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トルコの「投資インセンティブ制度」(1)

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トルコの「投資インセンティブ制度」(1)
January 7, 2014
1.トルコの「投資インセンティブ制度」(1)
2.政治・経済・産業トピックス
3.主要国の経済指標
1. トルコの「投資インセンティブ制度」(1)
はじめに
トルコでは、2012 年 4 月に発表された「新投資インセンティブ法(官報 2832 号/法令 2012/3305)」により、新た
な投資インセンティブ制度が導入されています。
「新投資インセンティブ法」は、「一般」・「地域」・「大規模」・「戦略」投資に対する投資奨励(インセンティブ)策を主
たる内容としています。(2013 年 2 月に追加項目が発表されています)
これらの新しい投資奨励策については、トルコへの直接投資に関心がある企業にはよく知られているものですが、
これ以外にも、トルコ政府は「R&D」・「中小企業」・「工業団地」・「フリーゾーン」等に関する投資インセンティブ制度を
用意しています。
今回から計 2 回に亘り、これらトルコの投資インセンティブ制度や投資奨励策の概要についてレポートします。
本レポートが、現在トルコ進出を検討されている企業の皆様に、投資対象国としてトルコを選ぶ優位性を理解頂く
上での、一助となることを祈念申し上げます。
〔第1部〕
(Ⅰ)「一般」・「地域」・「大規模」・「戦略」投資奨励策
(1)一般投資奨励策
本レポートの全体構成は左図の通りです。
尚、投資プロジェクトによっては複数の投資奨励
(2)地域投資奨励策
(3)大規模投資奨励策
策が同時に適応される、または適応されない場合も
(4)戦略的投資奨励策
あります。
(5)要素の説明
本レポートに記載された投資奨励策や投資インセ
〔第2部〕
ンティブ制度の詳細につきましては、トルコ共和国投
(Ⅱ)R&D支援
(Ⅲ)中小企業支援
(Ⅳ)工業テーゼ (SANTEZ) プログラム
(Ⅴ)技術開発案件に対する貸付
(Ⅵ)訓練支援
(Ⅶ)政府の輸出奨励策
(Ⅷ)工業団地 (OIZ)
(Ⅸ)フリーゾーン
(Ⅹ)フィード・イン・タリフ(固定価格買取制度)
資促進機関・東京事務所までお問い合わせ下さいま
す様、お願い申し上げます。
本稿の出所は、主に当機関の公式ウェブサイト
( http://www.invest.gov.tr )となっております。
1
〔第1部〕
(Ⅰ)「一般」・「地域」・「大規模」・「戦略」投資奨励策
新投資奨励(インセンティブ)策は、中間財の輸入依存を減らす可能性のある投資を奨励すること、経常赤字の減少、
補助水準の引き上げ、クラスタリング活動の推進、技術移転、雇用促進、中小企業支援などを主な目的としています。
トルコ政府は、トルコ後発地域への投資を促進するために、トルコ全土を県単位で 6 つの地域(Regions)グレードに分
類しており、投資奨励策も地域グレードにより適用されるもの、されないものがあることにご留意が必要です。
但し、「一般」投資と「戦略」投資については、投資地域に関わらずほぼ同等のインセンティブが供与されます。
本投資奨励策の枠組みの中で提供されるインセンティブ要素については、以下の表1を、地域(Regions)グレードを示
した表2と併せてご参照ください。
〔表1:投資奨励策とインセンティブ要素〕
一般投資
地域投資
大規模
投資
戦略的
投資
付加価値税の免除
〇
〇
〇
〇
関税の免除
〇
〇
〇
〇
減税枠
-
〇
〇
〇
社会保障費補助 (雇用者負担分)
-
〇
〇
〇
従業員の所得税免除*
-
〇
〇
〇
社会保障費補助(被雇用者負担分)*
-
〇
〇
〇
支払利子補助**
-
〇
-
〇
土地供与
-
〇
〇
〇
付加価値税払戻***
-
-
-
〇
サポート方式
〔表2:地域(Regions)グレード〕
2
*
第 6 地域への投
資に適用。
** 第 3~6 地域向け
地域投資奨励策
で適用。
*** 5 億トルコリラ以
上の戦略的投資
奨励策で適用。
〔表3:地域(Regions)グレード(県名リスト)〕
第1地域
Ankara
Antalya
Bursa
Eskişehir
Istanbul
Izmir
Kocaeli
Muğla
第2地域
Adana
Aydın
Bolu
Çanakkale (注 )
Denizli
Edirne
Isparta
Kayseri
Kırklareli
Konya
Sakarya
Tekirdağ
Yalova
第3地域
Balıkesir
Bilecik
Burdur
Gaziantep
Karabük
Karaman
Manisa
Mersin
Samsun
Trabzon
Uşak
Zonguldak
第4地 域
Afyonkarahisar
Amasya
Artvin
Bartın
Çorum
Düzce
Elazığ
Erzincan
Hatay
Kastamonu
Kırıkkale
Kırşehir
Kütahya
Malatya
Nevşehir
Rize
Sivas
第5地域
Adıyaman
Aksaray
Bayburt
Çankırı
Erzurum
Giresun
Gümüşhane
Kahramanmaraş
Kilis
Niğde
Ordu
Osmaniye
Sinop
Tokat
Tunceli
Yozgat
第6地域
Ağrı
Ardahan
Batman
Bingöl
Bitlis
Diyarbakır
Hakkari
Iğdır
Kars
Mardin
Muş
Siirt
Şanlıurfa
Şırnak
Van
Bozcaada &
Gökçeada
(注)「第 6 地域」指定の“Bozcaada”と“Gökçeada”を除く
(1)一般投資奨励策
投資が行われる地域にかかわらず、特定の生産量条件および最低投資額の両方を満たす全てのプロジェクトは
「一般」投資奨励策の対象となります。
ただし、一部の産業を対象とする投資は、投資優遇(インセンティブ)制度から除外される場合があります。
最低投資額は、「第 1・第 2 地域」は 1 百万トルコリラ以上、「第 3~第 6 地域」では 50 万トルコリラ以上です。
主な投資優遇(インセンティブ)の内容は以下の通りです。
①関税の免除:
投資インセンティブ証明書(事前の申請に基づき所轄官庁によって発行される)に記載されたプロジェクトのために
輸入された機械、設備などについて関税免除。
②付加価値税(VAT)の免除:
投資インセンティブ証明書に記載されたプロジェクトのために輸入もしくは国内で購入された機械、設備などについ
て VAT 免除。
(2)地域投資奨励策
各地域における奨励策の対象となる投資セクターは、奨励の度合が各地域の発展レベルや将来性、経済規模等
により異なるので、個別に定められています。
本奨励策の対象となる投資の最低投資額は地域、セクターの組み合わせごとに定められていますが、「第 1・第 2
地域」の場合は 1 百万トルコリラ以上、「第 3~第 6 地域」の場合は 50 万トルコリラ以上となっています。
地域投資奨励策の対象となるセクターについては、『法令 2012/3305 号の Annex 2A』を参照してください。
(「セクターコード」1〜50 は、当該 US-97 コードに対応しています。当該 US-97 コードで検索の上、地域投資奨励
策の対象となるかご確認ください。)
地域投資奨励策の対象となる地域の詳細については、以下URLから『法令 2012/3305 号のAnnex 2B』を参照して
ください。( http://www.invest.gov.tr/en-us/investmentguide/investorsguide/pages/incentives.aspx の右上から三
段目のリンク)
3
地域投資奨励策において提供される支援の条件および割合については、次の表を参照してください。
〔表4:地域投資奨励策の条件など〕
地域
インセンティブの種類
第1地域
付加価値税(VAT)の免除
関税の免除
税の低減率(%)
税率
適用税率(%)
投資に対する減税枠 工業団地外(注)
(%)
工業団地内(注)
社会保障 補助期間 工業団地外(注)
工業団地内(注)
費補助
(雇用者負 補助上限 工業団地外(注)
担分)
(%)
工業団地内(注)
土地供与
トルコリラ建借入
支払金利補助
外貨建借入
社会保障費補助(被雇用者負担分)
所得税源泉徴収への補助
第2地域
第3地域
第4地域
第5地域
第6地域
70
6
30
40
6年
7年
25
35
80
4
40
50
7年
10年
35
なし
90
2
50
55
10年
12年
なし
なし
4.0%
1.0%
-
5.0%
2.0%
-
7.0%
2.0%
10年
10年
YES
YES
50
10
15
20
2年
3年
10
15
55
9
20
25
3年
5年
15
20
60
8
25
30
5年
6年
20
25
YES
-
-
-
-
3.0%
1.0%
-
(注)「工業団地」とは“OIZ:Organized Industrial Zones”を指す。以下同じ。詳細は第二部で説明。
〔表5:地域投資奨励策において稼働前/稼働後期間に適用できる減税枠の割合〕
稼働前期間
稼働後期間
第1地域
0%
100%
第2地域
10%
90%
第3地域
20%
80%
第4地域
30%
70%
第5地域
50%
50%
第6地域
80%
20%
尚、地域投資奨励策の特例として、『新投資インセンティブ制度』では、下記の投資を"優先投資"として定義し、投
資の地域に関わらず、地域投資奨励策の「第 5 地域」に適用されるインセンティブを享受できるとしています。
(優先投資が「第 6 地域」で行われる場合は、「第 6 地域」のインセンティブが適用されます。)
z 閣僚評議会(Council of Ministers)の定める文化観光保護開発地域における観光関連投資。
z 鉱業関連投資。
z 鉄道および海運に関する投資。
z 製薬業、防衛、宇宙産業における特定の投資で、20 百万 TL を超えるもの。
z 自動車、宇宙、防衛産業のための試験設備、風洞実験などに関する投資。
z 民間による小学校、中学校、高等学校に関する投資。
z 屋内面積 50,000 ㎡以上の国際展示場に関する投資。
z 化学工業技術省、TUBITAK、KOSGEB の支援する事業によって開発された製品を生産するための投資。
z 自動車生産で 3 億 TL 以上の投資。
z エンジン生産に関わる 75 百万 TL 以上の投資。
z エンジン部品、変速機部品、自動車用電子部品に関わる 20 百万 TL 以上の投資。
z エネルギー天然資源省が発行した有効な採掘ライセンスと許可の範囲内で、鉱業法 No. 3213 において 4-b
グループに分類される金属が動力として使用される発電に関する投資。
4
(3)大規模投資奨励策
トルコの技術や研究開発能力、競争力を推進する可能性のある下記 12 の投資分野は大規模投資奨励策のイン
センティブを享受できます。
〔表6:大規模投資奨励策の最低金額バー〕
投資分野の概要
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
石油生産性製品の生産
化学製品の生産
港湾ならびに港湾サービス
a) 自動車のOEM
b) 自動車部品
鉄道、鉄道用動力、および列車
輸送パイプライン・サービス
エレクトロニクス
医療、高精度、光学機器
薬剤
飛行機、宇宙用機器および部品
機械(電気機械、機材を含む)
鉱業(金属生産を含む)
最低投資額
(百万トルコリラ)
1,000
200
200
200
50
50
大規模投資奨励策において提供される支援の条件および割合については、次の表を参照してください。
〔表7:大規模投資奨励策の条件など〕
地域
インセンティブの種類
第1地域
付加価値税(VAT)の免除
関税の免除
税の低減率(%)
税率
適用税率(%)
投資に対する減税枠 工業団地外
(%)
工業団地内
社会保障 補助期間 工業団地外
工業団地内
費補助
(雇用者負 補助上限 工業団地外
担分)
(%)
工業団地内
土地供与
社会保障費補助(被雇用者負担分)
所得税源泉徴収への補助
第2地域
第3地域
第4地域
第5地域
第6地域
70
6
40
50
6年
7年
10
11
80
4
50
60
7年
10年
11
なし
90
2
60
65
10年
12年
なし
なし
-
-
10年
10年
YES
YES
50
10
25
30
2年
3年
3
5
55
9
30
35
3年
5年
5
8
60
8
35
40
5年
6年
8
10
-
-
-
YES
〔表8:大規模投資奨励策において稼働前/稼働後期間に適用できる減税枠の割合〕
稼働前期間
稼働後期間
第1地域
0%
100%
第2地域
10%
90%
第3地域
20%
80%
第4地域
30%
70%
5
第5地域
50%
50%
第6地域
80%
20%
地域/大規模投資インセンティブ制度内の投資が以下のような場合、減税枠および社会保障費補助(雇用者の負担
分)において、1 階級上の地域に適用されるインセンティブを享受できます。
• 工業団地(OIZ)内の場合
• 同業種の企業 5 社以上が共同投資によって統合を強める場合
上記の例として、「第 3 地域」の OIZ 内への投資の場合、「第 4 地域」の減税枠が適用されます。
同様に、「第 6 地域」の OIZ 内への投資の場合には、減税枠が 5%増加し 65%となります。
(4)戦略的投資奨励策
以下の全ての条件を満たす投資については、戦略的投資奨励策のインセンティブを享受できます。
• 投資により生産する製品の国内生産量がその輸入量よりも少ない。
• 投資額が 50 百万 TL 以上。
• 40%以上の付加価値を創出する。(この条件は、製油所や石油化学製品への投資には適用されません。)
• 投資により生産する製品の総輸入額が過去一年間で 50 百万米ドル以上。(ただし、本項目はトルコ国内での生
産が全くない製品の投資については該当しない。)
戦略的投資奨励策において提供される支援の条件および割合については、次の表を参照してください。
〔表9:戦略的投資奨励策の条件など〕
地域
インセンティブの種類
第1地域
付加価値税(VAT)の免除
関税の免除
税の低減率(%)
税率
適用税率(%)
投資に対する減税枠(%)
社会保障費補助 補助期間
(雇用者負担分) 補助上限(%)
土地供与
トルコリラ建借入
支払金利補助
外貨建借入
最低補助額(注)
社会保障費補助(被雇用者負担分)
所得税源泉徴収への補助
第2地域
第3地域
第4地域
第6地域
YES
YES
90
2
50
7年
15
10年
なし
YES
5.0%
2.0%
50,000TL
-
-
-
-
-
10年
10年
YES
(合計投資額5億トルコリラを超える場合に、建屋および建設費に
ついてのVATが対象。)
付加価値税(VAT)の払戻
(注)投資額の 5%で 50 百万 TL を上限とする。
〔表10:戦略的投資奨励策における稼働前/稼働後期間に適用される投資の寄与率〕
第1地域
第5地域
第2地域
稼働前期間
第3地域
50%
稼働後期間
50%
第4地域
第5地域
第6地域
80%
20%
6
(5)要素の説明
①減税枠:
『投資インセンティブ制度』で指定された減税枠(投資総額に対する一定割合)を「使い切る」まで、本来 20%の法人
所得税が「適用税率」まで下げられます。
②社会保障費補助(被雇用者負担分):
投資により増加した雇用については、法定最低賃金に基づき計算された社会保障費の被雇用者負担分を政府が
負担します。この補助は投資インセンティブ証明書に「第 6 地域」と記載されている場合に限ります。社会保障費補
助には上限がなく、10 年間申請することができます。
③社会保障費補助(雇用者負担分):
投資により増加した雇用については、法定最低賃金に基づき計算された社会保障費の雇用者負担分を政府が負
担します。総投資額の一部はこの補助に上限があります。上限の額は、不動産などを除く固定資産への総投資額
に以下の割合をかけて計算されます。雇用者負担分の社会保障費の補助は 2014 年以降の投資に対しての支給
期間が短縮される予定です。
④所得税源泉徴収への補助:
投資インセンティブ証明書に記載された投資によって採用される被雇用者の所得税については、控除の必要がな
くなります。この補助は投資インセンティブ証明書に「第 6 地域」と記載されている場合に限ります。所得税源泉徴
収への補助は上限がなく、10 年間申請することができます。
⑤支払金利の補助:
投資インセンティブ証明書に記載された投資の支払金利について、最低 1 年の間補助が受けられます。投資イン
センティブ証明書に記載された設備投資額の最大 70%までの借入金の金利の一部(下記の上限あり)を政府が負
担します。
第1地域
-
第2地域
-
第3地域
第4地域
第5地域
第6地域
トルコリラ建て
3.0%
4.0%
5.0%
7.0%
外貨建て
-
-
1.0%
1.0%
2.0%
2.0%
補助額上限
-
-
500千TL
600千TL
700千TL
900千TL
⑥土地の供与:
投資インセンティブ証明書に記載のある投資については、財務庁が定めた基準と原則に従い、土地が供与される
場合があります。(土地の供与については、土地を所有する財務庁、地方自治体などとの個別交渉によって可否
が判断されるため、一般的には相当規模の投資のみが対象となりえます。)
⑦付加価値税(VAT)の払戻:
設備投資の合計額が 5 億 TL を超える戦略的投資については、建設費の VAT が払い戻されます。
次回は「(Ⅱ)R&D 支援」他の『投資インセンティブ制度』について解説します。
(記事提供:トルコ共和国首相府投資促進機関東京事務所 所長、関仁)
(財)日本生産性本部経営コンサルティング部、アジア生産性機構
総務財務官、国際連合工業開発機関東京事務所次長を経て現
職。玉川大学非常勤講師。
7
2.政治・経済・産業トピックス
【政治・経済】
■ (ロシア)-ウクライナ向けに 150 億ドル相当の金融支援実施を発表
12 月 17 日、ロシア・プーチン大統領とウクライナ・ヤヌコビッチ大統領がモスクワで会談。貿易・経済協力の強化で
合意すると共に、ロシアからウクライナへ 150 億ドル規模の融資や天然ガス価格引き下げなどの支援を行うと発表。
ヤヌコビッチ大統領は、11 月下旬の欧州連合との自由貿易協定(FTA)を含む「連合協定」署名を見送る一方で、ロシ
アとの協力関係を強化する方針に転換。ウクライナ国内ではロシアとの関係強化へ反対する勢力のデモが発生。
■ (トルコ)-建設工事疑惑で現役閣僚親族などを警察が摘発、エルドアン首相は警察と対決する姿勢
12 月 17 日トルコ警察発表。建設事業絡みの贈収賄疑惑で、現役閣僚の子息や国営銀行頭取らを拘束し起訴。エ
ルドアン首相は、3 月の地方選挙を前にした、現政権に対する中傷工作と警察を批判、数十名の警察幹部更迭を実施。
イスタンブールでは、内閣総辞職を求める数千人規模のデモが発生。25 日に、今回起訴された中に親族が含まれて
いたギュレル内相、チャーラヤン経済相及びバイラクタル環境都市相など現役閣僚 3 名が辞任表明。
■ (米国)-第 3 四半期実質GDP成長率(確定値)4.1%増に上方修正、個人消費や設備投資などが寄与
12 月 20 日、米商務省発表。第 3 四半期実質 GDP(確定値)は、季節調整済み年率換算で前期比 4.1%増に、改
定値比で 0.5%の上方修正。4%台の高い成長率は 2011 年第 4 四半期に記録した 4.9%増以来。米景気の主力エン
ジンである個人消費の伸びに加え、輸出や企業の設備投資の拡大が寄与。
■ (フランス)-第 3 四半期実質 GDP 成長率(確定値)0.1%のマイナス成長、但しリセッション入りは回避見込み
12 月 24 日発表。第 3 四半期実質 GDP 成長率(確定値)は、季節調整済み年率換算で前期比 0.1%マイナス。一
方、フランス国立統計経済研究所が 19 日に公表した経済見通しでは、第 4 四半期 GDP 成長率を前期比 0.4%増と
予想。2 四半期連続でマイナス成長となる、リセッション(景気後退)入りは回避出来るとする。
【制度・規制】
■ (欧州連合)-セルビアの EU 加盟交渉開始を閣僚理事会で決定、旧ユーゴからは 3 ヵ国目
12 月 17 日、欧州連合(EU)閣僚理事会は、旧ユーゴスラビアのセルビアの EU 加盟交渉を 2014 年 1 月下旬か
ら開始することで合意。旧ユーゴスラビア諸国ではスロベニアとクロアチアが EU 加盟を果たしている。
■ (イタリア)-国内でインターネット広告事業を展開する多国籍企業向けに新たな規制の導入を決定
12 月 23 日、イタリア議会がインターネット広告ビジネスを展開している多国籍企業を対象に、イタリアで広告を出
す場合には在イタリア企業との取引を義務付ける、通称「グーグル税」の導入を決定。ターゲットとされた多国籍企業
は、欧州事業拠点を法人税率が低いアイルランドなどに置き、「BEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸
食と利益移転)」と総称される、積極的節税行動を採っているとされる。これに対し、税収不足が深刻化し財政悪化に
苦しむ EU 諸国では適正な税負担を求める声が高まっていた。
8
3.主要国の経済指標
米国
単位
2012
2013/1Q
実質GDP成長率
%
2.8
1.1
インフレ率
%
2.1
1.5
貿易収支
億ドル
-5,346
-1,236
経常収支
億ドル
-4,404
-1,048
政策金利
%
0.00-0.25
0.00-0.25
外国為替相場
対円
86.38
94.09
株価
13,104.14
14,578.54
失業率
%
8.0
7.6
(出所:米商務省、米労働省、連邦準備理事会など)
2013/2Q
2.5
1.8
-1,178
-989
0.00-0.25
99.25
14,909.60
7.6
2013/3Q
4.1
1.2
EU
単位
2012
実質GDP成長率
%
-0.4
インフレ率
%
2.6
貿易収支
億ユーロ
1,042
経常収支
億ユーロ
1,108
政策金利
%
0.75
外国為替相場
対ドル
1.3217
株価
ユーロ
2,635.93
失業率
%
11.4
(出所:EUROSTAT、ECBなど)
2013/1Q
-0.2
1.7
391
325
0.75
1.2823
2,624.02
12.1
2013/2Q
0.3
1.6
437
537
0.50
1.3000
2,602.59
12.1
2013/3Q
0.1
1.3
ブラジル
単位
2012
2013/1Q
実質GDP成長率
%
0.9
1.9
インフレ率
%
5.40
6.60
貿易収支
億ドル
195
-52
経常収支
億ドル
-542
-248
政策金利
%
7.25
7.25
外国為替相場
対ドル
2.0479
2.0185
株価
レアル
60,952.08
56,352.09
失業率
%
5.5
5.7
(出所:地理統計院(IBGE)、ブラジル中銀など)
2013/2Q
3.3
6.70
21
-185
8.00
2.2087
47,457.13
6.0
2013/3Q
2.2
5.86
15
-171
9.00
2.2246
52,338.19
5.4
Sep-13
Oct-13
Nov-13
5.86
22
-26
9.00
2.2246
52,338.19
5.4
5.84
-2
-71
9.50
2.2219
54,256.20
5.2
10.00 各期末日レート
2.3350 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート
52,482.49 ボベスパ指数、各期末日終値レート
2012年=年間平均値、Qは各期末月
トルコ
単位
実質GDP成長率
%
インフレ率
%
貿易収支
億ドル
経常収支
億ドル
政策金利
%
外国為替相場
対ドル
株価
リラ
失業率
%
(出所:トルコ中銀など)
2013/1Q
3.0
7.3
-217
-159
5.50
1.8102
85,898.99
9.4
2013/2Q
4.5
8.3
-288
-204
4.50
1.9305
76,294.51
8.8
2013/3Q
4.4
7.9
-245
-120
4.50
2.0207
74,486.56
9.9
Sep-13
Oct-13
Nov-13
7.9
-75
-34
4.50
2.0207
74,486.56
9.9
7.7
-74
-29
4.50
1.9952
77,620.37
2013/1Q
1.6
7.1
540
251
8.25
31.0830
1438.57
5.7
2013/2Q
1.2
6.9
492.7
34
8.25
32.8160
1330.46
5.4
2013/3Q
1.2
6.9
507
11
5.5
32.3800
1462.82
5.2
Sep-13
1.0
6.1
186.3
Oct-13
1.4
6.3
153.3
5.5
32.3800
1,462.82
5.3
5.5
32.0870
1,510.21
5.5
2013/1Q
0.9
5.9
151
-544
5.00
9.2045
35,259.10
25.2
2013/2Q
3.0
5.5
142
-547
5.00
9.9249
35,051.49
25.6
2013/3Q
0.7
6.0
285
-631
5.00
10.0500
39,449.84
24.7
Sep-13
2012
2.2
6.2
-657
-475
5.50
1.7862
78,208.44
9.5
ロシア
単位
実質GDP成長率
%
インフレ率
%
貿易収支
億ドル
経常収支
億ドル
政策金利
%
外国為替相場
対ドル
株価
ルーブル
失業率
%
(出所:ロシア中銀など)
2012
南アフリカ
単位
実質GDP成長率
%
インフレ率
%
貿易収支
億ランド
経常収支
億ランド
政策金利
%
外国為替相場
対ドル
株価
ランド
失業率
%
(出所:南ア準備銀行など)
2012
(注)
3.4
5.1
1,923
714
8.25
30.5000
1474.72
5.7
2.5
5.6
-755
-1,976
5.00
8.4733
34,795.50
24.9
-948
0.00-0.25
98.13
15,129.67
7.2
0.50
1.3535
2,893.15
12.2
Sep-13
Oct-13
Nov-13
備考
季節調整済み、前期比、年率表示、3QTは12/20発表の改訂値
1.2 消費者物価指数(CPI)、前年同期比、Qは各期末月
国際収支ベース
1.2
-418
1.0
-406
0.00-0.25
98.13
15129.67
7.2
0.00-0.25
98.27
15545.75
7.3
0.00-0.25
102.43
16086.41
7.0
FF金利誘導目標
各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート
NYダウ工業株30種、各期末日レート
2012年=年間平均値、Qは各期末月
Sep-13
Oct-13
Nov-13
備考
EU28カ国、季節調整済み、前期比
消費者物価指数(CPI)、EU28カ国、前年同期比、Qは各期末月
ユーロ圏17カ国
ユーロ圏17カ国
各期末日レート
各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート
ユーロ・ストックス50指数、各期末日レート
ユーロ圏17カ国、2012=年間平均値、Qは各期末月
1.3
109
0.9
172
1
0.50
1.3535
2893.15
12.2
0.50
1.3593
3067.95
12.1
0.25
1.361
3086.64
Oct-13
6.0
-189
5.5
-124
5.00
10.0500
39,449.84
5.00
10.0310
40,658.55
過去2週間以内に変更された指標など。
備考
前年同期比
5.78 拡大消費者物価指数(IPCA)、前年同月比、Qは各期末月
備考
前年同期比
7.3 消費者物価指数(CPI)、前年同期比、Qは各期末月
4.50 各期末日レート
2.0223 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート
75,748.27 イスタンブールナショナル100種、各期末日レート
各期末日レート
Nov-13
備考
前年同期比
6.5 前年同期比
5.5
33.0940
1,479.35
5.4
各期末日レート(2013年9月より、リファイナンス金利から1週間物入札レポ金利に変更)
各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート
MICEX指数、各期末日レート
2012年=年間平均値
Nov-13
備考
季節調整済み、前期比、年率表示
5.3 2012年は年平均、Qは各期末月の前年同期比
5.00 各期末日レート
10.1820 各期末日(LONDON市場の午後4時30分時点)レート
40,169.32 FTSE/JSEアフリカトップ40指数、各期末日レート
四半期毎の発表、2012は第4四半期、各期末日レート
(作成日:2013年12月25日)
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(編集・発行) 三菱東京 UFJ 銀行 国際業務部 教育・情報室
(照会先) 片倉 寧史
(e-mail): [email protected]
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