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Investment Note - Manulife Asset Management / Home
Investment Note 2015年2月 アベノミクス:第3の矢に対する低い期待 マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社 債券運用部ポートフォリオ・マネージャー 金丸壮史 安倍首相は、昨年末の選挙ではアベノミクスへの信任を争点として大勝を収めた。この点だけを取り出せば、これまで 進捗が遅れてきた第3の矢(成長戦略)は今後加速すると見るのが普通だが、それとは対照的に市場の成長戦略へ の期待は低めとなっている。実際、アベノミクスに関する一般的な見方(特にメディアにおいては)は、第1及び第2の矢 (それぞれ金融緩和、財政政策)は株高と円安を通して大企業や富裕層に恩恵を与えた一方、一般の人々に対しては ほとんど恩恵を生まないどころか、むしろ輸入価格の上昇と増税によって悪影響を与えたといったものが大勢である ようだ。 成長戦略の検証 下表は主な成長戦略とそれぞれの直近の状況をまとめたものである。各施策に関して何かしらの進捗はあり、施策に よっては実行段階に位置するものもある。例えば、法人税減税や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポート フォリオに関するガイドライン変更はそうした段階にあり、両者とも市場の関心を集めてきた。 一方で、その他の施策に関しては、実行段階からは程遠いところにあるのが実情であり、これが成長戦略の進捗度合 が遅いと批判される所以と思われる。しかし、そうした緩慢なペース自体は、構造改革が往々にして利害対立を招く性 質であることを勘案すれば特段驚くには値しない。実際、農協改革にしてもJA農中がこれまでの権限を容易に放棄す る可能性は非常に低いと考えられ、交渉には多大な時間を要すると思われる。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定) も日米間で特定品目(日本からの自動車輸出、米国からの豚・牛肉の輸出等)の関税を巡って交渉が頓挫した状況が 長く続いてきた。法人税減税にしても、2016年度までの減税幅は決まってはいるものの、財務省は法人税収低下分を 穴埋めする代替財源の確保に努めると予想されるため、それ以降の減税がどうなるかは不確実であり、時間を要す る話でもある。 主な成長戦略の施策 カテゴリー 施策 直近の状況 年金 GPIFのガイドライン変更 変更実施(内外株式へのエクスポージャーを50%超へ) 企業 コーポレートガバナンスの 改善 日本版スチュワードシップ・コードの策定。計157の機関投資家が受 け入れ コーポレートガバナンス・コードの原案策定 法人税の20%台への引き 下げ 2015年度に実効税率を32.11%へ引き下げ 2016年度には 31.33%へ引き下げ 基本方針策定 国家戦略特区 11区域の特区を指定。関連法案を2015年度通常国会に提出予定 規制緩和・ イノベーション ロボット革命実現会議の立ち上げ ロボット革命 ロボット新戦略を策定 アベノミクス:第3の矢に対する低い期待 2015年2月 女性の雇用は過去2年間で84万人増加 女性の社会進出 労働 2019年度末までに約30万人分の学童保育の受け皿確保 指導的地位に占める女性の割合を2020年に30%へ 外国人材の活用 要件の緩和を議論 働き方の改善 ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を議論 TPP(環太平洋戦略的経済 連携協定) 特定品目に対する関税を巡って日米間で交渉が頓挫 農協改革 JA全中を一般社団法人化へ 2016年から小売参入の全面自由化実施予定 貿易・産業 電力システム改革 電力システム改革を遅くとも2020年目途に完了 医療 保険外併用療養費制度の拡大 観光 2014年の外国人観光客は過去最高の1,340万人に到達。ASEAN諸 国に対するビザ発給要件を大幅緩和 出所: 首相官邸ホームページ 、マニュライフ・アセット・マネジメント 成長戦略の「効果」 上述した緩慢な進捗ペースに加え、第1及び第2の矢が金融市場や経済指標に対して即効性のある効果をもたらすの に対し、第3の矢である成長戦略の場合、その効果を目に見える形で認識することが難しい。そもそも特定の施策の 成功が必ずしもGDPを押し上げるとは限らず、また仮に著しい経済効果がある施策であったとしても、その効果が顕 在化するにはかなりの時間を要するだろう(市場やメディアは成長戦略が直ちに効果をもたらすことを求めているが)。 こうした点を勘案すれば、政策担当者にとってこの第3の矢が3本の矢のうち最も困難であることは想像するに難くない。 しかし、以上の点を割り引いても、安倍政権は成長戦略に関連したポジティブサプライズを市場に対して十分に提供 出来てないことは事実である。特に、成長戦略の成功には市場の高い期待が継続することが重要と考えられ、この点 でやや懸念事項と言える。 想定される今後の動き 弊社では、成長戦略は今後も緩慢だが着実なペースで進行すると予想している。例えば、法人税は数パーセントとは 言え今年度から減税が開始され、また東京オリンピック向けの各種インフラ支出も予定されている。成長戦略関連法 案も今後は続々と国会で可決する見込みである。賃金に関しては企業業績の改善により、今年度も昨年度と同様もし くはそれを上回る伸び率での上昇が見込まれる(経団連によると2014年度の賃上げ率はプラス2.28%)。賃金に関し ては更に、インフレを調整した実質賃金で見ると、昨年はマイナスの伸びが継続してきたが、今後は原油安に加え、4 月以降は昨年の増税による物価上昇効果が対前年比では一巡することで、急速にプラス圏内に転換すると予想され る。もちろん、後者は単にテクニカルなもので実質的な意味合いを持たないが、公表数字は往々にしてその背景はと もかくとして既成事実化する傾向があり、実質賃金のプラス転換という事実はアベノミクスのアピール材料となるかも しれない。 より重要な点としては、各種経済指標が昨年の増税以降の景気後退局面からの回復をようやく示唆し始めているとい う点である。実際、弊社では成長戦略の成功にはマクロ経済環境が良好であることが極めて重要なファクターと認識 している。事実、昨年は増税後の景気悪化に伴って景気見通しやインフレ期待だけでなく、成長戦略を含むアベノミク ス全体に対する期待が大きく後退した。そうした期待のボトムは恐らく昨年後半であったと考えられ、今後は経済環境 の持ち直しに伴って期待は後退した部分を緩やかに取り戻すと思われる。 アベノミクス:第3の矢に対する低い期待 2015年2月 しかしながら、市場参加者が期待するようなドラスティックな変革の可能性は低く、上述したような進展も市場参加者 の期待を上回るにはインパクト不足であろう。今後も成長戦略に対する批判的な論調は止むことはないであろう。一 方で、市場へのインプリケーションという観点からは、マクロ経済環境が昨年後半対比で持ち直すことに起因して、成 長戦略が大きな失望を招く可能性は非常に低いと考えられ、影響としては中立といったイメージである。率直に言って、 アベノミクスがどう評価されるかはマクロ経済環境次第といった側面があり、予想を上回る景気回復となる場合は、成 長戦略に対する見方も多少は改善するかもしれない。 リスク要因 やや先の話になるが2017年4月の増税が成長戦略に対しては目下最大のリスクだろう。引き上げの時期が元々の 2015年10月から延期されたこと自体はプラス材料だが、実施は結局のところ時間の問題である。計画通り実施されれ ば再度の景気悪化は不可避であり、2014年後半のように成長戦略への機運も萎んでしまうリスクがある。 マニュライフ・アセット・マネジメントについて Manulife Asset Management は、カナダのグローバル金融サービス企業であるManulife Financial Corporation の資産運用ビジネス部門です。 運用拠点はカナダ、米国、英国、日本、香港を含む世界17ヵ国に構え、伝統的資産からオルタナティブに至るまで多岐にわたるグローバル投資戦 略をご提供しています。2014 年12月末時点のグローバル運用総資産は2,767 億米ドル(約33.2 兆円)です。 トロント ボストン Manulife Asset Management Limited 200 Bloor St. E., NT-6 Toronto, Ontario M4W 1E5 Canada TEL:+1-416-852-2204 Manulife Asset management (US) LLC 101 Huntington Ave Boston, MA. 02199 United States TEL:+1-617-375-1500 ロンドン ボストン(実物資産運用/森林・農地投資) Manulife Asset Management (Europe) Limited 10 King William Street London, U.K. EC4N 7TW TEL:+44-20-7256-3500 Hancock Natural Resource Group 99 High Street, 26th Floor Boston, MA 02110-2320 United States TEL:+1-617-747-1600 東京 マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-1 丸の内トラストタワーN 館15 階 TEL:03-6267-1940 (セールス・顧客サービス部) 香港 Manulife Asset Management (Asia) 47/F Manulife Plaza The Lee Gardens, 33 Hysan Avenue Causeway Bay, Hong Kong TEL:+852-2910-2600 上記以外のアジアにおける資産運用拠点一覧 • 中国(北京市) • 台湾 • シンガポール • インドネシア • マレーシア • タイ • ベトナム • フィリピン Manulife TEDA Fund Management Company Ltd. Manulife Asset Management (Taiwan) Co., Ltd. Manulife Asset Management (Singapore) Pte. Ltd. PT Manulife Aset Manajemen Indonesia Manulife Asset Management Malaysia Sdn Bhd Manulife Asset Management (Thailand) Company Limited Manulife Asset Management (Vietnam) Company Ltd. The Manufacturers Life Insurance Co. (Phils.), Inc. 日本における資産運用業務の展開 日本における資産運用業務は、1999年にマニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーションが旧第百生命保険との生命保険事業における合弁を開 始したことにさかのぼります。弊社の前身はマニュライフ生命保険会社の資産運用部として保険資産を中心とした業務を行なってきましたが、2005 年に投資顧問会社MFCグローバル・インベストメント・マネジメント・ジャパン株式会社(※)として設立、国内の資産運用ビジネスに参入し、年金基 金を含む機関投資家向けの投資一任業務を開始いたしました。今日弊社では、マニュライフ・グループの保険資産のほか、年金基金をはじめとす る機関投資家のお客様向けに国内債券および日本株式を5年超に亘り運用しているほか、近年実物資産としての注目の高いグローバル森林投資 やグローバル農地投資、また成長期待の著しいアジアにおける債券および株式運用、さらにモーゲージ証券等を活用した債券ソリューション戦略 商品をご提供しています。(※2011 年1 月11 日に社名を変更、マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社となる) 日本国内向け主要運用商品一覧 <債 券> <オルタナティブ> <株 式> 日本株式クオンツ・アクティブ(バリュー型) アジア小型株式 グローバル株式 グローバル資源株式 中国A株運用(QFII(適格外国機関投資家) と しての認可を取得しています) 日本債券アクティブ(総合型) 日本債券ストラテジック・アクティブ アジア債券アクティブ グローバル債券 米国ハイ・イールド債券 証券化資産 人民元(RMB)建て債券(QFII(適格外国機関 投資家)としての認可を取得しています) グローバル森林投資 グローバル農地投資 ディスクレーマー 本資料は情報の提供のみを目的として作成されており、特定の商品について勧誘・販売を行うものではありません。また、作成時における信頼で きると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、適時性, 信頼性、完全性を保証するものではありません。また、資料に掲載 された過去の実績等は将来の結果を約束するものではありません。 投資一任契約に関する留意事項及び投資対象となる有価証券等に係るリスク 投資一任契約はお客様から金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部の一任を受け、その投資判断に基づきお客様のために 投資を行うのに必要な権限を委任されお客様の財産を運用する契約です。当該契約に基づき投資を行う場合、資産種目ごとのリスクは以下のと おりです。投資対象資産の種類や投資制限、投資対象国等によりリスクの内容や性質が異なります。なお、以下はすべてのリスクを網羅したもの ではありません。 ① 株式 株式市場および投資先となっている企業の株価が下落するリスクがあります。株式市場全般における株価が下落する場合や株式の発行体の 業績が悪化した場合には、投資先の株価が下落し、損失が生じることがあります。 ② 債券 金利の上昇により債券価格が下落した場合や発行者の信用状況の悪化等の場合に損失を被ることがあります。従って投資一任契約のもとで 投資した元本は保証されているものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。 ③ 証券投資信託受益証券 組入れた有価証券等の値動き(外貨建証券の場合には為替市場の変動の影響も受けます)や当該有価証券発行者の信用状況の悪化等によ り基準価額が下落し、損失を被ることがあります。従って投資元本は保証されているものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。クローズド 期間がある証券投資信託受益証券については、クローズド期間中は換金することができません。 ④ 外国籍ファンド(外貨建) 組入れた有価証券等の値動きや当該有価証券発行者の信用状況の悪化、為替相場の変動(組入れた有価証券がファンドの表示価格と異な る場合)等により、基準価額(表示通貨建)が下落し、損失を被ることがあります。また、表示通貨での基準価額が元本を割り込んでいない場合 でも、ファンドの基準価額の表示通貨と円との為替相場の変動により、円換算時に損失を被ることがあります。従って資本元本は保証されてい るものではなく、欠損が生ずるおそれがあります。クローズド期間があるファンドについては、クローズド期間中は換金することができません。 ⑤ 為替リスク 為替変動により外貨建資産の円換算価値が下落することがあります。外貨建資産を保有する場合、円高局面では円換算により資産価値が減 少し、損失を生じる場合があります。 ⑥ 金利変動リスク 金利変動により公社債等の価格が下落するリスクがあります。一般に金利が上昇した場合には、既に発行されて流通している公社債等の価 格は下落し、損失が生じる場合があります。 ⑦ 信用リスク 有価証券の発行体が財政難、経営不振、その他の理由により利息又は償還金をあらかじめ決められた条件で支払うことができなくなる(債務 不履行)リスクをいいます。この場合、有価証券の価格が大きく下落することが予想され、損失が生じることがあります。また、発行体の信用力 に対する市場参加者や格付機関の見方が悪化することにより、有価証券の価格が下落することがあり、損失が生じることがあります。 ⑧ 流動性リスク 有価証券を売却(または購入)しようとする際に、需要(または供給)がないため、有価証券を希望する時期に希望する価格で売却(または購 入)することができなくなるリスクをいいます。一般的に、規模が小さい市場での売買や、取引量の少ない有価証券の売買にあたっては、このリ スクが大きくなります。また、一般的に市場を取り巻く市場環境の急変があった場合には、市場実勢価格での売買ができなくなる可能性が高ま ります。市場での流動性が低下する場合、有価証券の価格が下落し、損失を生じる場合があります。 ⑨ カントリーリスク 投資先となっている国の政治・経済・社会・国際関係等が不安定な状態、又は混乱した状態に陥った場合に、当該国における資産の価値や当 該国通貨の価値が下落するリスクをいいます。このような国に投資している場合、有価証券の価格低下、通貨下落等により、損失を生じる場 合があります。 ⑩ カウンターパーティリスク 取引の相手方の倒産等により、意図した取引ができなくなるリスクをいいます。債務不履行が生じたり、契約を履行するコスト等により損失が 生じる可能性があります。 ⑪ 投資手法・対象に伴うリスク 空売り、貸し株、各種スワップ、コール・プットオプション、株価指数オプション、差金決済取引、先渡し取引、その他のデリバティブ取引などの 投資手法を用いるリスク、確定利付証券、未公開・譲渡制限付・非流動性証券、償還制限証券、財務状況の困難な企業に投資するディストレ ス投資など投資対象に伴うリスクなどにより損失が発生する可能性があります。 ⑫ レバレッジリスク 少額の投資により、高い投資効果を得るためにレバレッジを利用することがあります。高い効果が得られる反面、想定が外れた場合多額の損 失を被る可能性があります。さらに、先物証拠金等においては、レバレッジによって元本を超えた投資を行う結果として、元本超過損失が生じ る可能性があります。 マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社との投資一任契約に際しお客様にご負担いただく報酬等は各種商品、サービス等により異なるため、 事前にその合計額または上限額等を表示することができません。投資一任契約の締結にあたっては、必ず「契約締結前交付書面」や「金融商品販 売法に基づく重要事項説明書」等をご確認の上、お客様ご自身でご判断下さい。 本資料の著作権・知的財産権の一切の権利はマニュライフ・アセット・マネジメント株式会社に帰属しており、弊社の書面での許可なく当資料を使 用またはその他の行為(複製、改変、譲渡、貸与、販売、出版、及び営業活動または営利を目的とする使用等すべて)を行うことを禁止させて頂き ます。 商 号 : 設 立 : 資 本 金: 登 録 番 号: 加 入 協 会: 登録されている取引行為: 代 表 者: マニュライフ・アセット・マネジメント株式会社(金融商品取引業者) 2004 年4 月 1 億4,050 万円 関東財務局長(金商)第433 号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 金融商品取引法に定める「投資助言・代理業」、「投資運用業」 代表取締役社長 チーフ・インベストメント・オフィサー 石田 成