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独居高齢者の薬に対する認識と服薬の実際

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独居高齢者の薬に対する認識と服薬の実際
独居高齢者の薬に対する認識と服薬の実際
―A 市における在宅高齢者の聞き取り調査を通して―
川
畑
薫
子
新見公立短期大学地域看護学専攻科
【目的】
独居高齢者の服薬管理の現状を明らかにし、地域で住民の健康を支える保健師の服薬管理におけ
る役割を考察する。
【方法】
A 市において介護保険などの公的サービスを受けている者 4 名と受けていない者 4 名の独居高齢
者を対象に、薬に対する認識と服薬の実際について半構成面接による聞き取り調査を実施した。調
査は、対象者宅に訪問し、1 名あたり 1 時間半程度の調査とした。
倫理的配慮として、家庭訪問にあたり、事前に伺うことを電話で伝え、了承を得た後に訪問し、
調査開始時には、改めて調査対象者に書面で説明し同意を得た。
【結果・考察】
服薬を忘れる理由は「忙しいとき」と答えた方が最も多く、次に「人が自分の家に遊びに来てい
たとき」、「外出していたとき」などが上がった。原因として、日常生活のリズムが変化した時など
が影響していると考えられた。また「面倒である」と答えた方は、
「1,2 回薬を飲まなくても別に死
なない」、「どうせ死ぬのが近いから、きちんと飲まない」などの発言もみられることから、服薬に
対する意識の低さから忘れる傾向にあると考える。
薬の効果は、安定剤など実際に効果を自分自身で感じることができること、医師が行う血液検査
を含め、根拠のあるデータや数値をもとに身体の改善が見られることで、実感しやすいと考える。
薬の副作用に関しては、副作用が起こった者は副作用に対する意識が強い傾向にあり、副作用が起
こったときの対処法として病院に出向いたり、連絡をとるなど副作用に対して正しい対応ができて
いた。実際に体験をすることによって薬の作用や副作用に対する認識が高くなり、指示通りに服薬
することができるようになると考える。さらに服薬コンプライアンスを高めるためには、薬の効果
を自らが実感することと、副作用の正しい理解が大切である。
また、男性高齢者は、残薬を医師等に伝えず、調子が悪いときに飲んだり、薬の量を自分で調節
して服薬していた。さらに、公的サービスを受けていない者に比べ、公的サービスを受けている者
が、服薬に関する説明を受けている実際が明らかになった。背景には独居高齢者の緊急時に備える
という認識や薬に対する理解不足、日頃からの第 3 者との関わりが関係しており、こうした関わり
が独居高齢者にとって安心にも繋がり、薬に対する認識だけでなく、服薬コンプライアンスも高く
なると考える。
地域に携わる保健師等は、まず独居高齢者個々の服薬状況や認識、理解度を把握すること、次に
対象者の理解度に応じ、飲み忘れの時の対応も含めて、指示通りに服薬することができるように繰
り返し説明を行う必要がある。さらに服薬を習慣づけることができるように支援をしていくことが
大切である。
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