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年金制度の歴史

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年金制度の歴史
14
新年号は日本の年金制度の歴史に迫ります。年金のことをよりよく知ってしあわせな老後へ
年金
65歳を境に年金の呼び方が変わるのはなぜなのか?
国から支給される年金は、60歳から64歳までは
「特別支給の老齢厚生年金」
という名称です。
一方、国民皆年金をはかるため昭和36年にはサ
ラリーマン以外の国民についても年金制度に加入
「特別支給の老齢厚生年金」は、
「報酬比例部分」
させるべく国民年金法が施行されました。その後
と
「定額部分」に分かれており、
これらとは別に「加
しばらくの間年金制度は安定していましたが、昭和
給年金」
という名前の配偶者加算もあります。65歳
61年4月施行の大改正によって年金制度は大きく
になると
「報酬比例部分」は「老齢厚生年金」
という
変わりました。この改正により、従来別々の制度
名称になり、
「定額部分」は「老齢基礎年金(プラス
だった厚生年金と国民年金が関連づけられ、厚生
経過的加算)
」
という名称に変わります。
年金被保険者は同時に国民年金の被保険者でも
なぜ、65歳を境として年金の名称が変わるのか
あることになったのでした。
は、
日本の年金制度の歴史と関係があります。現在
旧厚生年金の支給開始は60歳でしたが、国民年
の厚生年金保険制度は、男子工場労働者のみを対
金では給付は元々65歳からなので、厚生年金加入
象とした「労働者年金保険(昭和17年)」が始まり
者は60∼64歳で厚生年金(特別支給の老齢厚生
で、昭和19年に事務職や女子にも対象を拡大した
年金)のみを受給し、65歳からは厚生年金(老齢厚
「厚生年金保険」に改称されました。
生年金)
と国民年金(老齢基礎年金)の両方を受給
厚生年金保険制度は国民の福利厚生のためと
する、
という枠組みになりましたが、受給額自体は
いうよりは、保険料徴収による戦費調達を主目的と
65歳前後で変わるわけではなく、呼び方が変わる
してスタートしたものだったのです。
だけということです。
戦後、厚生年金保険は昭和29年の改正でサラ
リーマン(公務員・教職員を除く)の年金制度として
の仕組みが確立しました。
特
別
支
給
の老
60
齢厚
報
金(
生年
酬
60
60歳
特
別
支
分
比例部
65
) 65歳
給
齢
の老
厚生
定額
年金(
老 齢厚 生年金
65
終身
部分) 老齢基礎年 金
年金
昭和61年の年金制度大改正はどうして行なわれたのか?
思によるもので、強制加入というわけではありませ
した。
んでした。そのため制度に加入せず、老齢になって
新年金制度では、サラリーマンの配偶者である
も老齢年金を受けられなかったり、障害者になっ
専業主婦は国民年金第3号被保険者ということに
ても障害年金を受けられなかったり、
という制度の
なり、自分自身の保険料を払わずとも65歳から老
欠陥が問題になりました。
齢基礎年金が受給できるようになっています。
男
女
昭和22年 昭和27年
4月1日生 4月1日生
昭和22年 昭和27年
4月2日生 4月2日生
年金
昭和24年 昭和29年
4月1日生 4月1日生
昭和24年 昭和29年
4月2日生 4月2日生
昭和28年 昭和33年
4月2日生 4月2日生
だった老齢年金ですが、昭和61年改正厚生年金保
をご覧ください。当社は厚生年金基金に加入して
険法では老齢給付は原則65歳からです。
いますので、基金の年金についても併せて表示し
それが、
「特別支給の老齢厚生年金」
です。
「特別支
の(厚生年金基金(基本年金))+(報酬比例部分)
給の老齢厚生年金」は生年月日によって支給開始
+(定額部分)+(加給年金)が「特別支給の老齢厚
年齢が異なります。
生年金」だと考えてください。
年金
配偶者が65歳になると加給年金が支給されなくなるのはなぜなのか?
算」
というものがあり、配偶者自身の老齢基礎年金
が65歳になると給付がストップします。
これは65歳
に上乗せして支給されます。
になった配偶者には、当人自身の老齢基礎年金が
「振替加算」は、配偶者の旧国民年金法適用期間
支給されることになっているので、配偶者手当で
(つまり任意加入できたはずの期間)に応じて支給
ある加給年金は以後支給不要との考え方によるも
額が定められているため、新制度に切り替わった
のです。
昭和61年4月1日以後に20歳になり国民年金の
もっとも、配偶者の生年月日によっては、
「加給年
加入期間が始まる昭和41年4月2日以降生まれ
金」消滅と同じタイミングで支給が始まる
「振替加
の配偶者には支給がありません。
昭和34年 昭和39年
4月1日生 4月1日生
昭和34年 昭和39年
4月2日生 4月2日生
69歳
70歳∼
確定給付企業年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
報酬比例部分 老齢厚生年金
老齢基礎年金
加給年金
昭和36年 昭和41年
4月1日生 4月1日生
確定給付企業年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
老齢厚生年金
老齢基礎年金
加給年金
昭和36年 昭和41年
4月2日
4月2日
以降の
以降の
生まれ
生まれ
年金
図解の中に「加給年金」
というのがあり、配偶者
70歳∼
確定給付企業年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
報酬比例部分 老齢厚生年金
老齢基礎年金
加給年金
∼
年金」
という言葉は表示していませんが、64歳まで
昭和32年 昭和37年
4月2日生 4月2日生
∼
にはいかないので、移行措置が設けられました。
69歳
確定給付企業年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
報酬比例部分 老齢厚生年金
老齢基礎年金
加給年金
昭和32年 昭和37年
4月1日生 4月1日生
∼
ています。なお、図解上では「特別支給の老齢厚生
昭和30年 昭和35年
4月2日生 4月2日生
∼
しかし、法改正でいきなり65歳支給開始にする訳
68歳
確定給付企業年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
報酬比例部分 老齢厚生年金
老齢基礎年金
加給年金
∼
自分の支給開始年齢がいつなのかは、右の図解
67歳
確定給付企業年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
報酬比例部分 老齢厚生年金
老齢基礎年金
加給年金
昭和28年 昭和33年
4月1日生 4月1日生
∼
旧厚生年金保険法では60歳が支給開始年齢
66歳
確定給付企業年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
報酬比例部分 老齢厚生年金
定額部分 老齢基礎年金
加給年金
昭和30年 昭和35年
4月1日生 4月1日生
年金はいつから貰えるのか?
65歳
確定給付企業年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
報酬比例部分 老齢厚生年金
定額部分 老齢基礎年金
加給年金
∼
上げる必要もあり、新制度に移行することになりま
64歳
65歳
∼
マンの妻については加入するかどうかは本人の意
63歳
∼
年金保険の老齢年金支給開始年齢を65歳に引き
62歳
昭和20年 昭和25年
4月2日∼ 4月2日∼
∼
年に始まった国民年金の制度でしたが、サラリー
61歳
配偶者の年齢
∼
また来たるべき高齢社会に対応するため、厚生
本人の年齢
∼
5ページのとおり、国民皆年金を目指して昭和36
年金
総務部 人事・労務担当
鈴木担当課長
14
60 歳で退職した場合(下記、それぞれの金額については前号(秋 200 号)を参照してください)
定年再雇用(60 ∼ 64 歳)の場合
本人の年齢
配偶者の年齢
61歳
62歳
63歳
64歳
65歳
66歳
67歳
68歳
65歳
確定給付企業年金
生年月日に無関係
加給年金
厚生年金基金(加算年金)
厚生年金基金(基本年金)
老齢厚生年金
老齢基礎年金
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