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pdf版 - 花と山の会:イベント情報
(1) 花と山の会だより 「会報」No.27 2012 年 2 月 13 日 花と山の会 「会報」 No.27 代表者 :亀井 健一 編集発行 :事務局 <活動報告> 吾妻山自然観察会 2011年10月1日(土) すっかり秋の空になり巻雲がまぶしい青空の下、 会員19名が参加して桐生の吾妻山自然観察会を行いました。 吾妻公園から吾妻山山頂に登り、村松峠から下りるコースとしました。ノハラアザミやシロヤマギクなど秋の里 山の花々が楽しめました。 鈴ヶ岳自然観察会 2011年11月5日(土) 風もなく穏やかな天候に恵まれ、会員33名が参加して鈴ヶ岳自然観察会を行いました。紅葉は箕輪辺りまで 下りてしまい、木々は葉を落とし、すでに冬支度を始めていました。鍬柄山からの大沼の展望や鈴ヶ岳から日光 方面の展望を楽しむことができました。シロヤシオの大木が多く、6月の花の時期にまた来てみたい。 吾妻山観察会 大谷 春代 刷毛ではいたような白い雲が、抜けるような青い空に浮かぶ 10 月 1 日、桐生吾妻山に出かけました。男性 9 人、女性 10 人。 その中には小学校 3 年生の楓ちゃんもいます。 孟宗竹の葉やシュウカイドウのピンクの花を見ながら、吾妻 公園を抜けて登山口に入りました。透き通るような赤い実をつ けたコブシの木には、もう冬芽がふっくらとついています。も はやすっかり秋の気配かと思いきや、ふと気がつくと、ツクツ クボウシがひと夏の最後とばかり鳴いているのが耳に入りまし た。足もとには 2cm ほどの紫色をしたかわいい花。ゲンノショ ウコですが、なんと色鮮やかなこと。まるで違う花を見ている ようです。 登山者用陸橋を渡ると、まもなくゴツゴツした岩場になりま 吾妻山山頂で桐生市街を見下ろ した。 「近くの人が毎日登る里山のような山」と出発の時に聞い しながらランチタイム たはずなのに… と思いつつ、必死で前の人についていくと、急 に視界が広がりトンビ岩に出ました。トンビ岩からは山あり川ありの桐生の美しい街並みが一望できます。きつい岩 場の苦労も忘れてしまうひと時でした。 ここから山頂まではもうひと息。コウヤボウキの 1 年目と 2 年目の葉の出方の違いを教えてもらったり、ノハラア ザミ、シロヤマギク、ヤブタバコ、ゴンズイの赤い実、ナンテンハギ、フタリシズカなども見ながら、山頂には 11 時 40 分に到着しました。 見晴らしのいい山頂にて、嬉しいランチタイムです。あっちが東京かな、大宮の方はここらへんか、千葉は?、楽 しい会話もごちそうの一部です。カラスザンショウの油点観察、青い実のついたアオツヅラフジの強靭なツル、満開 のセンボンヤリの美しさなど興味深い話題が次々と登場します。 昼食後は木製の急な階段を下り村松峠に出て、数日来の風で折れた枝や飛ばされた木の葉をよけながら、薄暗いス ギ林の中を下って行きました。時には道をふさぐほどの倒木もあったりして、足もとに気を配りながらの下り道でし た。 少し明るい所に出ると、カエデ、ヤマウルシ、アカメガシワが目につくようになり、色鮮やかなミズヒキ、ユウガ ギク、ノコンギク、ノブドウ、ヒヨドリバナ、アカマンマ、クコの花など、初秋の楚々とした花が目を楽しませてく (2) れます。人家のある道を抜けて、朝出発した光明寺の公園駐車場に、2 時 20 分無事到着しました。 まさに秋晴れのハイキング日和、天高く馬肥ゆる初秋の“花と山”の風情を満喫した楽しい一日でした。 (2) カナヘビとトカゲの話 亀井 健一 尾を失ったカナヘビ(自宅) トカゲの幼体(妙義山) 何年か前、あるお宅でトカゲの集団越冬が見つかっ たという上毛新聞の報道があった。早速そのお宅に伺 い、庭に積み上げられていたタタミをあげてみると、 多数のカナヘビが越冬していた。カナヘビをトカゲと 混同して報道していたのである。このように、多くの 人が両者を混同している。庭先にいるのはカナヘビが 多いため、見る機会が多く、カナヘビをトカゲと思っ ている人が多い。両種は同じ爬虫類だが別種であり、 それぞれ明瞭な特徴があり区別はそう難しくない。こ こに掲載した写真を見ても分かると思う。 成体(おとな)の背面を見ると、トカゲはよく磨い トカゲ(榛名山ユウスゲの道) た銅色で光沢があり輝いているが、カナヘビは光沢の ない褐色である。体色の違いと光沢の有無で区別がつく。 トカゲの幼体(子供)は尾が青色(コバルトブルー)だが、カナヘビの幼体は尾を含め背面全体が褐色であ り、青色の部分はない。これだけで幼体の区別は簡単である。体形をみると、カナヘビは尾が長くスマートで ある(尾は全長の 2/3 を占める) 。そんな姿からヘビにたとえて、この名がつけられた。カナはかわいらしさ を表す接頭語。かわいいヘビと言ったところである。カナヘビは身近な動物で噛まれても痛くないので、子供 の遊び相手になり、親しみを込めた地方名が多い。ベロちゃん、カガミッチョ、カナチョロ、チョロカゲなど 多数あるという。 我が家の庭にも多数のカナヘビがすんでいる。捕まえようと尾にふれたら、尾が切れて本体は逃げてしまっ じせつ た。切れた尾がちょろちょろ動いていた。これは自切と呼ばれる現象で、天敵に襲われたとき、身を守る工夫 である。自切はトカゲにも見られる。尾は再生するが、もとの尾に比べやや短い。 カナヘビはほぼ球形の白い卵を、落ち葉の下のくぼみや石の隙間などに産む。柔らかい卵である。これを探 しだし、ぶっつけ合って遊んだ「わるがき」の頃を思い出した。トカゲも白く柔らかい卵を産む。ヘビも同様 の卵を産む。 なお、学会が決めた標準和名は、それぞれニホントカゲ、ニホンカナヘビ(日本固有種)である。ニホント カゲはロシアの沿海地方にもいるらしく日本固有種ではない。 (3) 秋の鈴ヶ岳登山 中澤 光子 11 月 5 日(土)は風もなく、穏やかな天候に恵まれ、33 名の 仲間が気持ちよく新坂平登山口を出発した。 紅葉は、箕輪の辺りでは見頃だったが、山ではほとんどの木々 が葉を落とし、冬支度を始めている。その代り、赤城の山々の稜 線がとてもくっきりと見え、途中の登山道からは、榛名山、妙義 山をはじめ、たなびく雲の上には、アルプスの山々と富士山まで 眺めることができ、爽快な気分で登っていくことができた。 少し上り下りしながら鍬柄山までは 1 時間ほどで着き、休憩を とる。ここからの展望もよく、疲れを忘れる。木々の間から目指 す鈴ヶ岳が釣鐘を伏せたように見えた時「急な登りね!」とか 鍬柄山の登り 「またずいぶん下るのね。せっかく登ったのに、もったいないみ たい。 」などと聞こえてきた。私も同感。アップダウンの多い山ではいつもそう思う。 やや危険な石の道を下り、いよいよ鈴ヶ岳の急登にかかる。岩場では足を掛ける場所が悪く、自分の体を持 ち上げるのが大変なこともあり、岩場を 3 回ほど登ると汗が出て、上着を脱ぐ。軽々と登り下りするお子さん のことをうらやましいと何度思ったことか。1 時間ほどで山頂着。武尊、日光方面まで展望が広がる。おしゃ べりしながら昼食が楽しい。鈴ヶ岳の経験が何度目かになったので、前回よりは楽に登頂できたことが救いだ ったかなと自画自賛の私。 山に登っていつも思う。途中は苦しいけれど、山で出会う植物の魅力、山頂からの眺めの素晴らしさ、全身 を動かした後の心地よさ、そして、山仲間とのつながりの楽しさを味わえる。 だから山登りはやめられない。 フォレストリースクールに参加して 桜井 政司 平成23年11月9日(水)9:30~12:00 高崎市立新町第二小学校1年生(42名) 担当 (清水、高橋、小澤、桜井) テーマ 『木や木の実を生かした自然工作』 9:30 開始式につづき校庭内で木の実や木の枝をさがし、集めました。 (ドングリ、マツボックリ、カエデ、イチョウ、ナナカマドなどの実) 10:15 制作はじめ 自分で集めた素材で、見本も一切なく果たしてできるのか不安でした。 11:40 全員が苦労して作った作品の紹介がありました。 どの顔もできあがった自慢の作品に満足そうな笑顔で一杯でした。 心配していた不安も子供たちの感性、想像力、集中力は大人にまけない能力を持ち合わせていることを改め て実感しました。 この機会に、秋の自然の素晴らしさを知る事で自然を愛する心をより強く持ってもらえたら、これが私たち の活動の原点と思いました。 (4) 鳥3題 内田 昭彦 * 最近スズメが少なくなったと感じていますが、皆さん方のまわりではどうでしょうか。今年はさらに減 っているような感じがします。以前は朝目覚める時 スズメのさえずりが、うるさいくらい沢山いた。 さえずりが少なくなっても玄関の外灯の上に何羽かねぐらにしていたのも、今年は見えない。 稲刈り前の田圃に籾を食べに集まるスズメも年々数が減って、以前なら人が近寄れば、大きい羽音を 立てて飛び去ったが、今年はそんな風景が見られなかった。庭のヒマワリの種も例年なら熟した種を収 穫する頃には半分はスズメに食べられていたのが、今年は食べられた痕跡は無かった。 都市鳥研究家の唐沢孝一さんによると田圃は今コンバインで刈り取られ、落穂が殆ど無い。瓦下や他の 今まで巣を作っていた所も、巣作りが難しくなった等など、の原因でスズメが減っているそうです。 * キジバトもかつては毎年屋敷のどこかに巣を作っていた。何年か2階の戸袋の上に巣作りをしていて、 子育ての様子を観察していたが、ある朝バサバサと音が聞こえた。見上げると雛がアオダイショウに呑ま れていた。地面から雨樋を上って来たのだろうが、蛇の執念というか探知能力には驚かされた。 ある年は柿の木に巣作りをして雛が巣から出歩けるほどになり、巣立ちを楽しみにしていたが、地面か ら 2m ほどの高さにいた雛が私の目の前でネコに捕まってしまった。雛に気を取られ、ネコも狙っていた のを気付かなかった。ネコの素早さに感心させられるとともに、野生の一端を見せつけられた思いだった。 * オオタカ 何年か前 農業試験場の圃場の上でオオタカの狩りを見つけた。はじめは2、3羽の鳥が乱 舞しているのかと思って見ていたらやがて獲物を捕らえ、土手の草むらへ運んで解体を始めた。急いで家 から双眼鏡を持ってきて、飛び去るまでを観察できた。黄色い眼をらんらんと輝かせて、わき目もふらず に羽をむしり取り食べ始めたが、1/3 位食べたところで獲物をくわえて北西の方へ飛び去って行った。そ の頃九十九山で雛を育てているのを見ているので、そこまで持ち帰ったのかもしれない。オオタカの巣の 近くでは(九十九山と伊勢崎の御獄山) 、解体跡を見ているが、ここ桂萱では巣は見たことも聞いたこと も無かった。 * その他 我が家は 庭にブルーベリーがあり、10 年以上前から花の時期と熟す時期にはヒヨドリが食べ に来るので防鳥網をかけるが、今年は花の時には何回か追い払ったが、収穫期には食べているのは見られ なかった。柿も食べ跡がいくつかあった程度で済んだ。これから訪れるジョウビタキはすでに何回か見て いるが、 シジュウカラ ツグミ メジロ達だが、この冬はどうなる事か。 (写真は Yahoo! JAPAN 画像より) (5) 桧枝岐歌舞伎と登山の旅 荒木 勉 昨年の夏、千葉県の山仲間の誘いで二度目の桧枝岐歌 舞伎見学と会津駒ヶ岳登山の遅ればせながらのレポート である。 初日の 8 月 18 日(木) 中高年の男性 4 人衆は、東武 栃木駅で合流し、早速車内で二年ぶりの再会を冷えたビ ールで乾杯し、一路桧枝岐に向かう。会津高原駅でバス に乗り替え、予定より遅れて常宿の民宿「たきさわ」に 入る。 歌舞伎公演に合わせて、早めの夕食で 16 時、宿の食 事は今回も質・量ともに申し分なし。名物のおそばも美 味しかった。隣のテーブルには「がんばろう!相双」の T シャツを着た家族づれがいた。南相馬から来たそうで、 桧枝岐歌舞伎の公演の様子 話していると何度も原発が無かったらと口にしていた。 17 時過ぎ、会場の浅間神社へ。石で積んだ観覧席に 陣取る。この歌舞伎は三原田歌舞伎と趣も異なり、260 余年の伝統を受け継いだ、山里ゆえに昔ながらの古典 そのままの純粋性を伝えている素晴らしい歌舞伎である。 18 時に開演。まずはおきまりの三番叟のあと「南山義 民の碑 喜四郎子別れの段」という人情もので、舞台が 佳境にかかる頃、雨が降り出した。雷も加わり状況は悪 くなるばかり、たまらず席を立つ。宿「たきさわ」に戻 って、夜食を食べて就寝。 二日目(19 日(金))小雨まじりの思わしくない天候な 会津駒ヶ岳山頂にて ので、この日の登山は断念し、パスポートを利用し、 レンタサイクルで村内見学に変更する。まず最初に竜門の滝を見学し、木工芸術館へ。昔は林業で暮らした村、江戸 時代に木材の動きに目を光らす番所が設けられたという。続いて木工館の隣の「アルザ尾瀬の郷」で入浴。温水プー ルを備えた立派な施設である。ハコ物を造ったのはよいが、そのつけで財政逼迫とよくある話だが。ここ桧枝岐村は 「財政力指数」が全国市町村のベストテンに入るとか。人口 600 人ほど、尾瀬の玄関口という観光面のほか、電源開 発(水力)からの収入で賄われているのだと出会った村の長老から話を伺う。勿論行政手腕もあろうと思うが…。 昼食を併設された食堂ですませた後、村の中心部を通り過ぎ「ミニ尾瀬公園」へ。高齢者や足の悪い人にも尾瀬の 雰囲気を味わえるようになっていて、尾瀬に咲く花々が植えられ、木道、池塘、湿原等も再現されている素晴らしい 施設である。又、この奥にある美術館、資料館を見学し、帰路一番最初にできた共同浴場「燧の湯」に入浴。宿に戻 り明日の登山の本番に備えた。 三日目(20 日(土))くもり。まわりの山は見えないが、早目の朝食を終え、7 時に出発し駒ヶ岳登山道に向かう。 登り始めた頃、予想通り雨はやみ、霧につつまれた山が徐々に姿を現した。4 人共々元気に歩を進め、ガイドブック 4 時間を 3 時間半で山頂に到着。山頂からの名山「燧岳」を背景にはいポーズ!駒ヶ岳小屋から下に広がる湿原や池 塘、咲き乱れる花々をながめながらゆっくりと下山。宿の星ご夫妻に別れを告げバスを待った。 またいつの日か、歌舞伎公演に合わせて訪れたい。 (6) 植物の観察 Ⅰ 花について(その1) 関端 孝雄 1 花の形態と構造 生物は大きく5つに分類されていて、植物はその1つの「植物界」に属し、水界に戻っていった者を除き、皆 陸上生活者です。植物界はコケ植物、シダ植物と種子植物からなります。 「花」は、キクやバラ等の被子植物とマツやイチョウ等の裸子植物を合わせた種子植物の生殖器官です。い ろいろ形が異なっていても子孫を残すために必要な「種子」を作り出す仕組みがあります。古い型の植物から 花の構造を辿っていくと、 「葉」が少しずつ変形して花葉になっています。 一般に、花として最低限必要な部分を保持し、なるべくスリムに単純化した構造がより進化した花の姿だと みられています。一方、園芸植物の花には人為的に改良が加えられて、進化の方向とは逆に大きく華やかな構 造になっているものが多いです。花びらが大きくて数の多い、所謂八重咲きは「花しべ」が花弁に変化したも のです。その結果、種子を作れない花も出てくるのです。 それにしても生殖は生物にとって重要な行為なのに、植物はなんと他力本願なのでしょう。 「花粉」や「種 子」の運搬を昆虫や小鳥、風や水等に委ねているわけですから。しかし、受粉を例にとれば、受粉をさせても らう為に花は色々と工夫をしています。普通、虫媒花の花粉は大きく、表面に突起を着けたり、粘り気や模様 を巡らして形も複雑です。一方、風媒花は花粉が小さく、表面はさらっとしていて形も単純であり、かなり多 量に産出されるという特徴があります。 以下に示す花は、主に被子植物の双子葉類について記したものです。 (1)花のつくり 「花葉」は、花柄の先が広がって花杔(花床)となり、その上に萼片、花弁、雄しべ、雌しべの順に集合 したものです。 ① 「花しべ」 (花蕊)は雌しべ(雌 蕊)と雄しべ(雄蕊)の総称(図 1) a 「雌しべ」は、大胞子葉に当た り雌性の生殖器官で、花の中央に 位置します。 「子房」は、雌しべ の下部の膨らんだ部分で、内部に はいしゅ 「胚珠(大胞子嚢) 」を入れて保 はい のう 護します。胚珠には数個の「胚嚢」 があり、中に「胚のう細胞(大胞 子)」を入れています。子房の上 には「花柱」があり「柱頭」とつ 図1 ないでいます。柱頭は、雌しべの 先端部で花粉を受ける(受粉)部分で す。 (裸子植物は、子房がなく胚珠がむき出しの雌しべです) b 「雄しべ」は、葯とそれを支える花糸から成り、雌しべの周囲に配列し普通数が多いです。 「葯」は小 胞子嚢に当たり、その中で作られる「花粉」は小胞子ですから、雄しべは退化した小胞子葉です。 「胞子」は 1 つの細胞からなり、発芽して新個体を作ります。葯は一般に、左右2部に分かれ、それぞ (7) れの中に葯室が2つずつあり花粉を入れています。花粉が成熟する前 に葯室の仕切りが消えて1室となります。 (図 2) 葯と花糸のつながり方に3通りあります。1つは、葯の下端に花糸 が着くもの。2つ目に、花糸の両側に葯室を着けるもの。3 つ目に、 葯の背部の中央に花糸が着くものです。 (図 3) 図2 また、葯の割れ方に4通りあります。縦に割れるもの、横に割れるもの、丸い穴が開くもの、穴に弁が着い ているものです。 (図 4) 雄しべは1本ずつ離れているものが多いのです 図3 が、合生したものもあり、次のような特殊の物も あります。全ての花糸が合生しているもの(単体 雄蕊)。多くの花糸が2束に分かれているもの(二 体雄蕊)。例えば、10 本の内 9 本が合生し背面に 残り 1 本が着くもの(マメ 科) 。4本ありその内2本が 図4 長く他の2本が短いもの (二強雄蕊) 。6本ありその 内側4本が長く外側2本が 短いもの(四強雄蕊) 。葯が合成して 1 つになったもの(集葯雄蕊)などです。 (図 5) か ひ ② 花被は、花弁(花冠) 図5 とがく片(萼片)との総称 雌しべや雄しべ群を包み保護 して受粉の作用を助けます。 元々あった花被が退化して無 くなった「無花被花」 (裸花)も あります。1 輪の花被をもつものは「単花被花」で、萼に相当します。花被が 2 層以上になると「両花 被花」と云い、花冠と萼に区別されます。 か か ん a「花冠」は、数枚の花びら(花弁)から成る、その全体を指します。がくの内側に位置して、花しべ を包みます。内花被は目立つ色や複雑な形、斑点(密標)等を着け昆虫を引きつける方法と考えられ ます。 b「がく」 (萼)は、数枚の「がく片」からなり、蕾の時に内部を保護します。 か じ く ③ 「花軸」は、花葉を付ける茎。花の枝(花柄)を出すための軸になる茎です。(図6) ④ 「花柄」は、1 つの花の柄で、花を直接つけ る茎。花序を構成する側枝です。 か がい ⑤ 「花蓋」は、花弁とがく片とが同質同形で区 別がつかないものの総称です。 「外花被」と「内 花被」からなります。 ⑥ 「心皮」は、雌しべのもととなった花葉のこ 図6 と。心皮の数により2心皮子房とか、5心皮子 房等と呼びます。 着生部を「胎座」と云い、いくつかの形式があります。例えば、心皮のヘリが子房の中央部で出会い、 (8) そこに胚珠が着き、子房の中が心皮の数に応じて2室、5室などの部屋に分かれているもの(中軸胎座)。 また、心皮のヘリの出会った所が膨らんで胎座となり、部屋は1室で心皮の数だけ胎座が有るもの(側 膜胎座)、などがあ ります。 (図7) 図7 ⑦ その他 ほう a「苞」 (苞葉)や「小 苞」は、花を包み 保護します。 せん b「蜜腺」は、花冠 の基部にあり蜜 を分泌。腺の頭部 は一般に緑色で、 虫を誘い受粉の 援助をします。 蜜腺は托葉や葉 柄などにも存在します(花外蜜腺) 。 りんぺん c「鱗片」は、うろこ状の構造。鱗茎や包葉の鱗葉のことです。 我が家の木々 大谷 正明 初夏に実を付ける琵琶、その花の甘い香りは心地よい。残念ながら 今はまだ小さい 2 世の成長を見守っている。蝋梅の蕾がほころび始め、 マユミの小さな花が半年先取りして咲きだし新年を迎えようとしている。 我が家には何種類の木々があるのだろうか。元々が農家なので雑木 は沢山ある。大木は処分したものの、栗、胡桃、柿、桃、蜜柑、桜・ ・・と数え始めて驚いた。柿は 9 本もありみな種類が異なる。蜜柑は 7 本植えられていて、やはり同じものが無い。躑躅類も数種類あり多 少時期を変えて咲く。梅にも白梅と紅梅があり、蝋梅も数本微妙に花 が異なり違いを示そうとしている。だが、それぞれの種類が分からな いので、柿の類は柿をひとまとめに 1 種類とし、蜜柑、躑躅、梅も同 様に 1 種類として数えることにした。 「20 種類位あるのかね」そんな会話をしながら書き留めてみた。 垣根代わりのサワラや貝塚伊吹、それに山茶花が整然と並び、塀に沿って モチノキが並んでいる。 「これでもう 10 種類だよ」と妻に話しかけると、 「50 種類位あるんじゃない」と涼しい顔での返答があった。 俄か植木職人のため、強剪定や大胆な幹枝切り等、知識と管理能力 不足で五葉松や年代物のヤマモミジ、その他、数本の樹木を枯らしてしまっているが、50 を優に超え 90 種類にも 及んでいた。 樹木医で気象予報士の資格も持つ友人から、 「剪定は木にとっては迷惑な話、ストレスだよ」 「人間だってその後、 養生しなけりゃ生きられないんだよ」 「木の立場に立って面倒見てくれ」 「樹木は年代だけでも価値があるんだ」 と教えてもらっていた。失ってから感じる年代物のヤマモミジは痛かった。 (2011 年 12 月 22 日) (9) <お知らせ> 平成24年度 花と山の会総会 日 時 場 所 2012年4月21日(土) 10:00~15:00 伊香保 憩いの森 森林学習センター (渋川市伊香保町伊香保637 0279-72-3220) 内 容 午前中は学習センターで総会 午後は憩いの森周辺で観察会 持ち物 山登りの服装、飲み物、昼食、雨具、 ノート(メモ用紙) 、筆記用具 第 1 回 シカ食害防止アミ巻きと自然観察会 日 時 場 所 集合場所 2012年5月26日(土) 9:30~15:00 赤城山 小沼周辺 小沼駐車場 内 容 午前中は樹木へシカ食害防止の アミ巻き 午後は小沼周辺で観察会 持ち物 山登りの服装、飲み物、昼食、雨具、 ノート(メモ用紙) 、筆記用具 P 小沼駐車場 <原稿の募集> 事務局では「花と山の会だより」に載せる原稿を募集しています。 観察会では、参加された方に観察会の様子や感想について原稿をお願いしていますが、それ以外にも自然観 察に関連する知識や個人的に行った観察会の原稿の投稿もお待ちしています。 原稿の送り先は下記へお願いします。 住所:〒375-0011 藤岡市岡之郷 1179-3 櫻井昭寛 電話・FAX:0274-42-2726 メールアドレス:[email protected]