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微粉粒子のコアンダ式気流分級に対する予 旋回の - MIUSE

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微粉粒子のコアンダ式気流分級に対する予 旋回の - MIUSE
Master's Thesis / 修士論文
微粉粒子のコアンダ式気流分級に対する予
旋回の影響
川崎, 洋輔
三重大学, 2008.
三重大学大学院工学研究科博士前期課程機械工学専攻
http://hdl.handle.net/10076/10882
修士論文
平成20年度
微粉粒子のコアンダ式気流分級に対する予旋回の影響
Effect
flow
ofPre-rotation
on
classification
fine
or Coanda-type
particle
performance
classirier
平成21年2月3日提出
指導教員
社河内
敏彦
教授
辻本
公一
准教授
安藤
俊剛
助教
三重大学大学院
博士前期課程
工学研究科
機械工学専攻
流動現象学研究室
川崎
洋輔
Zl.2.
3
弓
?
4
#
1
■
′イl:rT二
・:.I:・
I-
-で∴::i.:.:i・
ヽ/,汁
三重大学大学院
工学研究科
学位論文要旨及び論文目録
学位論文提出者
川崎洋輔
研究領域B
研究領域名
流動現象学
:地球環境・エネルギー
微粉粒子のコアンダ式気流分級に対する予旋回流の影響
学位論文題目
論文審査委員
機械工学
社河内敏彦
学
辻本公一
位
論
文
要
前田太佳夫
旨
近年,ファインセラミックスなどの工業用材料,カプセルや粉薬などの医薬・農薬品,及び
食料品などでは材料が粉体の形態をとることが多く,その取り扱い,操作技術の高度化が求め
られている.また,様々な製品の小型化,複雑化が進む事で,粉体の更なる均一化,微細化も
求められている.例えば,マイクロブラスト加工の工程に用いられる粉体は加工の際にむらを
生じさせないように粒子の均一化が求められ,複写機などのトナーにおいては,画像の高精細
化の為, 〃morsub-〃m-orderでの均一化,微細化が求められている.
ところで,分級には気体を用いる乾式分級方式と液体を用いる湿式分級方式がある.乾式分
級方式は主に大量に連続した粉体を扱い,湿式分級方式は凝集性の高い粉体を扱うのに適して
いる.湿式分級方式は液体を使用している為,処理後の粉体の乾燥や処理量が小さいなどの問
or
題が生じる.極めて微′J、な粒子の分級に適している.このため,
〃m
sub-〟m-orderのある
程度大量な粒子の分級については乾式分級方式が用いられる.
本研究では,分級範囲が広く粉体の大量処理が可能で,可動部が無く,構造が簡単なコアン
ダ式分級機(微粉粒子を含む国気二相噴流を円柱壁面に沿って噴出させると,噴流は円柱壁面
に沿って遠心力場を流れる.その際,大きくて重い粒子は壁面から離れて,小さくて軽い粒子
)について,その分級性能の改
は壁面近傍を流れることから粒子を分級することができる.
善・向上を図ることを目的とした.
すなわち,コアンダ式気流分級機による微粉粒子の分級について,ノズル出口手前に湾曲部
を設けノズル出口で既にある程度の粒径分布を与え,分級性能の向上を図ることを目的とし
た.まず,分級性能に与えるノズル出口流速,吸い込み速度,微粉粒子の質量比などの影響を
明らかにし,次いで湾曲流路の半径を変え,流れの予旋回の強さが分級性能に与える影響など
を検討した.また,粉体に製鉄残渡を用いた実験(含まれる亜鉛粒子の回収を目的とする)を
行い,分級性能向上,回収率の増加を検討し省資源に関係する工業的な応用についても検討し
た.
主な結果は,ゝ以下わようである・
(ノズル幅: 2.Omm,円柱
(1)供試粉体に銅粉を用いた実験において,ノズル出口流速〟m-60m/s
半径: 20mm)
,内側吸込み速度ui-40m/s,外側吸い込み流量Q.u.がノズル出口流量Qoの5
倍,予旋回流路半径r-20mmの場合に,最′J、の分級点D5.-3.8JLmを得た.また,
um-60m/s,
Q.u./Q.-5, r-30mmにおいて最良の分級の鋭さsI-1.5を得た・
(2)製鉄残漆を用いた実験において,
um-40m/s,
Q.ut/Q.-5の場合に亜鉛密度が大きい
ui-50m/s,
ui-40m/s,
10〟m以下の分扱が可能である.
論
文
録
目
"微粉粒子を含む固気二相
(1)社河内敏彦・岡崎元紀・杉本真樹・川崎洋輔・辻本公一・安藤俊剛,
No.073コアンダ噴流の流動と制御" ,日本機械学会東海支部第56期総会講演会講演論文集,
1, (2006-3), pp.255-256・
"微粉粒子のコアンダ式気流分級に対
(2)社河内敏彦・川崎洋輔・大谷康崇・辻本公一・安藤俊剛,
する予旋回の影響"
(2009-3).
,日本機械学会東海支部第5S期総会講演会講演論文集,
三重大学大学院
工学研究科
次
目
第1章
緒論
記号
第2章
2.1
コアンダ噴流による微粉粒子の気流分級
・
コアンダ噴流に対する予旋回流の影響
2.1.1空気単相(気相)噴流
・
・
・
・
・
・
・
・
I
・
・
・
・
(a)壁面の詳細
(b)実験装置
(c)実験条件と座標系
(d)速度,乱れ分布の測定
結果と考察[空気単相(気相)噴流の流動特性】
2.1.2
ll
・
(a)壁面垂直方向速度分布
(b)壁面垂直方向乱れ分布
(c)最大速度の減衰と位置
(d)半値幅,噴流幅
2.1.3
2.2
まとめ
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
コアンダ式分級に対する予旋回流の影響
2.2.1実験装置と方法
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
(a)実験装置
(b)分級機の詳細
(c)実験条件
(d)供試粉体
(e)評価方法
(1)部分分級効率p
(2)50%分離限界粒子径β50
(3)分級の鋭さ∫J
2.2.2
結果と考察
・
・
・
・
・
I
・
・
・
・
・
(a)ノズル出口速度umの影響
三重大学大学院
,l二学研究科
・
・
26
(b)内側吸い込み速度uiの影響
(c)予旋回流形の影響
(1)㍗-20mmの場合
(2)予旋回流路半径z・の影響
2.2.3
第3章
まとめ
・
・
・
・
・
・
・
・
数値解析と近似理論計算
3.1数値解析
・
・
・
・
・
・
・
・
・
28
・
・
・
・
・
3.1.1.気相の挙動
(a)支配方程式
(b)一般系保存式
(c)支配方程式の離散化
(d)離散化方程式の解法
単一球形粒子の運動方程式
3.1.3
計算領域と境界条件
3.2
3.1.2
近似理論計算
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
41
3.2.1空気噴流の速度分布
3.3
3.2.2
空気噴流の圧力分布
3.2.3
粒子の運動方程式
結果と考察
・
・
・
・
・
・
・
・
・
3.3.1数値解析結果(予旋回流の影響)
3.3.2近似理論計算結果
3.3.3
第4革
まとめ
製鉄残撞からの亜鉛粒子の回収
4.1実験装置と方法
・
・
・
・
・
・
・
・
4.1.1実験装置
4.1.2分級機の詳細
4.1.3
実験条件
4.1.4
供試粉体
三車大学人学院
1二学研究科
50
4.1.5
4.2
評価方法
結果と考察
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
65
・
4.2.1ノズル出口速度umの影響
4.2.2
内側吸い込み速度uiの影響
(a)分離版の位置135o
,ノズル出口速度40m/sの場合
(b)分離版の位置90o
,ノズル出口速度40m/sの場合
(c)分離版の位置90o
4.3
,ノズル出口速度60m/sの場合
4.2.3
外側吸い込み流量Qoutの影響
4.2.4
分離板の位置による影響
4.2.5
運転動力低減の影響
4.2.6
かい離粉体の影響
まとめ
第5章
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
結論
・
・
・
・
・
68
・
74
・
謝辞
76
・
参考文献
・
三重大学大学院
1二号研究科
77
-1-
第1章
緒
論
近年,ファインセラミックスなどの工業用材料,カプセルや粉薬などの医薬・
農薬品,及び食料品などでは材料が粉体の形態をとることが多く,その取り扱い,
操作技術の高度化が求められている.また,様々な製品の′ト型化,集積化のため,
粉体の更なる均一化,微細化も求められている.例えば,マイクロブラスト加工
の工程に用いられる粉体は加工の際にむらを生じさせないように粒子の均一化
が求められ,複写機などのトナーにおいては,画像の高精細化の為,
〃morsub-
〃m-orderでの均一化,微細化が求められている.
ところで,粉体を粒径や密度によって分ける操作を分級(ll)というが,分級に
は気体を用いる乾式分級方式と液体を用いる湿式分級方式がある(I)∼(3).乾式分
級方式は主に連続的に大量の粉体を扱い,湿式分級方式は凝集性の高い粉体を扱
うのに適している.湿式分級方式は液体を使用している為,処理後の粉体の乾燥
や処理量が′J、さいなどの問題があるが,極めて微小な粒子の分級に適している.
乾式分級方式の中には重力分級,慣性分級,遠心分級などがあるが,工業的に幅
広く用いられている分級機として遠心分級を用いたサイクロン式分級機(4)(5)が
ある.サイクロン式分級機は大容量の粉体の処理が可能であるが,粉体が通る経
路が長いために分級された粒子が再凝集するなどの問題がある.その他に,メッ
シュを用いたふるい分け方式がある.これは構造,手法が簡単な為,工業的にも
幅広く用いられるが,分級可能な粉体の大きさに限界がある,目詰まりが起こり
やすいなどの問題がある.
本研究では,分級範囲が広く粉体の大量処理が可能で,可動部が無く構造が簡
単なコアンダ式分級機について,その分級性能の改善・向上を図る事を目的とす
る.コアンダ式分級機の利点として,
〃m
orderの微′トな粒子を分級でき,さら
に,遠心力が作用する方向に壁面のない構造をとるため,付着性の強い粉体粒子
を取り扱う事ができる事,設置面積も小さい事などの利点がある.
(コアンダ式分級機:図.1に示すように円柱壁面に沿って二次元乱流噴流を噴出
させると,噴流はコアンダ効果(7)(10)によって偏向され円柱壁面に沿って遠心力作
用下に流れる.これは,微粉粒子を含む固気二相噴流についても同様で,その際,
粒径の小さな軽い粒子は円柱壁面近傍を,粒径が大きく重い粒子は壁面から離れ
:-.重大苧人学院
丁二学研究科
ー2-
て飛行する.微粉粒子が受ける遠心力,慣性力の差を利用する事で微粉粒子の分
級が可能となる.)
本研究ではコアンダ式気流分級機による微粉粒子の分級について,ノズル出口手
前に湾曲部を設けノズル出口で既にある程度の粒径分布を与え,分級性能の向上
を図ることを目的とした.まず,分級性能に与えるノズル出口流速,吸い込み速
痩,微粉粒子の質量比などの影響を明らかにし,次いで湾曲流路の半径を変え,
流れの予旋回の強さが分級性能に与える影響などを検討した.
また,粉体に製鉄残漆を用いた実験(含まれる亜鉛粒子の回収を目的とする)を
行い,分級性能,回収率などを検討し省資源に関係する工業的な応用についても
検討した.
二重人学人学院
T_学研究科
ー3-
Particle
laden
alr
Jet
Coarse
Fig. I Flow
model
of particle laden
二=_重大学大学院
工学研究科
particle
coanda
jet flow
-4-
主な記号
b
:ノズル幅
cp
:圧力係数[-2(p-pの)/(paum2)]
CR
:内側回収率
dp
:粒子直径
dpm
:平均粒子直径
β5。
:
50%分離限界粒子径
k
:乱流運動エネルギー
LR
:質量比(loading
p
:圧力
p∞
:大気圧
Q
:流量
Q.
:ノズル出口流量
R
:円柱半径
r
:予旋回部の半径
Re
ratio)
:レイノルズ数[-umb/v]
rp
:粒子半径
∫J
:分級の鋭さ
t
:時間
u
:x方向の速度成分
uo
:ノズル出口最大速度
ua,,uac
:空気のr,及びC方向の速度
〟m
:ノズル出口平均速度
〟max
:最大速度
up,,upc
:粒子のr,及びC方向の速度
ui
【-(㌔+諦・訴)/2]
.・内側吸い込み速度
u。
:外側吸い込み速度
u'
:x方向の変動速度成分
三重大学大学院
T.学研究科
-5-
J'
:円柱壁面から法線方向の距離
γo.5
:半値幅
γmax
:噴流最大速度のγ方向位置
♂
:噴流幅
f
:乱流運動エネルギー散逸率
j7
:部分分級効率
♂
メ/
lノ
:ノズル出口から主流方向の角度
:粘性係数
:動粘性係数
P
:密度
♂
:一般従属変数
上付添え字
:時間平均値
:変動値
三重大学大学院
「学研究科
-6-
第2章
コアンダ噴流による微粉粒子の気流分級
一般的にコアンダ式分級機は,水平方向に設けられたノズルから流体が噴出する
が,本研究ではノズル出口手前に湾曲部(予旋回流路)を設けた予旋回流形分級機
を提案する.本章では,水平方向から流体が噴出するスタンダード形とノズル出口
手前に予旋回流路を設けた予旋回流形について,ノズルから噴出された流体の挙動,
次いで予旋回流路が分級性能に及ぼす影響を比較・検討する.
2」
コアンダ噴流に対する予旋回流の影響
呈二l.1空気単層(気相)噴流
(al壁面の詳細
図2.1.1に流路形状を示す.予旋回流路を設けないのスタンダード形(図2.1.2(a))
及び,ノズル出口手前に
90o
の湾曲した流路を設け遠心力場を増設した予旋回流
形(図2.1.2(b))を用いた.いずれもノズル出口幅は∂-2.Omm一定で,流体が沿って
流れる円柱半径はR-20.Ommニー定とした.
(b)実験装置
図2.1.2に実験装置(空気単層流用)の概略を示す.エアフィルタ①,ブロワ②
を通過した空気は,冷却器④,バルブ⑥を経てノズルから静止大気中に噴出される.
空気の流量はインバータ③とバルブ⑥によって調節される.速度の測定は,定温度
型熱線流速計(Ⅰ型プローブ)
⑦により,トラバース装置⑧を使って,円柱壁面から
法線方向(γ方向)の任意の位置に移動できる・
(cl実験条件と座標系
実験(速度分布の測定)はノズル出口平均流速を〟m-40m/s一定としておこない,
スタンダード形と予旋回流形での流動状態を比較・検討し,予旋回流の影響を明ら
かにした.
図2.1.3には座標系を示した.ノズル出口から壁面に沿う距離をx,ノズル出口
とした.また,ノズル幅を
からの角度を♂,円柱壁面から法線方向-の距離をγ
b-2.Omm,ノズル出口平均流速をumとし,各断面における最大速度をumax,そのy
三重大学大学院
工学研究科
_7-
方向-の距離をymax,
u/umax=0.5となるy方向-の距離(半値幅)をyo.5とした・
なお,速度分布の測定断面は,ノズル出口近傍(ノズル出口から1mmの位置),
-15,
30,
60,
90,
120o
∂
とした.
(郎速度,乱れ分布の測定
円柱壁面接線方向の速度uと乱れu・-J弄の測定は,熱線流速計(IHW_100,日
本カノマックス)とⅠ型プローブ(プロング間隔:2mm,センサ長さ:o.8mm,熱
線:5〃.mのタングステン線)を用いた.毎測定前に,検定用風洞,標準ピトー管
を用いて熱線流速計の検定を行った(速度の関係を4次式で表した.本研究の基準
速度は,
0,
5,
10,
20,
30,
40,
50m/sの7点とした).流路中心高さにおけるノ
ズル先端からの角度♂を測定位置とし,トラバース装置に設置されたⅠ型プローブ
を壁面からγ方向に移動させて測定した.速度〟と乱れ〟'は共に,熱線流速計か
らの出力を計算機で演算処理し(サンプリング周波数は10kHzで,
データを時間平均した),それぞれの値を得た.
三東大学大学院
工学研究科
10万個以上の
18-
(a) Standard
(b) Pre-rotation
Fig.2.I.1 Dtails of surfaces
三重大学人学院
type
flow
type
(for single
工学研究科
phase
air
jetnow)
ー9-
①
②
@
④
Airfilter
⑤
Blower
Inclined-type
column
Inverter
@
Valve
cooler
⑦
Hot
wire
liquid
manometer
⑧
⑨
⑩
Traverse
device
Hot-wire
anemometer
computer
sensor,
slngle-probe
Fig.2.I.2 Experimentalset-up
三重大学大学院
(for single
工学研究科
phase
air
jetflow)
一10-
(a) Standardtype
(b) Pre-rotationflowtype
Fig.2. 1.3 Coordinate
三重大学大学院
system
工学研究科
rifl-
2.1.2牌
(al壁面垂直方向速度分布
図2.1.4に,流れ方向各断面での速度分布u/umaxを示す.
ノズル出口近傍,
において速度分布形は予旋回流形の方がスタンダード
a-15o
形よりも大きな広がりを持つ.これはノズル出口以前に設置された予旋回流路によ
って遠心力が生じ,ノズル出口以降において壁面垂直方向の速度が生じたためであ
ると考えられる.下流域においても常に予旋回流形の方がスタンダード形よりも大
きな広がりを持つ.
(い壁面垂直方向乱れ分布
図2.I.5に壁面接線方向の乱れ分布を示す.縦軸には壁面垂直方向距離y/bを示し,
乱れをノズル出口速度で無次元化した〟'/〟mで示す.
どの形状においても,壁面近傍と,噴流外縁の乱れが大きい.特に予旋回流形は
予旋回流部による壁面垂直方向-の遠心力の影響によって乱れは大きいと考えら
れる.その後,乱れの′トさいコア領域は減少し,その分布形状は緩やかになる.し
かしながら,下流域において,全体の乱れより壁面近傍の乱れが大きい.これは,
はく離した流れの後に現れる循環領域のためであると考えられる.
(小 最大速度の減衰と位置
図2.1.6に最大速度um/u.の減衰を示す.予旋回流形は予旋回流部による壁面垂
直方向-の遠心力の影響によって,速度分布が広がる為ノズル出口近傍では最大速
度にはならず,徐々に速度が増加し,
8-30o
で最大速度となり,その後,減衰す
る.また,下流域において最大速度は予旋回流形の方がスタンダード形よりも大き
い.さらに,いずれも∂≧60o
での減衰の様子も減衰割合に大きな違いは見られな
い.
図
8≦15o
に最大速度位置(境界層厚さ)
2.1.7
ymax/b
の下流方向-の変化を示す・
において,最大速度位置は予旋回流形の方がスタンダード形よりも大きい.
これは予旋回流部による壁面垂直方向-の遠心力の影響によって,速度分布が広が
る為であると考えられる.また,いずれも∂≧60o
では,下流域に行くに従って,
最大速度位置は壁面から遠ざかる.
三重大学大学院
_
1二学研究科
-12-
(dl半値幅,噴流幅
図2.I.8に半値幅y..5/b,図2.I.9に噴流幅6/bを示す.半値幅,噴流幅共に,常
に予旋回流形の方がスタンダード形よりも半値幅の広がりが大きい.これは予旋回
流部による壁面垂直方向-の遠心力の影響によって,速度分布が広がる為であると
考えられる.
7A.重大学大学院
工学研究科
-13-
∼.1.3.まとめ
1.壁面接線方向速度分布形は,予旋回流部による壁面垂直方向-の遠心力の影響
によって,スタンダード形の方が予旋回流形よりも大きな広がりを持つ.
2.壁面接線方向乱れ分布形はいずれの場合も,壁面近傍と,噴流外縁で乱れが大
きくなる.また,予旋回流部による壁面垂直方向-の遠心力の影響によって,
予旋回流形の方がスタンダード形よりも大きな乱れを持つ.
3.最大速度は∂<
30o
で,予旋回流部による壁面垂直方向-の遠心力の影響によ
って,予旋回流形の方がスタンダード形より小さい.
4.最大速度位置は,予旋回流部による壁面垂直方向-の遠心力の影響によって,
o<30o
で予旋回流形の方がスタンダード形より大きい.
5.半値幅,噴流幅は予旋回流部による壁面垂直方向-の遠心力の影響によって,
予旋回流形の方がスタンダード形より大きい.
6.上記のように予旋回流形での速度分布形が半径方向に広がることから,微粉粒
子を含む固気二相付着噴流の場合,微粉粒子の半径方向-の拡散が大きくなる
と考えられる.このことは分級性能を向上させるのに有意である.
:.重大学大学院
_丁二学研究科
ー14-
0
0.5
(a)
0
1
0
1mmfrom
0.5
(d)
C=60o
1
u/u
1
0.5
u/u m?x
nozzle exlt
仲) 0-
0
15o
0.5
90o
1
(c) ♂- ョoo
u/u
0
工学研究科
0.5
(f)0-
u/u
max
1
max
Fig.2. I.4 Velocitydistribution
三重大学大学院
0.5
max
1
max
(e) 0-
0
u/u
120o
u/u
max
-15-
0. 1
0
u
(a) 1mm丘om
0
nozzle
0.1
0.2
l/uTl
0
仲) 0-
exlt
0.2
0.1
0
u'/um
0.2
15o
0.1
(e)0-90o
(d)0-60o
Fig.2. 1.5 Turbulent
三重大学大学院
u'/u
0
0.1
(c) ♂-
0.2
u'/um
intensity
_r.学研究科
0.2
u'/um
m
0
ョoo
0.1
0.2
u'/u
(f) 0-
120o
m
-16-
⊂〉
3
「モ
2
3
40
120
80
♂o
Fig.2. 1.6 Maximum
40
veloclty
80
120
♂o
Fig.2.1.7 Position of maximum
三重大学大学院
velocity
†二学研究科
-17_
:ミ
こi
⊂〉
:ゝ、
8
40
80
Fig.2.1.8 Half width
40
8O
Fig.2.1.9 Jet width
三重大学大学院
王二学研究科
120
βo
-18-
2.2
コアンダ式分級に対する予旋回流の影響
2.2.1実験装置と方法
(a)実験装置
図2.2.1に固気二相噴流の実験装置の機略を示す.空気単相流はエアフィルタ①
を通り,インバーター③で調節された後,ブロア②で加圧される.流量計④で流量
(AFS-10CA,日本ニュ
が調節された後,試験流路の途中に設置されたフィーダ⑤
ーマチック工業)から粒子が供給され固気二相流となる.そして,分級機⑥に入り,
粒子はノズルから噴出され,遠心力の作用を受け,
′トさい粒子は,内側領域-大き
い粒子は外側領域-捕集される.内側領域,外側領域共にフィルタが設置されてお
り微′ト粒子を回収する.分離板の内側と外側は吸引機⑩によって吸引され,その流
⑧,およびバルブ⑨によって調節される.
量は流量計④,
尚,フィルタによって捕集された粒子はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装
置(LA-300,
HORIBA製)によって測定される.
rbl分級機の詳細
図2.2.2に予旋回流無しのスタンダード形,図2.2.3に予旋回流形を示す.予旋
回流形(図2.2.4に立体図を示す)はノズル出口手前に90o
の湾曲した部分を設け,
粒子に予め遠心力を持たせることによって,小さな粒子はノズル内を一様に分布し,
大きな粒子は慣性力により上壁面に沿って流れると予測した.
固気二相噴流はノズル幅b-2.Ommのノズル出口から円柱壁面に沿って噴出され,
幅5mmの内側と,幅70mmの外側-吸引される.ノズル出口以降の分級部の半径
はR-20.Omm,分離板はノズル出口から0-135oの位置に固定されている.幅20.Omm
の間隔を開け,アクリル板で分級機を上下に挟み込むように閉じた.その際に空気
が漏れないように,グリスを塗った.分級機は真鎗で作られており,粉体との摩擦
を最小限に抑えるため表面は滑らかに加工されている.上下板の両側面から内側領
域-の吸い込みをかけ,フィルタに捕集した.さらに,空気が流入する際に発生す
る静電気を防ぐためにアースを取り付けた.粉塵爆発を防ぐために有効である.
(c)実験条件
予旋回流部の半径はr--(予旋回流部無し:スタンダード形),10.0,20.0,30.Omm
I/A.重大学大学院
T.学研究科
ー19-
(図
2.2.5
を参照)および,ノズル出口速度を
み速度をui-30,
40,
um-40,
60,
80m/sに,内側吸い込
50m/sに,また外側吸い込み流量Q。utをノズル出口のそれQ。
の5倍として,分級実験を行い内側と外側のチャンバで捕集された粒子の粒径分布
を測定した.
ノズル出口における空気の質量に対する粒子の質量比(Loading-ratio)-0.05
一定
として粉体を供給した.なお,実験は一定時間,粉体を流すことにより,分級機内
に十分に粒子を流した状態を定常状態とし,その後実験を開始した.
(dl供試粉体
供試粉体は銅粉(新東ブレーター製)を用いた.図2.2.6に粒度分布を示す.粒
子は球形で,粒子径はd,-111m-5011m,平均粒子径は9.311m,タップ密度(嵩密
痩)は4880kg/m3,密度は8920kg/m3である.
(el評価方法
分級性能の評価方法を以下に示す.
(1)部分分級効率77
部分分級効率は,
(2.1)
q=(n/m)×100
すなわち,供給した粒子数mに対する外側領域で捕集された粒子数nの割合を示す.
図.2.5に示される曲線は縦軸に77,横軸に粒子径をとり,各粒子に対するクを求め
た部分分級効率曲線である.
(2) 50%分離限界粒子径β5。
図2.2.7に示すように内側と外側の粒子数が等しくなった点を,
50%分離限界粒
子径と言い,分級可能な粒子の細かさの指標となる.つまり,この値が小さければ
小さい程,細かな粒子が分級可能である.
(3)分級の鋭さ∫J
D25とD,5は部分分級効率pが25%と
75%に対応する粒子径であり,部分分級効
率の曲線の傾きであり,分級性能の指標となる.
三重大学大学院
工学研究科
-20-
次式のように示される.
∬=β75
(2.2)
/β25
この値が1に近づく程,分級精度が向上したと評価でき,
∫J-1-1.4であれば極めて良好,
∫J-1を完全分級,
∫J-1.4-2.0は良好と判断する事ができる.
I.電人学大学院
T.学研究科
一21-
①
@
@
④
Airfilter
Blower
Inverter
Flowmeter(a)
Fig.22.
1 Experimental
⑤
@
@
⑧
classifier
valve
vacuum
Dustfi1ter
Flow
set-up
三東大学大学院
⑨
@
Feeder
meter(b)
(forparticle
laden
t二学研究科
jetflow)
cleaner
ー22-
:'、卜「..
Fig.2.2.2 Detail of standardtype
Outer
exit
Fig.2.2.3 Detail of pre-rotation
:_重大学大学院
classifer
flow
type
T_学研究科
classifer
-23_
Fig.2.2.4 Detail of pre-rotationflowtype
Fig.2.2.5 Coanda
classifier withpre-rotation
三重大学大学院
工学研究科
classifer
flow
channel
-24-
l■l
u
IIIl[lLl
l■l
l■lロ
ロ
■■□ ロ
I
q
ロ
q
l一
■-
∩ ∩l■l
I
llllll
Copperpowder
q
∩
[kg/m3]
pp=8920
dpm-9.3[
l■■■■山
l-■
l-■
E]
q
■
ロ
l
rT].
l■■l■■-
ロ
q
q
q
∩
q
I
q
∩
iiiq
l■■
■■l
l
q
q
q
q
q
∩
d
1
■
q
q
■
I
5
10
50
100
dl,ILm
Fig・2・2・6 Size distribution of test particle
三重大学大学院
工学研究科
25
J力5
a 50
β75
l
l
ヒ
l
l
l
」
■
■
邑
h
O
邑
【エ1
(/pLIL m]
Fig.2.2.7 Classification
三重大学大学院
performance
工学研究科
-26-
2.2.2
結果と考察
(a)ノズル出口速度u乱の影響
図2.2.8に,
60,
r-20mmにおいて,ノズル出口速度を40,
80m/s
に変化させた
場合のβ5。と∫J値に対する〟mの影響を示す.
β50
は
60m/s
〟m-40,
に増加するに従い向上した.これは粒子に働く遠心力
(F-mv2/r)が増加し,大きな粒子は円柱壁面から遠くを飛行し,小さな粒子は円柱
壁面に沿って流れたためだと考えられる.従って,ノズル出口速度を増加させると
β50は小さくなると考えられる.すなわち,ノズル出口速度がβ5。を予測する指標
になるといえる.しかし,
SI値は悪化した.
SI値を向上させるためには,分級機
内の更なる流れの安定化が必要である.それには吸引速度の影響が関係するのでは
ないかと予測できる.
また,
SI値共に悪化した.その原因として,ノズル出口
um-80m/sの結果はD50,
速度に対してノズル出口から衝突板の距離が短かったためだと考えられる.粒子が
衝突板に衝突し,分級機内の粒子の流れが不安定となり,外側領域に捕集されるは
ずだった大きな粒子も内側領域に捕集されたと考えられる.
本実験装置では,
SI値はノ
um-60m/sで最小分級点D50-3.80FLmを得た.また,
ズル出口速度の増加とともに漸増し〟m-40m/sで最′ト値∫J-1.51を得た.
(bl内側吸い込み速度〟しの影響
図2.2.9に,
〟-20mmにおいて,内側吸い込み速度を30,
40,
50m/s
に変化させ
た場合のβ50と∫J値に対する〟iの影響を示す.
β5。は内側吸い込み速度が増加するに従い悪化した.これは速度が増加すること
によって,大きな粒子も内側領域に補修されたためだと考えられる.
∫J値は内側吸い込み速度が増加するに従い良好になった.これは分級機内の流
れがより安定したためだと考えられる.この結果より,分級機内の流れの安定化に
は吸い込み速度の影響があると考えられる.すなわち,吸い込み速度は∫J値を予
測する上で重要なパラメータといえる.
D50,
SI-I.53となる
SI値はともにui-40m/sで最良値D50-3.80,
以上より,
um-60m/s,
r-20mmの場合,
ui-40m/s,外側吸い込み流量
で分級結果は上記の最良値となった.
:_重大学大学院
1二学研究科
Q。ut /Qo-5
_27_
(cl予旋回流形の影響
(llr-20mmの場合
(スタンダード形)と
図2.2.10に,予旋回流路半径がr--
r-20mmを比較した
場合のβ5。と∫J値に対する影響を示す.
D50と
SI値はともに予旋回流部を設けない場合(r--:スタンダード形)より
減少し,分級性能が大きく向上する.これは,予旋回流形ではノズル出口以前であ
る程度の粒径分布(ノズル出口の外側から内側に,大から小の)が形成されること
によると考えられる.
(引予旋回流路半径z・の影響
20,
図2.2.11に,予旋回半径を10,
する
30mmに変化させた場合のD50と
SI値に対
z・の影響を示す.
すなわち,予旋回流路半径を変え(すなわち,ノズル出口手前で粒子に作用する
遠心力の大きさを変化させ),予旋回流が分級性能に与える影響を検討した.
は,
r-10,
で最小値
20mmではほぼ同一であるが,
∫J-1.5
β5。
SI値はrの増加とともに減少し,
r-30mm
となる.このようになった原因として,ノズル出口における粒径
分布がより顕著(大きな粒子はノズル出口上方に分布)になったためであると考え
られる.
図2.2.12に,分級性能を分かり易く示すためum-60m/s,
ui-40m/s,
Q.ut/Qo-5で,
〟-30mmの場合の内側(細粉側)と外側(粗粉側)で回収された粒子の粒径分布を
頻度分布で示す.この場合,
D5.-3.8011m,
SI-1.50である.図中,斜線の部分が
上手く分級されない部分(粒径)を示す.
本研究で得られた結果(D50-3.8m,
SI-1.53at
r-20mm)は,従来,この種の分
級機で使用されるノズル出口流速(一般に,数100m/s)に比べかなり低速である.
このことは,省エネルギの観点から極めて重要である.
I_重大学人草院
IA_学研究科
-28-
2.2.3
まとめ
上記の結果から,
1.ノズル出口速度が50%分離限界粒子径を予測する指標となる.
2.吸引速度が∫J値を予測する指標となる.
50%
3.予旋回流形分級機は予旋回流の無いスタンダード形分級機と比較すると,
分離限界粒子径,
∫J値共に向上した.
4.予旋回流形分級機では大きな粒子は円柱壁面から遠く離れて飛行し,小さな粒
子は壁面近傍にそって流れ易くなる.
∫J値が向上した.
5.予旋回流路半径を増加させる事により,
6.ノズル出口流速um-60m/s,内側吸込み速度ui-40m/s,外側吸い込み流量Q.u./Qo-5
で,予旋回流路半径
D5.-3.8Jlm,
r-30mm
r-20mm
(分級の鋭さ,
(um-60m/s,
の場合に,最小の分級点,
50%分離限界粒子径
SI-1.53)を得た.また,最良のSI値(-1.5)は,
ui-40m/s,
Q。ut/Qo-5)で得られた.
:_重大苧大学院
工学研究科
29
5
1
1
ヒ
日
1
1
ゴ.
⊂〉
cS
1
l
[
1
4,-21
1
「
l
1
1
4
1
1
11
3L82
」
ト
l
l
1
:
∬
1
-金 -I-一争
1」5 1
1
l
_
-(争
1.58
1:・53
1
「
1
]
[
40In/s
-
l
l
ouJQo-
l
5
l
l
l
20mm
]
1
L
60
40
Fig・2・2・8 D50and
SZ
〟m
m/s
(Effectof jet velocity)
5
a
i
∈〉
cS
4
30
50
40
uim/s
Fig・2・2・9 D50and
SI
三電大学大学院
(Effectof
inner
工学研究科
velocity)
一30-
5
a
ゴ.
く=)
cS
4
Standard
type
Pre-rotation
Fig・2・2・ 10 D50 and SZ
type
(Effectof Pre-rotation)
5
i
⊂〉
sH
[
3」86
4
]
l
l
ei
1
〟m
ui
-
0
.:5
∂Om/s
-40m/s
Q.uJQo
-
5
10
Fig・2・2・ I I D50and
20
SI
30
(Effectof
二電大学大学院
′mm
Pre-rotation
工学研究科
radius)
-31-
1(X)
dp
Fig.2.2. 12 Size distribution of product
(um-60m/s,
ui-40m/s,
三重大学大学院
[pm]
after classification
QoLJQo-5, r-30mm)
工学研究科
-32-
第3章
数値解析と近似理論計算
本章では大略の分級点を求めるために,以下に示す数値解析と近似理論計算を行っ
た.
3.1数値解析
本節では,円柱壁面に沿って流れる微粉粒子を含む固気二相コアンダ噴流の空気早
相流,および微粉粒子の挙動を明らかにするため,ナビエ・スト-クス運動方程式を
数値的に解くための汎用流体解析ソフトCFD2000を用いて流動解析を行った.
計算に際し,乱流モデルにはk-f標準モデルを用い,粒子は球形とし粒子同士の干
渉,衝突,および粒子と気相との干渉は無視した(Onewaymetbod).
計算結果(粒子の飛行軌跡,
50%分離限界粒子径
β50,分級の鋭さ
∫J,など)を実
験結果と比較し,現象の一層の理解に供した.
3.1.1気相の挙動
(al支配方程式
国気二相コアンダ噴流の気相の運動を数値的に解析するため,速度や圧力などの物
理現象の数学的記述について考える.これらの物理量を得るには支配方程式としての
ナビエ・スト-クス方程式および連続の式(質量保存式)を考える必要がある.これら
微分方程式を代数方程式で近似し,直接解くことによって,対象としている流れ場の
諸量を求めることができる.
固定された微小体積内のナビエ・スト-クス方程式および連続の式(質量保存式)は,
テンソル表示を用いて表すと,それぞれ以下の式のように表す.
∂
∂♭au1.
ar
∂t
+
j
apa.
∂t
ここで,
♭a石打)-一夏.;(p(告+計
(3・l,
∂(pa石)
(3.2)
ax:j
pa:流体の局所密度,p:圧力,
各変数のオーバーパー(
FL:流体の粘性係数,
):時間平均値,アポストロフィ('):変動値
三重大学人学院
工学研究科
S:運動量の生成項,
-33-
平均流に対する粘性応力てi)とレイノルズ応力との間に類似点が存在すると仮定す
ると,両応力はナビエ・スト-クス方程式の右辺に現れ,ニュートンの粘性法則におい
て粘性応力は流体要素の変形量ei]に比例すると考えられる・
・zj
-Pelj
(3・3,
-P(;I;)
等方性乱流を仮定すると,レイノルズ応力は平均の変形量と結びつけることができ
ると1877年にブジネスク(Boussinesq)によって提案され,次式が得られる.
T'j
-
-Paul.・
ulj
-
(3.4)
FL(
6.)はクロネッカーデルタを示し,
ここでpt[Pa・s]は乱流粘性もしくは渦粘性係数,
i-jの場合6,j-1,
i≠jの場合6,)-0を表す・
式(3.4)を式(3.2)に代入すると次式が得られる.
∂♭a
∂Ju1
(3.5)
・計石右)ニー夏.若((p・pt(
を加えたものを再度pと
また,式(3・5,において,圧hpの時間平均値に号6
ark
定義する.
乱流運動エネルギkと乱流散逸率Eには,微小体積要素に分割された流れ場の各位
置で次の輸送方程式を用いる.
迦吐芸(pap,
〔苦言)・pa塘〔夏+計pa8
∂
∂J
(3・6,
ar)
重出.孟(paゎ,
〔pa箸;)・cIEPaPt;i(吾
∂
∂f
ここで,
ar)
Sk,
S8は乱流運動エネルギと乱流散逸率の生成・吸収項を表し,また・
5つの補正無次元定数Cu,uk,G‥Clf,C2fを含んでおり,標準k-tモデルでは広
:.事大学人草院
I'_学研究科
-34-
範囲な乱流に対して妥当な次の値を使用する.
Cp=0・09;
cTk=1・00;
Clg=1・44;
JE=1・30;
C2c=1・92
(b)一般形保存式
前節で示した保存式が本計算で扱う偏微分方程式を構成している.原理的にはこれ
らの各方程式を別々に離散化し,それぞれの解を求めればよい.しかし,連続式およ
びナビエ・スト-クス方程式の形に注目すると,いずれもその特徴が良くわかるように
テンソル表示を用いて表されたものであるが,左辺で書かれた2項は非常に良く似た
形をしており,また,右辺第1項は係数が変わるだけで本質的な形は同じである.そ
こで,一般的な従属変数に対して¢という記号を当てると,これらの共通の形式は次
式で表される.
孟(pad,・i(pa6Q)i(r署〕
・
s少
(3.8)
∫¢は生成項である・
ここで,一般的にrは拡散係数,
(c)支配方程式の離散化
一般形保存式(3.8)を個々のセルの体積vにわたる積分にガウスの定理を適用すると,
個々の項の積分式は次のように表される.
非定常項(左辺第一項)
・
V(Qnew
-ゆold)/At
ltl警dV
-
:
A
∑pa蒜¢・
1[[(v(pa左赫v
lI(pau-¢桓-
-
-
v
s
拡散項(右辺第一項)
D
-
allface
∑(r∇4・
A)
lll(∇(r∇¢)V
∬(r∇¢桓-
(3.ll)
allface
A
生成項(右辺第二項)
-
(3.10)
:
v
s
(3.9)
-
対流項(左辺第二項)
c
:
:
N[s¢dV VC¢(Q.-♂)
(3.12)
-
V
三尊大学大学院
T二学研究科
-35-
ゆold,¢newは二つの時刻における任意の物理量の値を,
ここで,
小面積要素を示している・また,
C¢はソース線形化係数を,
dAはセル面の微
Q.は定数を示してい
る.
(巾離散化方程式の解法
有限体積法に基づいて支配方程式を離散化すると一組の連立一次方程式が得られる
が,
2
次元で考慮しても,そのサイズは極めて大きくなる.しかし,計算には隣り合
うセル間の関係だけが必要になるため大部分の係数はゼロとなり優対角な疎行列にな
る.そこで,各方向に三重対角な方程式について非常に効率よく解くことのできる
AD土(Alternating
Direction
lmplicit
Method)法で行った.
ADI法は,半繰り返し法の一
つで,各時刻において一つの座標軸についてのみ完全陰解法〈TDMA
Matrix
また,
Argorithm))を使用し,他の方向についてはその要求を緩和して方程式を解く.
CFD2000ではすべての速度成分を計算セルの中心点に定義するコロケ-ト格子
を採用している.コロケ-ト格子は他の格子(例えば,スタッガード格子)と比較す
ると,メモリーが大幅に節約できることに特徴があるが,欠点として,隣接するコン
トロール・ボリュームの速度場のカップリングが弱くなることが挙げられる.
圧力場の解法としてはPISOアルゴリズムを用いた.この方法は陰的圧力帰着解法
の一種で,離散化した運動量保存式と圧力帰着連続式とに予測子・修正子法を交互に
適用して時間ステップごとの解を求める.これは他の方法(例えばsIMPLE法)と比
べ確かな利点を持っている.繰り返し法やブロック法に頼らずに,時間ステップごと
に数回のステップで質量と運動量のバランスを保ちながら時間について精度の高い
解を得ることができる.
上記の手法を用い,円柱壁面に沿って流れる噴流の流れ解析を行った.
:A_重大学大学院
工学研究科
(Tri-Diagonal
-36-
3.1.2
単一球形粒子の運動方程式
単一球形粒子の運動方程式は,次式で表される.なお,本計算では完全球形と仮定
した.
言dp3pp告-言dp2pacDlup,i
-uil(up,i
g・芸dp3pa(告一告
-ui)一言dp3
du,I
(3.13)
dup,,・
J
J&ldT `′ミ(
idp2
;dp3paFb,i
_i:/
dT
・
I
Jo
ここで,右辺はそれぞれ抗力,圧力勾配力,仮想質量力,非一様流れ効果のBasset
項,および重力などの体積力を表す.また,
CDは抵抗係数,ては粒子の緩和時間,
dpは粒子の直径,
ppは粒子の密度,
Fb,,.は粒子の単位質量あたりの体積力を表
す.
一般に,抗力と重力が粒子の運動を支配するので,式(3.13)を次式のように近似する.
/
dup,z・
ui+uz・
-up,i
+
=
dt
Fb,.・
(3.14)
I
ここで,粒子の緩和時間であるては次式で定義される.
三-言窟cDI6・uz・'-up,z・
(3.15)
また,抵抗係数c上)は以下の式で表される.
i
tRep
10000)
(3.16)
(Rep'10000)
ここで,
Rep
-
Repは粒子レイノルズ数を表し,以下の式で定義される・
右'ui'-up,.LIpadp
(3.17)
モデル化する方法にはオイラー法とラグランジュ法の二つがある.
:.重大苧人学院
工学研究科
CFDの二相流の
ー37-
数値シミュレーションでは,オイラー的流体とラグランジュ的粒子が結合した流れ計
算をおこなう.粒子を乱流あるいは層流の連続流体と相互作用する離散的実体として
取り扱い,個々の軌跡を計算する方法であり,本計算ではこの方法を採用し,疏れ場
を移動する単一球形粒子の挙動解析を行った.
一三重大学入学院
t二学研究村
-38-
3.1.3
計算領域と境界条件
本計算は,実験においてノズル出口の形状がアスペクト比10
であるので,およそ
二次元流れが再現できるもとして,二次元物体適合座標を用いておこなった.
図3.1.1にスタンダード形,図3.1.2に予旋回流形の計算領域を示す.ノズル幅2mm
の50倍である十分の助走距離を経た後,大気-と噴出される.スプリッタ-の内側,
外側に吸い込み速度を与え,小さな粒子はスプリッタ-の内側-,大きな粒子は外側
-捕集される.関心のある領域で密となるような不等間隔格子を用いている.なお,
重力の影響を考慮するために,
y方向に-9.8m/s2の重力加速度を与えている.
境界条件を以下に示す.
①:流入条件
速度型流入条件を用い,流入速度umを60m/sとした.
(丑:粒子流入条件
1〟mから1J⊥m間隔でそれぞれ10個ずつの粒子が与えられる.粒子は実験と同じ
銅粉を仮定し密度8920kg/m3とした.粒子は十分に′トさく,空気の流れに十分に追
従しているものとし,予旋回形の場合は∫方向に初速60m/sおよびスタンダード形
の場合はy方向に60m/sが与えられる.
②in:流出条件
質量流束型流出条件を用い,ノズル出口から135o
のスプリッタ-先端位置におけ
る速度〟iが40m/sとなるようにした.
②。ut:流出条件
質量流束型流出条件を用い,ノズル出口における流量Q.の5倍の流量となるように
した.
③:壁面条件
壁面上において速度がoとなるよう粘着条件を与えた.
④:自由流入条件
大気圧での圧力型自由流入条件を与え,
三重大学大学院
γ方向速度成分以外は0とした.
1二学研究科
-39-
ー100
Fig.3. 1.I Calculation
三重大学大学院
region
for standardtype
Ⅰ二学研究科
-40-
ー100
(a) Pre-rotation
flow
type
::
::二∵
I_ミ:-一二⊥
(b) Details
Fig.3. 1.2 Calculation
reg10n
三重大学大学院
of
A
for pre-rotation
ーr二学研究科
type
-41-
3.2
近似理論計算
本節では,粒子の運動方程式を解く
ことによって,固気二相噴流中の各種粒子径
(I-20Flm)の単一粒子の飛行軌跡を求めた.流れは二次元・定常とし,粒子は球形で
粒子同士,円柱壁面との衝突の影響は無視した.実際には,粒子が存在する位置での
気相の瞬時速度(時間平均速度成分と変動速度成分)が必要であるが,近似的に分級
点の予測をする事を目的としたので,変動速度が粒子に与える影響は無視した.
㌻2.1空気噴流の速度分布
円柱壁面に沿って流れる空気噴流の速度分布uaoは以下のようにして求めた.
まず,円周方向の速度分布形〟a8は♂のどの位置においても相似であり次式で表
されるものとする.
%
-
(3.2.1)
f((f)n)
式3.2.1は以下のように書き換えることができ,
%-cl(i)n
・c3(f)n'2
・c2(i)n'1
(3.2.2)
・c4
境界条件
y=0
で
ua8=O
(3.2.3)
y-6
で〟a8-0,普-o
を用いると次式を得る.
芝-c(i)n(1-(吉)〉2
ここでCl-C4,
(3.2.4)
Cは定数である.
次に最大流速位置γmaxを
(1!IL・,Io
=
ym拡言(k:定数,k<.,でuao-u--,
(3.2.5)
(1:I.
と表すと定数k,Cは以下のように求まる.
(3.2.6)
k=1.旦n
二重大学大学院
丁二学研究科
ー42-
(n +2)n+2
C=
(3.2.7)
4nn
本研究では,速度分布の測定結果を使って,
n-1/6とした.
すなわち,式(3.2.4)は,
%-l・8(f)i(I-(f))2
(3.2.8)
k=13
と書き直せる.
ここで,式(3.2.8)より速度分布uaoを求めるには,噴流幅♂と最大流速umを与
える必要がある.
まず,噴流幅6はnと同様に測定結果を参考にし,以下のように与えた.
♂
=
C,I
(3.2.9)
eXp(Cy2β)
k-良
k●= 2.42
次に最大流速〟maxは円柱周りの流れ場に図3.2.1に示す検査体積をとり,そこに
働く圧力および壁面摩擦による力と,運動量の変化の釣り合いにより次の運動量積
分方程式を得る.
孟(ipauao2dy'-Ve孟(ipaua8dy'-一芸(ipdy'・
P%
TwR
O
ここで,
we
0
(3.2.10)
0
VeはBC面での巻き込み速度であり,次式で与えられる.
(3.2.ll)
-孟(ipaua8dy'去
0
また,流れ場の圧力p
∂
p
(次項に詳述)は大気圧をP∞とすると
2
(3.2.12)
-pJ慧汁
)I
壁面摩擦応力Twは,滑らかな平板に対する壁面摩擦応力係数cf
Tw
「
paum
生-o・o225
2
tlmax
ym。x
(3.2.13)
Va
-:_重大学大学院
を用いて
L'_学研究科
ー43-
ここで,式(3.2.18)に式(3.2.16),式(3.2.19),式(3.2.20),式(3.2.21)を代入し積分
計算を漸次進めていくと,最終的にf(6(0),umax,dumax/dO)の一階微分方程式を得る.
o・203i(%)2
i)(普)
-0・0683芸・o・o217(芸)2
-o・oo879(i)3
2um-(0・324
i)・o・o399Jm-1・777
-o,o34(i)3
-(cy2um-2(o1324-0,.37芸.o・o65(芸)2
-
(3.2.14)
-o・203Cy2
-
0
-o・20ry2
これをRunge-Kutta法で解き,円周方向rに対する最大速度umaxを求めた.次い
で,得られた最大速度
umaxと噴流幅6と式(3.2.16)を用い,流れ場の速度分布uao
を求めた.
噴流外縁以遠(y≧6)の速度は,測定結果を参考にua8/umax=0.1とした・また,半
径方向の速度成分〟arは,
方向-広がっていく
〟ar<<〟。βと考えられる.よって,
ことから無視した.
三蚕大学大学院
r.学研究科
〟a.の影響は噴流が半径
-44-
3.2.2
空気噴流の圧力分布
流れ場の圧力分布pは,以下のようにして求めた.
遠心力による半径方向の圧力勾配∂P/eyは,
∂P
paua8
a)
R+r
(3.2.15)
と表され,任意の位置での圧力は次式で与えられる.
∂
p
2
(3.2.16)
-pJ驚砂
.一■
上式に前章で求めた速度分布uaoを用いてSimpsonのl/3公式により流れ場の圧
力分布pを求めた.
I.重大学大学院
T.学研究科
_45-
粒子の運動方程式
3.2.3
図
3.2.2
に円柱壁面噴流の単一球形粒子の運動方程式を求める際に使用した座標系
(流れ場は半径方向に拡大して表示されている)および記号の一部を示す.
まず,粒子の半径(r)方向の運動方程式は慣性力が抵抗力,遠心力,圧力および粒
子が回転することにより生じるマグナスカと釣り合うことから次のように求められる.
u2
m些巴=<s車paTC.Sα+m(1一旦)坦一些ds
1
J
dtー
'ー
4
7
2
ps
r
dr
l
-
(3.2.17)
dluso -ua8I、盲
l・62lus8
-ua8lds2pa(va dr
また,粒子の円周(e)方向の運動方程式は慣性力が抵抗力,コリオリカと釣り合
うことから次のように求められる.
2
u2
usousr
(3.2.18)
m&--cs%
-paTsinα-
dt
r
また,粒子の質量m,粒子の空気に対する相対速度
u,粒子の抵抗がr方向となす
角α,粒子の抵抗係数Csは次式で表される.
m=越
(3.2.19)
6
use
※
α
-ua8
(詳しくは,補足参照)
=arctan
(3.2.23)
1
u=((use
(3.2.20)
-uao)2 +(us, -ua,)2)2
24
(Re
<
1)
Re
Cs-
(3.2.21)
2
芸(1一筈)(Re≧1)
ただし,
Reはレイノルズ数で,
Re=-
dsU
(3.2.22)
Va
I.電大学大学院
工学研究科
-46_
式(3.2.17)の右辺
4
項は,せん断流中に存在する球形粒子が回転することにより
生じる力(マグナスカ)であるが,その大きさは他項に比べて極めて小さかったので
以下の計算では無視した.なお上記の粒子の運動方程式(3.2.17),(3,2.18)を解くには,
粒子を含まない空気噴流の速度分布uae,圧力分布Pを式(3.2.17),(3.2.18)に代入し,
ノズル出口(添え字はe-Oo
)に置ける初期条件
(use)0 = (ua8)0
(3.2.24)
(us,)o= (ua,).
を用いることによりある任意の時刻での粒子速度を求め,微小時間後の変位を算出す
ることから,単一粒子の飛行軌跡を求めた.飛行軌跡は予旋回流を設けないスタンダ
ード形および予旋回流形について求めた.また,いずれの計算条件でも計算領域はノ
ズル出口から135o
の位置までであり,実験に用いた粒子の密度を計算に用いた.
I.重大苧大学院
工学研究科
-47-
鹿足
「3.2.3
以下に,
90o
粒子の運動方程式」に用いたαについて述べる.
なので,いずれの場合も
うにするため,
0-45o
tan♂の値域は±
o
の範囲で処理し,また,分母が
とならないよ
αを以下のように場合分けして計算を進めた.
(us,>(usa-ua8),
0.57T
(us, ≧0)
arCtan
-
use-uao≧0)
((use
-ua8)≧Ius,l)
(us, <0)
0.57T + arcta
I繁竿l
arctan(
(use-ua8≧0)
(-us, ≧Ius8-uao
l)
(use-uae<0)
arctan(l竺器竿I〕
(us, ≧0)
(-(use
-ua8)≧Ius,I)
(〟∫r
<0)
2.07T
-
arCtan
-(use -ua8)
ua8
(us, >-(use -ua8),
三重大学大学院
_
l二学研究科
-(use -ua8)≧0)
ー48-
Fig.3.2.1 Control
三重大学大学院
volume
丁二学研究科
-49-
No zzle
b-
2.0mm
Fig.3.2.2 Coordinate
三重大学大学院
system
工学研究科
-50-
3.3
結果と考察
3.3.1数値解析結果(予旋回流の影響)
図3.3.1(a),(b)にそれぞれスタンダード形の速度分布と粒子の飛行軌跡(粒子径は
それぞれ1,
ui-40m/s,
2,
3,
5,
7,
10,
15,
20JJmである.)を示す.この場合,
um-60m/s,
Q。ut/Q.-5である.ノズルから出た噴流がコアンダ効果により円柱壁面
に沿ってはく離することなく流れているのが分かる.また,粒子は,粒径に従って
それが大きくなるとともに円柱壁面から離れて飛行する.なお,この場合の分級点
はβ50≒2.6〃mである.
図3.3.2(a),(b)-図3.3.4(a),(b)にr-10,20,30mmの速度分布と粒子の飛行軌跡(粒
2,
子径はそれぞれ1,
3,
5,
7,
10,
15,
20〟mである.)を示す.予旋回流路半
径rが増加すると,粒子に作用する遠心力mv2/r(m:粒子の質量,
v:粒子の円周
方向速度)が小さくなる.その結果,
rの増加ととも
D5.は図3.3.5に示すように,
に大きくなっている.
(スタンダード形)とその他の予旋回流形を比較すると予旋回流形
sI値はr--
の方が良くなった.これはノズル出口での粒径分布が粒子径によって顕著になった
ことにより,各粒子が整った状態で飛行したためである.さらに,予旋回流路半径
rが増加するに従ってSI値は減少している.これは予旋回流路が増加したことによ
り,予旋回流路内の粒子の流れが整ったためであると考えられる.
また,本研究では大略の分級点を求めるために流れ乱流成分が粒子に与える影響
を考慮しない数値解析を行った.その結果,完全分級に近い値(∫J-1)になって
しまい,実験結果とは優れた一致は得られなかったが,ある程度の分級性能を予測
することは可能であり,実験を行う上での参考になる.
さらに図
3.3.5
に数値解析結果を比較した分級性能,図
条件に対応した実験結果との比較を示す.
I.重大学人学院
T_学研究科
3.3.6にそれぞれの実験
ー51-
3.3.2
近似理論計算結果
図3.3.7に,スタンダード形の近似理論計算結果(前述の単一粒子の運動方程式,
空気噴流の速度分布,圧力分布を基に得られた単一粒子の飛行軌跡の算出結果)を
示す.また,全ての粒子はノズルの中心(円柱壁面から1.Omm)から噴出するとし
た結果である.
スタンダード形は粒子径が大きくなるにつれ粒子は順に円柱壁面から離れて飛
行する.また,
dp-4.OJlm以上の粒子はほとんど偏向せず直進しており,粒子が円
柱壁面に沿わずに拡散している.実際は粒子問および壁面との衝突,流れの乱れ成
分の影響および微分粒子が添加されることにより噴流の速度分布形が変わること
などの影響を受け,各粒子の飛行軌跡は,特に下流において半径方向-広がる形に
なると考えられる.
本近似理論計算では粒子の飛行軌跡について,その大略を表すことができること
を示した.しかし,さらに精度の良い計算を行うには速度分布(平均及び変動)の
確定,変動速度が粒子に与える影響(ランダムシュミレーション),及び粒子が気
相の流れに与える影響(two-waymethod)などを考慮する必要がある.
三重人草大学院
工学研究科
-52-
3.3.3
まとめ
1.数値解析により,円柱壁面に沿って流れる噴流の流動特性,粒子の飛行軌跡の大略
を描く
ことができる.
2.近似理論計算の精度を上げるには,粒子が気相の流れに与える影響,粒子が変動速
度から受ける影響,および粒子同志の干渉などを考慮する必要がある.
3.本数値計算は分級点の大略の予測,および予旋回流れの影響などを予測するには有
意である.
三重大学大学院
I'_学研究科
53
≡
(a)
Velocity
vector
\、㌔
Test
'ii配
Particle
∼
Copper
:
particle
density:
p
powder
8920[kg/m']
p-
ll
:dp
,!155
-
2
=
3
-
5
-
7
f
)
・・,
O))
Fig.
3.3.1
Particle
trajectory
Calculation
result
r
/I/;::にr■L二
(J‥- )
i
;・■ご1
ち了]l
[fLrn]
-1
-
=
-
10
Ⅰ5
20
ー54-
≡
(a)
Velocity
vector
Test
par【icle
Part.icle
:dp
Copper
:
density
:
1JL.
-3
-
5
-
7
-
10
=
-
(b)
Fig.3.3.2
I-
Particle
trajectory
Calculation
:,・し
(r-10mm)
result
I
I
l
′し.
p-
8920[kg/mI]
【〟m]
-1
=
p
powder
15
20
55
(a)
Velocity
vector
Test
■.
■■さ
l::≡
l・
Particle
:dp
Copper
:
particle
density
-2
.1・・ジ
d
-
3
-
5
-
7
-
-
-
(b)
Fig.3.3.3
Particle
trajectory
Calculation
へl
result
!ソ」
l
(r-20mrn)
「光‡
p
powder
p-
8920[kg/m】】
[LLn)]
-1
LJ■/
:
10
15
20
(a)
Velocity
vector
Test
ヾ
Copper
:
particle
powder
、
Par【icle
:dp
density
-
2
-
3
-
5
-
7
-
-
Fig.
33.4
Particle
trajectory
Calculation
ノ、
」
/・ー
I
result
l
[
(r-30mm)
I
Z
p
p-
[JLm]
-1
-
(b)
:
10
15
20
8920[kgm∃】
57
己
i
き弓
冒
5
10
∽
30
20
r
Fig.3.3.5 Calculation
三重大学大学院
SI
result ofD50and
(EffectPre-rotation
radius
工学研究科
)
mm
-58_
5
己
i
く>
cS
3
Experi
Cal cul ation
ment
(a) Standard
type,
r
∞
-
5
邑
l=〉
cS
4
Experi
ment
(b) Pre-rotation
三重大学大学院
Cal cul ation
radius,
r
-
工学研究科
10
mm
-59-
邑
さ≠∃
cS
5
ー
4.qO
笠___坐-一二軍
I
J
1
L
1
l
l
if3\
l
l
l
」
、∬
[
ll
iZI
l
l
ill
〟m
-
l
、ヽ
∂Om/s
$
1.29
紘-40m/s
1
1
Q.uJQo
-
5
)
I
Experiment
(c) Pre-rotation
Calculation
radius,
r
20
-
mm
己
i
く⊃
cS
5
Experiment
(d) Pre-rotation
Fig・3・3・6 Comparison
calculation
radius,
-
r
of experimentaland
三重大学大学院
工学研究科
30
mm
calculation
results
.
Fig・3・3・7
Particle
/
trajectory(Standard type)
r;;.二
l
Ilノr:ド
6(ト
-61-
第4章
製鉄残撞からの亜鉛粒子の回収
上記までは,銅粉・球形粒子のコアンダ式分級機による分級性能について述べた
が,本章では省資源の観点より製鉄残撞からの亜鉛粒子の回収について述べる.す
なわち,亜鉛粒子の粒度分布率が高い10〟m以下に分級する事が目的であり,い
かに分級性能が良好な状態で多くの亜鉛粒子を捕集する事ができるかを検討した.
4.1実験装置と方法
4.1.1実験装置
前述の2.2.1(a)と同一である.
4.1.2
分級機の詳細
図4.1.1に分級機を示す.ノズル出口手前に90o
の湾曲した部分を設け,予旋回
流部を増設した.これにより,小さな粒子はノズル内を一様に分布し,大きな粒子は
慣性力により上壁面に沿って流れると予測した.ノズル出口幅は2.Omm,外側領域に
おける幅は70mmとする.その他は前述の図2.2.1(b)と同一である.
4.1.3
実験条件
分離板の位置がノズル出口から8-135oの位置に固定されている時は,内側吸い込み
幅が5.Omm,分離板の位置がノズル出口から∂-90oの位置に固定されている時は,内
側吸い込み幅が7.Ommである.
内側吸い込み速度をui-20,
流量Q.の3,
5,
(図4.1.2参照)ノズル出口速度を〟m-30,
30,
40,
50,
60m/s,外側吸い込み流量Q。utをノズル出口
7倍として分級実験を行い,内側と外側のチャンバで捕集された粒子
の粒径分布を測定した.
また,ノズル出口における空気の質量に対する粒子の質量比(Loading-ratio)o.o3-0.14として粉体を供給した.
4.1.4
供試粉体
供試粉体は亜鉛と鉄が主成分である製鉄残漆(宇部テクノ製)を用いた.図4.1.3
に示される粒度分布を持ち,粒子径はd,-1-10011m,平均粒子径は34.6pm,餐
三重大学大学院
40,
l二学研究科
60m/s,
-62-
度はそれぞれ亜鉛が7140kg/m3,鉄が7874kg/m3である.図4.I.4に製鉄残漆の顕微
鏡写真を載せる.
4.1.5
評価方法
前述の2.2.1(ら)と同一である.
三重大学大学院
工学研究科
-63-
=t・t卜し
Outer
exit
Fig.4. I. I Details oftset
section
Fig.4. I.2 Details oftset
section
三重大学大学院
ー工学研究科
164-
十
………音…召萱
≒
1
100
10
Fig.4. 1.3 Size distrlbution of
test
dp(pm)
particle
亜鉛粒子
Fig.4. I.4 Micrograph
人
ノ・、
∫-一卜.,L
i
of particle
l
-65-
4.2
結果と考察
4.2.1ノズル出口速度u虹の影響
図4.2.1に分離板の位置が90o
せた場合のβ5。と
β50と
において,ノズル出口速度を40,
60m/s
に変化さ
∫J値に対する〟mの影響を示す.
∫J値は共に顕著な差はない.本来ならば〟mが増加すると,粒子にかかる
遠心力も増加するので,粒子径による遠心力の差は顕著になるが,今回の場合は内
側吸い込み速度の影響が強いためこのような結果となった.
4
(a)分離版の位置135o
,ノズル出口速度40m/sの場合
図 4.2.2に内側吸い込み速度を
20,
30,
40,
60
に変化させた場合のβ5。と
m/s
SI値に対するuiの影響を示す.
30,
β50は〟i-20,
40m/sに増加させることにより,
なった.本研究の目標である10JJm
〟i-40m/sの時が最良の結果と
に近づいた.これは粒径の小さな粒子が多く
内側領域に捕集された事が挙げられる.
〟i-20,
Son/sの場合,内側吸い込み速度が
小さいため,内側領域-の粒子の流入が困難になり,β50は増大したと考えられる.
〟i-60m/sの場合,内側吸い込み速度が大きすぎるため,はく離点の変化のような流
れの複雑さが生じ,内側領域-径の大きな粒子も吸引されてしまい,上手く分級で
きなかったと考えられる.
∫J値は内側吸い込み速度が〟i-60m/sの時が最良の結果になった.しかし,どの
値においても
∫J値が2以上であり,決して良い結果だとは言えない.
∫J値を向上
させるためには分級機内の安定した流れが必要である.その最適なパラメータを決
定する事が今後の研究の課題である.
(b)分離版の位置90o
,ノズル出口速度40m/sの場合
図4.2.3に内側吸い込み速度を40,50m/s
に変化させた場合のβ5。と∫J値に対す
るuiの影響を示す.
D50と
SI値は共に
uiが増加するに従い減少している.
ui-40m/sの場合は内側吸
い込み速度が小さいため,内側-の流れの流入が困難になるためであると考えられ
る.その結果〟i-50m/sの流れが安定しβ50,
A-.垂人草大学院
∫J値共に減少すると考えられる.
二r二学研究科
_66_
叶1分離版の位置90o
.ノズル出口速度60m/sの場合
図4.2.4に内側吸い込み速度を40,
50,
60m/s
に変化させた場合のβ5。と∫J値に
対する〟iの影響を示す.
D50はui-50m/sの時に最良の結果となった.つまり,
uiが
umに対して適当な速
度であり,分級機内での安定した流れが得られたためと考えられる.
∫J値は〟iの変化に対して顕著な差があるとは言えない.本来ならば内側吸い込
み速度の増加により,内側-の流れの流入が容易になり,それに応じた変化が期待
されるが,今回の場合はノズル出口速度の影響が強いためである.
外側吸い込み流量Q
4.2.3
図4.2.5に分離板の位置が90o
3,
5,
7倍
において,外側吸い込み流量をノズル出口流量の
に変化させた場合のD50と
SI値に対する
Q.utの影響を示す.
D5.と
は共にQ。u./Qo-5の時に最良の結果となった.
D5.について,
Q。ut/Q.-3では,
Qoutが小さいために,外側領域に捕集されるはず
だった粒径の大きな粒子も内側領域に捕集されたためであると考えられる.そのた
めD5。は大きくなったと考えられる.
粒子も外側領域に捕集されるため,
Q。ut/Q.-7では,
Q。utが大きいほど,小さな
β50は小さくなると予測していたが,実際は大
きくなった.これが無視できる程の誤差かどうかは今後,実験を重ねた上で検討し
ていくべき課題である.
sI値について,
Q.utの変化による顕著な差があるとは言えない.ノズルから噴出
した粉体の内,小さな粒子は円柱壁面に沿って内側領域に捕集される.この時,内
側領域-の流れの流入が困難な場合でなければ,流れは安定し,それ以外の粒子は
外側領域に捕集される事になる.つまり,
SI値は
Q。utの影響をほとんど受けない
と考えられる.
4.2.4
分離板の位置による影響
分離板の位置をノズル出口から,
135o
より,D5.とSI値共に良好になった.
の位置から90o
の位置に設置したことに
(表4.2.1を参照)分離板を135o
置しているときは,内側に捕集されるはずだった微小な粒子も外側-捕集されてい
た.これはノズル出口から分離板までの距離が長いため,粒子にかかる遠心力が弱
:I.重大苧大学院
T.学研究科
の位置に設
SI
-67_
まるためであると考えられる.さらに,分離板を
90o
り,全捕集量に対する内側領域の捕集量(Collection
の位置に設置することによ
rate)
CRが2-3倍に増加し
た.すなわち,D50とSI値を良好な状態のままCRが増加する事は,分級の効率化,
省エネ化に繋がると言える.
4.2.5
運転動力低減の影響
将来的に実機として運転するにあたり,運転動力の低減化がコスト,騒音の低下
に繋がる.そこで,分離板の位置が135o
〟m-40m/s,
Q。ut/Q.-5の結果を参考にして,ノズル出口平均速度,内側吸い込み速
ui-40m/s,
度を減少させ,
図4.2.6に,
um-30m/s,
um-40m/s,
を比較した場合のβ5。と
β5。,
において良好な結果を得た,
Q。ut/Q.-5の条件で実験を行った.
ui-30m/s,
ui-40m/s,
Q。ut/Qo-5と
um-30m/s,
Q。ut/Qo-5
ui-30m/s,
∫J値に対する影響を示す.
∫J値共に増加し,分級性能が低下している事が分かる.その原因として,
ノズル出口平均速度を減少させた事により,粒子にかかる遠心力(F-mv2/r)が減少
したこと,流れが不安定になったことにより,内側領域にうまく粒子が捕集されな
かったためだと考えられる.
4.2.6
かい離粉体の影響
かい離粉体とは製鉄残壇を圧縮空気に同伴させ固気二相流として衝突板に衝突さ
せたものである.大きな径の粒子表層に凝集付着している亜鉛粒子を分散(かい離)
させ,分級後の亜鉛粒子回収率を上げることを目的とした粉体である.ただし,かい
離粉体の原粉の粒度構成は今まで用いた製鉄残建と同じものである.
図
4.2.7
に最良の結果を得た分離板位置
Q.ut/Q.-5の実験条件で行った結果を示す.
90o
D50,
において,
〟m-40m/s,
〟i-50m/s,
SI値共に大幅に下がっている・つ
まり,分級性能は向上した.かい離粉体は微粉側に粒度分布が移動し,特に10〟m
以下の量が製鉄残漆と比べ約2倍になり,全体の粒度分布も45%が10〃m以下と
なった事が大きな要因であると考えられる.そのため,微小な粒子はより内側領域
に捕集され,大きな粒子はより外側領域に捕集される.なぜならば,
粒子の量が増加したことにより,粒子にかかる遠心力の差が粒子径によって,より
顕著になったからであると考えられる.
三重大学大学院
工学研究科
loll
m以下の
-68-
4.3
まとめ
上記の結果から,
1.本研究において,当初の目標であったD50=1011m以下での分扱が達成できた.
から
2.分離板の位置を135o
にすると,
90o
50%分離限界粒子径D50,
上し,内側-捕集される粒子が増加する.
3.本実験における最適な運転条件(すなわちβ50-10〃m以下を達成する)は分離
板位置90o
,
um-40m/s,
4.かい離粉体を用いると,
ui-50m/s,
β50,
三
Q.ut/Q.-5である.
∫J値は共に向上する.
重大学大学院
工学研究科
SI値は共に向
69
玩
3
己
ゴ.
⊂〉
弓
Fig・4・2. 1 D50 and SI
(Effectof jetvelocity)
a
i
く>
qn
30
Fig.4.2.2 D50and
40
SI
三重大学大学院
(Effectof
60
inner
工学研究科
uim/s
suction)
70
隻
cS
50
Fig・4・2・3 D50 and
SI
(Effectof
払m/s
inner
suction)
15
日
i
E<
qn
13
40
50
60
tI.
Fig・4・2・4 D50 and SI
三重大学大学院
(Effectof
inner
工学研究科
m/s
suction)
-71-
邑
E<
cS
3
5
Fig・4・2.5 D50and
SI
7
(Effectof
outer
Q.ut/Qo
suction)
己
i
くっ
匝
〟m-40m/s
ui-40
Fig・4・2・6 D50 and SI
三重大学大学院
m/s
〟m-30m/s
ui-30
(Comparison
of two
丁二学研究科
m/s
experiments)
-72-
邑
ヒヨ
cS
Standard
Fig・4・2・7 D50 and SZ
particle
New
(Comparison
三事大苧大学院
particle
of two
工学研究科
experiments)
Table.4.2. 1 Summ∬y
供給時間
供給質量
76.10
67.78
3.90
3.90
25
20
97.50
70.87
66.38
3.90
3.90
20
20
78.00
78.00
78.00
6ー.58
68.99
63.54
70.87
3.90
3.90
20
20
5.19
55.06
60.25
8.18
6.58
48.15
54.73
8.25
5
5
6.58
8.39
48.15
51.73
54.73
60.12
50
50
3
5
9.60
6.58
49.79
59.39
48.15
50
7
2.61
25.64
54.73
28.25
40
50
60
5
5
5
7.65
8.39
6.30
33.49
51.73
35.71
ui
¢○ut
40
20
40
∃ヨ 40
40
30
40
60
5
5
5
2.13
2.23
ー.88
73.97
65.55
68.99
5
2.29
64.09
30
30
40
5
5
1.96
1.88
40
40
40
5
50
5
E]
40
EZ]
60
50
50
ぐウ
南
.
1
r
負
〉丁
ヰ在
田
i...-1'E.
(R
〉T
40
節
ri
茸
in回収質量① out回収質量2
(①+②)g
MR
OR
LR
β50
S/
0.78
0.87
0.03
0.03
0.03
0.03
17.89
15.07
3.39
3.67
0.9ー
0.85
0.03
0.03
0.03
0.03
ー0.43
12.64
2.88
2.76
78.00
78.00
0.82
0.91
0.03
0.03
0.03
0.03
13.90
10.43
3.26
2.88
8
65.44
0.92
0.09
0.07
16.21
3.68
7
57.74
0.95
0.12
0.07
1ー.68
2.38
8.25
12.34
7
4.67
57.74
57.63
0.95
1.04
0.12
0.14
0.07
0.07
ll.68
1ー.52
2.38
2.58
10.91
8.25
6
65.46
0.10
0.07
15.00
ll.68
2.45
2.38
10.91
3
57.74
32.73
0.91
0.95
0.16
7
0.10
12.84
2.47
24.02
12.34
24.15
2
4.67
2
0.19
0.14
0.14
0.07
14.53
ll.52
0.15
0.14
13.38
2.57
2.58
2.56
l
LT:.;
{
ヰ在
盟
result
Ff7
〟m
LO
of experimental
⊂>
他
坐
40
田
ijl!l
(R
40
40
60
60
60
※Qout/QO:(外側吸い込み流量)/(ノズル出口流量)
LR=Ioading
raito : (粒子の質量/空気の質量)
n7=feed
rate
OR=coHection
MR=mass
:
g/m
ratio
ratio
:
①/(①+②)
(①+②)/供給質量
:
41.14
60.12
42.01
48.04
57.63
48.29
0.86
0,86
1.04
0.87
0.12
0.09
-74-
第5章
結
論
本研究では,円柱壁面に沿って流れるコアンダ付着噴流の流動特性,及び,微粉粒
子を含む固気二相コアンダ付着噴流による微粉粒子の分級性能に及ぼす予旋回流の影
響を明らかにした.
その結果,以下の事項が明らかとなった.
1.コアンダ噴流(空気単相)に対する予旋回流の影響
(1)壁面接線方向速度分布の形状は,予旋回流部が流体に及ぼす遠心力の影響により予
旋回流形の方がスタンダード形よりも大きな広がりを持つ.
(2)壁面接線方向乱れ分布の形状はどの形状においても,壁面近傍と,噴流外縁の乱れ
が大きくなる.また,予旋回流部が流体に及ぼす遠心力の影響により予旋回流形の
方がスタンダード形よりも大きな乱れを持つ.
(3)最大速度は予旋回流部が流体に及ぼす遠心力の影響により常に予旋回流形の方が
スタンダード形より大きい.
(4)半値幅,噴流幅は予旋回流部が流体に及ぼす遠心力の影響により常に予旋回流形の
方がスタンダード形より大きい.
2.コアンダ式分級に対する予旋回流の影響
(1)um-60m/s,
ui-40m/s,
Q。ut/Q。-5,
r-20mm
の場合に,最′トの分級点,
50%分離限界
粒子径β5。-3.80〃.mを得た.
(2)um-60m/s,
ui-40m/s,
Q.ut/Q.-5,
r-30mmの場合に,最良の分級の鋭さ,
sI-1.50を
得た.
(3)ノズル出口速度はβ5。を予測する指標となり,吸引速度は∫Jを予測する指標とな
る.
(4)予旋回流部の無いスタンダード形と予旋回流形を比較すると,予旋回流部の影響に
より,ノズル出口で粒子が整った分布を持つため予旋回流形分級機の方がβ50,
値共に向上した.
(5)予旋回流路半径を増加させる事により,粒子が整った状態で飛行したため∫J値は
向上した.
三重大学大学院
工学研究科
∫J
-75-
L数値解析と近似理論計算
(1)数値解析により,円柱壁面に沿って流れる噴流の流動特性,粒子の飛行軌跡の大
略を描くことができる.
(2)近似理論計算の精度を上げるには,粒子が気相の流れに与える影響,粒子が変動
速度から受ける影響,および粒子同志の干渉などを考慮する必要がある.
(3)本数値計算は分級点の大略の予測,および予旋回流れの影響などを予測するには
有意である.
4.製鉄残液からの亜鉛粒子の回収
(1)本研究において,当初の目標であったβ50-10〟m以下での分扱が達成できた.
(2)本実験における最適な運転条件はum-40m/s,
ui-50m/s,
Q。ut/Q.-5,分離板位置90o
である.
(3)分離板の位置を135o
から90o
にすることによって,
-捕集される粒子が増加した.
(4)かい離粉体を用いる事により,
β5。,
:_重大学大学院
∫J値共に向上した.
1二軍研究科
β5。,
∫J値共に向上し,内側
-76-
謝辞
本研究を進めるにあたり,終始懇切,丁寧なご指導をいただいた社河内敏彦教授,
並びに貴重なご助言をいただいた辻本公一准教授,安藤俊剛助教に感謝の意を表し
ます.
また,研究,実験を進めるにあたり,ご協力いただいた平成20年度学部4年生
大谷康崇君,および流動現象学研究室の皆様に深く感謝します.なお,公私共々お
世話になった平成18年度博士前期課程修了岡崎元紀氏をはじめ,粒子測定などに
ご協力いただいた新東ブレーター株式会社の皆様,実験装置の製作にご尽力くださ
った実習工場の皆様に深く感謝いたします.
最後に,本研究遂行,本論文作成にあたり多大なご指導,ご助言をいただきまし
た社河内敏彦教授に重ねて深く御礼申し上げます.
I.電大学大学院
工学研究科
-77-
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