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瑞浪市人権施策推進指針(平成23年3月策定)

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瑞浪市人権施策推進指針(平成23年3月策定)
瑞浪市人権施策推進指針
瑞 浪 市
は じ め に
日本では今、地域社会におけるコミュニケーションの不
足や、人間関係の希薄化により、家族を始め周囲の人達と
協調して生きるより、個人の権利が優先するといった自己
中心的な生き方が広がってきています。このため、社会の
中で最低限お互いに守らなければならない基本的なルール
が欠如しているという現象が見られます。
しかし、人はだれもがかけがえのない命を持っています。
それゆえ、市民一人ひとりが日常生活を営む中でお互いの価値観を認め合い、
助け合い、共生できる社会づくりをすることは私たちの責務だと思います。
また、こうした共生社会の実現は、わたしの目指す「市民が主役 愛あるま
ち『みずなみ』」の実現と重なるものと考えています。
市では、これまでも様々な場を通じて人権教育、人権啓発などの施策を推進
し、人権意識の高揚を図ってきました。
しかしながら、女性や子どもへの暴力をはじめ、差別や偏見など多様な人権
問題が依然として存在しており、また昨今はインターネットによる人権侵害な
ど、新たな人権問題も発生しています。
このため、複雑かつ多岐にわたる人権問題に対する施策を総合的、体系的に
推進していくことが必要と考え、今後10年間の基本的な施策の方向性を示す
「指針」と5年間に実施する具体的な施策の内容を記載した「行動計画」を策
定いたしました。
この指針を基に、国、県、関係団体との緊密な連携を図り、あるいは市民の
皆さんと協働して「市民一人ひとりの人権が尊重される社会の実現を目指す」
というスローガンを持って、身近なことから実践し、効果的な人権施策の展開
に取り組んでいきたいと考えています。
終わりに、この指針の策定にあたり、熱心に御討議いただきました瑞浪市人
権施策推進懇話会委員をはじめ、関係各位の皆さまに心から感謝を申し上げま
すとともに、今後の人権施策の推進に一層の御理解と御協力を賜りますようお
願いいたします。
2011年(平成23年)3月 岐阜県瑞浪市長 水 野 光 二 目 次
第 1 章 瑞浪市人権施策推進指針策定の基本的な考え方 ………………… 1
1 人権尊重の理念 …………………………………………………………… 1
2 指針策定の背景 …………………………………………………………… 2
3 指針の目的と位置づけ …………………………………………………… 3
第 2 章 あらゆる場における人権教育・啓発の推進 … …………………… 6
1 家庭 ………………………………………………………………………… 6
2 学校等 ……………………………………………………………………… 7
3 地域 ………………………………………………………………………… 7
4 職場 ………………………………………………………………………… 8
第 3 章 分野別の人権施策 ………………………………………………………… 9
1 女性 ………………………………………………………………………… 9
2 子ども …………………………………………………………………… 11
3 高齢者 …………………………………………………………………… 13
4 障がい者 ………………………………………………………………… 15
5 同和問題 ………………………………………………………………… 17
6 外国人 …………………………………………………………………… 19
7 そのほかの人権課題 …………………………………………………… 20
第4章 人権施策の推進にあたって … ……………………………………… 22
1 市の基本姿勢 …………………………………………………………… 22
(1)市民が主体となる施策の推進 … ……………………………………… 22
(2)人権の尊重の視点に立った施策の推進 … …………………………… 22
① 市職員 ……………………………………………………………… 22
② 教職員 ……………………………………………………………… 23
③ 医療・福祉・介護関係者 ………………………………………… 23
④ 社会教育関係者 …………………………………………………… 23
2 推進体制 ………………………………………………………………… 23
用語解説 ……………………………………………………………………………… 24
資 料 ……………………………………………………………………………… 27
○人権関係年表 …………………………………………………………………… 28
○世界人権宣言 …………………………………………………………………… 33
○日本国憲法(抄) … ……………………………………………………………… 38
○人権教育及び人権啓発の推進に関する法律 ………………………………… 40
○「人権教育のための国連10年」に関する国内行動―要旨― …………… 42
○関連法規等(抜粋) … …………………………………………………………… 44
○瑞浪市人権施策推進懇話会委員名簿 ………………………………………… 59
○瑞浪市人権施策推進指針策定の経緯 ………………………………………… 60
注1)従来「障害者」と表記していたものについては、「障がい者」
「障がいのある人」などと表記することを基本としています。
第1章 瑞浪市人権施策推進指針策定の基本的な考え方
第1章 瑞浪市人権施策推進指針策定の基本的な考え方
1 人権尊重の理念
人権とは、すべての人間が、人間としての尊厳に基づいて、生まれながらに
平等に持っているとされる固有の権利であり、社会を構成する人々が個人とし
ての生存と自由を確保し、社会において幸福な生活を営むために、欠かすこと
のできない権利です。
このため、「日本国憲法」では、第3章「国民の権利及び義務」において、
基本的人権の尊重が謳われています。第11条では「基本的人権は、侵すこと
のできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」、第13条
では「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に
反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」、さらに
第14条では「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済
的又は社会的関係において、差別されない。」と規定されています。これらは、
国連によって採択された人権諸条約によって、確認、強化されています。
○ 日本国憲法
〔昭和二十一年十一月三日公布 昭和二十二年五月三日施行〕
日本国憲法
第三章 国民の権利及び義務
〔基本的人権〕
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に
保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の
国民に与へられる。
〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対す
る国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、
最大の尊重を必要とする。
〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分
又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
人権問題で取り上げられるテーマは、女性、子ども、高齢者、障がい者など
多岐にわたっています。
さらに、近年では、高度情報化にともなう個人情報の流出やインターネット
による人権侵害など、新たな人権問題も生じています。
しかしながら、人権問題においては、通常、複数の要素が関わっており、ま
た、その解決の手法にも多面的なアプローチが必要です。このため、一部の問
題とその対策だけを優先して受け入れたり、不都合なものだからといって拒否
したりすることはできないものと考えています。
人権の問題には、「差別」と「偏見」という2つの側面があります。人は、
第1章 瑞浪市人権施策推進指針策定の基本的な考え方
幼いうちから、家庭や学校における教育や毎日生活している社会環境から、そ
れぞれの価値観を教え込まれ、身につけていきます。こうした過程の中から、
人は、それぞれの価値観を持ち、特定の個人や集団に対して「偏見」を持つよ
うになります。
このようにして形成された個人の内面の偏見に基づいて、実際に特定の個人
や集団に対して発せられる不適切な言動や、その人たちを低く扱い、また、仲
間はずれにする、あるいは危害を加えるなどの具体的な事象として現れてくる
ものが「差別」です。
このことから、人権を尊重する社会を築き上げていくためには、具体的な事
象として現れる差別行為の根絶や差別行為にあった被害者の救済という方法で、
直接対応していくことも必要ですが、それ以上に、差別の根底にある偏見をな
くすことを目的とする啓発活動や教育活動を推進していくことが重要です。
瑞浪市では、1969年(昭和44年)に 「瑞浪市市民憲章」 を制定してい
ます。この「市民憲章」の理念に基づき、市民一人ひとりが、人権が尊重され
る社会の実現のための責務を全うするとともに、人権について正しい理解を持
つ必要があります。
また、市民それぞれが、自らの権利の行使にともなう責任を自覚することによ
り、他人の人権との共存を図っていかなければなりません。さらに、そのこと
が日常生活の中で自然に態度や行動にあらわれるようになることが大切です。
○瑞浪市市民憲章
昭和 44 年3月 27 日公布
瑞浪市市民憲章
わたしたちは、美しい自然に恵まれた伸びゆく瑞浪市民であることに誇りと責任
をもち、明るい豊かな生活とよりよい社会環境をきずくためこの憲章を守りましょ
う。
1 郷土を愛し、美しいまちをつくりましょう。
1 健康で働き、豊かなまちをつくりましょう。
1 教養をふかめ、かおり高いまちをつくりましょう。
1 きまりを守り、住みよいまちをつくりましょう。
1 おたがいに助け合い、楽しいまちをつくりましょう。
2 指針策定の背景
国連では、世界平和のために世界の国々にあるいろいろな差別をなくし、す
べての人々の人権が守られることを目的として、1948年(昭和23年)に
「世界人権宣言」が採択されています。
その後、国際人権規約など多くの人権関係の条約が採択され、特に人権が尊
重される社会を実現するためには、教育が重要であるとの考えから、1995
年(平成7年)から2004年(平成16年)までの10年間を「人権教育の
ための国連10年」とすることが決議されました。
第1章 瑞浪市人権施策推進指針策定の基本的な考え方
こうした国際社会の動きに呼応し、わが国でも1997年(平成9年)に「人
権教育のための国連10年に関する国内行動計画」を策定しました。
また、2000年(平成12年)には「人権教育及び人権啓発の推進に関す
る法律」が制定され、国、地方公共団体及び国民の責務が明確にされました。
これに基づき、2002年(平成14年)には、「人権教育・啓発に関する基
本計画」が制定されました。
岐阜県においても、2003年(平成15年)に「岐阜県人権施策推進指針」
が策定され、2008年(平成20年)3月に見直しが行われています。
本市においては、女性に対する人権施策を推進するために、「みずなみ男女
共同参画プラン」を2004年(平成16年)3月に策定しました。
しかし、女性以外の人権課題については、人権を主眼においた計画はなく、
例えば、子どもの人権に対しては、2005年(平成17年)3月に策定され
た「瑞浪市次世代育成支援対策推進行動計画」の中で、部分的に子どもの人権
を守る施策の記述がされています。
また、教育委員会で毎年改定される「瑞浪市人権教育の基本方針と推進計画」
の中で、学校における子どもの人権教育についての記述が行われています。
人権を擁護するためには、教育、啓発、相談、保護の4つの活動が重要です。
4つの活動のうち相談と保護の活動※は、関係機関と緊密な連携がとられて行
われていますが、教育や啓発活動に必ずしも反映されているとは言えない状況
にあります。
そこで、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき、本市にお
いても「瑞浪市人権施策推進指針」を策定し、この指針に沿って、人権施策の
推進にあたって総合的かつ体系的な取り組みを進めていくこととします。
※ 相談と保護の活動:
一般的に市が、相談の窓口を開設しているが、保護活動は市単独で行う権限がないものが
多く、県または民間の保護施設への入居斡旋や、警察または県等の相談センターと連携して
活動することにより行われている。
3 指針の目的と位置づけ
すべての市民が、「人権尊重の理念」について正しく理解を深め、人権尊重
を基本とする社会づくりを進め、さらに次代へと継承していくことは、市及び
市民が果たすべき極めて重要な責務です。
しかしながら、身近な場所・場面でもドメスティック・バイオレンス(DV)※
やいじめ、虐待など、人権に関する深刻な問題が多く発生しているにもかかわ
らず、「人権」という言葉が、漠然と、あるいは抽象的にしか理解されていな
い状況にあります。
第1章 瑞浪市人権施策推進指針策定の基本的な考え方
本市においても、人権に関する多岐にわたる問題を、それぞれの担当部署で
取り組んできましたが、いまだに多面的な視点からの問題解決の手法が確立さ
れていない現状があります。
このため、効果ある人権教育・啓発を推進することを目的とし、人権問題に
対する市としての基本理念や方向性を明確にするとともに、個々の人権問題に
対する施策を総合的かつ計画的に推進していくことが必要であると考え、今回、
瑞浪市人権施策推進指針を策定しました。
※ ドメスティック・バイオレンス(DV):
夫婦や恋人などの親密な関係にある人、またはあった人から受けるさまざまな暴力行為。肉
体的暴力のみならず、言葉の暴力、性的暴力、社会的暴力(交友の制限など)、物の破壊、
経済的暴力(お金を渡さない)なども含めて考える。略してDVという。
瑞浪市人権施策推進指針の構成と内容
行動計画
指 針
2011 年度(平成 23 年度)
2011 年度(平成 23 年度)
2020 年度(平成 32 年度)
2015 年度(平成 27 年度)
施策の方向性
具体的な施策を記述
∼
計画期間 5年
∼
計画期間 10年
○ 人権施策推進指針の基本的な
○ 行動計画策定の骨子
考え方
○ 行動計画の施策体系図
○ あらゆる場における人権教育・
○ 人権教育及び啓発等に関する
啓発の推進
具体的な施策と内容
○ 分野別の人権施策
*共通項目
○ 人権施策の推進にあたって
*分野別の施策展開
第1章 瑞浪市人権施策推進指針策定の基本的な考え方
本指針は、市民一人ひとりが人権に関して正しく理解し、互いに尊重しあう
意識が根づいた地域社会を構築し、さらには、市民一人ひとりが差別なく地域
で伸びやかな生活ができることを目的としており、人権に係る諸施策の推進に
ついて、基本的な方向を示す指針(計画期間10年間)と具体的な施策を記述
した行動計画(計画期間5年間)の2部構成としています。
なお、指針の策定にあたっては、「瑞浪市第5次総合計画」など、市の関係
計画との整合性を図り、関係団体や関係機関と連携を図ります。
瑞 浪 市 第 5 次 総 合 計 画
瑞浪市人権施策推進指針
「指針」及び「行動計画」
○市全体における人権施策の展開に対する基本方針
○市の各種計画との連携と調整
瑞浪市地域福祉計画
瑞浪市障害者計画及び障害
︵関連計画︶
福祉計画
瑞浪市老人保健福祉計画及
行政の各分野における行政サービスの展開
び介護保険事業計画
など
瑞浪市次世代育成支援対策
画
推進行動計
瑞浪市人権教育の
基本方針と推進計画
みずなみ男女共同
参画プラン
そのほかの
市の各種計画
瑞浪市生涯学習推進計画
計画
住宅マスタープラン
みずなみ健康
瑞浪市地域防災計画
など
21
第2章 あらゆる場における人権教育・啓発の推進
第2章 あらゆる場における人権教育・啓発の推進
人権は、概念としてだけではなく、具体性をもって捉えていくことが重要で、
日常の身の回りの出来事に対して、人権の視点からみつめ、意識していくこと
が大切であり、日常の行動に結びついていくことにより人権を尊重することが、
地域の風土として根づいていくものです。
このため、人権尊重のための教育及び啓発に際しては、学習教材や啓発資料
により理解を深めるだけでなく、日常生活や社会活動を通して具体的に行われ
ることが必要であると考えています。
また、こうした教育及び啓発については、子どもはもちろん大人になってか
らも生涯にわたって継続されることが大切です。
本市においては、お互いの人権が尊重される社会を目指し、学校教育と社会
教育(家庭、地域、職場等)の両面で差別の解消と人権を守る学習を推進し、
あらゆる差別を解消する意欲と実践力を持った人間の育成を図っていきます。
また、人権擁護活動の強化や社会福祉の増進等に努め、市民一人ひとりのラ
イフステージ※に合わせて、家庭・学校・地域・職場(企業等の事業所)のあ
らゆる場において、教育及び啓発を進めます。
さらに、これらが相互に連携しそれぞれの役割を担いつつ、日常の暮らしの
中で人権を尊重した生き方の基礎を培うとともに、豊かな人間関係づくりを推
進していきます。
※
ライフステージ:
人の一生を少年期・青年期・壮年期・老年期などと分けた、それぞれの段階。
1 家 庭
「家庭はあらゆる教育の出発点」と言われているように、生涯にわたって豊
かな人権感覚を養う上で、家庭の果たす役割は極めて重要です。
特に、幼年期は人間形成の基礎を培う時期であるため、日常生活の中で行わ
れる遊びやしつけなどを通じて、豊かな情操や思いやりの心を育み、自立心を
養い、基本的な社会のルールを教えていくことが大切です。
本市では、保育園・幼児園、子育て支援センターや児童館等における子育て
に関する相談をはじめ、親自らが人権意識を高めるための学習支援を行うとと
もに、親と子の体験学習の促進等、親子が共に学んでいけるような施策を学校
や地域と連携を図りつつ進めます。
また、家庭では、家族がそれぞれの責任を担って共に協力し合うことが大切
です。男女ともに今まで以上に家庭生活に、そして、家庭から地域への積極的
な参画を促し、さまざまな人権問題について家族の間で話し合いが行われ、実
践されるよう啓発活動を推進します。
第2章 あらゆる場における人権教育・啓発の推進
2 学校等
人格形成に大きな影響のある学齢期において、人権尊重のための教育の中心
的役割を担うのが学校教育です。
学校教育においては、学校の主体性や教育の中立性を堅持しながら、特に児
童生徒の発達段階に十分配慮し、それぞれの実態に即して、創意に富んだ教育
を行うことが大切です。
本市では、
「生きる力」を育むとともに「いじめを根絶する」という観点から、
人権教育を幼児、児童、生徒の発達段階に即し、全教育活動を通して適切に行
います。
また、教職員の人権意識の向上を図る研修の充実に努め、人権尊重の気風が
みなぎる学校づくりを推進します。
さらに、自然や地域での体験学習、障がい者や高齢者等との交流を積極的に
推進し、家庭や地域と連携した教育や学習環境の整備を進めます。
保育園・幼児園においては「保育指針」や「幼稚園教育要領」に基づき、人
に対する愛情と信頼感、互いに尊重する心を育てるとともに、子どもの人権に
十分配慮した保育や就学前教育を行います。さらに、
「児童の権利に関する条約」
を遵守します。
3 地 域
地域は、市民が日常の学習活動や社会活動を通じて、さまざまな人権問題に
ついて理解を深め、実践する場であり、特に子どもたちにとっては、思いやり
や感謝の心、自立心を育み、社会性を体験的に学ぶ場として重要な役割を担っ
ています。
本市では、人権教育を生涯学習の中に位置づけ、公民館活動をはじめ青少年
育成団体、自治会、まちづくり組織、老人クラブやボランティア団体等におい
て、多様な学習活動が展開されており、これらの団体や組織による、ボランティ
ア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動、交流活動、文化活動、スポーツ
活動等、市民の学習活動を支援します。
また、人権感覚は、主として地域における環境や日常生活の中で個人が自然
に会得するものです。
人権教育や地域実践活動の場・機会の提供、交流の促進等により、地域の教
育力を高め、市民の主体的な人権教育及び積極的な啓発活動が展開されるよう
支援します。
第2章 あらゆる場における人権教育・啓発の推進
4 職 場
職場においては、男女間の賃金格差、配置・昇進の格差のほか、国籍、年齢、
障がい等の有無による労働条件や賃金の格差、あるいは、セクシュアル・ハラ
スメント※1、パワー・ハラスメント※2などの人権問題が起こることが懸念さ
れます。
このため、企業に対しては、職場内で働く人々の権利が十分守られるような
環境を整えることが求められていると同時に、地域における社会貢献活動とし
て、地域イベントへの参加・協賛等をはじめ、積極的な人権啓発活動への参加、
障がい者や高齢者の雇用拡大、障がい者や学生等の就業体験の受け入れなどが
期待されています。
本市では、職場内研修や地域における実践活動等の自主的な取り組みを促進
するため、啓発資料の配布や、関係団体が実施する経営者及び人事労務担当者
に対する研修に関して、人材、情報、教材等を提供することにより支援を行い
ます。
※1 セクシュアル・ハラスメント:
性的嫌がらせ。相手の意に反した性的な言動で、身体への不必要な接触、性的関係の強要、
性的な噂の流布、衆目にふれる場所でのわいせつな写真等の掲示、性的な冗談やからかい
など、相手を不快にさせるさまざまな行為。略してセクハラという。
※2 パワー・ハラスメント:
職場での上司の嫌がらせを意味し、職権などの権力差(パワー)を背景に、上司が部下に
言葉や態度による暴力をふるったり、できない要求を突きつけて精神的な苦痛を与えるこ
と。略してパワハラという。
第3章 分野別の人権施策
第3章 分野別の人権施策
1 女 性
現 状
国連は、1975年(昭和50年)を「国際婦人年」と定めました。これを
契機に、女性の地位向上について、認識を深める取り組みが国際的に始まりま
した。
国内では、1999年(平成11年)に「男女共同参画社会基本法」が施行
されました。また、2006年(平成18年)に「男女雇用機会均等法」が、
2007年(平成19年)に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関
する法律(ドメスティック・バイオレンス防止法)」が改正されるなど、さま
ざまな法律が整備され、社会制度上の男女平等と女性の人権保護の環境が整い
つつあります。
こうした状況を受けて、本市においても、2004年(平成16年)3月に「み
ずなみ男女共同参画プラン」を策定し、2008年(平成20年)度に内容の
見直しを行いました。
プランに基づいて、男女がともに対等な社会の構成員として認め、支え合い、
個性を生かし合える社会を目指して、各種の講演会・研修会の開催、アンケー
トの実施と結果の公表やパンフレットの作成など、啓発活動を実施しています。
課 題
習慣・慣習による偏見や固定観念を見直し、男女共同参画に対する市民意識
の向上を図るため、啓発及び情報発信をより充実させていくことが必要です。
職場や地域で男女ともに能力が十分に発揮できるよう、意思決定の場での女
性参画の推進やリーダーシップをとれる女性の育成を図ることが必要です。
また、女性が自らの意志で社会のあらゆる分野で活躍できるよう、男女の処
遇格差の解消のほか、子育て環境の充実やセクシュアル・ハラスメント、ドメ
スティック・バイオレンス(DV)の防止に向けた取り組みの強化や相談しや
すい体制づくりが求められています。
第3章 分野別の人権施策
今後の取り組み
○ あらゆる機会を通じて啓発活動に努め、男女の人権を尊重する市民意識
の向上を図ります。
○ 地域活動・まちづくりの場における女性の積極的な参画を促し、能力を
十分に発揮できるよう、支援します。
○ 配偶者・パートナーに対するあらゆる暴力の根絶のため、啓発活動をは
じめ、暴力被害者の救済支援・相談体制の充実を図ります。
○ 男女がともに働きやすい環境となるよう、男女間の処遇格差の解消や就
労環境の整備(子育て環境、セクシュアル・ハラスメントの防止)を推
進します。
10
第3章 分野別の人権施策
2 子ども
現 状
国は1994年(平成6年)に、18歳未満のすべての人の保護と基本的人
権の尊重を促進することを目的とした「児童の権利に関する条約」を批准しま
したが、条約の理念に対する認知度は、依然として高いとは言えない状況にあ
ります。
また、2000年(平成12年)には「児童虐待防止法」が施行され、
2004年(平成16年)の改正により、国民の通告義務の範囲の拡大、社会
全体での子どもの人権を守るための対応について明記されています。
しかしながら、昨今の子どもを取り巻く状況は、少年非行やいじめ、家庭で
の虐待、携帯電話・インターネット等を通じた児童買春の問題など、人権の観
点から見ると深刻な事態にあります。
このため、本市では、子どもの幸せを第一に考え、学校における人権教育・
情報教育を充実させるとともに、自治会、青少年健全育成組織、子ども会、P
TAやまちづくり組織などさまざまな市民の活動を通して、地域社会全体で子
育てを温かく見守り支えています。
また、社会教育の分野においても積極的に人権問題に取り組み、子どもたち
の豊かな感性と伸びやかな心を育んでいます。
2005年(平成17年)3月には「瑞浪市次世代育成支援対策推進行動計
画(みずなみ子育て応援プラン)<前期>」を策定し、2010年(平成22
年)3月に「同計画<後期>」を策定しました。計画に基づき、安心して子育
てのできる思いやりのある社会の実現を目指し、行政の各分野で連携を密にし
て、子どもの人権擁護施策に取り組んでいます。
課 題
子どもの人権を守るためには、家庭・学校 ・ 地域・行政等がそれぞれの役割
を認識し、互いに連携をしながら、豊かな心を持った子どもの育成や健全な社
会環境づくりを推進する必要があります。
子どもの虐待は、深刻な人権侵害事案であるとともに、被害を受けた子ども
だけでなく周囲の家族や市民を巻き込む問題です。このため、関係機関と密接
な連携をとり、児童虐待防止への取り組みを強化する必要があります。
市民の子どもに対する人権意識を高めるため、家庭や地域社会における啓発
活動や青少年の健全育成活動を推進するとともに、子育て環境を向上していく
必要があります。
11
第3章 分野別の人権施策
今後の取り組み
○ 子どもの人権尊重を目指した啓発活動を推進します。
○ 児童虐待防止への取り組みを強化します。
○ 家庭や地域社会における青少年健全育成活動を推進します。
○ 子育てにやさしいまちづくりを推進します。
○ 子どもの権利保護を支援(紹介)します。
12
第3章 分野別の人権施策
3 高齢者
現 状
わが国では、21世紀半ばには3人に1人が65歳以上という超高齢社会が
到来すると言われています。
本市においては、高齢化率24.95%(2010年(平成22年)4月現在)
で、岐阜県の平均23.90%を上回っています。また、65歳以上の高齢者
10,232人のうち、ひとり暮らしの高齢者が1,492人(14.58%)、
高齢者だけで暮らす世帯の人が3,009人(29.41%)、さらに、要介護・
要支援の認定を受けている高齢者は市全体で1,346人(13.15%)となっ
ています。
高齢者の多くは、個人の趣味や文化活動、あるいは家庭や地域活動の中に生
きがいを見出して、はつらつと生活しています。しかし、一部には、社会参加
や生きがいづくりの機会を十分に活用できていない、あるいは家庭内での介護
にともなう各種の問題が発生し、困惑している状況も見受けられます。
このような状況の中、本市では高齢者の自立支援と尊厳の保持を基本とし、
住み慣れた地域でみんなとふれあいを持ちながら、生き生きと暮らすことがで
きるよう、2009年(平成21年)3月に「第4期瑞浪市老人保健福祉計画
及び介護保険事業計画」を策定し、介護予防、健康の増進、生きがい活動を通
じた健やかな地域福祉社会の実現に向け、長寿クラブ(41クラブ、会員数
2,758人:2010年(平成22年)4月現在)や社会福祉協議会のいき
いきサロンあるいは地域の宅老所を核として、共に支え合う地域づくりに努め
ています。そして、高齢者には、働ける能力を発揮できる機会と場所として、
シルバー人材センター事業の充実に努めています。
また、公民館においては、高齢者自らが学ぶ寿大学が運営され、高齢者が豊
かに自己の生きる道を創造するとともに、市民福祉センター(ハートピア)、
老人憩いの家を、気軽に利用できることによって、地域活動の推進的役割を果
たしています。
課 題
高齢者の、自らの経験と知識を生かした生きがいづくりと健康づくり、そし
て、高齢者自身が地域社会と積極的に関わりあえる機会を増やしていくことが
必要です。
また、高齢者の問題は、単に高齢者だけでなく、すべての世代に関わる問題
でもあるため、高齢社会に対する市民の意識向上や、保健、医療、福祉が連携
した施策を展開するだけでなく、教育、就労、住宅、交通等の生活関連分野な
ど、あらゆる面から施策を展開していくことが必要です。
13
第3章 分野別の人権施策
今後の取り組み
○ 高齢者の自立・生きがいづくりを支援します。
○ 高齢者が年齢にとらわれず活躍できる社会の構築に努めます。
○ 高齢者に対する福祉・介護サービスの充実に努めます。
○ 高齢者に対する相談体制を充実します。
○ 高齢者が安心して暮らせる生活環境の整備を進めます。
○ 高齢者にやさしいまちづくりを推進します。
14
第3章 分野別の人権施策
4 障がい者
現 状
本市の障がい者の状況は、身体障がい者が1,530人、知的障がい者が
297人、精神障がい者が125人(2010年(平成22年)4月1日現在:
手帳所持者数)となっており、人口の約4.8%となっています。
しかし、近年では自閉症や注意欠陥多動性障害など、障害者手帳を所持しな
い発達障がい※をもつ子どもの増加がみられます。
障がい者の人権に関しては、国において、2004年(平成16年)に「障
害者基本法」が改正され、障がい者に対して、障がいを理由として、差別その
他の権利利益を侵害する行為をしてはならない旨を規定するとともに、障がい
者の自立及び社会参加の支援について、国及び地方公共団体の責務が明記され
ました。
また、2005年(平成17年)には、「発達障害者支援法」が制定され、
それまで不明確であった発達障がいの定義と法的な位置づけを明記し、支援体
制の整備が図られてきました。
現在は、2005年(平成17年)に地域での自立した生活を支援するため
の「障害者自立支援法」が施行され、身体、知的、精神それぞれの障がい者が、
必要な福祉サービスを選択し受けられるようになりました。
本市では、2007年(平成19年)に「瑞浪市障害者計画及び障害福祉計
画」を、2009年(平成21年)3月には「第2期障害福祉計画」を策定し、
障がい者の福祉に関する施策の計画的な推進と障害福祉サービスの確保のため
の方策を定めています。
また、2009年(平成21年)度に、関係機関と事業所の連携強化と相談
支援体制の整備を目的として、東濃5市共同で東濃圏域障がい者(児)自立支
援協議会を立ち上げました。この自立支援協議会を核に、障がい者の生活相談
など相談支援の充実を図っています。
就労支援においては、障がい者が自立した生活を送るため、民間団体の行う
職業訓練の場の整備を支援しています。
※ 発達障がい:
子どもの発達途上において、生体の機能の一部が成熟しないでとどまっている状態。広汎
性発達障害、学習障害(通称LD)、注意欠陥多動性障害(通称ADHD)、発達性言語障
害など多くの症例がある。
15
第3章 分野別の人権施策
課 題
障がい者の人権を守るため、子どもを含めて、一般市民の障がい者に対する
正しい理解と交流の促進が必要であり、こうして得られる理解が権利保護につ
ながっていきます。
障がい者に対しては、個人を尊重し、必要に応じて行政を含めて周囲の市民
が支援することが必要であるとともに、雇用や就労の支援のほか社会参加のた
めの施策の充実が必要です。
障がい者が、地域で自立して生活するためには、その住宅環境の改善や障が
い者にとってもやさしいまちづくりが必要です。
障がい者だけでなく、その家族は介助等の負担を強いられている方も多く
なっています。障がい者を支える家族が安定した生活を送るための支援が求め
られています。
今後の取り組み
○ 障がい者に対する市民の理解と交流を促進します。
○ 障がい者の権利保護を進めます。
○ 障がい者が住み慣れた地域で生活できるよう支援を充実します。
○ 障がい者の雇用・就労の支援と社会参加を促進します。
○ 障がい者にやさしいまちづくりを進めます。
○ 障がい者の家族への支援を充実します。
16
第3章 分野別の人権施策
5 同和問題
現 状
同和問題とは、日本社会の歴史的発展の過程の中で形づくられた身分的差別
に起因する人権問題です。
この同和問題は、生まれや育ちあるいは特定の地域や家庭環境に対する偏見
を原因とする差別のひとつであり、特定の地域で生まれ育ったという理由だけ
で、本人には何も原因がないのに、人間としての基本的人権が侵害されること
があるという、重大な人権問題です。
こうした、同和問題に関しては、1965年(昭和40年)に同和対策審議
会の答申を受けて、同和問題の早期解決を図るため、1969年(昭和44年)
に「同和対策事業特別措置法」が施行され、2002年(平成14年)3月に
廃止されるまでの33年間、同法に基づくさまざまな施策が実施されました。
また、2000年(平成12年)に「人権教育及び人権啓発の推進に関する
法律」が施行され、人権問題についての国や地方公共団体及び国民の責務が明
確にされています。
本市において、これまでは市民から同和問題に対する問題提起はほとんどあ
りませんでしたが、同和問題については、人権施策の根幹にかかわるものであ
ることから、学校教育の現場をはじめとして、社会教育の分野においても、学
習機会の提供や啓発を行ってきました。
課 題
人口の流動化が進み、市内で生まれ育っても、成人後に市外へ転出する市民
も多いことから、同和問題をはじめとした、生まれや育ちあるいは特定の地域
や家庭環境に対する偏見と差別をなくすため、子どものうちから正しい知識の
提供と十分な理解を習得させる必要があります。
同和問題に対して、地域の市民及び企業に対して、理解しやすい手法で、啓
発活動を進める必要があります。
また、同和問題を口実に、高額な図書の購入や公共事業に介入するなど不当
な要求を行う「えせ同和行為※」は後を絶ちません。えせ同和行為は、同和問
題に対する誤った意識を植え付けるだけでなく、同和問題の解決を阻害する大
きな要因となっています。
※ えせ同和行為:
同和問題は怖い問題であり避けた方がよいとの誤った意識に乗じて、あたかも同和問題の
解決に努力しているかのように装い、同和の名のもとにさまざまな不当な利益や義務なき
ことを要求する行為。
17
第3章 分野別の人権施策
今後の取り組み
○ 「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」に基づき、子どもを含め、
すべての市民の基本的人権を尊重していくための教育及び啓発をする中
で、その重要な柱に同和教育や啓発を位置づけるとともに、生まれや育
ちあるいは特定の地域や家庭環境に対する偏見と差別をなくすため、人
権関係団体等との連携を強化して、市民の正しい理解と行政の適切な対
応に努めます。
○ 職場において、同和問題に起因する事案の発生を未然に防ぐため、企業
に対し啓発に努めます。
○ 「えせ同和行為」を排除するため、行政や人権擁護委員をはじめとする
地域の関係者を対象に、正しい知識の普及や学習機会の充実に努めます。
18
第3章 分野別の人権施策
6 外国人
現 状
本市には、就労、結婚等により外国人が1,035人(2010年(平成22年)
4月1日現在)在住しています。これらの人々は、フィリピン、中国、ブラジ
ル、韓国などアジアや南米の方が大半を占めています。
外国人に関しては、国籍、出身、民族、人種等にかかわらず、お互いの人権
や文化を認め合い、尊重しあう関係を築き上げていくとともに、国際理解を深
める施策の充実が必要です。
また、外国人との共生環境の整備や国際化が進むことが予想される状況の中
で、あらゆる人権問題についての理解と認識を深め、言語、宗教、習慣等の違
いにかかわらず、あらゆる文化を尊重し、その多様性を受け入れることが国際
社会の一員としてすべての市民に望まれています。
しかし、日本の歴史的経緯に由来する在日韓国・朝鮮人等をめぐっては、さ
まざまな人権問題が解決されていない状況にあるとともに、その他の外国人に
ついても、必ずしも地域社会での異文化交流が進んでいるとは言えない状況に
あります。
また、毎年10人程度、帰化や国籍取得により日本国籍を取得する外国人も
あり、こうした市民のなかにも、地域社会に溶け込めず、異文化の社会で生活
している人が多くいます。
課 題
真に国際化にふさわしい市民の人権意識を育めるよう、学校教育での国際理
解教育を充実し、実践交流活動を行っていますが、社会教育の分野においても、
異文化理解の啓発と交流活動が必要です。
外国語による情報提供や教育の場づくりに努め、外国人の人権に配慮した施
策を推進する必要があります。
今後の取り組み
○ 国際理解を深め、国際交流を支援します。
○ 外国人児童生徒への教育体制を充実します。
○ 外国人に対する生活支援を充実します。
○ 多様な文化を認め合う共生社会を目指した地域づくりを進めます。
19
第3章 分野別の人権施策
7 そのほかの人権課題
現 状
人権に関する課題は、市民の日常生活のさまざまな場面で提起されてきます。
本市においてもこれまで取り上げてきた6つの人権課題のほか、HIV※1
感染者やハンセン病※2等医療保健分野に関わる人権課題、刑を終えて出所し
た人や犯罪被害等にあわれた人に対する課題、アイヌ※3の人々の民族として
の歴史や伝統文化に対する課題などもあります。
また、最近ではインターネットを悪用した人権侵害や性的指向※4、性同一
性障がい※5を理由とする差別、ホームレス※6や貧困により生活の再建が見込
めない人々に対する偏見等、新たな人権課題が出現しています。
※1 HIV:
ヒト免疫不全ウイルス。エイズの原因となるレトロウイルスの一種。次々と免疫細胞を侵
食して免疫機能を低下させていく。エイズウイルスともいう。
※2 ハンセン病:
癩菌(らいきん)によって起こる慢性感染症。感染力は弱く、皮膚に結節・斑紋ができ、
その部分に知覚麻痺がある。かつては不治の病とされたが、治療薬の出現により治療可能
となっている。
※3 アイヌ:
主に北海道に居住している先住民族。狩猟・漁労・採集を基本とする生活を営んでいたが、
幕藩体制下での松前藩を中心とした支配・搾取、明治政府の同化政策の下で、伝来の生活
形態や伝統文化は、根底的に破壊された。
※4 性的指向:
人の性愛がどのような対象に向かうのかを示す概念。具体的には、性愛の対象が異性に向
かう異性愛(ヘテロセクシュアル)、同性に向かう同性愛(ホモセクシュアル)、男女両方
に向かう両性愛(バイセクシュアル)などがある。
※5 性同一性障がい:
生物学的性別(sex)と性の自己意識(gender identity、性自認)とが一致しないために、
自らの生物学的性別に持続的な違和感を持ち、反対の性を求め、時には生物学的性別を己
れの性の自己意識に近づけるために性の適合を望むことさえある状態をいう医学的な疾患
名。
※6 ホームレス:
住む家をもたない人。公園や駅の地下道などに住みついている人。
20
第3章 分野別の人権施策
課 題
こうした人権に関する課題に対して、今後は、21世紀を真の「人権の世紀」
とし、お互いの違いを認め合い、共に支え合う「共生社会」を実現することを
目指して、それぞれの分野で行政支援も含めて対応していく必要があります。
また、私たち一人ひとりが社会を構成する一員として、あらゆる人々の人権
を配慮し、日常生活の中で人権尊重が文化として定着した社会を目指していく
必要があります。
今後の取り組み
○ HIV感染者やハンセン病患者・元患者、その他の難病患者に対する正
しい知識の啓発に努めるなど、保健・医療に関わる人権問題に適切な対
応をしていきます。また、性的指向や性同一性障がいに対する正しい知
識の啓発を図ります。
○ 刑を終えて出所した人に対する偏見をなくし、その社会生活を支援する
とともに、犯罪被害者等に対する個人情報の保護と生活支援を行います。
○ インターネット等を悪用した人権侵害を防ぐとともに、子どもに対する
情報教育や情報リテラシー※7教育・啓発を推進し、情報に対する人権
侵害に対応していきます。
○ アイヌの人々の民族としての歴史、文化、伝統及び現状に関する認識を
深めるとともに、理解を促進していきます。
○ ホームレスや貧困により生活の再建が見込めない人々の生活支援・救済
に努めます。
○ そのほか、新たに生じる多様な人権課題について、それぞれの状況に応
じて、解決のための施策を検討します。
※7 情報リテラシー:
情報化社会でコンピューターなど情報関連技術を習得し、積極的に情報を活用することの
できる能力。
21
第4章 人権施策の推進にあたって
第4章 人権施策の推進にあたって
1 市の基本姿勢
人権尊重の理念に関する理解を深めるための教育・啓発については、女性・
子ども・高齢者・障がい者・同和問題といった具体的な人権課題に関わる施策
の展開も重要ですが、市の施策全般を通じて行われることが大切です。
本市においては、市民と行政がそれぞれの立場から、あるいは協働して、
「市
民一人ひとりの人権が尊重される社会の実現を目指す」というスローガンを掲
げ、具体的な施策の総合的かつ効果的な展開を進めていきます。
また、個人情報の適切な利用と保護に努め、市民の基本的人権とプライバシー
の保護に努めます。
(1)市民が主体となる施策の推進
市民が、人権を日常生活の問題として主体的に考え、学び、行動することを
尊重し、家庭・学校・地域・職場などあらゆる場において、研修内容及び手法
等に工夫を凝らし、市民と市と関係機関がともに連携を図りながら、積極的な
人権教育・啓発を推進していくことが必要です。
また、社会情勢の変化の中で起こる人権問題を生活者の視点から敏感に捉え、
時代の要請や市民ニーズを踏まえた施策の推進に努めます。
(2)人権の尊重の視点に立った施策の推進
① 市職員
本市職員は、市民の福祉の向上に関わる者であり、直接的に公権力を行使す
るような事務事業に携わる者をはじめ、窓口等で市民と直接接する者、あるい
は人権問題に関わりのある事務に携わる者だけでなく、職員すべてが、人権尊
重の理念を理解し、行政運営や業務に当たらなければなりません。
また、職員は安心・安全なまちづくりのため、人権尊重の理念に立って、市
民の生命と財産を守っていく責務があります。
このため、職員に対しては、人権意識の高揚のために、人権研修を充実します。
また、行政のあらゆる場面で、人権尊重の理念に配慮した施策の推進に努め、
人権尊重の視点から、自ら所掌する事務や事業を常に見直していきます。
さらに、関係各課の緊密な連携や情報交換を実施し、市政全般にわたり人権尊
重の視点に立った施策を推進していきます。
22
第4章 人権施策の推進にあたって
② 教職員
教職員は、子どもの人格形成や人権尊重の理念に関する理解を深める重要な
役割を担っています。
そのため、教職員が人権に対する正しい理解や十分な認識をもつことができ
るようにするとともに、子どもの発達段階に即した人権教育を全教育活動で実
施できるよう研修を実施していきます。
また、家庭や地域との連携を密にし、子どもの人権問題の解決に積極的な役
割が果たせるよう、その資質の向上に努めます。
③ 医療・福祉・介護関係者
医療・福祉・介護等の施設従事者及び民生児童委員等の福祉関係者について
は、障がい者・高齢者等の介護や生活相談に携わっています。
そのため、さまざまなドメスティック・バイオレンス(DV)や虐待に接す
る機会が多く、生命及び人間の尊厳に対する認識はもとより、プライバシー保
護への配慮という点においても、高い人権意識が必要不可欠です。すべての市
民が安心して生活できるよう関係者の人権意識高揚のための研修に努めます。
④ 社会教育関係者
社会教育委員、生涯学習推進委員等が、集団学習グループをはじめ、地域の
各種団体や社会教育関係団体に対して、効果的な指導・助言ができるよう、関
係者の人権意識高揚のための研修に努めます。
2 推進体制
本市は、人権尊重を行政運営の基本理念として認識し、各課と緊密な連携を
図りながら、総合的・全庁的に人権施策の推進に取り組みます。
また、市の人権施策の推進が広範な取り組みとして展開されるよう、国及び
岐阜県と緊密な連携・協力を図るとともに、関係団体と一体となって取り組み
を進めます。
一方、人権教育や啓発活動に関する施策の企画、立案から実施に際しては、
さまざまな人権問題の解決に取り組んでいる各種団体等と密接な連携や協力を
図りながら推進します。
また、国内外の動向や社会経済情勢の変化に応じた施策を適切に推進するた
め、必要に応じて本指針及び行動計画の見直しを行います。
23
用語解説(五十音順)
用語解説(五十音順)
【アイヌ】
主に北海道に居住している先住民族。
狩猟・漁労・採集を基本とする生活を営んでいたが、幕藩体制下での松前藩を中心とした支
配・搾取、明治政府の同化政策の下で、伝来の生活形態や伝統文化は、根底的に破壊された。
【えせ同和行為】
同和問題は怖い問題であり避けた方がよいとの誤った意識に乗じて、あたかも同和問題の解
決に努力しているかのように装い、同和の名のもとにさまざまな不当な利益や義務なきこと
を要求する行為。
えせ同和行為は、これまで同和問題の解決に真摯に取り組んできた人々や同和関係者に対す
るイメージを損ねるばかりでなく、これまで培われてきた教育や啓発の効果を覆し、同和問
題に対する誤った意識を植え付けるという悪影響を生じさせるなど、問題解決の大きな阻害
要因となっており、毅然とした態度で対処することが望まれている。
【HIV】
ヒト免疫不全ウイルス。
エイズの原因となるレトロウイルスの一種。次々と免疫細胞を侵食して免疫機能を低下させ
ていく。エイズウイルスともいう。
【国際人権規約】
人権に関する条約・規約の一つ。
世界人権宣言の内容を基礎として条約化したものであり、国際人権法にかかる人権諸条約の
中で最も基本的かつ包括的なものである。世界人権宣言採択後 18 年間にわたって議論が重
ねられ、1966年12月の国際連合総会で採択された。
「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(略称:A規約)」と「市民的及び政治的
権利に関する国際規約(略称:B規約)」、およびB規約の選択議定書である「市民的政治的
諸権利に関する選択議定書」から構成される。
我が国はA及びBの2つの規約について、1979年(昭和54年)6月に締結している。
【児童の権利に関する条約】
児童(18 歳未満の者)の権利について定められている国際条約。
1959年に採択された「児童の権利に関する宣言」の 30 周年に合わせ、1989年(平
成元年)11月に国連総会で採択された子どもの人権や自由を尊重し、子どもに対する保護
と援助を進めることを目指した条約をいう。
我が国は1994年(平成6年)4月に締結している。
24
用語解説(五十音順)
【情報リテラシー】
情報化社会でコンピューターなど情報関連技術を習得し、積極的に情報を活用することので
きる能力。
【性的指向】
人の性愛がどのような対象に向かうのかを示す概念。
具体的には、性愛の対象が異性に向かう異性愛(ヘテロセクシュアル)、同性に向かう同性
愛(ホモセクシュアル)、男女両方に向かう両性愛(バイセクシュアル)などがある。
【性同一性障がい】
生物学的性別(sex)と性の自己意識(gender identity、性自認)とが一致しないために、
自らの生物学的性別に持続的な違和感を持ち、反対の性を求め、時には生物学的性別を己れ
の性の自己意識に近づけるために性の適合を望むことさえある状態をいう医学的な疾患名。
世界保健機構(WHO)などによる基準では、「身体的性別とは反対の性別への持続する精
神的同一感」などとも説明されている。肉体は男性で、したがって戸籍上も男性だが、女性
として生きることを望む人、逆に身体は女性でも、男性として生活したい人に関する症状を
いう。
【セクシュアル・ハラスメント】
性的嫌がらせ。
相手の意に反した性的な言動で、身体への不必要な接触、性的関係の強要、性的な噂の流布、
衆目にふれる場所でのわいせつな写真等の掲示、性的な冗談やからかいなど、相手を不快に
させるさまざまな行為。略してセクハラという。
【ドメスティック・バイオレンス】
夫婦や恋人などの親密な関係にある人、またはあった人から受けるさまざまな暴力行為。
肉体的暴力のみならず、言葉の暴力、性的暴力、社会的暴力(交友の制限など)、物の破壊、
経済的暴力(お金を渡さない)なども含めて考える。略して DV という。
【発達障がい】
子どもの発達途上において、生体の機能の一部が成熟しないでとどまっている状態。
広汎性発達障害、学習障害(通称LD)、注意欠陥多動性障害(通称ADHD)、発達性言語
障害など多くの症例がある。
【パワー・ハラスメント】
職場での上司の嫌がらせを意味し、職権などの権力差(パワー)を背景に、上司が部下に言
葉や態度による暴力をふるったり、できない要求を突きつけて精神的な苦痛を与えること。
略してパワハラという。
25
用語解説(五十音順)
【ハンセン病】
癩菌(らいきん)によって起こる慢性感染症。
感染力は弱く、皮膚に結節・斑紋ができ、その部分に知覚麻痺がある。かつては不治の病と
されたが、治療薬の出現により治療可能となっている。
【ホームレス】
住む家をもたない人。公園や駅の地下道などに住みついている人。
【ライフステージ】
人の一生を少年期・青年期・壮年期・老年期などと分けた、それぞれの段階。
26
27
資 料
資 料
○ 人権関係年表‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 28
○ 世界人権宣言‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 33
○ 日本国憲法(抄)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 38
○ 人権教育及び人権啓発の推進に関する法律‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ 40
○ 「人権教育のための国連10年」に
関する国内行動―要旨―‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 42
○ 関連法規等(抜粋)‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 44
○ 瑞浪市人権施策推進懇話会委員名簿‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 59
○ 瑞浪市人権施策推進指針策定の経緯‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 60
28
27
「児童憲章」宣言
「社会福祉事業法」施行
1951…
「難民の地位に関する条約」採択
(昭26)
29
28
「心身障害者基本法」施行
1970…
(昭45)
1971… 「精神遅滞者の権利宣言」採択
(昭46) 「人種差別と闘う国際年」
「同和対策事業特別措置法」施行
1969…
(昭44)
瑞浪市
「岐阜県地方改善促進審議会答申」
「岐阜県同和対策事業長期基本計画」
策定
「岐阜県地方改善促進審議会」に諮
「瑞浪市市民憲章」制定
問
「岐阜県地方改善事業推進協議会設
置要綱」制定
「岐阜県地方改善促進審議会答申」
1967… 「女子に対する差別の撤廃に関する
(昭42) 宣言」採択
1968…
「国際人権年」
(昭43)
「岐阜県地方改善促進審議会」に諮
問
「岐阜県地方改善促進審議会設置条
例」制定
「岐阜県青少年保護育成条例」制定
県
1966…
「国際人権規約」採択
(昭41)
1965… 「あらゆる形態の人種差別の撤廃に
「同和対策審議会答申」
(昭40) 関する国際条約」採択
1962…
(昭37)
1960…
(昭35)
「精神薄弱者福祉法」施行
「身体障害者福祉法」施行
「精神保健法」施行
「生活保護法」施行
1950…
(昭25)
1959…
「児童権利宣言」採択
(昭34)
「児童福祉法」施行
1948…
「世界人権宣言」採択
(昭23)
国
「日本国憲法」施行
「労働基準法」施行
国連等
1947…
(昭22)
年
人 権 関 係 年 表
人権関係年表
30
29
「地域改善対策特別措置法」施行
「犯罪被害者等給付金支給法」制定
「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の
特別措置に関する法律」施行
「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律
(エイズ予防法)」施行
「高齢者保健福祉十カ年戦略(ゴールドプラ
ン)」策定
1987…
(昭62)
1989…
「児童の権利に関する条約」採択
(平1)
1991…
「高齢者のための国連原則」採択
(平3)
「男女雇用機会均等法」施行
1986…
「国際平和年」
(昭61)
1985… ILO「雇用における男女の均等な 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に
(昭60) 機会及び待遇に関する決議」採択
関する条約」締結
1982… 「障害者のための国連10年」
(昭57) (1983~1992)の宣言
1981…
「国際障害者年」
(昭56)
1980…
(平55)
「女子に対するあらゆる形態の差別 「経済的、社会的及び文化的権利に関する国
1979…
の撤廃に関する条約」採択
際規約」「市民的及び政治的権利に関する国
(昭54)
「国際児童年」
際規約」批准
1976…
「国際人権規約」発効
(昭51)
「障害者の権利宣言」採択
1975… 「国際婦人年」
(昭50) 「国連婦人年の10年」(1976~
1985)の決議を採択
「岐阜県婦人行動計画」策定
「岐阜県同和教育基本方針」決定
県
1974…
(昭49)
国
「岐阜県同和対策事業長期基本計画」
改訂
国連等
1972…
(昭47)
年
瑞浪市
人権関係年表
国連等
国
県
31
30
「らい予防法の廃止に関する法律」施行
「地域改善対策協議会意見具申」
「男女共同参画2000プラン」策定
「高齢者社会対策大綱」策定
「ぎふ子どもいきいき夢プラン(岐
阜県子育て支援計画)」策定
1998…
(平10)
「障害者の雇用の促進等に関する法律」改正
「岐阜県障害者プラン」策定
「岐阜県人権啓発活動連絡協議会」設置
「人権擁護施策推進法」施行
男女雇用機会均等法」改正
1997… 「第1次貧困根絶のための国連10 「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関す 「岐阜県国際協力推進プラン」策定…
(平9) 年」(1997~2006)
る知識の普及及び啓発に関する法律」施行
「岐阜県同和行政基本方針」策定
「人権教育のための国連10年に関する国内
行動計画」策定
1996…
(平8)
「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国
際条約」批准
「高齢社会対策基本法」施行
1995… 「第4回世界女性会議」で「北京宣 「人権教育のための国連10年推進本部」設置
「岐阜県障害者基本計画」策定
(平7) 言及び行動綱領」採択
「精神保健法」から「精神保健及び精神障害
者福祉に関する法律」へ改正
障害者対策推進本部「障害者プラン(ノーマ
ライゼーション7ヶ年戦略)」策定
「児童の権利に関する条約」批准
「国際家族年」
「高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる
1994… 「人権教育のための国連10年」
「女と男のはぁもにぃプラン-ぎふ
特定建築物の建築の促進に関する法律(ハー
(平6) (1995~2004)の決議を採
女性行動計画」策定
トビル法)」施行
択
「新ゴールドプラン」策定
世界人権会議「ウィーン宣言及び行
動計画」採択
「世界の先住民の国際年(国際先住
民年)」
障害者対策推進本部が「障害者対策に関する
「世界の先住民の国際年の10年」
1993…
新長期計画」策定
(1994~2003)の決議を採択
「岐阜県老人保健福祉計画」策定
(平5)
「心身障害者対策基本法」を「障害者基本法」
ESCAP「アジア太平洋障害者の
に改正
10年行動課題」
(1993~2002)決定
「女性に対する暴力の撤廃に関する
宣言」採択
年
瑞浪市
人権関係年表
国連等
国
県
瑞浪市
32
31
2002…
(平14)
「岐阜県地方改善促進審議会」に諮
問
「岐阜県地方改善促進審議会答申」…
「岐阜県人権同和教育基本方針」決
定
「人権教育・啓発に関する基本計画」策定
特定電気通信法(プロバイダー責任法)」施
行
「ホームレスの自立の支援等に関する特別措 「人権宣言」県議会決議
置法」施行
「身体障害者補助犬法」施行
「障害者基本計画」策定
「雇用対策法」改正
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護
に関する法律」(DV法)施行
「世界の子どもたちのための平和の
2001…
「新しい高齢社会対策大綱」策定
文化と非暴力のための国際の10
( 平13)
人権擁護推進審議会「人権擁護委員制度の改
年」(2001~2010)
革について」答申
「ハンセン病療養所入所等に対する補償金の
支給等に関する法律」施行
「任意後見契約に関する法律」施行
「外国人登録法」改正(指紋押捺制度全廃)
「民事法律扶助法」施行
「児童の武力紛争への参加に関する
「刑事訴訟及び検察審査会法の一部を改正す
児童の権利に関する条約の選択議定
る法律」「犯罪被害者等の保護を図るための
書」
刑事手続に付随する措置に関する法律」施行
児童売春、児童買春及び児童ポルノ
「 岐 阜 県 人 権 啓 発 セ ン タ ー」 設 置…
「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利
「瑞浪市障害者計画」策定
2000… に関する児童の権利に関する条約の
「 岐 阜 県 生 涯 安 心 計 画 」 策 定…
用した移動の円滑化の促進に関する法律」
「瑞浪市老人保健福祉計画・介護保
(平12) 選択議定書」採択
「岐阜県青少年育成アクションプラ
(交通バリヤフリー法)施行
険事業計画」策定
「女性2000年会議」で「政治宣言」
ン」策定
「児童虐待の防止等に関する法律」施行
及 び「 北 京 宣 言 及 び 行 動 綱 領 実 施
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」
のための更なる行動とイニシアティ
施行
ブ」採択
「人権教育及び人権啓発の推進に関する法
律」施行
「男女共同参画基本計画」策定
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医
療に関する法律」施行
「国際高齢者年」
「男女共同参画社会基本法」施行
「岐阜県男女共同参画プラン」策定…
1999… 「女子に対するあらゆる形態の差別
「人権擁護推進審議会答申」(人権教育・啓発 「岐阜県人権啓発活動ネットワーク
(平11) の撤廃に関する条約の選択議定書」
の在り方)
協議会」設置
採択
「ゴールドプラン21」策定
「児童買春、児童ポルノ禁止法」施行
年
人権関係年表
33
32
「第3期瑞浪市老人保健福祉計画・
介護保険事業計画」策定
「瑞浪市障害者計画及び障害福祉計
画」策定
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対す
「障害のある人の権利に関する条約
る支援等に関する法律」施行
2006… の選択議定書」採択
「障害者自立支援法」施行
「岐阜県青少年健全育成計画」策定
(平18) 「強制失踪からのすべての者の保護
「日本司法支援センター(法テラス)」業務開
に関する国際条約」採択
始
2007… 「先住民族の権利に関する国連宣言」
(平19) 採択
「第2期障害福祉計画」策定
「第4期瑞浪市老人保健福祉計画・
介護保険事業計画」策定
「第2期瑞浪市地域福祉計画」策定
「瑞浪市次世代育成支援対策推進行
動計画(みずなみ子育て応援プラン
<後期>」策定
2009…
(平21)
2010…
(平22)
2008… 「ハンセン病差別撤廃決議」採択
(平20) 「障害者権利条約」発効
「ハンセン病問題の解決の促進に関する法 「岐阜県人権施策推進指針(第一次 「みずなみ男女共同参画プラン」見
律」施行
改定)」策定
直し
「瑞浪市地域福祉計画」策定
「瑞浪市次世代育成支援対策推進行
動計画(みずなみ子育て応援プラン
<前期>」策定
2003…
(平15)
2005… 「生命倫理と人権に関する世界宣言」「犯罪被害者等基本法」施行
(平17) ユネスコ総会で採択
「発達障害者支援法」施行
瑞浪市
「みずなみ男女共同参画プラン」策
定
県
2004… 「人権教育のための世界プログラム」「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関 「岐阜県男女共同参画計画」策定
(平16) 採択
する法律」施行
岐阜県障害者支援プラン」策定
国
「第2期瑞浪市老人保健福祉計画・
介護保険事業計画」策定
国連等
「個人情報の保護に関する法律」施行
「次世代育成支援対策推進法」施行
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関
する法律」施行
「心身喪失等の状態で重大な他害行為を行っ
た者の医療及び観察等に関する法律」施行
「岐阜県人権施策推進指針」策定
「母子家庭の母の就業の支援に関する特別措
置法」施行
「少子化社会対策基本法」施行
「インターネット異性紹介事業を利用して児
童を誘引する行為の規制等に関する法律(出
会い系サイト規制法)」施行
年
人権関係年表
世界人権宣言
世 界 人 権 宣 言
1948年12月10日
第3回国際連合総会 採択
前 文
人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認するこ
とは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、
人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の
自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言さ
れたので、
人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするために
は、法の支配によって人権保護することが肝要であるので、
諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、
国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男
女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準
の向上とを促進することを決意したので、
加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達
成することを誓約したので、
これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要
であるので、
よって、ここに、国際連合総会は、
社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人
民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊
重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と尊守とを
国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とす
べての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。
第1条
すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等であ
る。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければな
らない。
第2条
1 すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しく
は社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも
受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
2 さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治
地域であると、又はなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治
上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。
34
33
世界人権宣言
第3条
すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
第4条
何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる
形においても禁止する。
第5条
何人も、拷問または残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けること
はない。
第6条
すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利を有する。
第7条
すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護
を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、
そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。
第8条
すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し、権限を
有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。
第9条
何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。
第10条
すべて人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当っては、
独立の公平な裁判所による公正な公開の審理を受けることについて完全に平等の権利を有す
る。
第11条
1 犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられた公
開の裁判において法律に従って有罪の立証があるまでは、無罪と推定される権利を有す
る。
2 何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為の
ために有罪とされることはない。また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑
罰を課されない。
第12条
何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名
誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻撃に対し
て法の保護を受ける権利を有する。
第13条
1 すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。
2 すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。
35
34
世界人権宣言
第14条
1 すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を
有する。
2 この権利は、もっぱら非政治犯罪又は国際連合の目的及び原則に反する行為を原因と
する訴追の場合には、援用することはできない。
第15条
1 すべて人は、国籍をもつ権利を有する。
2 何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認される
ことはない。
第16条
1 成年の男女は、人種、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚姻し、
かつ家庭をつくる権利を有する。成年の男女は、婚姻中及びその解消に際し、婚姻に関
し平等の権利を有する。
2 婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意によってのみ成立する。
3 家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利
を有する。
第17条
1 すべて人は、単独で又は他の者と共同して財産を所有する権利を有する。
2 何人も、ほしいままに自己の財産を奪われることはない。
第18条
すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。この権利は、宗教又は信
念を変更する自由並びに単独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、行事、礼
拝及び儀式によって宗教又は信念を表明する自由を含む。
第19条
すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けること
なく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわ
りなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。
第20条
1 すべての人は、平和的集会及び結社の自由に対する権利を有する。
2 何人も、結社に属することを強制されない。
第21条
1 すべて人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権
利を有する。
2 すべて人は、自国においてひとしく公務につく権利を有する。
3 人民の意思は、統治の権力の基礎とならなければならない。この意思は、定期のかつ
真正な選挙によって表明されなければならない。この選挙は、平等の普通選挙によるも
のでなければならず、また、秘密投票又はこれと同等の自由が保障される投票手続によっ
て行われなければならない。
36
35
世界人権宣言
第22条
すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国
際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発
展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利を有する。
第23条
1 すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び
失業に対する保護を受ける権利を有する。
2 すべて人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受
ける権利を有する。
3 勤労する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障す
る公正かつ有利な報酬を受け、かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補
充を受けることができる。
4 すべて人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに参加する権
利を有する。
第24条
すべて人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇をもつ権
利を有する。
第25条
1 すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び
福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老
齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。
2 母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、摘出であ
ると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。
第26条
1 すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段
階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。技
術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、高等教育は、
能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない。
2 教育は、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなけれ
ばならない。教育は、すべての国又は人種的若しくは宗教的集団の相互間の理解、寛容
及び友好関係を増進し、かつ、平和の維持のため、国際連合の活動を推進するものでな
ければならない。
3 親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。
第27条
1 すべて人は、自由に社会の文化生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその
恩恵とにあずかる権利を有する。
2 すべて人は、その創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的及び物質
的利益を保護される権利を有する。
37
36
世界人権宣言
第28条
すべて人は、この宣言に掲げる権利及び事由が完全に実現される社会的及び国際的秩序に
対する権利を有する。
第29条
1 すべて人は、その人格の自由かつ完全な発展がその中にあってのみ可能である社会に
対して義務を負う。
2 すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当っては、他人の権利及び自由の正当
な承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福
祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ
服する。
3 これらの権利及び事由は、いかなる場合にも、国際連合の目的及び原則に反して行使
してはならない。
第30条
この宣言のいかなる規定も、いずれかの国、集団又は個人に対して、この宣言に掲げる権
利及び自由の破壊を目的とする活動に従事し、又はそのような目的を有する行為を行う権利
を認めるものと解釈してはならない。
38
37
日本国憲法(抄)
日 本 国 憲 法(抄)
昭和21年11月 3日公布
昭和22年 5月 3日施行
前 文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子
孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確
保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここ
に主権が国民に存在することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛
な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行
使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かか
る原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する
のであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよ
うと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去し
ようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の
国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認す
る。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであ
つて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持
し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓
ふ。
第3章 国民の権利及び義務
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する
基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを
保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共
の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の
権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必
要とする。
第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地
により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれ
を有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
39
38
日本国憲法(抄)
第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第20条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特
権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第23条 学問の自由は、これを保障する。
第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本
として、相互の協力により、維持されなければなれない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の
事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければ
ならない。
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に
努めなければならない。
第26条 すべて国民は、法律に定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を
受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる
義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。
第10章 最高法規
第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努
力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、
侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
40
39
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律
平成12年11月29日制定
平成12年12月 6日施行
(目 的)
第1条 この法律は、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、社会的身分、門地、人種、
信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外
の情勢にかんがみ、人権教育及び人権啓発に関する施策の推進について、国、地方公共団
体及び国民の責務を明らかにするとともに、必要な措置を定め、もって人権の擁護に資す
ることを目的とする。
(定 義)
第2条 この法律において、人権教育とは、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動を
いい、人権啓発とは、国民の間に人権尊重の理念を普及させ、及びそれに対する国民の理
解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)をいう。 (基本理念)
第3条 国及び地方公共団体が行う人権教育及び人権啓発は、学校、地域、家庭、職域その
他の様々な場を通じて、国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深
め、これを体得することができるよう、多様な機会の提供、効果的な手法の採用、国民の
自主性の尊重及び実施機関の中立性の確保を旨として行われなければならない。 (国の責務)
第4条 国は、前条に定める人権教育及び人権啓発の基本理念(以下「基本理念」という。)
にのっとり、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第5条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を
踏まえ、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(国民の責務)
第6条 国民は、人権尊重の精神の涵養に努めるとともに、人権が尊重される社会の実現に
寄与するよう努めなければならない。
(基本計画の策定)
第7条 国は、人権教育及び人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、
人権教育及び人権啓発に関する基本的な計画を策定しなければならない。
41
40
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律
(年次報告)
第8条 政府は、毎年、国会に、政府が講じた人権教育及び人権啓発に関する施策について
の報告を提出しなければならない。
(財政上の措置)
第9条 国は、人権教育及び人権啓発に関する施策を実施する地方公共団体に対し、当該施
策に係る事業の委託その他の方法により、財政上の措置を講ずることができる。
附 則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第8条の規定は、この法律の施行の
日の属する年度の翌年度以後に講じる人権教育及び人権啓発に関する施策について適用す
る。
(見直し)
第2条 この法律は、この法律の施行の日から3年以内に、人権擁護施策推進法(平成8年
法律第120号)第3条第2項に基づく人権が侵害された場合における被害者の救済に関
する施策の充実に関する基本的事項についての人権擁護推進審議会の調査審議の結果をも
踏まえ、見直しを行うものとする。
42
41
「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画 ―要旨―
「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画 ―要旨―
項 目
1 基本的な考え方
内 容 例
●人権教育の趣旨、背景
●我が国における人権教育の意義
●人権教育10年に対する基本理念、目標、取り組みの留意
点
2 あらゆる場における人権教育
の推進
(1)学校教育における人権教育
の推進
●幼児児童生徒の人権尊重の意識を高める教育の推進、人権
教育に関する指導内容・方法の充実、教員研修や情報提供
による人権教育の支援、大学における人権に関する教育・
啓発活動についての取り組みへの配慮
(2)社会教育における人権教育
の推進
●社会教育施設等における人権に関する学習機会の充実、識
字教育や障害者等の学習機会の充実、指導者養成、資料の
作成、学習情報提供・学習相談体制の整備・充実
(3)企業その他一般社会におけ
る人権教育等の推進
●人権侵害の被害者救済に関する施設の調査研究、人権教育
の手法の調査研究、プログラムの開発、国連人権関係文書
の普及・広報、教材・資料等の作成による啓発活動、指導
者育成、人権に関する情報の整備・充実、企業の公正な採
用選考システムの確立の指導・啓発
(4)特定の職業に従事するもの
●検察職員、矯正施設・更生保護関係職員等、入国管理関係
に対する人権教育の推進
職員、教員・社会関係職員、医療関係者、福祉関係職員、
海上保安官、労働行政関係職員、消防職員、警察職員、自
衛官、 公務員、マスメディア関係者に対する人権教育の
推進
3 重要課題への対応
(1)女 性
●「男女共同参画2000年プラン」を踏まえた取り組みの
推進
●政策・方針決定過程への女性の参画拡大、男女共同参画の
視点に立った社会制度・慣行の見直しと意識の改革、女性
の人権についての教育・研修・啓発活動の推進
(2)子ども
●子どもの人権についての教育・研修・啓発活動の推進、児
童の権利に関する条約の趣旨・内容の周知、いじめ問題等
についての総合的な取り組みの推進、児童の商業的性的搾
取の防止、子どもの人権専門委員制度の充実・強化
(3)高齢者
●高齢者の人権についての教育・研修・啓発活動の推進、相
談体制の整備、高齢者の社会参加の促進、雇用・就業機会
の確保
43
42
「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画 ―要旨―
項 目
(4)障害者
内 容 例
●障害者の人権についての啓発・広報活動や教育の推進、障害
者の社会参加と職業的自立の推進
(5)同和問題
●地域改善対策協議会意見具申を尊重するとともに、「同和問
題の早期解決に向けた今後の方策について(平成8年7月
26日閣議決定)」に基づき、人権教育・人権啓発事業を推
進
(6)アイヌの人々
●「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普
及及び啓発に関する法律」に基づき、施策を推進
●アイヌの人々に対する人権侵害の発生を防止するための啓発
活動の充実・強化、人権相談体制の充実
(7)外国人
●人権相談体制の充実、差別意識解消のための啓発活動の推進
(8)HIV感染者等
●HIV感染者、ハンセン病への理解を深めるための啓発活動
の推進
(9)刑を終えて出所した人
●偏見・差別を除去し、社会復帰に資するための啓発活動を推
進
(10)その他
4 国際協力の推進
●その他の課題についても、引き続き施策を推進
●国連の取り組みに貢献
●国連の人権関係基金に協力
●開発途上国に対する人権教育関連の協力
●国際人権シンポジウムの開催
5 計画の推進
●計画の推進体制
●人権擁護推進審議会における検察結果の反映
●地方公共団体その他の公的機関、民間団体等の取り組みへの
期待と配慮
●計画のフォローアップ・見通し
44
43
関連法規等(抜粋)
関 連 法 規 等(抜粋)
「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(抄) (昭和60年7月1日条約第7号)
第2条
締結国は、女子に対するあらゆる形態の差別を非難し、女子に対する差別を撤廃する政策
をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追及することに合意し、及びこのため次のこ
とを約束する。
(d)女子に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関
がこの義務に従って行動することを確保すること。
「男女共同参画社会基本法」
(抄) (改正:平成11年12月22日法律第160号)
(男女の人権の尊重)
第3条 男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が
性別による差別的扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保され
ることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
(社会における制度又は慣行についての配慮)
第4条 男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による
固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響
を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることに
かんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影
響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。
(家庭生活における活動と他の活動の両立)
第6条 男女共同参画社会の形成は、家庭を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下
に、子の養育、家庭の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役
割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨と
して、行われなければならない。
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(抄) (平成12年5月24日法律第81号)
第2条 この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意
の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定
の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密
接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常
所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押
し掛けること。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置く
こと。
45
44
関連法規等(抜粋)
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若し
くはファクシミリ装置を用いて送信すること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又
はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的
羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。
2 この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(前項第一
号から第四号までに掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害
され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合
に限る。)を反復してすることをいう。
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(抄)
(改正:平成18年6月21日法律第82号)
(性別を理由とする差別の禁止)
第5条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を
与えなければならない。
第6条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的扱いをし
てはならない。
一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、昇格及び教育訓練
二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定める
もの
三 労働者の職種及び雇用形態の変更
四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新
(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第11条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応
により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労
働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応す
るために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(抄)
(改正:平成19年7月11日法律第113号)
(配偶者暴力相談支援センター)
第3条 都道府県は、当該都道府県が設置する婦人相談所その他の適切な施設において、当
該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとする。
46
45
関連法規等(抜粋)
2 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、当該市町村が設置する適切な施設において、
当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするよう努めるも
のとする。
3 配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のため、次
に掲げる業務を行うものとする。
一 被害者に関する各般の問題について、相談に応ずること又は婦人相談員若しくは相談
を行う機関を紹介すること。
二 被害者の心身の健康を回復させるため、医学的又は心理学的な指導その他の必要な指
導を行うこと。
三 被害者(被害者がその家族を同伴する場合にあっては、被害者及びその同伴する家族。
次号、第6号、第5条及び第8条の3において同じ。)の緊急時における安全の確保及
び一時保護を行うこと。
四 被害者が自立して生活することを促進するため、就業の促進、住宅の確保、援護等に
関する制度の利用等について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助
を行うこと。
五 第4章に定める保護命令の制度の利用について、情報の提供、助言、関係機関への連
絡その他の援助を行うこと。
六 被害者を居住させ保護する施設の利用について、情報の提供、助言、関係機関との連
絡調整その他の援助を行うこと。
「児童の権利に関する条約」(抄) (平成6年5月16日条約第2号)
第2条 1 締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人
種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会
的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条
約に定める権利を尊重し、及び確保する。
第3条 1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁
判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利
益が主として考慮されるものとする。
第12条
1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事
項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見
は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
第13条
1 児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印
刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類
の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
47
46
関連法規等(抜粋)
第19条
1 締約国は、児童が父母、法定保護者又は児童を監護する他の者による監護を受けている
間において、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力、傷害若しくは虐待、放置若し
くは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取(性的虐待を含む。)からその児童を保護する
ためすべての適当な立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。
第34条
締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。こ
のため、締約国は、特に、次のことを防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数
国間の措置をとる。
(a)不法な性的な行為を行うことを児童に対して勧誘し又は強制すること。
(b)売春又は他の不法な性的な業務において児童を搾取的に使用すること。
(c)わいせつな演技及び物において児童を搾取的に使用すること。
第42条
締約国は、適当かつ積極的な方法でこの条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも
広く知らせることを約束する。
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(抄)
(改正:平成:16年6月18日法律第106号)
(目的)
第1条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害するこ
との重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買
春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影
響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを
目的とする。
(教育、啓発及び調査研究)
第14条 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為が児童の心身の成
長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止すること
ができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるもの
とする。
2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為の防止に資する調査研究
の推進に努めるものとする。
「児童虐待の防止等に関する法律」(抄) (改正:平成20年12月3日法律第85号)
(目的)
第1条 この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形
成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすこ
とにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待
の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援
48
47
関連法規等(抜粋)
のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児
童の権利利益の擁護に資することを目的とする。
(児童虐待の定義)
第2条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その
他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(18歳に
満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の
同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての
監護を著しく怠ること。
四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶
者に対する暴力(配偶者 ( 婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情に
ある者を含む。) の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの
及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理
的外傷を与える言動を行うこと。
(児童に対する虐待の禁止)
第3条 何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。
(児童虐待の早期発見等)
第5条 学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教
職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある
者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなけ
ればならない。
(児童虐待に係る通告)
第6条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道
府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の
設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
(立入調査等)
第9条 都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員
又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必
要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票
を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。
(親権の行使に関する配慮等)
第14条 児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、その適切な行使に配慮しなけれ
ばならない。
2 児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児
童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。
49
48
関連法規等(抜粋)
「老人福祉法」
(抄) (改正:平成17年11月7日法律第123号)
(基本的理念)
第2条 老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経
験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障さ
れるものとする。
「高齢社会対策基本法」
(抄)
(改正:平成11年7月16日法律第102号)
(基本理念)
第2条 高齢社会対策は、次の各号に掲げる社会が構築されることを基本理念として、行わ
れなければならない。
一 国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公
正で活力ある社会
二 国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と
連帯の精神に立脚して形成される社会
三 国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会
(就業及び所得)
第9条 国は、活力ある社会の構築に資するため、高齢者がその意欲と能力に応じて就業す
ることができる多様な機会を確保し、及び勤労者が長期にわたる職業生活を通じて職業能
力を開発し、高齢期までその能力を発揮することができるよう必要な施策を講ずるものと
する。
(健康及び福祉)
第10条 国は、高齢期の健全で安らかな生活を確保するため、国民が生涯にわたって自ら
の健康の保持増進に努めることができるよう総合的な施策を講ずるものとする。
(学習及び社会参加)
第11条 国は、国民が生きがいを持って豊かな生活を営むことができるようにするため、
生涯学習の機会を確保するよう必要な施策を講ずるものとする。
(生活環境)
第12条 国は、高齢者が自立した日常生活を営むことができるようにするため、高齢者に
適した住宅等の整備を促進し、及び高齢者のための住宅を確保し、並びに高齢者の円滑な
利用に配慮された公共的施設の整備を促進するよう必要な施策を講ずるものとする。
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(抄)
(平成17年11月9日法律第124号)
(目的)
第1条 この法律は、高齢者に対する虐待が深刻な状況にあり、高齢者の尊厳の保持にとっ
て高齢者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等にかんがみ、高齢者虐待
の防止等に関する国等の責務、高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置、養
護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する
50
49
関連法規等(抜粋)
支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定めることにより、高齢
者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって高齢者の権利利益の
擁護に資することを目的とする。
(国及び地方公共団体の責務等)
第3条 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の迅速かつ
適切な保護及び適切な養護者に対する支援を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及
び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他必要な体制の整備に努めなければな
らない。
2 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに
養護者に対する支援が専門的知識に基づき適切に行われるよう、これらの職務に携わる専
門的な人材の確保及び資質の向上を図るため、関係機関の職員の研修等必要な措置を講ず
るよう努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護に資す
るため、高齢者虐待に係る通報義務、人権侵犯事件に係る救済制度等について必要な広報
その他の啓発活動を行うものとする。
(国民の責務)
第4条 国民は、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等の重要性に関する理解を深める
とともに、国又は地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等のため
の施策に協力するよう努めなければならない。
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(抄)
(平成18年6月21日法律第91号)
(目的)
第1条 この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの
重要性にかんがみ、公共交通機関の旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、公園施設並
びに建築物の構造及び設備を改善するための措置、一定の地区における旅客施設、建築物
等及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設の一体的な整備を
推進するための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の移動上及び施
設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資するこ
とを目的とする。
(国の責務)
第4条 国は、高齢者、障害者等、地方公共団体、施設設置管理者その他の関係者と協力し
て、基本方針及びこれに基づく施設設置管理者の講ずべき措置の内容その他の移動等円滑
化の促進のための施策の内容について、移動等円滑化の進展の状況等を勘案しつつ、これ
らの者の意見を反映させるために必要な措置を講じた上で、適時に、かつ、適切な方法に
より検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 国は、教育活動、広報活動等を通じて、移動等円滑化の促進に関する国民の理解を深め
るとともに、その実施に関する国民の協力を求めるよう努めなければならない。
51
50
関連法規等(抜粋)
(地方公共団体の責務)
第5条 地方公共団体は、国の施策に準じて、移動等円滑化を促進するために必要な措置を
講ずるよう努めなければならない。
(施設設置管理者等の責務)
第6条 設置施設管理者その他の高齢者、障害者等が日常生活又は社会生活において利用す
る施設を設置し、又は管理する者は、移動等円滑化のために必要な措置を講ずるよう努め
なければならない。
(国民の責務)
第7条 国民は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要
性について理解を深めるとともに、これらの者の円滑な移動及び施設の利用を確保するた
めに協力するよう努めなければならない。
「障害者基本法」(抄) (改正:平成16年6月4日法律第80号)
(目的)
第1条 この法律は、障害者の自立及び社会参加の支援等の施策に関し、基本的理念を定め、
及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支
援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の
支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて障害者の福祉を増進することを
目的とする。
(基本的理念)
第3条 すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障され
る権利を有する。
2 すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活
動に参加する機会が与えられる。
「発達障害者支援法」(抄)
(平成16年12月10日法律第167号)
(目的)
第1条 この法律は、発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進のため
に発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要であることに
かんがみ、発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の
責務を明らかにするとともに、学校教育における発達障害者への支援、発達障害者の就労
の支援、発達障害者支援センターの指定等について定めることにより、発達障害者の自立
及び社会参加に資するようその生活全般にわたる支援を図り、もってその福祉の増進に寄
与することを目的とする。
(国及び地方公共団体の責務)
第3条 国及び地方公共団体は、発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の
促進のために発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要で
あることにかんがみ、発達障害の早期発見のため必要な措置を講じるものとする。
52
51
関連法規等(抜粋)
2 国及び地方公共団体は、発達障害児に対し、発達障害の症状の発現後できるだけ早期に、
その者の状況に応じて適切に、就学前の発達支援、学校における発達支援その他の発達支
援が行われるとともに、発達障害者に対する就労、地域における生活等に関する支援及び
発達障害者の家族に対する支援が行われるよう、必要な措置を講じるものとする。
3 発達障害者の支援等の施策が講じられるに当たっては、発達障害者及び発達障害児の保
護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下
同じ。)の意思ができる限り尊重されなければならないものとする。
4 国及び地方公共団体は、発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、
福祉、教育及び労働に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、
犯罪等により発達障害者が被害を受けること等を阻止するため、これらの部局と消費生活
に関する業務を担当する部局その他の関係機関との必要な協力体制の整備を行うものとす
る。
(国民の責務)
第4条 国民は、発達障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、
発達障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するよう努めなければな
らない。
「知的障害者福祉法」(抄) (改正:平成19年12月5日法律第125号)
(目的)
第1条 この法律は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)と相まつて、知的障
害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、知的障害者を援助するとともに必要
な保護を行い、もつて知的障害者の福祉を図ることを目的とする。
(自立への努力及び機会の確保)
第1条の2 すべての知的障害者は、その有する能力を活動することにより、進んで社会経
済活動に参加するよう努めなければならない。
2 すべての知的障害者は、社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる
分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。
(国、地方公共団体及び国民の責務)
第2条 国及び地方公共団体は、前条に規定する理念が実現されるように配慮して、知的障
害者の福祉について国民の理解を深めるとともに、知的障害者の自立と社会経済活動への
参加を促進するための援助と必要な保護(以下「更生援護」という。)の実務に努めなけ
ればならない。
2 国民は、知的障害者の福祉について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、
知的障害者が社会活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければなら
ない。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(抄)
(改正:平成18年6月23日法律第94号) 53
52
関連法規等(抜粋)
(目的)
第1条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者自立支援法(平成17年法
律第123号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促
進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び
増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図るこ
とを目的とする。
(国及び地方公共団体の義務)
第2条 国及び地方公共団体は、障害者自立支援法の規定による自立支援給付及び地域生
活支援事業と相まつて、医療施設及び教育施設を充実する等精神障害者の医療及び保護並
びに保健及び福祉に関する施策を総合的に実施することによつて精神障害者が社会復帰を
し、自立と社会経済活動への参加をすることができるように努力するとともに、精神保健
に関する調査研究の推進及び知識の普及を図る等精神障害者の発生の予防その他国民の精
神保健の向上のための施策を講じなければならない。
(国民の義務)
第3条 国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに、精神障害者に対する理解を
深め、及び精神障害者がその障害を克服して社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加
をしようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。
(正しい知識の普及)
第46条 都道府県及び市町村は、精神障害についての正しい知識の普及のための広報活動
等を通じて、精神障害者の社会復帰及びその自立と社会経済活動への参加に対する地域住
民の関心と理解を深めるよう努めなければならない。
「身体障害者福祉法」
(抄)
(改正:平成19年12月5日法律第125号)
(法の目的)
第1条 この法律は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)と相まつて、身体障
害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応
じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。
(自立への努力及び機会の確保)
第2条 すべて身体障害者は、自ら進んでその障害を克服し、その有する能力を活用するこ
とにより、社会経済活動に参加することができるように努めなければならない。
2 すべて身体障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野
の活動に参加する機会を与えられるものとする。
(国、地方公共団体及び国民の責務)
第3条 国及び地方公共団体は、前条に規定する理念が実現されるように配慮して、身体障
害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と必要な保護(以下「更生援護」
という。)を総合的に実施するよう努めなければならない。
2 国民は、社会連帯の理念に基づき、身体障害者がその障害を克服し、社会経済活動に参
加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。
54
53
関連法規等(抜粋)
「同和問題の早期解決に向けた今後の方策の基本的な在り方について」(意見具申)(抄)
(平成8年5月17日 地域改善対策協議会)
今世紀、人類は二度にわたる世界大戦の惨禍を経験し、平和が如何にかけがえのないもの
であるかを学んだ。しかし、世界の人々の平和への願いにもかかわらず、冷戦構造の崩壊後
も、依然として各地で地域紛争が多発し、多くの犠牲者を出している。紛争の背景は一概に
は言えないが、人種や民族間の対立や偏見、そして差別の存在が大きな原因の一つであると
思われる。こうした中で、人類は、「平和のないところに人権は存在し得ない」、「人権のな
いところに平和は存在し得ない」という大きな教訓を得た。今や、人権の尊重が平和の基礎
であるということが世界の共通認識になりつつある。このような意味において、21世紀は
「人権の世紀」と呼ぶことができよう。
我が国固有の人権問題である同和問題は、憲法が保障する基本的人権の侵害に係る深刻か
つ重大な問題である。戦後50年、本格的な対策が始まってからも四半世紀余、同和問題は
多くの人々の努力によって、解決へ向けて進んでいるものの、残念ながら依然として我が国
における重要な課題と言わざるを得ない。その意味で、戦後民主主義の真価が問われている
と言えよう。また、国際社会における我が国の果たすべき役割からすれば、まずは足元とも
言うべき国内において、同和問題など様々な人権問題を一日も早く解決するよう努力するこ
とは、国際的な責務である。
同対審答申は、「部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならな
い」と指摘しており、特別対策の終了、すなわち一般対策への移行が、同和問題の早期解決
を目指す取り組みの放棄を意味するものではないことは言うまでもない。一般対策移行後は、
従来にも増して、行政が基本的人権の尊重という目標をしっかり見据え、一部に立ち遅れの
あることも視野に入れながら、地域の状況や事業の必要性の的確な把握に努め、真摯に施策
を実施していく主体的な姿勢が求められる。
差別意識の解消のために教育及び啓発の果たすべき役割は極めて大きく、これまで様々な
手法で施策が推進されてきた。しかしながら、同和問題に関する国民の差別意識は解消へ向
けて進んでいるものの依然として根深く存在しており、その解消に向けた教育及び啓発は引
き続き積極的に推進していかなければならない。
今後、差別意識の解消を図るに当たっては、これまでの同和教育や啓発活動のなかで積み
上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重し
ていくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきと考えられる。その中で、同
和問題を人権問題の重要な柱として捉え、この問題に固有の経緯等を十分に認識しつつ、国
際的な潮流とその取り組みを踏まえて積極的に推進すべきである。
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関連法規等(抜粋)
「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(抄)
(平成7年12月20日条約第26号)
この条約の締約国は、…
人種的相違に基づく優越性のいかなる理論も科学的に誤りであり、道徳的に非難されるべ
きであり及び社会的に不正かつ危険であること並びに理論上又は実際上、いかなる場所にお
いても、人種差別を正当化することはできないことを確信し、…
次のとおり協定した。
第6条 締約国は、自国の管轄の下にあるすべての者に対し、権限のある自国の裁判所及び
他の国家機関を通じて、この条約に反して人権及び基本的自由を侵害するあらゆる人種差
別の行為に対する効果的な保護及び救済措置を確保し、並びにその差別の結果として被っ
たあらゆる損害に対し、公正かつ適正な賠償又は救済を当裁判所に求める権利を確保する。
「ハンセン病療養所入所者に対する補償金の支給等に関する法律」(抄)
(平成13年6月22日法律第63号)
ハンセン病の患者は、これまで、偏見と差別の中で多大の苦痛と苦難を強いられてきた。
我が国においては、昭和28年制定の「らい予防法」においても引き続きハンセン病の患者
に対する隔離政策がとられ、加えて、昭和30年代に至ってハンセン病に対するそれまでの
認識の誤りが明白となったにもかかわらず、なお、依然としてハンセン病に対する誤った認
識が改められることなく、隔離政策の変更も行われることなく、ハンセン病の患者であった
者等にいたずらに耐え難い苦痛と苦難を継続せしめるままに経過し、ようやく「らい予防法
の廃止に関する法律」が施行されたのは平成8年であった。
我らは、これらの悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびする
とともに、ハンセン病の患者であった者等に対するいわれのない偏見を根絶する決意を新た
にするものである。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(抄)
(改正:平成18年12月8日法律第106号)
我が国においては、過去ハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対する
いわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生
かすことが必要である。
このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感
染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、
感染症に迅速かつ的確に対応することが求められている。
(基本理念)
第2条 感染症の発生の予防及びそのまん延の防止を目的として国及び地方公共団体が講ず
る施策は、これらを目的とする施策に関する国際的動向を踏まえつつ、保健医療を取り巻
く環境の変化、国際交流の進展等に即応し、新感染症その他の感染症に迅速かつ的確に対
応することができるよう、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者
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関連法規等(抜粋)
の人権を尊重しつつ、総合的かつ計画的に進展されることを基本理念とする。
(国及び地方公共団体の責務)
第3条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じた感染症に関する正しい知識
の普及、感染症に関する情報の収集、整理、分析及び提供、感染症に関する研究の推進、
病原体等の検査能力の向上並びに感染症の予防に係る人材の養成及び資質の向上を図ると
ともに、社会福祉等の関連施策との有機的な連携に配慮しつつ感染症の患者が良質かつ適
切な医療を受けられるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。この場合に
おいて、国及び地方公共団体は、感染症の患者等の人権を尊重しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、地域の特性に配慮しつつ、感染症の予防に関する施策が総合的
かつ迅速に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。
3 国は、感染症及び病原体等に関する情報の収集及び研究並びに感染症に係る医療のため
の医薬品の研究開発の推進、病原体等の検査の実施等を図るための体制を整備し、国際的
な連携を確保するよう努めるとともに、地方公共団体に対し前二項の責務が十分に果たさ
れるように必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。
(国民の責務)
第4条 国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努め
るとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。
「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」(抄)
(改正:平成13年4月13日法律第30号)
(犯罪被害者等給付金の支給)
第3条 国は、犯罪被害を受けた者(以下「被害者」という。)があるときは、この法律の
定めるところにより、被害者又は遺族(これらの者のうち、当該犯罪被害の原因となった
犯罪行為が行われた時において、日本国籍を有せず、かつ、日本国内に住所を有しない者
を除く。)に対し、犯罪被害者等給付金を支給する。
「犯罪被害者等基本法」(抄)
(平成16年12月8日法律第161号)
(目的)
第1条 この法律は、犯罪被害者等のための施策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方
公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等のための施策の基本とな
る事項を定めること等により、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、
もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする。
(基本理念)
第3条 すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保
障される権利を有する。
2 犯罪被害者等のための施策は、被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況
その他の事情に応じて適切に講ぜられるものとする。
3 犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活
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関連法規等(抜粋)
を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることが
できるよう、講ぜられるものとする。
(国の責務)
第4条 国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、犯罪被
害者等のための施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第5条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の支援等に関し、国との適切
な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施
する責務を有する。
(国民の責務)
第6条 国民は、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮する
とともに、国及び地方公共団体が実施する犯罪被害者等のための施策に協力するよう努め
なければならない。
「個人情報の保護に関する法律」(抄)
(平成15年5月30日法律第57号)
(目的)
第1条 この法律は、高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大している
ことにかんがみ、個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作
成その他の個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の
責務等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定める
ことにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とす
る。
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(抄)
(平成15年7月16日法律第111号)
(定義)
第2条 この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにも
かかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続
的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意志を
有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を
有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致してい
るものをいう。
(性別の取扱いの変更の審判を受けた者に関する法令上の取扱い)
第4条 性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法(明治29年法律第89号)その他
の法令の規定の適用については、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他
の性別に変わったものとみなす。
2 前項の規定は、法律に別段の定めがある場合を除き、性別の取扱いの変更の審判前に生
じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすものではない。
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関連法規等(抜粋)
「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(抄)
(改正:平成11年12月22日法律第160号)
(目的)
第1条 この法律は、アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化(以下
「アイヌの伝統等」という。)が置かれている状況にかんがみ、アイヌ文化の振興並びにア
イヌの伝統等に関する国民に対する知識の普及及び啓発(以下「アイヌ文化の振興等」と
いう。)を図るための施策を推進することにより、アイヌの人々の民族としての誇りが尊
重される社会の実現を図り、あわせて我が国の多様な文化の発展に寄与することを目的と
する。
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瑞浪市人権施策推進懇話会委員名簿
瑞浪市人権施策推進懇話会委員名簿
(敬称略・五十音順)
所 属 等
副会長
会長
氏 名
教育関係者
足 立 賢 治
保護司会
安 藤 照 芳
男女共同参画社会推進委員
井 貝 順 子
公募委員
伊 藤 はせみ
社会教育委員
稲 垣 春 吉
人権擁護委員
岩 島 康 文
個人情報保護審査会委員
大 熊 和 子
民生委員・児童委員
小 倉 啓 司
企業関係者
可 児 恵 太
人権擁護委員
小木曽 とみ子
障がい者団体関係者
志 水 利 保
公募委員
鈴 木 茂 喜
家庭児童相談員
鈴 木 美奈子
連合自治会
田 中 滋 雄
ケースワーカー
土 本 かおり
更生保護女性の会
中 島 美 江
学識者
藤 田 敬 一
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瑞浪市人権施策推進指針策定の経緯
瑞浪市人権施策推進指針策定の経緯
年 月 日
内 容
平成 21 年 7 月 7 日
庁議(策定決定)
平成 21 年 8 月 1 日
瑞浪市人権施策推進会議設置要綱告示
平成 21 年 8 月 4 日
第1回人権施策推進会議
平成 21 年 9 月 16 日
第1回人権施策推進会議作業部会
平成 21 年 10 月 1 日
瑞浪市人権施策推進懇話会設置要綱告示
平成 21 年 10 月 21 日
作業部会第2小委員会
平成 21 年 10 月 27 日
作業部会第1小委員会
平成 21 年 10 月 29 日
作業部会第3小委員会
平成 21 年 11 月 17 日
第2回人権施策推進会議
平成 21 年 12 月 16 日
人権施策推進職員研修会
平成 21 年 12 月 17 日
第1回人権施策推進懇話会・委員委嘱状交付
平成 21 年 12 月 18 日
第2回人権施策推進会議作業部会
平成 22 年 1 月 14 日
人権施策推進職員研修会及び市民研修会
平成 22 年 1 月 22 日
人権施策推進職員研修会
平成 22 年 3 月 4 日
第3回人権施策推進会議作業部会
平成 22 年 3 月 10 日
第3回人権施策推進会議
平成 22 年 3 月 18 日
第2回人権施策推進懇話会
平成 22 年 5 月 7 日
第4回人権施策推進会議作業部会
平成 22 年 5 月 18 日
第4回人権施策推進会議
平成 22 年 5 月 27 日
第3回人権施策推進懇話会
平成 22 年 7 月 20 日
~平成 22 年 8 月 18 日
人権施策推進指針(案)のパブリックコメント実施
平成 22 年 9 月 22 日
第5回人権施策推進会議作業部会
平成 22 年 9 月 29 日
第5回人権施策推進会議
平成 22 年 10 月 14 日
第4回人権施策推進懇話会
平成 22 年 11 月 15 日
第6回人権施策推進会議作業部会
平成 22 年 12 月 3 日
第6回人権施策推進会議
平成 22 年 12 月 16 日
第5回人権施策推進懇話会
平成 23 年 1 月 19 日
庁議(指針・行動計画決定)
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瑞浪市人権施策推進指針
平成 23 年 3 月
編集:発行 瑞浪市総務部市民協働課
〒509−6195 岐阜県瑞浪市上平町 1 丁目 1 番地
TEL 0572−68−2111
e-mail
[email protected]
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