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狩猟採集民の食 遊牧民の食 農耕民の食
狩猟採集民の食 野生スイカ、煮豆、フライドチキン、ヨーグルト、トビウサギ、そして ケチャップ・マヨネーズ・ごはん。これらはみな、今日のブッシュマン が、日常的に食べているものである。ブッシュマンは、南部アフリカの 講師 : 丸山淳子 狩猟採集民として知られる人々である。50 年前まで、その食事の大半は、 京都大学アフリカ地域研究資料 狩りや採集によって得たものだったという。ところが今日では、畑や家 センター / 大学院アジア ・ アフ 畜、あるいはスーパーマーケットで入手したものが、食卓にならぶ。こ の講義では、ブッシュマンがこの 50 年に経験してきた食生活の変化を リカ地域研究研究科助教。 専門は、 アフリカ地域研究、 人 紹介し、狩猟採集社会の直面している課題について論じたい。 類学。 南部アフリカにおける開 発政策や先住民運動の展開と 狩猟採集社会の変化について 研究している。 好きなアフリカ料 理は、 カラハリ ・ トリュフの砂蒸 し焼き。 遊牧民の食 砂の海に長い行列を組んで移動するラクダの群れ、家畜を守るためにヤ リを持ってライオンに立ち向かう戦士、過放牧によって地球を砂漠化す る人々、これらはみんなどこかに描かれた遊牧民像である。遊牧民の多 くはわれわれが馴染みのない乾燥地域に暮らしているためか、ときには ロマンチックに、ときには偏った見方で語られた。今日、アフリカ大陸 面積の7割を占める乾燥地域には、大陸総人口の約 3 割にあたる 2 億 6 千万人が家畜とともに生きている。本講義では牧畜民の食を手がかりに、 畜産物の入手・加工・消費のプロセスと栄養の分析を通して、乾燥地域 における人間・家畜・自然の関わりについて論じたい。 講師 : 孫暁剛 京都大学東南アジア研究所研 究員。 専門は生態人類学、 アフリカ 地域研究。 東アフリカ乾燥地 域における遊牧民と自然との かかわりやグローバリゼーショ ンにともなう遊牧社会の変容を 研究している。 好きなアフリカ 料理はニャマチョマとタスカビー ル。 農耕民の食 多様な環境に進出した農耕民の食は、主食と副食にその土地の作物を 取り入れるため、食材や調理法のバラエティに富む。今回は主に、熱 帯でありながら標高 2000m 前後の高地であるという特異な環境にある エチオピアに住む農耕民の食について取り上げる。エチオピアでは、 北部高原の穀物テフや、南部高地のエンセーテなど各地域に固有の主 食作物があり、さらに麦類や豆類などの作物を多岐にわたる調理法で 食べている。講義では、エチオピアの食文化の特徴を写真と実際の食 品を用いて紹介する。 講師 : 山本雄大 京都大学大学院アジア ・ アフ リカ地域研究研究科博士課程 在籍。 食と嗜好品文化を研究テー マ と し て い る。 2001 年 よ り エ チオピアにおいて嗜好品植物 「khat」 の研究をおこなうと同 時に、 東アフリカの食品のレ シピの記録、 収集をおこなっ ている。好きなアフリカ料理は、 みじん切りにした牛の生肉の バター和え 「クトフォ」。