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雇用観測 財務・経理部門 - Morgan McKinley Japan
014 雇用観測 財務・経理部門 上半期(1月-6月) 世界の雇用市場は緩やかに改善 Morgan McKinleyが財務・経理のプロフェッショナルへ提供している雇用の最新 情報と併せて、2014年の初頭、5つの地域で雇用マーケットに関する国際的な調 査を実施しました。ほとんどの地域で雇用は好転し、2014年はさらなる拡大を期 待していますが、それにも関わらず給与の上昇はわずかです。 このような状況下 で、求職者は社風が自分に合う会社や、社内異動等で昇進の機会のある会社を探 し出さなくてはなりません。 • 組 織 変 更、コンプライアンス、規 制 対 応 業務、ITシステムの変更が、雇用のおもな原動 力です。 • ERPシステムの経験は高く評価されています。 • 求職者は会計基準の最新情報を把握してい る必要があります(特にIFRS) 。 • 事業会社部門では、財務・経理業務とその他 の管理部門の機能を兼ねたポジションが増 加しています。 クイックリンク 香港........................................................... 2 アイルランド...........................................4 日本............................................................ 5 シンガポール......................................... 6 イギリス................................................... 8 • アイルランドでは、雇用はさらに上昇傾向に あります。 • イギリスでは不景気後、いまだコスト削減意 識の高い中で、求人数が増加しています。 • 日本ではトップレベルの候補者が不足してい ますが、外国人の参入には言葉の障壁があり ます。 • 給与の上昇はわずかで、減少しているケース も見られます。 • 香港とシンガポールでは、採用予算は依然厳 しい状態です。 1 香港 「求職者は、 自分に合う社風 の会社を探すべきです」 厳しい予算にも関わらず雇用市場は改善 2013年の下半期、財務・経理分野の雇用市場 は、引き続き不確実な経済と採用予算の停滞・ 減少という背景を受け、退職に伴う採用が中心 ですが、多少改善が見られます。 「企業は今でもコストを抑えなければならない と感じ、採用を凍結しているようですが、一方で LinkedInから直接採用している企業もあります」 と香港の採用コンサルタントは話しています。 ストラテジック・ファイナンス、財務・経理ならび にレポーティング業務、 システム・プロジェクトファ イナンス分野の雇用は、おもに組織変更(業務 プロセスの見直しや組織再編、新商品の導入な ど) 、業務のグローバル化が原動力になってい ます。 ERPシステムの経験は、会計の資格やMBAと併 せると高く評価されます。上場企業は、 プロフェッ ショナルな秘書の資格であるHKICSを持つ人材 に、 ますます興味を示す傾向にあります。 非正規社員の求人は安定しています。 2 展望 当社では2014年は全般的に楽観的に予想して います。 しかし求職者は給与については現実的 である必要があり、視野を広げ、長期的にキャリ アを前進させることができるチャンスを追求す べきです。 「求職者は自分と社風の合う会社を探すべきで す」 と香港の財務・経理部門のコンサルタントは 語っています。 これは大企業と同様に中小企業 に対しても言えます。 また決算報告業務から事 業提携や財務計画の仕事に、需要が移っている ようです。 給与・ボーナス 2014年の給与の予定上昇率は5%です。多くの 企業は個人の業績をボーナスで評価するでしょ うが、多国籍企業では、 グローバルの業績をボ ーナスの要素に入れるところが増えており、 こ れはアジア太平洋地域が目標を達成したとして も、他の地域の損失や不足が考慮されてしまう ことを意味しています。 3 アイルランド 「採用企業は選考過程 を短くすべきです」 ERPの経験は高く評価される 2013年、 アイルランドの経済は自信を回復し、IT システムの変更や組織再編により新規および欠 員補充の求人が増加したため、財務・経理の求 人状況も改善しました。 採用の予算は増加していますが、企業が採用条 件に完全に適合する人材を探しているため、選 考過程が長くなっています。雇用が増進している 分野は、 トランザクション関連(AP/AR/RTR/OTC)、 シニアファイナンス (コマーシャル・財務計画・経 理) 、財務会計・報告業務の求人です。 「一番驚いているのは、財務・経理と管理部門 の機能を合わせたポジションが増えていること です」 と、 ダブリンのコンサルタントがコメント しています。会計の資格、ERPシステムの経験と ともに、流暢な外国語の能力は評価が高まって います。 展望 2014年の見通しは楽観的で、 より多くの候補者 が採用されると見ています。キャリアアップした い人はERPの経験を積むべきでしょう。 「競争が 激化する中、優位に立つためには、採用企業は 選考過程をスピードアップすることが必要です」 と弊社コンサルタントは話しています。 給与・ボーナス 基本給はわずかな上昇が期待できますが、 パフォ ーマンスベースの賞与等には変化がないと予測 しています。 4 「実務経験と流暢な外国語の 能力を持つ人材が求められています」 日本 ふさわしい候補者の不足 経済が回復基調であるにも関わらず、2013年度 の下半期、財務・経理の雇用市場に、特に変化は 見られませんでした。組織再編やITシステムの変 更による動きはありましたが、おもに退職者の 補充でした。 その中でも、 ストラテジック・ファイ ナンス (事業・財務計画および会計) 、財務・会計 と決算報告、 システム・プロジェクトファイナンス の人材は、引っ張りだこでした。 採用企業の問題の一つに、ローカルの人材不 足が挙げられます。財務・経理の仕事には日本 語が必須であるため大きな問題です。 そして外 国語(特に英語) も多くの場合、応募要件に含ま れます。 また採用企業は、経理・会計の資格とと もに、SAPやオラクル等のERPシステムをはじめ とする実務経験を評価します。 展望 日本は現在、全体的には求職者過剰の状態です が、求人にぴったり合う候補者は足りない状態 です。求められる資格、 プロジェクトの経験、 日本 語力のある海外の求職者には素晴らしいチャン スですが、 こうした人材は非常に稀です。東京の コンサルタントは「採用企業はマッチ度70%以 下の候補者は即除外するので、 そうした人を推 すのは意味がありません。 そういう場合、われわ れはキャリアパートナーとして、正直に評価を伝 え、先に進めるようにアドバイスします」 と話して います。弊社は、事業提携が大きな流れになるこ とも期待しています。 また求職者は、財務・経理 以外の部門との連携を築く能力を示す必要があ ります。 給与・ボーナス 現在、財務・経理部門では、ボーナスを懸念する より基本給に注目する傾向があります。 しかし 2014年は、 この傾向が定着、 あるいは若干、減少 するかもしれません。 5 シンガポール 「法改正とコンプライア ンスに関して学び続ける ことが必要不可欠です」 立ち直る力としっかりした職歴がキーポイント 2-3年前と比較すると、昨年、 シンガポールの財 務・経理の雇用市場は全体的に改善したと思い ます。 しかし候補者の質と、変化し続ける環境で の財務・経理のプロフェッショナルの回復力が 重視されており、選考過程は引き続き長期化し ています。 また外部からの採用を開始した企業が、最終的 には社内で他部署から人材を異動させる傾向も みられ、 これが求職者を失望させています。 組織変更、 コンプライアンス、規制対応業務、IT システムの変更が、採用のおもな要因になって います。 しかし採用の予算は引き続き厳しく、昇給凍結、 組織の統廃合、海外移転や外部委託などのコ スト削減対策を行っている企業もあります。財 務・会計、 報告書業務、 システム・プロジェクトファ イナンスといった分野では採用が行われてお り、2014年も、雇用市場における主要な成長分 野となるでしょう。 6 展望 シンガポールは2014年も引き続き、採用企業の 要求が非常に細かく競争が激しいため、選考過 程を長期化させるでしょう。 昨今の経済状況下で、企業は安定した職歴と、 かつてない厳しい環境から復活する力を示せ る人材を探しています。法改正とコンプライア ンスに関する知識を維持することが必要不可欠 で、会計基準の変化に迅速に対応することも重 要です。 外国人の求職者は本当にシンガポールで働 きたいなら、 より柔軟性のある求職活動をす べきです。つまりポジションを確保するために、 まずは臨時、契約、短期の求人にも目を向ける ことです。 この環境下では、候補者は徹底的に面接の準備 をすることが不可欠です。 また財務・経理の仕事 は、サプライチェーン、税務そしてトレジャリー等 の業務を兼任するポジションが増えています。 しかし多くの求職者は、 こうした幅広い業務を受 け入れることに消極的なため、人材のプールが 限られてしまいます。企業はふさわしい人材を 見つけることが難しくなるとともに、確かな職歴 を持つ優秀な財務・経理の人材が引っ張りだこ の状況では、 スタッフを維持するのが大変にな るでしょう。 給与・ボーナス 事業会社と金融業界の両方において、財務・経 理のプロフェッショナルが同じ職位への転職を した場合の給料アップは見込めないでしょう。 監査、税務など専門的な仕事については5-10% の求人増加を期待しています。ボーナスや手当 の構造は、前年度と比べて変化が見られません。 7 イギリス 「採用企業は、建設的なフィード バックを与えることが得策です」 財務・経理の仕事は、ビジネス上の意思決定の中核です。 景気回復の背景に反して、財務・経理の求人は 2013年後半に向かって少しだけ改善しました。 採用の予算が増加した企業もありますが(むし ろ下がった会社もあります) 、最大の需要はスト ラテジック・ファイナンス、財務・経理および報告 書、 システム・プロジェクトファイナンスの分野で す。 コンプライアンスや規制対応も、組織変更と ITプロジェクトと同様に雇用の原動力となってい ます。 こうした需要を満たす国内の人材が不足 しており、 オーストラリア、ニュージーランド等、 海外からの応募者数が上向きに戻りました。 約一年半前は、財務・経理部門のスタッフを再配 置させるため、社内異動計画を導入した会社も あり、 これはうまく機能しましたが、 こうしたプロ ジェクトで会社自体はすぐに疲弊し、今では同じ 会社が外部から採用しています。SAPやオラクル といったERPシステムの経験と会計の資格を持 つ求職者には需要があります(または中小企業 におけるSageの経験)。 「2013年の後半から2014年にかけて、 さらに多 くの求人が出て、決定前に複数のオファーを受 けた候補者も増えました」 とロンドンのコンサ ルタントは話しています。 8 展望 私たちは2014年も引き続き需要の増加に自信 を持っており、積極的に転職を考える人が増える と考えています。経済は回復傾向にありますが、 まだコスト削減の時期であり、財務・経理が事業 の意思決定に重要な役割を果たしています。競 争は激しく、面接のスキルを磨くようアドバイス しています。 「一次面接に行く人の多くが準備不足で、 これ がチャンスへの致命傷になるのです。特に同じ 仕事にしばらくいて転職する人は、模擬面接をし てアドバイスをもらうよう勧めています」 とロン ドンのコンサルタントは話しています。 また求職者は、仕事から得られるものに柔軟で あるべきです。誠実さに欠け、転職理由として欠 如しているとみなされますので、給料だけに関 心を示すのは避けるべきです。 「自分の最終目標 について深く考え、 どうしたらその目標を達成で きるかを理解することです。資格取得後に、異動 の可能性が増える会社では、 より速い昇進が可 能です」 と別のイギリスのコンサルタントは話し ています。 しかし同様に、聡明で優秀な人材を確保したい 企業は、すばやく動き、効果的なフィードバック を提供する必要があります。 「採用市場が活発に なると、採用企業は素早く動き、面接した候補者 に効果的なフィードバックを伝えることが得策 です。 これによって求職者の間で良い評判を得 るとともに、供給が不足している時でもベストな 人材と面接することができるのです」 とロンドン のコンサルタントは語っています。 「また求職者は、IFRSは2000ページから200ペ ージに統合するという大きな変化の最中である ことに注意すべきです。 こうした変化を認識して いる会計のプロは、常に目を引きます」 と付け加 えました。IFRSは中小企業がイギリスの会計基 準で報告できなくなるため、 ますます重要にな るでしょう。 給料・ボーナス 2014年の給料・ボーナスは若干ですが、改善の 可能性があります。 9 雇用観測 財務・経理部門 A MORGAN McKINLEY GROUP COMPANY