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柏崎市人材育成計画

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柏崎市人材育成計画
柏崎市人材育成計画
「改訂版」
∼公務員としての行政能力と高い倫理観の育成のために∼
平成23年3月
柏
崎
市
目
第1章
次
背景と目的
1
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
人材育成計画の目的
1
3
公務員倫理の確保のために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第2章
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
市政運営方針
めざす市政運営の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第3章
2
3
職員像(めざす職員像)
1
職員に求められる6つの姿勢・・・・・・・・・・・・・・・
4
2
職員に求められる能力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
第4章
1
人材育成の方策
人事考課制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
(1)実績による考課・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
(2)能力による考課・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
(3)育成面談・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
2
職員研修・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
14
(1)自己啓発の支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
(2)職場研修(OJT)の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
(3)職場外研修の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
3
人事管理(人事管理における人材育成)・・・・・・・・・・・・・ 20
(1)職員採用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
(2)配置管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
(3)昇任管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
4
働きやすい職場(環境による人材育成)・・・・・・・・・・・・
25
めざす職場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
(1)健康管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
(2)仕事と育児の両立支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
(3)安全衛生体制の充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
(4)メンタルヘルス対策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
27
(5)相談体制の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
27
(6)職場風土の醸成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
28
第1章
第1章
1
背景と目的
背景と目的
はじめに
今、柏崎市においては、未曾有の被害をもたらした中越沖地震からの復興、財
政の健全化、世界同時不況がもたらす経済情勢への対応など多くの課題がありま
す。また、市民一人ひとりの価値観やライフスタイルが多様化し、行政ニーズは
日々高度化・複雑多様化し、職員を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。
従来、国が担っていた事務は、地域の実情に応じて、市が施策を自己決定し、
より効果的に自治体を運営する方向へ進んでいます。
平成17年には、柏崎市、高柳町、西山町の合併により新しい柏崎市が誕生し
ました。合併による市域の拡大と地域間交流・職員構成の変化に合わせた、効率
的な組織づくりの実現が求められます。
私たちは市職員として、市民と共に行政課題への取組を通しながら、地域社会
の持続的発展や分権型社会の創造を通じて市民福祉を実現していくという大きな
使命を担っています。
2
人材育成計画の目的
(柏崎市の人材育成がめざすもの)
時代の要請と地域特性を活かした市政経営を進めるには、組織改革だけでなく、
何よりもそれを実行する職員一人ひとりの「意識改革」と「能力開発」が欠かせ
ません。
時代の大きな変化には、市職員も大きく変化し柔軟に対応することで、バラン
スが保たれます。本市の進路は、職員能力の向上と結束力にかかっています。
市民のための市政を推進する職員が成長するためには、人材育成の取組の方向
性を整理し、職員一人ひとりが組織の方針、目標を理解し、共有していかなけれ
ばなりません。
足腰の強い組織づくりをめざすために、『めざす市政運営』と『めざす職員像』
において、職員の目標を明らかにします。
その上で『人材育成の方策』において、人事考課制度や職員研修、人事管理な
ど「めざす職員像」を実現するための様々な取組を整理します。
一人ひとりの職員が、目標を持って職務に臨み、自らの能力を高めることは、
-1-
第1章
背景と目的
組織が成長する原動力となります。人材育成は、組織の質と力を高めることを最
終目的とします。
3
公務員倫理の確保のために
本市では、職員の不祥事根絶に向け、コンプライアンス推進委員会を立ち上げ
て、公務員倫理の徹底と綱紀の粛正に取り組んでいます。しかし、そのような再
発防止策を実施している最中に、再び不祥事が発生したことは、市民の皆様の信
頼を大きく損なうものです。
災害からの復旧・復興を始め、日ごろの業務の中で市民サービスの向上を目指
していただけに、非常に残念なことです。
一度失われた信頼を取り戻すためには、職員一人ひとりの努力はもちろんのこ
と、組織全体として市民の信頼を回復することは容易なことではない、というこ
とを肝に銘じる必要があります。
今回の事件を過去のものと考えたり、特定の一職員の不祥事と考えることはで
きません。たとえ一職員の不祥事であったとしても、連続した不祥事は、柏崎市
の職員全体の不祥事として受け取られています。
このことから、人材育成計画においても、公務員の原点に立ち返り、倫理意識
の確保のための施策を講じる必要性があります。これまで行われていた研修に加
えて、職場研修(OJT)や特別研修において、コンプライアンス研修と公務員
倫理研修を推進し、不断にそのことの確認を怠らないように努力しなければなり
ません。
-2-
第2章
第2章
1
市政運営方針
市政運営方針
めざす市政運営の推進
組織としての総合力を高めるためには、職員が同じ方向に向かって仕事を進め
ていくことが必要です。
このことを実践するためには、本市が「めざす市政運営方針」を明らかにし、
全ての職員が目標を共有化しておかなければなりません。
目標とする『めざす市政運営』は、次の3つです。
(1)市民の声が活かされる市政
◆市民の目線・立場に立った市政運営
◆コスト意識を持った市政運営
(2)公正で公平な市政
◆説明責任に応える市政運営
◆法令の遵守と、倫理を遵守する市政運営
(3)市民との協働による市政
◆市民と行政が連携し、地域の独自性を活かす市政運営
◆創造性と専門性を持った市政運営
3つのめざす市政運営は、本市の総合計画、施政方針、事業計画等を、効果的・
効率的に実現するための人的支援策をまとめたものです。
-3-
第3章
第3章
職員像
職員像(めざす職員像)
一人ひとりの仕事は、係→課(室)→部→市全体へとつながっています。自分
の仕事が組織全体の成果に結び付いていることを意識しながら、仕事をすること
が大切です。
市民のための市政を実現し、市職員として成果を出すためには、必要な力量が
備わっていなくてはなりません。
この章では、職員に必要とされる、姿勢・能力の面から、全ての職員に共通す
る「めざす職員像」を明らかにします。
1
職員に求められる6つの姿勢
(1)市民と連携・協働し、創意工夫する職員
◆市民に対し親切、丁寧、温かい応対ができる。『あいさつ運動』を励
行し、接遇マナー向上に努めている。
◆市民の一員として、積極的に地域活動に参加している。
◆人権を尊重し、思いやりの気持ちを持っている。
◆市民生活の現場に自ら足を運び、市民や関係者の意見をよく聞き、
現場の実情を把握して仕事を進めることができる。
◆市民のプライバシーに配慮した業務運営ができる。
(2)問題意識を持ち、企画立案に努める職員
◆常に問題意識を持ち、自ら考え、課題の改善に向けて自ら行動できる。
◆地方分権時代にふさわしい高い政策形成能力を持っている。
◆新たな行政ニーズを的確に把握し、迅速かつ柔軟に対応できる。
◆市役所の組織目標を理解し、危機管理意識を持って施策を考えること
ができる。
-4-
第3章
(3)高いコスト意識を持っている職員
◆自分の行っている仕事(サービス)にコスト意識を持って取り組
んでいる。
◆最少の経費で最大の効果を上げられるように努めている。
◆費用の大小にかかわらず、コストの縮減や事務事業の費用対効果
を考えた見直しを図っている。
◆他の部門と連携を図り、限られた財源や人的資源の有効活用を推
進する経営感覚を持っている。
(3)高いコスト意識を持っている職員
◆前例にとらわれず、業務の改善に努力する。
◆市民から預かった貴重な財源を、有効活用できる厳しい経済観念
を持って支出する。
(4)目標を持って成果を上げられる職員
◆ 担当業務の目標・方針、市政全体の現状と課題を的確に把握してい
る。
◆市役所の業務について総合的な知識を持っており、市民ニーズに適
切に対応することができる。
◆複雑化、専門化する業務に対応できる。
◆上司の指示に対し責任を持って業務遂行ができる。
(5)仕事を通じて能力を高め、自己実現できる職員
◆ 情報の収集・分析・処理・管理をIT機器の活用も含めたあらゆる
手段や機会を利用して的確に行い、仕事を進めることができる。
◆コミュニケーション能力を発揮して、部下・後輩の指導・育成がで
きる。
◆業務に関係ある法令などに精通している。
◆自らを高めようとする意識が高く、常に積極的な学習意欲を持って
いる。
-5-
職員像
第3章
職員像
(6)高い倫理観を持つ職員
◆ 公務員として、高い倫理意識を持って、自らを厳しく律することがで
きる。
◆公務員倫理を徹底し、市民の信頼が得られる職場づくりに努めている。
コラム:「法令の遵守と倫理」
市民が公務員に期待する事項は、法令という形で定められています。公務
員は何よりも法令に沿って的確に業務を遂行し、法令により禁じられている
ことは決して行ってはいけません。法令遵守は、公務員としての最低限のル
ールなのです。
しかし、市民の信頼を損なわず、また、市民の信頼を得るためには、法令
に禁止されていることを行わず、法令に書かれたことだけを行うといった姿
勢だけでは不十分です。
法令により禁止されていないけれど、それを行ったら市民の信頼を損なう
と思われることはしない。法令に定められてはいないけれど、それを行えば
市民のためになるから行う。
このような判断のできる一段高い倫理観を持った公務員が求められていま
す。
-6-
第3章
2
職員像
職員に求められる能力
職員に求められる能力は、職種や職位、担当業務によって異なります。図で表
すと、次のような対応関係で示すことができます。
部長級
課長級
対人能力
課長代理級
企画立案能力
係長級
一般職員
コミュニケーション能力
行政運営能力
職務遂行能力
職位に応じた能力は次のように整理されます。
【行政運営能力】
【企画立案能力】
組織の存在意義とめざすものを考え、
変化に適応した適切な政策を立案し、
個人・組織を健全に成長させる能力
制度化することができる能力
【対人能力】
【職務遂行能力】
意思を正しく伝え、相手を理解し、組
市民サービスの最前線において、担当
織内外との関係づくりをする能力
業務に精通し、的確・迅速に処理する
能力
※この「第3章職員像」は、職務に当たる際の心構えや、行動基準について例示
してありますが、行動を起こす前提に、市民の立場の【目線と視点】を備え持つ
ことが大切です。
職務に要求される課題を見つけ出すためには、まず、現状や実態の正確な把握
が必要です。いつも情報のアンテナを張り、住民満足に役立つことがないか情報
収集(新聞、雑誌、テレビ、人の話)し、その中から私たちに求められているも
のを察知する習慣が必要です。
-7-
第4章
第4章
人材育成の方策
人材育成の方策
ここでは、前章に記した「めざす職員像」を実現するための人材育成の取組の
方向性を体系的に整理します。
全ての職員が、本市の人材育成の方策について理解し、仕事に必要なものを自
ら見つけ、能力を伸ばしていくことが重要です。
1
人事考課制度
本市は、人材育成のための総合的な人事管理システムの構築をめざしています。
その中核となる人事考課制度は、職員の成長と組織力の向上を目的としています。
その制度の特色は、職員に「気付き」を提供し、人材育成・能力開発を図り、
成果を上げる組織づくりすることにあります。
そのために、
「実績」と「能力」の両面に着目するとともに、職員の「育成面談」
を取り入れた考課を行っています。
制度の運用は、役職(能力段階)により異った形式を採用しています。
制度の3つの運用形態
①管理職(高い能力発
②監督職(能力発揮期)
③一般職員(能力拡充
揮期)
【代理、係長級】
期・能力育成期)
【部長級、課長級】
実績考課と能力考課の
【主任、主査、主事】
実績に注目した考課を
併用を原則とした考課
人材育成を重視した能
行います。
を行います。
力考課を行います。
※能力段階とは、役職として期待される次の事項を表現したものです。
【能力発揮期】
今まで培った能力を仕事の成果として発揮してもらう時期のこと。
【能力拡充期】
複雑な業務を担当してもらい、高度な行政事務能力を習得してもらう時期のこと。
【能力育成期】
多様な経験をしてもらい、行政の基本的知識や能力を習得してもらう時期のこと。
-8-
第4章
人材育成の方策
(1)実績による考課
部長・課長・課長代理・係長の職員については、目標管理の手法を用いて実績
考課を行います。実績により、目標がどこまで達成され、どれだけの成果を上げ
たかに着目します。
その手法は、次の【ア・イ・ウ】の3つにより成り立っています。
ア
目標管理
目標管理によって組織力を向上させるためには、組織目標を全ての組織レベル
に浸透させるとともに、それを個人個人の目標に落とし込むことが重要なポイン
トです。
目標を設定する際には、本市が最も大事にしている「職場ミーティング」を実
施し、職場内のコミュニケーションと、情報の共有化を図ります。
目標管理の流れ(目標の連鎖)
①
政策レベル
部長の目標
手段
②
施策レベル
課長の目標
手段
課長代理
事務・事業レベル
③
係長の目標
【目標管理の流れ(目標連鎖)】の解説(図中①∼③)
①
部長は、部レベルの重要課題を関係者(市長・副市長・所属課長等)と協議
し、目標を設定します。
②
課長は、課レベルの目標を設定します。
③
課長代理・係長は、係レベルの課題を関係者(所属職員)と協議しながら、
設定します。
図中①∼③をすることにより、目標が、政策レベルから→施策レベル→事務・事
業レベルへと連鎖し、連続性を持って設定されます。
-9-
第4章
人材育成の方策
目標管理を成功させるためには、計画(Plan)−実行(Do)−検証(Check)
−改善・見直し(Action)のサイクルを回すことが必要です。
イ
育成指導目標
実績考課では、組織目標達成度を判定する実績考課と、部下職員の育成指導の
達成度を判定する育成指導考課の2本立てとしています。
部下職員の「育成指導」についても、実績考課の一部として取り入れ、人材育
成も大切な職務目標として推進しています。
人材育成(部下の育成指導)は、管理・監督職の重要な仕事です。
ウ
チームチャレンジ
個人考課のみに頼ると自己中心的な職員や成績主義に陥る職員を生み出すおそ
れがあります。また、組織間の連携を妨げる可能性もあります。
これらの弊害を克服し、あるいは組織の結束力を高めるため、一般職員にはこ
れまでのチームOJTに替わる、チームによる『チームチャレンジ目標』考課を
導入しています。
コラム:「夏休みの家族旅行」
・・・とある家族の話です。
8月のことです。子どもたちも夏休中であることから、家族で車に乗って京
都旅行へ行く計画を立て始めました。家族の会話です。
父
:「宿を予約して車に乗って行こう。」
母
:「お金はどうするんですか?」
子(中1):「部活があるけど・・・」
と、もめながらも、予定を合わせ、京都の老舗宿を夜7時に予約しました。
旅行当日、柏崎インターチェンジから高速道路に乗り、順調に進んでいま
したが、途中で事故渋滞発生。いったん、高速を迂回して、再び高速へ。し
かし、今度は渋滞にハマリ。昼食の予定は12時から午後3時に。宿へ「遅
れます」と電話して・・・。結局京都へ着いたのは、夜の9時。とっくに食
事時間は過ぎていました。しかし、宿の好意で懐石料理も出してもらうこと
ができました。初日から疲れましたが、無事行ってきました。
普段の生活で起っているこのような計画と実際の行動の修正は、職場での
P-D-C-Aのサイクルと似ています。
- 10 -
第4章
人材育成の方策
(2)能力による考課
人材育成の基本は、
「職員の個性を尊重し、能力を伸ばし、個性ある人材を育成
する」ことにあります。
そのために、自己の苦手な部分に気付き、
「個性的で変革力を持つ職員」をつく
るコンピテンシー(行動基準:発揮能力)を用いた方法を採用しています。
その手法は、次の【ア・イ】の2つにより成り立っています。
ア
コンピテンシー考課
日常的な職務における行動の観察結果に基づき、考課項目に照らして考課しま
す。職務を遂行する過程で、行動として発揮された能力(行動特性)を考課します。
イ
本人考課
職員本人がまず自分の行動を振り返り、自分を正しく知ることが能力開発の第
一歩です。本人が自分自身を正しく知るための「本人考課」を使用します。実際
の考課に当たって、上司は本人の考課結果をベースに考課します。
本人の「気付き」を大切にするとともに、上司の観察できない部分を本人から
の申告により補うことは、納得性の高い考課のためには必要です。
さらに、本人考課を上司がコミュニケーションを通して理解することにより、
次の人材育成のステップとすることが可能です。
- 11 -
第4章
人材育成の方策
(3)育成面談
上司と部下が業務目標を立てるときに、「目標」、「達成基準」及び「難易度」に
ついて、設定理由や達成方策について考えを出し合う、
「ミーティング(作戦会議)」
を実施します。
また、達成度を判定するときにも、
「ミーティング」を行い、職場内でお互いの
取組と成果を確認し合い、業務レベル向上についての情報を共有します。
実際には、次の【ア→イ→ウ】の目的と流れにより面談が実施されます。
ア
目標設定面談
上司と部下が十分なコミュニケーションを図ることにより、正しく目標を設定
することができます。実際の仕事の目標を正しく設定するため、重要なのが「職
場ミーティング」です。
また、職場ミーティングには、同僚間の情報交換と共通認識をつくるという目
的もあります。
イ
中間面談
上司は、業務(特に重点業務)の進捗状況について報告を受けます。良い業績
は誉め、未達成の部分には指導、育成を行います。
また、中間地点での課題とその解決方法について話し合います。
ウ
実績考課面談
上司との面談(コミュニケーション)を通して考課の結果を知ることで、客観
的に「自分がどの能力に優れていて、どの部分が不足しているのか」を知ること
ができます。今後どのように能力開発に取り組めばいいのか「気付き」を得るこ
とができます。
面談の目的は、次のとおりまとめることができます。
①業務レベルの向上をめざす
②上司と部下のコミュニケーションの補完
③「振り返り」による自己認識(気づき)の提供
「職場ミーティング」と「上司と部下の育成面談」は、上司と部下、
同僚同士で仕事について、考えや情報を出し合い、意見を交換する場
であり、まさに究極のOJT(仕事を通しての指導、相互学習)の実
践の場と言えます。
- 12 -
第4章
人材育成の方策
人事考課制度の基本構成
能力考課
実績考課
総合考課
多面的考課
① 職務行動基準考課
(コンピテンシー考課 )
②職務達成度考課
育成面談
職
( 目標管理による考課 )
員
本人考課
人材育成
※人事考課マニュアルから
コラム:「レンガ職人の話」
∼イソップ物語から∼
昔、ある町でレンガを積んでいる5人の職人がいました。
「あなたは何をしているのですか?」と尋ねると、次のように答えました。
①わたしは、レンガを積んでいます。
②わたしは、壁を造っています。
③わたしは、建物をつくっています。
④わたしは、教会をつくっています。
⑤わたしは、人々の心のよりどころをつくっています。
5人はレンガを積むという行動は同じなのに、何が違っているのでしょう。
それぞれ目的意識が異なり、課題も違っていますが、私たちは、どんな役割を担
っているのでしょうか。
- 13 -
第4章
2
人材育成の方策
職員研修(研修における人材育成)
職員研修の基本的な考え方
職員研修は、研修と啓発によって、職員個人の能力の向上を図ろうとするもの
です。自己啓発、職場研修(OJT)、職場外研修により職員の人材育成・能力開
発を図ります。
(1)自己啓発の支援
職員は、組織で求められている能力を把握するとともに、自発的に学習する姿
勢を持ち続けることが重要です。
全ての職員が積極的に自己啓発に取り組んでいけるよう、組織的に自己啓発支
援策を充実します。
管理・監督者は、職員の自立性・主体性を尊重し、自己啓発が活発に行われる
職場づくりを進める必要があります。
自己啓発支援策は、次のとおりです。
eラーニング
職員提案制度(職員提案規程)
通信教育費用支援
チームチャレンジ制度(人事考課制度)
自主研究グループへの助成
市長とのミーティング
※環境の変化に対応した仕事をするには、継続的な改善に取り組む必要がありま
すが、根本的な改善・改革の必要性に目を向けることも重要です。
これからの時代においては、自己啓発支援策を積極的に推進する必要がありま
す。
(2)職場研修(OJT)の推進
職場研修(OJT)は、実務知識・技術、対人能力を身に付けることのできる
最も効果的な研修といえます。
そのことから、計画的かつ継続的に進めていくための取組を強化します。
職場研修(OJT)とは、職場において、職務を通じて行われる研修です。
一般的には、職場の上司・先輩が日常業務の報告・連絡・相談等の機会に次の
ことを計画的に伝え、職員を育てる研修のことです。
①仕事に必要な情報
②経験、ノウハウ
③職員として基本的な資質
- 14 -
第4章
人材育成の方策
職場研修は、これまで通常業務をこなすための指導・指示のレベルで終わって
しまいがちでした。
しかし、多様化する市民ニーズに、的確に応えるため、更なる次の OJT 研修も
必要とされます。
①業務の法的な枠組みや現状の問題点の整理
②問題解決のための学習活動(具体的な改善計画と行動の推進)
職場研修(OJT)は、職員が職員を育て、風通しのよい環境づくりを進めるた
めにも、積極的に推進していく必要があります。
職場研修(OJT)には、次のものがあります。
新採用研修(前期・後期)
内部講師による実務研修
一般事務職転任者研修
(財政状況・行政改革・法制執務・
非常勤職員研修
コンプライアンス等)
部課長による職員育成 OJT
新採用職員相談担当者制度
専門職において、職本来の専門性維持・技術向上のためには、組織機構を横断
する専門職集合型職場研修(OJT)も検討していく必要があります。
(3)職場外研修の推進
職場外研修は、一定期間職場から離れて行うため、集中的に知識・技術を学習
するのに効果的です。
また、他の自治体や他の職業分野の職員と交流することにより、啓発を受ける
機会としても有効です。現在の研修施策の中核となっています。
研修は、受講するだけでは効果は期待できず、自ら復習し、日々進んで勉強し
なければ能力を身に付けることはできません。
職場外研修には、1日コースもあり、業務の調整などの面から比較的気軽に受
講できるというメリットがあります。また、1日研修は、学習習慣を身に付ける
きっかけづくりに有効です。
職場外研修には、次の【ア・イ・ウ・エ】の4つの研修があります。
ア
階層別研修
階層別研修は、一般職員から課長級職員までの職員を対象にしています。
各階層で必要とされる業務遂行上の基礎知識・技術を習得し、それぞれの役割
- 15 -
第4章
人材育成の方策
を果たすことを目的に行っています。
公務員として高い倫理観を持ち、行政ニーズに的確に対応していくための必須
研修です。
また、管理・監督者には職場を円滑に運営するための人間関係の向上に関する
プログラムを多く取り入れ、組織管理能力や総合判断力の向上に重点を置いた研
修を行っています。
階層別研修には、次のものがあります。
階
層
一般職員
係長
課長代理
課長
イ
研
修
名
研修会場
新採用職員研修
県内各市
一般職員研修第1部
県内各市
一般職員研修第2部
県内各市
主任主査研修
自治研修所
係長研修
自治研修所
課長代理級研修
自治研修所
課長級研修(庁内課長連絡会議を
含む。)
自治研修所他
専門研修
専門研修は、職種・所属に合わせた実践的な研修を行うことを目的とし、実務
研修と選択研修に分かれます。
実務研修は、行政実務に即した知識・技能を習得し、能力を養成することを目
的に実施しています。
選択研修は、より専門的な能力開発と資質向上を目的に実施しています。
これらの研修は、次のことを目的として行われます。
①技能の向上
②政策立案能力の向上
③業務遂行に必要な資質の向上
各課が個別に加盟している団体などが主催する研修もこれに含まれ、分野は多
岐にわたっています。
- 16 -
第4章
人材育成の方策
専門研修には、次のものがあります。
分
類
実務研修
選択研修1
選択研修2
ウ
研修名
研修会場
税務事務新任研修
自治会館
固定資産税事務新任研修
自治会館
財務事務新任研修
自治会館
徴収事務研修
自治会館
契約事務研修
自治会館
クレーム対応力強化研修
自治会館
住民協働研修
自治会館
ファシリテータ養成講座
自治会館
業務改善研修
自治会館
説明力向上研修
自治会館
行政法研修
自治研修所
行政マーケティング研修
自治研修所
政策法務研修
自治研修所
問題解決力向上研修
自治研修所
政策形成研修
自治研修所
コミュニケーション研修
自治研修所
交渉力研修
自治研修所
タイムマネジメント研修
自治研修所
民法研修
自治研修所
特別研修
特別研修は、行政課題の変化に対応して、適宜必要とされる特定の課題や能力
の育成を重点的又は継続的に行うことを目的とします。
地方分権の実現のためには、新しい課題への取組に力を注ぐ必要があります。
テーマの設定と同時に、カリキュラムの開発も必要です。
これからの時代において自治体の企画立案力・課題研究力が注目される研修分
野であり、積極的に推進していきます。
- 17 -
第4章
人材育成の方策
特別研修には、次のものがあります。
中堅職員能力拡充研修
メンタルヘルスセミナー
コンプライアンス研修
男女共同参画研修
職員・市民の協働研究研修
人権研修
公務員倫理研修
民間企業交流研修
IT業務改善研修
交通安全研修
エ
派遣研修
派遣研修は、高度な専門的能力・技術はもとより、異なる視点で地域の行政を
捉え、幅広い視野を持った職員を養成するため、通常の研修機関以外の自治体や
団体等に派遣して行う研修です。
派遣研修の代表例は、次のものがあります。
研
修
名
自治大学校(東京都)
市町村アカデミー(千葉県)
国際文化アカデミー(滋賀県)
コラム:「たまには違うスーパーで」
買い物はいつも決まって、近所の「スーパーA」を利用のMさん。
「ここは、魚も肉も新鮮で安い。他の店には絶対行かない」とスーパーAの
常連さん。・・・しかし、今日は少し遠いけど、新しい「スーパーB」に買い
物へ行くことに・・・。(その店で、旬の地魚、地野菜コーナーを発見!)
それから、Mさんは「たまには違うスーパーもいいかもね」と・・・。
★この様な新しい発見は、普段の生活でもよくある話です。
職場を離れた研修で、新しい事実を発見し、「気付く」ということは、いつ
もと違うスーパーでの買い物と、何か共通点があるのでは・・・。
- 18 -
第4章
参
考
資
人材育成の方策
料
「研修」とは、「その方面に必要な知識・技能を確実に身に付けるため、特別な
勉強や実習をすること」という意味があります。
・・・・・『三省堂国語辞典』
ここでは、私たち公務員の研修に関わる法律を整理し、研修の意義を再度確認
したいと思います。
【地方公務員法】
第15条(任用の根本基準)
職員の任用は、この法律の定めるところにより、受験成績、勤務成績その他の
能力の実証に基いて行わなければならない
第35条(職務に専念する義務)
職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務
上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき
責を有する職務にのみ従事しなければならない。
第39条第1項・3項(研修)(計画)
第1項:職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が
与えられなければならない。
第3項:地方公共団体は、研修の目標、研修に関する計画の指針となるべき事項
その他研修に関する基本的な方針を定めるものとする。
【柏崎市職務に専念する義務の特例に関する条例】
第1条(目的)
この条例は、地方公務員法第 35 条の規定に基づき職務に専念する義務の特例
に関し、規定することを目的とする。
第2条(職務に専念する義務の免除)
職員は次の各号の一に該当する場合においては、あらかじめ任命権者又はその委
任を受けた者の承認を得て、その職務に専念する義務を免除されることができる。
(1)
研修を受ける場合
(2)
厚生に関する計画の実施に参加する場合
解説:地方公務員法における研修は、一般的には他律的な研修の規定と理解され
ますが、能力開発の基本は、あくまで自立的・自発的な自己研鑽にあることはい
うまでもありません。
- 19 -
第4章
3
人材育成の方策
人事管理(人事管理における人材育成)
人事管理は、職員の採用から退職までの様々な任用関係のほか、勤務条件、給
与などを管理するためのものです。
その目的は、職員の意欲と能力を最大限に引き出し、活用することで組織全体
の能力を高めることにあります。
そのために、次の視点で人事管理を進めます。
ア
公平・公正・透明な制度
人事制度は、公平・公正・透明であって、職員にとって納得の得られるものに
することが大切です。そのためには、次の制度づくりが必要です。
①職員研修の充実による能力開発の機会拡大
②職員の適正や能力・実績の公正評価
③評価が職員自身にも分かる仕組み
イ
計画的な人材育成
下の図は、柏崎市の職員を年齢別にグラフ化したものです。
年齢別職員数(平成22年4月1日)
人
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58
年齢
40歳代後半以降の層は多く、30歳代前半以前の層は少ないことが分かりま
す。このような職員年齢構成から、将来の市政運営を担う職員が自らの職員像を
描く支援をする必要があります。
また、組織力強化のために若手職員(30歳代前後)と中堅職員(30歳代後
半から40歳代前半)の育成に積極的に取り組む必要があります。
- 20 -
第4章
人材育成の方策
(1)職員採用
人材育成と並ぶ重要な課題に、人材の確保があげられます。これからの時代に
対応することのできる優れた人材を確保することが、人材育成の出発点となりま
す。
ア
採用試験
自治体の力量が問われる地方分権の時代において、職員には次のことが求めら
れます。
①時代の要請を把握し、課題を見つけ、それを政策として実現する能力
②問題解決のための、意見や人間関係を調整する能力
③市民に信頼される高い倫理観
このことから、職員の採用に当たっては、筆記試験と十分な人物評価を行い、
一定以上の能力・資質に加え、情熱と向上心、更に市民との協働意識を持った職
員の採用に務めています。
・・・・
イ
多様な人材確保
民間企業等の経験者採用によって、即戦力として、専門性の高い業務に対応で
きる人材の確保を行っています。
また、引き続き障がい者雇用枠の確保に努め、国籍条項の見直しの研究を進め
ます。
ウ
多様な雇用形態の創造
再任用・任期付職員及び臨時・非常勤職員任用制度の有効活用、業務のアウト
ソーシングなどを引き続き検討していきます。
エ
外部人材の活用
専門分野業務については、非常勤職員の任用等により外部人材の活用を進めま
す。
- 21 -
第4章
人材育成の方策
(2)配置管理
職場を異動することは、職員の成長にとって大きな機会です。異動によって様々
な分野の仕事を経験し、視野や知識、技術をより深いものとすることができます。
ア
職務能力の育成
特に採用後の10年程の若い世代においては、計画的な経歴管理(ジョブ・ロ
ーテション)が望まれます。
市民の目線で物事を考えることができる職員を育成するには、できるだけ早期
に直接市民と接する部署へ配置することが必要とされます。
また、職員として基本となる文書管理・予算管理などの業務を経験し、職員と
しての資質を磨く必要があります。
このことから、採用後10年ほどの期間に、分野の異なる3部署を経験し、基
礎能力の習得や自己の適正発見を行うための経歴管理を確立する必要があります。
その方法は次のような例があります。
①市民サービスに直結する仕事、内部管理的な仕事、政策的な仕事
をそれぞれ経験する。
②異なる事業分野間を異動する。
イ
専門性の確保
一定の期間経過後は職務能力を発揮する時期であり、最も適性にあった職務分
野を中心に、専門的な職務能力を高める経歴を設定していく必要があります。
一方で、地方分権と社会情勢の複雑化を反映して、事務職においても高い専門
性が要求されています。
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第4章
ウ
人材育成の方策
処遇への反映
組織が成長していくためには、職員が情熱を持って仕事を継続していくことが
必要です。
『がんばっても、がんばらなくても給料は変わらない』では、仕事に臨む姿勢
と意欲が薄れてしまうことにもつながりかねません。職員が自己啓発により能力
を向上させ、その成果を最大限に市民サービスに還元するには、能力や業績を給
与などの処遇に反映することも重要です。
しかし、仕事が多種多様に渡っている自治体職員について、公正・公平な姿勢
を保持する観点から、業績評価は、なじみにくいという面があることにも留意す
る必要があります。
この相反する問題を克服し、業績の評価や、職務行動の評価を、納得性と透明
性のある方法に確立することは、重要な課題と言えます。
(3)昇任管理
「ポストが人をつくる」と言われるように、より上位の職に昇任し、より困難
な職務を担当することは、職員にとって能力開発の重要な機会となります。
昇任した職員には、より広い視野と高度な能力が求められますが、新たな立場
で努力することによって獲得されるものが多くあります。
今後も、職員の意欲とやりがいを高める昇任管理をめざして取り組みを進めて
いきます。
具体的に次の取組を目指します。
ア
昇任制度
評価に当たっては、
①昇任の要件
②評定要素
③評定基準
を公開することにより、公平性と納得性を確保する。
イ
女性職員の登用
昇任や配置、仕事の配分などの場面において、女性の登用を進め、機会の均等
に配慮します。性別や古来の固定的な役割分担や意識にとらわれず、能力と意欲
に応じた職員配置をする必要があります。
- 23 -
第4章
人材育成の方策
また、男女ともに仕事と家庭・地域生活を両立できるよう、職場環境を整備し
ていきます。
ウ
希望降任制の実施
個々の職員の事情に応じた柔軟な任用の一環として、本人希望による役職降任
制の運用をします。
これまでも、職員が業務に対する適性、後進の育成、心身の状態などにより、
降任を希望した場合、降任が本人にとっても組織にとっても有益と判断される時
は、個別に対応してきました。
これからも、この対応を継続するとともに、職員が安心して働くことの環境づ
くりを検討します。
コラム:「遠足の日の子ども」
いつも朝寝坊で、「早く起きないと遅刻するよ」と起こされる子どもたち。
しかし、なぜか遠足がある朝は、目覚まし時計が鳴る前に起床。着替えも朝
食も済ませて、集合時間に合わせてバッチリ登校
どうしてなんでしょう?
子どもたちは、目標に向って、しっかり進んでいるからです。
私達職員には「目標管理」という言葉で表現されます。子どもたちには、
「めあて」という言葉が似合います。
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第4章
4
人材育成の方策
働きやすい職場(環境による人材育成)
職場でのコミュニケーションについて、最近は協調性が薄れ、職員間や他の部
署との連携がとりづらくなっているところがあります。なかなか気軽に相談でき
る環境や人間関係がないという声もあります。
また、部署においては、人事異動や退職により、業務知識・ノウハウの蓄積や
引継ぎがうまくいかないところもあります。
よりよい職場環境をつくることにより、組織の力が高まり、指示命令の徹底や
意見の調整が容易に図られることが期待できます。
社会の変化、住民ニーズの多様化などに的確に対応していくには、①職員個々
の能力と意欲を組織の力として最大限に発揮していくこと、②関係職場間又は職
場内でのスムーズな調整が必要です。そのためには、職場内コミュニケーション
が活発な風通しのよい職場環境が必要です。
めざす職場
(1)組織目標を共有する職場
◆重点職務と情報を共有している。
◆目標達成のために職員一丸で取り組んでいる。
(2)明るく風通しのよい職場
◆職場内・他の部署と連携し改善に取組んでいる。
◆明るく風通しのよい環境が整っている。
(3)向上心が育つ職場
◆上司が職員を育成する環境をつくっている。
◆お互いに学びあい、自己啓発に取組んでいる。
日々の業務に必要な情報やノウハウ、蓄積した知恵を一人のものとせ
ず、コミュニケーションや OJT により組織で共有化する。
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第4章
人材育成の方策
(1)健康管理(福利厚生による人材育成)
よりよい市民サービスを提供するためには、職員が心身ともに健康で働ける環
境をつくることが重要です。職場と家庭に調和が取れ、ゆとりを持つことが何よ
り大切です。
健康問題への関心の高まり等を踏まえ、職場における健康対策の在り方につい
て心身両面にわたる総合的な健康づくりを推進します。
施策は、次のとおりです。
人間ドック、定期健康診断の充実
専門スタッフ(保健師)による健
康相談の実施
健康相談の充実
ノー残業デーの徹底
年次有給休暇の取得を促進(夏季休
ノー残業協力デーの促進
暇・リフレッシュ休暇等との組合せ
退職者セミナー
の促進等を含む。)
ライフプランセミナー
(2)仕事と育児の両立支援
子育てに係る休暇・休業を取得しやすい環境の整備や育児休業中の職員が復職
する際の不安軽減の対策など、仕事と育児の両立に向けた施策を進めています。
本市では「次世代育成支援特定事業主後期行動計画」に基づき、ワークライフ
バランスの実現をめざします。
支援策の一例は、次のとおりです。
①育児休業を始めとする休暇制度を『子育て支援カレンダー』で周知
②妊娠中・育児中の職員に、通勤用駐車場を優先確保
③育児休業から復帰するとき、希望により、復職前から研修を実施
④子どもの出生時において、父親が休暇取得しやすい環境づくり
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第4章
人材育成の方策
(3)安全衛生体制の充実
職務に起因する災害や疾病の発生を未然に防止し、職務に不安なく、安心して
働ける職場環境等の整備に向け、体制の充実を促進します。
具体策は、安全衛生委員会の開催による安全体制の確認、業間体操の実施を図っ
ています。
(4)メンタルヘルス対策
近年のストレス社会を反映して、特にメンタルヘルス面での対策強化(ストレ
ス耐性)が重要になっています。職員が心身ともに健康で働ける環境をつくるた
めに、管理監督者が所属職員の健康状態の把握に努め、
「職員の変化に気付く」こ
とができるように努めます。
全国で働く地方公務員における、療養休暇の疾病別状況によると、平成20年
度における精神及び行動の障害は、全体の疾病のうちの46%を占めています。
本市においても、過去3年間における心の病による療養休暇の割合は、3割を
超える状況が継続しています。
このことは、職員本人にはもちろんのこと、組織にとっても非常に大きな損失
です。また、周囲の職員に与える影響も、極めて大きいものがあります。
このため、各種の健康づくり対策を推進します。
◆メンタルヘルスセミナーの定期的な受講
(管理者向セミナー・監督者向セミナー・一般職員セミナーの実施)
◆共済組合主催の健康づくりセミナー派遣
◆専門スタッフ(保健師)による健康相談の実施
◆職場復帰支援
長期間職務を離れていた職員が円滑に職場復帰できるよう、時差出勤等の実施
(5)相談体制の整備
健康診断結果、療養休暇明け、産前産後休暇・育児休業明け、メンタル面、長
時間労働者相談、新採用・転任者・新任管理監督職など、必要に応じて年間を通
じて定期相談を実施します。
また、業務や人事に関する悩みについて、市役所外部を相談窓口とした体制づ
くりを検討していく必要があります。
- 27 -
第4章
人材育成の方策
(6)職場風土の醸成
それぞれの職員の能力が高くても、組織全体で見ると必ずしも成果を上げてい
ないことがあります。しかし、働きやすい職場では、職員の個々の能力が活かさ
れ、組織全体として予想以上の相乗効果を生み出す場合もあります。
職員の行動や考え方は、組織の持つ慣習や風土に大きく影響を受けます。
職場におけるリーダーは、職場風土が職員に及ぼす影響を理解し、職場に望ま
しい価値観や倫理観を育てていく必要があります。
コラム:「木こりのジレンマ」
あるところに、新しい斧を手にいれた木こりがいた。
1日目、彼は新しい斧のおかげで、10本の木を切り倒すことができた。
日を追うごとに、彼はより長い時間、より懸命に仕事に精を出すようになった。
ところが、切り倒す木の数は日増しに少なくなっていった。
それを見た仲間が彼にアドバイスした。
「なぜ斧の刃を研がないんだ。斧の刃がボロボロになっていては、木をなかなか
切り倒せないのは当たり前じゃないか」
すると、働き者の木こりは、こう答えた。
「オレには、そんなことをしている暇はないんだ。もっと多くの木を切り倒さな
ければならないんだから」
※刃を研ぐ時間を省略して、生産を上げようとしましたが、逆の結果になってし
まいました。毎日の忙しさの中にも仕事を客観的に振り返り、研修することが大
切ですね。
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平成14年12月
初版
平成23年
改訂
3月
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