...

義務論理体系と真理様相論理体系の関連

by user

on
Category: Documents
11

views

Report

Comments

Transcript

義務論理体系と真理様相論理体系の関連
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 49巻
第
1号
(1998)
義務論理体系 と真理様相論理体系 の関連
田
畑
博
敏
はじめに
I.ス マ イ リー・ ハ ンソン型単項義務論理体系
Sl.言 語,お よび証明論・ 意味論
S2.ス マ イ リー・ ハ ンソン型体系の意味論的健全性 と完全性
H.真 理様相論理 による単頂義務論理の表現
S3.真 理様相論理
§4.真 理様相体系 の意 味論的健全性 と完全性
§5.K体 系 での義務様相断片 の分離
は じめ に
本論文 は,ス マ イ リー・ハ ンソン型 と呼 ばれ る (Aqvist[1984,87])単 項義務命題論理体系の基
本的性質 ,特 に真理様相論理体系 (義 務論理 との比 較 で通常の様相論理 を真理様相論理 と呼 ぶ)と
の形式 的な関連 に関す るサ ー ヴ ェイを意図す る。 フォ ン・ ウ リク ト以来 ,義 務論理 は真理様相論理
の類比物 と見 なされて い るが,他 方でア ンダー ソンによって,義 務論理 を真理様相論理 に還元す る
研究 が始 め られた (Anderson[1958])。 ア ンダー ソン流のや り方で は,例 えば定項 Sを 持 つ様相論
理 を考 え,「 義務」「許可」「禁止」の各義務演算子 “0"“ P"“ F"を 次 のように定義する
:
OA ⊂)def.□ (¬ A⊃ S),
PA ⇔ def.く 0(A∧ ¬ S),
FA ⊂)def.□ (A⊃ S)。
ここで,Sは ある規範体系 における何 らかの「制裁」「処罰」 を意味す ると考 えられ る。 こうして
,
「Aが 義務的 である」 とは,Aを 無視す ること (Aの 不履行 )が 必然 に制裁ない し罰 を伴 うことを
意味 し,「 Aが 許 されてい るJと は,Aの 実行 と制裁の不在 が両立可能 で ある ことを意味 し,「 Aが
禁 じられて い るJと は,Aの 実行 が必然 に制裁 を伴 うとい う ことに外な らない。われわれ は,Aqvist
[1984,87]に 従 い,こ れ と双対 の形で,「 理想 の道徳的状態Jま たは「最適性」 を意味す る定頂 Qを
導入 して,「 義務」 と「許可」 と「禁止 Jを
OA
PA
⊂)def。
□ (Q⊃ A),
⊂〉
◇ (Q∧ A),
def。
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
FA
⊂)def.□ (Q⊃ ¬ A)
と定義す る (本 論文§3, 5)。 す ると,「 Aが 義務的であるJと は,理 想的・最適 な世界 では必然 に
Aが 成 り立 つ ことを意 味 し,「 Aが 許 されている」とは,最 適 な世界 とAと の両立 が可能である こと
を意 味 し,「 Aが 禁 じられている」とは,最 適 な世界 では必然 にAが 成 り立たな い とい う ことに外 な
らない。 しか し,こ の ような定項 をどのよ うに解釈 して義務論理 の中 に位置 づ けるか とい う ことは
,
義務論理の哲学的合意 を考 える上で大 きな問題 であ り,そ の応用 とも関係 して くるものである。 し
か し,他 方で,形 式的な側面 ,す なわち義務論理が論理 の公理体系 と見 られ,真 理様相論理 との関
連 が 問題 にされるときの論理的・ 数学的な構造の問題 がある。本論文 は,義 務論理の解釈 ない し哲
学的合意の問題 にではな く,形 式的側面 にもっぱら関心 を集中 させ る。
そ こで,本 論文の梗概 は次 のようになる。 まず,準 備 として,今 日標準的 とされるスマ イ リー・
ハ ンソン型単項義務 論理の体系の記述 を行 う。すなわち,言 語 の体系 を
提示 し,い くつかの基本概
を
した
念 定義
後 ,証 粥論 と意味論 を述 べ る (I,Sl)。 ついで,そ れ らの体系の意味論的健全性 と
完全性 を論 じ,証 明の概要 を述 べ る (I,S2)。 次 に,本 論文の目的である,義 務論理体系の真理
様相論理 との関連 に移 るために,真 理様相体系 を記述 し (H,S3),健 全性 と完全性 を論 じる (■
,
S4)。 最後 に,真 理様 相体系の中で,義 務様相体系 を表現 し定理 を分離す るとい う問題 の形で,二
つ の体系の関連 を論 じる (H,§
5)。
スマ イ リー・ ハ ンソン型単項 義務論理体 系
§1.言 語,お よび証明論・ 意味論
1,1
言
語
これか ら,10個 のスマ イ リー・ハ ンソン型の単頂義務論理体系 を記述す るための言語 を定 める
。
1.1,1 アルフ ァベ ッ ト
われわれの言語 のアル フ ァベ ッ トは以下の語彙か らなる
:
(i)命 題文字 (“ PrOp"と 略記す ることが ある):p,q, r,pl,p2,p3,… の可算無限集合。
位)原 始論理結合子 (logical cOnnect es):T(恒 真 ),F(恒 偽 ),¬ (否 定 ),
0(義 務 ),P(許 可 ),A(連 言 ),V(選 言),⊃ (実 質含意 ),=(実 質同値
ti)補 助記号 :(, ) [括 弧]
1.1.2 文 (sentences)ま たは整式 (well formed fOrmulas wffs)
)
われわれの言語 に含 まれ る文の集合Σは,以 下の条件 を満たす最小 の集合 Sと して定義 され る
(a)P■ op中 のすべての命題文字 は Sの 要素である。
:
(b)T, F∈ S
(C)A∈ S
な らば
¬ A,OA,PA∈ S
(d)A,B∈ S
な らば,(A∧ B),(AVB),(A⊃ B),(A≡ B)∈
おける文 は,こ の言語の原子文 (atomic sentences)で ある。
論理結合子 の度数
S。
(a)と (b)に
1,1.3
論理結合子が採 るアーギュメン ト (引 数 )の 数 によって,(複 雑 さの度合 い としての)度 数 を定義
す る。
T,F の度数 は 0で ある。
¬,0,Pの 度数 は 1で ある。
よ
_]
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第 49巻
第
1号 (1998)
61
その他 の結合 子 の度 数 はす べ て 2で あ る。
1,1.4
「禁止」の義務演算子の定義
う一つの表現方法 としては0¬ Aで ある。)
1.1.5 括弧 を省略するための規約
括弧 は以下 の基準 に従 つて省略できる
(1)度 数 1の 結合子は度数 2の 結合子 より強 く結 びつ く。
仙)度 数 2の 結合子のうち,Aと Vは ⊃ と≡ より強 く結 びつ く。
FA⇔ def.¬ PA(も
:
ti, 文全体 を取 り囲む一番外側の括弧は省略できる。
1.2証
明 論
以下の二つ の推論規則 (rules of inference)は ,こ れか ら考察す る10個 のスマ イ リー・ ハ ンソン
型単頂義務論理 のすべ てに共通 である。
主
聖任ド
・ポ
ス
m)塗 二
ウ
ネ冽
巽
≠
偲め浅 ω必
然イ
0
次 に公 理 図式 (a Om achemata)と して以 下 の (AO)― (A7)を 採 る。
(AO)す べ て の真 理 関数 トー トロ ジー (わ れわれ の言語 で表 現 され るか ぎ りで の )
(Al)PA=¬ 0¬ A
(A2)0(A⊃ B)⊃
(A3)OA⊃ PA
(A4)OAD00A
(A5)POA⊃ OA
(A6)0(OA⊃ A)
(A7)0(POA⊃ A)
(OA⊃ OB)
ここで研究 す る10個 の論 理体 系 は,
① OK
② OM
③ OS4
④ OB
⑤ OS5
⑥ OK十
⑦ oM十
③ OS4・
⑨ oB十
⑩ OS5+
と呼ばれる。それらは,上 の 8個 の公理 (正 確 には8種 類の)の どれを採用するかによって,以 下
のように定義 される(た だし,推 論規則Rl,R2は これらすべての論理体系に対 して採られている。
)
OK=AO∼ A2
0M=AO∼ A2,A6
田畑博敏 :義務論理体系と真理様相論理体系の関連
62
OS4=AO∼ A2,A4ぅ A6
0B=AO∼ A2,AC A7
0S5=AO∼ A2,A4,A5(公 理A6と ▲7は 論理OSSで 導出可能である
)
さらに,と をこれ ら 5個 の論理体系 のどれかであ るとする。その とき,
L+=L+A3
と定義す な。
これ ら―
同等 であリー
〕⑥ OK十 は
①∼⑩の10個 の義務論理のうち,①OKは Hanson[1965]の 体系Fと ―
である
に
して
Hansonの
DBと
。それ
,④ OBは
Hansonの 体系Dと ,③ OB・ は
対
体系
,そ れぞれ同等
Hanson[1965]に おいて も,Smiley[1963]に おいても議論 されていない。残│り の 6個 の体系 :
oM,OM+,OS4)OS4キ ,OS5,0鵠 キはSmiley[1963]で 扱わ│れ ている。
1.2.1 証明可台〕陛と無矛盾性
とを,い ま定義された10個 の論理体系の任意のどれかであるとする。そのとき
L証 明可能 (L― provable)な 文の集合 (ま たは二定理の集合)
=def.(i)と の公理図式 のすべての事例が Sの 要素│で あ り,
(1)Sが 規則 Rlと R2の 下 で閉 じてい るような,そ のような最小集合
,
Sσ
と定義す る。われわれ は
,
`FttLA"
と書いて,「 Aが と証明可能である」 ということを表す。 また,
文 の集合 Sが 二矛盾である
仁夢 卜■(Bl∧ …ABれ )⊃ Fと なるBl,… ・,Bn(n≧ 1)が Sの 要素 として存 在す る
,
′
お よび,
文の集合 Sが L無 矛 盾 である
仁〉卜を(BI八 …ハBA)⊃ Fと なるBl,… ,跳 (n≧
1)が Sの 要素 として存在 しない
,
と定義する。さらに,「 文Aが 文の集合 Sか らを導出可能である (ら ■er able)」 ということを
“S卜 LA"と 書いて,次 のように定義する
Sト ユ ⊂〉Su(¬ A}カ ミ
L矛 盾である
明 らかに,
卜L▲ (⇒ φ卜LA
である。すなわち―
,L証 明可能な文は,空 集合か らL導 出可能である文 に外ならない。
,
:
.。
1.3意
味 論
'
1.3.1モ デ ル
モデル (mOdel)に よって,わ れわれ は以下 の条件 を満たす順序三組 :易 こ く
W,R,V)を 意味
する。その条件は
(i)Wは 非空の集合 (直 観的には「可能世界」 lpossible worlds)ま たは「可能状況J(posSible
,
situatioヽ )の 集合 )
(1)R⊂ WXWiW上
の 2項 関係 (直 観的 。
発見的意味 としては,「 義務的代替性」 (deOlltic alter.
nttiveness)ま たは「義務的共可能性」 (deFltiC Co― permisubility)の 関係 である)
llill Vは 付値関数 であり,各 順序対 (p,文 )に 真理値 1(真 )ま たは 0(偽)を 配分す る (た
だ し,pは 命超文 字 であ り,X― ∈W)。 す なわち
,
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第 49巻
V I PrOp×
第
1号 (1998)
63
W→ (1, 0)
1,3.2 真 理 条 件
「行為 の義務的評価 が定 まるのは可能状況 に依存 す る」 とい う考 え方 を盛 り込 んだ意味論 を構
モ
成す るために,そ の基礎である真理条件 を帰納的に定義す る。易 =〈 W,R,V〉 を任意 の
デル とし,Xを Wの 任意 の要素 (す なわち任意 の可能状況),A∈ Σとす る。文 Aが モ デル易の
可能状況 Xに お いて真 である ことの条件 を,文 Aの 長 さに関 して帰納的 に定義す る。
pに 対 して)
あ卜xpぐ ⇒ V(p, X)=1。 (p∈ Propで ある任意 の
易
・ xT。
「
易〆xF.
易卜x¬ A(⇒ 易/xA.
易 卜 x OA(⇒ (Vy∈ W)(xRyΞ ⇒ 易
・ yA)。
「
易 卜 xPA(⇒
(ヨ
y∈ W)(XRy&易 卜 yA).
B)⊂)易 卜xA & 易「 Ex B.
易 卜x(AVB)仁 )易 卜xA or 易卜xB.
易
「 Ex(A⊃ B)(⇒ 易卜xA ⇒ 易 FEx B.
易卜x(A=B)ぐ⇒ (易 卜XA(⇒ 易 卜xB).
「す べ て」「存
こで,/,(V),(∃ ),⇒ ,&,Or,(⇒ はそれぞれ,メ タ言語での「…ない」
易 卜x(A∧
(こ
在す る」「な らば」「かつ」「また は」「
1.3.3 モ デル におけるRに 関す る条件
。
中の ときその ときのみ…」 を表す。)
上記 5個 の公理図式A3∼ A7に 対応 して,わ れわれはいま,モ デルにお ける関係 Rに 課す五つの条
件 を挙 げる (変 項 “X",“ y",“ Z"は wを 定義域 とす る)。
(R3) Rは Wで 連続的である (serial):(Vx)(ヨ y)xRy。
(R4) Rは Wで 推移的である (transitive):(Vx)(Vy)(Vz)(xRy&yRzE⇒ xRz)。
(R5) Rは Wで ユーク リッド的 で あ る (euclidean):(Vx)(Vy)(V5)(xRy&xRzΞ ⇒
yRz)。
(R6) Rは Wで ほ とん ど反射的である (almost reflexive):(Vx)(Vy)(xRyE⇒ yRy)。
(R7) Rは Wで ほ とん ど対称的 (almOst symmetric):(Vx)(Vy)(Vz)(xRy&yRzΞ ⇒
zRy)。
1.3.4 モ デルの分類
さて,わ れわれは,す べ てのモ デルの集合 をい くつかの種類 に下位分類 す るために,い ま挙 げた
Rに 課 せ られた制限を利用す る。
OKモ デルのクラス =す べ てのモ デルのクラス (Rに はいか なる条件 も課 さない)。
OMモ デルのクラス =ほ とん ど反射的な Rを 持 つすべ てのモ デルのクラス。
OS4モ デルの クラス =推 移的 で,ほ とん ど反射的な Rを 持 つすべ てのモ デルのクラス。
OBモ デルの クラス =ほ とん ど対称的 でほ とん ど反射的 な Rを 持 つすべ てのクラス。
OS5モ デルのクラス =ユ ーク リッド的 かつ推移的 な Rを 持 つすべ てのクラス。
OK+モ デルのクラス =連 続的 な Rを 持 つすべ てのモ デルのクラス。
OM十 モ デルのクラス =連 続的でほ とん ど反射的な Rを 持 つすべ てのモ デルのクラス。
OS41モ デルのクラス =連 続的 で推移的 でほ とん ど反射的な Rを 持 つす べ てのモ デルの クラ
ス。
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
OB■ モ デルの クラス =連 続的 でほとん ど対称的 で ほ とん ど反射的な Rを 持 つすべ て のモ デル
のクラス。
OS5+モ デルのクラス =連 続 的 で ユー ク リッド的か つ推移的 な Rを 持 つす べ ての モ デルの ク
ラス。
これ らの定義 において,関 係 Rに 課せ られる条件 は,常 に可能世界 の集合Wに 相対的である,と
理解する。例 えば,「 連続的である」 とは「Wに おいて連続的である とい う意味である。
1.3.5 妥当性 と充足可能性
とを10個 の体系
.」
:
0吼 OM, OS4, OB, OS5,-OK+, OM十 , Os4■ , OB+, OS5+,
のうちの一つ とす る。われわれ は
文 Aが L妥 当 であ る (L valid)
,
⇔
卜LA
⇔
す べ て のLモ デ ル 易 での ,す べ ての X∈ Wに 対 して易
「 ExA
と定 義 す る。 また
,
文 の集合 Sが L充 足 可能 で あ る (LTsatisfiable)
⇔
(ヨ 劾
(ヨ x)[易 はLモ デ ル で あ る
&X∈ W&(VA)(A∈ S⇒ ―
あ
「 ExA)]
と定義 す る。 明 らか に
,
卜LA ⇔ 単元集合 (¬ A)が L充 足可能でない。
ここで,わ れわれは,(証 明論的)導 出可能性の概念 と平行的な意味論的概念を導入で きる
文Aが 意味論的 に文 の集合 Sに よつてL内 含 される (L一 entailed)
⇔
〈
∋
:
S ttLA
Su{¬ A}が L充足可能でない。
この とき,
φ卜LA(“ φ"は 空集合 を表す)。
このようにして,10個 の義務論理体系の証明論 と意味論が与 えられるとき,こ れらが基本的な性
質 としての (意 味論的)健 全性 と完全性を持つ ことを示す必要が│あ る。 これは次の節で行 う。
rrLA ⇔
s2.ス マイ リー・ハ ンソン型体系の意味論的健全性 と完全性
2.1 健全性定理
とを体系OK,OM,OS4,OB,OS5,OK十 ,OMI,OS4■ ,OB十 ,Os5+の うちの一つ とする。そ
のとき,す べてのA∈ Σにつ き
卜LA⇒ 卜LA,
換言すれば,す べてのL証 明可能な文 はL妥 当である。
,
《
証明》 触 略)
各体系とに対 して,わ れわれは
(i)と のすべての公理図式 のすべての実例 がL妥 当であること
( )規 則Rlと R2が L妥 当性 を前提か ら
結論へ と伝 えること
を示さねばなち ない。 その とき,わ れわれは証明の長 さに関す る数学的帰納法 によって
,
,
,
,
卜とA⇒ 卜LA
であることを確かめることができる。 これを行 うことは面倒であるがルーテ ィンで ある。よって
,
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 49巻
第
1号 (1998)
65
例示 によって証明 に代 える。
[例 ]A5:POA⊃ OAの すべ ての実例 が実際 にOS5妥 当である, とい う ことをチ ェ ックした い とし
よう。 その とき,そ うでな い と仮定す る。す なわち,あ るOS5モ デル易 =〈 W,R,V〉 で,あ る世
界 X∈ Wに 対 して
,
(1)易 卜xPOA⊃ OAが 成 り立たない
ような文 Aが 存在す る, と仮定す る。 ⊃,¬ ,0,Pの 真理条件 によって,(1)よ り
(2)易 卜xPOA & 易 卜xP¬ A,
が導かれ る。Pの 真理条件 を適用することによって,わ れわれは12)か ら
(31(ヨ y∈ W)[xRy & 易 卜yOA]
,
および
,
(4)(ヨ Z∈ W)[xRz & 易「 IZ¬ A]
が導かれ る。 ここで,易 はOS5モ デルで あ り,Rは Wで ユー クリッド的 であるか ら
(5)yRz(・ (3)と (4)よ りxRy&xRz)
を得 る。(3)で の易 卜yOAに 対 して0の 真理条件 を適用 して,低 )よ り
(0 易卜zA
を得 る。 これは他)と 矛盾す る。 とい うのは,(4)か ら,¬ の真理条件 によ り
(D 易/zA
であり,こ れは0と 矛盾するからである。
,
.・
,
(Q.E.D。
2.1.1
)
系
Lを これ まで通 り10個 の論理体系の一つ とし,Scを 任意 の文 の集合 とせ よ。 その とき
,
Sが L充 足可能である⇒ Sは L無 矛盾 である。
証明》
《
背理法 による。そ うでない,す なわち,Sが L充 足可能であるにも関わ らず,Sが L無 矛盾でない
とせ よ。 その とき,L矛 盾性 (L― inconsistency)の 定義 によって,あ る文 Bl,B2,中 ●
,Bnが Sの 中
に存在 して
卜L(Bl∧
,
∧Bn)⊃ F.
これか ら健全性定理 により
卜L(Bl∧ … ∧Bn)⊃ F.
・
,
このと妥当性 は,Sが L充 足可能 であることによって保証 されるあるモデル易,そ の中 のある世界 X
∈Wに 対 して
,
易 卜xBl∧ … A Bn⊃ F
かつ
易卜xBI∧ … ∧Bn
を導 く。 よって,⊃ の真理条件 よ り
易 卜xF,
,
で ある。 しか し,こ れ は Fの 真理条件 と矛盾す る。
(Q.E.D。
2.2
完全 性定理
完全‖
生定理 :ヴ ァー ジ ョン I (強 い 完全 性 )
とを10個 の義務体 系 の どれか と し,S⊂ Σとす る。 その とき,
)
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
Sが L無 矛盾 な らば,Sは L充 足可能 である。
完全性定理 :ヴ ァージ ョンH(弱 い完全性 )
Lを 10個 の体系 の どれか とし,A∈ Σとす る。 その とき
「 ELA=⇒ 卜LA。
,
,L妥 当な文 はすべてL証 明可能である。
(言 い換 えると
)
証明の準備》
《
まず最初 に,弱 いヴァージョンがいかにして強 いヴァージョンの系 として得 られるか,を 見 る。
(背 理法による。
)強 いヴァージョンは前提 した上で,弱 いヴァージョンに反 して,あ る文 Aに 対 し
て,卜 LA,し かし,/LAと 仮定す る。その とき,(¬ A}は L無 矛盾である。 (さ もなければ,(¬ A)
卜LF,よ って卜上¬A⊃ F,ゆ えに卜LA。 しか し,わ れわれは/LAと 仮定 していた。
)従 つて,強
いヴァージョンによ り,(¬ A)は 上充足可能 である。つま り,あ るLモ デル易 と,そ こでのある世
界 X∈ Wが 存在 して,易 卜x¬ A。 よって,易 /xA。 これは,「
・ LAと い う仮定 に矛盾す る。
こうして,完 全性定理のヴァージョン Iを 確立することにわれわれの努力を集中する ことが正当
化 される。 そこで,わ れわれは,以 下の定義 と補題 に注目す ることか ら始める。
2.21 文のL飽 和 (L極 大無矛盾)集 合の定義
Lを 10個 の論理体系のどれかであるとする。 また,Xを ,X二 Sで ある文の集合 とする。その と
き
,
Xが と飽不口して tヽ る (L― saturated)
⇔ (i)Xは L無 矛 盾 で あ り
(1)各 文 Aに つ き,A∈ Xま た は¬ A∈ Xで あ る。
,
と定 義 す る。
22.2 L飽 和集 合 に関 す る補 題
Xを ,文 の飽 和 集 合 とす る。 その とき,以 下 の補題 が成 り立 つ
(i)す べ て のL証 明可能 な文 が Xに 含 まれ る。
(
)Xは
モ ドゥス 。ポネ ンス に関 して閉 じて い る。 す なわ ち
(VA,B∈ Σ)(A∈ X&A⊃
ti)T∈
B∈
X⇒
B∈
:
,
X)。
X。
livl F/X。
(v)¬ A∈ X(⇒ A〆 X。 │
lv, AAB∈ X(⇒ A∈ X&B∈ X。
lvI, AVB∈ X(⇒ A∈ X or B∈ X。
,的 A⊃ B∈ X(⇒ A∈ X⇒ B∈ X
txl A≡ B∈ X(⇒ (A∈ X(⇒ B∈ X)
証明》略(1七
《
2.2.3 リンデンバ ウムの補題
(と が10個 の体系のどれかであるとき)任 意 のと無矛盾な文の集合 Xは , X⊂ x+で あるようなL飽
和 した集合x+に 拡大できる。
《
証明》 略②。
2.2.4 メイキンソンの補題
とを10個 の論理体系のどれかであるとし,Xを ,任 意のと飽和 した文の集合 とする。Aを ,¬ OA
鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会科学 第 49巻
Xで あ る よ う な ,任 意 の 文
き,XAは L無 矛盾 である。
∈
とす る 。 そ し て ,XA=(B∈
Σ
1号 (1998)
第
:OB∈ X}∪
67
(¬ A}と す る 。 そ の と
証明》 0
《
n(n≧ o)が 存在 し,か つその
背理法 による。xAが L無 矛盾 でない と仮定 す る。 その とき,あ る
Xで
あり
nに 対 して,各 i(1≦ i≦ n)に つ き,OBi∈
,
卜L(Bl∧・…∧Bn∧ ¬ A)⊃ F
べ
であるような,文 Bl,… ,Bn(n≧ 0)が 存在す る。公理図式AO(ト ー トロ ジー)が す てとに含
まれ るか ら, トー トロ ジー変形 により
卜と(Bl∧ ・…∧Bn)⊃ A… … (*)。
ここか ら矛盾が導 かれ ることを,nに ついての数学的帰納法 で示す。
(1)最 初 に,n=oの 場合 を考 える。 これは,(*)で ,卜 LAで ある場合 である。 その とき,す
,
べ てのとに共通な規則 R2(0必 然化 )に よって,卜 LOAで ある。 これか ら,飽和集合 の補題(i)
により,OA∈ X。 ところが,仮 定 により¬OA∈ X。 よって,Xは L矛 盾 となる。 これ は,Xが
飽和集合 であ り,そ れゆえL無 矛盾 であるとい う仮定 と矛盾す る。
(1)次 に,n≧ 1の 場合 を考 える。 卜L(BI∧ …∧Bn)⊃ Aで あるか ら,公 理図式 AOの 下 で, トー
・)。 それゆえ,R2と こより,卜 LO[Bl⊃ (B2
トロ ジー とRlに より,卜 LBl⊃ (B2⊃ … (BnD A)・ ・
R2,お よ
⊃…。
(Bn⊃ A)… )]。 よつて,(わ れわれの体系Lの すべ てに共通 な公理図式A2と 規則
び適当な トー トロジー (AO)を n回 用 いて
・ (OBn⊃ OA)中 ●
)
卜LOBl⊃ (OB2⊃ …
,
を得 る。 これ より,L飽 和集合 に関す る補題(i)に よって
・ (OBn⊃ OA)… ・)∈ X。
OBID (OB2⊃ …
,
ところが ,各 OBi∈
OA∈
X,そ れゆえ,再 びL飽 和集合 に関す る補題(Dを 用 いて
,
X。
こうして,OAと ¬OAが ともに Xに 含 まれ るか ら,Xは L矛 盾 である。 これは仮定 と矛盾す る。
(Q.E.D。
2.2.5
)
キ ャノニカルLモ デルの定義
とをわれわれ の10個 の論理体系の どれかである とし,Sを 任意 のL無 矛盾な文 の集合 とす る。す る
と, リンデ ンバ ウムの補題 により,Sの L飽 和拡大S十 (s⊂ s十 )が 存在す る。その とき,Sに よ り
生成 されたキャノニ カルとモデル (canonical L― model)を ,構造
:
易L=〈 Wと , Rと , VL〉
と定義す る。 ここで
(i)WL=以 下 の条件 を満たす,と 飽和集合 か ら成 る最小の集合族 U
,
(a)S+∈ U
(b)も し X∈ Uか つAが ¬OA∈ Xで あるような文な らば,そ の とき
(XA)十
(こ
∈ u.
こでXAは メイキ ンソンの補題 で定義 された文 の集合 ,す なわち
XA=(B∈ Σ:OB∈ X}∪ (¬ A})
(1)RL=WL上 の二項関係であり,WLの すべてのX,yに 対 して
xRLy(⇒ (VA)(OA∈ X⇒ A∈ y)
,
で あ る もの。
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
tD VL=以 下のように定義 される付値関数
各命題文字 p,各 世界 X∈ Wと に対 して,
:
VL(p,x)=1(⇒
ヽ
p∈ X.
2.2.6
確認補題 (verification lemma)
い ま定義 されたキャノニ カルLモ デル易L=〈 WL,RL,VL〉 はLモ デルで ある。
2.2.7 -致 の補題 (coincidence lemma)
各文 A,お よび上で定義 されたWL中 の各 Xに 対 して
あと洋xA(⇒ A∈ X.
,
われわれは これ ら二つの補題 の証明は後 回 しにして,そ れ らが完全性定理のヴァージ ョン Iを ど
のように導 くか を先 に見 る。
2.2.8 完全性定理 の証明 (ヴ ァージ ョン I)
とを,こ れ まで通 り,10個 の体系 の どれかであるとして,Sを 任意 のL無 矛盾な文 の集合 とす る。
示すべ き ことは, Sが と充足可能 である (L satisfiable)と い う ことで ある。 さて,確 認補題 によ
り,(上 で定義 された)易 Lは Lモ デルである。一致の補題 により,特 に各文 Aに 対 して
,
易
L卜 ぎ A(⇒
A∈
S十
(定 義 に よ り S十 ∈ wL)。
s⊆ s十 で ぁ るか ら A∈ Sで あ るす べ ての文 Aに 対 して
,、
,
とEs十 A
ラ
ら
「
である。言い換えると,Sを 任意のL無 矛盾な文の集合 と仮定することによって,わ れわれは上モデ
ル ,つ ま り易 Lを 作 ったが ,そ れ は,WL中 の あ る世界 X(つ ま りS+)に 対 して ,
(VA∈ S)(易 L「 ExA)
となる。すなわち,わ れわれは,文 の集合 Sが L充 足可能 であることを示 した。
(QE.D.)
さて,確 認補題 と一 致の補題 を確立す ることがで きるためには,あ と一つの補題 が必要 である。
2.2.9 キ ャノニカルLモ デル に対 する飽和補題 (saturatiOn lemma for canonical L― models)
L:10個 の体系 の どれか
S:L無 矛盾 な,文 の任意集合
あと=〈 Wと ,Rと ,VL〉 とす る。
その とき,Wと は,す べ て の文 Aと WL中 のす べ ての世 界 Xに 対 して,以 下 の性 質 を持 つ
(1)OA∈ X⇔ (Vy∈ WL)(XRLy⇒ A∈ y)
(ii)PA∈ X⇔ (∃ y∈ WL)(XRLy&A∈ y).
,
:
《
証明》
(i)に
対 して
:
の部分 は容易である。任意 の X,y∈ wLに 対 して
X…
… ……… ………………………………仮定
1.OA∈
(=⇒ ):こ
,
2.xRLy・ …… ………… … …… … … … ……… ……仮定
その とき
,
3.(VB)(OB∈ X三 ⇒ B∈ y)… ……………………・2か らR上 の定義 により
4.A∈ y… … …… … … …… … … … … …… … …1, 3,普 遍例化,モ ドゥス・ ポネンス
5.OA∈ X⇒ (xRLyこ ⇒ A∈ y) ……………… 1∼ 4,条 件化規則, 1, 2を 解除
6.(Vy∈ WL)(OA∈ X三 )(xRLyΞ ⇒ A∈ y))… 5,普 遍汎化
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 49巻
7.OA∈ X三 ⇒ (Vy∈ WL)(xRLy⇒ A∈
第
1号 (1998)
69
y)… …・6,述 語論 理
(⊂ Ξ):逆 に,任 意 の X∈ Wと につ き,
1.OA/X…
……… …… ……… … …… …… … … 仮定
その とき
,
2.¬ OA∈ X… …… ………… … … …… …………… 1,飽 和集合 に関す る補題(∋
・メイキンソンの補題 におけるxAの 定義
3.¬ A∈ xA ・… ……………………………………・
A∈
4.¬
(xA)十
… … … … … … … … … … … … … … … ・ XA⊂
(XA)+(リ
ン デ ン バ
ウ ム 拡 大
)
5.A/(xA)+・ ………… ……… … …… …… … … 4,飽 和集合 に関す る補題
6.(xA)+∈ WL… … …………… ………… … ……… 2,Wと の定義
7.(VB)[OB∈ X⇒ B∈ (xA)+]… ………………メイキンソンの補題 におけるxAの 定義
8.xRL(XA)十
… … … … … … … … … … … … … … … …
7,R上
の定 義
9.(ヨ y∈ WL)[XRLy&A/y].… ………………5, 6, 8,(xA)+を 存在汎化
lo.OA/X三 項ヨ y∈ wと )[xRLy&A/y]… … 1∼ 9,条 件化規則, 1を 解除
11。
(
(Vy∈ wL)[xRLy⇒ A∈ y]⇒ oA∈
)に 対 して
・10,対 偶
X・ …・
:公 理図式 (Al),す なわちPA=¬ 0¬ Aが すべ てのと飽和集合 に含 まれ る ことを用 い
て,(i)の 場合 と同様 に証明 で きる。
これで,キ ャノニ カルLモ デルに対す る飽和補題 の証明が完了 した。
(Q.E.D.)
さて,こ れ より,未 証明 の補題 の証明 に移 る。証明が容易な方 か ら始 める。
22.10 -致 の補題 の証明
証明すべ き ことは
,
各文 A,各 世界 X∈ Wと に対 して
,
易L卜 XA(⇒ A∈
X,
とい うことで ある。
《
証明》
証明 は文 Aの 長 さに関す る数学的帰納法 による。
基底部分
Aは ,(a)Tか ,(b)Fか ,(C)あ る命題文字 pで ぁるか,の どれかである。
(a)“ T"に 対す る真理条件 により,易 L「 ExT。 またと抱和集合 に関す る補題mよ り,T∈ x。 よっ
て,易 LrExT(⇒ T∈ xが トリヴィアルに成 り立 つ。
(b)同 様 に ,易 L〆 XFか つ F/Xで あ る か ら ,易 L「ExF(⇒ F∈ x。
:
(C)易 L卜 Xp(⇒
VL(p, x)=1
⊂ )p∈
X.
(命題文字 に対す る真理 条件 1.3.2と キャノニ カルとモ デルのV上 の条件 2.2.5は
')
帰納 の部分
¬,A,V,⊃ お よび ≡ に対す る帰納のケースは トリヴィアルで ある (上 飽和集合 に関す る補題 を
:
使 えばよい)。 そ こで,A=OBの 場合 を考 える。
易LttXOB
OB"の 真理条件1.3.2
⇔ (Vy∈ WL)(xRLyI⇒ 易を
「 EyB)・ ……………… “
y)・
………・……・帰納法 の仮定
⇔ (Vy∈ WL)(xRLyI⇒ B∈
…………………………………………
X…
キャノニカルLモ デルに対する飽和補題
⊂)OB∈
│
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
70
こ う して ,証 明 で き る。
A=PBの 場合 も類比的 に証 明 され る。 こうして,一 致 の補題 は証明 され
た。
(Q.E.D。
2.2.11 確 認補 題 の証 明
)
(一 部 )
ま,
示 す べ き こ とイ
ニ
キ ャ ノ カルとモ デ ル の定 義
(2.2.5)で 定義 された構 造
:
易 L=〈 WL, Rと , VL〉
はLモ デ ルで あ る,
とい う こ とで あ る。
(OK,OM, OS4, OB,OS5,
OK十 , oM十 ,Os4+,OB+,OS5+}
であるか ら,論 理 とを10個 の体系の どれ と同一視す るか によ り,さ まざまなケースが ある。 ここで
は,L=OS5と ,L=OK+の 場合 だ けを扱 う。
L=OS5の 場合】
【
示すべ きことは,構 造易。
s5=〈 WOS5,Ros5,VOS5〉 がOS5モ デルであることであるが,1.3.4節
L∈
でのモデルの下位分類 の定義 によって,Ros5が ユ ク リッド的で,か つ推移的であることを示せば十
14j。
分 である。 このことは確かめ得 る
L=OK十 の場合】
【
示すべ き ことは,OS5の 場合 と同様 の理 由 によ り,RoK十 がWoK十 で連 続的 で ある ことである。 い
ま,任 意の X∈ WoK十 につ き
1.PT∈ X・ ……………………………………・・体系OKで PT=(OA⊃ PA)が 証明で き。上 しか
,
も,公 理図式A3が OKの 公理 である。
y)・
…………………キヤノニ カルとモ デルに対す る飽和補題の(1)
2.ヨ y(xRoKtty&T∈
3.VX∃ y(xRoK+y)… ……・…・…………・Xが WoK十 の任意 の要素である ことと量化理論
0。 よつて
,確 認補題 は証明 され る。
他 の体系の場合 に も,同 様 な証明が実行 で きる
こうして,10個 のスマ イ リー・ ハ ンソン型単項義務論 理体系の完全性定理 が成 り立 つ ことが確 か
め られ る。
H.真 理 様 相 論 理 に よ る単 項 義 務 論 理 の 表 現
§3
真理様相論理
本節 で,わ れわれ は,命題定項 Qを 持 つ真理様相論 理体系 (alethic mOdal logic)で ある以下 の
10個 の体系 を定義す る
:
KQ, MQ, S4Q, BQ, S5Q, KQ十 , MQ十 ,
s4Q十 , BQ十 , s5Qtt。
これ らの体系 はす べ て, これか ら記述す る共通 の形式言語 に基づ いている。 それのアル ファベ ッ ト
は,次 の ことを除 いて,ス マ イ リー・ ハ ンソン体系 の言語 のアルファベ ッ トと同一である。
(1)度 数 1の 原始論理結合子 のなかで,□ (必 然性 )と ◇ (可 能性 )と が0と Pに それぞれ取 つて
替わる。
10 Q(「 最適性」 (optimality)ま た は「許容性J(permisSibility))が
度数 0の 原始論理結合子
鳥取大学教育学部研究報告 人文・ 社会科学 第 49巻
第
1号
(1998)
に加 え られ る。
われわれの新 しい言語 のすべ ての文 (sentences)の 集合Σは,そ の とき,以 前 の言語 の場合 と同
様 に定義 され る。ただ し,(b)節 は
(b)T,F,Q∈
S
と読 まれ;(C)節 は
(C)A∈ Sな らば
,
,
¬A,□ A,◇ A∈ S,
となる。
われわれは ここで,新 しい真理様相言語 の集合PrOpが 以前の義務論理体系のPropと 同一である
こと,を 明確 に指摘せねばならない。 さらに,次 の定義 をお く
:
定義
OA
PA
FA
⊂)def.□ (Q⊃ A)… …・「義務」の概念 に対応
⇔ def.◇ (Q∧ A)… … 「許可」 の概念 に対応
⊂)def.□ (Q⊃ ¬A)… …。
「禁止」 の概念 に対応
10個
の証明
の真理様相体系
われわれの
論 (pr00f theOry)に 関 しては,以 下 の二つの推論規則
(rules of inferelace)が ,そ れ らすべての体系 に共通 してい る。
■
ユ任ド
ス。
ポ
ネ羽
ウ
はD塗生
巽
≠
聰 議 個必
知D
Om schemata)の 以下の リス トBO∼ B7を 与 える。
(BO)(新 しい言語 での)す べ ての真理関数的 トー トロジー
(Bl) ◇ A≡ ¬ □¬ A
(B2) □ (ADB)⊃ (□ A⊃ □ B)
公理図式 (a
(B3)◇ Q
(B4)
(B5)
(B6)
(B7)
□ A⊃ □□ A
◇□ A⊃ □ A
□ A⊃ A
◇□ ADA。
命題定項 Qを 持 つ10個 の真理様相論理 のすべ てが推論規則 Rlと
R2ア
を採用す る として,わ れわれ
は,上 の どの公理図式 を採 るかによって,そ れ らの体系 を以下のように定義す る
:
KQ=BO∼ B2
MQ=BO∼ B2,B6
S4Q=BO∼ B2,B4,B6
BQ=BO∼ B2,B6,B7
S5Q=BO∼ B2,B5,B6(B4と B7は S5Qで 導かれ る。
さらに,κ をこれ ら五 つ の体系 の任意 の体系 とす る。 その とき
/+=ズ 十B3
)
,
と定義す る。
真理様相論理の言語 におい て,Qが 出現す ることを別 にすれば,最 初 の 5個 の体系 は様相論理 に
関す る文献 にお いて よ く知 られて い る (例 えば,Kripke[1963],MakinsOn[1966],Htlghes and
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
Cresswell[1968,96],Chellas[1980]を 参照。)残 りの論理 ,す なわち“十"の 付 いた体系 は,Smiley
[1963]と 同様 ,Qに 対す る無矛盾性公理 ,す なわちB3を 追加す る ことに よって得 られ る。
Kを ,い ま定義 した10個 の体系 の どれかであるとす る。その とき,ス マ イ リー・ ハ ンソン型義務
論理 に対 して定義 された対応す ると概念 と完全 に類比的 に
provability)
κ証明可能性 (κ 一
,
κ 矛盾性 (【 ―inconsistency)
K無 矛盾性
coК istency)
(κ
κ 導出可合Z隆 (κ derivability)
の概念 を導入す る。 また,わ れわれは
“卜κA"お よび “
S卜 rfA"
,
と書 いて,各 々,「 文 Aは K証 明可能 である」「文 Aは 文の集合 Sか ら導出可能であるJを 表示す る。
われわれの10個 の真理様相体系 に対する意味論 (semantics)に 向か うとき,わ れわれは,明 らか
に,モ デルの新 しい概念 を必要 とす る。真理様相モデル (alethic mOdel)に より,わ れわれは次 の
順序四組 を意味す る
易
:
=〈W,R*, opt, V〉
こ こで ,
(i)Wは 非空の集合
但)R*⊂ w× w:す なわちR*は W上 の二項関係 真理様相代替Jま たは「真理様相接近可能性」
,
(「
)
値, opt⊂ W:(発 見的意味づ けとして,optは ,Nこの何 らかの選好順序に応 じた「最適 の」 ま
たは「最善 の」
「十分 に善 い」Wの 要素 の集合)
llvl V I P■ op×
W→ (0, 1)
さて,易 を任 意 の真理 様相 モ デ ル ,Xを Wの 要素 ,Aを Σの要 素 で あ る任 意 の文 とす る。モ デ ル 易
にお け る,世 界 Xで の真理 (truth at x)の 定 義 にお いて,義 務体 系 の場 合 に対 応 して ,以 下 の変 更
が必 要 で あ る
:
易
「 Ex□ A(⇒
(Vy∈ W)(xRtty⇒ 易 卜yA)
y∈ W)(xR*y&易 FEyA)。
易
「 Ex◇ A(⇒ (ヨ
さ らに これ に,わ れわ れ は定項 Qを 支配 す る節 を追加 す る
:
易 卜xQ(⇒ X∈ opt。
R*上 の条件 と真理様相 モデル における最適世 塁 (opt)
先 の 5個 の公理図式 B3∼ B7に 対応 して,わ れわれ は真理様相 モデル におけるRキ とoptに 関す る次
の五つの条件 を設定す る
r3.R*は Wで opt連 続 である :(VX∈ W)(∃ y∈ W)(xR*y&y∈ opt)
:
r4.Rキ はWで 推移的である :(VX∈ W)(Vy∈ W)(VZ∈ W)(xR*y&yR*z=〉 xR*z)
r5.R*は Wで ユ ー ク リッド的 で あ る :(VX∈ W)(Vy∈ W)(Vz∈ W)(xR*y&xR*z⇒
yRホ z)
r6.R*は Wで 反射的である :(VX∈ W)(xR*x)
r7.R*は Wで 対称的 である :(VX∈ W)(Vy∈ W)(xRホ y=)yRキ x)
真理様相 モ デルの分類
われわれは真理様相 モ デルの特徴 を,Rホ とoptに 課 される条件 の違 い によって与 える
KQモ デル :い かなる条件 もR*に もoptに も課 さない。
:
鳥取大学教育学部研究報告
人文 ,社 会科学
第
49巻
1号
第
(1998)
MQモ デル R*が (Wで )反 射 的 で あ る。
S4Qモ デル R*が 推移 的 かつ 反射 的 で あ る。
BQモ デル R*が 対称 的 か つ 反射 的 で あ る。
S5Qモ デル :R*が ユ ー ク リッド的かつ反射的 で ある。
KQ十 モデル :R*が (Wで )opt連 続的である。
MQ十 モ デル :R*が opt連 続的 かつ反射的 である。
S4Q+モ デル :R*が opt連 続的かつ推移的かつ反射 的 である。
BQ+モ デル :R*が opt連続的かつ対称的 かつ反射的である。
S5Q十 モデル :R*が opt連 続的かつユークリッド的かつ (Wで )反 射的である。
:
妥 当性 と充足 可能 性
′
ζ∈
{KQ, MQ,S4Q,BQ,S5Q,KQ+, MQ十 ,s4Q十 ,BQ十 ,
s5Q十 }
とす る。 この とき,κ 妥 当性 (κ validity),κ 充足可能性 (κ satisfiability),意 味論的 て 内含
(semantic κ entailment)の 概念 が,対 応す るL概 念 と完全 に類比的に定義 され る。 そ して
,
「 KA
および S卜 【A
・
の表記法を,い まのκ妥当性,κ 内合 の意味を持 たせて用い る。
S4.真 理様相体系の意味論的健全性 と完全性
4.1 健全性定理 (soundness heorem)
κ を10個 の体系KQ,MQ,S4Q,BQ,S5Q,KQ+,MQ+,S4Q十 ,BQI,S5Q十 ,の どれかである
とする。そのとき,す べてのκ証明可能な文はκ妥当である。
《
証明》単頂義務論理のと体系の場合 と同様 に行われる。
例
われわれは例 として,公 理B3(=◇ Q)が 実際 にKQ十 妥当であることを示す。背理法で これを行
うために,ま ず,そ うではない, と仮定す るとすなわち,あ るKQ+モ デル易 =〈 W,Rキ ,opt,v〉
に対 して,あ る世界 X∈ Wで
(1)易 〆x◇ Q
と仮定する。すると,◇ とQに 対す る真理条件 (S3参 照)に よって
(2)(ヨ y∈ W)(xR・ y&y∈ opt)で ない。
,
,
しか し,KQ十 モ デルで はR*は opt連 続的 であるか ら
,
(3) (ヨ y∈ Wl(xR*y&y∈ opt)。
よつて,矛 盾 である。従 って,公 理図式 B3は KQ+妥 当である。
4,2
完全性定理 :ヴ ァージ ョン I(強 い完全性 )
κ を10個 の真理様相体系 の どれか とし,S⊂ Σとす る。その とき,Sが κ 無矛盾な らば,Sは 【充
足可能である
:
Conて S⇒ (ヨ 易 )[易 は【 モ デル &(∃ X in易 )(VA∈ S)(易 卜xS)]。
ヴァージ ョンH(弱 い完全性 )
κ を上 と同様 の もの とす る。 その とき,rf妥 当 な文 はすべ て【証明可能 である
(VA)[「 ィ A⇒ 卜てA]。
《
証明》 (概 略)
:
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
弱 い ヴァージ ョンは強 い ヴァージ ョンか らその系 として導 けるので,わ れわれは強 い ヴァージ ョ
ンに向か う。L飽 和集合 に関す る補題 の定義 は,重 大 な変更 なしでκ体系 に対 して も述 べ直す ことが
できる。リンデンバ ウムの補題 について も同様 である。メイキ ンソンの補題 においては,0へ の言及
を□へ の言及 で置 き換 え,R2と A2の 代わ りにR2′ とB2を 用 い る。す ると,新 しい形 でのメイキンソ
ンの補題 は【体系 に対 して も成 り立 つ。
4.2.1 キャノニカル【モデルの定義
κ を10個 の真理様相体系 の どれかであるとし,Sを 文 の【 無矛盾 な集合 とす る。われわれは,Sに
よって生成 されたキ ャノ ニカル【モデル (canonical rf― model generated by S)を ,以 下 の条件
を満たす構造
:
易κ=〈 Wて , R*κ , optκ ,Vκ 〉
として定義す る。
〈
条件 〉(i)Wκ 二次 の(a)(b)を 満たすκ飽和集合 か ら成 る最小 の集合族 U
(a)s十 ∈ u
(b)X∈ Uか つ Aが ¬□ A∈ Xで あるような文 な らば,(xA)十 ∈ u。
されたメイキンソンの補題 において定義 され るもの
(こ
こで,xAは 修 正
:xA=(B∈ Σ :□ B∈ X)∪
{¬
A})
値)Rキ 【はW上 の二項関係 (R*κ ⊂W× W)で
,
(VX∈ WK)(Vy∈ WVK)[xR*て y(⇒ (VA)(□ A∈ X⇒ A∈ y)]
ti, optκ =(X∈ W【 :Q∈ X}
t→ Vκ =以 下 のように定義 され る,命 題文字 と世界 との対 に対 す る真理値配分
すべ ての p∈ Prop,す べ ての X∈ Wκ につ いて
VFf(p, x)=1 ⇔ p∈ X
:
,
4.2.2確
認補題
上で定義 された易κ=〈 Wて ,R*κ ,optた ,V【 〉 はκ モ デルで ある。
42.3 -致 の補題
各文 A,各 世界 X∈ Wκ に対 して
,
易【卜xA(⇒ A∈ X。
これ らの補題 を証明す る前 に,わ れわれ は,L体 系 との関連 で使われた論証 と完全 に類比的な論証
によって,そ れ らの補題が体系κの強 い完全性 を生み出す, とい う ことを認 めてお く。
さらに,キ ャノニ カルκモデル に対す る飽和補題 の重要な節 は次の ものである
:
⇒ A∈ y)
(i)□ A∈ X(⇒ (Vy∈ wD(xRホ Ffy Ξ
y∈
wFf)(xRキ 【y&A∈ y)
(1)◇ A∈ X(⇒ (ヨ
この補題 の証明は,上 の場合 に与 えた証明 2の 2.2.9)と 平行す る。ただし,0を □で,Pを ◇で
(§
置 き換 える。
4.2,4 -致 の補題の証明
帰納 の基底段階 において,新 しいケースがある
:
A=Qの 場合。示すべ きことは
易κttxQ(⇒ Q∈ X
である。 Qの 真理条件 により,易 κrrxQ(⇒ x∈ Optκ である。 ところが,キ ャノニカルκモデル
の定義 のti'節 より, X∈ optκ (⇒ Q∈ Xで ある。 よって,易 κ
「 ExQ(⇒ Q∈ Xが 導かれる。
,
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 49巻
第
1号
(1998)
い
である。それ らは,L体 系での対
帰納 の段階 での新 しいケースは,A=□ B,A=◇ Bと う場合
応 す る証明 において完全 に類比的 に取 り扱 う ことがで きる。
42.5 確認補題 の証明
【 ∈{KQ,MQ,S4Q,BQ,S5Q}の 場合 はよ く知 られて いる (例 えば,Makinson[1966],Chellas
い ―の新 しい事柄 は,わ れ
[1980],p.171以 下参照)。 これ ら五 つの場合 に確認 されねばな らな 唯
ことは,キ ャノニ カルFfモ デ
われが定義 したoptKが WKの 部分集合 である,と い う ことである。その
ルの定義 のti)節 か ら トリヴィアルに言 える。
K=KQ十
の場 合
で,(VX∈ WI )(ヨ y∈ WKQ十 )(xRξ KQ+y&y∈
われわれは,関 係 R*KQ+が WKQ十(Q十
X∈ WKQ+に 対 して
でopt連 続的 である ことを示 さねばな らない。 さて,任 意 の
optKQ十
)の 意
味
,
1.◇ Q∈ X… ……… ……… ……… ……… ……………KQ+に 対する公理B3
2.(ヨ y∈ WKQ十 )(XR*KQ+y&Q∈ y)・ ……………1,キ ャノニカルκモデルに対する飽和補
題 の(1)節
3.(ヨ
4。
y∈ WKQ十 )(xR・ KQ+y&y∈
opt【 Q十 )・ … … … … … … … … … …
WKQ十 )(ヨ y∈ WKQ+)(XR*KQtty&y∈
(VX∈
optKQ+)…
2,optKQ十
… … … Ⅲ3,普
の 定 義
遍 汎 化
(Q.E.D.)
した。 こうして,10
残 りの 4個 の ケー ス には新 しい 要素 はな い。 よって,確 認補題 の証明は完了
個 の真理様 相体 系 の完全性 が証 明 され る。
§5,ff体 系 での義務様 相 断 片 の分 離
51
分 離 問題
マ リー・ハ ンソン体
Σを,(K体 系 に共通 な)真 理様相言語 の文の集合 とす る。 また,Σ Oを ,(ス イ
つ10個 の真理様相体系 の ど
系 に共通 な)義 務様相言語 の文 の集合 とす る。 さて,κ を,定 項 Qを 持
れかである とす る。 その とき
中の正確 にどの文が rfで 証明 で きるのか ?
0と Pの K定 義 を用 い るならば,Σ 。
,
0と Pの κ定義 とは
,
OA(⇒ def.□ (Q⊃ A)
PA⇔ def.◇ (Q∧ A)
である。言 い換 えると,問 題 は
,
の
を特徴 づ け
各 【 に対 して, これ ら二つの定義 を基礎 として,κ で証明 可能 な義務的文 集合
る こと
の任意 の要素の ことで ある。)わ れわれ
となる。 (こ こで,義 務的文 (deontic Sentences)と は,Σ 。
,
の仕事 の第 二の定式化 は こうである
各Kに 対 して,Xの 義務 断片 を分離す ること。
いう
さて,こ れ らの定式化 において現 れ る「0と Pの 定義 を基礎 としてKで 証明可能 なΣOの 文 Jと
のために
,0と
言 い方 は必ず しも明確 ではな い,少 な くとも,も っ と正確 な ものにしうる。その目的
が
へ
存在
るある関数
と写
訳)す
(翻
像
Pの 定義 が,事 実上 ,わ れわれの義務様相言語 を真理様相言語
す る,と い う ことを以下 で示す ことにす る。
:
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
5.2
ΣOか らΣへの翻訳 φの定義
Σ。
中の任意 の文 Aに 対 して,以 下 の帰納的条件 によって,φ (A)∈ Σを定義する。
(i)φ (p)=p.
(各 命題文字 pに 対 して)
(ii)φ
(T)=T.
ti)φ (F)=F。
φ(¬ A)=¬ φ(A)。
(v)φ (A∧ B)=φ (A)∧ φ(B)。
lvう
φ(AVB)=φ (A)Vφ (B)。
,i)φ (A⊃ B)=φ (A)⊃ φ(B).
ttt φ(A tt B)=(φ (A)≡ φ(B))。
livl
ttt φ(OA)=□ (Q⊃ φ(A))。
(x)φ (PA)三 ◇ (Q∧ φ(A)).
この定義 において最 も興味深 い唯―の節 はt蛉 とlx)で ある。なぜなら,文 Aの 長 さに関す る帰納法
によって,も しAが 0と Pを 含 まないならばφ(A)=Aで ある ことを,容 易 に確認 できるか らであ
る。これらの節llxl(x)が 0と Pの 定義 にどのように対応す るかに注 目する必要がある。また,真 理様相
言語 と義務様相言語が共通な命題文字 の集合PrOpを 有す ることも重要である。以下では,簡 潔 さの
ため,φ (A)を φAと 書 くことが ある。
さて,問 題の正確な定式化のために,わ れわれはもう一つの定義を必要 とする。
5.3
φの下でのKの 義務様相断片の定義
κをこれまで通 りのもの (10個 の真理様相体系のどれか)と して,φ をい ま定義 したような,Σ 。
か
へ
らΣ の翻訳 (翻 訳関数)と する。 φの下でのズの義務様相断片 (記 号でDF(κ ,φ )と 表す)を ,わ
れわれは,φ Aが てで証明可能 であるような,Σ 。
の要素である文 Aの 集合,と 定義す る。すなわち
DF(て ,φ )=(A∈ ΣO:卜 【φA).
を固定することによって
翻訳 φ
,わ れわれはφへの言及を落 として,通 常 のズに対 して
:
,
DF(κ )=DF(Ff,φ
)
の規約 の下で,単 にての義務様相断片 (deOntic fragment):DF(K)に ついて語 ることができる。
そ こで,こ のS5の 冒頭で提示 した問題 の正確なヴァージョンは次のものとなる。
5.4
問題 の再定式化
κ をわれわれの10個 の真理様相体系 の任意 の もの とす る。Lを 10個 のスマ イ リー・ハ ンソン型義務
論理体系の任意の もの とし
,
L=(A∈ ΣO:卜 LA}
であるように,と を定理の集合 と同一視す る。 その とき
,
どの よ うならに対 して,L=DF(rf)で
ぁ るか
?
再定式化 された 問題 の意 味 を具体的事例で考 えてみる。OM (の 定理 の集合 )が 実際にMQの 義務
様相断片 と同一視 で きると主張 した い,と 仮定す る。その とき われわれ は何 を主張 して い るのか ?
われわれの定義 によれば,そ れは以下の ことで ある
,
:
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 49巻
(1)OM=(A∈
Σ。 :卜
OMA}=(A∈
ΣO:卜 MQφ A}三
第
1号
(1998)
DF(MQ)。
これ よりもっ と分 か りやす い言 い方 は次 の ものである
(2)Σ 。における各文 A′ に対 して,卜 。
MA(⇒ 卜MQφ A,
:
す なわち
,
Aが OMで 証明可能 であるとき,か つ その ときにか ぎり,Aの 翻訳 φAが MQで 証明可能 であ
る (任 意 の義務文 Aに 対 して)。
実際,Smiley[1963]は この結果(動 ,つ まりOM=DF(MQ)を 証明 して い る。彼 はまた,特 に
以下 の事柄 を代数的手法 を用 いて証明 した
:
OS4=DF(S4Q),
OS5=DF(S5Q),
OM十 三DF(MQ十 ),
OS4十 三DF(S4Q+),
OS5十 三DF(S5Q十
)。
これか らわれわれは,こ れ らのスマ イ リーの結果 を再度取 り上 げ,上 で提起 した問題 の十分 な解決
を得 るためにそれ らを拡張す る。われわれはスマ イ リーによって使 われた マ トリクス・ メソッドの
代 わ りに,抱和集合 を使 うヘ ンキ ン流 モ デル理論 の手法 によって,単 項義務論 理 に対す る翻訳定理
が どう証明 され るか を示す ことにす る。 そうす る ことによって,単 項義務論理 その ものの理解が容
易 となるのみな らず,そ れ らと (条 件的義務 を扱 う)二 項義務論 理 との結 びつ きが より明確 になる
だ し,本 論文 では二項義務論理 その ものは扱わない)。
そこで まず第一 に,真 理様相体系か ら義務様相体系の上 へ の 1対 1写 像 cを 定義す る ことによっ
て,わ れわれの真理様相体系 を義務様相体系 へ と関連 づける。cの 定義 は以下の対応表 によって与
もの と期待 で きる
えられる
(た
:
真理様相体系κ
義務様相体系 c(【 )
KQ
MQ
OK
S4Q
OS4
BQ
0B
S5Q
OS5
KQ十
0K十
MQ+
OII+
S4Q十
OS4+
BQ+
OB+
S5+
OS5+
OWI
さて,わ れわれは義務論理 に関す る結果 を述 べ る ことがで きる。
5,5
単項義務論理 に対 する翻訳定理 (Smiley[1963])
κ を,10個 の真理様相体系KQ,MQ,一 ,S5Qの どれかである とし,c(κ ) を上の対応表 に基づ
く10個 のスマ イ リー・ ハ ンソン型体系中の対応物 とす る。われわれは,c(/) を定理の集合 と同一
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
視す る。 その とき
,
c(κ )=DF(【 )。
の各文 Aに 対 して
すなわち,Σ 。
卜κ φA。
卜c(【 )Aく
,
=〉
われわれの問題 を解決す る証明は相 当 に長 い。 よつて,Aqvist[1984,87]に 従 い,そ の概略 を
与 えるに止める。
5.6
翻訳定理 の証明 の概略
5.6.l κ =KQ,c(K)=OKの 場合
(三
⇒)の 部分
:
われわれは,卜 。
KA⇒ 卜KQφ Aを A∈ Σ。に対 して示 さねばな らない。われわれは これ を,仮 定 され
た Aの OK証 明 の長 さに関す る帰納法で行 う。
基底部分
仮定 されたOK証 明 の長 さを 1と す る。 その とき,Aは 公理図式AO∼ A2の どれかの事例 である。
い ま,Aが 公理AO,す なわち義務様相言語 での トー トロジーであるとす る。その とき,φ Aは 真理様
相言語 での トー トロジーである。 それゆえ,φ Aは 公理図式 BOの 事例 である。 よつて,卜 KQφ A。
次 に,Aが 公理Alの 場合。 その とき,あ る B∈ Σ。に対 して
,
A=(PB≡
¬ 0¬ B),
φA=(◇ (Q∧ φB)三 ¬□(Q⊃ φ(¬ B))),
である。φAの KQ証 明は次のようになる
1.◇ (Q∧ φB)≡ ¬□¬(Q∧ φB)… …………公理Bl
2.¬ □¬(Q∧ φB)=¬ □(Q⊃ ¬φB)… … …公理BO,B2, Rl,R2′ か らい くつか の初 等
:
ステ ップ に よ り
3.◇ (Q∧ φB)三 ¬□(Q⊃ φ(¬ B))
… …… …
1, 2,BO, Rl,φ の定 義
卜KQφ A。
ここで, 3=φ A。 こうして,
さらに,Aが 公理A2の 事例 であるとき。その ときは,あ るB,C∈ ΣOに 対 して
φA=□ (Q⊃ (φ B⊃ φC))⊃ (□ (QDφ B)⊃ □ (Q⊃ φC))
卜KQφ Aは ,BO,B2,R2′ ,Rlか ら容易 に得 られる。
,
帰納 の段階
長 さが 1よ り大 きいAの OK証 明が存在 し,(i)Aは ,あ るOK定 理 B,B⊃ Aに 規則Rlを 適用 して
得 られたか, または(DAは ,OBと い う形 をしてお り,あ るOK定 理 Bに 規則R2(0必 然化)を 適用
して得 られたか,の いずれかである。
場合(i):帰 納法の仮定 により,卜 KQφ B,卜 KQφ (B⊃ A)で ある。しかし,φ の定義 により,φ (B⊃
A)=φ B⊃ φAだ か ら,Rlに より, 卜KQφ A。
場合(1):帰 納法の仮定 により,卜 KQφ BOそ の とき,卜 KQφ (OB)は 次 のようにして得 られる
・…………卜KQφ B, BO, Rl
1.Q⊃ φB… …………………………………Ⅲ
2.□ (Q⊃ φB)…
:
・1, R2′
……………………………………
3.φ (OB)… … …… …… … …… … …… …… … …… …2,“ φ"の 定義 t鋤
律三)の 部 分
われ われ は,義 務様 相 言語 にお け る任意 の文 Aに 対 して,卜 KQφ A⇒ トOKAま た はそ の対 偶 で あ
:
鳥取大学教育学部研究報告 人文 。社会科学 第 49巻
第
1号 (1998)
79
る/OKA⇒ /KQφ Aを 示さねばな らない。この部分 は,証 明論的方法が不 自然 に見 えるので,や つか
いである。 しか し,Lお よびκ体系に対する健全性・完全性の観点か らはすれば,そ れほど困難では
ない。
塾堕∠腫運野 われわれは次 のように論 じる
1./。 【A… ……………………………………………仮定
2./。 KA… ……………………………………………。1と OKに 対す る完全性定理
:
3.あ るOKモ デ ル 易 =〈W,R,V〉 に対 して
あるX∈ Wに おいて,易 〆xA・ …………………2と ,OK妥 当性の定義 により
,お よびすべて
ここで,OKモ デル易を考える。このモデルに対 して,わ れわれは,す べてのB∈ Σ。
*「
の y∈ wに 対して,易 卜yB(⇒ 易・ yφ Bと いう望ましい特性 を持つところの,対 応す るKQモ デ
,
ル
:
易
*=〈 W,R*,opt,V〉
を構成 で きる (詳細 は以下 で論 じる)。
キ
4.易 ホ/xφ A… ………………………………・………3か ら,上 でのべ た構成 により易 が存在す
るか ら
・
5.〆 KQφ A… …… ……………………… …………… 4で ,易・ がKQモ デルで あ り,そ のある世
界 X∈ Wで φAが 成 り立たないか ら,KQで
非妥当
・
………………
…………………………
5か ら,KQの 健全性 による
6./KQφ A…
ここで, 6が われわれが 目指 した結論 である。
さて,上 の議論 の最 重要点 は,与 えられたOKモ デル易か らKQモ デル を構成 す る こと,お よびそ
*を
構成 し,そ れが
れが上で示 した望 ましい特性 を持 つ ことを示す こと,で ある。そ こで,モ デル易
され
,従 つて,(往 )
当該特性 を持 つ ことを証明すれ ば,3か ら 4へ の重要な ステ ップが十分 に正当化
の部分 が い まのケー スで成 り立 つ ことが分 か る。 よって,残 された ことは,易
つかの望 ましい補題 を証明す ることである。
・ の定義 ′
易
易 =〈 W,R,V〉
を任意 のOKモ デル とす る。その とき,易・ を,構 造
*の
定義 を与 え,い く
:
″ガ=くW,R・ ,opt,V〉
として定義す る。 ここで
,
(i)R*=R
lli)opt=(y∈ W:(∃ X∈ W)(xRy)}
・で共通 であることに注意す る。Vに 関 しては,真 理様相言語 と義務様相言語が命題
Wと Vが 易 と易
文字の同一集合PrOpを 持 つ というわれわれの仮定によって,こ の ことが可能 となる。 また,optは
OKモ デルにお ける関係 Rの 「逆定義域J(converse domain)と して知 られるもの として,こ こで
,
は定義されてい́ることに注意する。
簡単な補題
定義された易*モ デル はKQモ デルである。
《
証明》
KQモ デルの定義 (S3)に よれば,R*や optに 真理様相 モデル としてそれ以上の制限 は課 されない
キ
から,(i)R*⊂ W× W,は わpt⊂ Wを 示せば十分である。 これは,構 造易 の上の定義の(i)と (■ )か ら直
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
80
ち に 言 え る。
(Q.E.D.)
関係 につ いての補題
易 と易 *を ,易・ の定義 で定義 された もの とす る。 その とき,W中 のすべ ての X,
yに 対 して
,
xRy⇔ xR*y&y∈ opt。
《
証明》 (=功 の部分
1.xRy… … …… … … ………・……… …………………仮定
:
2.ヨ X(xRy)… ……………………………………………1,存 在汎化
3.y∈ 。pt… ………………………………………… 2,易 *で のoptの 定義
4.xR*y… …………………………………………… 1,易 *で のRキ の定義
5,xR*y&y∈ opt・ ……………………………………………4, 3
律三)の 部分
こち らはR本 の定義 によ り,直 ちに成 り立 つ。
:
(Q.E.D。
)
重要 な補題
易 と易 *を ,易 *の 定義 で定義 された もの とす る。その とき,す べ ての文 A∈ ΣO,す べ ての世界 X
∈Wに 対 して
,
*FExφ A。
易
「ExA(⇒ 易
《
証明》
文 Aの 長 さに関す る帰納法 による。翻訳 φの定義 によ り,帰 納 の基底 にお ける三 つの場合 (p,
T,F)は
トリヴィアル であることが分 かる。同 じ理 由で,真 理関数結合子 を含 む帰納 の段階 も容易
に成 り立 つ。 そこで,実 質上重要 な,以 下 の場合 を考 える。
A=OBの 場合
示すべ きことは,易 卜xOB(⇒ 易 *卜 xφ (OB)で ある。 さて,任 意の B∈ Σ。
,任 意の X∈ Wに 対 し
て
,
1.易 卜xOB(⇒ (Vy∈ w)(xRyE⇒ 易「 EyB)… .易 での “0"の 真理条件
2.易 *卜 x□ (Q⊃ φB)⇔ (Vy∈ W)
*卜 yφ B)・ ……………… キ
易 での□の真理条件 と,Qを 支配するS3
(xR・ y&y∈ opt三 ⇒易
での条件 :易 *卜 yQ(⇒ y∈ opは り,易 *
・
「
y(Q⊃ φB)⊂)(y∈ 。pt⇒ 易*卜
B)で あるか ら
yは wの 任意 の要素
4。
(1の 右辺)⊂ )(2の 右辺)・ ………………3,関 係 についての補題
*卜 x□
5。 易卜xOB(⇒ 易
(Q⊃ φB)… … ……… 4,“ (⇒ "の 推移律
*「Exφ
6.易 卜xOB(⇒ 易
(OB)・ …………………5,“ φ"の 定義t鋤
A=PBの 場合
示すべ きことは,易 卜xPB⇔ 易 *卜 xφ (PB)で あるが,0,□ ,⊃ ,(V),=〉 か らP,◇ ,∧
(ヨ ),&に 切 り替 えて,上 と平行 して証明 で きる。
こうして,重 要な補題 の証明 は完了 した。
yφ
3.易 卜yB(⇒
易*卜 yφ B… … … … … …… ……帰納 の仮定,
(Q.E.D.)
,
。
鳥取大学教育学部研究報告 人文 社会科学 第 49巻
第
1号
(1998)
につ いての補題 お
キ
さて,KQモ デル易 の定義 と,そ れに関連す る三つの補題 (簡 単 な補題 ,関 係
ステ ップを
の重要な
4へ
ら
ょび重要 な補題 )を 与 える ことによつて,「 戦略的議論」における, 3か
の翻訳定理 の証明 にお ける,ぐ =)の
十分 に正当化 した。 これで,κ =KQお よびC(κ )=OKの 場合
部分 の証明が完結 した。
5,6.2 残 りのケ ース
つ
り上 げる に止 めるの。 それ は
残 る 9個 のケースにつ いては,証 明 の新 しい要素 を持 部分 を取
とき,わ れわ
k⇒ "の 証明 の “⊂三"の 部分 に現れる。 そ こでは,任 意 のc(K)モ デルが与 えられた
い こうして,一 般 に,わ れわれ
れは「適切 な」性質 を持 つ対応す る【 モ デル を構成 せねばな らな 。
,
は以下 の形 の定義 を定 める
・ の定義
易
W,R,V〉 を任意のc(K)モ デル とし,Rが 適切 な制限 を満たす もの とす る。対応 す るκ
易 三〈
:
・ を,構造
モデル易
易
:
*=〈 w,R*,opt,V〉
として定義す る。ただ し
(1)R*=報こ の二項関係 であ り,任 意 の X,
,
].
[・・…・
y∈ wに 対 してXR*y(⇒
(11)opt=(y∈ W:(ヨ X∈ W)(xRy))
=Wに おけるRの 逆定義域 (converse dOmain)
の二つの補題
この(1)節 でのブラ ンク [… …]を 各 々の場合 に特定 の仕方で填 める ことにより,次
の記述 と証明が与 えられ る
*は Kモ デルで ある。
簡単 な補題 :上 のように定義 された易
・ を上で定義 された もの とす る。 その とき
関係 につ いての補題 :易 と易
:
,
XRキ y&y∈ opt).
(VX∈ W)(Vy∈ W)(XRy(⇒
重要 な補題
*,Aと X∈ Wに 対 して)
【 =KQ,c(κ )=OKの 場合 と同様 に,(上 で述 べ た易および易
*「
易卜xA(⇒ 易 ・ xφ A.
本
ことにより,翻 訳定理の証
再 び,Kモ デル易 の定義 と,そ れに関す る上の二つの補題 で武装する
を正当化できる。 これによつて
明の (⊂二)の 部分 の戦略的議論 における 3か ら 4へ の決定的段階
残る 9個 のケースでの翻訳定理の証明が完成する。
キ
ンクの填 め方を指示す
さて,わ れわれは,い くつかのケースにおいて,易 の定義 の(1)節 中のブラ
,
る。
【 =MQか つC(K)=OMの 場合
ブラ ンクに条件 :(X=y Or
:
xRy)を 満 たす。
κ =S4Qか つc(κ )=OS4の 場合
ブランクに上 と同 じ条件 を満たす。
:
κ =BQか つC(K)=OBの 場合
:
ブランクに条件 :(X=y Or
K=S5Qか つc(K)=OS5の 場合
xRy or yRx)を 満 たす。
:
ブラ ンクに条件 :(∃ n≧ 1)(XR#ny)を 満 たす。
であ り,R#nは
ここで,Rイ はW上 で,xR#y(⇒ X=y or xRy or yRxと して定義 され る関係
n重
ある。
巾 (n th pOWer)で
関係積 によって通常 の帰納的方法 で定義 され るR#の
,
田畑博敏 :義 務論理体系 と真理様相論理体系の関連
残 る 5個 の “+"の ケ ース
対応す る,“ 十"の 無 いケース,す なわち公理体系が公理図式A3を 欠 いてお り,接 近可能性関係が
関連す るモ デルにおいてopt― 連続的である必要 のない ケース,の 場合 と同様 に
,
R*
を定義す る。
こうして,単 項義務論理 に対す る翻訳定理 の証明 の概略 は完了 した。
註
例えば,Chellas[1980],pp 53-55な ど参照。
Chellas[1980],pp.5557,Makinson[1966],pp.381382な
Makinson[1966],p.382参 照。
ど参照。
Rossが ユ ーク リッ ド的であることは以下 の ように証明で きる。
…仮定
1.xRos5y… …………………Ⅲ
・
・
……
………
…
………
2.xRossz
仮定
その とき
,
3.A〆 Z… …………………………仮定
4.OA〆 X… ……………………Ⅲ2, 3,キ ャノニカルLモ デルの定義
5.¬ OA∈ X… …………………… 4,と 飽和集合に関する補題(v)
6.¬ OADO¬ OA∈ X… ……… 公理図式A5,Alに より
7 0¬ OA∈ X ・………………… 5, 6,L飽 和集合 に関する補題 0
8 ¬OA∈ y… …………………・1, 7,キ ャノニカルLモ デルの“
定義
,
9.OA〆 y… ……Ⅲ………………Ⅲ8,と 飽和集合 に関す る補題(v)
10.A/Z DOA/y… …Ⅲ……… 3-9,条 件化規則, 3を 解除
11.OA∈ y⊃ A∈
12 xRos5y⊃
Z・ …………・
・10,対 偶
[xRosszD(OA∈ y⊃ A∈
Z)]… Ⅲ……………… ………… 1, 2-11,条 件化規則,
13 (VX∈ Wos5)(Vy∈ Woss)(VZ∈ ヽVos5)[XRos5y⊃
(xRos5Z⊃ yRos5ハ
1, 2を 解除
]
………………………………………………………………12,キ ャノニカルLモ デルの定義,普 遍汎化
(Q.ED)
次 にRos5が 推移的 であることを証明す る。
1,xRossy… ……………………仮定
………Ⅲ
………・……・仮定
2 yRossz・ …Ⅲ
その とき
,
3(VA)(OA∈ X⇒ A∈ y)1,キ ャノニ カルLモ デルの定義
4 (VA)(OA∈ y⇒ A∈ Z)2,キ ャノニ カルLモ デルの定義
5.OA∈ X・ ……………Ⅲ……………仮定
6.OADOOA∈ X… ……………・公理図式A4
7.00A∈ X ………Ⅲ……………・5, 6,L飽 和集合 に関す る補題仰
8 0A∈ y,… ………………………・7, 3
9 A∈ 多………………………………………8, 4
10 0A∈ XDA∈ 多 ………………5-9,条 件化規則 , 5を 解除
1l xRos5y⊃ (yRossz⊃ (OA∈ XDA∈ Z))… …………………………… 1, 2-10,条 件化規則 , 1, 2を 解除
)
12.(VX∈ ヽVos5)(Vy∈ Wos5)(VZ∈ ヽVos5)[XRossyD(yRos5Z⊃ XRossz)]
……。
…………………………・……………Ⅲ
………………・………………………Ⅲ
キャノニ カルLモ デルの定義 ,普 遍汎化
(Q.E.D.)
鳥取大学教育学部研究報告 人文・社会科学 第 49巻
6)
0)
年
)
体系OKは 対応する真理様相論理体系では,Kま たは正規体系
AD◇ A)力 ゞ成 り立つ。Chellas[1980],p123参 照。
第
1号 (1998)
83
(nOrmal Syttem)と 呼ばれ,そ こでは,◇
T=(□
こ
ら
脇
見
:5箭 鋭
饗
就
程
展
踏
ttt「 詭
鍋球
2■
参 考文献
ωJと 呼 ひ
力 げ F力 みdψ カケ
″乃οο
Åq.rist,L:1984,“ Deontic iOgic",in D.Gabbay and F Guenthner(eds),肋
vOI II, pp. 605-714, Reidel.
¢勤 s″ %聡 S,BibliopoliS.
η
夕
2,ヵ υ
¢
οィ
力
をT鳥 力
ッげ Ar。 夕
μια″′ 涜
Aq st,L.:1987,Dナ %ο ttε ″ο″ 力 D2ο η虎 とつ
″οη,Cambridge U,P
chenas, B.F.:1980, MOttρ ′L9,α 4η rη ヵり,%θ
チAη S98, pp.177-190.
クοθ
Semantics
fOr
deontic
logic'',L)甑
HansOn,W.H.:1965,“
'妙
ユーズ
Юσ οη 力 財肋切 L9gケ θ,Methuen.邦 訳 :GH.ヒ
.:1968,4η カ ウ
,
,
HugheS,GE.and Cresswell,M」
"″
(1981)
MJ.ク レスウェル『様相論理入門J三 浦聡・ 大浜茂生・春藤修二訳,恒 星社厚生閣
θ
J
L9多
,Routledge
″ο
ηル MOttρ
ひ
HugheS,G.E.and Cresswe■ ,WI.J.:1996,4 Nοωr″ 続 ,″
Kripke,S:1963,“ Semantical analysis of modal 10gic I:Normal modal propositiOnal calCuli'',Z2ケ
И2″ ιttα ″力 9,pp 67-96.
″′ι
鱈 9η 力 ″ ′
ηα肋♂物αあ θttι L9多 力 2η
Fs・
θ力
″
"力
力¢L9騨 カクηブ
なθ
ηぅ
″″ηαttθ ttα 力
力″
んθ
'G解
形ゲ
う
MakinsOn,D l1966,“ On some completeness theorems in mOdallogic",之
″ 12,pp 379 384.
″クサ
Gttη 軽9η 虎/Mρ ″¢
'ι
Relat e neceSSity",カ ク糊 ,Jげ
Smiley,T.J:1963,“
働 ″う施 L9μ θ 28,pp
l13 134.
Fly UP