...

総説リポソームクロマトグラフィー

by user

on
Category: Documents
5

views

Report

Comments

Transcript

総説リポソームクロマトグラフィー
総説
リポ ソー ム クロマ トグ ラフィー
ク ロマ トグ ラ フ ィー 用 の担 体 ゲ ル 粒子 の 内部 空 間 に リボ ソ ー ム を 固 定 化 す る2つ
を 考 案 した :
の方式
1) あ らか じめ ゲ ル を構 成 す る高 分 子 に 疎 水 性 リガ ン ドを 共 有 結 合 さ せ て お
き, そ こヘ リポ ソ ー ム を疎 水 性相 互 作 用 で 固 定 化 す る ;
2) ゲ ル 粒 子 の 内 部 を 脂 質-界 面 活
Database Center for Life Science Online Service
性 剤 混 合 ミセ ル 溶 液 で満 た して お き, 界 面活 性 剤 を透 析 で 除去 す る ; 生 成 す る リボ ソ ー ム
は 物 理 的 に網 目 内に 封 じ込 め られ る。 膜 内在 性 蛋 白 質 を 埋 め 込 ん だ リボ ソー ム (プ ロテ オ
リポ ソー ム) を 固 定化 す る こ と も可 能 で あ る 。 荷 電 脂 質 を 添 加 す る こ と に よ って, リポ ソ
ームの表 面 荷 電 密 度 を調 整 す る こ と も可 能 で あ る 。 この よ うな ゲ ル 粒 子 内 に 固 定 化 さ れ た
リポ ソー ム を 固 定相 と して活 用 す る こ と に よ り, い くつ か の 様 式 の ク ロ マ トグ ラ フ ィー を
行 な うこ と が で き る 。
は じめ に
ク ロマ トグ ラ フ ィ ーに お い て は, 固 定 相 と
る。 さ らに,
リガ ン ドに疎 水 性 の部 分 を 付加 して, そ れ
移 動相 の 間 の分 配 率 の 差 異 に 基 づ い て 物 質 が 分 離 され
を 錨 の よ うに脂 質 二 重 膜 た埋 め込 ん で や れ ば, さ ま ざ ま
る。 リン脂 質 は脂 質 二 重 膜 を形 成 して水 系 溶 媒 を 内部 に
の リガ ン ドを固 定 化 リポ ソ ーム に つ な ぎ止 あ る こ とが で
取 り込 ん で,
き る。 これ らを 固 定 相 と して 使用 す れ ば,
球状 の リポ ソー ムを 形 成 す る こ とが で き
リポ ソ ー ムを
る。 この よ うな リポ ソー ム を 内部 に 固 定 させ た ゲル粒 子
固 定 相 と して 用 い る ク ロマ トグ ラフィ ーは さ らに 多様 化
を 用 い る 新 規 な ク ロマ トグ ラ フ ィー を 筆 者 らは 考 案 し
が 可 能 で あ る。 そ れ ら は水 系 の溶 媒 を用 い て 穏 や か な 条
た^<1-3)。
この よ うな 方 法 を 以 下 では“ リポ ソ ーム ク ロマ
件 下 で行 な うも の とな る で あ ろ う。 ク ロマ トグ ラ フ ィ ー
トグ ラ フ ィ ー” と よぶ こ とに した い。 リポ ソ ーム とい う
に お け る挙 動 を 観 察 す る こ とに よ って,
名 称 は 多重 層 構 造 を もつ もの も 含 め て 用 い られ て い る
面 と さ ま ざ ま の水 溶 性 の分 子 との相 互 作 用 を 研 究 す る こ
が^<6)>,
こ こで は“ リポ ソー ム”を“ 単層 リン脂 質 ベ シ クル
とが 可 能 とな る。 さ ら に, そ の分 子 が 細 胞 の 中 で 本 当 め
(脂 質膜 小 胞)^<*1>”
を意 味 す る もの と して使 用 す る。
脂 質 二 重 膜 と, ど の よ うに相 互 作 用 す るか を推 定 す る こ
リポ ソ ー ムの脂 質 二 重 膜 は 生 体 膜 の脂 質 領 域 と類 似 し
と も で き るで あ ろ う。 水 系 溶 液 で 満 た され た 固 定 リポ ソ
ー ム の内 部 の空 間 を 固 定 相 とす る な らば
た 構 造 を も って い る と考 え られ て い る。 固 定 化 さ れ た リ
ポソ ーム が ク ロマ トグ ラ フ ィ ー の媒体 と して興 味 深 い 対
究 に 有 用 であ る。
他 の両 親 媒 性 分 子 を 脂 質 二 重層 に 埋 め 込 む こ とが で き
Lundahl,
S-751
Qing
23
Uppsala,
Yang^*,
Sweden
Department
of
Biochemistry,
, ク ロマ トグ ラ
フ ィ ー で の挙 動 か ら脂 質 二 重 層 を 介 して の輸 送 現 象 の 研
象 とな るの は そ のた め で あ る。 まず, 膜 内在 性 蛋 白質 や
Per
リポ ソ ーム の表
しか し, リポ ソ ー ムが 安 定 に存 在 し うる媒 体 条 件 は 限
Biomedical
Center,
University
of
Uppsala
; * 大 阪 天 学 蛋 白 質 研 究 所 蛋 白 質 工 学 基 礎 研 究 セ ン タ ー外 国 人 客 員 教 授
,
P. O. Box
(1989年11月
576,
∼1990年
5月)
Toshio
Takagi,
大 阪 大 学 蛋 白 質 研 究 所
Suita, Osaka 565, Japan]
Liposome Chromatography : A
New
(〒565
Mode
大 阪 府吹 田 市 山 田丘
of Separation
Using
3-2)
Lipid
[Institute
for
Protein
Research.
Osaka
University,
Bilayer
Key【ク
word
ロマ トグ ラ フ ィー 】 【リボ ソ ー ム】 【生 体 膜 】
1983
8
蛋 白 質
核 酸
酵 素 Vol. 35 No. 11 (1990)
られ てい る。 上 記 の よ うな ク ロマ トグ ラ フ ィー操 作 に お
て浸 透 させ る。 リポ ソ ー ム は粒 子 の 内部 と表 面 の アル キ
これ が 固 定 化 リポ ソ ー ムを ク ロマ トグ ラ フ ィ ー の固 定 相
ル 基 に疎 水 性 相 互 作 用 で も っ て結 合 す る^<1,4)>。
こ の処 方 を
と して用 い る場 合 の 主 要 な 障 害 であ る。
“疎 水 性 相 互 作 用 に よ る固 定 化
筆 者 らが 知 る か ぎ りにお い て は, 脂 質 を ア ク リル ア ミ
drophobicinteraction)”
(immobilization
と よぶ こ と にす る。B)
by hy
ゲル 粒
ドゲル に封 じ込 め る 試 み が これ ま で に な され ては い る
子 中 に あ る リ ン脂 質-界 面 活 性 剤 混 合 ミセル か ら透 析 に
が, そ れ を リポ ソ ー ム の形 で固 定 化 しよ う との試 み はな
よ っ て界 面 活 性 剤 を除 去 す る と, 形 成 され る リポ ソー ム
され て い な い。 筆 者 らは 次 の2つ の方 式 で の固 定 化 に成
は網 目内 に物 理 的 に閉 じ こめ られ た 状 態 に な る^<2,3,5)>。
こ
功 した 。A)
の処 方 は“ 封 じこ め (entrapment)”
粒 子 状 の ア ガ ロー スあ るい は ビスーア ク リ
とで も よんだ ら よ
ル ア ミ ドで 架 橋 した ア リル デ キ ス トラ ンに アル キ ル 基
い で あ ろ う。 以 下 で は, “封 じ込 め” の操 作 を“封 じ込 め
(C_4∼C_<12>)
を 共 有 結 合 で も って結 合 させ て お き, 前 も っ
る” と表 現 す る。 ゲル 粒 子 の表 面 の み を脂 質 二 重 膜 で覆
訳者か ら :
訳 者 らは 彼 を大 阪 大学 蛋 白 質研 究所 の蛋 白質 工 学 基
まず, こ の総 説 の2人 の著 者 を 紹 介 し ま し ょう。Per
Lundahl
Database Center for Life Science Online Service
て別 に調 製 して お いた リポ ソー ム を粒 子 中 に拡 散 に よ っ
い て界 面 活 性 剤 あ るい は 有 機 溶媒 の 使 用 は 許 され な い 。
sala Schllo
は ス ウ ェー デ ンの ウ プサ ラ 大 学 理 学 部 の 生
化 学 教 室 所 属 の ドッツ ェ ン ト (docent)
Yang
で す 。Qing
は 中 国 か ら 留 学 中 の大 学 院 生 で Lundahl
のグ
礎 研 究 セ ンタ ー の客 員教 授 と して 招 い て, 低 角度 光散
乱光 度計 を用 い て の 生体 膜 蛋 白質 の キ ャ ラ クタ リゼ ー
シ ョンな どの 研 究 を 共 同 して 行 な い ま した。 こ こで 紹
介 され る脂 質 二重 膜 を 固 定 相 と して用 い る ク ロマ トグ
ル ー プ に 所 属 して い ます 。 この総 説 で 紹 介 され る の
ラ フ ィ ーは 彼 が来 日に 先 立 つ 数 年 間 に 開 発 した た い へ
は, 彼 らに よ っ て 開発 され た新 規 な 原理 に 基 づ く ク ロ
ん に興 味 の あ る手 法 で あ ります。 それ に 関 して の総 説
マ ト グ ラ フ ィ ー です 。 ク ロマ ト グ ラ フ ィー は 新 しい
の執 筆 を依 頼 した と ころ, 研 究 の 合 間 を ぬ って 早速 に
原 理 に 基 づ く固 定 相 の考 案 に よ って 進 展 して き ま し
書 き下 ろ して くれ た の が 本 稿 で す 。 著 者 と常 に 疑 問点
た。 この 分 野 の研 究 ・開 発 に お い て ウ プサ ラ大 学 の 生
を討 議 しな が ら 進 行 した 翻 訳 作 業 は 楽 しい もの で し
化 学 教 室 に 属 す る研 究 者 が大 きな貢 献 を行 な って きた
た。Lundahl博士
こ とは周知 の 事 実 で す。 か れ ら は“
マ トグ ラ フ ィー に つ い て 講 演 を 行 な い ま した 。対 象 は
of Separation
とよば れ て い ま した。 しか
生化 学 か ら コ ロイ ド ・界 面 化 学 の分 野 の 人 々で した 。
し, 上 記 の主 要 な 貢 献 の 多 くは Tiselius と彼 の 直 弟
わ が 国 の リポ ソー ム 関連 分 野 の 研 究 者 の 層 は 厚 い の
子,と
で, そ の 間 に 多 くの 質 問 や 意 見 が 寄 せ られ ま した 。 そ
Science”
く に Porath
と Hjerten
に よ って な され て き
は 滞 在 中 に 数カ 所 で リポ ソ ー ム ク ロ
ま した 。 彼 ら は思 い あ た るす べ て と も考 え られ るほ ど
れ らに 基 づ い て,
の広 範 な 各 種 の 固 定相 を開 発 して きま した 。 した が っ
た。 した が って, 本 稿 は在 日中 の 余 暇 の 産 物 で あ るの
て, そ のあ と に続 く同地 の研 究 者 に と って は, 上 記 の
み な らず, そ の 間 に 得 られ た 情報 を盛 り込 ん で脱 稿 さ
素 晴 しい 伝 統 とは, 裏 を返 せ ば 開拓 さ れ つ く した 沃 野
れ た もの で あ りま す 。共 著 者 の Yang
で あ った か も しれ ませ ん。 後 続 者 に よる 独 立 した新 た
ミ リに よる 頻 繁 な 交信 に よ って 執 筆 に 実 質 的 に 参加
彼 は 原 稿 内 容 を 改 善 ・追 補 しま し
さん は フ ァ ク シ
な 固 定 相 の開 発 は皆 無 に等 しい のが 実 状 で す 。 多 くの
し, 英 語 版 の 清 書 は ウ プサ ラで タイ プ され て 同 様 に し
若 手 研 究 者 はす で に開 発 され た手 法 の 水平 方 向 へ の 展
て返 信 され て き ま した 。 こ の総 説 の 元 に な った英 語 版
開 に 従 事 す るか, それ に飽 き足 らぬ人 は 別 の フ ロ ンテ
の 出 版 に つ い て は J. Chromatogr.
ィ ア を求 め て他 へ 移 って い く こ とに な った よ うです 。
で あ ります 。
学 問 の 伝 統 の 減 衰 とは こ う い う もの で し ょう。 しか
翻 訳の草稿を, Lundahl 博士 の滞在中に同 博士に 上記の
講演の機会を各地で与えて くだ さるな どして個人的に接触の
あ った以下の方 々に読んでいただ きました : 寺田 弘 (徳島
大 ・薬), 白浜啓四郎 (佐賀大 ・理工), 吉村哲郎 (徳島大 ・
酵素セ), 林雄太郎 (杏林大 ・医), 後 藤祐児 (阪大 ・理),
三宅 淳 (工技院 ・微工研), 亀山啓一 (阪大 ・蛋 白研)。 こ
し, 減 衰 しなが ら も新たな 発 展 の種を まい てい って ほ
しい も の です 。 この 総 説 の 筆 者 の Lundahl
博士は伝
統 の再 興 に重 要 な 役 割 を果 た して くれ そ うな 研 究 者 の
一人です
。 引 用 され て い る文 献 中 に, Lundahl の 一 世
代 前 の ウ プサ ラの 人 々の成 果 が 見 し だ され ます。彼が
身 近 で 収 集 した 情 報 を う ま く活 用 して この 研 究 を進 め
て きた こ とが うか がわ れ ます 。
*1
1984
この 総 説 の 土 台 と な っ て い る論 文1∼5で
誌に意向を打診中
れらのす べての方 々か ら, 内容 と訳文 の双方につい て有益 な
批判 と示唆を多数いただ きました。そ れらを参考に して最終
稿を大幅に改善す ることがで きました。 この機会に謝意を表
します。(高
木 俊夫)
は“ 脂 質 ベ シ クル” を こ こで の“ リポ ソー ム” を 意 味 す る もの と して 用 い た
。
I
リポ ソ ー ム ク ロマ ト グ ラ フ ィ ー 9
質 の 単分 子 膜 で覆 わ れ る こ とに な る。 これ は リポ ソ ー ム
う こ と も試 み たが, 今 の とこ ろ成 功 して いな い 。
こ こで は 固 定化 の処 方 お よび 固定 化 リポ ソー ム を使 用
に は な い性 質 を も った 非 常 に 興 味 あ る 固 定相 で あ る。 単
して 得 られ た い く つ か の 結 果 を 紹 介す る こ とに す る。
分 子膜 状 の脂 質 は 共 有 結 合 で シ リカ に結 びつ け られ て い
A)
るの で, リポ ソ ー ム と比 較 す る とは る か に安 定 で あ る。
の処 方 で調製 した 固 定 化 リポ ソ ーム の脂 質 二 重 膜 に
ヒ ト赤 血 球 膜 の グル コ ース 輸 送 蛋 白質 を 埋 め 込 ん だ も の
しか し, 生 体 膜 の脂 質 領 域 に類 似 して い る点 で は 固 定 化
を ク ロマ トグ ラ フ ィ ーの 担 体 と して 用 い る こ と も 試 み
され た リポ ソ ー ムが は るか に優 れ て い る。 ク ロマ トグ ラ
た 。 そ れ を 充 填 した カ ラ ムにD-とL-グ
フ ィー の担 体 と して活 用 す る 場合 に は, 固 定 化 リポ ソ ー
ル コ ー ス の混 合
物 を流 す と基 質 で あ る前 者 のみ が リボ ソー ム 内部 に入 る
た め に遅 延 し, わ ず か で は あ るが 後 者 が 先 に流 出 して く
さ らに 以前 に も類 似 の 試 み が な され て い る。Miyake
の処 方 にお い て荷 電 を
ら^<15)>は1987年に シ リカ ゲル粒 子 を ジ パル ミ トイルホ ス
も った リン脂 質 を添 加 す る と, 脂 質 二 重 膜 の荷 電 が プ ラ
フ ァチ ジル コ リンで も って 非 共 有 結 合 的 に コー トし, そ
ス あ る い は マ イ ナ ス に増 強 され た リポ ソー ム を 固定 化 す
れ を充 填 した カ ラム を 用 い てHPLCタ
る こ とが認 め られ た 。 また, B)
Database Center for Life Science Online Service
ム の ほ うに よ り多 様 な活 用 の 道 が 開 け そ うに思 わ れ る。
イプ の ク ロマ ト
る こ とが で き る。 この よ うに して リポ ソー ム が結 合 した
グ ラ フ ィー を 行 な って い る。 こ の ア プ ロー チ に よ って彼
担 体 ゲル を 用 い る と, 一 種 の イ オ ン交換 ク ロマ トグ ラ フ
らは 薬 効 物質 の 疎 水 性 の指 標 と して使 用 され るオ ク タ ノ
ィ ーに よ って 蛋 白質 を 分離 す る こ とが で き る^<2,3)。
筆者ら
ール/水 の二 相 系 に お け る分 配 率 を, 手 軽 に 微 量 の 試 料
の 研 究 に よ っ てす でに 次 の よ うな こ とが 明 らか に な って
を 用 い て 推 定 す る こ とに成 功 して い る 。 この 際 の 被 覆 は
い る : 担 体 とな る ゲル粒 子 に 対 す る リポ ソ ー ムあ るい は
安 定 であ った が,
プ ロテ オ リポ ソ ー ム の結 合 容 量, 固 定 化 され た リポ ソ ー
らに以 前 の1984年
ム の安 定 性, 固 定 化 リポ ソ ー ムに 封 入 され た 水 系 溶 液 を
ク リル ア ミ ドゲル 中 に ホ ス フ ァチ ジル セ リ ン と コ レス テ
含 む 空 間 が 実 際 に存 在 す る こ との証 明, そ して粒 子 中 に
ロール を 固定 化 して, ア フ ィ ニテ ィ ク ロマ トグ ラ フ ィー
封 じ込 め られ た リポ ソー ム の表 面 へ の蛋 白質 の接 近 の し
の担 体 と して 使 用 して い る。 脂 質 を エ タ ノール に 溶 解
や す さ。 得 られ た 結 果 を 総 括 す る と, 疎 水 性 相 互 作 用 で
し, それ に ア ク リル ア ミ ドと 比 較 的 に 高濃 度 の 架橋 剤
固 定 化 され た リポ ソー ムそ して封 入 リポ ソー ム の いず れ
(通称 ビス) を溶 か した 水 溶 液 を 混 合 して 孔 径 の大 きい
も が ク ロマ トグ ラフ ィー に お け る 固定 相 と して, さ ま ざ
ゲル を 調製 して脂 質 を 封 じ込 め た 。 出来 上 が った ゲル を
ま な可 能 性 を 秘 め て い る こ とが 明 らか に な っ て きた 。
細 か く砕 い て カ ラ ムに 充 填 した 。 彼 らは“ 封 入 した コ レ
リポ ソー ム ク ロマ トグ ラフ ィー を 開発 す る に あ た っ
て, 筆 者 らは膜 生化 学 (membrane
biochemistry)
リ ン脂 質 の 吸 着 様 式 は 不 明 であ る。 さ
に, Uchida
と Filburn^<16)>は
ポ リア
ス テ ロー ルーホ ス フ ァチ ジル セ リ ン ミセ ル” とい う 表 現
と分
を 用 い て い るが, 封 じ込 め られ た 脂 質 は リポ ソ ーム を 形
離 科 学 (separation science) の 両 分 野 に お け る経 験 を 結
成 して い た もの と推 定 され る。 この場 合 は, 封 入 さ れ た
び つ け る よ うに努 力 して きた。 リポ ソー ム の 固 定化 と,
脂 質 の量 は わ ず か で あ った が,プ
そ れ を 活 用 した リポ ソ ー ム ク ロマ トグ ラ フ ィ ーが うま く
濃 縮 す る のに は 充 分 に実 用 性 が あ った 。
ロテ イ ンキ ナ ーゼCを
い きそ うだ との 筆 者 らの 信 念 を 強 め て くれ る結 果 が 二,
.
三 す で に得 られ てい た 。 筆 者 らは, 身 近 に お い て Hjerten
どの よ うに 固 定 化 を行 な っ た か
らが疎 水 性 ク ロマ トグラ フ ィー^<7-9)>を
開 発 す る のを
見 聞 き してい た 。 ル ン ド大 学 の Albertsson
の Eriksson
の グル ー プ
は, ポ リエ チ レ ング リコ ール の脂 肪 酸 誘 導
体 が 水 性 二 相 分 配 にお け る リポ ソ ー ム の挙 動 に影 響 を も
つ こ とを 観 察 して い た^<10)>。Shaltiel
と Helperin
名^<11,12)>と
Shinozuka
の両
ら^<13)>は,
アル キル ーセ フ ァ ロー ス ゲ
ル を用 い て赤 血 球 の分 離 を行 な っ て いた 。
最 近 に な って, Pidgeon
と Venkataram
筆 者 が 固定 化 を 行 な った
230nmで
ー ス ゲル 粒 子
(Sepharose
rose^<6)>お よ びN,
N'-メ
6B,
4B,
2Bあ
チ レ ン-ビ ス-ア
den)。
(い ず れ も, Pharmacia
LKB,
アガ ロ
る い は Supe
ク リル ア ミ ドで
架 橋 し た ア リル デ キ ス ト ラ ン 粒 子 (Sephacryl
を用 い た
は生 体 膜 を
リポ ソ ー ム の サ イ ズ は30∼
あ っ た 。 リポ ソ ー ム の 担 体 と し て は,
S-1000)^<*2>
Uppsala,
Swe
この デ キ ス トラ ン粒 子 の 内部 の隙 間 の 一 部 は 非 常
構 成 して い る脂 質 を共 有 結 合 で シ リカ粒 子 に 固定 した 担
に 大 き な サ イ ズ を も っ て お り, 最 大 級 の リポ ソ ー ム を 封
体 を工 夫 した^<14)>。
彼 らはC2脂
入 す る こ と が で き た 。 と く に 断 わ ら な い か ぎ り, 実 験 は
肪 酸 鎖 の末 端 炭 素 原 子 を
ア ミ ド結 合 で シ リカ に結 合 させ て い る。 シ リカ粒 子 は脂
*2
使 用 した 脂 質 類 の 転 移 温 度 以 上 に 相 当 す る23±2℃
現 在 は 粒径 が 小 さ く流 速 を 高 め る こ とが で きる よ うに 改 良 され, Sephacryl
S-1000HRの
の
名 称 で 市 販 され て い る 。
1985
10
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 35 No. 11 (1990)
20%ホ
ス フ ァチ ジル エ タ ノ ール ア ミン) を 胆 汁 酸 塩 で 可
溶 化 した 。 次 に, Sephadex
G-50
(medium)
を用 い た
カ ラ ム ク ロマ トグ ラ フ ィ ーに よ り界 面 活 性 剤 を 除 去 して,
疎 水 性 相 互 作 用 に よ る固 定 化 の た め の リポ ソ ーム を 調製
した 。 こ の処 方 は Brunner
ら^<18)>が
提 案 した方 式 に基 づ
いて い る。 筆 者 らは ヒ ト赤 血 球 グル コー ス輸 送 蛋 白質 の
研 究 にお い て,
こ の方 法 を 採 用 して きた^<1,17-24)>。
膜 内在
性 蛋 白質 を リポ ソ ー ムに埋 め込 む こ と も試 み た。 そ の 場
図1.
合 に は, 蛋 白質 をn-オ
リポソームを構成す る リン脂質が ゲル粒子側 の
アル キル硫化物に疎水性相互作用 で結合 している
クチル-β-D-グ ル コ シ ド (オ クチ
ル グル コ シ ド) で 可 溶 化 し24∼26),
それ を胆 汁酸 塩 で 可 溶
様子の想像図
スペーサの腕の先端部が脂質の極性基部分を貫いて, その
先 のアルキル基が脂質二重膜の外側の脂質分子の脂肪酸鎖 と
疎水性相互作 用で結合 しているのであろ う。
室 温 で行 な った 。
化 した 卵 黄 リン脂 質 と混 合 す る方 式 を 採 用 した^<1,5)>。
以下
で, “プ ロテオ リポ ソー ム (proteoliposome)”
式 で固 定 化 す る には, 胆 汁 酸 塩 あ る い は オ クチ ル グル コ
シ ドで可 溶 化 した 卵 黄 リン脂 質,
Database Center for Life Science Online Service
と よぶ も
の は, こ の よ うに して 調製 した もの で あ る。 封 じ込 み 方
つ ま り両 者 の 混 合 ミ
疎 水 性 相 互 作 用 に よる 固 定 化 に 使 用 す る リガ ン ド
セル を ゲル 粒 子 中 に 存 在 させ て お き, 次 に透 析 に よ って
疎 水 性 相互 作 用 で リポ ソ ー ムを ゲル粒 子 に 固 定 化 す る
界 面 活 性 剤 を 除 去 して リポ ソ ー ムを 形成 させ た^<5)>。
リポ
1.
に は,
リポ ソ ー ム の極 性 基 に 狭 苦 しい 思 い を させ な い 配
ソ ー ムに つ い て の詳 細 を 知 りた い読 者 は, Lichtenberg
慮 が 必 要 で あ る。 そ のた め に, 図1に 示 した よ うな 長 い
と Barenholz
親 水 性 の ス ペ ーサ 部 分 を もち, チ オ エ ーテ ル結 合 で アル
照 して い た だ きた い。
ギル 基 に結 合 す る こ とが で き る リガ ン ドを 用 い る こ とに
に よ って最 近 書 かれ た一 般 的 な解 説^<27)>を
参
ク ロマ トグ ラ フ ィー に よる リポ ソー ム調 製 に 際 し て
した。 この よ うな リガ シ ドを も った ゲル は“ アル キ ル 硫
は, 界 面 活 性 剤 の モ ノマ ーは Sephadex
G-50カ
ラム 中
化 物 ゲル (alkylsulfide gel)” とよば れ て い る。 この ゲル
を 粒 子 の 内 部 まで 浸透 しな が ら流 下す る。 他 方,
を調 製 す る に は ゲル の 水 酸 基 を1, 4-ブ タ ンチ オ ール ジ
界 面 活 性 剤 の 混 合 ミセ ル は, モ ノマ ー よ りサ イ ズが 大き
グ リ シジ ル エ ー テ ル で 活 性 化 して お き, Maisano
らが ア
い た め に ゲル粒 子 内部 へ の拡 散 が制 限 され て 先 行 す る こ
ガ ロー ス に 適 用 した 方 式^<17)>で,
ア ル キ ル チ オ ール と結 合
とに な る。 混 合 ミセ ル 中 の 界面 活 性剤 は周 辺 に モ ノマ ー
させ る。 この 合成 は 簡 単 で確 実 に 進 行 す る もの で あ っ
と して 存 在 して い る仲 間 と平 衡 に あ る か ら, モ ノマ ーが
た 。筆 者 らは Sephacryl
脂 質-
に つ い て も この方 式 が 適 用 で き
存 在 しな い 領 域 を 流下 す る に つれ て脱 離 して くる。 界 面
る こ とを 見 い だ した^<1)>。
この 場合 に は デ キ ス トラ ンの 水
活 性 剤 の脱 離 に つ れ て 脂 質-脂 質間 の 疎 水 性 相 互 作 用 が
酸 基 が 結 合部 位 にな るの で あ ろ う。 ア ル キ ル チ オ ール を
強 ま って, 混 合 ミセル め サ イ ズ は しだ い に増 大 す る^<20)>。
用 い る カ ッ プ リン グ法 の利 点 は リガ ン ドの結 合 量 を乾 燥
や が て リポ ソー ム が形 成 され ボ イ ド体 積 に きわ め て近 い
ゲル 中 の硫 黄 の 定 量 に よ って 決 定 で き る こ とで あ る^<1,17)>。位 置 に お い て 溶 出 して くる (図2A)。
リポ ソー ム の形 成
こ の際 に は, ゲル 中 の硫 黄 の バ ッ ク グ ラ ン ド含量 を考 慮
は す べ て ゲル粒 子 め外 側 で起 こる。 この よ うな処 方 が 有
す る必 要 が あ る。Sephacryl
効 な の は,
ゲル の場 合 に は非 常 に 多量
の硫 黄 が 含 まれ て い る^<1)>。
充 填 状 態 の ゲル の1mlあ
の リガ シ ドの 導 入 可 能上 限 は, Sephacryl S-1000につ
た り
(cmc)
使用 して い る 界 面活 性 剤 の 臨 界 ミセル 濃 度
が 高 くて 周 辺 に 比 較 的 に高 濃 度 の モ ノマ ーが 存
い
在 す る場 合 に 限 られ て い る。 オ クチル グル コシ ドや 胆 汁
で あ った^<1)>。
しか し, こ こで
酸 塩 は 上 記 の 条件 を満 たす 典 型 的 な界 面 活 性 剤 で あ る。
用 いた ゲル の三 次 元 的 な構 造 の 詳 細, そ して リガ ン ドの
膜 内 在性 蛋 白質 を リポ ソー ム に埋 め込 む場 合 に は, 変
て は Sepharose
2Bの2倍
空 間 的 な 配 置 は 明 確 で な い。 局所 的 な リガ ン ドの 密度 は
性 作用 を もたずcmcが
高 分 子 鎖 が 集 合 して束 に な る こ とに よ って影 響 を 受 け る
した もの と 脂 質-界 面 活 性 剤 混合 ミセル を一 緒 に して,
高 い界 面 活 性 剤 に前 者 を可 溶 化
と考 え られ る。
上 記 の よ うな ゲル ク ロマ トグ ラ フ ィー に か け る。 蛋 白
質-界 面 活性 剤 複合 体 そ して 混 合 ミセル か ら 界 面 活 性 剤
2.
ま ず,
1986
が 脱離 す るに っ れ て, 大 部 分 の蛋 白質 分 子 は生 成 して く
リポ ソ ー ム の 調 製
卵 黄 の リ ン脂 質
(70%ホ
ス フ ァ チ ジ ル コ リ ン,
る リポ ソ ーム の脂 質二 重 膜 に挿 入 され る こ とに な る (図
Database Center for Life Science Online Service
リ ポ ソ ー ム ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー 11
プ ロ テ オ リ ポ ソー ム
図2.
(A)
膜 蛋 白 質 を 保持 す る リポ ソー ム (プ ロテ オ リポ ソー ム) の形 成,
て 固 定 化 の メカ ニ ズ ム を 示 す 概 念 図
分 画,
そし
胆 汁酸 塩 で可 溶 化 した リン脂 質 とオ クチ ル グ ル コシ ドの よ うな 高 い 臨 界 ミセ ル 濃 度 (cmc)
を
もつ 非 イ オ ン性 界 面 活 性 剤 で 可 溶 化 され た 生 体 膜 蛋 白質 か らプ ロテ オ リポ ソ ー ムを 調 製 す る 。 生 体 膜 蛋
白質-脂 質-非 イ オ ン界 面 活 性 剤 複 合 体 が 生 成 す る (省 略)。Sephadex
G-50Mカ
ラ ム(1)に よ って 複 合
体 か ら界 面 活 性 剤 の モ ノマ ーを 除 去 す る こ とに よ り, リポ ソ ー ム を形 成 さ せ る 。
(B)
リポ ソ ー ムを サ イズ に した が って, た とえ ば Sepharose
4Bカ
ラ ム(2)を用 い て 分 画 す る。
(C)
比 較 的に 小 さい サ イ ズ の リポ ソ ー ム画 分 を アル キ ル硫 化 物 ゲ ル粒 子 を 充 填 した カ ラ ム(3) (大 き
な孔 径 を もつ Sepharose
2Bあ
る い は Sephacryl
S-1000を 用 い る) にか け て疎 水性 相 互 作 用 で 固 定
化 す る。
(D)
1個 の リポ ソー ム の 固 定 化 に は数 本 の ア ル キ ル 基 が 関 与す る と推 定 して い る (さ らに 微 視 的 な
様 子 に つ い て は 図1参 照)。
(E)
リン脂 質 の 固定 化 を 示 す 溶 出 曲線 (リ ン 定 量 値 ∼ 溶 出 体 積 ; 影 を つ け た 部 分 が 固 定 化 され た リ
ポ ソー ム量 に相 当す る)。 最 初 は 流 下 させ た懸 濁 液 中 の す べ て の リポ ソー ム が 固 定 化 され る。 飽 和 状 態
に近 づ くに つ れ て, リポ ソー ム の 一 部 が カ ラ ムを 素 通 りす る よ うに な る 。
2A)。
した (図2B)。
疎 水 性 相 互 作 用 に よ る固 定 化 の場 合 に は,
リポ ソー ム
の サ イ ズは 使 用 す る緩 衝 液 のイ オ ン強 度 を 変 え る こ とに
必 要 に応 じて, 分 画 され た リポ ソ ーム の
サ イ ズ分 布 を Sephacryl
S-1000を
用 い る ゲル ク ロマ ト
グ ラ フ ィー に よ っ て評 価 した^<1)>。
よっ て調 整 で き る^<1,4)>。
透 析 に よ る封 じ込 め を 行 な う場 合
封 じ込 め 方 式 の場 合 に は, 粒 子 の 内 部 に 生 成 し毒 リポ
に は, リポ ソ ー ム のサ イ ズ は界 面 活 性 剤 の選 択, 界 面 活
ソー ム のサ イ ズ を評 価 す る こ とは 困 難 で あ った 。 そ れ で
性 剤/脂 質 の 比 を変 え る こ とに よ って 調 整 で きた^<2,3,5>。 も平 均 的 な サ イ ズ を推 定 で きた し^<2,5>),
封 じ込 め られ な か
可 溶化 に胆 汁 酸 塩 の よ うな イ オ ン性 界 面 活 性 剤 を使 用 し
った リポ ソー ム の サ イ ズ を 評価 す る こ とは で きた^<3)>。
も
て い る場 合 に は, イ オ ン強 度 を 高 め る と大 きな リポ ソ ー
し, ゲル の切 片 を電 子 顕 微 鏡 で見 る こ とに よ って ゲル 粒
ム が得 られ た。 しか し, こ の方 法 で はサ イ ズ の分 布 が 広
子 の 内部 の リポ ソー ム の形 態 を観 察 で きた ら, ゲル の粒
くな った。 そ こで, Sepharose
子 の孔 径 と リポ ソー ム の サ イ ズ の 双 方 の 分 布 が 明 らか に
4Bカ
ラ ム ク ロマ トグ ラ
フ ィー に よ っ てサ イ ズ のそ ろ った 画 分 を採 取 す る よ うに
な って興 味深 い で あ ろ う。
1987
12
蛋 白 質
3.
核 酸
酵 素
Vol. 35 No. 11
(1990)
疎水性相互 作用による固定化
大 量 の リポ ソー ム懸 濁 液 (10∼120ml)
を 低流 速 で ア
ル キ ル 硫 化 物 ゲル 粒 子 を詰 め た 小 さ な カ ラム (1∼5ml)
に 送 り込 ん だ (図2C)。
多 くの場 合, アル キ ル 基 と して
オ ク チル 基 を もつ ゲル を 使用 した 。 リ ン脂 質 の固 定 化 の
速 度 は 容 量 の約 半 分 が 満 た され る ま で は, 充 填 カ ラ ム1
mlあ
た り1.5μmol/分
で あ った 。 そ の 後 は, リポ ソー ム
の 希 薄 な 懸 濁 液 を 用 いて も固 定 化 され る割 合 は わ ず か に
な った^<1)>。
固定 化 に要 す る 時 間 は1∼20時
間 で あ った 。
した が って, 場 合 に よ って は 一 晩 中 にわ た って 還 流 を 行
な うの が好 都 合 であ った 。 リポ ソ ー ム は図2Dに
示 した
よ うに 何個 か の アル キ ル リガ ン ドに疎 水 性 相 互 作用 で も
Database Center for Life Science Online Service
っ て結 合す る もの と推 定 され る。 疎 水 性 相 互 作用 ク ロマ
図3.
ゲ ル 粒 子 中 の 最 大 孔径 とほ ぼ 同 じ サ イ ズ の リポ
ソー ム が 固 定 化 さ れ て も, そ の孔 はた だ ちに 詰 ま
る と はか ぎ ら ない 。1つ
の孔 が い くつ もの 入 り口
トグ ラ フ ィー の カ ラ ム中 で の 蛋 白質 の吸 着 の 場 合 と異 な
を も っ てい るか も しれ な い 。 しか し, 入 り口を ふ
さい で 結 合 した リポ ソー ムは 横 方 向 に 移 動 した り
っ て, 疎 水 性 相互 作用 に よ って リポ ソー ムを担 体 に結 合
回 転 した りして 奥 の 方 に 移 動 して 行 くで あ ろ う。
さ せ る に は高 い イ オ ン強 度 を 必 要 と しな い^<4)>。
あ とで 述
べ るが, アル キル リガ ン ドの 密 度 を ち ょう ど よい具 合 に
目的 を達 す る こ とが で き る。 得 られ た ゲル ・界面 活性
してお くこ とが, 固定 化 を速 や か に進 行 さ せ, 他 方 で ば
剤 ・脂 質 の3種 混 合物 を ポ リメチル メタ ア ク リレー トで
リポ ソー ムが 漏 れ に く くす る た め に重 要 で あ る^<1,4)>。
たぶ
作 られ たU字 型 の 枠 を は め て 偏 平 に広 げ た透 析 チ ュー ブ
ん, 固 定 化 され た リポ ソー ム は ア ル キ ル リガ ン ドを 介 し
に 移す (図4A参
て ゲル に結 合 した ま ま で, 粒 子 の 中心 に 向 か って高 分 子
で しば って 閉 じる 。 この よ うな 薄 い形 状 の透 析 装 置 を用
照)。 開 口部 に 同 じ材 質 の蓋 を して糸
の 束 に 沿 っ てゆ っ く り と横 方 向 に移 動 した り回転 した り
い る と透 析 が速 や か に 進行 す る。 透 析 外液 は とき どき交
して 完 全 に 均 一 な 分 布 が 達 成 され る ま で拡 散 的 に移 動 し
換 す る か^<2,5)>,
図4Aに
て い くので あ ろ う^<4)>。
そ の過 程 を 図3に 模 式 的 に描 いた 。
た^<3)>。
さ らに 効 率 を 上 げ る に は, 透 析 セル を 回転 させ
ゲル 粒 子 の 孔 の入 り口が 一 時 的 に 塞が れ る の で, 吸着 速
た^<3,29)>。
ゲル 粒 子 の孔 径 そ して脂 質/界 面 活 性 剤 の比 率 の
度 が 低下 す る の で あ ろ う。 これ は 吸着 が そ ろそ ろ飽 和 に
双 方 が 適 当 で あれば,
近 づ い て 空 い て い る孔 の数 が 少 な くな った 段 階 で顕 著 に
れ る につ れ て ゲル 粒 子 の 内部 の隙 間 に リポ ソー ムが 形 成
な るで あ ろ う。 付 け加 え る と, そ の大 き なサ イ ズゆ え に
され, そ れ らの うち の あ る も の は大 き く生 長 して ゲル の
示 した よ うに連 続 的 に流 出 させ
界面 活 性 剤 が 透 析 に よっ て除 去 さ
リポ ソ ーム の 拡 散 は蛋 白質 のそ れ と比 較 す る と遅 い よ う
網 目の 中 に 閉 じ込 め られ て しま う (図4C)。
で あ る。 懸 濁 液 の リポ ソ ー ム の濃 度 が 高 い場 合 に は, カ
は, 高 い cmc
ラ ム へ の 送 液 速 度 を充 分 に低 く して, リポ ソ ー ムが 完 全
こ の条 件 を満 た さ な い界 面 活 性 剤 の場 合 に は, 疎 水 性 の
に 吸着 す る よ うに 配 慮 す べ き で あ る^<1)>。
ポ リス チ レ ン粒 子 の よ うな 物 質 に界 面 活 性 剤 を 吸 着 させ
担 体 ゲル 粒 子 の 固 定 化 容 量 を決 定 す る場 合 に は, 過 剰
量 の リポ ソー ムを 低 速 で供 給 し, 供 給 量 と溶 出 量 の差 と
て取 り除 か ね ば な らな い。 封 じ込 め る こ とが で き る のは
リポ ソ ー ム全 体 の約20%,
あ る い はそ れ 以 下 で あ る。固
後述
定 化 され な か った リポ ソ ー ムは ゲル 粒 子 を カ ラ ムに つ め
リポ ソ ー ム で
て 洗 い 流 す 。 そ れ らは ゲル粒 子 の 外 部 で 形成 され た リポ
して 吸着 した リポ ソ ー ムの量 を 決 定 した (図2E)。
の よ うに, ゲル 粒 子 の 内 部 容 積 の20%を
こ の場 合 に
を もつ 界面 活 性 剤 を用 い る必 要 が あ る。
満 た す こ とが で きた^<1)>。
ソ ー ム, あ るい は 粒 子 の中 であ って も孔 径 の 大 きい部 分
に お い て 形成 され た も ので あ ろ う。 遠 心 に か け る と網 目
4.
封 じ込 め
リポ ソー ム を ゲル 粒 子 の 内部 に封 じ込 め る方式^<2,3,5)は
が ゆ が む の で あ ろ うか, さ らに 少 量 の リポ ソー ム が除 去
され る。 しか し, 同 じ塩 濃 度 の緩 衝 液 を用 い て溶 出 を 行
最 初 に 文 献5に お い て 報 告 した。 界面 活 性剤-リ ン脂 質
な うか ぎ りに お い て は, それ 以上 の リポ ソー ム の脱 離 は
混 合 溶 液 を ゲル 粒 子 を充 填 した カ ラム に送 液 して, 粒 子
認 め られ な か った^<5)>。
中 に 界 面 活 性 剤-脂 質 混 合 溶 液 を 浸 透 させ る。 こ うす れ
ホ ス フ ァチ ジル セ リンの リポ ソー ム に 関 して は, カ ル
ば, 溶液 が 希 釈 され る こ と も脂 質 が 失 わ れ る こ とも な く
シ ウ ム イ オ ンに よ る融 合 を 起 こ させ る と閉 じ込 め られ る
1988
13
Database Center for Life Science Online Service
リ ポ ソ ー ム ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー
図4. 透析に よる リポ ソームの封じ込 め
(A)
大きな孔径 を もったゲル粒子を界面活性剤 (cmc が高い もの) で可溶化 した リン脂質溶液に 懸濁 し, 薄 い回転透析
セルに満 た して, 周 囲に緩 衝液 を流す 。
(B)
リン脂質-界面活性剤混合 ミセルはゲル粒子の綱 目 (上部の格子) の内部に も入 ってい る。界 面活 性剤 のモ ノマ ー (こ
こでは胆 汁酸塩 と して描 いてある) は透析膜 の孔 (下部) を通過 して透析セル外に出 る。 脂質/界面活性剤の比率が 上昇 し,
脂質が集 合 して リポソームをゲル粒 子の内外に形成する。混合 ミセルの形状は円盤に近い ものであ るが, 単純 化のために断面
で描いてある。
(C)
ゲル粒子内部に生成 した比較 的に大 きい リポ ソー ムは, 形成 された隙間の出 口か ら出 ることができないので, 物理的
に封 じ込め られる ことになる。
リポ ソ ー ム の 割 合 が 増 大 し た^<3)>。
この融 合 の 処 方 は他 の
とが で き る。 固定 化 の最 高 収 率 は平 均直 径40nmの
目 的 の た め に Papahajopoulos
さ い リポ ソー ム を疎 水 性 相 互 作 用 に よ って 固 定 化 した 揚
ら^<30)>に
よ って 考 案 され た
合 に認 め られ た^<1)>。Sepharose2Bと
も の であ る。
Sephacryl
小
S-1000
の ゲル 粒 子 内 の容 積 の約 半 分 が この よ うな リポ ソー ム を
II.
固 定 化 さ れ た リポ ソー ム の 特 性
受 け 入 れ うる領 域 で あ って, 図5に お い て Sephacryl S1000につ
1.
表
面
積
ゲル 粒 子 中 に閉 じ込 め られ た リポ ソ ー ム の量 は, そ れ
らを 構 成 してい る脂 質 の 量 あ るい は表 面 積 で 表 示 す る こ
い て示 され て い る よ うに 最 終 の リポ ソー ム結
合 量 は非 常 に高 か った。 上 記 の2種 の 担 体 の アル キル 硫
化 物 誘 導 体 につ い て 認 め られ た 最 大 固 定 化 量, 充 填 ゲル
1mlあ
た り110μmolは
リポ ソ ー ム の外 表 面 積28m^2に
1989
14
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 35 No.
11
(1990)
した結 果 は, 製 造 元 に よれ ば100m^2/gで
Instruments
Co., Inc., Woburn,
あ る (Rainin
MA,
USA)。
しか し,
プ ロ ピル ア ミンが 吸 着 で きる 面積 は20∼25m^2/gで
(評 価 法 の 詳細 は文 献14,
18参 照),
あ り
リン脂 質 に とっ て
も利 用 で きる面 積 は そ の程 度 で あ る と推 定 され る。 この
面 積 は疎 水 性 相 互 作 用 で 固 定化 した 小 さ な リポ ソー ム に
つ い て認 め られ て い る も の と同程 度 で あ る。
上 記 の脂 質 の単 分 子 層 の表 面 は, あ る程 度 の疎 水 性 を
保 持 して い る (C_2あ る いはC_3逆 相 カ ラム の担 体 表 面 の
事 情 に類 似 して い る)^<14)>。
こ のた め に 脂 質 単 分 子 層 で ゴ
ー トされ た担 体 は
, 筆 者 ら が疎 水 性 相 互 作 用 で リポ ソー
ム を 固定 化 した 担 体 と類 似 の挙 動 を示 す と考 え られ る。
これ に反 して, 封 じ込 め 方 式 で リポ ソー ム を 固定 化 した
時間 (時)図5.
疎 水 性 相互 作 用 に よる 固 定 化
ア ガ ロー ス ゲル 粒 子 にお い て は, ゲル そ して リポ ソー ム
Database Center for Life Science Online Service
平 均 直 径 が40nmの
卵 黄 リン脂 質 リポ ソー ム を octylsulfide
Sephacryl
S-1000
(リ ガ ソ ド密 度1.4μmol/ml充
填 ゲ ル) カ
ラム に 流 入 さ せ た (流 速 : 21ml/時 間, カ ラム 体 積 : 1.0ml)。
リ ン脂 質 濃 度 はP
(リ ン) に つ い て4.5mM。
添 加 した リン脂 質
の 総 量 は520μmol。
献1中
固 定 化 した リン脂 質量 は110μmol。
〔文
双 方 とも表 面 は親 水 性 で あ り, 事 情 は ま った く異 な っ て
い る。 も っ とも, こ の種 の ゲル は生 体 高 分 子 に対 して多
少 の親 和 性 を示 す こ とが 知 られ て い るか ら, 若 干 の相 互
作 用 が 起 こ る こ とは あ る で あ ろ う。
の 図 を 改 変〕
相 当 す る。 こ の計 算 に あた っ て は, リ ン脂 質1分 子 が リ
ポ ソ ー ム の 内外 の表 面 で 占 め る面 積 を0.7nm^2,
そ して
2.
固定 化 され た リポ ソ ーム の安 定性
疎 水 性 相 互 作 用 に よ っ て固 定 化 され た リポ ソ ー ムか ら
直
の リ ン脂 質 の“ 漏 出” は 非 常 にわ ず か で あ った (そ れ を
径 を もつ リポ ソー ム につ い て の相 当す る値 は文 献1の
デ
正 確 に測 定 す る試 み は行 な っ て い な い)。 漏 出 は 水 に リ
ー タ に基 づ い て計 算 す る とゲル1mlあ
あ
ン脂 質 が 溶 解 す る程 度, す なわ ち1μM程
二 重 層 の厚 さを4nmで
あ る と仮 定 した。200nmの
た り4m^2で
った。
度以下の値 で
あ ろ う。 リポ ソー ム単 位 の脱 離 は認 め られ な か った 。
封 じ込 め 方 式 の場 合 に は, 固 定 化 され る リポ ソー ム量
荷 電 を もた せ た リポ ソー ムを 封 じ込 ん だ ゲル に大 量 の
は さ ら に少 な く, そ のサ イ ズ との間 に 明確 な相 関 は認 め
蛋 白質 を い った ん結 合 させ, NaClの
られ な か った。Sepharose
溶 出す る と, 初 回 の操 作 サ イ クル に お い て5∼23%の
6Bと
Sephacryl S-1000の
粒
濃度勾配をかけて
脂
子 の場 合, 種 々 の条 件 下 にお い て封 じ込 め られ た リポ ソ
ー ムに 含 まれ る脂 質 の量 は4 .8±3.8μmol/ml (n=19)
質 が 失 わ れ た 。 リポ ソー ム の表 面 荷 電 が 蛋 白質 の結 合 に
で^<2,3,5)>,
1.0±0.8m^2/mlに
質 が 放 り出 され る の であ ろ う。 こ の傾 向 は塩 濃 度 の増 大
相 当 した 。 こ の量 は種 々 の方
よ っ て 中和 され た 結 果 と して, リポ ソー ムが 収 縮 して脂
式 の ク ロマ トグ ラ フ ィ ーを 行 な うに あた っ て, まず は満
に よ っ て 促進 され る で あ ろ う。低 いpHで
は上 記 の よ う
足 で き る量 であ る。 実 際 に 表 面 積 が ど の程 度 で あ るか は
な消 耗 は少 なか った 。 図6に 示 す よ うに 同 じカ ラ ム につ
実 用 上 は あ ま り重 要 では な い 。 しか し, 対 象 とす る物 質
い て同 一 の操 作 を く り返 す と, 消 耗 の程 度 は しだい に低
と担 体 ゲル粒 子 の 構 成 物 質 との 間 に 相 互 作 用 が あ るか 否
下 した 。 固 定 化 に使 用 した 緩 衝 液 よ りも低 い浸 透 圧 を 示
か は,
す 緩 衝 液 を 使 用 す る と 安 定 性 は 増 大 した 。 いず れ にせ
リポ ソー ムを 欠 く コ ン トロ ール 実 験 に よ って 決 定
して お か な け れ ば な らな い 。 これ は リポ ソ ー ム の表 面 積
よ, リポ ソ ー ム の よ うな 非 常 に デ リケ ー トな 固 定 相 を 用
が 減 少 す るに つ れ て ます ます 重 要 に な っ て くる こ と であ
い て い るか ぎ りにお い て は, こ の程 度 の不 安 定 性 は 半 ば
って, と くに リポ ソ ー ム表 面 との相 互 作 用 が 弱 い 場 合 に
宿 命的 な こ と であ ろ う。 固 定 は 非 共 有 結 合 あ るい は 物 理
は,
的 閉 じ込 め に よ って い る し, 二 重 膜 は 生 体 膜 のそ れ に 似
この 点 に対 す る配 慮 が と くに 重 要 に な って く る。
“immobilized
artificialmembrane
chromatography”
て薄 くフ レキ シ ブル であ る。 そ れ で も, 3日 間 に8回 イ
と名付 け ら れ た 手 法^<14)>に
おいて 共有結合 で 単分子膜的
オ ン交 換 ク ロ マ トグ ラ フ ィ ーに 類 似 した 操 作 を して もな
に 脂 質 コー テ ィ ン グを 施 した と記 載 され て い る シ リカ粒
ん ら支 障 が な か った 。 しか も, この 操 作 で カ ラ ムが だ め
子,
にな っ て しま った わ け で もな か った 。Sepharose
Nucleosil-300
1990
(7NH_2)
の 表 面 積 を ガ ス吸 着 で 測 定
6Bに
15
リポ ソー ム ク ロマ トグ ラ フ イー
図6.
プ ラ ス の荷 電 を も っ た リポ ソー ムクロマトグラフィー操作回数図7.
を封 じ 込
疎 水 相 互 作 用 に よ り固定 化 した リポソ ー ム で 飽 和 さ
め て イ オ ン交 換 ク ロマ トグラ フ ィー に 用 い た
れ た Sephacryl
S-1000ゲ
ル 粒 子 の 内 部 の模 式 図
一 定 の体 積 内 に 固 定 化 され た リポ ソ ー ム の様 子 を 示 して い る
場合の安定性
卵 黄 リン脂 質 とス テア リル ア ミン (モ ル 比4
: 1) で 構
(左 端 は 過 少 で あ って, 実 際 は さ ら に50%に
根 当 す る充 填 が 描
か れ る べ き で あ る)^<1)>。
こ こで 強 調 した い こ とは, ゲ ル の 体 積 の
17%が 三 者 の いず れ に お い て も リポ ソ ー ムに よ って 占 め られ る
成 され た リポ ソ ー ムを 封 じ込 め て, 低 塩 濃 度 に お い て ウ
シ血 清 アル ブ ミン を 吸 着 させ, 塩 濃 度 を0か
ら0.2M
(●) あ るい は0.5M
(▲) に 高 め た 。 次 に,
こ とで あ る 。 しか し, リン 脂 質 の 量, す な わ ち 疎 水 性 相 互 作 用
で 固 定 化 さ れた リポ ソー ムの 表 面 積 が 右 に 移 るに つ れ て 激 減 す
出発 点 の
塩 濃 度 に 戻 し て 同 じ こ とを 数 回 に わ た って く り返 した 。
各 々 の カ ー ブは1本 の カ ラ ム に つ い て の 実験 結 果 で あ
る。
Database Center for Life Science Online Service
り, 各 実 験 後 の脂 質 (リポ ソー ム) 残 留 量 を 示 して い る。
封 じ込 め は0.2MのNaCl存
在 下 で行 な った 。 毎 回,
あ る程 度 の量 の ス テ ア リル ア ミンが リポ ソー ムか ら抜 け
比 例 す るか らで あ る。 疎 水 性 相 互 作 用 で 固定 化 した リポ
落 ち て, そ の結 果 と して の リポ ソー ム の縮 小 そ して脱 落
が 起 こる の で あ ろ う。4, 5回 目に な る と 消 失 は わ ず か
に な った 。 〔文 献2中 の図 を 改 変 〕
ソ ー ムに 大 きな 内 部 体 積 を与 え よ う とす る と大 きな リポ
ソ ー ムを 用 い な け れ ば な らな い。 しか し, 固定 化 にあ た
っ て利 用 で き る ゲル 粒 子 の 内部 空 間 の体 積 は リポ ソ ー ム
封 じ込 め られ た 卵 黄 の リン脂 質 リポ ソー ム は9日 間,
℃ に保 存 した と ころ, 損 失 は9%で
4
あ った 。 条 件 を 変 え
が 大 き くな れ ば 減 少 す る。 そ の結 果 で あ ろ うが, 固 定 化
リポ ソ ー ムが アル キ ル 硫 化 物 Sephacryl
て さ らに 耐 用 試 験 を 行 な う必 要 が あ る。 しか しとれ まで
化 され た 場 合 に, 半 径 が40,
に 行 な った 実 験 結 果 に 基 づ い て, この 手 法 の 今後 に つ い
っ て も, ゲル のベ ッ ド体 積 の12%
て い ろ い ろ と 議 論 で き る 段 階 に 達 して い る と 考 え て い
%)
る。 リポ ソ ー ムを 固 定 化 した カ ラ ムを 使 用 す る際 に 注 意
100, 200nmの
固定
い ず れ であ
(ゲ ル粒 子 体 積 の17
が 図7に 示 す よ うに 占 め られ る こ とが観 察 され た 。
封 じ込 み 方 式 で 調 製 され た リポ ソー ムの 場 合 に は,
す べ き こ とは, 浸透 圧 あ るい は 荷 電 に 原 因 す る著 しい 収
ゲル ベ ッ ド体 積 の1.0∼2.2%が
縮 を 固 定 化 リポ ソ ーム に起 こさ せ る こ とを避 け る こ とで
た^<5))>。
あ る。
S-1000に
占 め られ るに と ど ま っ
疎 水 性 相 互 作 用 で固 定 化 した リポ ソー ム の全 体 積 (内
リポ ソ ー ムを 構成 す る リン脂 質 を 架 橋 に よ って 相 互 に
部 水 相 と二 重 層) は リポ ソー ム を 固 定化 す る と, [^<14>C]
結 び 付 け る こ とが 可 能 であ る^<31-33)>。
そ れ に よ って 固 定 化
D-グ ル コ ー ス の オ クチル 硫 化 物 ゲル カ ラム か ら の溶 出体
リポ ソ ー ム の 安 定 性 を 増 す こ とが 可能 で あ ろ う。 しか
積 が どれ ほ ど減 少 す るか を測 定 す る こ とに よ って 評 価 す
し, こ の よ うな 架 橋 の 導 入 は 固 定 化 さ れ た リポ ソ ー ムの
る こ とが で きた^<1)>(グル コー ス輸 送 体 蛋 白 質 が 存 在 しな
基 本 的 な 性 質 に 変 化 を もた らす こ とに もな ろ う。
い場 合 に は, D-グ ル コー ス は 固 定化 され た リポ ソー ム 内
Pidgeon
と Venkataram
が 合 成 した 共 有 結 合 で カ ッ
プル させ た リン脂 質 で さえ も, 溶 媒 条 件 に よ って は エ ス
部 に侵 入 す る こ とな く流 下 して くる)。
アル キル リガ ン ドの密 度 が低 くて漏 れ が 少 な い 場 合 に
テ ル 結 合 の加 水 分 解 のた め に 失 わ れ る こ とが あ る^<14)>。
消
は, 疎 水 性 相 互 作 用 に よ って 固 定 した リポ ソ ー ム の 内部
失 は フ ー リエ変 換 赤 外 分 光 法 で 定 量 で き るが, そ の程 度
空 間 の体 積 は カル シ ウ ム結 合 能 を もつ 蛍 光 色 素, カル セ
は 無 視 で き る場 合 もあ れ ば, 大 量 で あ る場 合 もあ り, さ
イ ンを 用 いて 決 定 で き た。 カル セ イ ンを 調 製 の 過 程 で リ
ま ざ ま であ る^<34)>。
ポソー ム に取 り込 ませ, 溶 媒 中 に残 され た カル セ イ ンは
固定 化 に先 立 っ て ゲル ク ロマ トグ ラ フ ィ ーに よ っ て除 去
3.
リポ ソー ム の体 積
一 定 量 の 脂 質 に よ っ て 形 成 され て い る 単 層 リポ ソ ー
ム の 内部 空 間 の 総 体 積 は 各 リポ ソ ー ム の 半 径 に 比 例 す
る^<35)>。
そ の理 由 は,
した 。 固定 化 され た リポ ソ ー ム中 の カル セ イ ン は, リポ
ソー ム を界 面 活 性 剤 を用 い て破 壊 して か ら蛍 光 法 で定 量
した^<1)>。
閉 じ込 め られ た リポ ソー ムの 内 部 空 間 体 積 も類
リポ ソ ー ム の数 は半 径 の 自乗 に反 比
似 した 方 式 で測 定 され た。 これ ら の測 定 に よ っ て ゲル 粒
例 して減 少 す るが, 各 リポ ソ ー ム の体 積 は 半 径 の立 方 に
子 内部 の脂 質 が 確 か に 閉鎖 され た 内 部 空 間 を も っ た リポ
1991
蛋 白 質 核 酸 酵 素 Vol. 35 No. 11 (1990)
16
ソ ーム を 形成 してい る こ とが 立 証 され た 。 疎 水 性 相 互 作
用 に よ って 固 定 化 され る際 に リポ ソー ム の破 壊 が 起 こ っ
III.
プ ロテ オ リポ ソー ム の 固 定 化
て い な い こ と も, こ の ア プ ロー チ で確 認 され た 。 形 成 さ
れ た リポ ソ ー ム の体 積 は, 固 定 化 に先 立 っ て ゲル ク ロマ
トグ ラ フ ィ ーに よ り評 価 され た 脂 質 の量 お よび リポ ソー
ムの直 径 と矛 盾 しな い も の で あ った 。
1.
疎水 性 相 互 作 用 に よ る 固 定 化
膜 内 在 性 蛋 白 質 を 保 持 した リポ ソ ー ム を す で に 述 べ た
処方
(図2参
照)
に した が っ て Sephadex
G-50ク
ロマ
ト グ ラ フ ィ ー に よ っ て 調 製 し た 。 得 られ た プ ロ テ オ リポ
4.
ソ ー ム は Sepharose
脂 質 二 重 層 の透 過 性
リポ ソ ー ムを 疎 水 性 相 互 作 用 で 固定 化 しよ う と す る
deSephacryl
が, そ の 量 は リガ ン ドの密 度 に劇 的 とい え る ほ どに著 し
μmolの
Database Center for Life Science Online Service
り14μmolの
た
場 合 に は, 固定 化 に際 して初 期 に大 量 の漏
出 (直 径40nmの
リポ ソー ム の場 合 に は75%;
の場 合 に は25%)
が 観 察 さ れ た 。 とこ ろが 密 度 が6
μmol/mlの
場 合 に は2∼3%に
100nm
す ぎ なか った^<1)>。
固定化
S-1000を
リ ン 脂 質 が 固 定 化 さ れ,
μlの 体 積
[Enoch
(specific
liposome
もつ
用 い た 。 ゲ ル1mlあ
脂 質1μmolあ
と Strittmatter
volume)
octylsum
た り29
た り2.0
が 比 リポ ソ ー ム 体 積
と よ ん で い る も の で あ〓
る^<35)>]
を も つ リポ ソ ー ム が 得 ら れ た 。 蛋 白 質 と し て は ヒ
ト赤 血 球 の 内 在 性 膜 蛋 白 質 を 用 い た 。 調 製 され た 疎 水 性
相 互 作 用 に よ る 固 定 化 プ ロ テ オ リ ポ ソ ー ム カ ラ ム は,
が 最 終 段 階 に近 づ く と, リガ ン ド密 度 とサ イ ズへ の依 存
に 述 べ る よ う な“transport
性 に は 同 じ傾 向が 認 め られ た も の の, 漏 出は 著 し く低 下
に 利 用 した 。
した (0.06∼0.6%)。
分 画 し, 直 径 が 約100nmの
画 分 を 選 ん だ 。 リ ガ ン ド密 度6μl/mlを
と, 封 入 して お いた カル セ イ ン の一 部 が 漏 れ 出 て きた
く左 右 され た 。 オ クチル 基 の密 度 が 充 填 ゲル1mlあ
4Bで
retention
次
chromatography^<*3>”
数 多 くの オ クチル 鎖 が 脂 質 膜 を貫
通 して くる と, 一 時 的 に漏 出が 起 こ りや す くな り, や が
2.
て損 傷 を 受 け た 個 所 が 補 修 され る よ うで あ る。
赤 血 球 の膜 内在 性 蛋 白質 を オ クチル グル コシ ドで可 溶
プ ロ テ オ リポ ソ ー ム の封 じ込 め
封 じ込 め られ た リポ ソー ムか ら は カル セ イ ンの漏 出 は
化 した も の を オ クチル グル コシ ド-脂質 混 合 物 溶 液 に 添
検 出 され な か った 。 こ の場 合 に は, リポ ソー ム は本 来 の
加 し, 図4に 示 した よ うに して透 析 す る と, リポ ソ ー ム
構 造 を 維 持 して い る も の と想 像 され る。 しか し, 凍 結 ・
の封 じ込 め に際 して膜 内在 性 蛋 白質 を脂 質 二 重 膜 に埋 め
融 解 処 理 に よ っ て調 製 した大 き な サ イ ズ の リポ ソー ム と
込 む こ とが で き る。 これ は電 気 泳 動 に よ っ て立 証 す る こ
Sephadex
G-50 (M)
の表 面 が 接 す る と, 封 入 して お いた
とが で き る^<5)>。
封 入 され た プ ロテ オ リポ ソー ム に 含 まれ
グル コ ー スが 漏 れ 出す こ とが 他 の実 験 で認 め られ て い る
る ゲル1mlあ
(L. Andersson,
蛋 白質 を欠 く封 入 リポ ソー ム と 比 較 す る と, 70∼115%
P. Lundahl : 未発表)。デ キ ス トラ ン系 の ゲ
た りの脂 質 の量 は 同 じ条 件 下 で調 製 した
ル のほ うが ア ガ ロー ス系 の もの よ りリポ ソー ム に対 す る
で あ った^<5)>。
ア ニ オ ン輸 送 蛋 白質 の 取 り込 ん だ リポ ソー
親 和 性 が 高 い よ うで あ る。 リポ ソー ム と高 分 子 との相 互
ム を Sepharose
作 用 は さ ま ざ ま の場 合 につ い て 今後 も検 討 され るべ き問
が, 固定 化 され た量 はわ ず か で あ っ た。 この蛋 白質 は オ
題 であ る。 リポ ソー ムが 限 外 フ ィル タ ー に 吸着 す る と著
クチル グル コシ ド中 で は高 度 に会 合 す る傾 向 が あ り^<25)>,
しい 漏 出 が 認 め られ る (L. Andersson,
6Bゲ ル 粒 子 中 に 封 じ 込 め よ う と した
P. Lundahl : 未発
そ の た め に封 入 に先 立 つ段 階 に お い て ゲル 粒 子 の 内部 空
表)。 また, ガ ラ スへ の 吸着 に際 して も漏 出が 認 め られ て
間 に進 入 しに くい の で あ ろ う。 この よ うに非 イ オ ン界 面
い る^<36)>。
これ らの結 果 と対 比 して 考 え る と, 疎 水 性 相 互
活 性 剤 の存 在 下 で の膜 蛋 白質 の オ リゴマ ー形 成 の傾 向 は
作 用 に よ っ て リポ ソー ム を ア ガ ロー ス あ る い は ビス-ア
リポ ソー ムへ の封 じ込 め に あた っ て充 分 に考 慮 され な け
ク リル ア ミ ド/ア リル デ キ ス トラ ンの ゲル へ 封 じ 込 めた
れ ば な らな い が, 疎 水 性 相 互 作 用 に よる 固定 化 の場 合 に
場 合 には, 脂 質 二 重 層 構 造 へ の封 じ込 め の影 響 は非 常 に
は プ ロテ オ リポ ソー ム を ゲル 粒 子 へ の封 入 に先 立 って形
軽 微 であ る と判 断 され る。
成 してお くの で問 題 は 生 じに くい 。 あ る場 合 に は, 膜 内
在 性 蛋 白質 を す で に形成 され て い る リポ ソ ー ム と混 合 す
る こ と に よ って 脂 質 二 重 膜 に 取 り込 ま せ る こ とが で き
る^<37)>。
*3
膜 を 介 して 輸 送 現 象 に 基 づ い た ク ロマ トグ ラ フ ィ ー の総 称 と して 著 者 らが 提 案 し て い る も ので あ る。未定着な名称であるので
翻 訳 は 避 け た 。 〔訳 注 〕
1992
17
リポ ソ ー ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー
図9. “transport
retention chromatography”
L-グ ル コ ース (L)
は 疎 水 性 相 互 作 用 で 固 定 化 した プ
ロ テ オ リポ ソー ム (ヒ ト赤 血 球 膜 内在 蛋 白 質) を 保 持 し
た octylsulfide Sephacryl
S-1000カ
ラ ムか ら, D-グ ル
コ ー ス (D) に 先 立 って 溶 出 し て きた 。 カ ラ ム体 積 : 3.8
3.8ml,
カ ラ ム サ イ ズ : 1.0cm
(内 径)×4.8cm,
試料 体
Database Center for Life Science Online Service
積 : 100μl, 流 速 : 6ml/時 間 。 も っ と細 くて 長 い カ ラ ム
を用 いた な らば, ゲ ル ク ロマ トグ ラ フ ィ ー の場 合 と同 様
図8. “transport
retention
の原 理 の概 念 図
に 分 離 能 が 向上 す る で あ ろ う。 〔文 献1中
chromatography”
疎 水 性 相 互 作 用 で 固 定 化 した リポ ソ ー ムに グル コ
ー ス 輸 送 蛋 白 質 が 埋 め 込 まれ て い る場 合 , リポ ソ ー
ム の 内 部 に 入 り込 むD-グ
ル コー ス (D)
間 の み を 流 下 す るL-グ ル コ ー ス (L)
流 出 して くる 。
は, 外 部 空
よ りも遅 れ て
ら った。V_0-V_L,
リポ ソ ー ム の直 径 (50nm),
層 の厚 さ (約4nm)
部 体 積V_iは
の図を改変〕
脂質二重
か ら固 定 化 され た リポ ソー ム の 内
第1回
の溶 出 で は210μl,
第2回
では160
μlと 算 出 され た 。 輸 送 が 起 こ った た め の遅 れ, V_0-V_L
は90μl (V_iの43%)
IV.
リ ポ ソ ー ム ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー
第2回
で あ っ た。 図9に
の実 験 で は, 遅 れ は95μl
お い て 示 した
(V^'_iの60%)
であ っ
た^<1)>。V_D-V_Lは小 さ い値 で あ るが, D-グ ル コー ス の輸
1. “transport
retention chromatography”
送 とい う観 点 か らす る と意 味 の あ る妥 当 な値 で あ る。期
ヒ ト赤 血 球 の グル コ ー ス輸 送 蛋 白質 は グル コ ー ス のD
待 され る 最 大 値, す なわ ちV_iの
半 分 で あ る こ とは,
とL体 を区 別 し, 前 者 のみ が 細 胞 内 に入 る こ と を許 す ゲ
流 速 が高 す ぎ てD-グ ル コ ース の 内 外 の平 衡 化 が 達 成 で
ー トと して機 能 す る。 こ の蛋 白質 は組 織 特 異 性 を もつ が
き な か った こ とを反 映 して い る と考 え られ る。 流 速 を高
ア ミノ酸 配 列 には 部 分 的 に類 似 性 を示 す 一 群 の蛋 白質 に
め る とV_D-V_L値
属 し^<38,39)>,
た とえ ば血 液/脳 関 門^<40)>そ
して血 液/眼 関 門^<41)>
質 を埋 め込 ま な い か, あ るい は 埋 め 込 ん で も グル コー ス
は減 少 した 。固 定 化 リポ ソー ム に蛋 白
と して機 能 す る。 これ を 埋 め 込 ん だ リポ ソ ー ムを 固 定 化
輸 送 を失 活 させ る と, V_DとV_Lの
す る と, 以 下 の よ うに ク ロマ トグ ラ フ ィ ーに お い て一 風
くな った 。V_D-V_Lの
変 わ った 固 定 相 と して機 能 す る こ とを 確 認 で きた 。
るた き
うに は, 担 体 の ゲル 粒 子 のサ イ ズ の均 一 化 と孔 径 を
octylsulfide Sephacryl
S-1000の
小 さ な カ ラ ム につ い
て [^<14>C]
D-グ ル コー ス の 溶 出体 積V_0を
正 確 に決 定 して
か ら, 赤 血 球 の 膜 内 在 性 蛋 白質 が 埋 め 込 まれ た プ ロ テ オ
間 に差 が 認 め られ な
値 を 大 き く ゾー ンの広 が りを狭 め
大 き く して, よ り多 くの そ して 大 き い リポ ソー ム を 内部
に封 入 で き る よ うに しな け れ ば な らな い 。
類 似 の グル コー ス の ク ロマ トグ ラ フ ィーが 赤 血 球 膜 の
リポ ソ ー ムを 固 定 化 した 。 グル コ ース 輸 送 蛋 白質 は 重 量
破 片 を用 い て1966年
に して,
Bonsall と Hunt^<43)>によ っ て報 告 され て い る 。 認 め られ,
これ らの 膜 内在 性 全 蛋 白質 の20%を
占め て
に, Robinski
と Stein^<42)>そ
して
い る。 輸 送 され る [^<14>C]
D-グ ル コ ース と 輸 送 され な い
たV_DとV_Dの
[^<14>C] L-グ
ル コー ス を別 個 に カ ラム に掛 け, そ れ ら の溶
グル コー ス の リポ ソー ム 内 へ の 輸 送 が 起 こ った の で は な
出 体 積, V_DとV_Lを
間 の 差 異 は きわ め てわ ず か で あ った。D-
測 定 した 。 図8と 図9に 示 す よ う
く, 単 に選 択 的 な結 合 が起 こ った た め であ る と解 釈 され
に プ ロテ オ リポ ソ ー ムの 内 部 に 入 り込 む こ との で き る
た 。 当時 は膜 の断 片 が 多 か れ 少 な か れ 閉 じた べ シ クル 状
[^<14>C]
D-グ ル コー ス は [^<14>C]
L-グ ル コ ー ス よ りも 遅 れ て
に な っ て い る可 能 性 は充 分 に は 認 識 され て いな か った。
溶 出 して きた 。上 記 の3回 の操 作 にお い て ク ロマ トグ ラ
グル コー ス輸 送 を分 離 の 目的 に活 用 す る ま っ た く別 の
フ ィ ーの ほ か の条 件 は同 一 に な る よ うに充 分 な 注 意 を は
アプ
ロー チ は, Goldin
と Rhoden^<44)>によ っ て提 案 され.
1993
18
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 35
No. 11
(1990)
た“transport specificity fractionation”
で あ る。 グル コ ー ス輸 送 蛋 白質 を含 む リ
ポソ ー ムを 他 の蛋 白質 を含 む リポ ソー ム
か ら遠 心 に よ って 分 離 す る こ とが で き
た 。 す な わ ち, あ らか じめ プ ロテ オ リポ
ソ ー ムへD-グ
ル コー ス を 封 入 させ て お
く と, グルコ ー ス輸 送 体 を 含有 す る リポ
ソ ー ムか ら はD-グ ノ
セコー ス が 放 出 され
る の で, 密 度 が 減 少す る こ とを利 用 す る
の で あ る。 これ は グル コー ス輸 送 蛋 白質
の存 在 を確 認 す る初 期 の成 果 で あ った 。
最 近 に な っ て, 同 様 の 原 理 に 基 づ く分 離
がATP依
存 性Ca^<2+>輸送 蛋 白質 お よび
他 の輸 送蛋 白質 に つ い て 行 な わ れ て い
Database Center for Life Science Online Service
る^<45)>。
2.
リポ
ソ ー ム 表 面 ク ロマ
トグ ラ
フ
イー
筆 者 らが 発 案 した 封 じ込 め られ た リポ
ソ ー ムを 利 用 す る“ リポ ソー ム表 面 ク ロ
マ トグ ラ フ ィ ー” に関 して はす で に報 告
して い る^<2,3)>。
そ こ で は, 封 じ込 め られ た
リポ ソ ー ムが ク ロマ トグ ラフ ィー の 目的
図10.
封 じ込 め られ た リポ ソー ム の表 面 は, こ の イ ラ ス トに 示 した よ うに フ
ェ リチ ソの よ うな 比 較 的 に大 き い蛋 白質 に とっ て も 容易 に近 づ くこ とが
で き る。 卵 黄 リ ン脂 質 とス テ ア リル ア ミ ンで 構成 さ れた リポ ソー ム は透
析 法 で調 製 され る 。 リ ン脂 質1μmolあ
た り最 大 量0.36mgの
フェ リ
チ ソが 結 合 し, これ は リポ ソー ム表 面 の30%を
被 覆す るに 足 る量 で あ
る。 こ こ で結 合 が 飽 和 す る のは 表 面 の 荷 電 が 不 足 して い る た め で あ ろ
う。 これ らの 実 験 に お い て 使 用 さ れ た リポ ソー ム の サ イ ズは,
示 した も の よ り実 際 は大 き い と想像 して い る 。 〔文 献2中
づ い て 描 い た〕
ここで図
の デ ー タ に基
に 使 用 され た 場 合 の安 定 性 につ い て述 べ
て あ る。 封 じ込 め られ た リポ ソー ム が蛋 白質 に と って接
ム表 面上 を 動 きま わ る こ とが で き る。封 じ込 め られ た リ
近 で き る も のか 否 か が検 討 され, そ して それ を 固定 相 と
ポソ ー ム のす べ て の表 面 荷 電 が 蛋 白質 に と って接 近 可 能
して利 用 した イ オ ン交換 ク ロマ トグ ラ フ ィー が試 み られ
であ る こ とが 示 され た 。 す な わ ち ゲル の 網 目の存 在 は リ
た^<2)>。
卵 黄 リ ン脂 質 で 作成 した リポ ソ ーム の 荷 電 密 度 は
蛋 白質 が最 密 充 填 で結 合 す るに は低 す ぎ る よ うで あ った
ポソ ー ムの 表 面 へ の 蛋 白質 の 近 接 に と って支 障 に な らな
いのである。
の で, 荷 電 を も った リン脂 質 を 補充 した と ころ, イ オ ン
交 換 ク ロマ トグ ラ フ ィ ーに 際 して の 蛋 白質結 合 量 は 表 面
3.
荷 電 の 増 大 に伴 って 増 大 した 。 小粒 径 の高 度 に 架 橋 され
プ ラ スに 荷 電 した ステ ア リル ア ミン分 子 と無 荷 電 の 卵
たア ガロー ス ゲル を リポ ソ ー ム の担 体 と して使 用 す る一
封 じ込 め られ た リポ ソー ム 表 面 へ の 接 近 しや す さ
黄 リン脂 質 の モル 比1
: 4混 合 物 か らな る封 じ込 め リポ
ソ ー ム に, マ イナ スに 荷 電 した フ ェ リチ ン分 子 (分 子 量
例 もそ こで 示 して あ る^<3)>。
筆 者 らが 調製 した リポ ソ ー ム の表 面 荷 電 密 度 は蛋 白質
分 子 を 最 密 充 填 状 態 で結 合 させ る に は低 す ぎ る と判 断 さ
れた の で, 荷 電 脂 質 を 添 加 して荷 電 密 度 を高 め る こ とを
440K
; 直 径12nm)
の30%を
荷 電 を も った 脂 質 が 存 在 す る リポ ソー ム表 面 は蛋 白質
リポ ソ ー み表 面
カ ラ ムは 暗褐 色 を 帯 び
た 。 封 じ込 め られ た 荷 電 リポ ソ ー ム に フ ェ リチ ンが 結 合
して い る様 子 を図10に
試 み た^<2)>。
は 大 量 に結 合 し,
覆 った 。 そ の結 果,
rose6Bの
示 した 。 こ の場 合 には, Sepha
よ うな相 対 的 に孔 径 の小 さ い ゲル 担 体 を 使 用
に 対 して在 来 の イ オ ン交 換 体 とは 異 な る興 味 あ る挙 動 を
した に もか か わ らず, こ の よ うな大 き な蛋 白質 に対 して
示 した 。 す なわ ち そ の荷 電 密 度 は低 い が, あ る範 囲 内で
リポ ソー ム表 面 の 大 部 分 が 近 接 可 能 で あ る。 こ の こ と
な ら容 易 に 変 化 させ る こ とが で き る。 荷 電 はか な り平 滑
は,
な 表 面 上 に分 布 してい る。 結 合物 が 存 在 してい な い場 合
りか な り 大 きい は ず で あ り, ア ガ ロー ス (お そ ら くは
に は荷 電 は均 等 に分 布 して い るはず で あ るが,
1994
リポ ソー
リポ ソー ム が 収 容 され うる 空 間 は蛋 白質 の サ イ ズ よ
Sephacryl
ゲル 担 体 に お い て も) の 多 糖鎖 は束 ね ちれ た
19
リポ ソ ー ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー
状 態 に あ って揺 れ 動 い て空 間 を大 き く 占め る よ うな こ と
リ チ ン4mgあるいはシトラコニル
は な い と考 え る と, 矛 盾 な く説 明 で き る (文 献5の 図5
mgを
と本 稿 の 図4Cと
含 有 リポ ソ ー ム は ゲ ル1mlあ
-25nmで,
図10)。 リポ ソー ム の最 小 直 径 は20
フェ リチ ンの直 径 の約2倍
で あ る。 図10
化 ミ オ グ ロ ビ ン0.5
結 合 した 。 封 じ込 め ら れ たホ ス フ ァ チ ジ ル セ リ ン
た り0.5mgの
フ ェ リチ
ン を 結 合 した 。
の リポ ソー ム は過 小 に描 か れ て い る こ とに な ろ うが, フ
ェ リチ ンを結 合 した リポ ソー ム のサ イ ズを 筆 者 ら は残 念
4. 封じ込あられた荷電リポソームヘ
なが ち知 らな い。 同様 に して調 製 した ス テ ァ リル ア ミン
を含 ん で い な い リポ ソ ー ム の平 均 直 径 は60nmで
の結 合
た^<5)>。
担 体 ゲル の み, あ るい は無 荷 電 の卵 黄 脂 質 リポ ソ
リポ ソー ムが フ ェ リチ ンあ る い は シ トラ コ ニル 化 ミオ グ
ー ム を封 じ込 んだ 場 合 に は
ロ ビ ンに よ って飽和 され た 場合,
, そ れ ぞ れ 上 記 の プ ラ ス荷 電
の リポ ソー ム の場 合 に比 して0.4%と0.8%の
フェ リ
チ ンの結 合 を観 察 す る に と ど ま った 。
フ ェ リチ ンに よ っ て リポ ソー ム表 面 の30%が
Database Center for Life Science Online Service
の蛋白質
あっ
の荷電依存性
封 じ込 め られ た ス テ ア リル ア ミン/卵 黄 脂 質 て (1
: 4)
セ リ ンあ る い は ホ ス フ ァチ ジル セ リン/ホ ス フ ァチ ジル
コ リ ン (1 : 4)
被覆 さ
そ してホス フ ァチ ジル
リポ ソー ムが 同様 に リゾチ ー ムに よ って
飽 和 され た 場 合 に は, 結 合 した 蛋 白質 の 荷 電 と リポ ソ ー
れ る と, リポ ソー ム の荷 電 は ち ょ うど中 和 され る こ とに
ム表 面 の 荷 電 の 比 は0.85±0.16
な る。 さ らに ス テ ア リル ア ミ ンを添 加 した ら, よ り多 く
よ り ; シ トラ コニル 化 ミオ グロ ビ ンの 荷 電 は-30と
評
の フ ェ リチ ンが 結 合 す る も の と推 定 され る。
価)。 こ の比 は リポ ソー ム の表 面 荷 電 の70∼100%が
さ
図11に
示 す よ うに,
リゾチ ー ム (分 子量14,600)
(文 献2と3の
デ ータ
ま ざ ま の蛋 白質 を 結 合 す る の に用 い ち れ て い る こ とを 示
は, ホ ス フ ァチ ジル セ リ ンで マ イ ナ ス に荷 電 した リポ ソ
唆 してお り, 表 面 は荷 電 が 中 和 され る ま で蛋 白 質 を 結 合
ー ム の表 面 を100%被
し, あ る場 合 には 図11に
覆 した^<3)>
。 と ころ が, シ トラ コ ニ
ル 化 して マ イ ナ ス荷 電 を もつ よ うに した ミオ グ ロ ビン
示 す よ うに表 面 が完 全 に 蛋 白
質 で覆 わ れ ること に な る。
は, 充 分 に イ オ ン強 度 が 高 い状 態 では, そ のサ イ ズは リ
封 じ込 め られ たホ ス フ ァチ ジル セ リン/ホ ス フ ァ チ ジ
ゾチ ー ム よ りわ ず か に大 きな サ イ ズ であ るが, ス テ ア リ
ル コ リ ンの リポソー ム の場 合 に は, 蛋 白質 を結 合 す る最
ル ア ミン/卵黄 脂 質 リポ ソー み の 表 面 の10%を
大 量 は, 上 記 の電 気 的 に中 性 に な る ま で結 合す る原 理 に
る に と どま った (こ の値 は文 献2の
被覆す
デ ー タに 基 づ い て 計
従 っ て前者の含量
とと もに増 大 した。 ただし, 45%ホ
算 した も の で あ る。 こ の場 合 も, 不 充 分 な 被 覆 は 表 面 の
ス フ ァチ ジル モ リ ンの場 合 に,
荷 電 が 不 足 し てい るた め と推 定 され る)。
か った 。原 因 は不 明 で あ るが, こ の 特 定 の 組成 に お い て
蛋 白質 の結 合 容 量 の 例 を示 す も の と して は, 以 下 の デ
ー タが 有 用 で あろ う。 封 じ込 め られ た ス テ ア リル ア ミ
は, こ め脂 質 が ミ ク ロ ドメ イ ンを形 成 ず る, あ るい は こ
ン/卵黄 脂 質 (1 : 4)
ら垂 直 に変 化 す る のか も しれ な い。
リポ ソ ー ムは ゲル1mlあ
た りフ ェ
最 大 結 合 量は 非 常 に低
の荷 電 密 度 にお い て結 合 した リ ゾチ ーム の 配 向 が 水 平 か
5.
封 じ込 め られ た リポ ソー み を 用 い て の イ オ ン交 換
ク ロ マ トグ ラ フ ィー
図12に
示 す よ うに, 封 じ込 め られ た プ ラス 荷 電 の リ
ポソ ー ム を用 い る こ とに よ っ て, ウ シ血 清 アル ブ ミンの
単 量 体と2量
体 を み ご とに 分 離 す る こ とが で きた^<2)>。
分
離 はPEAE-Sepharose
を 用 い る よ りも良 好 で あ り, よ
り低 い イ オ ン強 度 で実 施 で きた 。 数 種 の血 清蛋 白 質 の分
離 も行 な うこ とが で きた^<2)>。
ま た, 13μmめ
図11.
ク ロマ トグ ラフ ィー に よ って 評 価 した と ころ で
は, ホ ス フ ァチ ジル セ リンの リポ ソー ム の 表 面 は
充 分 な 荷 電 を も って い る め で,
リ ゾチ ー ム 分 子 を
pH7
(リ ゾチ ー ムの 正 味 荷 電 : 10) に お い て 外
部 表 面 に 最 密充 填 で も っ て結 合 させ る こ とが で き
る。 リゾチ ー ム1分 子 の 占 め る面 積 は ホ ス フ ァチ
ジル セ リン12分 子 が 占め る面 積 に 相 当 す る。 〔
文
献3中
の デ ー タ に 基 づ い て 描 い た〕
ー ス ゲル 粒 子 (Superose 6)
固いア ガロ
に 封 じ込あ られ た ホ ス フ ァ
チ ジル セ リ ン リポ ソ ー ムを 用 い て の“ 高 性 能” イ オ ン交
換 リポ ソ ー ム表 面 ク ロマ トグ ラ フ ィー も行 な う ご とが で
きた^<3)>。
リボ ヌ ク レア ー ゼA,
ロ ムcの
混 合 物 は 図13に
リ ゾチ ー ム そ して シ トク
示 す よ うに み ご とに 分 離 さ
れ た 。 高 密 度 に 荷 電 した 強 カチ オ ン交 換 樹 脂, Mono
1995
S
20
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Vol. 35
No. 11
(1990)
の分 離 は よ くなか った が, 他 の2つ の蛋 白質 は リポ ソー
ム ク ロマ トグ ラフ ィー の 場 合 よ りも 良好 に分 離 した^<3)>。
リポ ソー ム を利 用 す る場 合 に は イ オ ン強 度 は比 較 的 に低
く設 定 す る 必 要 が あ った (0.03∼0.15M)。
リポ ソー ム
を封 じ込 めた 場 合 に は 多少 高 い イ オ ン強 度 を採 用 す る。
した が って, そ の あ とで イ オ ン強 度 を下 げ る こ とは, リ
ポ ソー ム を ふ く らませ て外 へ 出 に く くす る こ とに な る の
で た い へ ん好 都 合 で あ る。Mono
終 的 に は5倍
Sカ
ラム の場 合 に は最
も高 い イ オ ン強 度 を用 い る こ とに な って い
る。 リポ ソ ー ムを 封 じ込 め た ゲル カ ラ ムは Mono
ム と 比 較 す る と30%短
ml/分 に落 と した 以外 で は, 流 速 は Mono
図12.
封 じ 込 め た プ ラス に 荷 電 し た リポ ソー ム
じ く0.4ml/分
Database Center for Life Science Online Service
(卵 黄 リソ脂 質+ス テ ア リル ア ミン) を 用 い
て の イ オ ソ交 換 ク ロマ トグ ラ フ ィー に よ る ウ
シ血 清 ア ル ブ ミンの モ ノマ ー (M)
とダ イ マ
ー (D) の 分 離
Sカ ラ
く, 試 料 添 加 時 に 流 速 を0.1
Sカ
ラム と同
に設 定 で きた 。 さ らに小 粒 径 で,
しか も
充 分 な 孔 径 を も った 担 体 が 得 られ るな ら, リポ ソー ム を
用 い た クロ マ トグ ラ フ ィ ーの 分 離 能 は 向 上 で きる で あ ろ
試料体積 :
う。 こ の こ とは, イ オ ン交 換 方 式 に 限 らず, す べ て の 方
200μl, 試 料 濃 度 : MとDそ
れ ぞ れ に つ い て1mg/ml。
Aと 印 され た ピー クは 蛋 白 質 で は な い が, 実 体 は 不 明 で
式 の リポ ソ ー ム ク ロマ トグ ラ フ ィ ーに 共 通 して い え る こ
カ ラ ム サ イ ズ : 1.0cm
あ る 。 〔文 献2中
(内 径)×2.9cm,
の 図を 改 変 〕
とで あ る。
上 記 の イ オ ン交 換 ク ロマ トグ ラ フ ィ ーの 実験 結 果 は,
生 体 内 で の生 理 的 条件 下 に お い て 出 合 う比 較 的 に 高 い イ
オ ン強 度 の媒 体 中 で は 蛋 白質 は イ オ ン相 互 作 用 に よ って
脂 質 二 重 膜 に結 合 で きな い こ とを 示 して い る。 この 知 見
は 生 体 膜 へ の蛋 白質 の 結 合 に つ い て の 結 果 と合 致 して い
る^<46)>。
これ ら の ク ロマ トグ ラ フ ィ ー実 験 は, 封 じ込 め られ た
リポ ソ ー ム ク ロマ トグ ラ フ ィ ーに お け る固 定 相 の 安 定 性
につ い て の知 見 を集 め るた め に行 な った も の であ る。 各
カ ラ ム につ い て, 3∼8回
の ク ロ マ トグ ラ フ ィ ー操 作 を
行 な っ てか ら, 固 定 化 され た 脂 質 の残 存 量 の定 量 のた め
にそ れ らをす べ て 界 面 活 性 剤 で 可 溶 化 した 。 定 量 の 結
果,
図13.
小 サ イ ズ の粒 子 (Superose
6) 中 に 封 じ込 ま
れ た ホ ス フ ァチ ジル セ リソか らな る リポ ソー ム
を 用 い て の イ オ ン交 換 ク ロマ トグ ラ フ ィ ー
リボ ヌ ク レア ーゼ (a),
リ ゾチ ー ム (b),
シ トクロ
ムc (c) は Mono
Sの よ うな 本 来 の イ オ ン交 換樹 脂
ク ロマ トグラ フ ィ ー操 作 に際 して の結 合 脂 質 量 の低
下 は それ ほ ど著 しい も の では なか った 。 も っ と多 数 回 の
ク ロマ トグ ラ フ ィー操 作 に耐 え られ た も の と推 定 して い
る。
を 用 い た 場 合 よ りも は るか に 低 い塩 濃 度 に お い て溶 出 し
て きた 。 こ の結 果 は封 じ込 め ら れ た リポ ソー ム が ク ロマ
トグ ラ フ ィ ー の 固 定相 と して実 用 的 な安 定 性 を も って い
る こ とを 示 して い る。 破 線 は 溶 出 に 際 して の 塩 化 ナ トリ
ウ ム濃 度 の 勾配 を 示 す 。
カ ラ ム体 積 : 0.8ml,
カ ラム サ イ ズ : 0.5cm
(内 径)
×4cm。 流 速 : 0.4ml/分,
試 料 体 積 : 25μl。 蛋 白 質 濃
度 : a) 0.5mg/ml,
図 を 改変 〕
bとc)
1.0mg/ml。
〔
文 献3中
結
論
担 体 ゲル 粒 子 中 に封 じ込 め られ た リポ ソー ム
の脂 質 二 重 膜 に つ い て, それ が実 験 室 規 模 の ク ロマ トグ
ラ フ ィ ーの 担 体 と して 実 用 可能 か を 検 討 した。 そ の結
果,
固 定 相 と して 限 定的 で は あ る が 充 分 な 安 定 性 を示
の
し, 水 溶 性 の蛋 白質 に対 して接 近 しやす い表 面 を提 供 す
る こ とが 明 らか に な った。 単 に分 離 の 目的 に と どま ら
(Pharrnacia
LKB
; 粒 径10μm)
を 比較 の た め に 使 用 し
た 。 こ の 場 合 に は リボ ヌ ク レ ア ー ゼAの
1996
リゾチ ー ムか ら
ず, 水 溶 性 の蛋 白質 と脂 質 二 重 膜 との相 互 作 用 の検 討 に
も, この よ うな 固定 相 を有 す る ク ロマ トグ ラフ ィー は有
リポ ソ ー ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー
用 で あ る こ とが 明 らか に な っ た 。 封 じ込 め られ た リ ポ ソ
5)
ー ム のわ ず か の部 分 は ク ロマ トグ ラフ ィー操 作 をす るた
び に 失 わ れ て い く。 浸 透 圧 の 急 激 な 変 化 は 避 け な け れ ば
な らな い。 界面 活 性 剤 あ る い は 有 機 溶 媒 は 使 用 で き な
6)
7)
い。
脂 質 二 重 膜 に 埋 め 込 ん だ 生 体 膜 蛋 白 質 は,
互 作 用 の 検 討,
生 物 学 的 活 性 の 研 究,
溶 質 との相
8)
分 離 お よび物 質 合
成 の た め に 活 用 す る こ とが で き る で あ ろ う。 疎 水 性 の リ
ガ ン ドの 存 在 が 問 題 に な ら な い 場 合 に は,
9)
こ の 種 の リガ
ン ドを 用 い て 固 定 化 し た リポ ソ ー ム は 安 定 で あ り, 高 い
10)
結 合 容 量 を示 した。 この場 合 は担 体 の 内 部 に高 い 占拠 率
で リポ ソ ー ム を 固 定 化 す る こ と が で き る 。
空 間 を 活用 す る物 質 封 入
portretention
(encapsulation)
chromatography
これ は 内 部
お よ び trans
11)
12)
に 際 して は重 要 な前 提
で あ る。 さ ま ざ ま な ア フ ィ ニ テ ィ を も つ リ ガ ン ドに ス ペ
13)
Database Center for Life Science Online Service
ー サ の 役 割 を す る 部 分 を 介 し て 疎 水 性 の 別 の リガ ン ド
を 結 合 さ せ る こ とが で き る 。 そ の よ う な も の を 疎 水 性 部
14)
分 を 錨 の よ う に し て 脂 質 二 重 層 に 固 定 化 さ せ た な ら ば,
さ ま ざま な ク ロマ トグ ラ フ ィー の 可 能性 が 開 け るで あ ろ
う。
15)
16)
リポ ソー ム の 固 定 化 とそれ を 活 用 して の ク ロマ トグ ラ フ ィー
の 開 発 の過 程 で の
Maria
Wallsten
の 協 力 に 感 謝 す る 。Eva
Greijer か らは さ ま ざま な 段 階 で 有 用 な協 力 を得 た 。Lars
dersson,Ann-Kristin
England,
Erik Mascher
17)
An
には有用な
18)
討 論, 激 励 そ して 有 用 な 知 見 を 提 供 した 関 連 研 究 で の 協 力 に 感
謝 す る。Makonnen
Belew
は アル キル 硫 化 リガン ドの 有 用 性
を筆 者 ら に 教 示 して くれ た。 本 稿 は, 著 者 の 一人 Lundahl
19)
が
大 阪 大 学 蛋 白 質 研 究 所 蛋 白 質 工 学 基 礎 研 究 セ ン タ ー外 国 人 客 員
部 門 に 在 任 した6カ
月 間 に執 筆 した もの で あ る。 この 機 会 を 与
え て くだ さ った 蛋 白 質 研 究所,
20)
そ して 滞 在 を 快 適 な もの に して
くだ さ った 同 研 究 所 の 上 記 セ ン ター と蛋 白 質 溶 液 学 部 門 の 皆 さ
ん に 深 謝 して い る。 日本 滞 在 中 に 何 人 か の 研 究 者 と 本 稿 の 執
21)
筆 に 役 だ った 討議 の機 会 を もつ こ と が で き た 。 そ れ ら の 人 々
(氏 名 は訳 者 に よ っ て紹 介 され て い る)
に 感 謝 し てい る。 本 研
究 に は Swedish
National
Science Board
for Technical
Development
(STUF),
Swedish
Natural Research Council,
O. E.
and
Edla
Johansson
Science
Foundation
を受けた。
23)
文
1)
2)
3)
4)
22)
の財政援助
献
Yang, Q., Wallsten, M., Lundahl, P.: Biochim.
Biophys. Acta, 983, 243-256 (1988)
Yang, Q., Wallsten, M., Lundahl, P.: J.
Chromatogr.,
506, 379-389, (1990)
Yang, Q., Wallsten, M., Lundahl, P.: J. Chro.
matogr., 506, 379-389 (1990)
Sandberg, M., Lundahl, P., Greijer, E., Belew,
M.: Biochim. Biophys. Acta, 924, 185-192
(1987)
24)
25)
26)
27)
28)
29)
21
Wallsten, M., Yang, Q., Lundahl, P.: Biochim.
Biophys. Acta, 982, 47-52 (1989)
Gershfeld, N. L.: Biochim. Biophys. Acta,
988, 335-350 (1989)
Rosengren, J., Pahlman, S., Glad, M., Hjerten,
S.: Biochim.
Biophys.
Acta,
412, 51-61
(1975)
Pahlman, S., Rosengren, J., Hjerten, S.: J.
Chromatogr.,
131, 99-108 (1977)
Hjerten, S.: in Methods of Biochemical Ana
lysis(ed.
Glick, E.),
vol. 27, pp. 89-108,
Wiley, New York (1981)
Eriksson, E.: J. Chromatogr.,
205, 189-193
(1981)
Halperin, G., Shaltiel, S.: Biochem. Biophys.
Res. Commun., 72, 1497-1503 (1976)
Shaltiel, S., Halperin, G.: FEBS Symp., 52,
441-451 (1979)
Shinozuka, T., Takei, S., Watanabe, H., Oh
kuma, S.: J. Chromatogr.,
375, 380-385
(1986)
Pidgeon, C., Venkataram, U. V.: Anal. Bio
chem.,176, 36-47 (1989)
Miyake, K., Kitaura, F., Mizuno, N., Terada,
H.: J. Chromatogr.,
389, 47-57 (1987)
Uchida, T., Filburn, C. R.: J. Chromatogr.,
259, 12311-12314 (1984)
Maisano, F., Belew, M., Porath, J.: J. Chro
matogr.,321,
305-317 (1985)
Brunner, J., Skrabal, P., Hauser, H.: Biochim.
Biophys. Acta, 455, 322-331 (1976)
Froman, G., Acevedo, F., Lundahl, P., Hjer
ten,S.: Biochim. Biophys. Acta, 600, 489501 (1980)
Lundahl, P., Acevedo, F., Froman, G., Phu
trakul,S.:
Biochim.
Biophys.
Acta,
644,
101-107 (1981)
Lundahl, P., Phutrakul, S., Acevedo, F., Fro
man,G.: in Protides of the Biological Fluids
( ed. Peeters, H.), vol. 29, pp. 263-266, Per
gamonPress,
Oxford, U. K. (1981)
Acevedo, F., Lundahl, P., Froman, G.: Bio
chim.Biophys.
Acta, 648, 254-262 (1981)
Froman, G., Lundahl, P., Acevedo, F.: FEBS
Lett., 129, 100-104 (1981)
Lundahl, P., Greijer, E., Cardell, S., Mascher,
E., Andersson, L.: Biochim. Biophys. Acta,
855, 345-356 (1986)
Mascher, E., Lundahl, P.: J.
Chromatogr.,
397, 175-186 (1987)
Mascher, E., Lundahl, P.: Biochim. Biophys.
Acta, 945, 350-359 (1988)
Lichtenberg, D., Barenholz, Y.: in Methods of
Biochemical Analysis (ed. Glick, D.), vol. 33,
pp. 337-462, Willey, New York (1988)
Lasic, D. D.: Biochem. J., 256, 1-11 (1988)
Gould-Fogerite,
S., Mannino, R. J.: Anal.
1997
22
30)
31)
32)
33)
34)
35)
Database Center for Life Science Online Service
36)
37)
蛋 白 質
核 酸
酵 素
Biochem., 148, 15-25 (1985)
Papahadjopoulos, D., Vial, W. J., Jacobson, K.,
Poste, G.: Biochim.
Biophys.
Acta, 394,
483-491 (1975)
Johnston, D. S., Chapman, D.: in Liposome
Technology
(ed.
Gregoriadis, G.),
vol. 1,
pp. 123-129, CRC Press, Boca Rota, Florida,
USA (1984)
Hub, H.-H., Hupfer, B., Koch, H., Ringsdorf,
H.: Angew. Chem., Int.
Ed.
Engl., 19,
938-940 (1980)
Hupfer, B., Riongsdorf, H., Schupp, H.: Chem.
Phys. Lipids, 33, 355-374 (1983)
Markovich, R. J., Stevens, J. M., Pidgeon, C.:
Anal. Biochein., 182, 237-244 (1989)
Enoch, H. G., Strittmatter,
P.: Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 76, 145-149 (1979)
Jackson, S. M., Reboiras, M. D., Lyle, I. G.,
Jones, M. N.: Faraday
Discuss. Chem. Soc.,
81, 291-301 (1986)
Scotto, A. W., Zakim, D.: J. Biol. Chem.,
263, 18500-18506 (1988)
1998
Vol. 35
38)
No. 11
Gould,
G.
Sci.,
39)
(1990)
15,
Charron,
M.
Lodish,
86,
40)
H.
G.
I.:
Trends
Biochem.
(1990)
J.,
F.:
Brosius
III,
Proc.
F. C.,
Natl.
Acad.
Alper,
Sci.
S. L.,
USA,
(1989)
R.
N.,
Perry,
G.,
757-764
41)
Bell,
2535-2539
Kalaria,
W.,
W.,
18-23
Gravina,
S. A.,
Harik,
S. I.:
Kalaria,
R.
Schmidley,
Ann.
J.
Neurol.,
24,
(1988)
Harik,
S. I.,
Andersson,
Perry,
G.:
N.,
Whitney,
L.,
Lundahl,
P.,
Proc.
Natl.
Acad.
P. M.,
Ledbetter,
Sci.
S.,
USA,
ˆó•ü’† (1990)
42)
43)
Bobonski,
H.,
1366-1368
(1966)
Bonsall,
R.
1370
44)
45)
46)
S. M.,
D.:
S.:
Nature,
Nature,
211,
211,
1368-
Rhoden,
V.:
J.
Biol.
Chem.,
(1978)
S. M.,
34-49
Maretzki,
Trends
Hunt,
2575-2583
Goldin,
172,
W.,
W.
(1966)
Goldin,
253,
Stein,
King,
S.
C.:
Methods
Enzymol.,
(1989)
D.,
Biochem.
Reimann,
Sci.,
B.,
14,
Rapoport,
93-96
(1989)
S.
M.:
Fly UP