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アウトランダーPHEV(2015年7月~生産モデル(`16
’16 年型アウトランダー PHEV 緊急時対応マニュアル ’16-10 No.PMRJ1501 はじめに 本マニュアルは、アウトランダーPHEV の乗員救助ならび に事故処理等を行う際の注意事項を記載しています。 アウトランダーPHEV は高い電圧のバッテリーを搭載した プラグインハイブリッド車であり作業中の取扱いを誤ると、 感電など重大な傷害を受ける恐れがあります。 安全に作業していただくためには、事前に本マニュアル を熟読頂き、注意事項を遵守してください。 安全に関する表示 運転者や他の人が傷害を受ける恐れがあることと、その回避方法をつぎの表記で記載して います。 重要な事項ですので必ず読んでお守りください。 記載事項を守らないと、死亡や重大な傷害につながる恐れがあること。 記載事項を守らないと、傷害や事故につながる恐れがあること。 装備仕様の変更等により、本マニュアルの内容が被救助車両と一致しない場合がありますので あらかじめご了承ください。 1.安全に作業を行うために (1)高電圧の隔離 (2)高電圧の遮断 (3)乗員救助および事故車取扱い時の注意 2.高電圧機器配置図 (1)高電圧部品および配線の位置 (2)SRS エアバッグシステム 3.車両外観の特徴 (1)特徴の一覧 (2)外観の特徴 (3)その他の特徴 4.事故現場での留意事項 (1)事故現場で必要な工具など (2)水没車両の駆動用バッテリーへの注水処置に必要なもの (3)事故現場での安全対策 (4)事故現場での初期確認事項 5.乗員救助時の取扱いポイント (1)準備 (2)Case-A1:高電圧配線や車体の切断などを必要としない場合 (3)Case-A2:高電圧を遮断する時間(作業時間約 10 分)があり、 車両の切断などを必要とする場合、もしくはオレンジ色被覆 の高電圧配線が露出している場合 (4)Case-A3:高電圧を遮断する時間がなく、車両の切断などを必要と する場合、もしくはオレンジ色被覆の高電圧配線が露出 している場合 6.事故車取扱いのポイント (1)Case-B1:車両火災の場合 (2)Case-B2:車両が水没している場合 (3)Case-B3:横転している車両を起こす場合 7.車両諸元および事故車両の移動・運搬時の注意 (1)車両諸元 (2)自走での移動 (3)事故車両の運搬 レッカー車での運搬 (4)けん引ロープでの移動 1.安全に作業を行うために アウトランダー PHEV は最大作動電圧 336 V のリチウムイオンバッテリーを搭載し、モーター (パワーユニット)の駆動と一部装備品(エアコン等)の作動に使用しています。 よって、安全に作業を進めるために、作業の前には高電圧の「隔離」と「遮断」が確実に行わ れているか確認する事が必要です。 エンジン音がしなくても、ハイブリッドシステムが OFF とは限りません。 高電圧の「隔離」と「遮断」を確実に行って下さい。 (1)高電圧の隔離 1)高電圧回路は、車体と絶縁しています。 2)高電圧機器や配線にはケース・カバーを設定しています。 また、高電圧配線の被覆はオレンジ色で統一しています。 3)高電圧機器のケースと機器内高電圧導電部は絶縁しています。 (2)高電圧の遮断 車両の整備や事故などで高電圧系の絶縁が確保出来ない状況では、駆動用バッテリー からの電流を遮断するシステムを備えています。 充電中は、充電コネクターを引き抜くことで、高電圧回路を遮断できます。 <遮断モード> 手動 状況 充電コネクター システム 自動 サービスプラグ 通常使用 パワースイッチ連動 衝突検知 ○ 点検・整備時 ○ ○ 衝突時 充電時 ○ ○ (3)乗員救助および事故車取扱い時の注意 取扱いを誤ると感電など重大な傷害を受ける恐れがありますので、十分注意 してください。 (1)この車両では、最大作動電圧 336V の高電圧システムを使用しています。 (2)駆動用バッテリーは、万が一破損しても大量に電解液が外部に流出しな い構造となっています。 (3)駆動用バッテリーの電解液には可燃性の「リチウム塩を含む炭酸エステル 溶液」を使用しています。 この電解液は、空気中の水分と反応すると人体に有害な酸性の蒸気を 発生します。 よって、電解液を取り扱う際には有機ガス用マスク・耐溶剤性の手袋・ 保護メガネを使用し、十分注意してください。 (4)三菱リモートコントロール装着車は補機用バッテリー(12V)充電機能、プレ 空調機能により、パワースイッチ内のインジケーターが消灯していても、 高電圧システムが起動している可能性があります。 2.高電圧機器配置図 (1)高電圧部品および配線の位置 高電圧部位および高電圧配線は下図のように取り付けられています。 (2)SRS エアバッグシステム SRS エアバッグおよび関連機器類は下図のように取り付けられています。 3.車両外観の特徴 アウトランダーPHEV は、アウトランダー(エンジン車)と同じ車体を使用しており、外観が類似 しています。 よって、アウトランダーPHEV の特徴を以下に示しますので 1 つでも該当するものがあれば、必 ず絶縁保護具を着用し作業を実施してください。 ・車両がアウトランダーPHEV でないことが確認出来るまで、車体に触れる場合や 触れる可能性のある場合は必ず絶縁保護具(絶縁手袋・絶縁ゴム底安全靴) [耐電圧 400V 以上]を着用してください。 ・エンジン音がしていても、アウトランダー(エンジン車)とは限りません。 特徴の一覧から判断してください。 (1)特徴の一覧 PHEV(PLUG-IN HYBRID EV) ロゴマーク ・充電リッド・車台番号(型式)・パワードライブ ユニット(PDU)カバー (2)外観の特徴 ①PHEV(PLUG-IN HYBRID EV) ロゴマーク 「PHEV(PLUG-IN HYBRID EV) ロゴマーク」が フェンダーパネルの左右とテールゲートに 装備されています。 <フェンダー部> <テールゲート部> ②充電リッド (運転席側) (3)その他の特徴 ①ダッシュパネルと③B ピラー下部のネームプレートに車台番号が打刻されています ②PLUG-IN-HYBRID EV ロゴマーク ①車台番号打刻 (エンジンルーム内) 車台番号の上 4 桁(型式)が「GG2W」の 場合は「アウトランダーPHEV」です。 ②PLUG-IN-HYBRID EV ロゴマーク 「PLUG-IN-HYBRID EV」 ロゴマークが入った パワードライブユニット(PDU) カバーを装着 している場合は「アウトランダーPHEV」です。 ③ネームプレート(B ピラー) MODEL 欄に記載される車両型式が「GG2W」 の場合は「アウトランダーPHEV」です。 例)DLA-GG2W XDHHZ 4.事故現場での留意事項 作業を行うにあたり必要な事項です。 水没後や駆動用バッテリーに大きな損傷(変形や穴あき)がある場合、時間 経過後、発煙及び発火する恐れがある為、取扱に注意して下さい。 (1)事故現場で必要な工具など ★印のものは必須です。その他は必要に応じて準備してください。 1)★ 絶縁保護具 (耐電圧 400V 以上) ・絶縁手袋、絶縁ゴム底安全靴 高電圧からの作業者保護のために着用します。 2)★ スパナなど (サイズ:10×12mm) ・補機用バッテリー(12V)のマイナス端子(10mm)を取り外す時に使用します。 ・サービスプラグを抜き取る際、サービスリッドの固定ナットを取り外す時に使用しま す。 3)有機ガス用マスク・耐溶剤性の手袋(または厚手のゴム手袋)・保護メガネ 駆動用バッテリーから電解液が漏れ出した場合、酸性の蒸気が発生する危険があ ります。電解液への処置を行う場合は、有機ガス用マスク・耐溶剤性の手袋・保護 メガネを着用の上作業を行ってください。 4)吸着マット・砂 駆動用バッテリーから漏れ出した電解液および燃料、オイルの吸着に使用します。 燃料またはオイル吸着用のものが使用可能です。 ・駆動用バッテリーの電解液には可燃性の「リチウム塩を含む炭酸エステル 溶液」を使用しています。 ・電解液を吸着した吸着マット及び砂はビニール袋等に入れ、産業廃棄物 として自治体などの規則に従い適切に処理して下さい。 5)消火器 油火災(ガソリン、石油、油などによる火災)、電気火災(電気配線、電気機器などに よる火災)の両方に有効な消火器を使用します。 6)絶縁用ビニールテープ 破損した配線の絶縁および工具の絶縁に使用します。 (2)水没車両の駆動用バッテリーへの注水処置に必要なもの 1)MB992947:RUBBER,DRAIN PLUG シリコンゴムシート : 70×70×3mm 程度の大きさです。 ドレインプラグの閉塞に使用します。 2)MB992946:COVER,DRAIN PLUG シリコンゴムシートの受け台に使用します。 3)レンチなど(サイズ:12mm) 駆動用バッテリー内の水を排水する際に、ワークホールリッドを外す作業に使用 します。 (3)事故現場での安全対策 車体または車体と接触しているものに触れる場合や触れる可能性があると きは、必ず絶縁手袋や絶縁ゴム底安全靴などの絶縁保護具(耐電圧 400V 以上)を着用してください。 1)作業を行う際は、必ず絶縁保護具を着用してください。 2)露出しているオレンジ色被覆の高電圧配線(切断または被覆破れ)には、絶対に直接 触れないでください。 3)駆動用バッテリーから電解液が漏れていないか確認します。 (電解液の特徴は無色透明でかすかに甘い香りがし、粘度は水と同程度。) 電解液の漏れがある場合、酸性の蒸気が発生する危険があるため有機ガス用 マスク・耐溶剤性の手袋・保護メガネを着用し、吸着マットまたは砂に電解液を吸着 させて処置を行ってください。 なお、電解液は可燃性であるため火気には十分注意してください。 ・電解液が漏れている場合は有機ガス用マスク・耐溶剤性の手袋・保護メガ ネを着用して下さい。 ・駆動用バッテリーの電解液には可燃性の「リチウム塩を含む炭酸エステル 溶液」を使用しています。 ・電解液が直接皮膚に触れた場合は、直ちに水で洗い流してください。 ・万が一、電解液が目に入ったときには、目をこすらず直ちに大量の水で 洗い流したのち、専門医の診断を受けてください。また、電解液の蒸気を 吸い込み気分が悪くなった場合でも、空気の新鮮な場所で安静にし、専門 医の診断を受けてください。 4)高電圧系部品や配線に損傷の恐れがある場合は、5-(3)項の「高電圧を遮断する時 間があり、車両の切断などを必要とする場合」の要領に従って可能な限り高電圧を 遮断してください。 なお、高電圧系部品や配線の位置は 2-(1)・(2)項を参照してください。 事故処理後の車両保管などで関係者が車両から離れる場合には、周囲の 人に注意を喚起するため「高電圧作業中!! 危険!触るな!」などの 表示を行ってください。 (表示については本マニュアル巻末の「高電圧作業中!!危険!触るな!」 の表示をプリントアウトして使ってください。) 参考)車両に使用されている液体類 使用部位 名称 色 エンジン~燃料タンク ガソリン 薄いオレンジ エンジン エンジンオイル 茶褐色 モーター&ジェネレータ CVT フルード 青緑 トランスアクスル (トランスミッション) ATF 赤 冷却水 クーラント 青緑 ヒーター液 クーラント 青緑 ブレーキ ブレーキフルード 無色透明 駆動用バッテリー 電解液 無色透明 補機用バッテリー(12V) 電解液 無色透明 駆動用バッテリーの電解液には可燃性の「リチウム塩を含む炭酸エステル 溶液」を使用しています。 (4)事故現場での初期確認事項 事故車両は 三菱自動車工業製ですか? いいえ その車両の製造メーカーの 対応要領に従って処置を行って ください。 はい 事故車両はハイブリッド車両(*) または EV の可能性があります か? (* ハイブリッド車両:エンジン および駆動用のモーターと バッテリーを搭載した車両) いいえ エンジン車であれば従来と同様 の処置を行ってください。 はい 事故車両は三菱「アウトランダ ーPHEV」ですか? [見分け方は本書 3 項の「車両 外観の特徴」を参照願います] いいえ 対象車両の緊急時対応マニュ アルを確認し、そのマニュアル の指示に従ってください。 はい 安全のために ・絶縁保護具を着用する ・ハイブリッド車であることを示すための表示を見やすい位置に掲示する。 (表示は本マニュアル巻末のアウトランダーPHEV レスキューマニュアルに付属の 「高電圧作業中」!危険!触るな!」の表示をプリントアウトして使用する) ・事故車両がハイブリッド車であることを、周辺の関係者全員に伝えてください。 車両内に乗員は残っていない か? 残っていない=> はい 残っている => いいえ はい 本マニュアルの 「6. 事故車取扱いのポイント」に 沿って処置を行う。 いいえ 本マニュアルの 「5. 乗員救助時の取扱いポイン ト」に沿って乗員を救助 5.乗員救助時の取扱いポイント 取扱いを誤ると乗員・救助者ともに感電などの重大な傷害を受ける恐れがあります。 高電圧の配線や部品には触れないようにし、必要に応じて高電圧回路の遮断作業を行ってくだ さい。 車体または車体と接触している物に触れる場合や接触の可能性があるとき は、必ず絶縁手袋や絶縁ゴム底安全靴等の絶縁保護具(耐電圧 400V 以上) を着用してください。 (1)準備 ・車両には必ず側面から接近し、車両の前後方向には立ち入らないでください。 EV 走行モード時はエンジン音がしないため、車外から車両が走行可能状態(起動中) か判断が困難です。 ・KOS キー(キーレスオペレーションキー)を必ず被救助者から受け取ってください(手に 入れてください)。 KOS キーは被救助者が身につけている場合があります。 KOS キーが無い場合、車両の移動等に支障をきたす恐れがあります。 ・非常点滅灯などを使用し、周囲に異常があることを知らせてください。 ・作業中の意図しないスイッチ操作(パワースイッチへの接触など)によるシステム起動 や事故などの影響による予期しないシステム起動の可能性を低減させるため、必ず KOS キーは車両から離れた場所(車外)に保管してください。 ・補機用バッテリー(12V)のマイナス端子を取外してから作業して下さい。 三菱リモートコントロール装着車においては、システム(補機用バッテリー (12V)充電機能、プレ空調機能)が予期しない時に起動し、高電圧が作動する 恐れがあるため、補機用バッテリー(12V)のマイナス端子の取り外しを確実に 実施して下さい。 ・補機用バッテリー(12V)充電機能、プレ空調機能が作動している場合でも、フードまた は、ドア、テールゲートを開けると、その間は作動を停止します。 ・電動パーキングロックを作動(電動パーキングスイッチ:ON またはパワースイッチ: OFF)させ、輪留めや駐車ブレーキを使用し必ず車両が動かない状態にしてください。 補機用バッテリー(12V)のマイナス端子を取外すと、テールゲートは再度開 けることができなくなります。 作業要領ケース分けフローチャート START 車体の切断が必要か? いいえ はい パワースイッチを「OFF」に 出来るか? はい Case-A1 へ いいえ 高電圧遮断を実施する時間(約 10 分)があるか? いいえ Case-A3 へ いいえ Case-A3 へ はい パワースイッチを「OFF」に出来るか?または 「パワーコントロールユニット」ヒューズを抜けるか? はい 「サービスプラグ」を抜けるか? はい Case-A2 へ いいえ Case-A3 へ (2)Case-A1: 高電圧配線や車体の切断などを必要としない場合 オレンジ色被覆の高電圧配線は高電圧の配線です。 高電圧配線が露出していない事を確認した後、パワースイッチを OFF にし乗員救助 作業を開始してください。 なお、ガラス・ドアの取外しが必要な場合は、通常の車両と同様の作業で取り外して ください。 ①運転席のパワースイッチを押し OFF にする パワースイッチ内のインジケーター、及びメーター内の READY(走行可能)表示灯 が消灯していることを確認してください。 オレンジ色被覆の高電圧配線が露出していた場合は、Case-A2 を参照し 必要な対応を実施してください。 車体の切断などが必要な場合は、Case-A2 や Case-A3 を参照し必要な 対応を実施してください。 (3)Case-A2: 高電圧を遮断する時間(作業時間約 10 分)があり、車両の切断などを必要とする場合、 もしくはオレンジ色被覆の高電圧配線が露出している場合 1)以下の2種類の作業のいずれかを実施してください。 (駆動用バッテリーより供給される高電圧を遮断します) ①運転席のパワースイッチを押し OFF にする パワースイッチ内のインジケーター、及びメーター内の READY(走行可能)表示灯 が消灯していることを確認してください。 ②エンジンルーム内のヒューズボックスより「パワーユニットコントロール」ヒューズ (10A、下図 F7 番)を取り外す。 なお、ヒューズの位置が判らない場合は、すべてのヒューズ、リレーを取り外してくだ さい。 2) 1)の作業後、1分以上経過した事を確認してからつぎの作業をおこなってください。 この間にハイブリッドシステムの停止が行われます。 SRS-ECU 内のコンデンサーはエアバッグを展開させるため、必要な電圧を 約 1 分間保持しています。この時間を待たずに作業を行うとエアバッグの 展開により重大な傷害を引き起こす事があります。 3) 補機用バッテリー(12V)のマイナス端子を切り離してください。 (SRS エアバッグシステムへの電源供給を遮断します。) ・補機用バッテリー(12V)のマイナス端子の外し方 以下の手順で 10mm のスパナ等を使用して補機用バッテリー(12V)のマイナス 端子を外し、外したマイナス端子をビニールテープで絶縁してください。 補機用バッテリー(12V)のマイナス端子を外すことで、SRS エアバッグシステムの 回路を遮断します。 ①リヤキャビン内のラゲッジフロアボックスのストラップを持ち上げる。 ②補機用バッテリー(12V)サービスリッドを取り外す。 ③補機用バッテリー(12V)のマイナス端子を切り離す。 4) 3)の作業後、5 分以上経過した事を確認してからつぎの作業をおこなってください。 5 分間は高電圧が蓄積されている部品や配線があります。 高電圧部品や配線を切断する場合は、車体切断時の注意事項を参照し、 サービスプラグを取り外した後に作業を開始してください。 5) 絶縁保護具を着用後にサービスプラグを取り外してください。 (駆動用バッテリー内の高電圧回路を遮断します) サービスプラグを抜き取る際は、必ず絶縁保護具を着用してください。 ・サービスプラグの抜き方 絶縁保護具を着用し、以下の手順でサービスプラグを取り外してください。 サービスプラグを抜き取ることで、駆動用バッテリー内の高電圧回路を遮断します。 ①2席中央足元のサービスリッドカバーを外す。(クリップ×4個) 10mm のスパナ等を使用してサービスリッドを外す。(ナット×4 個) ② 絶縁保護具の着用を確認し、サービスプラグを取り外す。 ・サービスプラグのレバーロックを解除する。 ・サービスプラグのレバーを起す。 ・サービスプラグを上方に引き抜いて取り外す。 6)車体切断作業を開始してください。 ・下図を参考に駆動用バッテリー以外の場所を切断してください。 着色部が駆動用バッテリー 車両前方 下面視 ・上記以外の方法でサービスプラグを取り外さないでください。 サービスプラグの端子がショートし飛散することで作業者が火傷などの 重大な傷害を受ける恐れがあります。 ・取り外したサービスプラグは、他の作業者が誤って接続する事がないよ う取り外した作業者が保管してください。 ・駆動用バッテリーは絶対に切断しないでください。 ・火花による引火等により、作業者、乗員に重大な傷害を及ぼすおそれ があるので、油圧カッターなどの火花の飛ばない適切な機器を使用し て、車両を切断してください。 (4)Case-A3: 高電圧を遮断する時間がなく、車体の切断などを必要とする場合、もしくはオレンジ色 被覆の高電圧配線が露出している場合 ・事前確認 「2. 高電圧機器配置図」およびこのページを確認した後に車体切断作業を開始してく ださい。 乗員・救助者に重大な傷害を及ぼす恐れがありますので、車体切断の際は 油圧カッターなどの火花の飛ばない適切な切断機器を使用してください。 なお、部品を外す際には下記の項目で示した部位および露出したオレンジ色 被覆の高電圧配線には触れないよう十分に注意して作業を行ってください。 ・車体切断時の注意事項 駆動用バッテリーは絶対に切断しないでください。 高電圧による感電の恐れがある箇所 高電圧による感電の恐れがあるため、高電圧コンポ・配線のある部位は 切断不可。 カーテンエアバッグが展開する恐れがある箇所 カーテンエアバッグ展開用高圧ガスを発生させる装備がある為、切断不可。 但し、カーテンエアバッグが展開していれば切断可。 エアバッグが展開する恐れがある箇所 配線ショート、衝撃によりエアバッグが展開する恐れがあるため、切断不可。 ただし、エアバッグがすでに展開している、もしくは IG OFF 後か補機用バッテリー (12V)のマイナス端子を切り離し後、1 分以上経過していれば切断可。 車両前方 下面視 6.事故車取扱いのポイント 車両火災の場合 Case-B1 車両が水没している場合 Case-B2 横転した車両を起こす場合 Case-B3 (1)Case-B1: 車両火災の場合 車両火災が発生しているときは、直ちに消防への連絡を行い、可能であれば初期消火 を行ってください。 取扱いを誤ると感電など重大な傷害を受ける恐れがありますので、 十分注意してください。 1) 駆動用バッテリーは、万が一破損しても大量に電解液が外部に流出 しない構造となっています。 2) 駆動用バッテリーの電解液には可燃性の「リチウム塩を含む炭酸 エステル溶液」を使用しています。 この電解液は、空気中の水分と反応すると人体に有害な酸性の蒸気 を発生します。 よって、電解液を取り扱う際には有機ガス用マスク・耐溶剤性の 手袋・保護メガネを使用し、十分注意してください。 1)初期消火の方法 海水や塩分を含んだ水は絶対に使用しないでください。 ①消火器での消火 使用する消火器は、油火災(ガソリン、石油、油などによる火災)、電気火災(電気 配線、電気機器などによる火災)の両方に有効な消火器を使用してください。 ②水での消火 塩分を含まない水(水道水、井戸水、池の水など)を使用し、少量の水での消火 作業は危険なので絶対に行わないでください。 消火栓などから大量の放水が可能な場合のみ水での消火を行い、それ以外の 場合は消防隊が到着するまで安全な場所に退避してください。 (2)Case-B2: 車両が水没している場合 車両水没時は、駆動用バッテリーへの浸水の可能性があるため以下の要領で処置を 行ってください。 1)作業要領 ①救助作業 車両に損傷がないか確認します。 車両の損傷が激しく、駆動用バッテリーが変形・破損または内部が露出している 場合や損傷状態が把握できない場合は、絶縁保護具を着用のうえ、駆動用 バッテリーに触れないように注意しながら救助作業を行ってください。 ②救助作業後の処置 駆動用バッテリー内に水(水道水、井戸水、池の水等の塩分を含まないもの)を 注入し放電処置してください。 駆動用バッテリーから出た排水は産業廃棄物として自治体などの規則に従い 適切に処理して下さい。 尚、排水は P、Li 等の金属を微量(1~数 ppm)に含む水溶液のため、産業廃棄 物処理業者に伝え確実な処理を依頼して下さい。 ・海水(塩分を含んだ水)は絶対に注入しないでください。 塩分による急激な電気分解で大量の水素が発生し、引火の可能性があり ます。 ・駆動用バッテリー内に海水が入った場合は勢いよく水を注入し、駆動用 バッテリー内の水の入れ替えを行なってください。 ・水を注入した後、約 84 時間は駆動用バッテリー内で水が電気分解され 水素が発生します。引火の可能性があるので車両保管時は、換気の良い 屋外に車両を保管することと、車室内に水素が充満する可能性があるた め、窓やドアを開放してください。 ・放電処置が完了するまでは発煙及び発火する恐れがありますので注意 して下さい。 2)駆動用バッテリーへの水の注入方法 駆動用バッテリーの損傷等により、駆動用バッテリー内への注水処理ができない 場合には、近郊の三菱自動車特約販売会社へ処置方法を確認願います。 ①2 席中央足元のサービスリッドカバーを外す。(クリップ×4 個) ②サービスリッドのプラグを外す。 ③サービスリッドのプラグ開口部から、駆動用バッテリー内に水(水道水、井戸水、 池の水等の塩分を含まないもの)を満水まで注入後、3L/min の流量で 30 分間流 し続け内部の不純物を排出する。 駆動用バッテリー下面のドレインプラグから、注入した水が排水されるため、容 器で回収する。 (下図のようにドレインプラグはバッテリープロテクターに覆われているため直視 はできません) 車両前方 下面視 駆動用バッテリーから排出された水は産業廃棄物として自治体などの規則に 従い適切に処理すること。 尚、排水は P、Li 等の金属を微量(1~数 ppm)に含む水溶液のため、産業廃棄 物処理業者に伝え確実な処理を依頼して下さい。 ④30 分間の注水後、ドレインプラグからの排水が止まるまで(20 分程度)待つ。 ⑤車両をリフトアップしレンチ(12mm)等を使用して、バッテリープロテクターを取外 す。 ⑥換気の良い屋外に車両を移動する。 ⑦ドレインプラグ下面に、MB992947:RUBBER,DRAIN PLUG、MB992946: COVER,DRAIN PLUG の順にセットし、車載ジャッキなどで工具を保持する。 MB992947:RUBBER,DRAIN PLUG MB992946:COVER,DRAIN PLUG 参考)MB992947:RUBBER,DRAIN PLUG シリコンゴムシート : 70×70×3mm 程度 MB992946:COVER,DRAIN PLUG シリコンゴムシートの受け台 ドレインプラグ MB992947:RUBBER,DRAIN PLUG MB992946:COVER,DRAIN PLUG 車載ジャッキ ⑧ サービスリッドのプラグ開口部から、駆動用バッテリー内に水(水道水、井戸水、 池の水等の塩分を含まないもの)をあふれるまで注入する。 ⑨ 水を注入した後、満水状態を保ちながら約 84 時間(3.5 日)以上放置する。その間 はバッテリー内で水が電気分解され水素が発生するため、窓・ドア・テールゲー トをすべて開け換気の良い屋外に車両を保管する。 ⑩ ドレインプラグ下面に設置した特殊工具を取外し、ドレインプラグからの排水が 止まるまで待つ。 水を排出する際はドレインプラグ下に容器をセットし、排出する水を回収する。 駆動用バッテリーに追加で注水のための穴を開けないでください。 感電など重大な障害を受ける恐れがあります。 3)注入した水の排水方法 駆動用バッテリー下部のワークホールリッドをレンチ(12mm)等を使用して取外し、 駆動用バッテリー内の水を排水してください。 ・駆動用バッテリー内の排水は、必ず指定の方法(ワークホールリッドの取り外し) で行ってください。 ・駆動用バッテリーから出た排水は産業廃棄物として自治体などの規則に従い 適切に処理して下さい。尚、排水は P、Li 等の金属を微量(1~数 ppm)に含む 水溶液のため、産業廃棄物処理業者に伝え確実な処理を依頼して下さい。 駆動用バッテリーワークホールリッド位置: 駆動用バッテリーは 2 種類の仕様があります。 A タイプ(普通充電) 車両前方 下面視 B タイプ(急速充電) 車両前方 下面視 ワークホールリッドの取外し。 ①アースブラケット取外し。 ②ワークホールリッド取外し。 アースブラケット ワークホールリッド 駆動用バッテリーから排出された水は産業廃棄物として自治体などの規則に 従い適切に処理して下さい。尚、排水は P、Li 等の金属を微量(1~数 ppm)に含 む水溶液のため、産業廃棄物処理業者に伝え確実な処理を依頼して下さい。 (3)Case-B3: 横転している車両を起こす場合 車両下部に駆動用バッテリーを搭載しているため、横転した車両を起こす場合は地面に 突起物などがないことを十分に確認し、ゆっくり起こしてください。 燃料が漏れている場合は、通常のガソリン車と同様の処置を行って下さい。 地面の突起物などにより駆動用バッテリーが損傷した場合、電解液漏れや感 電の危険があります。 着色部が駆動用バッテリー 車両前方 下面視 7.車両諸元および事故車両の移動・運搬時の注意 (1)車両諸元 全長 4,695mm 全幅 1,800mm 全高 1,710mm ホイールベース 2,670mm 最低地上高 190mm 車両重量 1,880kg (2)自走での移動 以下の 4 項目を全て満足し、走行に支障がないと判断できる場合のみ、自走での移動が 可能です。 ・高電圧系部品や配線に損傷がない。 ・エンジン、モーター(パワーユニット)、トランスアクスル(トランスミッション)、ブレーキ、 サスペンション、タイヤなどに損傷がない。 ・燃料、油、冷却水などの液漏れがない。 ・ブレーキを踏みながらパワースイッチを押すと、READY(走行可能)表示灯が表示され る。 なお、自走中に READY(走行可能)表示灯が消灯したり警告灯が点灯した場合や、 異音・異臭・強い振動などの異常を感じた場合は次の処置を行ってください。 サービスプラグは、必ず絶縁保護具を着用の上抜いてください。 1)安全な場所に停車する。 2)P レンジかつ、駐車ブレーキをかける。 3)パワースイッチを OFF にする。 4)1 分以上放置し補機用バッテリー(12V)のマイナス端子を切り離す。 5)5 分以上放置下した後、絶縁保護具を着用しサービスプラグを取り外す。 (3)事故車両の運搬 レッカー車での運搬 事故などで車体や足回りに損傷を受けた車両をレッカー車などで運搬する場合は、必ず 4 輪すべて持ち上げた状態で運搬してください。 ・感電など重大な傷害を受ける恐れがありますので、オレンジ色被覆の高電圧 配線および高電圧コンポに触れないでください。 ・やむを得ず露出したオレンジ色被覆の高電圧配線および高電圧コンポに触 れる場合または、触れる恐れのある場合は、必ず絶縁保護具を着用してくだ さい。 ・事故車両の運搬時は、5 項-(3)Case-A2 の処置(サービスプラグの取外し) を行ってからレッカー車で運搬してください。 ・車輪が接地した状態で車両の移動を行なうとモーター(パワーユニット)が回 転し発電するため、車両の破損状態によっては漏電による火災の恐れがあ ります。 ・水没後や駆動用バッテリーに大きな損傷(変形や穴あき)がある場合、時間 経過後、発煙及び発火する恐れがある為、車両保管時は他の車両や建物 から 15 メートル以上離して保管して下さい。 ・補機用バッテリー(12V)の容量が低下している場合、または補機用バッテリ ーのマイナス端子を切り離した状態では、P レンジから切り替りません。 運搬方法 ○ 4 輪を持ち上げる 4 輪を持ち上げる × 前輪または後輪を持ち上げる × 前輪を吊り上げる 注意事項および条件 ・P レンジかつ、駐車ブレーキをかけてください。 ・駆動系やサスペンションなどに異常がある場合、 後輪または前輪だけを台車に乗せて、けん引 しないでください。 ・P レンジかつ、駐車ブレーキをかけてください。 ・車輪が接地した状態での車両移動はやめてくださ い。モーター(パワーユニット)が回転し発電する ため、車両の破損状態によっては漏電による火 災の恐れがあります。 ・車体吊り上げ式のレッカー車でけん引しないでく ださい。バンパーや車体が破損する恐れがありま す。 ・図は車載の一例を示します。 ・積車時は、車両を損傷させないよう十分注意してください。 (4)けん引ロープでの移動 燃料切れなど自走出来ない非常時に限り、レッカー車までの移動など、やむを得ず けん引ロープで移動する場合は、セレクターレバーを”N(ニュートラル)”位置にし、 30km/h 以下の速度で、極短距離にとどめて下さい。 ・車輪が接地した状態で車両の移動を行なうとモーター(パワーユニット)が回転し発電 するため、車両の破損状態によっては、漏電による火災の恐れがあります。 ・衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)およびレーダークルーズコントロールシステム (ACC)が装備されている場合は、けん引中に衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM),レ ーダークルーズコントロールシステム(ACC)が作動する場合がありますので、けん引時 にハイブリッドシステムを起動したときは、必ず衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM), レーダークルーズコントロールシステム(ACC)の各システムを OFF にしてください。 ・衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)の OFF 方法 仕様:パワースイッチの電源モードを ON の位置にした時は、FCM は ON の状態です。 ON/OFF 状態はマルチインフォメーションディスプレイ内の FCM OFF インジケーターで 確認が可能です。 (FCM OFF を示すインジケーターが点灯している時は、FCM が OFF の状態です) 手順:FCM が ON の状態で、FCM OFF スイッチをブザー音が鳴るまで押し続けてください。 注意:FCM を OFF の状態にしても、次回パワースイッチの電源モードを ON の位置にした 際は、FCM は ON の状態となりますので、けん引する時には再度 OFF にしてください。 ※FCM の操作は誤発進抑制機能(UMS)も兼ねていますので、上記 FCM の OFF 方法で UMS も同時に OFF になります。 ・レーダークルーズコントロールシステム(ACC)の OFF 方法 仕様:パワースイッチの電源モードを ON の位置にした時は、レーダークルーズコントロール システム(ACC)は OFF の状態です。 レーダークルーズコントロールシステム(ACC)の ON/OFF 状態はマルチインフォメー ションディスプレイ内の ACC インジケーターで確認が可能です。 (ACC インジケーターが点灯している時は、レーダークルーズコントロールシステム (ACC)が ON の状態です) 手順:レーダークルーズコントロールシステム(ACC)が ON の状態で ACC ON/OFF スイッチを 押し OFF にする。 ・けん引時は、車両を損傷させないよう十分注意してください。 ・けん引途中で異音、異臭、強い振動など異常を感じた場合は、直ちにけん引 を中止してください。 ①けん引ロープをけん引フックにかけます。 ②けん引ロープには、30cm 平方(タテ・ヨコ 30cm)以上の白い布を必ず付けてください。 ・図は、けん引の一例を示します。 ③移動の際、ハイブリッドシステムは起動させておいてください。 ハイブリッドシステムが起動しないときは、パワースイッチを ON にしてください。 ・ハイブリッドシステムが停止しているとブレーキの効きが非常に悪くなります。 またハンドル操作が非常に重くなります。 ・パワースイッチを ON 位置にしてけん引すると、けん引中に補機用バッテリー (12V)が上がることがあります。この場合、ブレーキの効きが非常に悪くなり、 ハンドル操作も非常に重たくなるため、事故につながる恐れがあります。 ・パワースイッチが OFF または ACC 位置では、P レンジから切り替りません。 ・補機用バッテリー(12V)の容量が低下している場合、または補機用バッテリ ーのマイナス端子を切り離した状態では、P レンジから切り替りません。 ・けん引される車両は、けん引車のブレーキランプに注意して、常にけん引ロー プをたるませないようにしてください。 ④セレクターレバーを"N(ニュートラル)"位置にしてください。 ⑤車両を移動させる際は非常点滅灯を点滅するなど、周辺車両に注意を促してくだ さい。 けん引フックやけん引ロープに大きな衝撃が加わるような運転は避けてくださ い。けん引フックやけん引ロープが破損する恐れがあります。万一の場合、その 破片が周囲の人などに当たり重大な傷害をおよぼす恐れがあります。 Note *点線を山折にして、作業中の車両の見やすい位置に掲示してください。