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御船町観光交流センター(仮称) 基本構想・基本計画

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御船町観光交流センター(仮称) 基本構想・基本計画
御船町観光交流センター(仮称)
基本構想・基本計画
平成 23 年
御船町
3月
第1章 御船町の観光の現状と観光交流センター建設の目的
1-1:御船町の観光の現状と課題
平成10年の恐竜博物館開館以来、子ども層を中心とする来館者数
は着実に伸びてきました。そして、新博物館の建設によりさらなる増
加が見込まれます。
一方で、これだけの来館者がもたらす、経済的効果については、こ
れらの人々を観光客として受け入れる仕組みが整っておらず、町全体
への経済的効果を引き出すまでには至っておりませんでした。
それは、町内に集客力の強い観光資源が少なく、いわゆる「観光サ
ービス」を業務の中心とする町民やその店舗が少なかったことが挙げ
られます。その結果、御船町の観光面での魅力を活かしきれず、集客・
収益につながりませんでした。
御船町や新しい恐竜博物館への来訪者の期待に応え、御船町の可能
性を観光面から切り拓いていく担い手を、民間の知恵や行動力を結集
して形にしていくことが重要なこととなります。一方で、公益的な見
地からそれを支援していく施策を用意し、民間と公共の力を合わせて
御船町の「観光」を育てていく時に来ています。
写真-現在の恐竜博物館
- 1 -
表-御船町恐竜博物館の来館者数推移(単位:人)
45,000
40,000
来館者数(人)
35,000
30,000
25,000
20,000
これまでの来館者数合計
15,000
約 359,000 人
10,000
5,000
0
平成
11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度
10年度
系列1 12,618 12,426 33,220 26,926 29,390 35,734 35,493 30,431 36,714 42,631 31,454 32,331
開館以来、来館者数は、企画展の有無などで年度によって増減があ
りますが、緩やかな伸びを見せています(平成 10、11 年は無料公開)。
10 数年を経過し恐竜博物館の存在が浸透した結果、来館者を着実に増
やしていると考えられます。
表-御船町恐竜博物館の月別来館者数/平成 21 年度(単位:人)
8,000
7,000
来館者数(人)
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
系列1 1,892 4,421 1,632 2,862 7,387 3,587 2,018 2,383 1,358 1,338 1,551 1,902
例年 8 月の夏休みと 5 月の大型連休期間に来館者が多くなる傾向に
あります。この時期は、子どもを含む家族連れが来館しやすく、また
県外からの来館が多いのも特徴です。この二つの時期に、遠方からも
多くの人が恐竜博物館に訪れていることから、集客に貢献できる潜在
能力を持っていると考えられます。
- 2 -
1-2:観光交流センター設置の必要性
本町が平成 21 年度に策定した「御船地区都市再生整備計画」では、
「御船町の新たな顔となる『人集い夢かなう文化交流空間』の形成」
を目標に掲げ、シンボルロード沿道を舞台に、ふれあい広場や恐竜博
物館、子育てふれあい館、街なかギャラリー、そして、観光交流セン
ターを計画し、平成 22 年度より事業着手しています。
中でも、本構想の対象となる「御船町観光交流センター(仮称)」は、
新しい恐竜博物館と同じ建物内に設置され、来館者へのサービス提供
による満足度の向上はもとより、御船町全体の「観光案内所」として
の機能が期待されています。
そうした新しい施設を十分に機能させていくためには、御船町の観
光資源を具体的にメニュー化した提案や、実際に案内できる人材や組
織の存在が不可欠です。既に町内には観光協会やドリームパッション、
ゆうすげの丘等の観光振興、物産開発等に意欲的に取り組む団体が存
在していますが、それらを束ねる機関がなく、御船町の観光情報やサ
ービスを期待する来客があっても、地元との接点が生じていません。
故に、観光面の活動は大きな経済的効果につながらないのが現状です。
従って、御船町民が新しい恐竜博物館への来館者を「もてなす」機会
等を増大させ、博物館の来館者(=来訪者)と町民の交流の活性化に
よる町の経済的発展を推進する仕組みづくりの必要性が高まっていま
す。
今後、新しい恐竜博物館のオープンに伴う来館者数の増大が予測さ
れ、そうした来館者を町の来訪者として受け入れ、魅力的なサービス
を提供できる環境整備が急務となっています。新恐竜博物館による経
済的効果を、全町的にもたらすことは、多くの町民が期待をしている
ことでもありますが、それを具体的に実現する手法の検討や、実行に
移す役割を担う人物や拠点となる場所の確保が必要です。
- 3 -
1-3:観光交流センター設置の目的
新恐竜博物館は、学術的に価値の高い研究・教育施設であると同時
に、観光交流センターを併設することにより、御船町民が町外の人々
との接点を増やし(町内の名所を案内したり特産品を売ったりするき
っかけづくり)、自慢したいと思える(御船という郷土に愛着をもち住
み続ける)ための拠点でもあります。従って、観光交流センターの目
的は、来館者と町民の交流の場所をつくり、その結果、恐竜博物館の
来館者を、御船の観光客・ファンにしていくための仕掛けを創り、御
船の観光振興へ貢献することです。
<観光交流センター設置の目的>
来館者を御船の観光客・ファンにしていくための仕掛けを創る
- 4 -
第2章 観光交流センターの役割
2-1:観光交流センターの役割
新恐竜博物館の一部に併設される観光交流センターは、博物館の見
学を終え、帰ろうとする方々に、御船町の面白いところ、すばらしい
所を宣伝し、それらの場所をより良く案内してくれる町民との接点を
創る場所です。
普段から、御船の観光の質を高め、観光客の満足度を上げていくた
めに、町内の情報や関係者を束ね、観光ツアーの企画開発を行う一方
で、町外に向けては(小学生・中学生を中心に)、来館者を増やしてい
くための営業的活動も行うスタッフが常駐する場所です。
上記の点を実現するために、以下に示す4つの役割が想定されます。
役割1と2は、博物館の体験メニュー等の活動を支援(教育普及活
動支援)したり、そうした内容を宣伝(広報)したりすることを通じ
て来館者を増やしていく役割です。
役割3と4は、御船町の観光資源や産品を紹介したり、魅力的な商
品を生み出したりして来館者や観光客と町民との交流を生み出す(観
光交流)役割です。
来館者を増やしていく役割(教育・普及活動支援+広報)
◆ 役割1.御船町恐竜博物館の活動を支援するスタッフ(活動支援)
御船町恐竜博物館の来館者が希望する体験作業の指導などを、博物館
のスタッフと一緒になって行います。
子ども達とのふれあいを通して、恐竜や自然、御船の町の魅力の紹介
などを行います。
◆ 役割2.御船町の宣伝マン(広報)
新恐竜博物館及び御船町により大勢の方々に訪れていただくために、
・ 町内の情報や関係者を束ね、観光ツアーの企画開発を行う。
・ 九州の小学生・中学生を中心に、来館者獲得のための営業的活動を
行う。(ひいては、九州新幹線全線開業に伴い、関西、中国地方を
対象とした「ブランド戦略」の展開も想定される。)
といった「宣伝マン」としての役割が求められます。
- 5 -
来館者を増やしていく役割(観光交流+商品開発)
◆ 役割3.御船町の観光コーディネーター(観光交流)
新恐竜博物館に訪れた方々に、
・ 「御船町には、恐竜博物館以外にも面白いところがある」「すばら
しいところがある」ことを宣伝する。
・ そこまでのアクセス方法や、案内先でもてなしていただく「観光ガ
イド」「もてなし人」に連絡する。
・ 御船町の特産品や名物を紹介する。
といった「観光コーディネーター」としての役割が求められます。
◆ 役割4.御船町のブランドプロデューサー(商品開発)
御船町に訪れた方々に、よりよい御船産の商品を提供するために、
・ 町内の商業者や農業生産者等に呼びかけ、御船町の「恐竜」「水」
「農作物」を核として、それらに新たな付加価値(例えば、「安全
安心」
「限定」
「優しさ」等)を付けて、新たな商品の企画開発を行
う。
・ 各種イベントや効果的な情報発信を行うことで、「御船ブランド」
の認知度を高める。
といった「ブランドプロデューサー」としての役割が求められます。
- 6 -
2-2:観光交流センターを中心とした展開イメージ
図-観光交流センターを中心とした展開イメージ
- 7 -
第3章 観光交流センターの管理運営方針
3-1:観光交流センターの管理運営イメージ
御船の良い所を総合的に紹介したり、来館者の個別のニーズに対応
したりする等、幅広く柔軟な対応が求められます。そのためには、従
来の観光行政や観光協会が行ってきたことの範囲にとどまらないこと
も予測されます。
営業的センス
ただし、そのプロデュースやコーディ
ネート、マネジメントは、経験を積まな
ければ分からない部分も多く、右図のよ
うに行政や町民(民間)の得意分野を重
ね合わせて、その技を獲得し磨き上げる
必要があります。
町民
観光
交流
センター
行政
活動支援
実際に、町民が望むような形で観光交流センターを機能させていく
ためには町民有志の組織化と、その組織を支援していく行政内部の体
制づくりや活動資金の調達が必要になりますが、恐竜博物館開館まで
にその準備が必要です。
こうした様々な課題をクリアし、観光交流センターが設置されたあ
かつきには、恐竜博物館の来館者の興味を恐竜研究の現在や御船町の
今へと誘導し、そのことにより、御船町を訪れる交流人口を増加させ、
町全体の活性化につなげるものとします。
そこで、次頁に観光交流センターの機能と構成を示します。
図-親子それぞれが楽しめる御船町の観光資源の例
お母さん
お父さん
お酒でにっこり♪
芸術にうっとり☆
子ども
恐竜にビックリ!?
- 8 -
図-観光交流センターの機能と構成
○御船町のまちづくりの現状と課題
○博物館と観光交流センターの役割
○新しい施設の機能
(関係者ヒアリングより)
来館者
恐竜を学びたい(アカデミックに・体系的に)
左岸と右岸の
町域の均衡
新しい恐竜博物館
バランスのとれた発展
ある発展
=恐竜を切り口とし
博物館の機能
た御船観光の入り口
収集
博物館や道路に一貫性
誘客の目玉
のあるストーリー
づくり
山間部と平坦部の連携
町域全体を
役割
を密に
巻き込む
=入口からの魅力的
観光交流センター
役場ゾーンの再構成
生活拠点の
を設置する背景
(駐車場・園舎)
整備
整理・保管
展示
研究
展示室
収蔵庫
学芸室
事務室
観光交流センターの
博物館の機能
教育・普及
な誘導
(神秘的・歴史的世
観光交流センターの機能(その1)
界から躍動的・進行
教育・普及支援・広報活動
形の世界に)
ガイダンス
賑わいを取
(学問的領域から観
博物館活動の支援
商業と農業の連携
り戻す新し
光物産の領域へ)
営業的活動
学問と観光の連携
い切り口
○観光交流センターへの期待
より魅力的な御船に
行政と民間の新しい連
携の模索
活動を自立
御船の恐竜研究の今に触れたい(最新の・様々な視点から)
=人々の想いや活動
的・持続的
をコーディネートす
に行う
る場に
研修室
企画展示室
化石体験
コーナー
図書室、
キッズコーナー
体験
御船について知りたい(旅の感覚で)
観光交流センターの機能(その2)
観光・交流活動
事務局
交流促進・物販
カフェ、
ミュージアム
ショップ
町民活動
スペース
ガイド詰所
観光交流
センター
事務局
商品開発
町に出てみよう
町内各地へ
訪問者
は恐竜博物館部分を示す
は観光交流センター部分を示す
― 9 ―
3-2:観光交流センターを支えるスタッフ構成
観光交流センターでは、行政と民間が協力して、様々な活動を展開
していきます。そうした活動やサービスの提供を通じて、体験料等の
収入を得ることができる仕組みづくりを行います。恐竜博物館部分は
町直営としますが、観光交流センター部分については、民間の知恵を
導入して魅力的な観光施設の実現を図ります。そこで、観光交流セン
ターでの諸活動を想定すると、少なくとも2名程度のスタッフの配置
を想定しています。
図-スタッフの配置と恐竜博物館との機能連携
観光客・御船のファンづくり
来館者・見学者の対応
(観光交流センタースタッフ)
(恐竜博物館スタッフ)
スタッフ
インター
プリター
学芸員
・研究、整理
・教育活動
・教育
・体験プログラム
観光
コーディネーター
・修学旅行等の誘致の
ための営業活動
・レプリカ教室
・ツアー企画
・インタープリターの組
・地元事業者との連絡
織化
・恐竜博物館での
・ボランティアガイドの
お世話
ミュージアム
ショップ
・カフェスタッフ
・恐竜関連グッズの
販売
・来館者への親切な
対応
・御船商品の販売
諸活動と支援
(イベント、体験学
習など)
など
観光交流センター
恐竜博物館
ショップ・カフェ
の売上
入館料収入
体験料
御船町直営
民間+御船町による運営形態
― 10 ―
3-3:観光交流センターの立地
観光交流センターの設置を掲げている「御船町恐竜博物館基本構想」
では、旧御船幼稚園敷地を建設予定地とします。
建設予定地付近には、町役場庁舎や町保健センター、カルチャーセ
ンター、スポーツセンター、御船中学校、熊本県立御船高校等が立地
し、御船町における行政サービスの拠点であるほか、上益城郡内を中
心に多くの人々が日常的に集まる場所といえます。
図-観光交流センターとその周辺の公共施設
スポーツセンター
カルチャーセンター
御船高校
御船小学校
御船町役場
保健センター
新恐竜博物館
城山公園
観光交流センター
旧御船幼稚園舎
御船中学校
- 11 -
ふれあい広場
第1章 観光交流センターの活動、施設及び運営計画
1-1:観光交流センターの活動計画
恐竜博物館では、来館者に対して研究成果や収蔵品の紹介等により
学問的欲求に応えることを行いますが、加えて、観光交流センターに
おいて、より高度かつ拡がりのある領域へと来館者の関心を誘い、親
しみやすい学習環境を整えることによって来館者の満足度を押上げる
ことが期待されます。また、同時に御船町への興味関心を誘うことも
求められます。
そのために、大きく分けて二つの分野での活動と諸室・機能を設け
ることとし、観光交流センターの活動とします。
第一に、恐竜博物館の入館者に対して行う教育・普及支援・広報活
動が挙げられます。これは、従来行われてきた化石のクリーニングや
レプリカづくりなどの作業体験を通して行う、理科系の興味の伝授の
場の活性化を図る機能です。あるいは、関連図書の閲覧や、博物館関
係者・学識経験者によるレクチャーなども含まれ、それらの活動を展
開することによって、広く恐竜や古生物学や自然史への興味関心を醸
成することを目指します。さらに、そうした博物館と連携した教育の
場であることを、九州一円の小中学校に広報し、修学旅行や見学旅行
の需要を取り込むための活動を行います。
写真-修学旅行の受入事例
…鹿児島県の小学校からの修学旅行の事例。今後、このような需要を伸ばしていきたい。
- 1 -
第二には、地元である御船町やその周辺地域との交流を促進するた
めの観光・交流活動です。そもそも、恐竜博物館がなぜ御船に立地す
るのかという疑問の解決に始まり、そこに露出している地層、あるい
は古代から現在につながる時間の流れの説明等を通じて、多くの観光
的興味、あるいは町民との交流のきっかけづくりの実現を目指します。
二つの活動領域は、相互に影響しながら御船町への多くの人々の関
心を誘い、町の観光振興を進めていきます。
写真-町内のツアー
…天君ダム近くに露出している地層の見学をメインとするダムへの観光ツアーなどを企画し
ていきたい。
- 2 -
1-1-1:教育・普及支援広報活動計画
来館者が博物館展示室の見学を終えた後に、様々な関連する知識を
体験的に取得することを可能とするサービスを行います。
その意味では、希望者へのオプション的な位置づけとなりますが、
学芸員や専門スタッフによる親しみやすいレクチャーや、子どもたち
にもできる体験作業のコーディネート等を行います。このことによっ
て、現博物館では学芸員が行っているサービスから場所と時間を分離
し、本来の学芸員としての研究や教育に専念できる環境づくりを進め、
マンパワー不足の解消を図ります。
また、子ども達の団体旅行の受注に向けて、旅行会社等への営業活
動、マスコミへの情報発信等の広報活動も行い、安定的な入館者数を
確保するための活動も行います。
これら活動に必要な諸室として、以下のものがあります。
A
B
C
企画展示室
図書室、キッズコーナー
研修室
1-1-2:観光・交流活動計画
御船町にある自然、歴史系の観光資源の紹介などの情報発信に加え
て、カフェやミュージアムショップの運営によるサービス、地元住民
による観光ガイドの対応などを行います。
具体的には、来館者へのサービスばかりでなく、日常的な町民(役
場庁舎、カルチャーセンター等の周辺施設への来訪者)の積極的な利
用も呼びこみます。また、観光ガイドの養成や、恐竜に関する様々な
グッズの開発・販売を行います。
これら活動に必要な諸室として、以下のものがあります。
D
E
F
エントランス
ミュージアムショップ、カフェ
町民活動スペース
- 3 -
1-2:観光交流センターの施設計画
観光交流センターは、単体で整備されるものではなく、新恐竜博物
館内に併設される予定であり、ここまで述べてきた諸室が適切な位置
に分散して配置されます。
以下にそれぞれの諸室のイメージを紹介します。
1-2-1:教育・普及支援広報活動のための施設の概要
恐竜博物館での学習内容をさらに深め、経験的に学ぶ場所を設け、
御船でしかできない体験をすることによる来館者の満足度を高めます。
また、そうした活動そのものをセールスポイントとした営業活動を展
開し、多くの来館者を誘致します。
A
企画展示室
●内部空間イメージ
企画展示室の事例
移動可能な間仕切パネルによって空間の
造り方を変えられる設計になっている
(天草ビジターセンター)
●施設概要
有料の常設展示空間とは別に、一般の来館者を対象に期間を設けて開催する展示スペース。
また、常時はガイダンス的な機能を担うスペースとする。
企画展などの際には、展示室の一部として有料ゾーンに組み込むことを想定しつつ、イベ
ント等様々な活動に利活用できるスペースとして設ける。
●面積
200 ㎡程度
- 4 -
B
図書室、キッズコーナー
●内部空間イメージ
図書室の事例
関連書籍に加えて、インターネット
端末や巨大マップなどがある
(雲仙岳災害記念館)
●施設概要
一般来館者と活動する町民に公開する図書スペース。幼児向けの図書や絵本を読んだり、
簡単な遊びや休憩ができるキッズコーナーを設ける。また、書棚やインターネット検索を行
うデスク、恐竜のぬいぐるみ等で子どもと遊ぶことのできるカーペット敷きスペースを設け
る。
●面積
40 ㎡程度(旧幼稚園舎部分を改装)
旧御船幼稚園
保育室の現状
保育室として設計された広い部屋である。
ミュージアムショップやカフェは
この部分に予定される。
- 5 -
C
研修室(学習準備室を含む)
●内部空間イメージ
研修室の事例
映像資料による研修を行う。
(天草ビジターセンター)
●施設概要
一般来館者を対象とする体験学習や、町民を対象とする活動研修などをおこなう。修学旅
行などの団体客向けのレクチャー、町民向けのガイド養成講座などに使用する。1~2クラ
ス程度(最大80名程度)が一度にレクチャーを受けることができる部屋とし、映像設備を
備える。また、体験作業を行うことも想定されるため、道具置き場や手洗いなどの設備も併
設する。
●面積
125 ㎡程度
- 6 -
1-2-2:観光・交流活動のための施設計画
観光交流センターでは、恐竜博物館に満足している来館者の興味・
関心を引きとめ、太古の化石の世界から、みずみずしい現代の世界へ
とその舞台を移していく役割を担います。そこでは、今を生きる御船
町の人々が心温まる接待をし、この土地ならではの情報や見どころを
教えてくれるサービスがあります。そして、その場面には、例えば一
杯のコーヒーやジュースがあり、そうしたサービスの提供を通じて、
町民は町外の人々との積極的な交流の糸口を掴むことができる場所と
なることを目指します。
D
エントランス
●内部空間イメージ
エントランスの事例1
高い天井高を活かした実物の漁船展
示や、実際に水が流れる水槽に魚が泳
ぐ展示など、本物にしかない迫力に富
んだ演出がおこなわれている。
(うしぶか海彩館)
エントランスの事例2
映像と写真パネルで附近の見どころを紹介している。
(雲仙岳災害記念館における島原半島ジオパークの解説)
●施設概要
一般来館者を最初に迎える明るく開放的な空間とし、団体客の集合場所等としても活用す
る。また、恐竜の世界を楽しく印象付ける仕掛けや、御船町の観光情報の提供等を行う。
内部には、観光交流センターのスタッフのデスクもあり、来館者へのサービスの提供や、
来館者との交流を行う。
●面積
140 ㎡程度
- 7 -
E
ミュージアムショップ、カフェ
●内部空間イメージ
●施設概要
(ミュージアムショップ)
恐竜に関するグッズの販売等を行う。また、町民
の積極的な参画によって心温まる雰囲気づくりを目
指し、お菓子やぬいぐるみ等、
「恐竜」をモチーフに
した町民手作りグッズ等の販売実現を目指す。
ミュージアムショップの事例
雲仙ジオパークを理解するための
関連知識に触れた文献から
お菓子まで幅広い品揃えである。
(雲仙岳災害記念館)
(カフェ)
軽食主体の飲食スペースで、来館者の休憩場所と
する。郷土色の強い飲食の提供も視野に入れ、来館
者・観光客に魅力的なメニュー構成を目指す。また、
土日祝日と比較して来館者が少ない平日には、町民
や附近公共施設への来館者の需要を見込み、地元民
にとっても立ち寄りやすい場所を目指す。将来的に
は、20~30 席程度の客席と、そのランチを提供でき
る経営を視野にいれる。
オリジナル商品発売の事例
指定管理者により周辺で生産される
農産品を使った加工食品が開発され、
販売されている。
(天草ビジターセンター)
●面積
160 ㎡程度
(旧幼稚園舎部分を改装、カフェを含む)
- 8 -
F
町民活動スペース
●内部空間イメージ
●施設概要
町民が調査・研究活動を行うほか、町民の打ち合わせや作業・休憩等の多目的な利用を
想定したスペース。この部分に、児童・生徒のクラブ活動部室を設けて、御船町の理科系
教育の充実を目指す。また、幅広い町民の「部室」的な利用を呼び掛け、活動成果の発表
会を開くなどして世代を越えた町内の交流を生み出す。
また、町民によるボランティアガイドの活動拠点としても機能し、ガイドの待機場所や
事務連絡等の場所として使用する。
●面積
100 ㎡程度
- 9 -
1-2-3:観光交流センターの全体像
観光交流センターは新恐竜博物館の一部を占めています。下図は新
恐竜博物館の諸室のつながりを示したものです。赤線の部分が観光交
流センター、緑線の部分が博物館の機能を示します。
(なお、子育てふ
れあい館との連絡については、維持管理面、防犯面を考慮した上で、
建物構造としては分離するものとします。)
●平面構成図
恐竜博物館
新
恐
竜
博
物
観光交流センター
館
●新館(恐竜博物館+観光交流センター)における面積比
恐竜博物館
按分前
按分後
1,089㎡
71.0%
共有部
537㎡
観光交流センター
計
-
444㎡
29.0%
2,070㎡
100.0%
1,470㎡
-
600㎡
2,070㎡
71.0%
-
29.0%
100.0%
注)旧幼稚園部分(図書+キッズスペース、カフェ、ミュージアムショップ)は除く。
- 10 -
1-3:運営計画
1-3-1:教育・普及支援広報活動の経費
各種体験学習の体験料を設定し、活動経費の一部とします。
教育・普及支援広報活動の経費としては、インタープリターとして
体験のインストラクターやガイドを行う人員の人件費、新規の体験メ
ニューの開発費、関連する資料作成費、材料費、広報費、旅費等が見
込まれます。
子どもたちの体験の様子
博物館と連携して様々な体験学習メニュー
を売り出す。
- 11 -
1-3-2:観光・交流活動の経費
観光・交流活動の経費としては、コーディネーター人件費、グッズ
開発費、製作購入費、イベント開催費、広報費、旅費等が見込まれま
す。
収入としては、グッズやカフェの売り上げ、観光ツアーのコーディ
ネート料や売り上げ等が見込まれ、活動経費の財源の一部となります。
御船の観光資源との連携
石橋群や吉無田高原や七滝などの町内の名所に
博物館から足を延ばすツアーを企画。
- 12 -
1-4:概算事業費
1-4-1:観光交流センターの概算工事費
観光交流センターは、新しく旧幼稚園の園庭部分に新築される新恐竜
博物館の一部に加えて旧幼稚園舎の一部を改装する形で建設されます。
従って、その建設費も新築部分①と改装部分②に分けて考えます。
②改装部分(約 200 ㎡)
旧幼稚園舎
観光交流センター
①新築部分
(約 600 ㎡)
新恐竜博物館
新築される部分の建設費については、想定される用途から、その費
用は単価としては1平米あたり 20 万円程度と想定されます。
新築部分:20 万円/㎡×600 ㎡=12,000 万円(税別)
旧園舎の改装部分(約 200 ㎡)については、新たに新設される子育
てふれあい館と共同で改装することになります。木造の旧園舎は建築
後約20年を経過していますが、調査により特に大規模な改修は必要
ないと判断されることから、電気設備・空調設備・水廻りの改修と、
内外装の部分的な更新が主な建設費用の項目になると判断されます。
具体的には、かつて保育室として使用されていた比較的大きな部屋を
カフェ等に改装することになるため、間仕切りの撤去や新設等が少なく、
その費用は単価としては1平米あたり 10 万円程度と想定されます。
改装部分:10 万円/㎡×200 ㎡=2,000 万円(税別)
これらの他に、外部の連絡通路等の外構工事費が見込まれます。
それらの費用を総合すると、約1億4千万円程度が観光交流センタ
ーの建設費として計上されます。
- 13 -
第2章 今後の進め方
2-1:町内の体制づくり(新恐竜博物館開館まで)
平成 26 年度の恐竜博物館開館(予定)の時点で、恐竜博物館への来館
者を御船町への来訪者としていく仕組みができていることが必須です。
具体的に、その仕組みを整えていくためには、行政が初期投資的に
器(ハード)の整備を行い、町民有志がその経済的活動・交流活動(ソ
フト)のために使いこなしていくという図式を想定していますが、特
に観光交流センターの役割を考えると「人集い夢かなう文化交流空間」
の実現のために、来館者の知的好奇心を満たすことのできる高度な情
報集約を背景とした交流空間としなくてはならないと考えます。一方
で、親しみやすさや分かりやすさも同時に求められるため、専門性と
分かりやすさが混在する空間を創っていく必要があります。
そのために必要な準備として以下のような項目が上げられます。
<たとえば…>
・観光交流センターを起動・運営する中心的スタッフの公募と研修
・魅力的な御船観光ツアーのコンテンツづくり
・恐竜を連想させる商品群の開発とその商品化
・町内のレストランにおける子ども向けメニューの開発 など
これらの内容は、個々に取り組むことでは効果に限界があるため、
町民と行政とが力を合わせて組織的に動く必要があります。開館まで
の期間に組織的に準備を進めていくために、プロジェクトチームを発
足させることが必要で、その組織を「観光交流センター開館準備委員
会(仮称)」として立ち上げます。
ワークショップの様子
観光交流センター開館準備委員会(仮称)では、
町民の積極的な参加が必要と考える。
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2-2:全町民が担うべき役割
観光交流センターとしての役割を考えると、来館者の知的好奇心を
満たすと同時に、御船町内の魅力的な観光スポットを、町民自らが積
極的に紹介・誘導していく能力を獲得することが当面(開館まで)の
目標となります。
具体的には、恐竜博物館のインタープリターとは別に、御船観光を
ガイドできる人材の養成、御船町内の各地に観光的な魅力に富むスポ
ットやコンテンツ(訪問先・体験メニュー等)を増やすことが急務と
なります。これらのことは、意欲的な町民や特定の関係者(飲食店な
どの事業主)がその任を担うことで実現が可能になりますが、一方で、
御船町民全体としても取り組むべきことがあり、例えば、恐竜に関す
る基本的な知識を向上させ、将来的に町民であれば誰でも町内を巡っ
ている観光客の初歩的な質問には答えられるような準備をすることが
考えられます。
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●御船町内の観光受入体制づくり
【運営スタッフと共に】
中核的スタッフの募集
観光交流センター
スタッフの公募と研修
【意欲ある町民・関係者と共に】
御船町内を対象と
する観光ガイド養成
開館準備
観光交流センター
開館準備委員会(仮称)の
立ち上げ
御船町の観光スポッ
ト・コンテンツづくり
【全町民と共に】
御船町民の恐竜・観光
に関しての知識の向上
恐竜や観光情報に関する町
民向けの情報発信
●観光客の受入体制づくりのスケジュール
平成 23 年度
平成 24 年度
平成 25 年度
平成 26 年度
平成 27 年度
開館準備
委員会
参加者呼びかけ
準備委員会
コンテンツづくり
コンテンツづくり
観光ガイド養成
開
観光・恐竜
情報発信
館
情報の発
センターにおける
観光情報の提供
信
スタッフ
の公募と
スタッフによる
企画・運営
公募
募集条件の確定
研修
研修
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2-3:御船町の観光窓口づくり
新恐竜博物館の開館後は、従来の博物館に比べて入場者数も増加す
ることが見込まれますが、そうした集客力を御船町及び町民にとって
のビジネスチャンスとしていくためには、観光ニーズを満足させる仕
掛けが必要になります。
先に述べた準備体制の実践の次には、本格的な観光窓口の設置を視
野に入れておく必要があります。そのためには、従来の観光協会が担
ってきたような観光情報の発信や、季節ごとのイベント等の事務局的
な役割に加えて、恐竜博物館に来館する人々の興味や関心が、次々と
連鎖的に拡大していくような企画の立案能力や、それらをより魅力的
に伝えることができる表現力・話術を身につけなくてはなりません。
例えば、来館者のニーズの特徴を意識した観光ツアーの構築であった
り、小中学校の見学旅行先として選択されるような営業力であったり
します。こうした活動は、民間のビジネス感覚を取り入れつつ、御船
のセールスポイントを明らかにしていく作業でもあります。
こうした作業を実行できる能力ある人材を発掘するには、時間がか
かることが想定されるため、商工会や民間に呼び掛け、
(長期的な展望
のもとに)観光交流センター立ち上げの早い段階から、然るべき人材
に着目し、意欲ある町民を育成していく体制を築くことが大切です。
また、その前提として御船町の観光振興や、特産品の開発・販売等
の戦略を本格的に描くことが必要と考えられ、その意味では観光振興
計画の立案等により観光交流センターの中核的な役割と活動を全町的
な理解の基に進めていく必要があります。
JR熊本駅新幹線口
新たな観光客を出迎えるため、
熊本市の観光施設を示した案内板が
設置されている。
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●御船町観光交流センターの中核的役割とそれを担う人物像のイメージ
将来的には、御船の旅の魅力を客のニーズに即してコーディネート
できる能力を、町内に備える必要があります。その能力とは以下の3
点と想定されます。
【観光交流センターのコーディネーターとして求められる能力】
求められる能力1:御船の特産品開発をコーディネートする
地元の様々な情報が集積し、恐竜博物館来館者と日常的に接することのできる観光交流
センターは、来館者・観光客のニーズを満足させられる特産品開発を企画・コーディネー
トを考えるのに最適なポジションです。意欲ある町内の生産者や加工者を束ね、時には営
業的な売り込みも含めて、その活動を引率する人材が必要です。
求められる能力2:旅行業に明るく、具体的にバスツアー等を企画する
観光情報提供ばかりでなく、主催者となってツアーを組み、そこから収入を上げて活動
の財源を確保する能力を開発していくことが必要です。
求められる能力3:御船町の観光資源に精通し、
観光客のニーズに合わせてコーディネートする
町内の関係者といつでも連絡を取り合えるような信頼関係を築くことが必要です。一方
で、観光客から寄せられる十人十色のリクエストに答えられる企画センスも必要です。そ
の構築には数年の時間が必要と考えられ、じっくりと人材を養成することが求められます。
現時点で、適任の人物はいませんが、今後の観光や物産に関係する
活動を通じて、適任者を育成していく必要があります。
こうした能力を担う人物の必要性を、地元関係者間では誰もが感じ
ていますが、一方で、外部からの来館者や観光客にしてみれば、それ
らの能力は観光サービスの一環ともいうべき範囲のものであり、その
こと自体に対価を支払うという感覚は現状では無いと考えられます。
故に、観光収入に結び付かず、これらの能力を持つ人材が育成されて
こなかったと考えられます。
こうした状況を変えていくためには、当事者の裁量に基づく収入(ガ
イド料や商品等の販売による利益)はもちろんのことですが、
(恐竜博
物館の来館者を増やす取組等の)御船町の観光振興に不可欠な作業が
持つ公益的な側面と、その結果、具体的な利益に結びつけるチャンス
が訪れる事業者が負担すべき受益者負担の側面の両面を意識し、バラ
ンスを保つ議論を町民間で始める必要があります。
また、施設の維持管理費という形で行政が支出したり、観光情報の
提供業務を観光協会が発注したりする等して、必要経費の一部を公的
に負担する方法も考えられます。さらには、民間事業者もその関わり
の深さに応じて然るべき費用の負担を見込む必要があります。
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●【試算】カフェの運営による収入の見通しについて
観光交流センターにおける人的対応の中心的役割を担うと考えられ
るカフェ部分の運営について、そのスタッフ雇用の可能性を以下のよ
うに試算する。
・新恐竜博物館の来場者見込み 50,000 人/年
→そのうち、約 10%(5,000 人/年)がカフェ利用と想定
・周辺施設来場者数実績 187,866 人/年(21 年度)※
→そのうち、約 10%(15,000 人/年)がカフェ利用と想定
・客単価 400 円(コーヒー・軽食程度)と仮定
→カフェ利用者×客単価=(5,000+15,000)×400=800(万円)
そのうち、約 3 分の1程度が人件費と仮定すると、約 260 万円程度
を人件費に充てることができる。
将来的に利益を上げ経営を安定させていくためには、来客数の増加
と客単価のアップが不可欠と考えられるが、それを可能とするために
は十分な客席数と、飲料ばかりでなく調理可能な厨房等の設置が可能
スペースを確保しておく必要がある。その意味では、将来の具体的な
観光交流センターの経営を視野に入れてカフェやミュージアムショッ
プの規模設定を行う必要がある。
新恐竜博物館周辺の公共施設への来場者数(平成 21 年度実績 御船町役場)
・カルチャーセンター 72,212 人
・スポーツセンター 91,035 人
・町民グラウンド
・町立図書館
16,494 人
8,125 人
合計
187,866 人
※ただし、カルチャーセンター内のギャラリー見学者、役場来庁者、保健センター利用
者、近隣学校への来訪者等は含まない。
写真-御船町カルチャーセンター
写真-御船町スポーツセンター
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2-4:御船町民に愛される施設づくり
新恐竜博物館及び観光交流センターの建設は、町民にとってはよりよ
い御船町での暮らしを実現していく上で重要なきっかけでもあり、その
あり方には高い関心が寄せられると予想されます。当然のことながら、
その建築物としてのデザインにも町民の多大な期待が寄せられると考
えられ、計画策定時のワークショップでも関連する発言が相次ぎました。
一方で、実際に建設する敷地は、役場敷地の一角で、旧幼稚園舎の一
部を利用しての施設計画となり、配置計画や平面計画(間取り)には更
地に建てる場合には無い様々な制約が伴います。また、建築基準法や消
防法等の建築関連法規の規定があり、町民の期待に応えるにはハードル
が高いことも現実です。
これらを解決し、制約を乗り越え町民の期待を可能な限り建築物とし
て実現するためには、相応の建築設計技術が不可欠です。また、町民の
期待と現実をうまく調和させながら、多くの関係者の共感のもとに実現
可能なプランを編み出す必要があります。つまり、行政と町民と設計者
とが情報を共有し、様々な制約を甘受し、乗り越えながら、夢の実現に
むけた合意形成を丁寧に行っていくことが重要です。
その手法としては、新恐竜博物館及び観光交流センター建設の趣旨や
要望を、具体的な設計条件としてまとめた上で、複数の建築設計者に開
示し、アイデアを募る方法が挙げられます。これは設計コンペやプロポ
ーザルと呼ばれる方式で、選定審査や途中経過を公開し、多くの町民の
声を反映することができるため、後の施設運営における町民の主体的な
参加を促す意味では有効な手法であると考えます。
こうした経緯で選定された建築設計者と町民が、ワークショップ等の
お互いに顔が見える関係の下に実際の建築設計図書をまとめていくや
り方が望ましいと考えます。特に、観光交流センターでは、町民の担う
役割が大きく、使い手である町民の要望を具体的かつ実現可能な形で反
映する必要があります。そのためには、設計者と町民の密なやり取りが
不可欠であり、その環境づくりを、コンペやプロポーザル方式により優
秀な案を募って、選定することから始めることが望まれます。
(参考)くまもとアートポリス事業
熊本県では、建築や都市計画を通して文化の向上を図るため、1988 年より「くまもとアートポリス
(Kumamoto Artpolis、略称:KAP)」事業を進めている。一般的に公共建築は、競争入札により設計
者を決めることが通常であるが、くまもとアートポリスにおいては、設計者の選定についてコミッショ
ナーに全権が与えられるという特殊な制度を取っており、これが最大の特徴となっている。近年は、企
業や自治体が取り組む設計コンペやプロポーザルの支援も行っており、運営の事務手続きや建築界への
呼び掛けなどにおいて、これまでの経験と知名度を活かしたサポートを通じて、質の高い建築デザイン
の普及を図っている。
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