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2011年10月-11月号(PDF:2.2MB)

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2011年10月-11月号(PDF:2.2MB)
支部通信
最近のフィリピン事情
加藤 豪
(株)錢高組 マニラ支店作業所長
1. はじめに
人口が増加し続けている。
フィリピンは、ASEAN 諸国の中で最も東に位置して
首都はメトロマニラと呼ばれるマニラ首都圏で、首都
おり、首都マニラは、東京から飛行機で約 4 時間。国土
圏人口 1,155 万人と、フィリピン全体の 1 割以上の人口
は南北に長く、日本と国境を接しており、沖縄の最南端
がマニラ首都圏に集中している。
からフィリピンの最北端との距離はわずか 500km。こ
公用語は、フィリピノ語(タガログ語)および英語だが、
んなに日本から近いのに、あまり知られていないフィリ
地域によって約 80 程度の言語が存在している。ほとん
ピン。また日本では、フィリピンが貧困・治安などの問
どの地域で英語が通じるのは、フィリピンの特徴のひと
題について報道で取り上げられることが多く、あまりよ
つと言える。
い印象を持たれていないことと思う。
宗教は、国民の 83%がカトリック。その他のキリス
経済においても、海外からの直接投資・輸出など周辺
ト教徒が 10%と、国民の 9 割以上がキリスト教徒。イ
諸国と比較すると、タイやマレーシア、最近ではベトナ
スラム教は 5%で、
主に南のミンダナオに居住している。
ムなどの著しい成長と比べ、なんとなく存在感が低下し
経済においては、フィリピンにおける GDP は、2010
ているように見られる。
しかし一方で、
フィリピンはビジネスの一拠点として、
年に 1,887 億ドルとなり、ひとりあたりの GDP は初め
て 2,000 ドルを超えた。また、経済成長率においても、
また、フィリピン人は有能なグローバル人材として世界
ここ数年は毎年成長を見せており、2010 年には 7.3%と、
から注目されている。
ここ 30 数年間で過去最高を記録した。成長率で見ると、
その理由として、フィリピン人の英語能力の高さ、コ
周辺諸国に比べ 色のない堅調さで確実に成長し続けて
ミュニケーション能力、そして、そのような優秀な人材
いる。
が豊富で、
かつ低コストで確保できることが挙げられる。
今回は、そのような観点から、あまり知られていない
フィリピンを紹介してみたいと思う。
3. OFW
現在のフィリピン経済を支えているのが、OFW であ
る。OVERSEAS FILIPINO WORKER の略で、アメリ
2. フィリピンの一般事情
カをはじめとした、海外に在住しているフィリピン人労
まず、簡単にフィリピンの一般事情から。
働者のことをいう。OFW の歴史は古く、現在では、海
正式国名は、フィリピン共和国。国土面積は、約 30
外で就労しているフィリピン人は、世界全体で 1,000 万
万 km で日本の約 80%程度の大きさである。首都マニ
人にもなっているという。フィリピン国民の約 1 割が、
ラの位置するルソン島、また、観光で有名なセブ島など
海外で就労していることになる。
2
7,100 を超える島々からなり、インドネシアに次ぐ世界
第 2 位の群島国家である。
古くは、OFW の行き先としては、アメリカ、カナダ
が多く、給与水準の低い家政婦や、店員が多かった。現
気候は熱帯型に属し、年間を通して温暖で、季節は大
在では、高収入が得られる看護士や介護士、また最近で
きく雨季と乾季に分けられる。また、毎年 9 月から 11
は、建設現場での管理者、CAD オペレーターなど、技
月頃にかけて台風が上陸し、強風と豪雨により、地域に
術者としてもフィリピン人の需要が高まっている。実際
よっては浸水などの被害が発生している。
に、ドバイなど中東諸国での建設ラッシュでは、フィリ
フィリピン全体の人口は、約 9,401 万人(2010 年推定値、
フィリピン国勢調査)
。現在も、毎年約 200 万人のペースで
ピン人技術者の需要が急激に高まり、多くの優秀なフィ
リピン人技術者が、フィリピンでの会社を退職し、母国
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を離れ海外に出ていった。その際、フィリピン国内では
海外に出たエンジニアの補填に苦労を強いられることと
なった。
を構えている。
注目されている理由としては、やはりここでも、フィ
リピン人の英語能力の高さ、コミュニケーション能力、
海外において、フィリピン人技術者の需要が高まった
そして、割安な人件費が挙げられる。また、フィリピ
理由として、英語能力の高さ、コミュニケーション能力、
ン政府も、外国資本導入策として、BPO 産業を積極的
順応性の高さ、そして、比較的低コストの労働賃金が挙
に奨励しており、進出企業には、免税などの優遇措置
げられる。現在もなお、フィリピン人技術者は、中東地
を提供している。
域のみならず世界中で活躍している。
前述したように、フィリピン経済を支えているのが、
フィリピンの BPO 産業の 2010 年の規模は、2001 年
には、1 億ドルにも満たなかったが、前年比 26%増の
海外に在住している OFW からフィリピンの家族への送
89 億ドルとなった。就業者数でも、前年比 24%増の 52
金である。OFW からの送金によって、国内消費が堅調
万 5,000 人となった。この中でも、コールセンター部門
に拡大し、それが景気を押し上げている。また、国際収
は、BPO 産業の約 7 割を占め、61 億ドルの規模となり、
支面でも OFW 送金に大きく依存しており、貿易赤字を
インドを抜いて世界最大規模となった。就業者の数も、
多額の OFW 送金でカバーし、
経常黒字を維持している。
前年比 23%増の 344,000 人となった。
OFW からの送金は、2010 年には、過去最高の 180 億
今後も、フィリピンにおける BPO 産業は、高い成長
ドルを超え、GDP の 1 割にも相当する額となっている。
が期待される。それによって、優秀なフィリピン人の
そして、これからも増加が予想されている。
国内での雇用機会を増やし、また、BPO 産業が、フィ
今や世界からの需要が高まり、世界中で活躍している
フィリピン人だが、もう一方の理由として、フィリピン
リピン経済を支える産業のひとつとして発展していく
ことを期待したい。
国内での労働賃金の低さ、また、雇用機会が少ないゆえ
に海外に出ざるを得ない問題がある。多くの優秀なフィ
5. フィリピンでの人材育成
リピン人が母国を離れて海外で就労し、また、フィリ
現在、建設産業においては、日本国内の需要の冷え
ピン経済が OFW 送金による消費に支えられている事実
込み、また、海外工事においても、他国の建設会社も
は、
今後のフィリピンの発展にとって課題となるだろう。
含め、競争の激化など非常に厳しい状況に置かれてい
る。このような状況の中で、企業が生き残っていくた
4. コールセンター
ここ数年、フィリピンでは、コールセンターという言
めに、国際的競争力を確保していく必要がある。
こうした中、何度も前述したように、フィリピン人
葉をよく耳にする。
技術者は高い技術、知識、そして英語力を備えている
実際、フィリピンにおいて、コールセンターを中心と
グローバルな人材として、世界中で重要な任務を果た
する BPO 産業(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が急
している。今後も、海外工事において、そうしたフィ
激に増加しているという。
リピン人技術者を活用し、事業を展開していくことが
2000 年以降から、フィリピンは BPO の拠点として注
考えられる。
目を集めている。既に、シティバンクやデルコンピュー
そうした一方で、フィリピンなど、政府による公共
ターといったアメリカ系の大手グローバル企業が、フィ
工事においては、依然、片務契約などの習慣が残って
リピンにコールセンターを開設するなど、BPO の拠点
おり、特に契約の作成や調達において改善が必要とさ
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支部通信
れている。
は、当然すべて英語で行われており、英語能力の向上、
こうした背景により、フィリピンでは、官民セクター
また他国・異業種の参加者とのディスカッションなどを
から国際標準である FIDIC(国際コンサルティング・エンジ
通して、クロスカルチャー(異文化交流)、またアサーティ
ニア連盟)契約約款に基づく契約遂行における実務的な
ブ(自己主張)を身を持って感じ、
学ぶことができる。また、
研修を目的として、AIM(アジア経営大学院)と JICA は、
これらの研修が、
フィリピンで行われている理由として、
フィリピン政府機関である公共事業道路省、民間企業
やはり英語環境が整っていること、また、他国と比較し
であるフィリピン・エンジニアリング・コンサルト協
て、低コストでの研修が可能となる。
会の協力の下、
「世界市場で活躍できるプロジェクト・
今後は、日本の企業は、限られた日本の市場から、新
マネージャの実務研修」を開始した。また、本研修は、
興国を中心とした海外の市場にシフトせざるを得ない状
FIDIC 本部の協賛も得ており、FIDIC 認定講師として、
況にある。その中で、国際企業として、競争力を発揮す
2 名が登録されている。本研修は、フィリピン政府機関、
るために、グローバルな人材の育成が不可欠となる。そ
民間工事会社、コンサルタント会社を対象として開始
ういった産業人材の育成が、ここフィリピンで行われて
され、将来的には周辺国の政府機関まで広げられる予
いる。
定である。
また、建設関連以外においても、AIM は JICA と協賛
6. 終わりに
し、国際的な産業人材の育成のプログラムを行ってお
今回、この原稿を書かせていただいたことで、自分自
り、今後の海外展開する国際企業のために、管理者の
身、改めてフィリピンという国とフィリピン人を見直す
育成にも取り組んでいる。国際企業の管理職として必
機会となった。今回紹介させていただいたものすべてに
要とされる、異文化を前提とした方針の理解と適切な
共通するのが、何度も書かせていただいたが、フィリピ
目標設定能力、目標達成のためのプロジェクト管理能
ン人の英語能力の高さ、コミュニケーション能力、そし
力、プロジェクト推進に必要な部下の指揮監督・部下
て、低コストな労働賃金となる。
の育成能力の育成を目的としている。各種事業に通じ
今、そんなフィリピン、またフィリピン人が、ビジネ
た講師陣、また、他の産業からの参加者とのディスカッ
ス拠点として、また優秀な人材として、世界から注目さ
ションやケーススタディを通じ、知識ではなく物の見
れている。今さらながら、そんなことに気付かされた。
方を育成する。
これらの講義は、フィリピン人の育成だけではなく、
日本の民間企業からも今後の海外展開を含め、グロー
今後、日系企業においても、フィリピンを知り、市場、
投資先、そしてビジネスの拠点として検討され、そして
進出されることを期待している。
バルな人材の育成を目的として利用されている。講義
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支部通信
2011年革命後の
エジプト建設市場
砂田 辰之
大成建設
(株)国際支店北アフリカ営業所 所長
。
今年 1 月、チュニジアから始まった「アラブの春」
態は快方に向かうだろう。
革命がいち早く波及したエジプトでは労働環境の改善や
賃上げを訴える警察官、労働者のストが起きるなど、今
問3:今後エジプトの建設業はどのように展開するか?
も混乱が続いている。建設業界も例外ではない。革命か
̶ 人口増加に伴う発電、上下水、道路、住宅の需要増
ら 9 カ月、エジプト建設市場の「今」と「今後」につい
に対応するためのインフラ案件重視の傾向は変わら
て地元大手建設会社 4 社にヒアリングした。
ない。
̶ インフラ、健康、教育分野で需要が多く、建設業は
問1:革命後、
建設業にどのような影響があったか?
発展するものと期待している。
̶ プロジェクトがスローダウンしている。インフラ分
野、主に発電関連など限られた案件しか動いていな
問4:現在注力している分野、案件は?
い。民間開発案件はいくつか継続しているが、とて
̶ 母国エジプトの発展に寄与する案件において品質、
も慎重に動いている。資金面、調達面で以前より余
安全、工期遵守を達成するよう努めている。現段
計な手続きや承認が必要で時間を要している。ロジ
階では施工中案件と既受注案件の遂行に集中して
スティックス上の安全問題も存在している。
いる。
̶ 政情が不透明なことから、海外からの新規投資が止
まったままでまったく動いていない。
̶ わが社の場合は予想していたほど影響は大きくな
̶ 重工分野、特殊ビル、インフラ案件に注力してい
る。
̶ 発電所、水処理施設に注目している。
い。発注者からの支払い遅延などもない。ただ受注
競争がよりいっそう厳しくなっている(筆者注:公共
問5:今後注力する有望分野、案件は?
工事では国からの支払いが遅延しており問題が多発している模
̶ PPP案件、インフラ案件、民間の大規模開発。
様。この会社は民間工事を中心に行っているため影響が軽微だ
̶ 重工分野、特殊ビル、インフラ案件に加え、原子
と推測される)。
̶ 労務費、材料費に対する革命の影響はほとんどない
力発電所を追加する必要がある。上下水施設、中
規模発電所の EPC 案件 (設計〔 Engineering 〕、調達
(筆者注:他の中東諸国に出稼ぎに出ていた多数の労務者が仕
事がなくなり帰国し、供給超過の状態。これと革命後の賃上げ
圧力とがバランスして大きな影響が出ていないというのが実態
のようだ)。
問2:それらの影響はまだ続いているか? 続いているなら、それ
はいつまで続くと思うか?
̶ 今は政権移行期間であり、影響はまだ続いている。
議会と大統領の選挙後に事態がクリアになり始める
だろうが、まだ時間がかかる。2012年か2013年には
転機が来ると信じている。
̶ 議会選挙、大統領選挙が終わり政情が安定すれば事
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支部通信
革命で焼かれたまま放置されている建物(カイロ市中心部)
〔Procurement〕、建設〔Construction〕 に至るまでの、一括
問7:その他、日本の読者に伝えたいことは?
請負)にも力を入れたい。
̶ 革命後、海外からの投資は完全に止まったが、不安
̶ 海外では湾岸諸国、特にカタールに注目している。
定な政治情勢が続けばエジプトポンドが安くなり、
結果、アラブ諸国の投資家が安値でエジプト資産を
問6:日本政府や日系コントラクターに求めるものは何か?
買収するかたちで投資が活発になるという皮肉な現
̶ 日本政府にはインフラ案件やエジプトの発展と雇用
象が起きかねないと懸念している。
創出に繋がる案件への融資を期待している。日本の
ゼネコンには技術移転を期待したい。
̶ 日本の円借款で完成したボルグエルアラブ空港の写
真を掲載してほしい。
̶ 日本は戦略的パートナーであり関係拡大が望まれ
る。より多くの投資を期待している。
ニューカイロ地区でEmarが開発している大規模住宅・商業施設(カイロ市南東の郊外)。
工事はゆっくりとしたペースで進んでいる
革命の中心となったタハリール広場の地下駐車場工事
(カイロ市中心部)
同一エリアの商業施設の工事現場
日本の円借款で完成したボルグエルアラブ空港
(アレクサンドリア市近郊)
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支部通信
50年に一度の大洪水
及川 文孝
泰国西松建設(株)主任
タイではモンスーン期が過ぎた後、台風に見舞われま
います。11 月半ばに再開するとのことですが、いまだ
した。その結果、今年の 5 月頃から北部や中部を中心に
に先が見えておらず、日増しに迫りくる洪水と先の読め
平年比 120∼ 180%という記録的な降雨が生じ、8 月に
ない不安を感じています。
入ると上流部で浸水が広がりました。アユタヤにある工
業団地が水没し、大雨による洪水により被害を受けた日
タイでは毎年、上流部で 6 月から 10 月頃の雨季に降っ
系企業は 400 社を超えました(2011 年 11 月 1 日時点)。今回、
た雨水が 10 月頃、中部の平原地帯に達して洪水を起こ
特に被害が大きかったのは、タイ中部と、アユタヤ県、
します。中部はもともと広大な水田地帯で、川から れ
パトゥムタニ県などの工業団地で、バンコクから北へ約
た水は水田に流れ込み、天然の灌漑システムとして利用
70km 離れたロジャナ工業団地では、洪水対策として周
されてきました。これまでは大雨が降っても、運河や
囲を高さ 6.5m の防水堤で囲い、一時的なバリケードも
チャオプラヤ川に排水され、タイ湾へ流れ出す排水シス
築いていましたが浸水し、企業の生産活動に壊滅的な被
テムがありました。しかしながら、タイでは昨年、水不
害が出ました。
足が深刻化し、雨季とされる 5 月以降も北部、中部など
現在(執筆時)は、琵琶湖の 3 分の 2 の水量にあたる
では雨が降らず、
国内のダムの貯水率が落ち込みました。
160 億 t の水が少しずつ南下してきており、徐々にバン
今年は、6 月から断続的な豪雨に見舞われ、
「本来は、一
コクに達しつつある状況です。バンコクは本格的な洪水
定レベルに水量が達したらダムの水を放流すべきところ
には見舞われておりませんが、チャオプラヤ川付近の一
を、乾季の水不足を恐れても水を溜め込み、その後も調
部地域においては道路などに冠水が生じております。
整のために放流することなく、その水量が予想を超えて
増えると、
プミポンダムなどの複数のダムで同時放流し、
そのような中で、バンコク市内には、日用品や食料品
大量の同時放水が洪水被害を拡大させた」
(専門家)のが
(水や即席めん)の不足が深刻になっています。中でも卵
今回の洪水をいっそう大きくしたひとつの要因であると
の品不足が顕著であり、その価格は 1.5 倍に高騰してい
いう見方があります。
ます。また、浄水場に藻が大量発生したため、バンコク
の一部地域において水道の供給が制限されました。デン
またタイを南北に流れるチャオプラヤ川は、その流域
グ熱やマラリヤなどの感染症も広がる恐れがあるという
面積が約 16 万 m2 の巨大河川であり、日本の河川との大
ことで、バンコクにある日本人学校の在籍生徒 2,564 名
きな違いは勾配です。ほとんど傾斜のない平地な地形の
のうち、1,956 名が日本へ帰国するという事態に至って
ため、水の流れが非常にゆっくりと流れるとのことで、
現場事務所
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支部通信
水没したアユタヤ市内
それがまた洪水を長期化させているという指摘もあり
バンコクの洪水で被災する人は、2050 年には、今の 2
ます。
倍近くなるとの指摘もあります。1995 年に発生した洪
さらに、バンコクにおいては開発に伴う森林の伐採、
水以降、トンネル排水システム、排水防御システムは
溜め池や湿地の減少、住宅や工業用に地下水を
整備されていたものの、今回の洪水はそれを上回る、
み上
げ、地盤沈下が進んだこともまたその要因であると思わ
想定以上のものであり、タイが今後、継続的な経済成
れます。
長を確実にするには、よりいっそう洪水などの自然災
害への備えが重要になっています。また税制優遇や比
まとめ
較的安定した治安により、多くの多国籍企業が進出し、
死者 356 名、被災者 250 万人、被害総額 約 4,000 億円
東南アジア最大の生産拠点となっているタイにおいて、
をもたらした「水量と、被害を受けた人数に関して最悪
進出企業の操業停止が長期化すれば供給網が途切れて
の洪水」は、今日現在、いまだに終わりが見えておりま
世界的な製品供給に影響が及ぶ、という海外進出のリ
せん。
スク管理といかに分散しておくべきかという生産体制
地球温暖化に伴う気候変動が進んだ場合、専門家は、
の見直しという問題を、今回の大洪水は特に日系企業
今後も大洪水が恒常化する危険があると警告しており、
に提起するものとなりました。
水没した町をボートで移動する住民
水没した幹線道路
浸水に備えた現場事務所
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