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第2章 現状と課題 1 「はつかいちスポーツビジョン 21」の総合評価 「は
第2章 現状と課題 1 「 は つ か い ち ス ポ ー ツ ビ ジ ョ ン 21」 の 総 合 評 価 「 は つ か い ち ス ポ ー ツ ビ ジ ョ ン 21」 ( 以 下「 ビ ジ ョ ン 21」)は 、 「スポー ツ 振 興 は『 体 育 』と い う 狭 義 の ス ポ ー ツ 概 念 を 超 え て 市 民 文 化 醸 成 の た め の 基 軸 」と い う 基 本 的 立 場 か ら 、ま ち づ く り・環 境 整 備 と 表 裏 一 体 で 進 め て き ま し た 。 ビ ジ ョ ン 21 は 、 身 近 な ス ポ ー ツ 環 境 の 整 備 、 ス ポ ー ツ 施 設 の 充 実 、ス ポ ー ツ 団 体・ス ポ ー ツ ク ラ ブ の 育 成 、指 導 者 と 指 導 体 制 の 活 性 化 、ス ポ ー ツ・イ ベ ン ト の 充 実 、ス ポ ー ツ 情 報 の 発 信 、ス ポ ー ツ 推 進 体 制 の 整 備 の 7 本 の 基 本 的 な 柱 を 導 き 、 そ れ を 踏 ま え た 42 の 具 体 的 施 策 を 決 定し、展開してきました。 表 1 は 、42 の 具 体 的 な 施 策 に 対 す る 遂 行 関 連 部 局 に よ る 自 己 評 価 、表 2 はその評価の具体的な内容を整理したものです。 表 1 「 ビ ジ ョ ン 21」 の 具 体 的 施 策 と 関 連 部 局 に よ る 自 己 評 価 大 分類 1 身 近 な 環 境 中分類 (1)散 歩 し や す い 道 路 環 境 づ く り (2)軽 い ス ポ ー ツ や 体 操 の で き る 地 域 づくり (3)川 辺 と 海 辺 の 連 続 し た ス ポ ー ツ 環 境づくり の 整 備 (4)山 に 親 し め る ス ポ ー ツ 環 境 づ く り (1)サ ン チ ェ リ ー を ス ポ ー ツ の メ ッ カ に 2 施 (2)施 設 相 互 広 域 利 用 の 仕 組 み づ く り 設 の 充 実 (3)既 存 の 市 営 社 会 体 育 施 設 の リ ニ ュ ーアル (4)学 校 体 育 施 設 と 社 会 体 育 施 設 の 効 果的活用 小分類 自己 評価 ①計画的な歩道整備 ○ ②ウォーキングコースの設定 ◎ ①公園緑地・軽運動ができる空間整備 ○ ②スポーツに優しい街づくりの促進 ○ ①親水施設の整備 × ②ウォーキングコースの設定 △ ③清掃活動への参加促進 ◎ ①アルカディア創出事業の推進 ◎ ②山林に親しめる場の整備 ○ ③山に親しめるスポーツ種目の促進 ○ ①スポーツ情報室の活性化 ◎ ②業務の窓口一元化 △ ③サンチェリーの利用促進 ○ ④保健・医療と連携した事業の促進 ○ ①スポーツ施設相互利用の促進 ○ ②広域利用のシステムづくり ○ ①定期的・計画的な維持補修 ○ ②利用料徴収の簡素化・利便性向上 × ③フェンス等の大規模改修 × ④テニスコートのナイター整備 × ①学校体育施設の活用促進 ○ ②学校空間の効果的活用の検討会設置 × ③県立学校の運動場開放 ◎ 3 3 ク ラ ブ 4 指 導 (1)ス ポ ー ツ ニ ー ズ に 対 応 す る 競 技 団 体システムづくり (2)学 校 と 地 域 が 融 合 す る ク ラ ブ づ く り (1)市内出身の全国大会出場者等の活用 (2)体 育 指 導 委 員 の 資 質 向 上 ①競技団体の組織化支援 ○ ②団体相互のネットワーク強化 ○ ① 学校と地域が連携したクラブづくりの促進 △ ②地域指導者を活用した部活動 △ ①全国大会出場者によるジュニア指導 ○ ①各地区への体育指導委員への配置 ○ ②体育指導委員の研修参加 ○ 者 (3)各種スポーツ教室・審判講習会などへの支援 ①各種スポーツ教室・講習会等への支援 ○ 5 (1)競 技 ス ポ ー ツ 大 会 の 充 実 ①各競技団体による刷新と充実への支援 ○ イ (2)レクリエーション・スポーツ大会の充実 ①市民参加型大会の開催促進 ○ ベ (3)市 民 ニ ー ズ に 合 っ た ス ポ ー ツ 行 事 ①アウトドア・イベント等の促進 △ ②平日夜間に開催する行事の促進 ○ ン の開催 ト (4)「 見 る 」 ス ポ ー ツ へ の 支 援 ①全国大会などの誘致・支援 ○ 6 (1)ス ポ ー ツ セ ン タ ー 情 報 室 の 活 性 化 ①スポーツ情報室の活性化 ◎ 情 (2)ス ポ ー ツ 情 報 の 通 信 ネ ッ ト ワ ー ク 化 ①スポーツ情報通信ネットワークの整備 △ 報 (3)紙面で提供するスポーツ情報の活性化 ① 情報誌の提供・コミュニティ紙との連携 ○ 7 (1)市 体 育 協 会 の 運 営 強 化 ①協会の独立運営の支援 ◎ 推 (2)ス ポ ー ツ セ ン タ ー と 体 育 協 会・ス ポ ①市民と競技団体の交流促進 ○ ①各課や他部局の連携促進 △ 進 体 制 ーツクラブの連携強化 (3)高 齢 化 や 健 康 指 向 に 対 応 し た 各 課 や他部局との連携強化 表 1 の 自 己 評 価 欄 の ◎ は「 十 分 達 成 で き た も の 」、○ は「 達 成 で き た も の 」、 △ は 「 ど ち ら と も い え な い も の 」、 ×は 「 達 成 で き な か っ た も の 」 を 示 し ま す 。 42 の 具 体 的 施 策 の う ち 、「 十 分 達 成 で き た 」 及 び 「 達 成 で き た 」 が 30 項 目( 71% )、「 で き な か っ た 」が 5 項 目( 12% )で し た 。具 体 的 施 策 の 実 施 目 標 と し て 約 7 割 が 目 標 達 成 で き た も の の 、2- (3)既 存 の 市 営 社 会 体 育 施 設 の リ ニ ュ ー ア ル 、3- (2)学 校 と 地 域 が 融 合 す る ク ラ ブ 、5- (3)市 民 ニ ー ズ に 合 っ た 行 事 の 開 催 、6- (2)ス ポ ー ツ 情 報 の 通 信 ネ ッ ト ワ ー ク 化 、7- (3)高 齢 化や健康指向に対応した各課や他部局との連携強化が積み残された課題で あることが一目瞭然です。 ま っ た く 達 成 で き な か っ た 具 体 的 な 項 目 は 1- (3)- ① 計 画 的 な 親 水 施 設 整 備 、2- (3)- ② 照 明 施 設 を カ ー ド 化 に 改 修 す る な ど 利 用 料 徴 収 の 簡 素 化 と 利 便 性 向 上 、2- (3)- ③ 多 目 的 グ ラ ウ ン ド や 野 球 場 と し て の 機 能 強 化 を 図 る た め の フ ェ ン ス 等 の 大 規 模 改 修 、2- (3)- ④ テ ニ ス コ ー ト の ナ イ タ ー 設 備 の 整 備 、2- (4)- ② 空 き 教 室・体 育 施 設 等 に 対 応 し た 学 校 空 間 の 効 果 的 活 用 の 検 討 会 の 設 置 の 5 項 目 が 挙 げ ら れ 、2- (4)- ② の 検 討 会 の 設 置 以 外 は 環 境 整 備・施 設 の 充 実 な ど 、い ず れ も 大 き な 予 算 が 伴 う 条 件 整 備 に か か わ る 内 容 で す。 4 ま た 、 ど ち ら と も い え な い も の は 1 - (3)- ② 川 辺 ・ 海 辺 へ の ウ ォ ー キ ン グ コ ー ス の 設 定 、2- (1)- ② ス ポ ー ツ 施 設 関 係 業 務 の 窓 口 一 元 化 、3- (2)- ① 学 校 と 地 域 が 連 携 し た ク ラ ブ づ く り の 促 進 、3- (2)- ② 地 域 指 導 者 を 活 用 し た 部 活 動 と 地 域 の ス ポ ー ツ 少 年 団 や 地 域 の ス ポ ー ツ 行 事 と の 連 携・交 流 の 支 援 、 5- (3)- ① 市 民 ニ ー ズ の 高 い 「 ア ウ ト ド ア ・ イ ベ ン ト 」「 ス ポ ー ツ 教 室 ・ 講 座 」 の 推 進 、 6- (2)各 施 設 へ の ス ポ ー ツ 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク の 整 備 、 7 - (3)教 育 委 員 会 各 課 や 市 役 所 他 部 局 の 連 携 促 進 の 7 項 目 で し た 。 こ れ ら の 積 み 残 し の 課 題 を 概 観 す る と 、ス ポ ー ツ 環 境・施 設 等 の 条 件 整 備 に 加 え て 、各 団 体・部 署 の 連 携 及 び イ ベ ン ト の 企 画・立 案・実 行 の た め の 人 的 ネ ッ ト ワ ー ク・情 報 ネ ッ ト ワ ー ク の 構 築 等 が「 ビ ジ ョ ン 21」で 実 現 で き て おらず、一層の取り組みが必要だと考えます。 今 後 の 施 策・事 業 の 検 討 に あ た っ て は 、財 政 的 な 問 題 や 市 民 主 体 に よ る ス ポ ー ツ 振 興 と い っ た こ と を 念 頭 に 掲 げ 、ス ポ ー ツ 環 境 を 維 持・充 実 し て い く 上 で の 必 要 な 施 設 整 備 に つ い て は 、新 規 整 備 と い う 発 想 に と ど ま ら ず 、既 存 施設の改修や学校体育施設の活用に取り組んでいきます。 ま た 、ス ポ ー ツ 振 興 に お い て は 、子 ど も か ら 高 齢 者 ま で の 生 涯 を 通 じ て 活 動 が で き 、初 心 者 か ら 競 技 者 ま で ど ん な レ ベ ル の 人 で も 楽 し む こ と が で き る 要 素 を 持 ち 、地 域 住 民 が 主 体 的 に 運 営 す る「 総 合 型 地 域 ス ポ ー ツ ク ラ ブ 」を 充 実 さ せ る と と も に 、ス ポ ー ツ に 係 わ る「 イ ベ ン ト 」「 教 室 」「 講 座 」を 行 政 主導で直接提供するという今までの有り様自体の見直しが必要だと考えま す。 5 表 2 具体的施策の評価内容(成果と課題) 成 果 ●「散歩しやすい道路環境づくり」 各地域にウォーキングコースを設定し、地域 独自のマップなどでコースを紹介するととも に、定期的なウォーキング大会を実施していま す。また、佐伯地域では「花のウォーキングロ ード」を設置し、コース沿いの美化に貢献して います。さらに今回の調査結果では、普段よく 行う運動・スポーツとしてウォーキングを 1 位 に 挙 げ た 割 合 は 28.3% と 前 回 を 5.5%上 回 っ て います。 ●「軽いスポーツや体操のできる地域づくり」 佐原田公園や新宮中央公園など、新たに整備 した公園に健康遊具などを備えて、軽い運動が できる空間を整備しています。 また、気軽に誰でも楽しめるパークゴルフ場 を 平 成 20 年 度 に 整 備 し ま し た 。 1 身近なスポーツ環境の整備 ●「川辺と海辺の連続したスポーツ環境づくり」 と「山に親しめるスポーツ環境づくり」 川辺や海辺には、環境にやさしい歩道や緑地 が整備されています。また、環境・美化活動と して市が主催する「海の一斉清掃」にスポーツ 少年団等が積極的に参加しています。山の環境 整備においては、極楽寺山に整備した「はつか い ち ア ル カ デ ィ ア 」、「 極 楽 寺 山 憩 い の 森 」 の 施 設、車道及び遊歩道周辺や中国自然歩道などの 維持管理を行い、ハイキングや散策を楽しめる 整備を行うとともに、宮浜温泉地区にはトレッ キングコースの整備を計画しています。各地域 とも自然環境に恵まれ、ハイキングや登山、海 水浴、川遊び、スキーなど四季折々の野外スポ ーツが楽しめる環境となっています。 今回の調査結果では、 「エコロジースポーツが 大 切 」と す る 割 合 が 71.5% と 前 回 の 2 倍 程 度 と なり、自然環境とふれあうスポーツに対する意 識が高まってきています。 6 課 題 ★ 子 ど も・高 齢 者・障 が い 者 な ど の 社 会 的 弱 者 が 動 き や す い 、運 動 し や す い スポーツ環境の促進については、今 後 、ニ ー ズ 把 握 に 取 り 組 み 、具 体 的 な 施策を展開する必要があります。 ま た 、廿 日 市 市 の 歴 史 的 な 文 化 遺 産 とウォーキングを融合した取り組み も必要だと考えます。 計 画 的 な 親 水 施 設 整 備 は 、第 4 次 総 合 政 策 に お い て 見 直 し が 行 わ れ 、現 在 廃止となっています。 ●「サンチェリーをスポーツのメッカに」 サンチェリー内に誰もが自由に出入りができ るスポーツ情報室を設置し、情報の収集・発信 をしています。また、スポーツ協会の事務局も を併設しているため、スポーツに関する相談も 受けられます。さらに、サンチェリーは団体の 会議など集う場としても活用されており、年間 を通して十分に利活用されています。 市健康福祉センターでは、健康増進事業とし て個別運動指導教室を開催し、教室終了後にサ ンチェリーの利用などによる運動の継続を促 し 、保 健・医 療 関 係 者 と の 連 携 を 強 め 、 「健康- スポーツ」の普及に努めています。 ま た 、施 設 整 備 に お い て は 平 成 19 年 度 に「 廿 日 市 市 サ ッ カ ー 場 」、 平 成 20 年 度 に 「 廿 日 市 市 パークゴルフ場」が整備され、現在、多くの市 民に施設利用されています。 2 スポーツ施設の充実 ●「施設相互広域利用の仕組みづくり」 各有料スポーツ施設では月間情報チラシを作 成し、市内外のスポーツ施設などへも情報を発 信しています。また、ホームページを開設し、 利用・空き状況やイベントの開催などを、誰も がいつでも確認できるような情報システムを充 実させています。 ★ 有料スポーツ施設はサンチェリー の ほ か 、市 町 村 合 併 に 伴 い 、佐 伯 総 合 ス ポ ー ツ 公 園 と 大 野 体 育 館 が あ り 、窓 口を一つの施設に一元化することは 難 し い 状 況 に あ り ま す 。ま た 、社 会 体 育施設の使用受付は一部をサンチェ リ ー に 委 託 し て い ま す が 、そ れ ぞ れ の 施設において利用形態にバラツキが あります。 今 回 の 調 査 結 果 か ら 見 る と 、一 年 間 で 利 用 し た ス ポ ー ツ 施 設 の 中 で 、サ ン チ ェ リ ー の 割 合 は 17.9% で 最 も 高 く 、 佐 伯 総 合 ス ポ ー ツ 公 園 5.0% 、 大 野 体 育 館 1.4% と 高 い 割 合 と な っ て お り 、 や や バ ラ ツ キ が あ り ま す が 、そ れ ぞ れ を地域のスポーツ施設の拠点と位置 付けて施設の充実に努める必要があ る と 考 え ま す 。ま た 、ス ポ ー ツ 施 設 を 利用しての感想として、 「近くて便利」 や「 設 備 が 充 実 」、 「 使 用 料 が 安 い 」な どに対する肯定的な評価ポイントが 下がっています。 ★ 今 回 の 調 査 結 果 で は 、一 年 間 に 利 用 し た ス ポ ー ツ 施 設 の 中 で 、民 間 ス ポ ー ツ施設や他市公共施設の利用率が高 く な っ て い ま す 。さ ら に 民 間 ス ポ ー ツ 施設や他市公共施設との連携を図り、 それぞれの特徴を活かしたスポーツ 推進に努める必要があると考えます。 ●「既存の市営社会体育施設のリニューアル」 社会体育施設の定期的・計画的な維持補修は 十分とはいえませんが、利用者のニーズに応じ て 、予 算 の 範 囲 内 で 、随 時 維 持 補 修 し て い ま す 。 今回の調査結果から見ると、スポーツ施設を 使 用 し て の 感 想 で 、悪 い 点 と し て「 施 設 が 古 く 、 ★ 照 明 施 設 の 利 用 を カ ー ド 化 に 改 修 す る な ど 、利 用 料 徴 収 の 簡 素 化 と 利 便 設 備 が 不 十 分 」を 1 位 に 挙 げ た 割 合 は 0.3%( 前 性の向上は実施できていません。ま 回 0.4% ) で 、 施 設 設 備 に 対 す る 市 民 の 不 満 は た 、多 目 的 グ ラ ウ ン ド や 野 球 場 と し て 少なくなっていると考えられます。 の機能強化を図るためのフェンスな ●「学校体育施設と社会体育施設の効果的活用」 ど の 大 規 模 改 修 、テ ニ ス コ ー ト の ナ イ 各小・中学校の運動場や屋内運動場、及び市 ター設備についても整備に至ってい 内の県立高等学校の運動場などは、学校教育に ません。 支障のない範囲で地域住民のスポーツ活動のた ★ 学校空間の効果的活用を検討する めに開放しています。 ための検討会は設置に至っておらず、 具 体 的 な 検 討 も 行 っ て い ま せ ん 。今 回 の 調 査 結 果 か ら 見 る と 、公 共・民 間 ス ポーツ施設の充実や防犯などに関す る安心安全面の確保から学校施設の 利用が難しくなってきたことも関係 し 、市 内 学 校 体 育 施 設 を 利 用 し た 人 の 割合が前回より約 5 ポイント下回っ ています。 7 3 スポーツ団体・スポーツクラブの育成 ●「スポーツニーズに対応する競技団体システム づくり」 スポーツ協会、スポーツ少年団、社会体育施 設団体登録、総合型地域スポーツクラブに約 1 万 人 が 加 入 し て お り 、 市 民 の 10 人 に 1 人 は 組 織的なスポーツ活動をしています。 ス ポ ー ツ 協 会 に 加 盟 し て い る 団 体 は 24 競 技 団 体 、 3 地 域 連 盟 、 52 少 年 団 で あ り 、 充 実 し た 組織力を持っています。スポーツ協会を法人化 したことで、各加盟団体との連携が十分に図ら れるようになっています。 昭北グラウンドや阿品台野球場などを利用す る た め に は 団 体 登 録 が 必 要 で あ り 、 196 団 体 が 登録しています。その団体登録者が、スポーツ 指導者講習会の受講や社会体育施設維持管理活 動を実施することで、スポーツを行う上での知 識・マナーの向上と施設利用の促進を図ってい ます。 市内には 3 つの総合型地域スポーツクラブが 設立されており、それぞれの地域においてスポ ーツ参加率の向上、心身の健康維持・増進、青 少年のスポーツを通しての健全育成、世代間交 流、地域の活性化を目的に、拠点施設を中心に 活動しています。 市民のスポーツに対する意識の高揚と競技力 の向上を図る目的で、広島県又は本市を代表し て、国民体育大会等全国大会へ出場する個人及 び団体に対して、激励金を支給しています。ま た、子どもたちの文化・スポーツ活動を奨励す る「 は つ か い ち 文 化 ス ポ ー ツ 市 長 賞 」を 平 成 20 年度に創設しました。 ● 「 学 校 と 地 域 が 融 合 す る 『 ク ラ ブ づ く り 』」 学校と地域が連携したクラブづくりとして、 平 良 小 学 校 区 で は 、 ス ポ ー ツ 少 年 団 と 17 年 間 にわたって早朝活動を行っています。また、佐 伯 中 学 校 区 で も 、総 合 型 地 域 ス ポ ー ツ ク ラ ブ「 ユ アックさいき」が、市民陸上記録会を通して参 加児童に対して指導を行っています。さらに、 各地域の中学校運動部活動において、地域指導 者の活用や地域スポーツ行事との交流が図られ ています。 8 ★ 学校と地域が連携した取り組みに つ い て は 、個 別 に 行 わ れ て お り 、地 域 によってバラツキがあります。 地域の教育力の向上を図るために も 、地 域 の ボ ラ ン テ ィ ア が 系 統 的 に 運 動部活動を支援する仕組みを構築す る必要があります。 ●「市内出身の全国大会出場者等の活用」 各種競技において、市内出身の全国大会・国 際大会の出場者に対して激励金を支給するとと もに、出場報告を受けて、今後のスポーツ技術 の向上と普及活動の推進を図っています。 ★ ●「体育指導委員の資質向上」 各 地 域 に 2~ 3 人 の 体 育 指 導 委 員( 定 数 70 人 ) がおり、地域からの派遣要請を受けてニュース ポーツなどの紹介・指導・助言を行っているほ かコーディネーターとして、体育・スポーツ振 興事業の推進に積極的に係わっています。 また各体育指導委員協議会が主催する研修会 に積極的に参加しており、資質の高いスポーツ ★ 指導者をめざしています。 4 指導者と指導体制の活性化 ●「 各 種 ス ポ ー ツ 教 室・審 判 講 習 会 な ど へ の 支 援 」 スポーツ教室や講習会は、サンチェリーや総 合型地域スポーツクラブ、スポーツ協会、市体 育指導委員協議会などが、市民のニーズなどに 応じて開催しています。 今回の調査結果から見ると、一般成人のスポ ーツ教室・講座への参加率や参加希望率は、前 回 よ り も そ れ ぞ れ 数 ポ イ ン ト (3.8% と 2.2%) 上 回っており、市民のスポーツ教室・講座へのニ ーズは高まっています。 9 全国大会などに出場した選手によ る 競 技 指 導 や 講 演 会・講 習 会 な ど 、高 度な指導を受けられるイベントや活 動が十分になされていません。 今回の調査結果から見ると、小・ 中・高 校 生 と も 、指 導 し て も ら い た い 人として競技団体の関係者やプロの コ ー チ を 挙 げ た 割 合 が 高 く 、質 の 高 い 技 術 指 導 を 望 ん で い ま す 。ま た 、ス ポ ーツを行う際に「指導者の必要なし」 と 答 え た 一 般 成 人 の 割 合 は 16.1% も 下 が り 、指 導 者 の 必 要 性 は 高 く な っ て きています。 スポーツ団体やスポーツクラブが、 将来にわたりマネジメント能力を持 った組織体として成長するためには 優 秀 な 指 導 者 が 必 要 で す 。ス ポ ー ツ 協 会の加盟競技団体やスポーツ施設管 理 者 、教 育 研 究 機 関 な ど と の 連 携 に よ る優秀な指導者を招聘するとともに、 最 新 の ス ポ ー ツ 医・科 学 を 取 り 入 れ た 研修会の提供に努める必要がありま す。 ま た ,多 様 化 、高 度 化 し つ つ あ る 市 民のスポーツニーズを的確に把握し、 適切に対応や指導ができるスポーツ リーダーやスポーツボランティアの 育 成 に 努 め る と と も に 、マ ン パ ワ ー に 関する様々な情報の収集・提供に努 め 、「 さ さ え る ス ポ ー ツ 」 と し て の サ ポート体制のネットワーク整備に努 める必要があります。 ●「競技スポーツ大会の充実」 各競技団体が行う大会や記録会の運営につい ては、スポーツ協会を通じて財政的支援を行っ ています。 今回の調査結果では、小・中・高校生におい て競技スポーツ大会に参加した割合が前回より 13.1% 高 く 、 青 少 年 に と っ て は 大 会 へ の 参 加 機 会が増えています。 5 スポーツ・イベントの充実 ●「レクリエーション・スポーツ大会の充実」 各競技種目の普及として、一般市民を対象と した「市民スポーツ大会」をスポーツ協会の主 催により各地域で開催しています。 市体育指導委員協議会の協力により、老若男 女問わず生涯にわたって楽しめるニュースポー ツなどの普及に努めています。また、ニュース ポーツの交流大会などを行うことで、その後の クラブづくりにも発展させています。 さらに、エアロビックダンス愛好者が中心と な り 、実 行 委 員 会 形 式 で「 サ ン チ ェ リ ー カ ッ プ・ エアロビックダンス選手権大会」を開催するな ど、市民参加型のレクリエーション・スポーツ 大会が定着してきています。 ●「市民ニーズに合ったスポーツ行事の開催」 サンチェリーなどで行うスポーツ教室では、 市民のニーズを参考に、平日の夜に働き盛りの 中年齢層を対象とした教室を行うことが多くな ってきています。 また、各地域で開催されている運動会やハイ キング、各種スポーツ大会を地域の多くの方が 参加できる内容として、みんなで企画・立案・ 運営することで、住民の連帯と地域の活性化に つながっています。 ● 「『 見 る 』 ス ポ ー ツ へ の 支 援 」 サンチェリーや佐伯総合スポーツ公園での全 国レベルの大会や「全国都道府県対抗男子駅伝 競 走 大 会 」、「 は つ か い ち 縦 断 み や じ ま 国 際 パ ワ ートライアスロン大会」などを観戦することに より、スポーツへの参加意欲の啓発を図ってい ます。また、各地域団体や競技団体の協力と連 携によって大会運営を充実させるとともに、地 域や団体の活性化を図っています。 10 ★ 市民のイベントに対するニーズを し っ か り と 把 握 し 、そ れ に 応 じ た 魅 力 あるイベントとなるよう検討する必 要があります。 ★ 今 回 の 調 査 結 果 で は 、青 少 年 の ス ポ ー ツ 関 係 希 望 は 継 続 し て 高 く 、青 少 年 の憧れとなるような全国大会の誘致 を検討する必要があります。 ●「スポーツセンター情報室の活性化」 サンチェリー内には誰でも自由に、情報の収 集・発信ができるスポーツ情報室を設置してい ます。また、佐伯総合スポーツ公園や大野体育 館には、総合型地域スポーツクラブが事務局を 置き、スポーツに関する情報の収集・発信をす るとともに、施設管理者との連携によりスポー ツ活動の普及・啓発に取り組んでいます。 ●「スポーツ情報の通信ネットワーク化」 各有料スポーツ施設はホームページを開設 し、情報の発信を行っています。 6 ●「紙面で提供するスポーツ情報の活性化」 各有料スポーツ施設は月間情報チラシを作成 し、情報を発信しています。地域で行われてい るスポーツ行事については、地域のコミュニテ ィ紙や公民館だよりに掲載しています。 今回の調査結果では、市広報紙や施設が発行 する情報紙による情報提供を希望する傾向にあ ります。 スポーツ情報の発信 11 ★ 各種施設との通信ネットワーク化 ( ネ ッ ト ワ ー ク 接 続 )に つ い て は 整 備 に至っていません。 今 回 の 調 査 結 果 か ら 見 る と 、一 般 成 人 の 場 合 、パ ソ コ ン 通 信 に よ る ス ポ ー ツ情報の収集希望も高まってきてい ます。 ★ 各種スポーツ行事の開催情報につ い て 、生 涯 学 習 情 報 紙 へ の 提 供 を 積 極 的 に 行 い 、ス ポ ー ツ を 含 め た 学 習 情 報 の一元化を図る必要があります。 ●「市体育協会の運営強化」 市 体 育 協 会 は 、N P O 法 人 格 を 取 得 し 、 「特定 非営利活動法人廿日市市スポーツ協会」として 廿日市市におけるスポーツの推進を図るととも に、スポーツを通じた青少年の健全育成、健康 で住みよいまちづくりをめざして、独立的な運 営を行っています。 7 スポーツ推進体制の整備 ★ ス ポ ー ツ 協 会 に 対 し て 、組 織・運 営 の強化を図る目的で財政的な支援を 継 続 し て い る が 、 平 成 15 年 11 月 に N P O 法 人 格 を 取 得 し て お り 、自 主 自 立した運営が図られるよう支援の見 直しをする必要があります。 ★ 総合型地域スポーツクラブに対し、 組 織・運 営 の 強 化 を 図 る 目 的 で 、事 業 に 対 し て の 人 的 な 協 力 や 、相 談・助 言 を行うことでクラブに対して人的な 支 援 を 行 う と と も に 、自 主 財 源 を 主 と しての運営や住民の主体的な運営が 円 滑 に 行 え る よ う 、ス ポ ー ツ 施 設 管 理 者 、体 育 指 導 委 員 、住 民 、ス ポ ー ツ 団 体間関係者などとの連携を図るつな ぎ役として支援する必要があります。 ★ 今 後 の ス ポ ー ツ 振 興 は 、少 子 高 齢 化 や子どもの体力低下など健康を重視 したスポーツ活動が必要とされてい ま す 。ま た 、障 が い 者 や 高 齢 者 な ど 社 会的弱者に対応したスポーツ施設の 整 備・管 理 運 営 が 重 要 と な っ て く る こ と か ら 、保 健・福 祉 部 局 と の 連 携 を よ り 一 層 図 り 、健 康 づ く り や 生 き が い づ くりに主眼をおいたスポーツ振興ビ ジョンを描いていく必要があります。 ●「スポーツセンターとスポーツ協会・スポーツ クラブの連携強化」 サンチェリーとスポーツ協会、佐伯総合スポ ーツ公園と総合型地域スポーツクラブ「ユアッ ク さ い き 」、大 野 体 育 館 と 総 合 型 地 域 ス ポ ー ツ ク ラブ「特定非営利活動法人妹背ウォーターフォ ールクラブ」がそれぞれ連携し、競技スポーツ と市民スポーツを融合した生涯スポーツの推進 に努めています。 ●「高齢者や健康指向に対応した各課や他部局と の連携強化」 今回の「廿日市市スポーツ振興計画」を策定 するにあたっては、廿日市市スポーツ振興計画 策定委員会だけでなく、スポーツ振興、施設整 備などに関連する部署の担当者で構成する「廿 日市市スポーツ振興計画策定ワーキング・チー ム」を設置し、計画について協議・調整してい ます。 12 13 14 図Ⅰ-4-1 廿日市スポーツに大切なこと 図 2 廿日市市のスポーツに大切なこと 街づくり 高齢者・障害者 空き地開放 軽イベント 健康づくり 学校開放 親子参加クラブ エコロジースポーツ チャンピオン養成 プロスポーツ 0% 10% 20% 非常に大切 30% 40% 大切 50% わからない 60% 70% 大切でない 80% 90% 100% 全く大切でない (2)子どもの生活満足度と運動・スポーツ実施状況 図 3余暇時間の満足度 余暇時間の満足度 14.7% H8 33.1% 18.6% 今回 28.6% 38.6% 29.8% 小学生 0% 満足 60% どちらともいえない 6.3%3.3% 9.2% 4.2% 28.5% 40% やや満足 8.8% 4.4% 21.2% 37.2% 20% 10.1% 17.3% 40.3% 8.9% 高校生 22.2% 38.4% 16.1% 中学生 13.2% 11.2% 80% やや不満 5.9% 100% 不満 子ども(児童・生徒)においても、一般成人同様に余暇時間の満足度が、前回の調 査 時 に 比 べ 増 加 し て い ま す 。 運 動 ・ ス ポ ー ツ の 実 施 率 に 着 目 し 、 平 成 18(2006)年 に 実 施 さ れ た 全 国 調 査 (全 国 値 )と 比 較 し た も の が 表 7 で す 。 表7 子どもの運動・スポーツ実施率 実施のレベル 全国値 非実施者(授業のみ) 12% 不定期な実施者(週 1 回未満) 10% 週5回以上 51% 廿日市 10% 22% 50% 週5回、1日2時間以上 37% 26% 15 子 ど も の 運 動 ・ ス ポ ー ツ 実 施 率 に 着 目 す る と 、週 1 回 未 満 の 不 定 期 な 実 施 者 が 全 国 値 の 2 倍 と 非 常 に 多 い 、週 5 回 以 上 1 日 2 時 間 以 上 の ハ ー ド な 実 施 者 が 全 国 平 均 を 約 11% と 大 き く 上 回 っ て い る こ と が 明 ら か と な り ま し た 。子 ど も に つ い て は 、全 国 的 に 指摘されている、いわゆる二極化の減少が顕著に現れる結果となりました。 クラブ加入の実態について全国値との比較をおこなったものが表8です。 クラブ加入者 クラブ未加入者 表8 クラブ加入の実態 全 国 ( 児 童 ・ 生 徒 ) 廿 日 市 生 徒 ( 中 ・ 高 ) 廿 日 市 児 童・生 徒 46% 62% 20% 27% 18% 70% 中学生・高校生に限定すると、全国平均を大きく上回るものの、小学生(5年生、 11 歳 )を 合 わ せ た ク ラ ブ 加 入 率 は 全 国 値 を 大 き く 下 回 っ て い ま す 。 ( 全 国 値 は 10 歳 ~ 19 歳 )。 調 査 項 目 の 違 い 等 調 査 方 法 に 違 い が あ る た め 単 純 な 比 較 は で き ま せ ん が 、 小 学生のクラブへの参加に何らかの課題があるものと思われます。 表7及び表8から、中学生・高校生が、学校の部活動を中心に運動・スポーツを実 施していることがうかがえます。今後は、小学生及び就学前児童(幼児)の運動・ス ポーツ実施率を向上することが重要な課題であると考えます。 「 ビ ジ ョ ン 21」の 施 策 は 、計 画 の 7 割 弱 が 実 行 さ れ ま し た 。そ の 結 果 、厳 し い 社 会 状況にもかかわらず、わずかですが、市民の生活満足度及び運動・スポーツ参加状況 は、増加しました。また、全国調査の結果と比較しても、相対的にスポーツへの参加 状況が進んでいることが明らかとなりました。市民の誰もが生涯の各時期においてス ポーツに親しめる「生涯スポーツ社会の実現」に向けた「ビジョン21」の方向性と 内容に大きな間違いがなかったといえます。 新しい指針及び施策の策定にあたっては、積み残しの課題に加え、さらに明らかと なった、小学生以下の子ども及び働き盛りの年代の運動・スポーツへの参加拡大を重 点課題とし、政府が推進する、地域密着・住民主体の「総合型スポーツクラブ」の理 念を踏まえた取り組みが求められます。 16