...

平成26年 1月 - 宮城県畜産協会

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

平成26年 1月 - 宮城県畜産協会
題 字
(隔月1回発行)
第264号( )
1
平成26年 1 月20日
宮城県知事 村 井 嘉 浩
発 行 所
題 字
仙台市宮城野区安養寺三丁目11番24号
宮城県知事 村 井 嘉 浩
行 所
電話発022-298-8473
仙台市宮城野区安養寺三丁目11番24号
編 集 発 行 人
一般社団法人
菅 原 章 夫
電話印022-298-8473
刷 所
編 集 発 行 人
㈱東北プリント
菅 原 章 夫
印 刷 所
㈱東北プリント
吹雪の馬(上泉華陽 作)
も く じ
も く じ
C
O
N
T
会長年頭挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
C
O
N
T
知事年頭挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
E
N
T
S
平成25年度肉用牛(繁殖)研修会開催のご案内・・・・・・・・ 9
E
N
T
S
優秀農林水産業者の表彰について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
放射性物質検査による
安全・安心な宮城県産畜産物の生産・販売支援・・・・・・・・ 4
〈畜試便り〉圧ぺんもみ米を肥育全期間給与した
黒毛和種の肥育成績・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
宮城県産牛肉輸出の取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
〈衛生便り〉豚流行性下痢(PED)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
平成25年度東北地域家畜伝染病発生時の
防疫対応研修会の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
〈農業大学校生の抱負〉今後の抱負・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
馬を描く画家〜上泉華陽・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
賀春・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
馬事畜産振興現地検討会の報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
肉用牛肥育経営緊急支援事業の緊急支援金の
返還請求の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8 協会ホームページ
宮城県 畜 産
みやぎの
畜産情報
み信
や基
ぎ地
発
の
畜産情報
発信基地
U R L http://miyagi.lin.gr.jp
宮城県
産協会ホームページ
Eメール 畜
[email protected]
U R L http://miyagi.lin.gr.jp
Eメール [email protected]
PRINTED WITH
SOY INK TM
古紙パルプ配合率 70%の再生紙と、
植物性大豆油インキを使用しています。
( )
2 平成26年 1 月20日
〈会長年頭挨拶〉
(隔月1回発行)
第264号
環太平洋経済連携協定(TPP)は、閣僚会合交
渉が昨年12月に開催され、いよいよ大詰めを迎えて
おります。農業だけでなく、金融や医療等労働市場
まで大きな影響を及ぼし、例外なき関税撤廃を原則
とするTPPには断固反対し、関係団体と一致団結
して阻止活動を推進して参ります。
本県の畜産は、食生活の多様化等を背景とした畜
産物の需要に支えられ、農業産出額の35%を占め、
安全で良質な畜産物を消費者に安定的に供給する畜
一般社団法人 宮城県畜産協会
会長 菅 原 章 夫
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
皆様におかれましては、お健やかに新年をお迎え
のこととお慶び申し上げます。
さて、東日本大震災が発生してから2年10ヶ月が
過ぎようとしておりますが、県内では今も仮設住宅
で暮している方が未だ44,000人余おり、復興は道半
ばであります。この間、地震・津波・放射能汚染問
題等で甚大な被害がありました関係者の復旧復興に
向け、関係機関一丸となって、各種事業を進めてき
たところです。
とりわけ畜産経営の安定化を図り、風評被害に苦
しむ県内畜産経営者等を救済するため、仙台・東京
において消費者への安全・安心を呼び掛けた「畜産
物フェア」並びに「食べて応援しようキャンペーン」
を開催し、本県畜産物の普及啓発、消費拡大等の事
業を実施して参りました。
また、和牛の祭典である「第11回全国和牛能力共
進会」は、宮城県実行委員会通常総会において、平
成29年9月7日〜11日までの5日間、種牛の部は、仙
台市「夢メッセみやぎ」
、肉牛の部は、
「仙台市中央
卸売市場食肉市場」で開催することに決定しました。
長崎全共において、本県の和牛改良が高く評価され
ましたが、宮城全共では最上位を目指して、関係者
一丸となって取り組んでいかなければなりません。
産主産県としての地位を確立し、農業の基幹作目と
しての重要な役割を果たしておりますが、震災や景
気低迷を受けて農畜産物価格の低迷や担い手不足、
円安等による配合飼料価格の高騰など依然として厳
しい状況にあります。
宮城県が策定した「みやぎの農業・農村復興計
画」に基づき、引き続き生産、加工、流通・販売の
関係者による「農商工連携」や「6次産業化」への
取り組み、更には「仙台牛」や「ミヤギノポーク」
等の県内畜産物のブランド化を維持し、消費者の求
めるニーズに対応できる体制の構築等、本県の農業
振興に向け取り組んで参る所存です。
くわえまして、国や県が行う畜産関連施策と連携
を密にし、畜産経営の安定とさらなる発展のために
関連事業を実施して参りますので、関係機関、会員
並びに関係各位の更なるご支援、ご指導を賜りたく
お願い申し上げます。
最後に、皆様の益々のご健勝とご多幸をお祈り申
し上げ年頭のご挨拶といたします。
平成26年 1 月20日
〈知事年頭挨拶〉
将来の発展に向けて
果敢に挑戦する年に
(隔月1回発行) 第264号( )
3
かなければなりません。そのため、「迅速な震災復
興」、「産業経済の安定的な成長」、「安心して暮らせ
る宮城」、「美しく安全な県土の形成」を政策推進の
基本方向に掲げて、県民の皆様が復興を実感し、経
済成長と豊かさを感じていただけるような取組を進
めてまいります。
私は、昨秋に行われた知事選挙において、県民の
皆様の御支持をいただき、引き続き県政を担わせて
いただくことになりました。本県が創造的復興を成
し遂げ、「生まれてよかった、育ってよかった、住
宮城県知事 村 井 嘉 浩
新年を迎えるに当たり、県民の皆様の御健勝を心
からお祈り申し上げます。
昨年は、東北楽天ゴールデンイーグルスが球団創
設以来初の日本一に輝き、本県のみならず、東北に
夢と感動を与えてくれました。また、春に開催した
震災後初の大型観光キャンペーン「仙台・宮城デス
ティネーションキャンペーン」では、700万人を超
えるお客様をお迎えし、おもてなしをすることがで
きました。これも、県民の皆様の御理解、御尽力の
賜物と考えております。
さて、東日本大震災から2年9か月余りが経過し
ました。この間、多くの方々からの御支援のもと、
全力で復旧・復興に向けて取り組んでまいりまし
た。特に、昨年は、「宮城県震災復興計画」(平成23
年10月策定)で定めた10年間の道筋のうち、生活基
盤や公共施設を復旧させる「復旧期」の最後の年に
当たり、その取組を加速させてきたところです。
今年は、
「宮城県震災復興計画」における「再生
期(4年間)
」の最初の年になります。「再生期」に
おいては、復旧・復興を一層加速させるとともに、
「宮城の将来ビジョン」に掲げた将来像を見据えて、
本県が発展していくための様々な種をまき、各地で
芽吹くよう、医学部の新設や仙台空港の民営化、広
域防災拠点の整備など、新たな取組にも挑戦してい
んでよかった」と思える宮城県となるために、今年
も果敢にチャレンジしてまいる所存です。引き続
き、県民の皆様の信頼に応えられるよう、しっかり
と前を向き、県政運営の先頭に立って、皆様と共に
進んでまいりたいと考えておりますので、より一層
の御理解と御協力をお願い申し上げます。
( )
4 平成26年 1 月20日
(隔月1回発行)
第264号
放射性物質検査による安全・安心な宮城県産畜産物の生産・販売支援
宮城県農林水産部畜産課
県では、原発事故による県内農林水産物の放射性物質の影響を把握し、安全・安心な食品を消費者に提供
するため放射性物質の検査を実施しております。検査結果については、ホームページに掲載するなどして公
表しております。
○畜産物(食品)の検査状況
(1)県産牛肉の全頭検査
県内で生産される牛肉は、食肉市場出荷時に全て放射性物質の検査を行い安全性を確認しています。
また、廃用牛等由来の牛肉の安全性を確保するため廃用牛等の生体検査を実施しています。
(2)県産牛乳の安全性検査の実施
県内で生産される牛乳は、県内5か所の集乳施設に集められた後に、乳業工場等に出荷されていますが、
現在5か所全ての集乳施設から週1回牛乳を採材し検査を実施して安全性の確認を行っています。
食肉処理場における肉用牛の放射性物質検査状況
H23年度
H24年度
県内食肉処理場 計
12,523
21,345
県外食肉処理場 計
5,885
11,389
合 計
18,408
32,734
廃用牛出荷牛の生体検査状況
H25計
15,344
7,682
23,026
累 計
49,212
24,956
74,168
(平成25年12月31日現在)
H23年度
199
70
10
12
177
H24年度
5,270
1,291
61
47
5,162
H25計
4,655
1,170
29
50
4,576
累 計
10,124
2,531
100
109
9,915
成畜市場における廃用牛の生体検査状況
H23年度
検
査
頭
数
0
市 場 不 合 格
0
上
場
頭
数
0
H24年度
211
40
171
H25計
累 計
626
60
566
H24年度
H25計
検
査
頭
数
うち現地検査
現 地 不 合 格
市 場 不 合 格
と
畜
頭
数
県内集乳施設における放射性物質検査状況
H23年度
検査集乳施設数
3
検 査 原 乳 数
181
※23年度には、H22.3月分を含む
5
237
(平成25年12月31日現在)
415
20
395
(平成25年12月31日現在)
5
195
累計
-
613
(平成25年12月31日現在)
平成26年 1 月20日
(参考)
農林水産物 [ 月末日現在]
農産物
林産物
12
検査品目
112
(169)
35
(76)
穀類[収穫時検査]
1
(1)
133
水産物
(167)
281
小 計
(413)
1
平成25
年産米
(1)
2
麦
(2)
1
大豆
(1)
1
そば
(1)
5
小 計
(5)
1
肉 牛
[12月末日現在]
(1)
287
合 計
(419)
畜産物
(牛乳)
(隔月1回発行) 第264号( )
5
平成25年度県実施農林水産物の放射性物質検査と出荷制限等の状況
検査点数 基準超過点数
出荷制限・出荷自粛の状況[12月末日現在]
1,540
─
(3,435)
(1)
【制限】原木しいたけ(露地栽培)[10市10町1村]、野生きのこ[2市]
、くさそてつ[3市1町]
、
320
29
たけのこ[2市1町]、こしあぶら[4市3町]、ぜんまい[2市1町]
【自粛】原木むきたけ[1市]、原木なめこ[1市]、たらのめ(野生)[2市]、わらび(野生)[1市]
、
(709)
(46)
原木しいたけ(施設栽培)[1村]
195
─
(237)
─
1,583
14 【制限】スズキ、ヤマメ(天然)、ウグイ、ヒガンフグ、イワナ(天然)、クロダイ、アユ(天然)
(2,406)
(66)【自粛】ウナギ(天然)、イワナ(天然)
3,638
43
(6,787) (113)
34,893
─ 【制限】栗原市[旧沢辺村の区域に限る]
(23,590)
(13) 但し、管理計画に基づき管理される米については除く
65
─
(167)
─
1,187
─ 【制限】栗原市[旧金田村の区域に限る]
(1,439)
(5) 但し、管理計画に基づき管理される大豆については除く
110
─ 【制限】栗原市[旧金成村の区域に限る]但し、管理計画に基づき管理されるそばについては除く
(245)
(10)【制限】大崎市[旧一栗村の区域に限る]但し、管理計画に基づき管理されるそばについては除く
36,255
0
(25,441)
(28)
23,026
0 【制限】県内全域但し、出荷・検査方針に基づき管理される牛については除く
(32,734)
(1)
62,919
43
(64,962) (142)
※簡易検査、精密検査の結果を示しています。
※詳しくは「放射能情報サイトみやぎ」を参照して下さい(http://www.r-info-miyagi.jp/r-info/)
( )
:H24年度値[H24.4〜H25.3]
(企画管理班 菊地 武)
宮城県産牛肉輸出の取組み
全国農業協同組合連合会宮城県本部 畜産部
国内の牛肉の消費動向は、少子高齢化などにより
マーケットが縮小の傾向にあり、また消費者の低価
格志向により、牛肉の消費は伸び悩んでいます。
しかし、海外には、今後伸びていく可能性のある
有望なマーケットがあり、日本食への関心が高く日
本食市場が拡大する可能性があります。
また、世界には多くの富裕層がおり「和牛」は高
級食材として希少性があり外観・食味などにおいて
も、
「差別化」ができるものであります。
本会の牛肉輸出の取り組みは、平成20年11月に
「仙台牛」の新たな販路拡大・ブランド力の向上を
図ることを目的に、香港へ輸出をしました。
平成21年5月からは香港へ毎月輸出し「指定店」
の開拓を推進することにより、平成22年10月に「仙
台牛の集い in 香港」を開催し、2店舗の指定店を
誕生させることができました。
しかし、平成23年3月の東日本大震災および東京
電力福島第一原子力発電所事故の影響により中断す
ることとなりました。
その後、宮城県産牛の輸出再開に向け関係機関と
協議を重ね、ようやく平成25年10月から香港への輸
出を再開することができ、毎月3頭を輸出向けに出
荷し、ロイン系(サーロイン・リブロース・ヒレ)
を中心に輸出を実施しております。
今後は、「仙台牛」の銘柄名の表示と、常時取り
扱う「指定店」の開拓を推進し、海外での販売、銘
柄認知度の向上を図ります。
そのことにより、訪日外国人の宮城県への訪問を
促し、観光客による「仙台牛」の消費拡大を図るな
ど、「仙台牛」の総需要を伸ばす事により、国内相
場の上昇や生産農家の経営安定に寄与していきたい
と思います。
宮城県産牛 輸出実績
年 月
頭数 輸出国
輸出部位(kg)
サーロイン リブロース ヒレ その他
平成20年度 1頭
平成21年度 10頭
平成22年度 8頭
香港
香港
香港
9.0
3.7
191.9 217.0
158.4 157.8
平成25年10月
3頭
香港
68.5
平成25年11月
3頭
香港
79.3
平成25年12月
3頭
香港
81.0
計
93.1
69.4
12.7
502.0
385.6
36.5
8.1
34.6 147.7
41.5
120.8
44.5
7.7
8.9 142.1
(生産販売課 高川信幸)
( )
6 平成26年 1 月20日
(隔月1回発行)
第264号
平成25年度東北地域家畜伝染病発生時の防疫対応研修会の概要
一般社団法人 宮城県畜産協会
平成25年12月3日(火)、日立システムズホール
3割、成牛では約5割を占める。水溶性の下痢が
仙台(仙台青年文化センター)にて、平成25年度東
主な症状で、牛群内に急速に蔓延し、1週間以内
北地域家畜伝染病発生時の防疫対応研修会を開催い
に成牛の50〜80%が発病する。子牛では他病原体
たしました。
との混合感染での死亡率の増加、搾乳牛では急激
本研修会は、近年、中国等東南アジアを中心に口
に産乳量が減少する。
蹄疫や鳥インフルエンザの発生が確認され日本への
●ウイルス感染症の対策
伝搬が懸念されている状況を踏まえ、常に畜産農家
へ立入している人工授精師や牛削蹄師の方々等を対
①ウイルス量を減らす(洗浄・消毒等の衛生管理
の強化)
象に、異常畜の早期発見・通報に必要な防疫対応の
②抵抗力をつける(ワクチンの接種、良質な初乳
研修を実施し、未然防止を図る目的で開催いたしま
のための母牛・分娩管理、生後12時間以内の初
した。
乳給与)
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の
鈴木先生、宮城県農林水産部畜産課の大場先生より
ご講演いただきましたので、一部をここに紹介いた
【家畜伝染病発生時の防疫対応について】
宮城県農林水産部畜産課 監視伝染病専門監 大場 実 先生
します。
●家畜伝染病予防法の改正
平成22年の宮崎県の口蹄疫や平成22〜23年の高
病原性鳥インフルエンザの発生を受け、家畜伝染
病予防法が改正され、衛生管理区域の設定、病原
体の侵入防止(車両や立入者の消毒)、早期発見・
通報など家畜飼養者は伝染病予防対策を遵守し家
畜を飼養することになった。(罰則あり)
●病原体の農場への持込、持出に注意
車両や農場立入者の手指・長靴等の消毒、畜産
会場風景
【身近なウイルス感染症について】
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
現場で使用した道具等についても洗浄消毒を行う
こと。
●特定症状を発見したら獣医師・家畜保健衛生所に
連絡
動物衛生研修所 ウイルス・疫学研究領域
毎日、牛の健康観察を行い、特定の症状がある
主任研究員 鈴木 亨 先生
場合には獣医師や家畜保健衛生所に通報するこ
●牛ウイルス性下痢-粘膜病(BVD-MD)
急性感染した牛では、発熱、咳や鼻汁、下痢、
と。
※口蹄疫の特定症状:39度以上の発熱、泡沫性流
増体・乳量の低下などを引き起す。特に妊娠牛に
涎、口腔内等に水泡・びら
感染した場合は、流死産や胎児の奇形などの異常
ん等の症状を呈し、同一畜
産、通常分娩した場合でも産子が持続感染牛(P
舎内で複数の家畜に同様の
I牛)となり、生涯にわたってウイルスを排出す
症状が認められる。
る。持続感染牛は淘汰が重要。
●牛コロナウイルス病
冬季に発生しやすく、子牛では下痢原因の1〜
(家畜衛生課 伊藤利樹)
平成26年 1 月20日
(隔月1回発行) 第264号( )
7
〜馬を描く画家〜 上泉華陽
Kamiizumi Kayoh
(1892〜1979)
「馬事畜産振興現地検討会」の報告
一般社団法人宮城県畜産協会
宮城県仙台家畜保健衛生所の所長室に吹雪の馬の
平成25年11月25日(月)、岩手競馬水沢競馬場に
絵が掲げられています。作者は上泉華陽氏。明治25
おいて、地方競馬の普及啓蒙に資するため宮城県地
年米沢市生まれ。父は獣医師、幼い頃から馬と共に
過ごす環境から馬に魅せられ、紙と筆さえあれば一
日中厩舎内で過ごしたそうです。大正10年東京美術
域畜産振興協議会(一般社団法人宮城県畜産協会)
主催による現地検討会を開催しました。
学校(現東京学芸大学)を卒業。自分のイメージに
マッチした名馬を求めて国内はもとより中国、台湾
などを奔走。大正12年北海道での取材の帰途、青森
県七戸町にて名馬と出会い、以来サラブレット、ア
ラブ種の多いこの地を第二の故郷として腰を据え、
50数年にわたり数多くの作品を描き続けました。地
方にいながら絵筆一本で生き、
「馬描きの華陽」と
称され親しまれた画家でした。中でも大正14年皇太
子殿下(後の昭和天皇)に献上した「落雷の一瞬」
や「吹雪」
「馬の一生」などは傑作とされています。
馬事関係機関には油彩、墨彩等で描いた馬の絵が多
数残されています。東京競馬場内の「JRA競馬博物
館」メモリアルホールには顕彰馬「クモハタ」(油
彩)が、横浜市の「馬の博物館」には放牧風景の油
彩80号が所蔵されています。その他、七戸町内及び
周辺の軽種馬牧場、あるいは北海道道東の牧場にも
数多くの作品が所蔵されています。
当作品は、岩沼市の家畜商の方が所有していたも
のを昭和20年代に当時の岩沼家畜保健衛生所に寄贈
され、その後統廃合を経て現在に至るものであるこ
とが最近判明しました。華陽氏の親族が七戸町や仙
ピーク時の平成3年から3分の1程度に売上が減
少している地方競馬の現状を視察した参加者は、厳
しい経営状況を心配しながらも、競走馬の迫力を楽
しみ、競馬の魅力が多くの人に伝わることを願って
いました。また、来るたびに熱くなる、明るいイメー
ジで楽しかった、もっとファン拡大をお願いします、
との声もあり、イメージアップにつながる有意義な
現地検討会でした。
台市におられ、国・県の畜産関係者であったことな
どもこの絵の親近感を一層募らせるものであったよ
うです。
厳しい吹雪の条件の中、人馬一体となり、しっか
りと前に進もうとする力強さは、今日の全ての畜産
人を鼓舞しているかのようにも思えます。良き午年
でありますように。
(仙台家畜保健衛生所 山田稲生)
(総務課 山﨑 哲)
( )
8 平成26年 1 月20日
(隔月1回発行)
第264号
肉用牛肥育経営緊急支援事業の緊急支援金等の返還請求の方法
(未返還者への対応についての新たな宮城県版返還スキーム)の実施について
一般社団法人 宮城県畜産協会
本事業は、福島原子力発電所の事故により発生し
た放射性セシウム汚染稲わらを給与しことにより、
肉用牛の出荷停止や枝肉価格低下等により資金繰り
が悪化した宮城県内の肉用牛肥育経営者に対して、
東京電力からの損害賠償金受領後等の返還条件付き
補助金として平成23年度に総額7,689,370千円を交付
した事業であります。
なお、本事業の対象となった肥育牛の大部分が、
平成25年12月までに販売又は東京電力からの損害賠
償金受領済みでありますが、平成25年12月末現在の
宮城県における未返還総額は2,017,720千円(返還率
73.8%)です。この未返還の要因は、子牛価格、配
合飼料価格の高騰及び枝肉価格の伸び悩みによる運
転資金の悪化等です。
よって、肉用牛肥育経営を極力安定させつつ緊急
支援金等の返還率向上を図るため、従来の緊急支援
金、出荷遅延支援金及び価格低下支援金を個体毎の
支援金交付単価での返還を、平成26年2月に3支援
金を一本化して「肉用牛肥育経営緊急支援事業に係
る緊急支援金等の未返還金確認請求書」として送付
し、全額返還可能な経営者は、平成26年2月28日ま
で返還していただくことを基本とします。
但し、平成26年2月28日まで全額返還が不可能な
経営者の方々については、「誓約書」と「返還計画
書」の提出により、平成26年4月から平成27年4月
までの分割払いを認めることとします。
なお、平成26年2月28日までに「誓約書」と「返
還計画書」の未提出者は、「督促状」、「催告状」の
送付対象者となり、最悪の場合は遅延損害金(未返
還残額に年利10.95%の付加)、マルキン契約解除、
(独)農畜産業振興機構の直接請求及び法的対処の
実施となりますのでご承知願います。
【問合せ先】
経営支援課 担当:石川
TEL:022(298)8473
FAX:022(292)5395
平成26年 1 月20日
(隔月1回発行) 第264号( )
9
平成25年度肉用牛(繁殖)研修会開催のご案内
一般社団法人宮城県畜産協会
寒さ厳しい折、皆様方おかれましてはご健勝の事とお慶び申し上げます。
さて、毎年(一社)宮城県畜産協会、NOSAI宮城の共催により開催しています標記研修会を下記のとおり
開催する事といたしました。
つきましては、近隣生産者もお誘い併せいただき経営技術スキルアップのため、ご参加いただきますよう
ご案内いたします。
記
1 日 時 平成26年2月28日(金) 午後1時〜午後3時30分
2 場 所 パレットおおさき「大崎生涯学習センター」多目的ホール
大崎市古川穂波三丁目4番20号 電話:0229-91-8611
3 内 容 演題:「子牛の疾病予防対策」
講師:NOSAI宮城 家畜診療研修所 獣医学博士 松田 敬一
4 参集範囲 肉用牛生産者、県、関係機関、市町村、農協、改良組合、育種組合等
5 参集人数 300名程度
6 主 催 (一社)宮城県畜産協会・NOSAI宮城(宮城県農業共済組合連合会)
7 お問合わせ先
(一社)宮城県畜産協会本所 TEL:022-298-8473
仙南事業所 TEL:0224-52-2523
中央事業所 TEL:0229-34-3304
仙北事業所 TEL:0220-21-1552
NOSAI宮城家畜部家畜課 TEL:022-225-6781
(経営支援課 芳賀 巧)
優秀農林水産業者の表彰について
宮城県農林水産部畜産課
平成25年11月23日(土)に明治神宮会館において平成25年度(第52回)農林水産祭式典が開催されました。
式典では、林芳正農林水産大臣や加藤勝信内閣官房副長官をはじめ、各界の代表者、中央・地方の農林水産
関係者等約800人が参加して天皇杯、内閣総理大臣賞及び日本農林漁業振興会会長賞の授賞式が行われました。
本県畜産関係では、次の方が農林水産大臣賞を受賞され,この式典に招待されました。心からお喜び申し
上げますとともに、ますますの御発展をお祈りいたします。
表彰行事名
第52回仙台牛枝肉共進会
平成24年度宮城県総合畜産共進会
平成24年度宮城県総合畜産共進会
平成24年度宮城県総合畜産共進会
品 目
牛枝肉
乳用種
肉用種
肉豚
市町村
登米市
加美町
美里町
登米市
平成24年度(第41回)全畜連肉用牛枝肉共進会
牛枝肉
登米市
食肉
黒毛和種
大和町
第15回東北六県北海道連合肉用牛枝肉共進会
受賞者
川口 公司
千葉 義文
登米和牛育種組合
ピッグ夢ファーム
川口 公司
川口ふき子
根元 仁一
(生産振興班 佐藤天星)
地方競馬全国協会からのご案内
「地方競馬の馬主になりたい!」という方は地方競馬全国協会までご連絡下さい。
地方競馬の馬主登録制度についてご案内いたします。
なお、地方競馬の馬主情報については、地方競馬サイト(http://www.keiba.go.jp/)でもご覧になれます。
(担当:審査部登録課 電話03-3583-2142)
( )
10 平成26年 1 月20日
(隔月1回発行)
第264号
〈畜試便り〉
圧ぺんもみ米を肥育全期間給与した黒毛和種の肥育成績
宮城県畜産試験場
本県は全国有数の飼料用米生産県ですが、牛への給与事例はあまり多くありません。今回、黒毛和種肥育
牛の肥育全期間において、飼料用もみ米を蒸気圧ぺん加工処理した「圧ぺんもみ米」(図1)により配合飼料
の40%を代替給与したところ、慣行法と同等の枝肉成績が得られたので紹介します。
本試験では生後8ヶ月齢から飼料への馴致を開始し、9ヶ月齢以降は日本飼養標準(中央畜産会)による
TDN充足率が100%、CP充足率が120%前後となるように設計する慣行法(対照区)と、慣行法に必要な配合
飼料の原物当たり40%を圧ぺんもみ米と大豆粕(不足するCPを補う為)で代替する試験区を各区4頭ずつ設
け比較しました。肥育期間における具体的な給与例として6、8、10㎏の市販配合飼料を代替した場合を表
1に示します。実際の給与ではこの割合で各時期の配合飼料を置き換えて給与しています。
試験の結果、圧ぺんもみ米で配合飼料を代替しても飼料摂取量に差は見られず(図2)、生後24ヶ月から
28ヶ月齢で出荷した枝肉成績についても差は見られませんでした(表2)。
表1 飼料給与例
慣行法の給与量
(1頭あたり㎏)
市販配合飼料
6
8
10
代替後(試験区)での給与量
(1頭あたり㎏)
市販配合飼料
圧ペンもみ米
大豆粕
→
→
→
3.6
4.8
6.0
2.0
2.6
3.3
0.4
0.6
0.7
図1 圧ぺんもみ米
表2 枝肉成績
胸最長筋面積
(cm2)
対照区 59.4±4.5
試験区 55.7±4.5
区
バラ厚
(cm)
8.5±0.3
8.3±0.3
皮下脂肪厚 歩留基準値
枝肉重量
BMSNo. BCSNo. BFSNo.
(cm) (%)
(kg)
3.3±0.4 74.2±0.6 4.8±0.6 3.8±0.2
3
457.1±4.8
3.2±0.4 73.8±0.6 4.8±0.6 3.0±0.2
3
447.0±4.8
値は最小二乗平均値±標準誤差。
種雄牛を母数効果、出荷月齢を共変量として補正。
図2 飼料摂取量の推移
なお、今回の結果を活用する上では、下記の点に注意してください。
①本試験期間中、対照区では、配合飼料として市販配合飼料(TDN80%、CP15%:乾物中)を使用した他、
繊維源として乾燥稲ワラ、ビール粕を主体とする発酵飼料を使用しました。使用する飼料が異なる場合は
別途飼料設計が必要になります。
②圧ぺんもみ米は飼料用専用品種「べこあおば」を蒸気圧ペン加工した市販飼料(株式会社フクダ物産の製
品[TDN80.7%、CP7.0%:乾物中])を使用し、大豆粕はTDN86.8%、CP52.2%(乾物中)のフレークタ
イプを併用しました。
③給与の際は1ヶ月程度の馴致期間を設け、摂食量を見ながら給与量を決定してください。
今後、飼料用米の生産量が増加することが予想されています。まだ研究段階の技術ではありますが、現在
は肉質に与える影響についても評価を進めていますので、興味のある方は是非お問い合わせください。
(酪農肉牛部肉牛チーム 齊藤陽介)
平成26年 1 月20日
(隔月1回発行) 第264号( )
11
〈衛生便り〉
豚流行性下痢(PED)
〈農業大学校生の抱負〉
今後の抱負
乳牛専攻 東部家畜保健衛生所
豚流行性下痢(PED)は、PEDウイルスの感染
関場 渉太
現在、私の家(大崎市田尻)
によっておこる豚の急性伝染病です。1990年代に大
で は 経 産 牛 約30頭、 未 経 産 約
規模な発生が相次ぎ、特に1996年には約8万頭が発
10頭と水稲8haの複合経営で、
症、哺乳豚を中心に4万頭が死亡という甚大な被害
がありました。2006年以降、発生は確認されていま
せんでしたが、2013年10月に沖縄県、11月に茨城県、
12月に鹿児島県、宮崎県で発生が確認されました。
症状は水様性下痢であり、発症率と致死率は哺乳
酪農は父と母の2人で管理を行
い、水稲は父が主体で行ってい
ます。
私は幼いころから家の仕事を少しずつ手伝ってお
り、ゆくゆくは自分の手で酪農経営を行いたいと
思っていました。高校時代は、加美農業高等学校で
豚で高く、日齢が進むに従って低下します。哺乳豚
3年間、畜産を中心に農業の基礎知識を学びました。
では、嘔吐と水様性下痢が認められ、特に10日齢以
さらに酪農について深く学びたいと考え、宮城県農
下の新生豚では黄色水様性下痢を示します。発病後
業大学校に入学し、毎朝の実習や授業を通して酪農
は3〜4日の経過で死亡することが多く、致死率は
の専門的な技術や知識の習得に励みました。昨年に
50%前後、時に100%に達する場合もあります。
は、この学校に入ってからの目標でもあった家畜人
伝播は、感染豚の糞便を介した経口感染が主であ
り、感染豚の導入や感染豚の糞便に汚染された車両
や衣類及び履物等の物品によって起こると考えられ
ています。従って、予防には逆性石けん液や4%炭
酸ナトリウム溶液等を用いた車両の消毒、農場専用
工授精師の資格を取得し、まだ結果は届いていませ
んが、2級牛削蹄師の資格にも挑戦しました。
現在は、卒業論文の仕上げ作業に取り掛かってお
り、私は、「和牛受精卵移植を利用した自宅の経営
改善」という課題に取り組んでいます。具体的に
は、自宅の酪農経営で交雑種を生産している部分に
の衣類及び履物の着用及び隔離による導入豚の健康
和牛受精卵移植を利用することにより、収入の向上
観察等による飼養衛生管理基準の遵守の徹底が重要
が期待できるか検討するというもので、今後の自分
です。特に、と畜場出荷後の運搬車は、荷台から出
の経営に参考になるものと思っています。
荷豚を下ろす際に汚染される可能性があることか
ら、確実に洗浄及び消毒を実施しましょう。また、
乳汁免疫の誘導を目的とした母豚接種用ワクチンも
市販されています。
なお、PEDは家畜伝染病予防法により届出伝染病
に指定されている病気です。異常が認められた場合
は、かかりつけの獣医師または各家畜保健衛生所・
地方振興事務所畜産振興部までご相談ください。
(防疫班 真鍋 智)
卒業後の進路については、自宅への就農を考えて
います。現在、私の住んでいる大崎市田尻では、農
業従事者の高齢化に伴う衰退や、担い手不足が問題
視されています。そこで私が、就農した際には、今
まで身に付けた技術や知識を活かし、我が家の酪農
経営に役立てていきたいと考えています。そして地
域の農業の発展に貢献したいと思っています。
気づけば学校生活も残り3ヶ月となりました。残
りの時間を悔いの残らないように過ごし、有意義な
ものにしたいと思います。そして、宮城県農業大学
校での同期の友人達や、宮城県畜産試験場の先生方
との交友関係を卒業後も大切にしていきたいです。
( )
12 平成26年 1 月20日
(隔月1回発行)
第264号
賀 春
宮 城 県 農 業 協 同 組 合 中 央 会 長
菅
原
章
夫
全国農業協同組合連合会宮城県本部長
千
葉
和
典
宮 城 県 農 業 共 済 組 合 連 合 会 長 理 事
三
浦
恒
一
み や ぎ 農 業 振 興 公 社 理 事 長
真 木 伸 治
みやぎの酪農農業協同組合代表理事組合長
濱 田 茂
宮 城 県 家 畜 商 協 同 組 合 理 事 長
齋
藤
哲
司
宮
今
野
徳
男
全 国 和 牛 登 録 協 会 宮 城 県 支 部 長
菊 地 潔
宮 城 県 ホ ル ス タ イ ン 協 会 長
渡 辺 博
宮 城 県 ホ ル ス タ イ ン 改 良 同 志 会 長
半
澤
善
幸
宮 城 県 家 畜 人 工 授 精 師 協 会 長
大
江
義
之
宮
菅
原
章
夫
城
城
県
軽
県
種
畜
馬
協
産
会
協
長
理
会
事
長
Fly UP