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イギリス文学演習I
2016(平成28)年度大学院シラバス 文学研究科 英文学専攻 講義科目名 イギリス文学演習I 担当教員名 江﨑 義彦 通年・前期・後期 単位数 4 使用言語 日本語 【講義の到達目標】 Heaneyが1995年にノーベル文学賞を受賞したとき、その受賞理由に、彼の詩が持つ「日常の奇跡と生きた過去を称揚する<叙情美>と<倫理的 深み>」が挙げられた。動乱に明け暮れた北アイルランドにおいて、<叙情美>と<倫理的深み>という芸術世界が、どのように<現実>を止揚 して、新たな<住むべき>世界を構築できるのか・・・Heaneyの営みは、ひとえにその目標へと収斂してゆく。その営みを、"eco-poetics"と称する 人もいるが、この演習では、Heaneyを読みながら、私たちも<住むこと>という目標に向かってゆきたい。 【講義概要】 詩、詩論、エッセイと、沢山の作品をモノにしているHeaneyゆえに、この講義では、そのなかから重要な作品と思われるもののみを抜粋して読み進 む。とくに<住むこと>が前景化される詩集、Field Work (1979)とSeeing Things (1991)に関しては、収録されている全作品を読みたい。講義は受講 者の(1)下調べ, (2)講義中の発表, (3)ディスカッションから成り立っているので、そのことを怠らないよう。 № 講義計画 № 講義計画 1 Stations (1975) 読解(1) 16 講義(1) WordsworthとHeaney 2 Stations (1975) 読解(2) 17 講義(2) W. B. Yeats, T. S. EliotとHeaney 3 "Singing School"(North ) 読解(1) 18 講義(3) Dante, Eliot, Heaney 4 "Singing School"(North ) 読解(2) 19 5 以下、Field Work (1979)からの詩を読んでゆく。 (1) "Triptych" 20 from Field Work: (2) "A Drink of Water" (3) "The Strand at Lough 6 Beg" (3) "Causualty" 7 from Field Work : (4) "Badgers" (5) "The Singer's House" (6) "The Guttural Muse" 21 22 以下、Seeing Things (1991)からの詩を読んでゆく。(1) "The Golden Bough" (2) "Man and Boy" from Seeing Things: (3) "An August Night" (4) "Field of Vision" (5) "The Pitchfork" from Seeing Things: (6) "The Settle Bed" (7) "Granmore Revisited" (8) "A Pillowed Head" from Seeing Things: (9) "A Royal Prospect" (10) "Wheels within Wheels" 8 from Field Work : (7) "Granmore Sonnets" (I) 23 from Seeing Things : (11) "Fosterlings" 9 from Filed Work : (8) "Granmore Sonnets" (II) 24 from Seeing Things : (12) "Lightenings" 連作(I) from Field Work : (9) "An Afterwards" (10) "The Skunk" (11) "A 10 Dream of Jealousy" 25 from Seeing Things : (13) "Lightenings" 連作(II) 11 from Filed Work: (12) "Field Work" (13) "Leavings" 26 from Seeing Things : (14) "Settings" 連作(I) from Filed Work: (14) "The Harvest Bow" (15) "In Memoriam 12 Francis Ledwidge" 27 from Seeing Things : (15) "Settings" 連作(II) 13 Readings of Crediting Poetry: The Nobel Lecture (1995) (I) 28 from Seeing Things: (16) "Crossings" 14 Readings of Crediting Poetry: The Nobel Lecture (1995) (II) 29 総まとめ(1) Heaneyと宗教 15 前期:総まとめ 30 総まとめ(2) Heaneyとエコロジー 【テキスト】 Seamus Heaney, Opened Ground: Selected Poems 1966-1996 (Farrar, Straus and Giroux, 1999, Paper) 【参考書・参考資料等】 (1) Neil Corcoran, The Poetry of Seamus Heaney: A Critical Study (Faber and Faber, 1998) (2) 橋本槇矩『シェイマ ス・ヒーニー』(国文社, 1998) 【事前学習等についての具体的な指示】 初心者向きの次の3冊(小冊子)を必読書と受け止めて、事前に読んでおいてください。(1) 水崎野里子『シェイマス・ヒーニーの詩と語り-土の力・ 父の力」(日本国際詩人協会, 平成23年) (2)薬師川虹一『ヒーニーの世界』(洛西書院, 2000) (3) 上記、Corcoranの著作の翻訳小沢茂(訳) 『シェイマス・ヒーニーの詩-批評的研究』 (国文社, 2009) 【事後学習等についての具体的な指示】 テロリズムなどの人為的な暴力、或いは自然災害などで、この地球は(そして当然地球に住む人間は)大きな悲鳴を上げている。そのようななか で、「詩」を書いたり、読んだりすることが、「何の役にたつのか?」・・・そのような問題意識を常に抱いた詩人がHeaneyであり、また、真の「グロー バリズム」を目指した詩人がHeaneyであります。そのことを意識しながら、事後のそれぞれの勉強に活かして欲しいと考える。 【成績評価方法・基準】 毎回の予習度とDiscussionへの貢献度、そして論文作成で評価する。 【履修上の注意】 イギリス文学専修以外の人で、この講義を受講する意志がある人は、事前に私まで連絡をしてください。