世界から優れた人材、資金、影響力を獲得し、
さらに飛躍できる好機
国 内
(グローバル化)
世 界
世界最高峰の大学
国内最高峰の大学
情報の流通
国内の最優秀人材の獲得
国内の資金獲得
国内の政治・経済・社会への影響力
人の移動
財の流通
世界の最優秀人材の獲得
世界の資金獲得
世界の政治・経済・社会への影響力
65
さいごに…
† 東京大学国際連携本部ホームページ
„ 海外大学等の情報
1. 海外大学基本情報
2. 海外大学等の国際化の動向
3. 海外大学等調査報告(学内のみ)
(http://dir.u-tokyo.ac.jp/kaigai/index.html)
Thank You!
66
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