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前立腺生検について PDF
前立腺生検について 前立腺は、膀胱からの尿の出口を取り囲むように存在する男性生殖器のひとつです。栗の実くらいの大 きさで、精液の一部を作っています。加齢とともに前立腺の疾患は増加します。前立腺がん患者の多くで は、PSA(前立腺特異抗原)という物質の血中濃度が上昇しています。 (ただし大きな前立腺肥大症や前 立腺炎でも上昇します。 )直腸診や超音波・MRI などの画像検査も前立腺がんを診断する手段です。これ らの検査結果で、前立腺がんの存在が疑われた場合には、実際に前立腺組織を採取してがん細胞の有無 を顕微鏡で確認します。それが前立腺生検です。 【前立腺生検の方法】 検査(手術)台の上で、足を大きく広げた体位をとります。麻酔薬入りのゼリーを肛門、直腸に塗布・注 入したあと、肛門から超音波検査の機械を挿入します。まず前立腺の大きさ・異常所見の有無を観察しま す。続いて前立腺周囲に局所麻酔薬を注射したあと、会陰部と直腸から直径約 1mm の針を刺入して前 立腺組織を採取します。現在、当院では会陰側から8箇所と直腸から6箇所採取しています。検査時間は 約30分です。 【合併症】 血尿・尿道出血・血精液症:前立腺は膀胱の出口と尿道を取り囲んでいますので、血尿や尿道からの 出血が起こります。通常は数日で改善します。しかし、血尿が強い場合は入院期間の延長や再入院、 とてもまれですが輸血などの処置が必要になる場合もあり得ます。精液に血液が混じることもありま すが、自然に軽快します。 東京都立大塚病院泌尿器科 血便・直腸出血:直腸から前立腺に向かって針を刺しますので、検査後は直腸粘膜から多少の出血が みられます。検査直後に穿刺部を圧迫し、止血を確認して検査を終了します。しかし、直腸からの出 血が強い場合は入院期間の延長や再入院、とてもまれですが輸血などの処置が必要になる場合もあり 得ます。 発熱:前立腺に針を穿刺することによって、感染(前立腺炎)を起こす可能性があります。予防的に 抗生物質の内服もしくは点滴投与を行います。発熱した場合は、入院延長や再入院処置が必要になる ことがあります。 【生検後の注意】 飲酒は1週間控えてください。アルコールは血管を拡張する作用がありますので、前立腺の炎症や出 血を助長する危険があります。 自転車やバイクの乗車も1週間はできるだけ控えてください。サドルがぶつかることによって、機械 的に前立腺の出血を助長する危険があります。 入浴は検査翌日から可能ですが、長時間の入浴は前立腺の出血を助長する危険がありますので控えて ください。 【生検の結果と陰性の場合の注意点】 生検の結果は1週間前後で判明します。次回外来で担当医より説明いたします。 がんが検出された場合、がんの進行度(広がり)を評価したうえで、最適と思われる治療法をご相談 します。 がんが検出されなかった場合は現時点では大丈夫と判断しますが、がんが存在しているのに針が当た らなかった場合や微小な大きさだった場合は検出できないこともあります。がんが検出されなかった 場合でも、定期的(3ヶ月~1年ごと)に血液検査などを受けることをお勧めします。やはりがんの 存在が疑われる場合は、再度生検をお勧めする場合があります。 東京都立大塚病院泌尿器科