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(環境対応自己調節機能繊維) (PDF形式:744KB
第1回繊維分野におけるエネルギー 使用合理化技術開発補助金プロジェクト 事後評価検討会 資料5-1 経済産業省エネルギー使用合理化技術開発費補助金 「高機能ファイバー創成ナノ加工技術開発」 事後評価報告 ― 環境対応自己調節機能繊維 ― 2007.11.16 帝人株式会社 帝人ファイバー株式会社 事業の目的 目的:環境に対応して自己調節可能な、省エネ、快適性 に優れたインテリジェント繊維の創出 • 皮質細胞(Cortex)を表皮(Scale)が被覆 • 内部は親水性、表皮は疎水性 O-Cortex O-Cortex • Scaleの開閉により吸放湿を繰り返す P-Cortex • 内部は収縮率の異なる2種類の 皮質の貼り合せ構造 Scale 高吸湿、高撥水、水脱着熱大、感湿可逆捲縮・・・・ Woolの機能を創出する P-Cortex 技術開発内容 撥水性 感湿可逆捲縮+吸放湿性 後加工でなく繊維として撥水性発現 湿度によって可逆的に伸び縮みする 環境対応自己調節機能 + 合成繊維の特徴(イージーケア) 1. 高吸放湿・撥水ポリマーの開発 2. 精密複合紡糸技術開発 3. 製布技術開発 1-1) 高吸放湿ポリマーの開発(1) 目標 : 吸湿率 ≧ 12% (20℃,65%RH) ΔMR * ≧ 7% * : 高温高湿時(35℃,95%RH)と標準状態(20℃,65%RH)との吸湿率差 ・ 種々吸湿ポリマー、剤を、製糸性と合わせて探索 ・ 要求特性;(吸湿、熱分解) 20% Wool 吸湿率 (%) 18% 16% ΔMR 14% 12% Ny+吸湿剤1 吸湿剤 10% Wool Ny+吸湿剤2 8% c 6% Ny 4% 2% A B Ny A 0 100 200 300 400 経過時間 (分) A 絶乾→B 0% 500 600 0 100 200 B 300 400 経過時間 (min) A 500 600 A : 35℃,95%RH B : 20℃,65%RH ⇒ 吸放湿性は目標達成するが、標準状態での吸湿率が未達 700 1-1) 高吸放湿ポリマーの開発(2) ・ 汎用ポリマーへの吸湿ポリマーのブレンドを実施 ・ 汎用ポリマーの変性によるブレンド状態を観察、製糸性も評価 PET 変性PET1 変性PET2 変性PET3 Ny 結晶性 std. down std. std. - 極性 std. std. + ++ - 粘度 std. std. std. down - OK OK OK、融着 ← OK ブレンド 状態 紡糸性 ⇒ 汎用ポリマー極性制御によりナノブレンド状態制御可能 1-2) 撥水ポリマーの開発 目標 : 水との単糸接触角 ≧ 115° 接触角 (°) ・ 炭化水素系、シリコーン系、フッ素系など探索し、PETへのブレンド、共重合検討 120 115 110 105 100 95 90 Wool PET 開発品 Wool PET 5 開発品 2 (dtex) 3 ⇒ 撥水モノマー共重合+繊維径downにより、接触角up 吸湿・撥水ポリマーの到達レベル 目標値 開発品 (5dtex) 備考 吸湿性 ≧12% 3% Nyブレンド品:3% 吸放湿性(ΔMR) ≧7% 19% Nyブレンド品:12% ≧115° 111° 2dtex:118° 可 可 - 接触角 溶融紡糸性 2-1) 2元複合紡糸技術(1) 目標 : S/S断面での紡糸が可能 吸放湿による捲縮の可逆変化発現 B 従来技術;A=Ny B=PET 捲縮率 (%) A 開発糸;A=吸湿ポリマー+Ny、 B=吸湿ポリマー+PET 14 12 10 8 6 4 2 0 20℃,65%RH 35℃,95%RH Wool PET/Ny ⇒ S/S断面形成可、吸放湿による捲縮可逆変化を発現する 開発糸 2-1) 2元複合紡糸技術(2) ・その他特徴の探索 熱移動量を測定 金属板 30ºC Qmax 300 200 100 0 吸水収縮率 (%) Wool 開発糸 Qmax (cal/cm2・sec) 水脱着熱 (mJ/g) 400 0.030 20℃,65%RH 35℃,95%RH 0.025 0.020 0.015 0.010 Wool 30 25 20 15 10 5 0 PET/Ny 布帛 20ºC 開発糸 PET 開発糸 20℃,65%RH 35℃,95%RH ⇒ 水脱着熱はwoolの70%、布帛での吸湿捲縮変化を確認 2-2) 3元複合紡糸技術 目標 : 3元断面での紡糸が可能 吸放湿による捲縮の可逆変化、撥水性を有する 吸湿Ny 吸湿PET 撥水PET 100nm ⇒ 2元紡糸技術をベースとして、 3元紡糸基礎技術を確立 製糸性の到達レベル 目標値 開発品(2元conj.) 開発品(3元conj.) 可 可 可 吸湿性 ≧12% 3% 3% 吸放湿性(ΔMR) ≧7% 3% 3% 接触角 ≧115° 測定不能 114° 捲縮数 10 個/inch 9個/inch 9個/inch 断面形成性、紡糸性 3) 製布技術 製布物性の到達レベル ボイル後 目標値 開発品 吸湿性 ≧12% 2% 吸放湿性(ΔMR) ≧5% 3% ≧135° 129°→ 35° 11% 6% 1.9 cm3/g 1.8 cm3/g 接触角 通気度変化率 嵩高性 ファイナルセット後 ・吸放湿性Æ吸湿率は目標の約20%であるが、⊿MRは約60%達成 ・捲縮特性Æ湿度に対応した通気度変化を確認(ウールの約60%) ・撥水性Æ原糸では目標達成するも、染色プロセスを通過すると低下 (※マイルドな染色プロセス改良必要) 補助事業 技術開発成果まとめ 1. 高吸放湿・撥水ポリマーの設計、開発 高吸湿ポリマー探索し、吸湿性未達だが吸放湿性は目標達成。 ポリマー改質によりナノブレンド状態制御可を確認。 撥水モノマー共重合により撥水性ほぼ目標達成。 2. 精密複合紡糸技術開発 2元、3元での断面形成性、紡糸性確認。 吸湿特性は未達ながら、撥水性、捲縮特性は目標レベル到達。 3. 製布技術開発 吸湿特性は未達だが、湿度による捲縮可逆変化は確認。 撥水性は染色加工処理により低下。 (断面形状改良、および染色プロセス改良必要) 用途、および今後の展開 用途 テキスタイル (織・編物) インナー・スポーツ衣料 機能 ・吸放湿性 ・しなやかさ ・撥水性 ・防汚性 ユーザー・商品 ・インナー衣料用途(下着、ソックス等) ・スポーツ衣料(ゴルフ、テニスウェア、アウトドア等) ・寝装用途(布団綿等) 1. 本技術開発成果による新市場の開拓 究極のインナー素材、イージーケア可能な快適素材 フィルター、建材用途 次世代インテリジェントテキスタイル分野 2. 本技術開発の要素技術の応用 精密複合紡糸技術による光学、エレクトロニクス分野 での新デバイス創出など