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【第10回】 主要な通貨制度の現状と今後 (1)外国為替制度の分類(IMF

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【第10回】 主要な通貨制度の現状と今後 (1)外国為替制度の分類(IMF
【第 10回 】 主 要 な通 貨 制度 の現 状 と今後
(1)外 国 為 替 制 度 の分 類 (IMFによる分 類 ) ・・・ペグ(Peg)=釘 で固 定 すること。
フリーフロート
-------ソフトペグ ----------ハードペグ
管理フロート
ドル(ユーロ)ペグ
金本位制
バ ス ケ ッ ト ・ペ グ
カレンシーボード制
通貨同盟
為 替 相 場 の自 由 な変 動 を放 置
⇔ 為 替 相場 の変動 を管 理
⇔
為 替 相 場 を強 制 的に固 定
(1)ハードペグ(固 定 相場 制 )
(どんな制 度 か)
・為 替 相 場 を一定 の水 準 に固 定 し、すべての外 貨 取引 に一 律に適 用 する制 度 。
・貿 易 取 引 以外 の外 貨取 引 は原 則 として厳 しく制 限 される。
・体 重 別 柔 道 競 技 型 。目 標 は自 分 の体 重 の級 で(=上 級 者 と闘 うことなく)、練 習 を頑 張 って結 果 を
出 すこと(=経 済 発展 )。
(具 体 的 な仕 組 み)
・金 本 位 制 :通 貨 1単 位 を一定 量 の金 とペグさせ、兌換 を保 証 する。
・金 為 替 本 位制 :金 と交 換 される為 替 証 書 との兌 換 を保 証 する。
・ドル本 位 制 :ドルとの交 換 を保 証 する。(ブレトンウッズ体 制 =ドル自 体 を一 定 量 の金 と兌換 保 証 )
・カレンシーボ-ド制 :通 貨 1単 位 を一定 額 の外 貨 とペグさせ、交 換 を保 証 する。(香 港 )
どの制 度 にも国 内 の流 動 性 (出 回 っているお金 の量 )を外 貨 準 備 とリンクさせる事 による景 気 の自 動
調 節 機 能 が組 み込 まれており、景 気 変 動 に対 して自 動 的 に金 融 の引 締 め又 は緩 和 が行 われる為 、
実 体 経 済 (国民 生 活 )に傷 みはあるが均 衡 は回 復 する。
例 えば:国 内 景 気 が過熱 ⇒輸 入 が増 加 ⇒貿 易収 支が悪 化 ⇒外 貨 準 備 が減 少 ⇒自動 的 に国内 流 動
性 が圧 縮 され、金 利 が上 昇 (自 動 的 金 融 引 締 め)⇒内 需 が抑 制 されて輸 入 が減 少 ⇒貿 易 収 支 が改
善 ⇒外 貨 準備 が復 活 。(国 内景 気 が不 振 の場 合 は逆)
(問 題 点 )
・通 貨 ・外 貨 準 備 は安 定 するが、その代 わりにインフレ率 ・失 業 率 などの変 動 が大 きくなり(例 :香 港
の不 動 産 価格 )、実 体 経 済 や国 民 生活 が損 傷 して政情 不 安 に至 る危 険 がある。
・国 内 通 貨 量 が外 貨 準備 に制約 され、内 需 型 経済 成長 に必 要 な通 貨 量 が十分 確 保 できなくなる。
(戦 後 の日 本 経済 は、実 質 的 なカレンシーボード制 (=国 際 収 支 の天井 )の下 、輸 出 主導 で成 長 )
・国 際 基 軸 通貨 国 の場合 、通 貨 供給 量 と外 貨準 備 とのリンクを守 れなくなる。
(米 国 の貿 易 収 支 赤 字 拡 大 →ドル流 出 (タレ流 し)→金 流 出 →ドルの信 認 失 墜 →ブレトンウッズ体 制
(=固 定 相 場 制 )が崩 壊 )
(2)ソフトペグ(管 理 された変 動 相場 制 )
(どんな制 度 か)
・経 済 政 策 ・金 融政 策 によって外 国為 替 相場 が過 度に変 動 しないようにコントロールする。
・体 重 別 柔 道 競 技 型 だが、選 手 の体 力 ・筋 力 がついて強 くなる(=経 済 発 展 )ほど、厳 格 な体 重 の管
理 (市 場 介 入 などの金融 政 策 )や出 場級 の変 更 (経済 ・産 業 政 策 )が必要 になる。
(具 体 的 な仕 組 み)
・ドル(ユーロ)・ペグ:中 央 銀 行 が自 由 な外 国 為 替 取 引 を制 限 し、また市 場 への介 入 を実 施 して、自
国 通 貨 のドル・ユーロなどの国 際 通貨 に対 する変 動 を一 定 の範 囲 に収 める。(ほとんどの新 興 国 )
・バスケット・ペグ:自 国 通 貨 を、主 要 な貿 易 相 手 国 の貿 易 に応 じた比 率 などに基 づいて算 定 した通
貨 バスケットに連 動 させる。バスケットの構 成 は通 常 公 表 されず、市 場 介 入 が併 用 される(中 国 。)
なお代 表 的 な通 貨 バスケットはIMFが策 定 しているSDR。
・通 貨 同 盟 :関 係 の深 い複 数 の国 の中 央 銀 行 が協 調 して外 国 為 替 市 場 に介 入 し、相 互 間 の為 替 相
場 の変 動 を一 定 の目 標 値 の範 囲 内 に収 める。(ユーロの前 身 であったEMS、ECU)
(問 題 点 )
・市 場 介 入 の規 模 が外 貨 準 備 額 に制 約 され、外 貨 準 備 が不 足 すると経 済 危 機 となる。(1987-8年
のアジア通 貨 危 機 )
・自 国 が資 本 取 引 を制 限 していても、主 要 先 進 国 のフリーフロート通 貨 が資 本 取 引 の影 響 で大 きく変
動 すると、自 国 の輸 出 競争 力 に大 きな影 響 が及 ぶ。(2008年 の韓 国 など)
(3)フリーフロート(自 由 変 動 相 場制 )
(どんな制 度 か)
・原 則 として外 貨 (資 本 )取 引 規 制 や市 場 介 入 を行 なわず、為 替 相 場 の変 動 を市 場 の需 要 と供 給 の
バランスに委 ねる。(ドル、ユーロ、円 )
・柔 道 無 差 別級 。ハンディキャップは一 切 無 く、実 力 (経 済 力 )のみで勝 負 する。
(具 体 的 な仕 組 み)
国 の経 済 力 が低 下 するとその国 の通 貨 に対 する需 要 が減 少 し、通 貨 価 値 が下 落 するから輸 出 が増
加 し、経 済 力 が回 復 する。
(問 題 点 )
・外 国 為 替 相 場 が激 しく変 動 し、予 測 も容 易 ではないため、各 国 の産 業 や経 済 ・国 民 生 活 への影 響
が大 きい。経 済 が成熟 し、強 い国 際競 争 力 を有 する先 進 工 業国 に適 した制度 。
【論 点 】通貨 の混 乱 がもたらす経 済 危機 を予 防 できる通 貨 制 度 とは?(2つの考 え方 )
・経 済 政 策 が不要 な制 度 (ハードペグまたはフリーフロート)により経 済 は自 動 的に均 衡 する
(2コーナー・ソリューション、米 国 の考 え方 )
・各 国 ごとの経 済 発 展段 階 に応 じた取 引 制限 、適 切な経 済 政 策 と市場 介 入 で対応 (欧 州 の考 え方 )
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