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IFAT 2014 出張報告
情 報 報 告 ウィーン IFAT 2014 出張報告 2014 年 5 月 5 日から 9 日にかけて、上下水道・廃棄物および原材料管理に関する国際的 展示会である IFAT 2014 が、ドイツのミュンヘンで開催されたので以下に報告する。主催 者 は Messe München 社 (ド イ ツ )で あ る 。展示 会 の 詳細に つ い ては、 ホ ー ムペー ジ (http://www.ifat.de/de/Startseite)を参照願いたい。 1.IFAT 2014 の概要 ドイツは環境分野において最高レベルの技術とノウハウを持ち、環境に対する国民の意 識も高いことで知られている。そのドイツのバイエルン州の州都ミュンヘンで隔年開催さ れる“IFAT”は、1966年の初回開催から40年以上の歴史と実績を持ち、上下水道・廃棄物 処理および原材料管理をはじめとした環境産業を網羅し、常に業界の最先端をゆく世界最 大級の展示会として、世界各国からの注目を集めている。 IFAT は環境技術分野の革新とソリューションの世界最大規模の展示会であり、それが来 場者の注目を集める理由であるとともに、特定の関心事項、新しい連絡先の発見や有望な ビジネスの関係を確立するなど、国際レベルのネットワーク作りの機会を数多く提供して いる。IFAT は、支援する独特なプログラムによって、意見、発見、経験と未来像の展示会 でもある。フォーラムでは、企業のプレゼンテーション、公開討議、カントリー・スペシ ャル、技術的議論や特別イベントが行われる。業界団体やメーカーは、屋外スペースで自 社の機械やシステムの実演を行う。イベント・プログラムをより印象的させるために、非 常に幅広くカバーされた話題が容易されている。経験豊かな専門家、国内および国際的に 主要な業界団体、政府機関、省庁の協力によって、IFAT は 2014 年の環境分野を代表する 国際的な展示会となり、他のイベントは異なり、展示会来場者や市場のプレーヤーのため の画期的な新しい予見や視点を提供している。 次回のIFATは、ミュンヘンで2016年5月30日から6月3日の5日間に渡り開催される予定。 MESSE MÜNCHEN ジャパンブース(ホール A3) 写真:IFAT 2014 会場(MESSE MÜNCHEN) ― 29 ― 情報報告 ウィーン 2.展示内容 (1) 出展国および団体数 表 2-1 に、IFAT 2014 に出展した国名および出展団体数の一覧を示す。前回の IFAT 2012 には、世界 54 ヵ国から 2,939 社が出展しており、今回は世界 60 ヵ国から 3,121 社と両方 ともに増加した(注記:主催者からの最終レポートでは、59 ヵ国から 3,081 社の出展)。な お、日本企業の中で、現地法人として出展している場合は、その当該国としてカウントさ れ て い る ( 例 : EBARA Pumps Europe S.p.A. は イ タ リ ア か ら の 出 展 、 KOBELCO ECO-SOLUTIONS CO.,LTD.はドイツからの出展としてカウント)。 表 2-1 出展国 ドイツ イタリア IFAT 2014 の出展国一覧 団体数 出展国 団体数 1,773 リトアニア 5 229 クロアチア 4 オランダ 125 ブラジル 4 オーストリア 118 スロバキア 3 英国 78 ブルガリア 3 フランス 74 エジプト 2 スイス 73 エストニア 2 スペイン 70 シンガポール 2 トルコ 67 ラトビア 2 アメリカ 56 ルクセンブルグ 2 デンマーク 55 ルーマニア 2 チェコ 36 レバノン 2 中国 35 南アフリカ 2 ベルギー 31 モロッコ 2 ポーランド 27 UAE 2 カナダ 26 アイスランド 1 スウェーデン 24 アルジェリア 1 フィンランド 23 イラク 1 韓国 22 ウクライナ 1 ハンガリー 19 オーストラリア 1 ノルウェー 17 キプロス 1 日本 16 サウジアラビア 1 ポルトガル 15 サンマリノ 1 イスラエル 14 セルビア 1 スロベニア 10 ニュージーランド 1 アイルランド 9 パレスチナ 1 ロシア 8 ベラルーシ 1 リヒテンシュタイン 7 マレーシア 1 インド 5 ヨルダン 1 5 台湾 1 ギリシャ 出典:IFAT 2014 ホームページ (2) 展示内容の詳細 展示者リストにおいて、展示内容は表 2-2 に示すように 13 の大きな項目に分けられてお ― 30 ― 情報報告 ウィーン り、各大項目の内容は、表 2-2(a)か表 2-2(m)に示すような中項目が設定されている。 表 2-2 展示内容の展示内容(大項目) 項 目 団体数 水の抽出方法(抽出物) 75 水および下水処理 846 配水および下水道 748 海岸の保全/洪水および水域管理 51 廃棄物の処分およびリサイクル 824 廃棄物からのエネルギー生産 252 道路清掃、維持管理、冬期の道路サービス 112 建設跡地の浄化/土壌処理 55 排ガスの浄化および気体の抽出/大気汚染物質の管理 118 騒音の低減/防音 3 計測、制御および実験技術 219 サービス 390 科学、調査、技術の伝承 66 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2(a) 水の抽出方法の内容(中項目) 項 目 団体数 井戸の建設 (掘削装置、建設と補修、監視) 27 プロセス水および雨水の回収 25 灌漑および排水用の機械と装置 30 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2(b) 水および下水処理の内容(中項目) 項 目 団体数 機械・物理的プロセス 45 分離システム (石油/加熱) 54 レーキ、スクリーン、フィルター 140 下水処理施設 264 化学・物理的プロセス 287 生物化学的プロセス 224 汚泥および残渣の処理 113 汚泥排水および圧密 150 汚泥の乾燥 46 汚泥の焼却 35 汚泥の利用 32 ガス生成と再処理 88 施設の建設 224 廃水からの熱回収 19 廃水システム (エネルギー生産と省エネルギー) 30 出典:IFAT 2014 ホームページ ― 31 ― 情報報告 ウィーン 表 2-2(c) 配水および下水道の内容(中項目) 項 目 団体数 配管/管路 192 シャフト/特殊構造物/技術 166 新しい下水道工事 (装置) 8 トンネル工事 (技術、装置) 17 下水管の修復工事 (技術、装置) 120 下水管の調査 41 下水管の清掃 (技術、装置) 108 下水道の運営 51 ポンプ、揚水システム 186 分岐管および継手 32 継手/バルブ 129 水の管路の建設、運営および修復 12 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2(d) 海岸の保全/洪水および水域管理の内容(中項目) 項 目 団体数 災害の軽減/予防 6 移動式の洪水の軽減 10 洪水の予防 23 水域保護 (河川/湖/地下水) 17 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2(e) 廃棄物の処分およびリサイクルの内容(中項目) 項 目 団体数 廃棄物の収集および輸送 126 車両、特殊構造物 111 廃棄物の処理およびリサイクル 299 熱処理 (エネルギー回収、処分:建設、運転、最適化、維持補修) 105 生物的処理、堆肥化 49 埋立て処分 91 放射性廃棄物の処理および処分 7 感染性医療系廃棄物の処理および処分 14 資源材料のリサイクル、調整および利用のための施設および装置 140 動物の死骸処理 (収集、輸送、滅菌、利用) 7 汎用機器、装置および付属機器 75 事故防止および安全用グッズ 29 伝達技術 (流体技術、発電用装置) 49 付属機器および摩耗部品 59 出典:IFAT 2014 ホームページ ― 32 ― 情報報告 ウィーン 表 2-2(f) 廃棄物からのエネルギー生産の内容(中項目) 項 目 団体数 バイオガス施設/発酵、堆肥化 102 埋立てガスの有効利用 10 基質(酵素の作用で化学反応を起こす物質)の処理、輸送、供給システム 76 ガスの輸送および処理 47 ガスの利用 (熱電併給施設、廃熱利用) 36 発酵残渣の処理 63 バイオマスの物流 7 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2(g) 道路清掃、維持管理、冬期の道路サービスの内容(中項目) 項 目 団体数 道路の清掃および維持管理サービス (清掃車、収集容器) 87 冬期の道路サービス (融雪剤散布車、降雪除去装置) 63 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2(h) 建設跡地の浄化/土壌処理の内容(中項目) 項 目 団体数 汚染された土壌、地下水、建築物の登録、評価、監視 9 汚染された土壌の処理 40 汚染された地下水の処理 19 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2( i ) 排ガスの浄化および気体の抽出/大気汚染物質の管理の内容(中項目) 項 目 団体数 流体および固体物質の分離 29 有害ガスの分離 30 排気ガスの浄化 47 排気ガスの生物学的精製 19 その他の装置および付属機器 (バルブ、コンベヤ、送風機など) 29 化学的処理 6 凝縮プロセス 3 触媒プロセス 7 熱プロセス 8 その他の処理方法 11 出典:IFAT 2014 ホームページ ― 33 ― 情報報告 ウィーン 表 2-2( j ) 騒音の低減/防音の内容(中項目) 項 目 団体数 防音キャビン 1 サイレンサー 2 吸音材 3 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2(k) 計測、制御および実験技術の内容(中項目) 項 目 団体数 計測技術 143 分析/実験技術 45 制御技術 80 水、下水、廃棄物および気体の処理技術 33 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 1-2( l ) サービスの内容(中項目) 項 目 団体数 水供給および下水処理サービス 47 処理サービス (収集、輸送、副生成物や残渣からの製品、下水処理) 114 二次原料の供給 (ガラス、木材、油、紙、タイヤ、砂、電池、など) 23 二次原料の利用 (ガラス、木材、油、紙、タイヤ、砂、電池、など) 23 エンジニアリングサービス、環境管理、環境配慮の評価 55 金融 1 コンピューター (ハードおよびソフト) 83 分析研究所 12 業界団体および機関 102 支援団体 1 出典:IFAT 2014 ホームページ 表 2-2(m) 科学、調査、技術の伝承の内容(中項目) 項 目 団体数 研究機関/大学 39 専門の出版社、業界用文献、データベース 20 教育・訓練 7 出典:IFAT 2014 ホームページ 3.日本からの出展団体 日本からの出展団体については、JETRO がジャパンブースを設置し、そこに出展された 団体と単独でブースを設置された団体があり、 表 3-1 に示すように、今回は日本から JETRO を含め全 16 団体の出展であった。日本からの出展団体のブースには多くの来場者が訪れ、 盛況であった。 ― 34 ― 情報報告 ウィーン 表 3-1 日本からの出展団体 Stand No. A3 424 出展団体名 ジャパンブース:Japan External Trade Organization (JETRO)が設置 AQUXITE Co., Ltd. ・出展内容:水および下水処理 廃水システム、エネルギー生産および省エネルギー AWA PAPER MFG. CO., LTD ・出展内容:水および下水処理 下水処理(膜分離活性汚泥法)、省スペース・低コストの MBR 用浸漬膜ユニット ICT Co., Ltd ・出展内容:計測、制御および実験技術 計測技術、流量計測 Japan System Planning Co., Ltd ・出展内容:水および下水処理、化学・物理的プロセス、施設の建設 配水および下水道、配管、下水道およびダクトの腐食対策、など KENKI CORPORATION ・出展内容:水および下水処理 汚泥の乾燥、ディスク式乾燥機 NISHIMURA WORKS CO., Ltd ・出展内容:水および下水処理 汚泥の乾燥、ドラム式乾燥機 Rural Environment Research Association ・出展内容:水および下水処理 生物化学的プロセス、脱硝 SANRITSU MACHINE INDUSTRY CO., Ltd ・出展内容: 廃棄物の処分およびリサイクル、資源材料のリサイクル、精製と利用のための施設と装置 サービス、二次原料の供給、回収された金属およびスクラップ Solace. Co., ltd ・出展内容:水および下水処理 生物化学的プロセス、散気装置 以下は単独でブースを設置 A1 102 Techno Takatsuki Co., Ltd ・出展内容:エアーポンプ、ブロワ A2 106 METAWATER Co., Ltd ・出展内容:水および下水処理 化学・物理的プロセス、水処理用膜施設 B5 121 Sekisui Chemical Co. Ltd ・出展内容:水および下水処理 下水管の修復工事、復元方法 C1 212 SEED co., ltd ・出展内容:日本の事務用品メーカー大手 紙のリサイクル機器 EW.1 Japan Sewage Works Association (JSWA:公共社団法人 日本下水道協会) ・出展内容:水および下水処理、 科学、調査、技術の伝承、専門の出版社、業界用文献、データベース EO.5 Nippo Business Co., Ltd ・出展内容:科学、調査、技術の伝承 専門の出版社、業界用文献、データベース 出典:IFAT 2014 ホームページ ― 35 ― 情報報告 ウィーン 4.来場者の状況 主催者からの『最終レポート』から、来場者の統計について以下に記載する。 (1) 印象的な国際的機会 今年のIFATでは、ドイツ国外から約60,000人(2012年時は49,840人)が訪れ、これは来場 者全体のほぼ45%に相当し、過去最高を記録した。最も来場者が多かった国の上位10ヵ国 は、ドイツ、オーストリア、イタリア、スイス、オランダ、デンマーク、ポーランド、チ ェコ、ロシア、スペイン、そして英国の順であった。 Huber社のRainer Köhler役員は、「今回のIFATは再び、我々にとって最高の展示会で あることを証明した。我々にとって特に重要なことはドイツからの来場者が多いことだけ でなく、国外からの来場者数の増加であった」と、展示会の印象を総括した。Werner Doppstadt Umwelttechnik社のPeter Funkeマネージングディレクターは、「来場者の国際 化が非常に優れており、我々が代理店と一緒にカバーしている45ヵ国全てから我々のブー スに来場者があった」ことを強調した。そして、Ekoton Industrial Group社のSergej Pesin マネージングディレクターは、「IFAT 2014は、当社の国際戦略の実施において重要な舞台 となっている。我々のブースでは、多くの外国からの来場者との綿密な打ち合わせを行っ た」ことを補足した。 (2) 来場者の質に対する高い評価 TNS Infratest社が実施した調査で確認されたように、出展者も来場者の質の高さに満足 しており、出展した94%の団体が、来場者の質に対して“良い”または“非常に良い”と いう評価であった。 Remondis社のHerwart Wilmsマネージングディレクターは、「今回もまた、来場者は非 常に国際的であり、高いレベルの意思決定権を持っていた。結果的に、我々は多くの興味 深いビジネスの話しをすることができた」と、コメントしている。Kirloskar Brothers社の Varinder Dhootマネージングディレクターは、「IFAT 2014の来場者の質はとても高く、 非常にビジネス指向であった。我々は真剣に新しい契約ができた」と述べている。 5.出展者へのヒアリング 出展者へのヒアリングを以下の項目に基づき実施した。その結果を表 5-1 に紹介する。 ①主な事業内容、②主な取り引き国、③製品および会社の強み、④その他 ― 36 ― 情報報告 ウィーン 表 5-1 出展者へのヒアリング結果 Stand A4 301 出展者名 HAFI Project &Technology 国 オーストリア ① ・冷凍業界用の空気圧縮装置のメーカー。 ・展示している下水処理施設のエンジニアリング部門の事業規模は小さい。 ② ・オーストリアを中心。 ・今後は、ハンガリーとルーマニアなどの東欧に期待。 ③ ・空気圧縮機メーカーなので、エアレーション装置のシンプル化と省エネ化により、 運転コストの低減が提供できる。 ④ ・質問:日本など東アジアの市場に興味はあるか? 回答:企業の規模が小さく、下水処理の事業は徐々に拡大しているところなので、 現在は考えられない。ただし、現地の良いパートナーと資金面での安定性は重要。 B3 140C TBU Stubenvoll オーストリア ① ・廃棄物の焼却処理施設(WtE)のエンジニアリング(装置メーカーではない)。 ② ・オーストリア、ドイツ、スイス(ドイツ語圏)。 ・最近はロシア(年間 25 万トンの処理計画、オーストリアの電力企業の EVN 社と共同で獲得)。 ③ ・ストーカ式と流動床式の両方を計画している。 ④ ・質問:欧州の焼却処理の状況はどうか? 回答:EU の環境政策の変化(分別収集とリサイクル化の推進)があり、焼却施設に搬入 される廃棄物量が減少している。そのため、従来のような大型ではなく、小型の 施設の需要が今後は増えると考えている(年間 8 万トン程度)。 ・質問:東欧の廃棄物管理の状況はどうか? 回答:東欧(ブルガリア、ルーマニア、バルカン諸国)の廃棄物管理の状況は、改善されて きているものの、西欧の 30 年前の状況であり、住民の分別収集に対する意識も低い。その ため、焼却施設の建設よりも、分別収集と選別施設などリサイクル社会に向けたインフラ 整備、意識の改革(教育)が先なので、この分野は今がビジネスチャンスではないかと思う。 それから、焼却施設の計画の需要が続くと考えている。 B3 240C AAT (Abwasser -und Abfalltechnik) オーストリア ① ・公共下水処理およびバイオガス施設のエンジニアリング。 ② ・オーストリアとその近隣諸国(特に、ポーランド、スロバキア、イタリアなど)。 ③ ・経験に基づき、客先の要求に応じた施設規模やプロセスが提案できる。 ④ ・質問:バイオガス施設の計画で重要なことは? 回答:オーストリアにおけるバイオガス施設の建設のピークは数年前であった。 現在は、政府からの補助金が削減されたこととエネルギー用作物の価格上昇から、新規 案件はほとんどゼロである。 バイオガス施設の計画では、政策により経済的な影響を受けるため、複数の原材料を確 保する必要がある。その例としては、エネルギー用農作物、動物性食品残渣、糞尿、生 ごみなどをバランスよく回収できるルートの確立が必要となる。 そして、どのような性状の原材料が、どれくらいの量を確保でき、どのように使用 (発電、熱供給、ガス供給など)したいかを具体的に示す必要がある。 ― 37 ― 情報報告 ウィーン 表 5-1 出展者へのヒアリング結果(続き) Stand A6 337/436 出展者名 WILO SE 国 ドイツ ① ・暖房、換気と空調技術、水供給、下水処理用のポンプおよびポンプシステムメーカー。 ② ・世界(49 ヵ国に事務所がある、東アジアには韓国、中国、台湾にある)。 ③ ・高い品質とエネルギー効率性を持った製品の提供。 ④ ・質問:ポンプに求められる条件は? 回答:引き続き、高い効率性が要求されるだろう。 (モーターの効率性だけでなく、ポンプ本体の仕様の変更も必要である) 小型化、軽量化はそれほど重要ではないと思う。 B3 279 econ industries ドイツ ① ・汚染土壌、使用済みの触媒や活性炭、汚泥、脱水汚泥などの有害な産業廃棄物処理装置の エンジニアリングメーカー。 ② ・ドイツ国内であったが飽和しつつあるので、フランス、アメリカ、中国などに販路を広げ ている。ただし、各国で法律や規格が異なるので、容易に進出はできない。 ③ ・独自の VacuDry 技術は、様々な種類の廃棄物をリサイクル可能にするだけでなく、他の熱 処理技術よりもはるかに省エネルギーである。 ・産業およびリサイクル施設の建設で 20 年以上の経験を持っているので、個別の要求に応じ た調査、開発、相談、エンジニアリング、納入と試運転サービスを提供することができる。 ④ B3 421/520 ・質問:VacuDry 技術の特徴は? 回答:水銀、農薬、PCB、PAH(多環芳香族炭化水素)、有機鉛化合物だけでなくほとんど全 ての揮発性炭化水素系物質のような有害な汚染物質を分離可能。 油田開発事業からの自然起源の放射性物質(Naturally Occurring Radioactive Materials ) のような廃棄物に対する処理も可能。 ・質問:回収した水銀の処理はどうするのか? 回答:ドイツやフランスでは、回収した純度の高い水銀の再利用は禁止されているので、 精製と無害化の両方を法律では要求しているが、最終的に無害化処理される。 汚染土壌の修復などの案件への対応は? 答:汚染された土壌の修復事業は、3 年から 4 年と期間が限られているので、装置の Xergi A/S デンマーク ① ・バイオガス、CHP(熱電併給)施設のエンジニアリングメーカー (ターンキー、メンテナンス、開発など)。 ② ・デンマークを中心に欧州全域(フランス、ドイツ、オランダ、英国に子会社がある)。 ・最近はスウェーデンで、支社も設立する予定。 ③ ・食品残渣、動植物性油脂、糞尿などを原料にしたバイオガス技術を持っており、最近は 嫌気性消化の前に窒素を除去するための装置を開発した。英国の施設に導入されており、 現在、デンマークでも建設している。 ④ ・質問:デンマークのバイオガス市場の状況は? 回答:昨年、政府の補助金が良くなった(11~15 ユーロセント/kWh)ので、期待している。 政策的枠組みの継続性次第だが、数年間は良いと思う。 一方で、ドイツ、オーストリア、イタリアのエネルギー用作物主体のバイオガス市場は、 原料価格の上昇とエネルギー用作物への農地の転用の規制から減速している。 東欧は、数年前までは買取り価格も魅力的であったが、突如、削減されたり、打ち切られ たりして、信頼できないので、有望な市場ではない。 日本の市場には、買取り価格も良く、政策的にも安定しているので魅力を感じている。 ― 38 ― 情報報告 ウィーン 表 5-1 出展者へのヒアリング結果(続き) Stand B3 545 出展者名 DEKONTA a.s. 国 チェコ ① ・土壌、地下水、ガスなどの調査および修復などソリューション事業 ・展示している排ガス処理用の“バイオフィルター”事業の規模は小さい。 ② ・チェコを中心に東欧。中国には数件の調査の実績がある。 ③ ・バイオフィルターは独自の技術である。 ・特徴は、1 時間あたり数万立法メートルのガスを処理できる。 ・客先の要求に応じて、フィルターに付けるバクテリアの種類を変える。 ④ ・質問:装置の寿命は? 回答:性能維持のためにはバクテリアの維持が重要であるが、装置自体の寿命は長い。 A3 104 AWT s.r.o. スロバキア ① ・蒸発技術による水処理メーカー。 ② ・市場は、欧州全域、ロシア、最近は UAE のドバイ。 ・ロシアの事業は難しいが、市場はある。 ③ ・北欧の事業は、客先の処理水に対する要求レベルが高いが、それを達成できていることが、 自社製品の特徴でもある。 ・装置を自社でパッケージ化して出荷するので、現地での据付けが容易である。 ・最大で 1 時間あたり 20 トンまでの処理ができる。 ④ ・質問:主な顧客は? 回答:顧客は、主に自動車メーカーである。 (KIA、HYUNDAI など、採用理由は、西欧メーカーの品質と 70%程度の価格を評価) EW1 PIB Pipe Industrial Bulgaria ブルガリア ① ・配管の更新、修復を行う配管メーカー(ブルガリア水協会(BWA)の会員企業)。 ② ・ブルガリアを中心にバルカン諸国、ルーマニア。 ③ - ④ ・質問:ブルガリアの水事業の状況については? 回答:近年、EU から中央バルカン、ルーマニアなどにインフラ整備の融資が行われて おり市場が活発化してきたので、今後 10 年間は期待できると思う。 西欧のエンジニアリング企業の下で、メインパーツは西欧から供給され、現地メーカ ーはパーツを供給している。 日本がこの地域のプロジェクトに投資のであれば、良い話ができると思う。 B1 335/434 Hungarian Investment and Trade Agency ハンガリー ① ・環境分野以外も含めて国内企業の海外市場への進出や展示会への参加を支援している。 ② ・世界(将来の市場が期待できれば、その国の展示会などの出展を支援する) ③ - ④ ・質問:ハンガリーの環境市場の状況は? 回答:ハンガリーの市場は小さいので、力のある企業は外国に進出していく必要がある。 ただし、環境分野に関しては、ドイツを先頭に西欧のメーカーは強いので、水分野で はスリランカや中国、廃棄物管理では南アメリカを将来の市場として考えている。 そのため、IFAT は世界中から出展または来場するので、それらの国との接触を期待 している。 ― 39 ― 情報報告 ウィーン 6.IFAT のフォーラム IFAT では展示会の全期間を通じて、数多くの討論、セミナー、展示団体のプレゼンテー ション以外にもカントリー・スペシャルやテーマ・スペシャルなどのフォーラムが行われ た。基本的に、水または下水に関するフォーラムはホール A5、廃棄物や二次原料に関する フォーラムはホール B1 で行われた。ホール B1 の方では、2 つの日系メーカーから、溶融 技術を用いた廃棄物処理施設のプレゼンテーションが行われていた。 以下に、ホール B1 で行われた Veolia Wasser 社のプレゼンテーションの概要を記載する。 (1) 廃水処理施設からの残留物処理への新しい挑戦 Dr. Matthias Staub 氏、Veolia Wasser 社、TVF Waste Solutions 社(ドイツ) はじめに私が代表している企業について簡単に言うと、TVF Waste Solution 社はフラン スの Veolia グループの比較的小さな企業である。我々は、廃水処理施設からの残留物に対 するサービスプロバイダー兼処理業者である。我々は、ドイツ全体をカバーしており、約 230,000 トンの下水と他の残留物の処分ならびに輸送をしている。ドイツの下水汚泥の処分 の一般的な数値として、原物質(一般的な下水汚泥)が年間に 800 万から 1,000 万トン発生す るので、乾き状態では約 200 万トンとなる。その発生量は、人口の変化と廃水処理施設に おける消化の導入のために、わずかに減少傾向である。この傾向は今後も続くと予想され ている。1990 年代以降、焼却処理の急激な上昇が見られ、現在、残留物の 50%近くが焼却 されており、言い換えると、焼却の割合は過去 13 年間で倍増している。 我々は、枠組み条件の変更などを予測しておく必要がある。将来的に、ドイツ政府は残 留物を農業に使用することを禁止する考えを持っている。この禁止がいつから始まるかは、 まだ決定されていないが、我々は 10 年以上もこの問題について議論しているので、このよ うな禁止が必ず行われると予測している。将来の予測をするために、下水汚泥の発生量が 減少し、農業への利用が禁止されたとすれば、2017 年にはドイツ国内で発生する下水汚泥 の 75%を焼却処理する必要がある。そこで、我々にとってどのような課題が考えられるだ ろうか? 1 つの大きな疑問は、ドイツ国内および EU レベルでの農業政策に関することである。 (農業利用禁止の可能性:2015 年からの重金属などに対する新しくより厳しい基準値、2017 年までにポリマーの分解性のために必要な技術的ソリューション、特にドイツにおけるサ ルモネラ菌の話題など)リンのような原材料の回収もまた大きな話題である。最後に、エネ ルギー政策(ドイツ再生可能エネルギー法(EEG))がある。再生可能エネルギー資源の導入の ために、発電所の利用は大きく低下したが、そのような資源は自然による変動がある。太 陽が輝いて風が吹くような日には、かなり少ない下水汚泥量しか発電所で受け入れること ができない。しかし、下水汚泥は定量的に発生する。 我々はドイツならびに廃水処理施設からの残留物を農業で使用している場所を見れば、 非常に大きな地域差があることが分かる。この地域差の存在は、極めて異なる戦略を持つ 国がいる欧州の真実でもある。農業への利用がもはや一般的でない大きな面積を持つドイ ツの連邦州は、Baden-Württemberg 州だけである。ドイツの北部および中央部において、 農業への利用はいまだに多く行われている。熱利用(すなわち、焼却)に関しては、Ruhr 地 ― 40 ― 情報報告 ウィーン 方だけでなくドイツ南部に非常に多くの施設がある。ドイツ北部において、この分野に対 するより大きな課題があるかもしれない。政策的道筋はまだ具体的に決められていない。 そのため、最大の課題の 1 つが、いわゆる“後悔の無い”調整戦略である柔軟なソリュー ションを提供することができるかどうかである。すなわち、農業への利用禁止が実施され た時、1 つの側面だけに焦点をあてず、双方に有利(win-win)な状況をもたらす戦略と言え る。リスクはあるが、焼却能力、焼却不可の状況時の下水汚泥の中間貯蔵など、そこには チャンスもある。Veolia 社はこの課題にどのように対応しているのか? Veolia 社は残留物の生産者でもあることを知っている。我々は、ドイツで 100 万人近く の市民のために廃水を処理し、数千トンの残留物を生産している。我々は、自分たちの研 究拠点を持っており、そこでは長期間に渡り下水汚泥の監視を行うことが可能である。し たがって、我々の下水処理施設から発生する残渣物を処理する必要があれば、我々は残渣 物の最初の生産者でありながら、残渣物の処理業者にもなり得る。熱利用について多く話 をしているが、現時点では、我々は大半を農業で処分しているのである。この“下水汚泥 の転換”が、我々の下水処理場の 30%が農業利用から焼却へとシフトする必要性を意味し ていることを理解している。私は、これらの数値がこの分野の他のサービスプロバイダー にもあてはまると考えている。 Veolia 社がしたいことは、火力発電所での下水汚泥の直接混焼であり、我々は代替物と 下水汚泥の混合または選別などのポートフォリオもまた持っている。代替燃料と残渣物と の混合の興味深い面として、発電所が十分に制御可能な比較的高い発熱量を持つ混合物(生 汚泥の発熱量と比べて)を得ることができるということである。(単一成分の)高い発熱量を 持つ代替燃料の取扱いは、全くこれらの代替燃料を焼却していない発電所にとって困難で ある。これらの混合物を通じて、我々は顧客に新しい選択肢を提示し、コストを下げるこ とができるか、または、少なくとも同じレベルを維持できる。 我々が取り組んでいるもう一つの魅力的なソリューションは、リン回収である。我々は、 MAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)沈殿法による液状汚泥からの回収に注力している。 液相からリンを抽出するときがこの方法の弱点なので、抽出量の最適化に関する研究の可 能性はまだまだある。しかし、コストの問題もあるが、現時点では、灰からの回収は液相 からよりもはるかに高い。 廃水処理施設には、エネルギー転換、原材料の回収、そして健康や環境保護のような多 くの課題がある。原材料とエネルギーの間のバランスの問題は常にある。とにかく、我々 はこのセクターの可能性とリスクを特定するために全体を見守る必要があると常に考えて いる。入札手続きを見れば、現在はコストが主である。しかし、1 つまたはその他の選択肢 を決めることになると、環境や健康についても重要となる。Veolia 社は、これらの取り組 みを通して、顧客と一緒に多くの課題に対処していきたい。 7. 所感 IFAT は隔年開催ということもあり、今回、初めて参加したが、展示者数が 3,000 社を超 えるほどの大きな展示会であるにもかかわらず、非常に見やすい展示会であった。特に、 ホール A、B、C での区別が明確であり、ホール A1 から A6 の展示内容もそれぞれテーマ 毎に分けられており、来場者にとって親切な展示会という印象である。 ― 41 ― 情報報告 ウィーン 展示会では、中東欧からの展示者のブースを中心に回ったが、全体的には、市場が小さ いので国外に進出せざる得ない状況にあるものの、西欧には技術力、ノウハウを持った多 くのメーカーとの競争と東欧メーカーや製品に対する偏見の壁から、東欧、ロシア、東南 アジアや南アメリカに進出するような意見が多かった。そこで、この展示会は出展国も多 く、来場者の数も多いことから、進出したい国と会える可能性が高いということも出展さ れる理由のようであった。一方で、西欧のメーカーから見ると、経済状況や政策の長期安 定性から進出するリスクは高いという意見もあった。また、チェコの電磁流量計メーカー からは、イスラエルの業者に計器を販売した後に、そっくりコピーされた経験があり、中 国への販売はその可能性があるので怖いということであったが、日本との取引きは問題無 いと言われ安心した。その他、屋外展示場では、ISEKI 社のドイツの関係会社が、トラク ターをベースに清掃用ブラシや掃除機を装備した改造車両が展示していたので聞いてみる と、ポルシェ社がまだトラクターを生産していた 1960 年代に日本の ISEKI が技術を導入 し、現在はこのドイツの関係会社が ISEKI から技術を購入していているとのことであった。 また、ISEKI 社の技術力は非常に評価されており、最近、ミュンヘン市が 37 台の車両を新 たに発注してくれたことも教えていただいた。 最後に、IFAT で最も印象に残っていることは、朝 9 時のスタートから多くのブースでビ ールが振舞われることである。特に、ホール B6 のとあるドイツ企業のブースでは、全ての 打合せテーブルに人が座り、その前にソーセージ、パン、ビールが用意され、雑談をしな がら食べている姿を見て、改めて展示会を楽しむ文化の違いを考えさせられた気がしまし た。 (参考資料) ・IFAT 2014 ホームページ、(http://www.ifat.de/de/Startseite) ・IFAT 2014 VISIT GUIDE(現地配布資料) ― 42 ―