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DN239 リチウムイオン・バッテリ用超小型低損失バッテリ・チャージャ
リチウムイオン・バッテリ用超小型低損失バッテリ・チャージャ デザインノート 239 James Herr はじめに リチウムイオン(Li-Ion)バッテリは軽量でエネルギー密度 が高いため、今日の小型携帯電子機器用電源として採用さ れることが多くなっています。しかし、これらのバッテリ の充電には重要な課題が少なくありません。たとえば、過 充電した場合は、ユーザに危険を及ぼす可能性がありま す。 LTC®1731は、1セル・リチウムイオン・バッテリ用の定 電流/定電圧リニア・チャージャ・コントローラです。− 40℃∼85℃の全温度範囲で±1%(最大) という出力精度に より、過充電を防止します。出力フロート電位は、高価な 外部0.1%抵抗分割器を使用することなく、内部で4.1Vまた は4.2Vのいずれかに設定されます。また、充電電流は± 7%の精度でユーザがプログラムできます。 充電サイクルの初めに、バッテリ電圧が2.457V未満の場 合、LTC1731は放電したバッテリにストレスを与えないた めに、フルスケール電流のわずか10%相当の電流でバッテ リをプリチャージします。バッテリ電圧が2.457Vに達すれ ば、通常充電を開始できます。充電はユーザがプログラム したタイマによって終了します。このタイマが充電サイク ルを完了した後は、入力電圧源を取り除いてから再び印加 するか、あるいはデバイスを瞬間的にシャットダウンすれ ば、充電を再開できます。内蔵の充電終了(C/10)コンパ レータは、充電電流がフルスケール電流の10%に低下した ことを示します。このコンパレータの出力を使用して、タ イマがサイクルを完了する前にバッテリの充電を終了させ ることもできます。 流を設定し、VCCから電流アンプ (CA) 入力までの電圧降下 を設定します。電流アンプは、外部PチャネルMOSFET (Q1)のゲートを制御して、強制的にRSENSE両端の電圧降 下が等しくなるようにし、これにより充電電流を設定しま す。BATピンの電位がプリセットされたフロート電圧に近 づくと、電圧アンプが電流のシンクを開始し、これによっ てRSENSE両端の所要電圧降下が低下するため、充電電流が 減少します。 VCCピンの電位が4.1Vを超えると充電が開始されます。充 電サイクルの初めに、バッテリ電圧が2.457V未満の場合、 チャージャはトリクル充電モードに入ります。トリクル充 電電流はフルスケール電流の10%です。プログラムされた 全充電時間の1/4に相当する時間に達してもバッテリ電圧 が低ければ、充電シーケンスが終了します。 チャージャは、BATピンの電圧が2.457V以上になると、 高速充電・定電流モードに入ります。定電流モードでは、 充電電流はR SENSEとRPROGの組合せによって設定されま す。バッテリが最終フロート電圧に近づくと、電圧ループ が制御を行い、充電電流が低下し始めます。電流がフルス ケール充電電流の10%に低下すると、内部コンパレータは CHRGピンのプルダウンNチャネルMOSFETをターンオフ 、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。 VIN 5V TO 12V MBRM120T3 7 1k LTC1731は8ピンMSOPおよびSOパッケージで供給され ます。 SENSE 2 09/00/239 DRV CHRG RSENSE 0.2Ω 1% 8 6 3 CTIMER 0.1µF TIMER BAT PROG GND 4 1µF Q1 Si9430DY LTC1731-4.2 動作および回路説明 図1は、LTC1731-4.2を使用した500mAの1セル・リチウ ムイオン・バッテリ・チャージャの詳細な回路図です。充 電電流は、PROGピンからグランドに接続されたプログラ ム抵抗 (RPROG) とVCCピンおよびSENSEピンの間にあるセ ンス抵抗(R SENSE)の組合せによりプログラムされます。 RPROGは調整された内部800Ω抵抗を介してプログラム電 VCC IBAT = 500mA 1 5 RPROG* 19.6k 1% + Li-ION 10µF CELL DN239 F01 *SHUTDOWN INVOKED BY FLOATING THE PROG PIN 図1. 1セル用500mAリチウムイオン・バッテリ・チャージャ し、微弱な電流源をグランドに接続して充電終了 (C/10) 状 態を示します。 TIMERピンの外部コンデンサ (CTIMER) により全充電時間が 設定されます。タイマ・サイクルが完了すれば、直ちに充 電が終了し、CHRGピンがハイ・インピーダンス状態に強 制されます。充電サイクルを再開するには、単に入力電源 を取り除いてから再び印加するか、PROGピンを瞬間的に フロートさせてください。 リチウムイオンのように正確な最終フロート電位を必要とす るバッテリの場合、2.457V内部リファレンス、電圧アン プ、および抵抗分割器により、±1%以上の精度で安定化が 行われます。NiMHおよびNiCdバッテリの場合、TIMERピン をVCCに接続するだけでLTC1731を電流源にすることがで きます。定電流専用モードのときは、電圧アンプ、タイマ、 およびトリクル充電機能はすべてディスエーブルされます。 ここで、 RPROGはPROGピンからグランドまでの全抵抗です。 たとえば、500mAの充電電流が必要な場合、RSENSEは最 大充電電流時に100mV降下するような値を選択してくださ い。RSENSE=0.1V/0.5A=0.2Ωとなり、次のように計算 できます。 RPROG=(2.457V/500mA) (800Ω/0.2Ω) • =19.656k 全温度範囲および経時的に最良の精度を達成するには、1% 抵抗を推奨します。最も近い1%抵抗の値は19.6kです。 標準的応用例 1.5A 1セル・バッテリ・チャージャ LTC1731は、充電電流が高いアプリケーションの場合にはス イッチャを使用したバッテリ・チャージャとして接続するこ ともできます (図2を参照) 。リニア・チャージャの場合と同様 に、充電電流はR3およびR5で設定されます。CHRGピン出力 は、平均電流がフルスケール値の10%に低下すると充電終了 状態を示します。リップル電圧を抑えるため、BATピ 入力電圧がない場合、チャージャはスリープ・モードに入 (C/10) りICCは7µAに低下します。これにより、バッテリを流れる ンには100µFのバイパス・コンデンサが必要です。 電流が大幅に減少し、待機時間が延長されます。チャー ジャは、PROGピンをフロートさせるといつでもシャット まとめ ダウンできます。内部電流源が、PROGピンの電圧を引き LTC1731により、非常に小型で部品点数が少なく、低コス 上げ3.5Vにクランプします。 トの多様な化学物質のバッテリ・チャージャを構築できま す。内蔵プログラマブル・タイマにより、マイクロプロ セッサにインタフェースすることなく充電を終了すること ができます。 充電電流のプログラミング バッテリ充電電流を表す式は次のとおりです。 IBAT =(IPROG) (800Ω/R • SENSE) VIN 5V TO 6V (800Ω/R • =(2.457V/RPROG) SENSE) D2 1µF CER R1 1k R3 0.082Ω 1% 7 VCC D3 SENSE 2 DRV CHRG 8 R2 5Ω 6 3 BAT TIMER PROG C1 0.1µF 5 4 Q1 2 LTC1731-4.2 3 C2 22µF CER C4 0.47µF TPS2829DBVR 1 D1 L1 5 GND 4 C1: AVX0603ZC104KAT1A D1, D2: MOTOROLA MBRS130LT3 Q1: SILICONIX Si3443DV L1: SUMIDA CDRH6D38-220NC R5 18.2k 1% + 1-CELL Li-ION BATTERY + C3 100µF DN239 F02 (800) 441-2447 (800) 554-5565 (847) 956-0666 図2. 1セル用1.5Aリチウムイオン・バッテリ・チャージャ データシートのダウンロード http://www.linear-tech.co.jp/ds/j173141.html http://www.linear-tech.co.jp/ds/j1731xi.html お問い合わせは当社または下記代理店まで(50 音順) 東京エレクトロンデバイス株式会社 株式会社トーメンエレクトロニクス 株式会社マクニカ 〒 224-0045 横浜市都築区東方町 1 TEL(045)474-5114 FAX(045)474-5624 〒 108-8510 東京都港区港南 1-8-27 TEL(03)5462-9615 FAX(03)5462-9695 〒 226-8505 横浜市緑区白山 1-22-2 TEL(045)939-6104 FAX(045)939-6105 リニアテクノロジー株式会社 162-0814 東京都新宿区新小川町 1-14 NAO ビル 5F TEL(03)3267-7891 FAX(03)3267-8510 http://www.linear-tech.co.jp dn239f 0900 6K • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2000