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児孫のために境を残す-安価な携帯型GPSによる林家地図情報管理

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児孫のために境を残す-安価な携帯型GPSによる林家地図情報管理
岩手の林業 平成24年1月15日発行 第3種郵便物認可
ソフトの開発も進みました。
本論では、廉価な携帯型GPSと
フリーソフトのカシミール3Dを用
いて、中小規模の林家を対象にした
林家地図情報の管理方法の検討をし
ました。
林した世代は、植林や下草刈-をし
森林管理は大きな問題です。拡大造
図が野外で表示できる機種(CAR
を図1にまとめました。GPSで地
の地図情報整備作業について、概要
GPSを用いた野外作業と屋内で
2 調査内容
たので、山の森林の境界と状況を把
MIN
中小規模の森林所有者にとって、
握しています。対して、次の世代で
位置記録だけの機種(GPSロガー、
スターⅢ内蔵) を用いました。GP
X、ボケナビ)と、
は、多-の人にとって山の森林が生
DGIOO︰高感度GPSサーフ
きました。仮に1回くらい拡大造林
sを用いて屋外で点と歩行軌跡の測
図に手書きした図面を用いていま
た。この際に、デジタルカメラを持
を手に、GPSを担いで測量しまし
しました。
〟 GPS測位(点、軌跡)
図1 GPSとカシミール3Dによるシステム構成
e
X) では
精度50mで不十分と考えました。
ps (ボケナビ、eTl
は十分と考えます。対して旧来のG
鮒%)とな-'山を管理する目印に
高感度GPSでは精度13m (確率
3 実行緯果
(時刻はGPSにあわせる)
●デジカメ撮影写真の整理
eTle
あっても境界の把握が難し-なって
した親の世代と境界を回っても、山
位を行い、屋内での地図情報整備は
にしました。
林業分野でも、特にここ数年で高感
す。所有界の外周に設置の杭と、山
ち、道路沿いに周囲の概況とスギと
●GPSからのデータ入力
GPS測量した結果と、森林基本
一 6 -
活の場で無-なったため、所有林で
に慣れていないので覚えきれるかな
カシミール3Dで行いました。
取-調査を行いました。この地域で
所有界について、山下氏から聞き
成1 9年夏にしました。
地 (約00㌶)としました。調査は平
山下幸利氏の所有林とその周囲の団
対象地は、高知県本山町の林家の
と感じると思います。さらに地籍調
査の林地での完了率は全国平均で約
40%と、完了にはほど遠い現状です。
披大造林世代の持つ境界や林況につ
いての森林の記憶を、地図情報とし
て客観的に記録する方法の開発が必
要です。
は地籍調査の予定がな-、公的な所
度GPSが開発されて森林内での利
下氏が記憶で把握している林道から
ヒノキの林相を判別するために撮影
林相について、80年生と40年生の
GPSは的年代後半から高性能か
有界記録は公図しかあ-ません。ま
2韓としました。林道や作業道は、
用範囲が大き-広がってきました。
近い境界点をGPSで整備すること
携帯電話に利用されるようになり、
た山下氏は実際の作業には森林基本
雪国墨!!葵
つ安価になり、一般でもカーナビや
」
山下氏が森林基本図に記載した地図
ご一夕入出力
また、地図情報管理のためのフリー
・作成地点
デジカメ
●GPSへのデータ出力
・点、軌跡
●データ作成
・マウスによる地点の入力
(所有界、林道、等高線)
●測位記録
・森林基本図(等高線)
●地図表示
・現地での測位位置
・カシミール作成の地点情報
・組み込まれた森林地図
●地図表禾
・地形図
・所有界情報
・野外撮影の写真
GPS
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[野外作業]
[屋内作業]野外作業用地図
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児孫のために境を残す一安価な携帯型G P Sによる林家地図情報管理一
岩手の林業 平成24年1月15日発行 第3種郵便物認可
わせ、どこに林道、作業道が通って
量した林道と作業道の軌跡を重ね合
(図2)。森林基本図上に、GPS測
所有林と団地の境界を製図しました
図記載の境界線をあわせて、山下氏
下氏と隣接所有者Aとの境界であ
撮影により「ここは森林所有者・山
り「ここは境界点である」、画板の
す。図2左のように、杭の撮影によ
メラで撮影ボタンを押すだけにしま
は、GPSの電源オンとデジタルカ
記載するためにメモや写真を作成し
極めて難し-、野外で森林の状況を
は、特に林内で位置の正確な把握が
GPS毒用いない従来の方法で
す(図2右)。
自動的に地図上に写真が配置きれま
代になりました。
分で正確に山の情報が管理できる時
なら1万円もしません。飲み代2回
万円ですが、高感度GPSのロガー
しました。現在、ナビ付GPSで数
ても、どの場所の情報か整理するの
GPSと座標のあるデジカメ写真を
のようにして森林所有者の記憶が、
が難しいものでした。しかし、図2
GPSデータと写真をカシミールで
の約束事を決めます。屋内作業では
野外作業が分かるよう.に撮影方法で
る」ことを示し、写真を見ただけで
いるかわかるようになりました。ま
ヽ
た、GPS測量と同時にデジタルカ
メラで写真撮影し、森林基本図上に
した。これにより写真から林相が把
利用することにより'地図上で客観
位置を合わせて、貼り付けていきま
処理して、写真に座標を与えると、
図2 境界の写真撮影とカシミール3Dでの写真整理(作業例)
握できるようになりました。また、
的記録として容易に整理できるよう
になりました。
一
カシミールを用いて、向かいの山
から団地を臨むように設定し地形を
立体表示し、その上に団地の境界を
重ねました (図3)。一般の森林所
有者は'平面図は読めても、等高線
が入った地形図が読めるとは限りま
せん。森林の境界は、尾根や谷など
を利用していることが多-、これら
を境界確認の記憶の目印にしていま
す。しかしこの記憶と平面図とを一
憶と平面図といゝナ客観的記録を結ぶ
す。この立体図は、森林所有者の記
psによる林家地図情報の管理方法
小谷・都築(2008)高感度G
り、当事者の一人として、日本の森
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森林縫合研究所東北支所 小谷英司
私の実家は小規模の農家林家であ
の検討、森林学会講演要旨集,L
致させるには専門的技術が.必要で
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手段として、重要です。
図3 向かいの山から対象団地の立体表示
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林所有者薮の過半を.占める中小規模
林家ができる範囲として今回は検討
児孫のために境を残す一安価な携帯型G P Sによる林家地図情報管理-
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リンク機能を用いて、ビデオ映像や
補助金書類情報も、それぞれ一の該当
場所に貼り付けていきました。
今回の野外での地図情報整備方法
の検討から、廉価なGPSとフリー
ソフトを用いて林家の森林情報管理
ができる可能性が開けてきたと考え
ます。しかし、林家への適用実験と
して、山下氏にGPSやカシミール
の使用方法を数回講義しましたが、
高齢の森林所有者にとって習得が難
しいことも分かりました。解決方法
として、パソコン操作のサポート体
制の検討や、内業と外業を分業し、
森林所有者が行う外業では点りアナ
ログな作業方法の充実が必要と考え
ます。野外でのアナログな作業方法
の1例として境界確認作業の例を挙
げます(図2)。
森林所有者に依頼する野外作業
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