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支援環境開発のための方法と ソーシャルワークの役割

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支援環境開発のための方法と ソーシャルワークの役割
支援環境開発論(精神保健福祉論Ⅲ)15
支援環境開発のための方法と
ソーシャルワークの役割
精神保健福祉学分野 大島 巌
2007.7.20
きょうの到達目標
z
支援環境開発とソーシャルワークの関係を説明できる
z
支援環境開発における障害者運動・セルフヘルプグ
ループの意義を説明できる
z
支援環境開発のために、当事者の方々や、当事者団体
と、どのようにパートナーシップを築いていったら良いの
かを自分なりに考える
z
支援環境開発のために、福祉実践の国際的な連携と協
働の必要性について理解する
1
「支援環境開発論」で取り上げてきた
援助プログラム
【脱施設化/包括的生活支援】
z
z
直接対人ケアサービスが伴うケアマネジメント
退院促進支援事業
包括型ケアマネジメントACT (Assertive Community Treatment)
z
【住居プログラム/家族支援】
z
援助付き住居プログラム(「まずは住居を」プログラム)
家族心理教育プログラム
z
【就労支援プログラム】
z 援助付き雇用プログラムIPS (Individual Placement and Support)
【ケアとサポートプログラム、他】
z
z
z
z
z
ピアサポート、当事者サービス提供者、セルフヘルプグループ
ストレングスモデル・ケアマネジメント
ホームヘルプサービス
疾病管理とリカバリープログラムIMR (Illness Management & Recovery)
その他
精神保健福祉における
ソーシャルワークの援助目標【総論の再掲】
z
【目標1】公私の社会資源・援助プログラムを活用・開
発(今回追加)して、精神障害をもつ人たちの当たり前の
地域生活を実現し、その生活を支援して自立的で質
の高い生活を具現し、それを維持すること
z
【目標2】精神障害をもつ人たちに働きかけ、その長所
(ストレングス)を最大限に伸ばし、エンパワメントを
促進して、そのリカバリーを実現すること
z
【目標3】国民や社会に働きかけて、精神障害をもつ
人たちやその施策への理解を促し、彼らの人権を擁
護(アドボカシー)するとともに、公私の支援環境を開
発すること
2
国民・社会
への働きかけ
ソーシャル
ワーカー
社会資源・
プログラムの
利用・援助
精神障害者への
理解・施策へ
の理解
エンパワーメント・
リカバリーを目標に
した援助・介入
国民・社会へ
の働きかけ
国民の理解
と参加
公私の社会資源・
援助プログラム
社会資源への
働きかけ
精神障害を
もつ人本人
図 精神保健福祉におけるソーシャルワークの援助・介入【総論の再掲】
援助目標1を実現するための
「支援環境開発」の方法は?
„
精神障害をもつ人たちのニーズ状況を科学的に明らかにして、必要な
個別援助プログラムを整備する
„
精神障害をもつ人たちに有効性が明らかにされている新しい援助プロ
グラムを積極的に導入する
„
公私の社会資源形成と発展に関わる援助プログラム(ケアマネジメント
等)を活用する
„
精神障害をもつ人たちの長所(ストレングス)を最大限に伸ばし、エンパ
ワメントを促進してそのリカバリーを実現するよう援助する【目標2関連】
„
国民や社会に働きかけて、精神障害をもつ人たちやその施策への理解
を促し、彼らの人権を擁護するとともに、公私の支援環境を開発する
【目標3関連】
3
援助目標2「ストレングス、リカバリー、
エンパワーメントの促進」に関連する課題
z
精神障害をもつ人や、周囲の人たち・周囲の環境の良いと
ころ、長所(ストレングス)に目を向け、そのストレングスを伸
ばす援助を行う
z
精神障害をもつ人たちの回復を信じ、その人が希望する人
生の回復(リカバリー)を実現する支援を行う
z
その人の生活目標について話し合い、目標達成のための動
機付けに関する支援を行う
„
その人の力量の回復・形成・増強(エンパワーメント)を支援
し、社会の改革を個人レベル、政治レベルで実現できるよう
援助する
„
当事者同士の相互支援機能に注目した援助を行う
„
当事者運動の支援に注目した援助を行う
援助目標3「国民・社会への働きかけ」
に関連する課題
„ 日常的なアドボカシー(権利擁護)活動
„ 障害者運動への支援と連携
„ 住民運動への支援と連携
„ 科学的根拠に基づくソーシャルワークの推進
„ 福祉実践の国際的な連携と協働
4
支援環境開発の事例としての
「小規模作業所づくり運動」の沿革
z
「小規模障害者施設」の登場:
1952年全日本精神薄弱者育成会の結成総会資料に「小規模障害
者施設」が明記される
z
組織的な運動
z
z
z
z
z
z
z
1969年 ゆたか共同作業所(名古屋)
1970年代 知的障害領域で全国規模の設置運動
1977年 共同作業所全国連絡会(きょうされん)結成
1980年代 精神障害者領域で全国規模の設置運動
全国精神障害者家族会連合会による全国的な作業所づくり運動
1970~80年代 各都道府県で小規模作業所の補助金制度がで
きる
1987年 国レベルで小規模作業所に対する補助金
1987年精神保健法改正、社会復帰施設設立の基盤となる
精神障害をもつ人たちのための
小規模作業所の発展
施設数
1800
1500
1200
900
600
300
0
74
76
78
80
82
84
86
88
90
92
94
96
98
00
02
04
年
5
小規模作業所が急増した背景
z
成人期障害者に対する、現行の社会福祉施設・職業リ
ハビリテーション施策の立ち後れ
z
知的障害領域では、養護学校義務制(1979年)に伴う高等部卒
業生の重度化に対応する対策の遅れ
z
精神障害領域では、地域ケア施策自体の遅れ
z
障害をもつ人本人・家族の意識の変化
z
親の会、家族会運動とともに発展、運動の成果
z
地方自治体による公的補助金制度の拡充
z
法定外事業であるために開設に際して特別な基準がな
く、比較的容易に設置が可能
全日本手をつなぐ育成会の運動の成果
z
1952年発足、1955年社団法人
z
正会員140,964人(「親・保護者」137,117人、「本人」は1,870人)
z
1960年、知的障害者福祉法
z
1970-80年代、小規模作業所づくり運動
z
1980-90年代、グループホームづくり運動
z
呼称改正:「精神薄弱」⇒「知的障害」
z
本人活動の支援、支援者(ファシリテーター)を養成
(ピープルファースト運動)
6
全国精神障害者家族会連合会(全家連)
の運動の成果
z
z
z
z
z
z
z
z
z
1965年発足、1967年財団法人、1994年精神保健福祉法による
「精神障害者社会復帰促進センター」の指定
約1600の家族会、会員120,000人
1980-90年代、小規模作業所づくり運動
1995年、精神保健福祉法の制定への働きかけ
1980-90年代、制度・施策提案運動
1999年、精神保健福祉法改正でホームヘルプサービスの導入を
実現
2002年、呼称改正の実現:「精神分裂病」⇒「統合失調症」
1993年、全国精神障害者団体連合会(全精連)の支援
2007年4月、解散
支援環境開発の事例としての
「日本の自立生活(IL)運動」
z1957年発足「青い芝の会」の運動(特に1960-70年代の運動)
z1986年、日本初の自立生活センター「ヒューマンケア協
会」の設立
z全国自立生活センター協議会(JIL)
z
z
自立生活センターの連絡、協議団体。自立生活センターの支
援を行う
自立生活プログラム、ピアカウンセリングの普及
z全国障害者介護保障協議会/障害者自立生活・介護制
度相談センター
z
z
24時間介護保障への情報提供、要求運動
「全身性障害者介護人派遣事業」
7
日本の障害者運動
障害者運動とは:
障害者の権利保障に向けて、障害者・家族・専門従事者・一般市民
によって行われる社会運動。運動の中心的担い手は障害者団体
z 障害者団体:
障害者本人が主な構成員である団体。広義には、障害者の親・兄
弟姉妹などの家族を主な構成員にする団体も含める
z 全国組織の障害者団体:120団体以上
z 障害横断的な団体:
z 日本障害者協議会(JD)
z 障害者インターナショナル(DPI)日本国委員会
z 全国身体障害者団体連合会(全身連)
z 障害者運動によるニードの表明
z ノーマライゼーション運動、自立生活運動、ピープル・ファースト
z →→セルフ・アドボカシー、ピア・アドボカシーの理念に基づく
z
障害をもつ人たちのリカバリー、
エンパワーメントを促進するプログラム
z
心理教育【専門職提供】
z
疾病管理とリカバリープログラム (Illness Management &
Recovery: IMR) 【専門職提供】
z
体系的な心理教育プログラム。リカバリーに基づく目標設定を
重視する。認知行動療法の手法も用いる。
z
「ピアからピアへ(Peer-to-Peer )」教育プログラム【ピア提供】
z
WRAP (Wellness, Recovery Action Plan ) 【ピア提供】
z
ピアからピアの形態で、5つのレベルの自分のアクション計画
を自分で作成するのを支援する(日常生活維持アクション計画、危
険因子アクション計画、早期注意サインアクション計画、状態悪化アクショ
ン計画、危機計画)
8
障害をもつ人たちが援助者になるプログラム
当事者運営サービス(Consumer Operated Services; COS)
サービスの計画、実施、運営管理、評価のすべてにわたって、当
事者が主体になって行うサービス
当事者パートナーシップ(Consumer Partnerships)
サービスは主に当事者によって提供される。サービスの運営管
理、予算は、非当事者と共同で行うサービス
従事者・スタッフとしての当事者(Consumers as employees)
サービスを提供する多職種チームの一員として、当事者スタッフ
が参加する
セルフヘルプグループ(Self-Help Groups)、ピアサポート活動
Thinking Timeです。
z
支援環境開発のために、障害をもつ人たちや当
事者団体と、どのようにパートナーシップを築い
ていったら良いのかを考えて見ましょう
9
福祉実践の国際的な連携と協働
z
z
z
z
z
z
z
z
z
クラーク報告(WHO報告、1968)→地域精神保健福祉への提言
「障害者の権利宣言」(1975)
国際障害者年(1981)運動、国連・障害者の十年(1983-1992)運動
国際障害者年日本推進協議会 (現日本障害者協議会(Japan
Council on Disability : JD))を発足
宇都宮病院事件に対する国際調査団(国際法律家協会ICJなど)
「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のた
めの諸原則」(国連原則, 1991)
世界精神保健連盟(WFMH)日本大会(1993)
2002-2007年、EBP実施・普及に関して、ソロモン教授、ハドレイ教
授、ボンド教授、ソーニクロフト教授、ミューザー教授の日本訪問
日本精神障害者リハビリテーション学会「アメリカ連邦政府EBPツー
ルキット翻訳プロジェクト」
Thinking Timeです。
z
支援環境開発に果たすソーシャルワーカーの役
割として、特に重要と思われることを1つ挙げて、
将来あなたが(社会福祉士・精神保健福祉士とし
て)どのようなことが出来そうであるか、あなたが
関心を持っている領域(たとえば○○障害の領
域)に当てはめて、簡潔に記してください。
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