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化学療法を受けられる方へ

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化学療法を受けられる方へ
唐津赤十字病院
はじめに
化学療法とは
化学療法の目的
抗癌剤の投与方法
点滴中のご注意
化学療法によって起こりうる副作用と発現時期について
副作用および対処方法
過剰反応
吐き気・おう吐・食欲不振
骨髄抑制
① 白血球の減少と感染
② 赤血球の減少と貧血
③ 血小板の減少と出血
口内炎
便秘と下痢
腎障害
爪の色
色素沈着
脱毛
神経障害・神経痛
関節痛
筋肉痛
その他の日常生活の注意
おわりに
自宅で対処できない副作用がおこったときの緊急連絡先
1
このたび、通院での治療を受けられる事になり、いろいろ
心配な事や不安な事があると思います。入院せずに治療を続
けられる事には、良い面がたくさんあることがわかっていま
す。たとえば、ご家族と一緒に慣れた自宅で生活を続けられ
るので、精神的にとてもリラックスし、自分のペースで生活
を組み立てる事が出来ます。また体調をみながら仕事を続け
る事も出来るので、精神的に張りが出るようです。
その一方で、常に医療者が近くにいるわけではないので、何
か症状が起こった時に、なぜそうなったのか、どうすればよ
いのか分からなくて、不安になったという経験を持つ人も多
くいるのが、通院治療の特徴です。
その不安や心配事が解消でき、治療が少しでも楽に続けら
れるように、お手伝いしたいと思っています。
充分に目を通された上で、今後の治療に前向きに取り込んで
いただければ幸いです。
わかりにくいことなどは、お気軽にお尋ねください!!
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抗がん剤を用いて全身的に、がん細胞を攻撃する治療のことです。
化学療法は悪い細胞をこわすことができますが、健康な細胞へも
影響があり、副作用が現れることがあります。
化学療法の目的
がん細胞を殺すだけでなく、がんを小さくしたり増殖を遅らせる
ことで、がんによる症状を緩和し、患者様の“生活の質”を、よ
りよく維持することです。また“手術後の再発防止”“手術や放射
線療法をより有効におこなうため”に用いることもあります。
抗がん剤の投与方法
主な投与方法は、飲み薬、点滴、注射です。ご自分の治療が、ど
のくらいの間隔で、どのくらいの期間の治療になるのか、医師が
説明いたします。
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点滴中のご注意!!
点滴を受けながら、トイレに行く事は出来ますが、不自由な点
も多いので、点滴の前はトイレをすませておいた方が良いでしょ
う。腕の静脈から点滴をします。針は血管外にもれにくい静脈留
置針を使っていますので、ほとんどもれる事はありません。しかし、
血管がとても細くて針が入りづらい時、血管壁がもろくて弱いよ
うな時には、もれる事もあります。抗がん剤が皮下にもれてしま
った場合、抗がん剤の種類によっては処置を行う必要があります。
点滴中、腕をうごかさずにいる必要はありません。リラックス
した体勢で治療を受けましょう。ただし
点滴の管が引っ張ら
れたり、身体の下になったりしないように気をつけましょう。
もし、点滴中に次のような症状があったら我慢せず、すぐに看
護師や医師に知らせましょう。
◆ 注射部位に痛みや熱感がある。
◆ 注射部位の周りが腫れてきた。
◆ 注射部位の周囲が赤くなっている。
◆ 点滴中に気分が悪くなった。
◆ 点滴の滴下が悪い。又は止まってしまった。
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点滴の針を抜いた後は、決してもまないでしっかり押さえて下さ
い。押さえ方が不十分な時に、内出血を起こすことがあります。内
出血時をおこすと、しばらく圧痛が続く事があります。点滴の針を
抜いた後は、5分間を目安に指で押さえて止血を行うようにして
頂いております。御協力お願い致します。
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化学療法によって起こりうる副作用と発現時期に
投与中
・アレルギー反応:
動悸 息苦しさ
皮膚のかゆみ
皮膚が赤くなる
身体が熱くなる
・血管痛
投与後から数日
・発熱
・吐き気・嘔吐
・皮膚が赤くなる
・じん麻疹
・かゆみ
投与翌日から一週間位
・食欲不振・嗜好の変化
・吐き気・嘔吐
・下痢・腹痛
・腹満感・便秘
・身体のだるさ
・味覚の異常
・ 口内炎・口内の乾燥
一週間前後から数週間位
・感染:発熱を伴う事も多い
歯肉炎 歯の痛み 歯の浮いた感じ
咽頭炎 風邪症状
下顎の腫れ
膀胱炎 排尿時の痛み 残尿感 血尿
肛門周囲炎 便通時の痛み(痔があると起こりやすい)
腸炎 下痢 腹痛
・出血:(鼻血・歯肉の出血・皮膚の青あざ)
・脱毛:特に二週間目の後半から三、四週間
・血管炎
数週間から数ヶ月
・貧血:(めまい 立ちくらみ)
・色素沈着:(手足の皮膚や爪が黒くなる)
・爪の変形
・手足などの皮膚の角化・亀裂
数ヶ月以降
・手足のしびれが続く
・においを感じにくくなり、
味覚の変化が続く
・下肢の筋肉のこわばり
・肺障害、腎障害、
心機能の低下
以上に記載された症状の全てが現れるというわけではありません。発現程度
についても薬の種類、患者様の身体の状態などによってさまざまで、個人差が
あります。自分の受ける抗がん剤治療によって起こりやすい副作用を確認して
おきましょう。
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点滴中、または点滴後に、まれですがアレルギー症状が起こる事が
あります。
・脈が速い
・息苦しい
・胸が痛い
・心臓がドキドキする
・顔がほてる
・汗がでる
・発疹がでる
・身体にかゆみを感じる
出現時期
通常は投与中又は投与直後、時には数日後に特殊な発疹として
現れる事もあります。即日に出たものであれば、数分から数時間
以内によくなります。後々に生じたものであれば、数日間かかる
事もあります。
対処方法
・上記のような症状がありましたら、すぐに医師、看護師にお知らせ下さい。
・家に帰った後に症状が現れた時は、掻きむしったり、市販されている
薬を飲んだり、塗ったりせずに、まず受診して下さい。
・受診後、かゆみに対しては、冷たいタオルで体を拭いたりアイスノン
をタオルで覆いかゆみのある所にあてると、おさまる事があります。
また、ぬるま湯に1/4カップの重曹を入れて入浴する方法もあります。
(熱めの湯はかゆみをひどくさせる事があります。)薬は病院で処方さ
れたものを飲んで下さい。
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抗がん剤による吐き気は、人によって違いがあるようです。精神的・心理的
な影響を強く受けやすい症状です。何ともなかったという方もいます。
食欲がなくなる・胃あたりが重くむかむかする。喉元まで物が詰まっているよ
うな気持ちがする等の症状を訴える方もいます。もしも吐き気があるときは、
吐き気を抑える薬(飲み薬・座薬・注射)などがあります。
診察時に医師に相談して下さい。
出現時期
最もでやすい時期は、点滴後数時間(約5~6時間後)から2~3日位です。
一週間以内に治まります。
対処方法
・治療の前日は十分に睡眠をとりましょう。
・緊張が強いと、気分不良や吐き気を催します。できるだけリラックスした
状態で治療が受けられるよう、読書をしたり、音楽を聴いたりしてみまし
ょう。
(本やラジオ、ウォークマン、などを持参している方もいらっしゃいます)
・吐き気がでてきたら、横向きに寝て膝を深く曲げ、おなかの緊張をとり、ゆ
っくりと深呼吸をして気分をリラックスさせましょう。
・急な動きは嘔吐中枢を刺激するので、ゆっくりとした動きをしましょう。
・胃の運動を抑えるために胃にクールパックを当て冷やしたり、頭を冷やし目
を閉じ静かにしてみましょう。
・口の中の不快感は吐き気を誘発させるので、さっぱりと清潔にさせるために
番茶、レモン水、氷水でうがいをしましょう。
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・嘔吐した場合は吐物を速やかにかたづけ、汚れた衣服は清潔なものと交換し、
窓を開けて空気の入れ替えをしましょう。
・食事の工夫
①熱い食べ物の臭いは吐き気を増強させるので冷ましてから食べましょう。
②脂っこいものは胃の中にとどまる時間が長いので、脂肪が少なく刺激の少
ないさっぱりとした口当たりの良い物が食べやすいようです。
(アイスクリ
ーム、ヨーグルト、水分の多い果物、梅干、好きな食べ物)
③吐き気が強い時は無理に食べなくてもよいでしょう。
④嘔吐が長く続く時は、脱水予防のため水分摂取を心がけましょう。
(冷えた無添加の果汁、スポーツドリンク、栄養バランス飲料など)
・吐き気止めのつぼを試してみましょう。
指圧部位:手首から3本指の下で2本の筋の真中辺り
押し方 :ひと押し3秒・・・押しながら息をゆっくり吐き、離すとき
ゆっくり吸う。
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“骨髄”は骨の中にあり、血液を作り出す大切な働きをしています。化学療
法では薬の副作用によって、骨髄の働きを弱める作用があります。そのため血
液の中の成分・白血球・赤血球(ヘモグロビン)
・血小板などが減少します。そ
のため貧血、感染、出血などが起こりやすい状態になります。このような状態
を骨髄抑制といい、あらゆる合併症を起こさないように注意を要します。血液
の状態は、血液検査で調べますので、ご自分の状態に関心をお持ち下さい。
白血球の働きは、細菌、ウィルス、真菌感染から身体を守ることです。治療
中はこれらの機能(免疫機能)が低下し、感染を起こしやすくなります。
白血球数の正常値
総白血球数
顆粒球
好中球
好酸球
好塩基球
単球
リンパ球
4000~9000
2500~7500
40~400
10~100
200~800
1500~3500
出現時期
治療が始まって7日~14日が、白血球数の減る時期とされています。この
ような時期には患者様ご自身に感染予防をして頂く必要があります。また十分
に注意していても、感染する可能性はあります。次のような症状が現れたら早
めに医師、または看護師に連絡して下さい。
感染した時に出る症状
・38℃以上の熱
・のどの強い痛み
・頻回な咳
・頻回な下痢
・肛門痛の悪化
・傷口、吹き出物の周囲の発赤、または膨隆疹
・頻回な排尿と排尿時の痛み、血尿
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感染の予防
a) 口腔内の清潔を保つ
手洗い: 口からの感染率が高いので手指は清潔に、特に食事前、トイレの
後などは石鹸で手を洗いましょう。
うがい: うがいをこころがけましょう。特に外出後には必ず行うようにし
ましょう。医師よりうがい薬の処方のある方は、指示どうりに行
って下さい。
はみがき:歯垢は口腔内のバイ菌の巣になります。1日4回 毎食後と寝る
前に行い、除去しましょう。
b)皮膚の清潔を保つ
・シャワー浴、入浴の可能な方はできる限り行い、清潔な下着を身につけま
しょう。入浴できないときは、体を拭きましょう。
(熱があるときは、汗を
かき皮膚が汚れやすくなっています。)肌着は、毎日替えましょう。
・水虫・傷があれば症状を悪化させることがありますので、主治医にご相談
下さい。
c)
頭皮の清潔を保つ
・入浴やシャワー浴の時には、髪の毛も一緒に洗いましょう。
・櫛やブラシは、先が丸く目のあらいものを用意し、頭皮を傷つけないよう
にしましょう。
d) 陰部、肛門部の清潔を保つ
・トイレのたびにウォシュレットを使って、洗いましょう。シャワー浴時に、
陰部肛門部の汚れもきれいにしましょう。
・陰部や肛門部の傷・発赤・腫れ・痛み・痔などの症状があるときは、医師
または看護師にご相談下さい。
e) その他(白血球が減少している時)
・白血球が減少している時は風邪をひいている人に近づかないようにしまし
ょう。また、外出は控え人ごみは避けましょう。外出時はマスクを使用す
ることが必要です。帰ってきたら手洗いも行いましょう。
・入浴は控え清拭かシャワー浴にしましょう。
・必要に応じ白血球を増やすお薬を注射することもあります。
・医師から許可された以外は、いかなるワクチン接種も受けないようにしま
しょう。また、最近ワクチン接種を受けた人(幼児・子供)との接触を避
けましょう.
・食事は、加熱したものを食べましょう。
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骨髄で作られた赤血球の中のヘモグロビンという成分が、主に酸素の全身運
搬を行っています。治療中は赤血球が減少し、そのため貧血の状態になり、身
体全体に十分な酸素がいきにくくなります。
赤血球・血色素(ヘモグロビン)の正常値
赤血球
男性
女性
血色素
430~550 万
13.5~17.5g
370~500 万
11.5~15.5g
出現時期
治療後2ヶ月以上経った頃より出現します。
貧血の自覚症状
・歩行時の動悸
・疲れやすい
・息切れ
・全身倦怠感
・めまい
・耳鳴り
・立ちくらみ
・頭痛感
対処方法
・十分な睡眠をとり、無理をしないようにしましょう。
・動きはじめは、体位をゆっくり変えます。目覚めたばかりの時は、起き上
がる時に上半身を起こし、一息ついてから立ち上がると、症状が軽くなり
ます。
・血流を良くする為に、靴下あるいは湯たんぽなどを使用して保温に心がけ
てください。
・食事は3食規則正しくとり、鉄分を多く含む食品を摂るよう心がけましょ
う。 (レバー・牡蠣・卵黄・さんま・いわし・ほうれん草・春菊・胡麻・
ひじき等)
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血小板は出血を止める止血作用があります。血小板が減少すると出血し
やすくなります。
(血が止まりにくい・鼻出血を起こしやすい・青あざが出
来やすいなど)
血小板の正常値;15万~40万
血小板数と出血
血小板数
5~10 万
3~5 万
1~3 万
1 万以下
症
状
出血が止まりにくい。
皮下出血が現れる。歯肉及び鼻出血
消化管出血
脳内出血
出現時期
治療開始後7日~14日が血小板数の減る時期とされています。ほぼ白
血球減少と同時期に起こります。
出血の予防
a) 内出血(あおあざ)
・転倒や打撲をしないように気をつけて行動しましょう。
・きつめの衣類や長時間の立位は血管の圧迫により内出血が出やすくなりま
すので、ゆったりとした柔らかい生地を選びましょう。
・シャワー浴や清拭の時、皮膚を強くこすらないようにしましょ
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b) 鼻出血・歯肉出血
・鼻をかむ時は強くかまないで静かにかみましょう。シャワー浴の後などに
そっとかむと、鼻孔の汚れは取れやすくなります。
・歯ブラシは、柔らかいものを使用し、軽い力で磨いてください。
(薬局で市
販されている水歯みがきも便利です)
・歯の治療の際には主治医に相談しましょう。
c) 傷
・採血の後は5分以上しっかりと親指で圧迫し、その後止血を確認してくだ
さい。
・髭剃りは、皮膚に傷をつけない為にも、電気カミソリをつかいましょう。
はさみやナイフは、気をつけて使いましょう。
d) その他
・便が硬いと腸や肛門を傷つけることがあります。強くいきむことも、出血
を起こす原因となりますので、いつも便通を整えておきましょう。便が黒
っぽい、尿が赤いときは、医師または看護師にお知らせ下さい。
・便秘を予防するため、水分を多めに摂取するよう心がけましょう。
・アスピリンやアスピリン成分を含む製品(バファリン、バイアスピリン)
は使用なさらないでください。
・アルコールは血流を良くし、血液を固まりにくくするため避けましょう。
・急に激しく動く事はやめましょう。
・状況に応じ止血剤の点滴、血小板の輸血が行われます。
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化学療法による粘膜のあれや唾液の分泌障害により炎症が生じます。白血球
減少時に伴う感染でも発症します。
出現時期
通常、投与後5日~14日に出現し化学療法完了後に完治します。
対処方法
・うがいをこまめに行い口腔内の清潔に努めましょう。
・うがい薬が処方されている時は、それを使いうがいをしましょう。
・水分摂取を十分にし、常に口腔内を湿らせておきましょう。
・熱い食物や冷たい食物は口腔内の刺激の可能性があるため避けましょう。
・かんきつ類・生野菜・香辛料を多量に使った食物は口腔内を刺激するので
避けましょう。
・毎食後、柔らかい歯ブラシで歯を磨き1日最低4回、食後30分以内に
口腔内をきれいにしましょう。
・歯ブラシは小さめで柔らかいものを使い強く磨かないようにしましょう。
・入れ歯を使用している時は、歯状グリップを使わないで下さい。口腔内が
傷つく事があります。
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腸の中には大腸菌などの菌が常に存在し(常在細菌)、便を形作ったり腸の
バランスを整えたりしています。抗癌剤を行うとこれらの細菌のバランスが
崩れ便秘、または下痢が起こったりします。また、吐き気やだるさなどで食事
量が低下したり運動量が減る事でも便秘になりやすくなります。その他体質
などによっても個人差があります。便秘は、不快なだけでなく、出血をまね
事があります。
下痢は抗癌剤の副作用でもおこりますが、白血球が下がった時にも腸の感
染の症状として起こります。下痢になると身体の水分が失われ体力が低下した
り、肛門周囲が荒れたりして別の問題も生じてしまいます。下痢になってしま
ったら必ず医師、または看護師にお知らせ下さい。
便秘の出現時期
一般に、抗癌剤による便通の乱れは、2,3日から1週間ほどで治ります。
便秘の予防
・水分を多めにとりましょう。
・便意は我慢しないで、規則的な排便習慣をつけましょう。
(毎日決った時間に
トイレに行きましょう)
・朝起きた時に冷たい水、または牛乳を飲むとお腹が動きやすくなります。
・繊維の多い野菜や果物をたべましょう。
・家事や仕事をしたり、散歩などをして体を動かしましょう。
・ゆっくりとお風呂につかりながら、下腹部をマッサージしてみましょう。
(右側から左側へ円を描くようにマッサージします)
・抗癌剤の副作用による便秘は頑固なのもになることがあります。便秘と感じ
たら早めに下剤を使っていく事をお勧めします。
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下痢の時の注意!!
・ゆったりとした静かな環境で充分な休息をとりましょう。
・部屋をあたため、衣服や布団などで身体を温めましょう。
・肛門周囲が荒れやすくなりますのでお湯で拭いたり洗い流すなどして、清潔
にしましょう。
・頻回な下痢は、身体の水分が失われやすいので水分を摂取するようにしまし
ょう。温かいほうじ茶が刺激が少なくお腹にやさしいです。またスポーツド
リンクなどは電解質も補えます。ただし冷たい物は避けてください。
・食事の時はゆっくりかんで、食べられそうなものからお召し上がり下さい。
・消化の良い繊維の少ない食品を摂取しましょう。
・下痢止めを処方される場合もあります。
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抗癌剤の種類によっては腎臓に障害をもたらす場合があります。治療当日か
ら2~3日は水分を多めにとって尿を出すようにして下さい。尿量が急に減っ
たり、手や足にむくみが生じたりして体重が急に増えたりした時または、排尿
時痛、残尿感、尿が赤みを帯びるなどの症状がありましたら、医師または看護
師に連絡して下さい。
抗癌剤の種類によっては、手や足の爪が変色したり剥がれやすくなる事があ
ります。爪の変色は一時的なもので治療が終われば、少し時間がかかりますが
元に戻りますので心配いりません。
(爪のケア)
・適度に切りそろえる(爪に何かがひっかからないように~めくれて出血や疼
痛につながる)
・ヤスリの使用(縦さけを予防する)
・マニュキュアによるコーティングをするのもよいでしょう。
抗癌剤の種類によっては、皮膚が黒っぽく焼けたようになったり、点滴をし
た血管に沿って、色素沈着が起こることがあります。時間はかかりますが、少
しづつ元に戻ります。
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治療の副作用で脱毛が起こる場合もあります。抗癌剤の種類や量によって、
脱毛の程度は異なります。
出現時期
脱毛は治療後2~3週間くらいから全身の毛が抜けはじめます。
(頭髪・眉毛・まつげ・髪・陰毛)
しかし治療が終わると必ず生えてきます。治療が終了して1~2 ヶ月で再生
が始まり、3~6 ヶ月でほとんど回復します。
頭髪・頭皮のお手入れ
・脱毛がある時期も、髪をとかすこと、シャンプーすることは、頭皮の清潔を
保つ意味でも今まで通り行ってください。
・なるべく刺激の少ないシャンプーやリンスをお使い下さい。
・爪は短めに切り、指の腹でやさしく洗いましょう。
・ブラシは柔らかいものを使いましょう。
・ドライヤーを使う場合は、低温でゆっくり乾かしましょう。
・パーマやカラーリングは、刺激が強いため避けた方が良いでしょう。
・髪は体調の安定している治療前に、あらかじめ短めにしておくことをおすす
めします。
(利点)* 抜ける髪の総量が少なく、ショックも軽い
* 手入れが楽
* 長い髪よりボリュームがあるようにみえる
・脱毛の気になる方は、布製のキャップ、バンダナ、スカーフを利用するなど
工夫してみましょう。
・何度も治療が行われる場合は、かつらを利用されるのも良いでしょう。
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必ずというわけではないのですが、手足の神経に影響を与えることがありま
す。よく起こる症状は手足のしびれ、感覚が鈍くなる等で、歩けなくなるとい
うような強い症状ではありませんが、鈍い感じで不快感があると思われます。
出現時期
治療開始してから約1~2週間後から長期間にわたり手足のしびれを感じる
事があります。化学療法が終了しても回復が遅く数ヶ月かかることもあります。
対処方法
・感覚が鈍くなっているので、履物は足全体を覆うものを選びましょう。スリ
ッパなどは控えて、室内ではバレエシューズ、屋外ではサンダルはやめてス
ニーカーなどしっかりと足になじむものを選びましょう。
・靴下を厚めにし、手足を冷やさないようにしましょう。冬場外出するときは
手袋などを着用して下さい。
・しびれ感などで、感覚が鈍っていますので、物をつかもうとしても落として
しまったり、箸やスプーンが使いにくい場合があります。落としても割れに
くいものを使用することや、両手でつかむなどを心がけて下さい。
・熱いお湯がかかってもわかりにくく、やけどになりやすい状態です。熱いお
湯や、冷たすぎるものも気をつけましょう。
・手足のマッサージをするなど冷やさないようにしましょう。
・入浴しなくても足湯・手湯などは行いましょう。
・手足を動かす事は、しびれが軽くなるので、クルミ大の小さな玉を手の中で
持って遊ぶような運動も良いでしょう。
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薬の影響で、手足の関節痛が起こることがあります。肘や手首・肩などの関
節や膝足首などが多く見られると思います。
注意点
・関節痛が起こったら、無理をしないでください。休むのが一番です。
・長い時間歩くのはやめましょう。又階段もなるべく避け、エスカレーターや、
エレベーターを使いましょう。
・重い物を持ったりせず、片手だけで何かを持ったりするのではなく、なるべ
く両手を使いましょう。
・痛みが強く腫れたり・熱を持っている時は、暖めるのはよくないのですが、
長引いてくると逆に暖めたほうが良い場合もあるので、医師に相談しましょ
う。
・冷湿布は、炎症をおさえる効果があるので、気持ちよければ、使ってよいと
思いますが、初めは医師に相談して、処方してもらいましょう。
対処方法
・膝が痛む時は、正座やあぐらはやめてなるべく椅子に座るか足を投げ出して
座りましょう。
・サポーターは、適度な締め付け感のもので、保温性のあるものを使用しまし
ょう。
・痛みも和らぎ腫れや熱もひいてきたら、軽い散歩や体操を取り入れ、筋肉の
衰えを回復しましょう。
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手足の筋肉痛がおこることがまれにあります。
出現時期
出現時期頻度は少ないですが、すぐに出現する場合もあります。しかし、
個人差があり特にいつ頃からと、決っているものではなく、持続時間もまち
まちです。
対処方法
・無理をせず休んで下さい。
・痛みが強い場合は、医師に、(鎮痛剤など)ご相談ください。
・痛みが落ち着いたら適度に動かれてください。
体調が落ち着いていれば、散歩や買い物など気分転換は大切です。
旅行や職場復帰については医師と相談しましょう。
治療中は避妊の必要があります。また、感染、出血しやすい時期は
性生活をさけましょう。
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治療をうけるのは、患者様ご自身です。患者様自身が、安心して
自宅でも生活できるよう、お手伝いしていきたいと思っております。
何かご心配な事、ご不明な事など、ございましたら、遠慮なく御相
談下さい。
★
自宅で対処できない副作用がおこった場合
我慢しないで連絡を・・・たとえば・・・
・ 38℃以上の発熱
・
・
・
・
・
・
・
吐き気が続き 24 時間何も胃に入らなかったとき
ほんの少しの食事しか入らない日が 3 日以上続くとき
一日 5 回以上のひどい下痢のとき
3 日以上解決できない便秘
出血
重い息切れがでて、ひどくなってきているとき
息が苦しいとき
《緊急連絡先》
唐津赤十字病院 TEL:0955 72 5111
月~金
8:30~17:00
外来化学療法室
土・日・祝日・ 月~金の 17:00 以降
救急外来当直医師へ
科名(外科・内科・その他‥)・主治医名
氏名 ・ 診察券の番号(ID)
化学療法を行った日
どのような状態であるかを・・・お伝え下さい
23
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