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3.2 黄砂

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3.2 黄砂
現象の発生の有無や黄砂の飛散量は、強風の
3.2 黄砂
程度に加えて、地表面の状態、すなわち植生
黄砂現象とは、東アジアの砂漠域から強風
の有無、粗度や積雪の有無、土壌水分量、地
に よ り 大 気中 に 舞 い 上 が っ た 鉱 物 粒子 ( 黄
表面の土壌粒径などの条件により大きく左右
砂)が浮遊しつつ落下する現象を指す。東ア
される(Shao, 2000)。季節別にみると、中
ジア以外の砂漠でも同様の現象は発生し、一
国乾燥域のダストストームの発生には明瞭な
般に強風により発生することから風送ダスト、
季節変化があり、3 月∼5 月の春季が発生事
あるいはその組成から鉱物ダストと呼ばれて
例のほとんどを占める(図 3.2.2)。これは、
いるが、ここでは、それもあわせて大気中を
中国北西部から北部にかけての乾燥域を通過
浮遊する鉱物粒子を黄砂と呼ぶこととする。
する強風をともなう気象擾乱が春季に集中す
るためである。
日本における黄砂現象は、春先から初夏に
かけて、東アジアを経由する低気圧の通過に
国内に発生域を抱える中国やモンゴルでは、
ともなって観測されることが多く、黄砂現象
降塵現象としての黄砂現象より、むしろ黄砂
発生時には空が黄色く煙ることなどにより、
現象の原因となる砂塵嵐(ダストストーム)
一般にも広く知られている現象である。近年、
による自然災害が深刻である。発生域の砂漠
我が国でも、2000 年から 2002 年にかけて、
では、ダストストームの発生は毎年地域社会
黄砂現象の観測回数が過去 30 年間の最大値
に甚大な被害を与えており、例えば、中国北
を 3 年連続で更新し、国民の関心をひいた。
西部で発生した 1993 年 5 月 5 日のダストス
一方、大気中に浮遊する黄砂は、直接間接
トームの場合、83 名の死者と 12 万頭の家
に地球の気候と関係していることが最近の研
畜被害が報告されている(王, 2003)。また、
究により明らかにされつつある。このように、
発生域に近い韓国では、黄砂現象の発生によ
黄砂現象は発生域の自然災害という側面とと
り大気中の粒子状物質である PM10(大気
もに、黄砂が輸送される地域の大気環境や地
中に浮遊する粒子状物質の内、直径が 10µm
球規模の気候への影響というさまざまな側面
以下の粒子状物質の総量を示す。単位は
をもった現象であることがわかり始めた。こ
µg/m 3 ) や 、 TSP ( Total
こでは、3.2.1 項で黄砂の概念について説明
Particulate Matters の略。大気中に浮遊す
を行い、3.2.2 項では東アジアにおける黄砂
る粒子状物質の総量を示す。単位はµg/m 3 )
現象の実態を、そして 3.2.3 項では近年注目
がしばしば環境基準値を大幅に超え、ソウル
され始めた黄砂の気候への影響について述べ
市では黄砂現象発生時に外出禁止令が出され
る。
るなど、黄砂現象は深刻な大気環境問題とし
て認識されている。こうしたことを背景に、
3.2.1 黄砂とは
2004 年 12 月には日中韓モンゴル四か国の
黄砂は、地表面の土壌粒子が強風によって
環境大臣による初めての黄砂問題の会合が東
大気中に舞い上がることにより発生するので、
京で開催されるなど、近年東アジア諸国の間
土壌粒子が舞い上がる条件さえそろえば何処
では黄砂問題への関心が高まっている。
でも発生する可能性がある。図 3.2.1 は、ア
黄砂粒子はいったん大気中に舞い上がると、
ジアの黄砂現象発生頻度と土地被覆条件の分
比較的大きな粒子(直径 10µm 以上)は重
布図である。これによると、アジア大陸の広
力により速やかに落下するが、小さな粒子(直
範な地域で黄砂現象の発生がみられる。黄砂
径数µm 以下)は上空の風に運ばれ遠くまで
277
Suspended
図 3.2.1 アジアの土地被覆分布とダストストーム発生分布
図の印(ドット、白丸、二重丸、黒丸)は 1993 年 1 月から 2002 年 6 月までの月別ダ
ストストーム発生頻度の最大値をあらわし、数値が大きいところほど潜在的にダスト
ストームが発生する地域であることを示している。カラーのハッチは土地被覆を示し
ており、米国地質調査所(U.S. Geological Survey)のデータ(GlobalLand Cover
Characteristics Data Base Ver.2.0, Global Ecosystems)をもとに、Bare Desert(砂
漠)、Semi Desert(高山砂漠)、Semi Desert Shrubs(灌木が分 布 する準砂漠)、
Grassland(草原)、Culitivated Land(耕作域)、Savanna(サバンナ)、Forest(森
林)、Tundra(ツンドラ)、others(そのほか)に分類し直したものである。黒崎と三
上(2002)を改編。
輸送される。東アジアで発生した黄砂が太平
洋を横断し、北米に輸送されている事例は、
し ば し ば 地球 観 測 衛 星 か ら 観 測 さ れて お り
(例えば、Husar et al., 2001)、グリーン
ランドの氷床からタクラマカン砂漠起源と思
われる黄砂粒子が見出された事例(Bory et
al., 2003)や、北大西洋を越えた東アジア
起源の黄砂がヨーロッパアルプスまで輸送さ
れた事例(Grousset et al., 2003)なども
報告されている。
図 3.2.2 東アジアのダストストーム発生頻度(月
ごとの発生頻度、単位%)と強風発生頻度(月
ごとの発生頻度、単位%)の季節変化
棒グラフがダスト発生頻度、折れ線グラフが強
風の発生頻度をあらわす。黒崎と三上, 2002 よ
り。
278
3.2.2 東アジア・日本における近年の
いる(全ほか, 2002)。また、気象庁の黄砂
黄砂現象の状況
現象観測延べ日数は、2000 年から 2002 年
1960 年から 2003 年の中国国内の気象台
にかけて、1971 年以降で最多を記録してい
338 か所の地上気象観測記録によれば、黄砂
るが、年々変動が大きく、長期的な傾向は明
現象の主たる発生域である中国のダストスト
瞭でない(図 3.2.4)。このように、黄砂の
ーム発生頻度は、1980 年代後半から明瞭な
主たる発生域の中国と、風下の韓国および日
減少傾向を示している(図 3.2.3; Ding et al.,
本の黄砂現象観測回数の対応は必ずしもよい
2005 )。 一 方 、 韓 国 ソ ウ ル 市 で の 観 測 記 録
とはいえない。
(1915∼2002 年)によると、黄砂現象の観
中国のダストストーム発生頻度と同地域の
測日数は、1980 年代から増加傾向を示して
強風発生頻度には、一定の関連がみられ、強
図 3.2.3 1960 年から 2003 年の中国北西部におけるダストストーム発
生指数(中国北西領域で春季期間中にダストストームを観測した日の
割合を正規化、実線)と北西中国循環指数(正規化した 500hPa 平均高
度(gph)、点線)の年々変動と 9 年移動平均値(ダストストーム発生
指数は実線に黒丸、北西中国循環指数は実線に白丸)
Ding et al.(2005)より。
図 3.2.4 気象庁の黄砂観測
回数の年々変動図
観測延べ日数は日本の各観
測地点で黄砂を観測した日
数 の 合 計 数 ( 108 地 点 で の
統計、同じ日に 5 か所で観
測した場合は 5 増える)。
279
図 3.2.5 東アジアの月別平均ダストストーム発生頻度(棒グラフ)と強風発生頻度(折れ
線グラフ)(1993 年 1 月から 2002 年 6 月)
Kurosaki and Mikami(2003)より。
風発生頻度が多い年は、ダストストームの発
3.2.3 黄砂の気候への影響
生頻度は高い傾向がある(図 3.2.5; Kurosaki
これまでみてきたように、黄砂現象は全球
and Mikami, 2003)。しかし、強風発生頻
スケールの現象であり、大気中に滞留する黄
度が多い年でもダストストームの発生が必ず
砂粒子が地球の気候に与える影響が近年問題
しも多くない年もあり、こうしたダストスト
となっている。大気中の黄砂粒子は、日射と
ームの発生頻度の年々変動のメカニズムにつ
赤外放射の吸収と散乱過程をつうじて、地球
いては、積雪、土壌水分、植生などの地表面
の大気を加熱ないし冷却する効果(放射強制
条 件 の 変化( 黒 崎 と 三 上 , 2002; Kurosaki
力直接効果)がある。また、大気上層の黄砂
and Mikami, 2004; Liu et al., 2004)や、
粒子が氷晶核となり絹雲の生成に関係するこ
大規模な大気循環場の変動(吉野ほか;
とや、長距離輸送される黄砂粒子の人為起源
2002)などさまざまな視点からの研究がな
粒子との混合により雲の雲核となる役割(放
されてきた。とりわけ、2000 年から 2002
射強制力間接効果)が注目され始めている。
年にかけてのダストストーム多発現象のメカ
また海洋表面に沈着した黄砂中の鉄分は、プ
ニズムについても、北極振動などいくつかの
ランクトンの微量栄養源となり、海洋表面の
気候インデックスとの関連が調べられている
バイオマスの分布に影響を与え、大気−海洋
が(Hara and Uno, 2005)、現時点ではっ
系の炭素循環や海洋上の雲の形成に関係して
きりとしたことはわかっていない。
いると考えられている。IPCC 第三次評価報
告書では、エーロゾル各種の放射強制力評価
を行っており、黄砂は各種エーロゾルのなか
でも最も不確実性が高いものの一つとして挙
げられている(IPCC, 2001)。黄砂は対流圏
エーロゾルの重量比で過半を占めるのにもか
かわらず、その気候への影響評価が進まなか
ったのは、発生量や大気中分布ならびに粒子
特性などの実態がよくわかっていなかったた
めである。このため、近年大規模な研究計画
280
が サ ハ ラ 砂 漠 ( SHADE: Saharan Dust
輸送途上で「すす」などの人為起源エーロゾ
Experiment)や東アジア(ACE-Asia)、中
ルとの混合により、その光学特性が変化し、
国北西部の砂漠(ADEC)を対象として実施
吸 収 特 性が強 く な る 事 例 も 報 告 さ れて い る
され、黄砂の気候影響に関する研究が進めら
(Uchiyama et al., 2005)。こうした、黄
れている(Tanré et al., 2003; Huebert et al.,
砂 の 放 射 に関 す る 影 響 ( 放 射 強 制 力直 接 効
2003; Mikami et al., 2005)。
果)を評価するため、全球スケールの黄砂数
黄砂は大気中を長時間浮遊し、日射および
値モデルを用いた数値実験が行われている。
赤外放射の散乱と吸収により、大気を加熱あ
気 象 研 究 所 は 、 全 球 黄 砂 モ デ ル
るいは冷却する。加熱と冷却のどちらになる
(MASINGER)を開発し(Tanaka et al.,
かは、大気中の黄砂の粒径ごとの鉛直分布、
2005)、世界の砂漠からの黄砂供給量と大気
黄砂粒子の光学特性(散乱と吸収の特性)、
中の黄砂粒子の分布を数値モデルにより再現
あるいは地表面のアルベド(反射率)などに
する(図 3.2.6)とともに、黄砂の光学特性
より決まる(Aoki et al., 2005)。最近の研
を考慮した放射伝達モデルを用いて、黄砂に
究によれば、黄砂粒子は発生域では従来考え
よる放射強制力直接効果を評価した(図
られているよりも日射に対する吸収特性が弱
3.2.7)。黄砂は日射に対して弱い吸収特性を
く(Kaufman et al., 2001)、また、長距離
示すため大気を加熱するが、同時に日射を散
図 3.2.6 全球黄砂モデルにより
再現された春季(1974 年∼2001
年の平均)の大気中黄砂分布図
大気上端から下端までの積算
量、単位は g/m 2 。
図 3.2.7 全球黄砂モデルにより
再現された春季(1974 年∼2001
年の平均)の大気中黄砂による
放射強制力直接効果(単位は
W/m 2 )の全球分布図
281
乱させる日傘効果により地表面に達する日射
Particle
を減少させる。それがアルベドが高い雪氷面
Studies)などの総合観測により、大気下層
の上空に滞留しているときには前者が後者を
を滞留する黄砂粒子が大陸起源の人為起源粒
凌駕し、大気−地表系を暖める側(正の放射
子と混合する過程や、それによる放射強制力
強制力)に作用し、アルベドの低い植生や海
間接効果の評価が行われるようになった
洋上では日傘効果が優るため大気を冷やす側
(Nakajima et al, 2003)。また、中国∼日
(負の強制力)に働く。結果として、全球で
本 を 観 測 領 域 と し た 日 中 共 同 研 究 ADEC
平均すると、黄砂は弱い負の強制力(大気を
( Aeolian Dust Experiment on Climate
冷やす作用)を示すことになり、今回の計算
Impact)の総合観測では、自由大気上層ま
例では黄砂が大気中にない場合と比較して−
で運ばれた黄砂粒子が、氷晶核となって絹雲
2
Environmental
Change
0.3W/m という弱い冷却結果を得ている。
を形成する過程がライダーにより観測される
この結果は、地球の大気上端の放射収支のな
など(Sakai et al., 2004)、黄砂粒子の放射
かで、黄砂の有無による影響を評価したもの
強制力間接効果の実態把握は、特に東アジア
であり、IPCC 第三次評価報告書での産業革
を中心として急速に進みつつある。また、黄
命以降の二酸化炭素など温室効果ガスの増加
砂粒子を含むエーロゾル各種を入れた全球エ
にともなう放射強制力の増減量とは異なる。
ーロゾルモデルを用いて、エーロゾルの放射
産業革命以降、世界各地で進行した土地劣化
強制力間接効果の評価も試みられている
にともなう砂漠化により、この黄砂の放射強
(Takemura et al, 2005)。しかし、黄砂粒
制力がどう変化したかを定量的に評価するに
子についての間接効果の定量的評価は、黄砂
は、現在の全球黄砂モデルは充分な性能を有
粒子の物理化学的性質や光学特性、雲物理過
しているとはいえず(Uno et al., 2005)、
程などプロセス解明とモデルの検証に必要な
またモデルに用いられる黄砂粒子の日射・赤
観測が不足しているため、現時点では充分な
外放射の散乱・吸収特性も依然不確定要素が
精度が得られていない。現在こうした問題を
多い(Aoki et al., 2005; Shi et al., 2005)。
解 明 す る た め 国 連 環 境 計 画 ( UNEP ) の 提
地球温暖化に対する黄砂粒子の放射強制力直
唱 の も と 、 ABC ( Atmospheric Brown
接効果の定量的評価のためには、黄砂舞い上
Cloud)計画が進められようとしており、東
がりにかかわる地表面データベースの整備と
アジアにおける黄砂粒子の放射強制力間接効
ともに、黄砂粒子の物理化学特性の実態把握
果に関する研究進展が期待されている。
と黄砂モデルの高度化が求められている。
一方、放射強制力をつうじた黄砂の気候へ
黄砂粒子が雲核となって働き、雲の光学的
の影響のほかに、黄砂の海洋生物圏−大気圏
厚さやアルベドを変化させることによる、黄
相互作用をつうじた気候への影響については
砂が間接的に放射強制力に与える効果につい
次のように考えられている。黄砂粒子には鉄
ては、黄砂粒子の長距離輸送中の人為起源粒
分をはじめ必須微量元素が含まれているため、
子との混合過程や雲粒形成過程などの物理過
海洋表面に降下した黄砂は、海洋表層の植物
程を、観測により明らかにする必要があった
プランクトンの栄養塩として働き、プランク
が、これまで定量化することが困難であった。
トンの増殖をコントロールする因子となって
しかし、近年東アジアでは、ライダー、放射
いる。海洋表層の植物プランクトンは、大気
計や粒子サンプリング分析などの手法を駆使
と海洋の間の炭素循環を担う主要な要素であ
した ACE-Asia/APEX(Asian Atmospheric
り、またプランクトンから発生する DMS(ジ
282
1029/2002GL016833, 2003.
メチルサルファイド)は大気中で硫酸エーロ
ゾルとなり、硫酸エーロゾルは海洋上の雲の
Hara, Y., and I. Uno, 2005: Analysis of
雲核となる。このように海洋に降下する黄砂
Inter-Annual Variation of Dust Emis-
は、間接的に放射強制力の変動に大きな役割
sion/Transport in East Asia and its Re-
を果たしていると考えられている。近年、こ
lation to Climate Indics, Proceedings of
うした問題を明らかにするための国際的な研
AOGS 2nd Annual Meeting, 1034.
究計画(SOLAS: Surface Ocean - Lower
Huebert, B. J., T. Bates, P. B. Russell, G.
Atmosphere Study)も開始され、黄砂が海
Shi, Y. J. Kim, K. Kawamura, G. Car-
洋への栄養塩供給をつうじて気候系に与える
michael, and T. Nakajima, 2003: An
影響の評価が進められつつある(植松,
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285
【コラム】黄砂情報の提供
年 1 月から黄砂現象に関する情報の提供を
黄砂は、気象学的にはエーロゾルと呼ばれ
開始した。
る空気中に漂う微粒子の一種であり、屋外の
具体的には、黄砂現象によって交通機関な
洗濯物や車を汚すなど国民生活に影響したり、
どへの影響が予測される場合や、広い範囲で
交通障害の原因となる場合がある。2000 年
日常生活に影響を及ぼすことが予想される場
から 2002 年にかけて黄砂現象が多く観測さ
合には、「黄砂に関する気象情報」などの各
れており(図 3.2.4 参照)、特に 2002 年は
種気象情報で発表する。2004 年 3 月 10 日
航空機の運行に影響を及ぼしたり、これまで
に、黄砂に関する気象情報の第 1 号を発表
は観測の少なかった秋の季節や北日本の地域
した。また、気象庁ホームページに日本周辺
でも観測されるなどして社会的な関心が高ま
の黄砂現象の観測地点の分布図と予測モデル
った。
によるその後の黄砂分布の予測図(図 2)を
黄砂は太陽や地球からの放射を散乱するこ
掲載している。この予測モデルによる黄砂分
とにより大気の熱収支、ひいては地球の気候
布の数値データは、民間の気象事業者にも提
に大きな影響を及ぼす物質でもある。このた
供されている。
め、気象研究所では黄砂などのエーロゾルが
気候に与える影響について研究を進めており、
黄砂現象の実態解明に向けた研究観測が成果
をあげている。また、エーロゾルの発生から
消失までをシミュレーションする数値モデル
MASINGAR(Model of Aerosol Species in
the Global Atmosphere) が 日 中 共 同 研 究
の一環として開発された。
MASINGAR は 気 象 研 究 所 ・ 気 象庁 全 球
モデル(MRI/JMA98)に黄砂の放出、輸送、
消失過程を組み込んでおり、水平解像度は約
110km 、 鉛 直 解 像 度 は 30 層 ( 地 表 ∼ 約
23km)、黄砂は粒径 0.1μm∼10μm の間
を 10 段階に分割している。図 1 に黄砂予測
モデルの模式図を示す。
これらの成果を活用して、気象庁では 2004
図 2 黄砂情報のページ
図 1 黄砂予測モデル(MASINGER)の模式図
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