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究極理論

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究極理論
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究極理論
要旨
「物理学者の夢」と言われ、あらゆる力学現象が説明でき、物理学における最終理論になると、注目
されている理論がある。それは「超ひも理論」や「万物の理論」とも呼ばれ、この理論について専門的
な知識、数式をなるべく用いずにまとめる。
また、その理論で具体的にどのような事が明らかになり利用されていくのか、また、今後どのように
研究が進んでいくのかについても述べていく。
1.目的
・究極理論(超ひも理論)について専門的な知識をなるべく簡単な表現にしながらまとめる。
・まとめたものを簡潔に説明できるようにする。
2.研究の手順
・理論について書かれた本や論文を読んだり、インターネットを利用して調べまとめる。
・分かりにくい表現があれば詳しく調べ、自分なりの簡単な単語で表現していく。
3.結果
(1) 超ひも理論とは何か
この理論では時間、空間、重力、物質、エネルギー、などのあらゆることが理解できるように
なり、宇宙の始まりから終わりまでのメカニズム、ブラックホールの構造やプランクスケールの
力学などのあらゆる現象がこのひとつの理論で説明することができるようになる。
あと一歩というところまで完成してきているが、まだ完全な理論となっておらず現在も世界中
で研究が行われている。
(2)どんな理論なのか
超ひも理論とは、
「ものの最小にして究極の構成単位はひも状の物
質である。
」と考える物理理論のことである。
つまり、今まで物質を構成している要素は、大きいものから順に
原子→陽子や中性子→クオーク・電子
のように考えられていた。
(図1参照)
しかしこの理論では物質の最小単位がクオークなどの粒子から成
り立っているのではなく、さらにその先の小さな世界にある1本に伸
びたひも、もしくは輪ゴムのように閉じたひもの2種類によって成り
立っていると考えられている。(図2参照)
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(図1)
(3)超ひもとはなにか
(2)で述べたようにすべての物質は2種類のひもからできている。
端のない1本のひもは両端が光速で回転し、閉じたひもは膨らんだり縮
んだりを繰り返して振動している。このひもは1秒間に約 1042回振動し、
非常に高いエネルギーを持っている。
そしてこのひもが持っているエネルギーの大きさの違いによって振動の
(図2)
仕方が変化し、異なる性質を持つようになる。
そして、この性質の違いが私たちにはさまざまな異なる粒子となって見える。
(図3参照)
ひもの長さは 10-33m の世界に存在していて、この長さは「プ
ランクの長さ」と呼ばれ、大きさが無限に小さく長さの限界とさ
れている。10-33m とは、水素原子の大きさの1兆分の1のさら
に 1000 億分の1の大きさとなり、非常に小さいため、ひもの観
測や検証などが困難とされている。
(図3)
(4)なぜひもなのか
すべての物質が粒子から成り立っていると、するとそれぞれの素粒子に対応した粒子が何種類も
存在することになってしまう。しかしひもで現すと(図3)のように波打ったりゆがんだりすること
で一種類のひもですべての素粒子になることができる。
(5)なぜあらゆる現象が理解できるようになるのか
まず、物理学には基本的な4つの力がある。
「重力」
、
「電磁力」
、
「弱い力」
、
「強い力」の4つである。
これらの力は宇宙が誕生した時にはもともと1つの力にまとまっていたもので、時間が経過する
とともに現在の力まで分岐してきた。
(図4参照)
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(図4)
それらのバラバラになってしまった力を、
「超ひも理論」というひとつの方程式でひとつの力に
統一し、自然現象の中の一見複雑そうな力を、1つの力としてまとめあげることで、シンプルで
基本的な法則性を見出すことが可能になりさまざまな現象や分野への利用が可能になる。
(6)4つの力とは
・重力
質量をもつすべてのものの間に働く力である。地球やその他の星にある。
ニュートンの万有引力やアインシュタインの一般相対性理論などで詳しく研究されている。
この力だけが現在統一されていない。
・電磁力
プラスとマイナス、2つの電荷を持ったものすべての間に働き、互いに引き合ったり退けあ
ったりする力。電気や磁石にはたらく。
元は電気力と磁気力は別々のものだったが、19 世紀にマクスウェルが電磁気学としてまとめ
る。
重力と電磁力は日常生活でも見かける身近な力である。
・弱い力
原子核の中性子がベータ崩壊を起こす力である。
ベータ崩壊とは不安定な原子核が、中性子が陽子と電子と反ニュートリノに崩壊する現象の
ことである。つまり、原子が壊れるときに働く力である。
・強い力
クオーク間に働く力、または核力である。
陽子と中性子を結び付ける力で、遠距離になるほど結合力が強くなる。
湯川秀樹が最初に発見した。
(7)どのように力を統一させていくのか
(5)で述べたように、この理論では「どのように力が分岐したのか」を説明することができれ
ば、その二つの力は元々ひとつの力だったと言うことができる。この作業をそれぞれの力につい
ておこなうことで異なった性質を持った力を統一していくことができる。
力の統一には「ゲージ場」という考え方が用いられ、力の存在する「場」
、つまり環境を変えて
みても力の性質が変わらなければ統一ができたということが言える。
現在重力以外の力は下のようにひとつの理論でまとめられている。
電磁力+弱い力→電弱力
電弱力+強い力→大統一理論
理論の完成まであと一歩というところまで統一されているが重力の統一はまだできず、世界中
で現在も多くの研究がなされている。
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(8)どのようなことに利用されるのか
時間と空間の関係はアインシュタインの一般相対性理論により一体であると考えられている
ので、空間の根源、つまりプランクの長さのレベルに存在しているひもを探ることで時間とはど
んなもので、なぜ、どのようにして生まれたのかと言うことも説明できるようになる。
また、その領域では時間や空間は私たちが思っているような滑らかに流れているものではなく、
あらゆる物質と同じように、細胞のような小さな時間や空間のあつまりから成り立っていると考
えられている。
もし超ひも理論が完成すれば(1)で述べたようなこと以外にも、更に様々なことが明らかに
なっていく。
たとえば、この理論は現在の未完成の時点でも既に宇宙論などの分野で利用されていて、2008
年にはこの理論をもとにスーパーコンピューターでブラックホールの内部構造を明らかにする
ための計算が行われ、それまでに提唱されていたものが正しいのだと確認された。
このことから、
超ひも理論はブラックホールを解くための鍵になると言われている。
(9)問題点
・この理論ではひもは 10 次元の世界に存在していて、私たちがいる現在の世界も 10 次元で構
成されていると言われている。このことは計算で確認されているが、理論的に説明ができたと
しても 10 次元を実験によって検証することが現在の科学技術では不可能とされている。また、
ひもについても同様に、存在している世界が小さすぎて検証や観測が不可能とされている。
・現在も新たな発見や理論を証明するためのさまざまな視点からの証明方法が提唱され、多くの
モデルが存在している。それらを一つの矛盾のない理論にまとめあげなければならない。
・これら以外にもいくつかの問題点があり、一部の学者からは物理学の仮説として意味がない理
論だと批判されている。
4.結果に対する考察・わかったこと
この理論は長年研究され、完成に近づいてきているがまだ問題があり完成していない。しかし現在
の時点でも多くの分野で利用され、さまざまな功績をあげている。もし理論が完成したら今以上に多
くの功績をあげるだろうといわれ、注目され続けている。
力の統一の仕方や、超ひもという概念はある程度理解することができたが、ゲージ場という場の考
え方や、理論の矛盾点を解決するための計算方法などは今の段階では理解することができず、おおま
かな内容を知ることしかできなかった。
5.参考文献・引用文献
はじめての<超ひも理論> 川合 光
図は
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/news/2006/may/index.html
http://www.h7.dion.ne.jp/~natsuume/visual/string1.html より引用。
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