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プログラム

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プログラム
声楽グループ「カンテリーノ」第8回演奏会
モーツァルト
全2幕・日本語訳詞
コジ・ファン・トゥッテ
2002 年
9 1
月
兵庫県立尼崎青少年創造劇場
日(日)
大ホール
声楽グループ「カンテリーノ」第8回演奏会
コジ・ファン・トゥッテ
全2幕・日本語訳詞
作曲
台本 ロレンツォ・ダ・ポンテ
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
2002年9月1日(日)
14:30 開場/15:00 開演
兵庫県立尼崎青少年創造劇場
ピッコロシアター
大ホール
序曲
第1幕
~ 休憩 ~
第2幕
主催
声楽グループ「カンテリーノ」
協賛
大阪ガス“小さな灯”運動
後援
兵庫県、兵庫県教育委員会、(財)兵庫県芸術文化協会、ニュー・オペラシアター神戸
<出
演>
ごあいさつ
第1幕
フィオルディリージ
西尾
Fiordiligi
NISHIO Masako
ド ラ ベ ッ ラ
実桐
愛子
Dorabella
JITSUGIRI Aiko
フ ェ ラ ン ド
津守
Ferrando
TSUMORI Yoshiteru
グ リ エ ル モ
三舩
Guglielmo
MIFUNE Shiro
デ ス ピ ー ナ
門上
Despina
MONJO Eri
ドン・アルフォ ンゾ
門上
Don Alfonso
MONJO Daiichiro
合
唱
Chorus
声楽グループ「カンテリーノ」
代表 近藤 修平
正子
芳輝
司郎
恵利
大一朗
門上
恵利・松島
三輪 裕美子・池田
近藤
修平・西川
京子
浩
英行
第2幕
フィオルディリージ
門上
Fiordiligi
MONJO Eri
恵利
ド ラ ベ ッ ラ
松島
Dorabella
MATSUSHIMA Kyoko
フ ェ ラ ン ド
津守
Ferrando
TSUMORI Yoshiteru
グ リ エ ル モ
近藤
Guglielmo
KONDO Shuhei
デ ス ピ ー ナ
三輪
Despina
MIWA Yumiko
ドン・アルフォ ンゾ
西川
Don Alfonso
NISHIKAWA Hideyuki
京子
芳輝
修平
【指揮】
裕美子
英行
池田
浩
河崎 聡
(前半)
(後半)
IKEDA Hiroshi
合
唱
西尾
正子・実桐
門上 大一朗・三舩
揮
河崎
Chorus
指
Conductor
ピ
ア
聡
KAWASAKI Satoshi
ノ
Pianist
山崎
真
YAMASAKI Makoto
<スタッフ>
出
池田
浩
舞台監督・演出 助手
伊藤
英理
音 楽 指 導
門上
恵利
練 習 ピ ア ノ
加藤
泉
照
明
津守
芳輝
美
術
西川
英行
衣装・イラスト
松島
京子
印刷物・ IT
門上
大一朗
制
作
近藤
修平
協
力
阪神養護学校
演
Hassel House
本日は声楽グループ「カンテリーノ」第8回演奏会にご来場いただきまして
誠にありがとうございます。声楽グループ「カンテリーノ」は1996年に結
成され、「アマチュアが中心であること」「低額な料金でオペラが楽しめるコン
サート作りを工夫すること」「メンバーが楽しく歌い、一歩づつ成長すること」
を方針として活動しております。
本日はモーツァルトの名作「コジ・ファン・トゥッテ」を全幕演奏いたしま
す。「カンテリーノ」としては第5回演奏会「フィガロの結婚」に続く2回目の
全幕演奏への挑戦となります。「コジ・ファン・トゥッテ」では個性豊かな男女
6人が登場します。女性2人がドン・アルフォンゾの思惑通りに新しい恋人の
手に落ちてしまうというストーリーです。男性の身勝手な女性感で構成されて
いるように感じられる方もあると思いますが、モーツァルトの音楽は男女の感
情の動きを見事に表現しており、一貫して女性への愛に満ちた作品になってい
ます。
「カンテリーノ」のメンバーは、日ごろは主婦、薬剤師、会社員、公務員な
どと音楽とは無縁の仕事をしています。歌や演技はまだまだ未熟な私たちです
が、いろいろな社会で、それそれの人生経験の中で、生まれてきた男性観や女
性観が自然と歌や演技の中に表現ができれば「カンテリーノ」らしい「コジ・
ファン・トゥッテ」が演奏できると確信しております。
最後になりましたが、声楽グループ「カンテリーノ」にご支援、ご協力を賜
りました関係各位に厚く御礼申し上げます。
愛子
司郎
KAWASAKI Satoshi
1986年3月、大阪音楽大学作曲学科楽理専
攻卒業。指揮法を小松一彦氏に師事。1994年
11月、伊丹市芸術家協会新人賞受賞。現在、関
西歌劇団などの指揮者、伊丹シティーフィルハー
モニーの副指揮者。多くのオーケストラ、および
オペラ公演で活躍中。
1988年、辻井英世「管弦浄楽」初演。19
91年、1993年、フンパーディンク「ヘンゼ
ルとグレーテル」。1993年、川崎市民オペラ
モーツァルト「フィガロの結婚」。1993年、京
都国際音楽学生フェスティバルにおいて、バッハ
「ブランデンブルグ協奏曲」。1994年、川崎市
民オペラ モーツァルト「魔笛」、和歌山日前宮オ
ペラ「椿姫」
。1995年、阪神淡路大震災救援チャリティーコンサートにてベ
ートーヴェン「エグモント序曲」、サラサーテ「チゴイネルワイゼン」、ロドリ
ーゴ「アランフェス協奏曲」。1997年、神戸オペラ協会公演「ヘンゼルとグ
レーテル」。2000年、関西歌劇団公演 メノッティ「アマールと夜の訪問者」。
2001年、関西歌劇団公演「ヘンゼルとグレーテル」。その他、伊丹市民オペ
ラ メノッティ「電話」、八幡市民オーケストラ マーラー「子供の不思議な角
笛」、ベートーヴェン「運命」等を指揮し好評を得る。
1995年よりコーロ・ディ・プリマヴェーラと共に、ヘンデル「メサイア」、
ハイドン「四季」、バッハ「ロ短調ミサ」、モーツァルト「レクイエム」、プーラ
ンク「グローリア」、ラッター「レクイエム」、ベルリオーズ「荘厳ミサ ニ長
調」を演奏し、宗教音楽にも力を注いでいる。
【ピアノ】
山崎 真 YAMASAKI Makoto
相愛大学音楽学部器楽学科ピアノ専攻卒業。
卒業演奏会、兵庫県新人演奏会に出演。第12回和歌
山音楽コンクール第2位。ピアノを久万幸子、柴田翠、
戎洋子の各氏に師事。現在、相愛大学演奏助手、関西歌
劇団ピアニスト。
作
品
紹
介
モーツァルトのオペラといえば、
「フィガロの結婚」
「魔笛」
「ドン・ジョヴァンニ」の三曲が有名で、三大オペラと呼ばれ
ています。それに「後宮からの逃走」と、この「コジ・ファン・トゥッテ」を加えて五大オペラと呼ばれることもあります。
オーストリア皇帝のヨーゼフ二世が「フィガロの結婚」を観たときに、その中に出てくる「コジ・ファン・トゥッテ(女
はみなこうしたもの)」というセリフを気に入り、モーツァルトに命じてオペラを書かせたと言われています。それでできあ
がったのがこの作品です。物語は史実をヒントにしているそうですが、真偽は定かではありません。
台本は「フィガロの結婚」と同じくロレンツォ・ダ・ポンテが書き、1789年に作曲を始め、翌年の1月にウィーンの
ブルク劇場で初演されました(しかし当のヨーゼフ二世は病気のため観劇できなかった)。その後各地で演奏されましたが、
モーツァルトの作品には珍しく、決して評判は高くありませんでした。
ベートーヴェンはこの物語の背徳性をあげつらい、ワーグナーには台本を酷評され、いわば不遇なオペラとなってしまっ
たのです。しかし20世紀に入り、モーツァルト特有の高い音楽性から改めて評価を受け、今も人気作品の一つとなってい
ます。
このオペラの一番の特徴はアンサンブル(重唱)の比率が高いということです。物語の始まりから、二人の青年士官と老
哲学者の三重唱が三つ連続し、その後は姉妹の二重唱、その次にようやく老哲学者の短い独唱が歌われます。確かに名高い
優れた独唱曲も数多く含まれますが、やはりアンサンブルを中心に劇が進行していくことは間違いありません。
物語の舞台は南イタリアのナポリで、時代は作曲時点である18世紀後半と思われます。育ちのよい姉妹を恋人に持つ二
人の青年士官が、友人の老哲学者と女に貞節があるかの賭を始めます。24時間以内に姉妹がほかの男からの誘惑を振り切
り、貞節を守れるかというものです。そこで老哲学者が描いたストーリーは、青年士官が出征した振りをして、外国人に変
装し、姉妹を口説くというものです。口説くときにはそれぞれの相手を入れ替えます。老哲学者は姉妹の侍女を味方に付け、
しきりに浮気を勧めます。はじめは強く拒んでいた姉妹も、そのうちに外国人に口説き落とされ、ついには結婚証書にサイ
ンすることになります。最後に芝居の種があかされ、気まずい状況になりますが、元のさやに収まり、改めて愛を誓い合っ
て幕を閉じます。
演
出
ノ
ー
ト
池田
浩
「コジ」は永年「コシ」と表記されたので、「こし餡取って」と違訳された作品がある程です。濁点がついたのは最近で、
発音に近いのは「コズィ」でしょう。さて初めて歌ったソロがフィガロの結婚のバジリオで、隠れたケルビーノが伯爵に見
つかった時の三重唱です。かくまったスザンナに対して"Cosi fan tutte la bella"(女とはみなこうしたもの)と意地悪く歌
う場面です。楽譜に書かれたこの一節が印象深かったので、同名オペラの存在を知った時に、あるテノール歌手に尋ねたら
やはり題材はバジリオから取られたとのこと、ますます気になっていました。コジは洋の東西問わず様々な解釈と試みがな
されていますが、社会における女性の役割が増え、男性の家庭における役割が増えた結果、コジの表現も変わります。我々
も変容する社会で考え悩み生きるうちに、
「女とは~」という昔ながらの解釈を単純に受け入れられなくなりました。むしろ
「人間とはみなこうしたもの」と読み取るのが自然だろうと思います。多忙な日常から離れ、体を動かすあらゆる技がスポ
ーツの語源ならば、練習で汗を流し本番に備えるオペラは、まさにスポーツです。ワールドカップで本物のプレーを見た観
客は、解説がなくてもサッカーの面白さを知りました。オペラも同じだと思います。では、しばし日常から離れて愛と歓喜
のドラマに浸ってください。
登
場
人
物
フィオルディリージ Fiordiligi
ドラベッラ Dorabella
ナポリに住む、育ちのよい娘。17歳位。グ
リエルモと婚約している。妹ドラベッラに比
べ、性格がしっかりしており、強い意志を持
った女性。
フィオルディリージの妹。結婚願望が強くフ
ェランドと婚約関係にある。15歳位。情熱
的で誘惑に乗りやすく、また感情が表れが
ち。
フェランド Ferrando
グリエルモ Guglielmo
ナポリの士官。血色のいい20代前半。恋に
生きる感傷的なロマンチスト。恋人ドラベッ
ラを信じ切っている。アルバニアの騎士セン
プローニオに変装してフィオルディリージ
を口説く。
ナポリの士官。フェランドと同世代。フェラ
ンドに比べれば現実的でナルシスト、うぬぼ
れが強い。アルバニアの騎士ティッツィオに
変装してドラベッラを口説く。
デスピーナ Despina
ドン・アルフォンゾ Don Alfonso
フィオルディリージとドラベッラの日常の
世話をしている女中。20代前半か。粗野で
悪知恵が働く。金には目がない。ドン・アル
フォンゾに協力して医者や公証人ベッカヴ
ィーヴィに変装する。
フェランドとグリエルモの友人。老哲学者と
言われるが、年齢は40代。人生を達観して
おり、周りを見下しがちだが、決して悪人で
はない。
ス
ト
ー
リ
ー
ー 第1幕 ー
三重唱「あのドラベッラがそ
んなこと」
詠唱「取り消すか、剣をぬい
て相手になるか」
三重唱「いつも変わらぬ女の
真心とは」
詠唱「詩人の夢さ」
三重唱「妙なきセレナーデを
あの人に捧げよう」
ナポリのカフェーで、青年士官のフェランドとグリエルモが、友人で
ある老哲学者ドン・アルフォンゾと女性の貞節について話し合ってい
ます。フェランドにはドラベッラ、グリエルモにはフィオルディリー
ジという美しい姉妹の恋人がいます。士官たちは、自分の恋人は操を
守り続けると固く信じていますが、人生経験豊かなアルフォンゾは「女
に貞節などあるはずがない」と突き放します。三人は言い争いになり
ますが、アルフォンゾは軽く受け流します。そして二人に対し、恋人
たちが操を守り続けられるかどうかの賭を持ちかけます。明日一日、
アルフォンゾの指示に従って芝居をし、その間に恋人たちが操を守り
通せれば二人の勝ちというものです。もちろん、恋人たちには芝居で
あることは一切知らせない条件です。士官二人はもう勝ったも同然と
思い、その賭に喜んで乗ります。
二重唱「見てごらんよ、この
絵姿」
詠唱「今日はなんだかはしゃ
いでみたい気分よ」
独唱「なんと申したらいいや
ら」
詠唱「どうかお願いです、ド
ン・アルフォンゾ」
朝になりました。芝居が始まることを知らない姉フィオルディリージ
と妹ドラベッラは、海辺のテラスでそれぞれの恋人のことを想い、幸
せな気分にひたっています。
ところが、いつもなら自分たちの元へ来ているはずの恋人が、今日に
限ってまだ来ません。どうしたのかと思っているところへアルフォン
ゾが異様な雰囲気で姉妹のところへ来ます。
老哲学者が仕組んだ芝居がいよいよ始まるのです。アルフォンゾは士
官たちに大変なことが起こったが、とても自分の口からは言えないと
歌います。
姉妹はアルフォンゾを問いつめます。するとアルフォンゾは、士官た
ちが国王の命令で召集され、今すぐ戦争に行くことになったと告げま
す。
フェランドとグリエルモは、重い足取りで恋人たちの前に現れ、抱き
合いながらこの別れを悲しみます。そのうちに出航の太鼓が鳴り響き
ます。アルフォンゾは士官たちに早く船に乗り込むよう促しますが、
抱き合ったまま離れようとしません。姉妹は恋人に毎日手紙を書いて
ほしいとせがみ、深い悲しみの中にも恋人への想いは変わらないこと
を誓います。ところが、それを見ている老哲学者は、あまりにも大げ
さな姉妹の態度に心の中で大笑いしています。
ついに出航の時間が来ました。士官たちは恋人から離れて船に乗り込
んでいきます。
恋人たちが去った後、姉妹は改めて悲しみをかみしめます。アルフォ
ンゾはそんな娘たちの心に打たれたふりをして、ともに士官たちの無
事を祈ります。
姉妹が去り、一人になったアルフォンゾは、うまく芝居ができたと自
画自賛します。感情むき出しで大げさな娘たち、そんな女ほど心変わ
りがしやすいことを経験から知っています。そんな女心を信じる青年
たちのことをあざ笑い、賭に勝つことを確信します。
五重唱「思うように足が動か
ない」
詠唱「もう太鼓の音が聞こえ
る」
合唱「進めつわものよ」
詠唱「我が友よ、急がぬと船
に遅れるぞ」
五重唱「毎日手紙を」
合唱「進めつわものよ」
詠唱「あの方は?」
三重唱「風よ優しく吹け」
詠唱「わしもなかなか役者だ
な」
詠唱「女中商売って全くいや
だわ」
独唱「この痛みに気も狂いそ
う」
詠唱「ドラベッラお嬢さん、
フ ィ オ ル ディ リ ージ お 嬢 さ
ん」
独唱「男に、兵隊に求めるの
は」
場面は変わって、姉妹の屋敷の一部屋。女中のデスピーナは掃除や食
事の支度をしていますが、なにかむなしさを感じています。そこに姉
妹が放心状態で入ってきます。特にドラベッラはあまりの悲しみに、
女中に八つ当たりし、激しい感情を歌い上げます。
何が起こったのかわからないデスピーナは、姉妹に尋ねます。娘たち
は恋人が出兵してしまい、もう二度と会えなくなるかもしれないこと
を話しますが、女中は軽く流し、向こうは浮気をするだろうから、こ
っちも負けずに浮気をすればいいと歌いますが、ついに姉妹はあきれ
て部屋を出ていきます。
詠唱「ばかに静かで薄気味悪
いな」
六重唱「こちらがデスピネッ
タ」
詠唱「これはなんと賑やかな
ことだ」
独唱「岩のように」
詠唱「ああ、行かないで」
独唱「恥ずかしがらずに」
三重唱「笑うのか」
詠唱「いかがです、まだ賭を
続けますか」
独唱「いとしい人の愛の香り
は」
誰もいない部屋にアルフォンゾが入ってきて、以下に賭を有利に進め
るか思案しています。そしてデスピーナを買収して協力を得ます。
そこにフェランドとグリエルモが外国人に変装して入ってきます。デ
スピーナは二人が変装しているとは気づかず、奇妙な身なりに驚きま
す。そのうちに、姉妹の声が聞こえ、部屋に向かってきます。アルフ
ォンゾはデスピーナにうまく取りなすように頼んで身を隠します。
姉妹がやってきますが、異様な二人の男に驚き、すぐに立ち去るよう
に命じます。青年たちは自分たちの話を聞いてほしいと娘たちに嘆願
します。
何も知らない振りをして、アルフォンゾが部屋に入ってきます。奇妙
な身なりの二人を見て、みんなに古い友達だと驚いて見せます。青年
たちは愛の神に導かれて、二人の娘の元にやってきたのだと迫ります。
しかし、フィオルディリージは岩にように私の心は動かないと歌いま
す。姉妹は部屋を出ていこうとしますが、アルフォンゾは二人を呼び
止め、自分の友達だから話を聞いてほしいとお願いします。納得のい
かない姉妹に、グリエルモは自己アピールの歌を歌います。しかし、
姉妹たちはやはり気味悪がって、部屋から出ていってしまいます。
変装した自分たちに何の興味も示さない姉妹を見て、青年たちは賭に
勝ったと大笑いします。しかし冷静なアルフォンゾは、賭はまだこれ
からだと、約束通り今日の夜まで自分の指示に従うよう二人に誓わせ
ます。
二人とも食事もせずに賭を楽しんでいますが、フェランドは恋人のド
ラベッラのことを想い、愛があればあとは何もいらないと歌います。
フィナーレ「あの幸せもつか
の間の夢か」~「死なねばな
らぬ、もはやこれまで」~「お
医者様が見えましたぞ」
屋敷の庭園。姉妹たちは出征した恋人たちのことを想い、幸せだった
日々を回想しています。そこへ青年たちが毒薬の入った瓶を握りしめ
て乱入してきます。相手にしてもらえないのであれば、いっそ死んで
しまうと、アルフォンゾの制止を振り切り、一気に毒を仰ぎ、倒れて
しまいます。あまりの急な展開に姉妹は動転し、デスピーナに助けを
求めます。現れたデスピーナはすぐに医者を呼んできましょうと、ア
ルフォンゾとともにその場を去ります。
姉妹たちは倒れている二人を心配していますが、しばらくしてアルフ
ォンゾは医者を連れてきます。医者は実はデスピーナの変装で、磁石
を使った怪しげな治療を施し、青年たちの息を吹き返させます。青年
たちは、もうろうとした振りをして、姉妹に迫ります。姉妹はとまど
っていますが、青年たちがくちづけをしようとしたとたんに激しく拒
絶して大騒ぎとなり、1幕の幕は閉じます。
詠唱「なんというばかげたこ
とでしょうか」
独唱「年頃ともなれば」
詠唱「あなた、どう思って」
二重唱「どちらかといえば、
髪の黒い方がいい」
姉妹の部屋。デスピーナは姉妹に、年頃になったのだから世の中のこ
とをもっと知って、男に対してもうまく立ち回れるようにならなけれ
ばなりませんと諭します。はじめはあきれながら聞いていた二人も、
少しずつデスピーナの話にちょっと乗ってみようかという気分になり
ます。そして、二人の男のうちどちらがいいと話し始め、ドラベッラ
は黒髪の方(グリエルモ)、フィオルディリージはブロンドの髪の方(フ
ェランド)を選び、遊びと割り切って、ちょっと気晴らしをしようと
いうことになります。
アルフォンゾとデスピーナは、姉妹と青年たちを再び引き合わせ、励
まします。四人はお互いに恥ずかしがって、なかなか話が始まりませ
ん。しびれを切らしたアルフォンゾとデスピーナは、姉妹の手を取っ
て、アルフォンゾが青年たちに代弁して、これまでの謝罪とおつきあ
いしてほしいと申し入れます。それに対して、デスピーナが姉妹を代
弁し、過去のことは水に流すので、悲しまないでほしいと答えます。
アルフォンゾとデスピーナはこれからの成り行きが楽しみだと言いな
がら、その場を去っていきます。
ー 第2幕 ー
詠唱「さあ、元気を出して」
四重唱「そのきれいなお手を
どうぞ」
詠唱「今日はいいお天気ね」
二重唱「この心をお受けくだ
さい」
詠唱「どうして逃げるの」
詠唱「行ってしまったわ、も
ういけないわ」
独唱「恋人よ、哀れな私の過
ちを」
詠唱「我々はこれで勝ったよ」
独唱「女性諸君よ、君らのす
ることは」
四人はぎこちない会話をしています。フィオルディリージとフェラン
ドは、少し歩きましょうとその場を去り、ドラベッラとグリエルモは
二人きりになります。グリエルモはフェランドに悪いと思いながらも
ドラベッラを口説き始めます。最初は恥ずかしがっていたドラベッラ
も、次第にこの奇妙な外国人に惹かれはじめ、恋人の肖像がついた首
飾りをはずされ、ハートのペンダントに取り替えられると、一気に心
変わりしてしまいます。
一方、フィオルディリージはただ散歩を楽しむだけのつもりが、激し
く求愛されたため、怒って逃げ帰ってきます。そして自分の行いは過
ちであったと、遠く離れた恋人に許しを請います。
姉妹が去ったあと、フェランドはドラベッラの心変わりを聞き、すっ
かり怒ってしまいます。グリエルモは「女性のすることはばかげたこ
とだ」とフェランドを慰めます。
詠唱「本当にうまいことをな
さいましたわ」
独唱「甘い言葉で盗人のよう
に」
詠唱「すべて私の心を誘惑す
る陰謀だわ」
二重唱「愛しいあの方の胸に
寄り添えば」
詠唱「この恥知らずの裏切り
はなんということだ」
三重唱「みんなは責めるがわ
しは違う」
再び姉妹の部屋。デスピーナがドラベッラの心変わりをおだてている
ところに浮かない顔のフィオルディリージが登場し、自分もブロンド
の髪の男に恋をしてしまったことを打ち明けます。ドラベッラは「恋
はくせ者」と、姉に新しい恋を勧めます。
フィオルディリージはこれ以上罪を犯さないため、恋人が残していっ
た軍服を着て、戦場に行こうと決心します。
この様子を見ていたフェランドは彼女の決心を変えさせようと懸命に
愛を訴え、ついにフィオルディリージの心を勝ち得ます。
恋人の心変わりを見て、賭にも負けてしまった青年たちに対し、アル
フォンゾは「コジ・ファン・トゥッテ(女はみなこうしたもの)」と諭
します。
フィナーレ「早く急いで、明
かりを点けて」~「幸あれ花
婿に、愛らしい花嫁に」~「み
なさん、支度は手落ちなく」
~「王様のお恵みで今帰って
きました」
デスピーナをはじめ、召使いたちがあわただしく結婚式の準備を始め
ます。準備が整ったところで二組の新郎新婦が入場してきます。姉妹
は結婚の喜びにあふれ、フェランドもフィオルディリージを誘惑でき
たためか得意満面です。ただ一人グリエルモは恋人に裏切られた憎悪
をかき立てています。そこへデスピーナが変装した公証人が結婚証書
を持って登場します。証書に姉妹たちがサインをしようとするところ
で、兵士をたたえる村人たちの合唱が聞こえてきます。出征した兵士
たちが帰ってきたというものです。一同大慌てとなり、青年たちとデ
スピーナは隠れます。そして、変装を解いた二人の士官が現れますが、
姉妹たちはどうしたらいいのかうろたえています。そこにアルフォン
ゾがわざとらしく結婚証書を落とします。それを士官たちが拾い上げ、
姉妹を問いつめます。姉妹が観念しかけたところで、この芝居のから
くりを明かします。気まずい雰囲気がいますが、アルフォンゾは君た
ち四人を賢く成長させるために仕組んだことだと話し、二組のカップ
ルは元のさやに収り、愛を誓い合って幕となります。
出
演
者
フィオルディリージ[第1幕]
西尾 正子 NISHIO Masako
頌栄短期大学保育科卒業。1996年尼崎アルカ
イックホール「フィガロの結婚」花娘役で初めて
オペラの舞台に立つ。2001年神戸芸文KAC
Cコンサートに合格。鈴木文江、垣花洋子の各氏
に師事。ニュー・オペラシアター神戸正会員。
今までカンテリーノではいろいろ歌わせてもらい
ましたが、コジ・ファン・トゥッテほど楽しんで
歌えるオペラはありません。1人より2人、2人
より3人・・・アンサンブルっていいですね。
ドラベッラ[第1幕]
実桐
愛子 JITSUGIRI Aiko
大阪芸 術大学 音楽教 育学 科卒業 。田中 裕子 、森
博子、 垣花洋 子の各 氏に 師事。 ご周知 の通 りモ
ーツァ ルトの 音楽に は“ 天才” がちり ばめ られ
ていて 私たち に深い 感動 を与え てくれ ます 。私
はその数々の名曲をひとたび名演奏で聴 くと
「生き ていて よかっ た」 と心か ら幸せ に思 いま
す。現 在この 「聴く こと 」と自 ら「演 奏す るこ
と」ができる ことに大きな 喜びを感じ ています 。
本日は 少しで も“天 才” のすば らしい 音楽 を表
現でき ること と、皆 様に 楽しん でもら える よう
な演奏を目標としていますが、結果はいかに...!?
フェランド[全幕]
津守
芳輝 TSUMORI Yoshiteru
カ ンテ リ ー ノで は 、こ れま で に 、
「 フィ ガ ロ の
結婚」のバジリオ、クルツィオ、ハイライト
で「ドン・ジョヴァンニ」オッターヴィオや
「 カル メ ン 」ホ セ等 の ほ か 、
「 もの の け 姫 」に
も挑戦。今回のフェランドは、初めて全幕通
し ての 演 奏 とな る 。 他 の団 体 で は 、
「メリー・
ウ ィド ウ 」の プ リチ ッ チ ュ のほ か 、
「 ラ ・ボ エ
ー ム」「 カル メ ン 」
「魔笛」
「 椿姫 」「こ う も り 」
「ドン・ジョヴァンニ」等に合唱で出演。
グリエルモ[第2幕]
近藤
修平 KONDO Shuhei
コーラス経験もなかったサラリーマンが3 0
才を過 ぎて「 オペ ラ」と出 会い 、そ の魅 力の 虜
になる 。声楽 グル ープ「カ ンテ リー ノ」での 活
動を中 心に 、関西 のプ ロの オペ ラ団 体の 公演 に
も出演 して いる 。トヨ タコ ミュ ニテ ィコ ンサ ー
ト「 椿姫 」でソ リス トデ ビュ ー、ニュ ー ・オ ペ
ラシア ター 神戸 、喜歌 劇楽 友協 会の 公演 でソ リ
ストと して 活躍 。今年 12 月に は喜 歌劇 楽友 協
会「 メリ ー・ウィ ドウ 」に ツェ ータ ー役 で出 演
予定。声楽 グル ープ「 カン テリ ーノ 」
、ニュ ー・
オペラシアター神戸、大阪ガス合唱部所属。
ドン・アルフォンゾ[第1幕]
門上 大一朗 MONJO Daiichiro
東京に単身赴任中ですが、週末はこちら
に戻って、練習を重ねてきました。今回
は悪役ではないですが、かなり癖のある
役なので、やりがいを感じています。私
がやると、なんか時代劇か歌舞伎のよう
になってしまうのですが、それはご愛嬌
ということで。
ドン・アルフォンゾ[第2幕後半]
池田 浩 IKEDA Hiroshi
仕事のパートナーに誘われたカルメン
合唱から十年。様々なオペラの合唱と助
演を経験したが、今回ドン・アルフォン
ゾの役作りに苦しみ、自らの押しの弱さ
を実感。いつかファルスタッフを演じた
い43歳の会社員。
紹
介
デスピーナ[第1幕]・フィオルディリージ[第2幕]
門上 恵利 MONJO Eri
福岡教育大学音楽科卒業。声楽を垣花洋子氏
に師事。オペラは「天国と地獄」キューピッ
ト役をはじめ、「フィガロの結婚」「ラ・ボエ
ーム」等に出演。ニュー・オペラシアター神
戸正会員。最近は、将来オペラ歌手になると
言う長女と、やっと伝い歩きができるように
なった次女と遊んでいる方が楽しく、歌の方
はちょっと...。
ドラベッラ[第2幕]
松島
京子 MATSUSHIMA Kyoko
愛知県立芸術大学音楽学部声楽専攻卒
業。垣花洋子、林安喜子、中真有美の各
氏に師事。関西に来て早いもので二年が
経ちました。昔から「マイペースだね」
といわれ続けてきましたが、本当にそう
かもと思う今日この頃です...。
グリエルモ[第1幕]
三舩
司郎 MIFUNE Shiro
東京 で の単 身赴 任 生活 も 2年 を越 え ま し
た。「オペラ破産」とも 揶揄された 劇場通
いはとても有意義でしたが、カンテリーノ
の公演に関しては、メンバーの皆様にいつ
もご 迷 惑を おか け して 申 し訳 なく 思 っ て
います。今日も本番が終わると東京へトン
ボ帰りです。予定では来年の7月には単身
生活も終わりを告げるはずなのですが、こ
ればっかりは如何ともしがたいので・・・。
デスピーナ[第2幕]
三輪
裕美子 MIWA Yumiko
初回か らカン テリー ノの 公演に 参加 して今 回で
8回目、亀の歩くスピードでも毎回なにか成長で
きたらと思い参加しています。今回挑戦するのは
デスピーナという女中です。「年頃ともなれば、
男心を捕まえる方法を心得ておくものですよ」と
歌う独唱があるのですが、年頃をすぎようとして
いるのに未だ一人の男性も捕まえられない私。な
りきっては歌っていますが、心のどこかにいつも
現実との矛盾が引っかかっています。
ドン・アルフォンゾ[第2幕前半]
西川 英行 NISHIKAWA Hideyuki
歌が好きで高校から合唱を初めて今日
まで来ました。「ドン・ジョヴァンニ」
の騎士長とか極端な役ばかりですが楽
しんでやっております。カンテリーノの
みなさんに感謝!
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http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/6369/
iモード・ホームページ
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リーノ」)へどうぞ。
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