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4.1 職業能力基準

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4.1 職業能力基準
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
4.1
職業能力基準
IT 産業を筆頭に、インドでも急速に経済が発展しつつあり、世界経済の中でもそ
の存在が注目されてきている。これを支える意味で、職能基準、訓練・資格制度の
整備が政府及び民間の手で積極的に進められている。とくに、教育訓練によりイン
ドを今後「スキル人材の世界宝庫(Skill of world capital)にしよう」との声もあ
るとおり、今後の制度・体制の充実がいっそう期待されている。そこで、これに対
応し、現状制度を相互に共通性・互換性を持った 1 つの体系に統一する国家規準
を設定すべきとの提言が政府関係当局及び関連機関から出されている。
(1)
現行の制度
政府として職能訓練・資格制度を所轄するのは主として次の 2 つの省である。
(a)
労働雇用省(Ministry of Labour & Employment)
省 の 下 に 主 管 機 関 と し て 雇 用 訓 練 局 ( Directorate General
Employment & Training:DGET)があり、職業訓練政策やプロ
グラムの企画立案・実施の統括を行っている。
職業訓練制度の例としては、以下がある。
1)
Industrial Training Institutes/Centers(ITIs/ITCs:産業訓
練機構・訓練センター)によって行われる All India Trade
Test(AITT:全インド職業試験・資格制度)
2)
National Council for Vocational Training(NCVT:国家職業
訓練審議会)が行う AITT 等
また、当省の下で ITIs/ITCs 訓練プログラムや訓練実施機関につい
ての審査認定を行う機関として、NCVT がある。
(b)
人 材 開 発 省 ( Ministry of Human Resources Development :
MHRD)
学校や公開スクーリング機関である National Institute of Open
Schooling(NIOS:国家公開スクーリング機構)が行う職業教育、
技術教育及び高等教育を所轄する。
NIOS が各種職業分野での訓練及び資格認証を実施している。
実際の訓練制度の例は以下である。
1)
All India Council for Technical Education(AICTE:全イン
ド技術審議会)
各技術カレッジ・技術機関が実施する「技術教育訓練及び資格
検定制度」を認定
2)
国家認定局(NBA:National Board of Accreditation)
AICTE は訓練プログラムや訓練機関が AICTE の基準や趣旨
に合致しているかどうかの審査・認証を行うためにその下部機
関として NBA を設置している。
こ の ほ か の 政 府 機 関 と し て 、 情 報 技 術 局 ( Department of
Information Technology)があり、コンピュータ情報技術の訓練及
び試験・資格認証やビジネス・プロセス外力要員の能力評価試験で
1
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
ある National Assessment of Competence(NAC)of Business
Process Outsourcing(BPO)Employees を行っている。一方、民
間 に お い て も Construction Industry Development Council
(CIDC:建設産業促進審議会)による建設業界の資格認定制度や
英国系の職業訓練制度である City & Guilds Skill Initiative 等があ
る。
(2)
国家統一制度設定の提言の動き
(a) 上記のとおり、政府や民間で職業訓練・資格認証が実施されているが、
現在、各々の制度間の基準、内容及び実施方法に統一が取られていると
はとても言い難い。各政府機関も、教育・訓練・資格認証についてそれ
ぞれ独自の体系・基準をもっている。そのため、1 つの資格を取得して
も、これをベースに関連する別の職能資格を新たに取得し横展開的にそ
の幅を拡げようと、更に高い技術程度への資格へのステップ・アップを
試みても、それが異なる機関が所掌する資格であるため、取得した資格
が新たな資格取得に体系的に繋がらない場合が多い。この問題は、今後
予想されるインドの急速な経済発展に伴って顕著になる各産業分野の職
業・業務の広範囲に及ぶ多様化や、職能技術の絶え間ない高度化に対し
て、一般国民の職能訓練・資格取得が臨機・弾力的に追従できず、大き
なネックとなる懸念もある。そのため、本問題解決策として、現状制度
を一体化し、国家的に統一した基準・制度を設定すべきとの提言が、こ
こ数年、提言者である政府を含め、各方面の報告の中でなされてきてい
る。
(i)
国家制度設置の動き
職能基準・職能評価制度には、通常次の 4 項が含まれる。
1)
能力に基づく基準
2)
職業訓練機関の審査認定
3)
職業訓練プログラムの審査認定
4)
資格検定制度(試験及び資格認証制度)
以下は、この 4 項を念頭においた統一国家制度創設の各方面から
の提言である。
国家基準の必要性とその創設に触れている公的文書の代表例として
は次の 8 件がある。
2
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
表 4-1 能力基準及び国家統一訓練・資格を提起している最近の報告
No.
1
2
関連文書
内
容
文書では「職能基準(Vocational capability standards)」の用
労働雇用省、
雇用訓練局、2002 語を使用しての記述はない。しかし、下記 No.3 以下と同様、代
わりに「能力に基づく基準(Competency-based standards)」
年の年次報告
人材開発省、人材 又 は 「 国 家 職 業 教 育 資 格 枠 組 み ( National Vocational
資源局の各種の報 Education Qualification Framework)」の用語が使われ、国家
統一制度の提言と中間報告が記述・参照されている。
告・刊行物
3
第 2 回労働委員会 ・ 経 済 分 野 全 体 に わ た る 労 働 者 の 「 能 力 に 基 づ く 基 準
報告(2002 年)
(Competency based standards)」及び「国家職業教育資格
枠組み(Training & Certification System)」の設定を推奨し
ている。
・政府による独立した機関を設置し、職場や訓練機関における
労働者の技能習得に弾力的に対応できる職能基準、プログラ
ム作成と実施、訓練機関の審査・認定や審査実施資格者の任
命等をすべきとの提言を行っている。
4
第 10 次 5 カ年計 公式に任命された専門家により、製造、建設及びサービス業等
画 書 ( 2002-07 の職場や非公定機関で習得される技能に対して「能力に基づく
基準(Competency based standards)」を作成し、試験・資格
年)
認証制度を導入すべき、との提言を行っている。
5
第 10 次 5 カ年計 ・労働雇用省と人材開発省の両省間で教育・訓練基準の統一、
画、中間評価報告
互換性を欠いている問題を取り上げる。
・労働雇用省と人材開発省合同で、職業教育、職業訓練及び専
門 教 育 を 連 結 し た 国 家 資 格 「 National Qualification
Pathway」を開発すべきとし、その進展状況を取り上げ、内
容の詳細を付属文書内で述べている。これが実現すれば、現
状において分離している学生及び職業訓練生、双方の体系を
連動化できる、としている。
6
第 11 次 5 カ年計 こ こ で も 「 能 力 に 基 づ く 資 格 証 明 制 度 ( Competency-based
画 起 草 書 ( 2006 Certification System)」の設定について述べている。
中央及び州政府により、公共・民間各種機関からの受講卒業者
年 11 月)
に対して妥当な資格認証システムを策定すべきであるとし、国
家試験基準と試験実施機関(生徒に対する試験機関)の統一化
を行うことを政府がすでに提議したと記載している。この問題
が提議段階に入った点は注目される。ただし、具体化の時期に
ついては明言されていない。
7
製造業国家戦略報 National Manufacturing Competitiveness Council(国家製造
告 書 ( 2006 年 3 業競争力審議会)作成の同報告書でも国家職業教育資格制度
(National Vocational Education Qualification System)を開
月)
発・策定すべきとしてその必要性を提起している。
8
世界銀行のインド
職業教育制度に関
する報告書(2006
年 6 月)
職業教育と職業訓練制度改正を短期で取り組むべきものと中長
期のものに分けて提議している。その中でとくに、国家資格の
枠組み作りと非公定分野における作業者訓練の政策の枠組みの
作成を推奨している。
3
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
上記のとおり国家統一制度の提言は行われているが、これが具体化
される時期はまだ明らかにされていない。
なお、上記報告に加えて職能制度について次の 2 つの動きがある。
1)
National Vocational Education(NVE:国家職業教育)資格
検定枠組みの開発
数年前から開発が進められている人材開発省の国家的資格認定
プロジェクトであり、National Project Implementation Unit
(EDIU)が設置した機関が推進母体である。
その目的は、学問及び専門分野の資格全体を対象範囲にして、
一般学校教育、高等学術・専門教育、職業訓練教育、更に産業
界各分野の関係機関を一体的にリンクさせ、学習レベル、資格
及びガイドラインのタイトル項目を 1 つに体系化した枠組み
作りを行うことである。これにより NVE の知名度が国内全州
を始め国際的にも高まることを目指している。
2)
若年層と非公的分野の「能力に基づく資格認定(Competencybased Training and Certification of the Youth and Informal
Sectors)」設定の提言
Chouksey 及び Jain 両教授は、その論文の中で、人材開発省
傘下のコミュニティ・ポリテクニック(地域専門学校)が行う
「 Competency
based
Training,
Testing,
Certification
(CBTTC:能力教育訓練及び試験・資格制度)」についてあ
るべき姿を掲げている。その骨子は実用的な訓練・資格等級制
度の設定の提言であり、その設定の手順として、1) 職業の実
態を科学的な手法で分析把握しグルーピング化する、2) これ
をベースにカリキュラムを作成、3) 講師と教材を準備及び 4)
明確な受講者選定基準の設定を行うこと、との主旨である。
これを実現させるため、国家レベルの中核母体を設立し、その
下に同じく地域レベルの母体を設立したうえで、制度の方針設
定と実施を進めるべきとも提言している。
4.1.1 制度概要
(1) 国家職業分類表・職務基準
雇用訓練局が 2002 年に改訂したものが最新版である。
この改正基準(NCO-2004)では 2,945 業務の分類・グルーピングを行い
リスト化している。とくに、この規定で取り上げられている技能レベルは、
各職務間の相互関係を理解・判断するうえで、非常に役立つ資料となって
いる。改訂は本機関単独で行っており、更に、この種の基準のいっそうの
拡張性・発展性が期待されている。
*出典:Ray, P. K., “A Note on National Classification of Occupations - 2004,” in
Chandra, Ashoka, and Khanijo, M. K., Ed., “Training in the Informal Economy,” 2006.
4
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
(2) ITIs/ITCs による職業リスト
Government of India, Ministry of Training and Employment, 雇用訓練
局 ( Directorate General Employment &
Training : DGET ) .
<http://www.dget.nic.in/>を参照
(3)
National Institute of Open Schooling(NIOS:国家公開スクーリング機
関)による職業リスト
上記 Website を参照
(4) National
Vocational
Education
Qualification
&
Certification
Framework(国家職業教育資格検定枠組み)による職業分類区分
National Project Implementation Unit(UPIU), “National Vocational
Education Qualification & Certification Framework,” Guideline.
<http://www.npiu.nic.in/pdf/Guideline%20Document%20-VE.pdf> を 参
照
(5) 英国系職業技能認証制度「City & Guilds Scheme」のコースリスト
Confederation of Indian Industry. <http://www.cii-cityandguilds.com/in
dex.asp>を参照
(6) 政府(情報局)機関のコンピュータ技術「Department of Electronics
Accredited Computer Courses(DOEACC)制度」によるコース
O Level
基礎レベルコース相当
A Level
コンピュータ応用の上級学士コース相当
B Level
MCA レベル相当
C Level
M. Tech レベル相当
DOEACC. <https://www.doeacc.edu.in/jsp/doc_scheme.htm>を参照
(7) Construction Industry Development Council(CIDC:建設産業促進審議
会)による CIDC コース
現在、37 の職業が CIDC-IGNOU 制度の下で規定されている。
Indira Gandhi National Open University(IGNOU:インディラ・ガン
ジー国立公開大学), “Competency Certificate(s) in Various Trades.”
<http://www.ignou.ac.in/schools/soet/competency_certificate.htm> を 参
照
4.1.2 整備状況
現在、運用されている雇用訓練局、NIOS、DOEACC、CIDC 及び City &
Guild 等の使用状況については、各 websites を参照
4.1.3 利用状況
同上
5
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2007 年 1 月 26 日
4.2
職業能力評価・資格制度及び実施状況
4.2.1 制度概要
現在、政府が検討中の国家統一基準・制度を含め、現施行中の職業能力評価・
資格制度の概要は表 4-2 のとおりである。
6
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
No.
職能訓練制度
表 4-2 インドの職能訓練制度の体系
訓練機関及び訓練プロ
所轄政府機関
グラム
制度実施機関
技能評価制度
(試験・資格認証)
訓練機関・訓練プログラ
ムの審査・認定
1
国 家 統 一 職 能 資 格 基 今後の協議により決定
準・制度(計画政府審
議中)
・計画は第 11 次 5 カ年計画の建議書等の中に提起されている。
・具体的な実施方法は今後の協議により決定される。
・現業の訓練機関及びプログラムは包括される見込みである。
2
DGET による現業の訓 DGET(NCVT が助
練制度・資格認証制度 言機関として機能)
(Craftsmen Training
Scheme)
中央政府(労働雇
用省)の計画によ
るが実際の運営は
各州政府が行う。
州 政 府 の 支 援 下 で DGET が決められた基準
ITIs/ITCs 認定機関
により参加機関の選定責
現 業 訓 練 制 度 NCVT が行う AITT
任を持つ。
( Craftman Training
scheme)
NCVT が試験・資格認定
に責任を持つ。このため
の規準が設定されてい
る。
3
DGET による職業訓練 下記 3 系統機関
制度と資格認証制度
1.中央機構(DGET
傘下で、法的助言
機関としての中央
職 工 協 議 会
Central
apprenticeship
Council と協働)
2.州機構
3.民間機構
中 央 政 府 ( 労 働 雇 全産業分野の関連組織
用 省 ) 傘 下 の 職業訓練制度
DGET 及び各州の
職工訓練局
4
NIOS による職業プロ NIOS
グラムと資格認証制度
MHRD の NIOS に NIOS に認定された機関 NIOS により規定され NIOS が試験・資格認証
よ り 認 定 さ れ た 機 が 各 種 職 業 分 野 の 訓 練 た手順により試験・資 の基準とこれを実施する
訓練機関の認定を行う。
格証明実施
を行う
関
5
City & Guilds 制度に City & Guilds 認定 なし
機関
よる訓練制度「Skill
Initiative 」 と 資 格 認 本制度は CII と協働
NCVT による職人資格 DGET 下の職工訓練局が
証明
訓練参加産業分野を特定
NCVT により明確に決め
られた基準での試験・資
格認証
City & Guilds 認定の訓 職工及び技術者の国際 City & Guild が訓練機関
職 業 資 格 IVQs for の認定を行う。
練機関
&
City & Guilds の国際基 Craftsmen
7
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2007 年 1 月 26 日
No.
職能訓練制度
証制度(英国系)
制度実施機関
所轄政府機関
で開始
訓練機関及び訓練プロ
グラム
準による。
技能評価制度
(試験・資格認証)
訓練機関・訓練プログラ
ムの審査・認定
Technicians
6
DOEACC によるコン DOEACC Society
ピュータ関連の制度と
資格認証制度
7
各種技術教育プログラ AICTE 認 定 の 各 技 MHRD
術カレッジ及び技術
ム
(卒業者向けエンジニ 機関
アリング・コース等
8
カレッジ及び大学の一 各カレッジ・大学
般教育コース (卒業
者、在学生向)の評価
認定
各カレッジ・大学の試 UGC 設立の NAAC 認定
MHRD 傘下の大学 カレッジ・大学
UGC
各 カ レ ッ ジ ・ 大 学 の 教 験方法・制度による。 (認定は法的義務ではな
いが)のカレッジ・大学
育プログラム
及び試験基準による
9
CIDC 制度による建設 CIDC
業従事者訓練プログラ
ム
CSCS
CIDC に よ り 設 立 建設業経営者
された計画委員会 建設企業の認可による
プログラム
(Planning
Commission)
CIDC 認可の訓練提供機
関
10
NASSCOM に よ る NASSCOM
BPO 能力評価国家制
度及び NAC 試験
NASSCOM
訓練機関は特認されて
情 報 技 術 省 と 密 接 いない。
な協力による自主
管理機関
Technical Evaluation
Committee ( 技 術 評 価 審
議 会 ) 指 導 の 下 で
NASSCOM が認定責任を
持つ
情報技術局
DOEACC Society 認定 DOEACC Society によ DOEACC Society が訓練
る試験・資格認証
機関の認定と試験・資格
の訓練機関
認証の基準を決定する。
コンピュータ関連のプ
ログラム
O-C までの等級基準が
明確に決められてい
る。
各 技 術 カ レ ッ ジ 及 び 技 各技術機関自身が設定 AICTE 傘下の NBA によ
術機関
した試験方法・試験制 る技術系単科大学及び技
術専門機関の認定
度
試験、資格認証は AICTE
基準又は各大学基準によ
る
8
NASSCOM のオンライ
ン試験
NAC Testing for BPO
employees
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
AICTE(All India Council for Technical Education:全インド技術教育審議会)
BPO(Business Process Outsourcing:ビジネス・プロセス外力)
CII(Confederation of Indian Industries)
CIDC(Construction Industry Development Council:建設産業発展促進協議会)
CSCS(Construction Skill Certificate Scheme:建設技能資格証明制度)
DGET(Directorate General Employment & Training:雇用訓練局)
DOEACC(Department of Electronics Accredited Computer Courses)
IVQs(International Vocational Qualification:国際職業資格)
NAAC (National Accreditation & Assessment Council:国立評価認定審議会)
NAC(National Assessment of Competence)
NASSCOM(National Association of Software & Services Companies:ソフトウェア&サービス企業全国団体)
NBA(National Board of Accreditation:国立技術審査認定機構)
NCVT(National Council for Vocational Training:国家職業訓練審議会)
NIOS(National Institute of Open Schooling:国家公開スクーリング機関)
UGC(University Grants Commission:大学助成金委員会)
9
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
(1) 訓練機関及びプログラムの審査認定機関
訓練機関・訓練プログラムの審査・認定機関の代表例は次の 6 つである。
(a) Industrial Training Institutes/Centers ( ITIs/ITCs : 産 業 訓 練 機
構・訓練センター)に対する審査認定
職 業 訓 練 国 家 審 議 会 ( NCVT : National Council for Vocational
Training)が審査認定機関である。
本審議会は雇用訓練局への助言団体であり、ITIs/ITCs の職工訓練制
度(Craftsman Training Scheme)に基づく職業訓練実施を希望す
る民間機関に対し認定を行う。
その認定手順は次のとおりである。
(i)
認定希望訓練機関は商工訓練(ITIs/ITCs)制度担当の国の理
事からの招聘状を入手する。
理事は同機関の財務状況や申請内容の妥当性を審査する。
政府系機関はこの入手と審査は省略されるが、以下の手順は遵
守しなければならない。
(ii)
申請訓練機関は訓練に必要な規定や施設を備える。
(iii)
上記の手配が満足できる状態であるならば、国の理事は暫定委
員会を設定し同機関の検査を行う。
この暫定委員会は次のメンバーにより構成される。
2 名は State Council of Vocational Training(SCVT:職業訓
練国家審議会)から、1 名は NCVT の任命者(国家商工訓練
担当理事)及び 2 名の専門家
(iv)
暫定委員会は、実際に該当機関が訓練を開始した後、その実態
が満足できると判定した場合は、恒久認可候補として推薦を行
う。
(v)
国の理事は NCVT に検査報告書を提出し、これにより問題が
なければ訓練開始の認可がおりる。認可が下りない場合は、最
終的な判定は SCVT に委ねられる。
(vi)
暫定委員会の検査報告書は雇用訓練局で審査される。ただし、
訓練機関スタッフ、訓練生、指導員及び指導基準等は実際の訓
練開始後、その状況の報告書を当該訓練機関の経営者から国の
理事経由で雇用訓練局に提出させる。その結果が基準を満足す
ることにより恒久認可資格が与えられる。
(vii)
訓練開始後、商工訓練に新たに追加するプログラムがあれば、
その都度、同様の手順が要求される。
(viii) NCVT の基準遵守状況をチェックするため、定期的に国の理
事、暫定協議会及び DGET のスタッフによる検査が行われる。
これに失格すると恒久資格は剥奪される。
*出典:Government of India, Directorate General Employment &
Training(DGET:雇用訓練局), “Training Manual for Industrial Training
10
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2007 年 1 月 26 日
Institutes and Centres,” 1995.
(b) National Institute of Open Schooling(NIOS:国家公開スクーリン
グ機構)の審査認定
(i)
申請資格者は政府・半政府機関、登録社会組織、慈善団体であ
り、一般の民間団体を対象としたものではない。
(ii)
必要な機材、設備、スペース、教師陣及び受講者最低数(10
人)等の条件が規定されている。
(iii)
NIOS 基準の教育コースに対して審査認定が行われ、パスした
機関は Accredited Vocational Institutions(AVIs)として認
定され Study Centres と称される。認定当初の有効期間は 2
年である。
(iv)
AVIs は NIOS の規定にしたがって、その教材による訓練、受
講生の評価及び試験等を実施し、施設や訓練環境の遵守・維持
を行わなければならない。
(v)
この規定に反すると認定は NIOS により取り消される。
*出典:National Institute of Open Schooling (NIOS:国家公開スクーリング機構)
(c) City & Guilds による審査認定
(i)
この City & Guilds 制度の場合は訓練機関に対して、「認定
(accreditation)」ではなく「承認(approval)」の用語を
使用し、その種類も「Centre approval」及び「Programme
approval」の 2 つがある。
(ii)
「Centre approval」は継続して規定遵守をすることを条件に
有効期間は 2 年であり、基準やスケジュールに沿って試験を
実施する資格が与えられる。
(iii)
「Programme approval」も同様に有効期間は 2 年であるが、
プログラム単位での認可の取得が必要である。
(iv)
信頼性及び有効性のチェックのため、専門評価者が毎年、訪問
調査を行う。
*出典:City & Guilds
(d) DOEACC による審査認定政府の情報技術局所管
コンピュータ訓練機関が行う DOEACC 規定コースが認定対象であり、
認定を希望する場合、決められた基準を満足するために次の条件をク
リアしなければならない。
(i)
申請者は法登記済みの機関であり、最低 2 年間、同様コース
の実施経験があり、財務的安定性と当該機関の目的・実態の妥
当真実性を実証できること
(ii)
施設は自己所有が望ましいが(長期のレンタルも可能)
(iii)
最低、建屋内面積 90m2 で最少 25 人の生徒が座れる教室を 1
つ、15 人が座れる試験室、図書室(DOEACC 規定の蔵書を
持つこと)及び受付エリアを有すること
11
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
(iv)
DOEACC コースに即し、受講者数に見合うハードウェアを有
すること
とくに、最低 8 セットのコンピュータ・システムを保有し、
受講者は訓練期間の最低半分は 1 つの端末又は PC により実習
にあたることが可能なこと
(v)
講師陣についても 2 年以上の教育経験者でかつ現職 6 カ月以
上の者が 3 人以上必要
パートとの比率も最低 4:1、講師対受講生比率は最低 1:25
であること
(vi)
最低 50%の受講者は「merit」(上級学校入学得点制)ベース
であり、試験結果等の受講者資料は的確に保持されること
そのほかの DOEACC 規定についても完全に満たさなければな
らない。
(vii)
毎年 DOEACC に提出が義務づけされている報告書及び評価専
門家の報告書、抽出された候補者に対する試験等により、毎年
訓練機関の評価が行われる。
*出典:DOEACC (Department of Electronics Accredited Computer Courses),
“What are the Eligibility Standards?” <http://www.doeacc.edu.in/jsp/accr_hta.
htm>, accessed on 26 January 2007.
(e) National Board of Accreditation(NBA:国立技術審査認定機構)、
人 材 開 発 省 傘 下 の All India Council for Technical Education
(AICTE:全インド技術教育審議会)により設立による審査認定
(i)
技術教育の質的レベルを維持・保証するための審査認定システ
ムであり、その対象は教育機関とこの機関が行う教育プログラ
ムの 2 つについて審査認定が対象とされる。
教育機関は、この 2 つについての報告書を提出し、これに基
づき NBA が専門チームメンバーを派遣し、実態調査を行う。
この結果にパスした後、NBA の地域協議会に推薦を行う。結
果は当該教育機関に連絡され、認可されれば NBA の機関誌で
発表される。
(ii)
技術教育機関及びその教育プログラムの評価基準は、在学生及
び卒業生等に対して評価項目(講師陣、受講者、財務状況、目
的・使命、調査・開発、産業界の機関との連携、補足的教程等
講師教育プロセス)ごとに決められた比重付けを加えて行われ
る。
*出典:National Board of Accreditation (NBA:国家認定局). <http://www.
NBA-AICTE.ernet.in>, accessed on 26 January 2007.
(f)
National accreditation & assessment Council(NAAC:国立評価認
定審議会)(人材開発省傘下の大学助成金委員会により設立)による
審査認定
12
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
(i)
教育、訓練機関を審査認定する制度であり、各機関の改善、進
歩状況を総合的及び体系的なデータに基づき、実証的な方法に
より審査認定する。
審査認定は、当該機関からの自己診断報告書提出と NAAC に
よる報告書の審査分析、訪問調査及び評価基準に基づく評価で
あるが、インドの大学や一般社会では、この審査認定制度が幅
広く受け入れられ利用されている。
ま た こ の 制 度 は ユ ネ ス コ 機 関 ( INQAAHE : International
Network
for
Quality
Assurance
Agencies
in
Higher
Education)から「Global Credibility Stamp」を取得してい
る。
(ii)
審査認定は次の 3 つの段階により行われる。
1)
教育訓練機関自身よる報告書の NAAC への提出
NAAC は内容を審査検討し、結果は同機関に連絡される。
2)
同結果により当該機関への訪問調査
3)
同結果による評価及び格付け(他の同様機関との比較が可
能な評価点による)認定
最後の評価は、次の 6 事項について、点数制度により他の同
種機関との比較により行われる。つまり、1) カリキュラム、
2) 教育−学習面の評価、3) 研究開発、コンサル及び内容の発
展性、4) 学習施設、機材、インフラ、5) 受講生支援サービス、
組織と運営及び 6) 健康維持昂進の配慮、である。
*出典:National Accreditation & Assessment Council (NAAC:国立評価認
定審議会). <http://www.NAAC-india.com/assessment.asp>, accessed on
27 January 2007.
“UGC (University Grants Commission) Steps up Quality Campaign,” The
Economic Times, New Delhi, 27 November 2004.
(2) 試験・資格制度の概要
・
ITIs/ITCs 試験・資格制度
・
NIOS 試験・資格制度
・
City & Guilds 制度による資格認証
・
建設業関係の CIDC 制度による資格証明
・
DOEACC 制度による資格認証
現在、実施されているおもな試験・資格制度の例は下記のとおりである。
(a) Industrial Training Institutes/Centers ( ITIs/ITCs : 産 業 訓 練 機
構・訓練センター)試験・資格制度
AITT と称され、職業訓練計画に基づいて ITIs/ITCs が進めている職
工訓練制度(Craftsman-training Scheme)の受講生に対して実施さ
れる。
13
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
このテストは中央政府で企画されているが、実施自体は各州政府の支
援により NCVT により行われる。毎年 1 回、7 月(補足テストは翌
年 1 月)に全州の ITIs/ITCs において英語及びヒンディーで実施され
る。対象となる教科は下記であり、80%以上の受講者又は 5 年以上の
就業経験を有する特定の機関従業員に対して筆記試験や実技が実施さ
れる。
(i)
職業理論(職業についてその特性)
(ii) 実技研修(実際業務についてその特性)
(iii) 実技数値論及び実技科学
(iv) 設計図面
(v) 社会研究
筆記試験に加えて実業については実務的な試験も行われ、その中には
口頭試問もある。
本試験による資格は政府機関をはじめとする国内職業市場、また湾岸
諸国等の外国でも幅広く認知され受け入れられている。
*出典:Government of India, DGET, “Training Manual for Industrial Training
Institutes and Centres,” 1995.
(b) NIOS(National Institute of Open Schooling:国家公開スクーリン
グ機関)試験・資格制度
NIOS は公開教育機関であると同時に、政府が認定する職業訓練、技
術及びアカデミック・コースの予備課程受講者に対する試験実施・資
格認証機関でもある。職業コースについては NIOS が資格等級と試
験方法(筆記、実技、口頭及びテーマによるプロジェクト等)を規定
しており、教育機関による内部試験の後、所定の教育課程終了時、パ
ブリック試験が行われる。時期は年 2 回で 3、5 月と 9、11 月であり、
前者の 3、5 月では 2004 年から NIOS 自体が直接、評価等級を行う
制度も導入している。
受講者は最低 E(平均)グレードを理論、実技及びそのほか内部評価
で取得する必要がある。
*出典:National Institution of Open Schooling (NIOS). <http://www.nios.ac.in/>,
accessed on 26 Jan. 2007.
(c) City & Guilds 制度による資格認証
City & Guilds が供与するのは 国際職業資格(IVQs:International
Vocational Qualifications )といわれる、名前のとおり対象として国
際市場向けを念頭においた資格制度であり、職工技量(Craft)と技
術者の 2 分野を持つ。試験は必須知識の質問から始まる初期段階か
ら、より高度な分野に進み、実技能力は指定された試験現場で規定科
目に対して行われる。
資格等級には次の 7 段階があり、いずれも知識と実技の 2 分野で構
成される。
14
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
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表 4-3 資格等級一覧
レベル
等級名称
1 職 業 資 格
Certificate)
(
内
容
Vocational 定常的で予測可能な業務に対応できるレベル
2 職業学位(Vocational Diploma)
やや非定常的業務もあり他の業務者との協働を
必要とし、自己責任も伴う業務レベル
3 上 級 職 業 学 位 ( Advanced 広範囲の業務を包含し、一般日常業務のレベル
Vocational Diploma)
を上回る上級又は専門的レベル
4 総合技術学位又は上級技術者学位 経営者や経営の指導等高度な職務能力レベル
又は修士
条件として、本レベルに相当する 2 年以上の相
当職務経験と関連科目の資格取得を要する。
5 Graduateship 又は Associateship
(City & Guilds College と
Imperial College of Science,
Technology and Medicine, UK に
併用適用される)
上記レベル 4 から左記のレベル 5、6、7 は公共
サービス、工業及び商業における経営管理や技
術専門職クラスの職務能力レベルを公的に認証
し、その定常的な雇用活動に資することを目指
すシステム
6 メンバーシップ(修士レベルの専 レベル 4 の技術学位については、その職務課題
のレベル 3 の上級職業学位を保有し、最低 2 年
門家又は経営職)
の実務経験を証する文書を必要とする。
7 フェローシップ(技術及び経営で
の最高位)
*出典: City & Guilds. <http://www.city-and-guilds.co.in/qualifications/structure.asp>, accessed on
26 Jan. 2007.
(d) 建設業関係の CIDC 制度による資格証明
建設業に従事しようとする者及び実際に従事している作業者の技能資
格認証制度であり、CSCS(Construction Skills Certificate Scheme)
と呼ばれる。National Institute of Construction Management and
Research(NICMAR:全国建設経営・研究開発機関)により進めら
れ、第 1 段階として、内容的に建設関連の 30 業務を網羅している。
建設業の就業希望者を掘り起こし、技能の向上と技能人口の確保及び
就業機会の拡大を目的としている。
この制度への登録メンバーは受講者証明(Trainee Certificate)と熟
練者資格 2 級及び 1 級(Skilled Certificate Grade 2&1)がある。
前者は実業に入る前の研修生で、試験はいまだ受けていないが会員の
登録を希望する者、後者は実務を通して技能を身につけて登録する者
に対する証明である。試験受験が義務事項であり、これをパスすれば
2 級、1 級の資格が授与される。いずれも制度による研修期間又は実
務従事の最初の 18 カ月期間内は建設業界の検定制度に基づき認証資
格証が発行される。
資格は 3 段階(技能未習得者、半習得者及び習得者)があり、実際
の資格認証は、CSCS の認可を受けている建設会社が規定の試験を実
15
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
施し資格証明を発行している。
上記のとおり、資格証明の申請は 2 つのケースがある。1 つ目は、ま
ず訓練を受けた後に試験を受ける場合である。2 つ目は、実際の職務
で技能を習得し、これを基に資格申請を行う場合である。
*出典:National Institute of Construction Management and Research
(NICMAR:全国建設経営・研究開発機関), “Training and Skill Certification in
Construction Sector: 1995-96 to 2004-05,” Mumbai, July 1996 1996.
Construction Industry Development Council (CIDC:建設産業促進審議会),
Construction Workers Training.
<http://www.cidc.in/cwtp.asp>, accessed on 26
Jan. 2007.
(e) DOEACC 制度による資格認証
コンピュータ技術についての DOEACC 制度では次の 4 レベルの資格
が認証されている。
表 4-4
No.
DOEACC 制度で認証されているコンピュータ技術についての資格
等級レベル
内
容
1
O(基礎)レベル
プログラム・アシスタント又は同等レベル
受験資格は、1 年以上のコースにおいて、平均的な学生が 1
年にパートタイムで学習したレベルがあり、12 以上の規定科
目又は ITI の科目を合格していることである。
2
A(上級)レベル
プログラマー技能レベル
認定機関での 1 年以上のコースに対する平均的学生は 1 年課
程のフルタイム相当の学習レベルが必要である。受験資格
は、Polytechnic engineering の学位及びそのいずれかの課程
の卒業資格、あるいは上記 O レベル資格保有である。
3
B(コンピュータ応用 システム・アナリスト及びソフトウェア・エンジニアを証す
マスター同等)レベル るレベル
認定機関の 3 年以上の訓練コースにおいて、平均的受講者で
は 3 年間フルタイムに出席したとの同等の学習レベルを保有
し、ポリテクニックの Engineering 学位又は上記の A レベル
の資格保有が受験資格である。
4
C ( 技 術 マ ス タ ー 同 システム・エンジニアを証するレベルである。18 カ月以上の
等)レベル
訓練コースにおける平均的受講者では、18 カ月間フルタイム
に出席して得る同等の学習レベルの保有が必要である。
*出典:DOEACC, “DOEACC Scheme,” 2005. <http://www.DOEACC.edu.in/jsp/doe_scheme.htm#1>,
accessed on 26 Jan. 2007.
(f)
NASSCOM ( National Assessment of Competence ) に よ る
National Assessment of Competence(NAC)of Business Process
Outsourcing(BPO)(ビジネス・プロセス・外力要員能力評価)試
験と資格認証
16
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
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BPO とは、企業等が利用する外力のことで、この BPO 産業分野の
要 員 能 力 の 評 価 認 証 の 目 的 で 、 NAC ( National Assessment of
Competence)と呼ばれる試験が 2006 年 11 月から NASSCOM
(National Association of Software & Services Companies)により
開始された。産業界のニーズを大学やカレッジと結びつけ、実務に即
した新たな制度であり、試験はオンラインによって聴解、会話、キー
ボード入力や事務所内の各種ソフトウェア操作、英語の会話と書く能
力、数値解析、集中力及び正確性等について行われる。
*出典:“NASSCOM to Launch NAC Test for BPO Staff in November,”
The Economic Times, New Delhi, 24 Oct. 2006.
4.2.2 評価の実施状況
(1) All India Trade Test(AITT:全インド職業試験・資格制度)の合格状況
インド全体での合格状況を示す資料はない模様であるが、International
Labour Organization(ILO:国際労働機構)による 3 州(Orissa、
Andhra Pradesh 及び Maharashtra) での統計では 合格率は 62.9∼
88.3%である。
*出典:ILO, Sub-regional Office for South Asia, “Industrial Training Institutes of
India: The Efficiency Study Report,” New Delhi 2003.
(2) 職工試験合格状況
表 4-5 職工試験(trade test)合格状況(2001 年 11、12 月試験の結果)
項
目
実施機関
中央政府機関
各州及び民間機関
受験者(人)
11,000
47,023
合格者(人)
9,290
27,433
合格率(%)
84
58
*出典:Government of India, DGET, “Report on Trade Apprenticeship Training in India as on
31/3/2002,” Jan. 2005.
備考:中央政府試験の合格率が高いのは参加者のレベルがそれだけ高いためと思われる。
(3) そのほかの試験・資格制度の合格状況
調査中
4.3
相互認証
技能資格を相互に認証する外国との公式な協定はない。また、インド企業に職を求
める外国人の技能資格にかかわるインド政府及び地方政府の基準もまだない。
したがって、求職者の資格をいかに判断するか、とくに、外国の資格の判断基準に
17
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
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より採用を決めるかは雇用者の判断によるところである。
ただし、NCVT による国家職業認証資格は、中央政府及び地方政府の行政組織や
計画実施機関等のインドの国内労働市場ばかりでなく、湾岸諸国等の外国でも比較
的よく受け入れられ使用されている。
英国、シンガポール、日本、マレーシア、米国、カナダ及び中近東でのインドの熟
練技能者の受け入れ計画や協定は下記のような状況にある。
(1)
英国の高度熟練者の移民受け入れ計画
英国政府による、インドを始めとする海外からの高度熟練者の受け入れ計画
であり、すでに英国に居住している外国人も申請は可能である。ポイント制
の判定となっており、資格、過去の収入、年齢及び英国での経験の 4 点で評
価され、英語能力は必須となっている。本計画は変更される見込みであるが、
詳細はいまだ明らかにされていない。
*出典:“UK Migration Policy Unnerves Mid-level Pros,” The Economic Times, New Delhi, 28
November 2006.
Home Office, Immigration and Nationality Directorate (IND), Information about the Highly
Skilled Migrant Programme. <http://www.workingintheuk.gov.uk/working_in_the_uk/en/ho
mepage/schemes_and_programmes/hsmp.html>, accessed on 26 January 2007.
(2)
シンガポールとの経済協力協定関連
シンガポールとの経済協力協定により、インド及びシンガポール双方の規定
の大学学位を持つ者は相手側の大学入学で、その学位が考慮される。
ただし、その学位以外の入学条件は規定されている事項を満足しなければな
らない。
*出典:Government of India, Ministry of Commerce and Industry, Department of
Commerce, “Education,” Chap. 13. <http://commerce.nic.in/ceca/ch13.pdf>, accessed on
26 Jan. 2007.
(3)
日本との経済連携協定
現在、日本との EPA 締結の協議が進められており、これが成功した場合は
医者や会計士等の専門職に対して日本の門戸が開かれる。インドはこれら専
門職の教育に力を入れており、多数の資格者が毎年輩出されている。人口減
少と老齢化に向かう日本にとっても受け入れのメリットは大きく、また、日
本のインドへの直接投資もこの協定により更に容易になり、相互補完の利点
は大きいと思われる。
ただし、日本が受け入れる高度技術を持つ専門家は、産業分野の技術者より
医者や会計士が主眼と思われ、ここでいう職能資格者は当面、課題にはなら
ないかもしれない。
*出典:Venu, M. K., and Ganapathy Subramaniam, G., “’Young Lust’ Draws Ageing
Japan to India,” The Economic Times, New Delhi, 29 Nov. 2006. <http://economictimes.i
ndiatimes.com/articleshow/630016.cms>, accessed on 26 Jan. 2007.
(4)
マレーシアの就業資格取得での問題
インド、ミャンマー及びそのほか 3 カ国の人がマレーシアで就業する場合は、
18
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
2006 年 4 月 1 日から、半日コースのマレーシアの法律、文化、外国人の健
康及び安全管理等についての講義受講が義務化された。また、筆記試験が科
せられており、マレー語の教育も必要とされている。
*出典:Indian Muslims. Info.. < http://www.indianmuslims.info/>, accessed on 26 Jan. 2007.
(5)
米国及びカナダの就業資格取得での問題
両国にとっての熟練技術者の移民受け入れは、歴史的に不足する職種を補充
する目的で、1965 年の米国の移民法により規定された。その後、1986 年及
び 1990 年の法で、その受け入れのシーリングを更に高くしている。カナダ
も同様である。
*出典: Sasikumar, S. K., “International Labour Migration from Independent India,”
Archives of Indian Labour, 17 Feb. 2004. <http://www.indialabourarchives.org/publicati
ons/sksasikumar.htm>, accessed on 26 Jan. 2007.
(6)
中近東各国の相互認証資格での問題及び外国での技能資格の有意性の実態
歴史的に中近東に行って就業している人口は多いが、その就業は非熟練技能
業務が大半で、技術専門職や経営管理は 10∼14%程度にとどまるといわれて
いる。
しかし、その裏ではインドで職業訓練機関の有用な資格証明を保有している
者もかなりいる。また、現地の石油大会社に雇用され、業務を通して大変高
度な技術をもつ熟練者になっている場合も多い。したがって、技能の資格証
明が必ずしも熟練者雇用の鍵になっていないのが実態である。
英国の場合では、技能のレベル自体について具体的にその技能程度の基準は
規定していないが、結果として、高い資格に対しては高い評価を与えられて
いる。
シンガポールの場合においても、インドからの技能資格者の受け入れを推奨
している。しかし、大学入学での学位相互認証を決定しているものの、技術
レベル自体をいかに認証するかの規定はない。
中近東でも熟練技術者の需要は大きいが、資格自体は雇用実態と相互に作用
していない
米国とカナダもインドが専門技能者の大きな供給源と見ているが、これもソ
フトウェア産業に限定してのことであり、両国共、自国人の仕事が奪われな
いように外国人の受け入れに規制をかけようとの感情論も出ている。
*出典: Sasikumar, S. K., “International Labour Migration from Independent India,”
Archives of Indian Labour, 17 Feb. 2004. <http://www.indialabourarchives.org/publicati
ons/sksasikumar.htm>, accessed on 26 Jan. 2007.
(7)
アジア太平洋地域での協働の動き
イ ン ド を 含 む ア ジ ア 太 平 洋 各 国 は 新 た な ILO Regional Skills and
Employability Programme(SKILLS-AP)の締結に合意した。
このプログラムは、この地域における技能開発分野の知識と経験を交換し、
共有するための情報の特定、協働機会及び実施方法の具体化を意図したもの
である。
19
国名:インド(調査大項目 4:職業能力基準、職業能力評価制度)
2007 年 1 月 26 日
この中で加盟各国間での資格の相互認証について、とくに、下記の議題が提
起されている。
(a)
技能と資格の相互認証の実施
(b)
国の資格認証制度の骨組の開発・進展方法
(c)
(アジア)地域としての能力基準の設定
(d)
訓練及び資格の相互認証に関する国際的なベンチマークの設定
(e)
訓練機関と資格の質の維持確保
【参考文献】
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22
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