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医療事故防止対策マニュアル 2003年5月版 長崎大学医学部附属病院

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医療事故防止対策マニュアル 2003年5月版 長崎大学医学部附属病院
医療事故防止対策マニュアル
2003年5月版
長崎大学医学部附属病院
安全な医療を提供するために
1
【医療事故防止に関する基本指針】
2
1.本院の安全管理・報告体制
…………………………………………………………2
2.医療事故防止委員会
3.安全管理部
…………………………………………………………………3
……………………………………………………………………………3
4.ゼネラルリスクマネージャー(GRM)
5.リスクマネージャー(RM)
…………………………………………………………3
6.医療事故防止対策マニュアルの作成
7.臨床主任会議,医局長会議
8.職員の研修,教育
……………………………………………3
………………………………………………4
…………………………………………………………4
……………………………………………………………………4
【リスクマネージメント】
5
1.リスクマネージメントとは
…………………………………………………………5
2.リスクマネージャーの配置
…………………………………………………………5
3.リスクマネージャー会議
……………………………………………………………6
【インフォームドコンセント】
7
1.インフォームドコンセントの概念
…………………………………………………7
2.インフォームドコンセントの実施
…………………………………………………7
3.説明書及び承諾書
……………………………………………………………………7
【一般的事項】
11
1.主治医の役割と責任
……………………………………………………………………11
2.看護師の役割と責任
……………………………………………………………………11
3.医薬品添付文書内容の遵守
……………………………………………………………11
4.診療録への明確な記載
…………………………………………………………………11
5.主治医の指示のあり方
…………………………………………………………………11
6.電話相談と医師の責任
…………………………………………………………………14
7.患者や患者家族からの投書
8.宗教と医療行為との関係
9.診療録の開示
……………………………………………………………14
………………………………………………………………14
……………………………………………………………………………14
10.医療の安全管理に関する教育・研修
………………………………………………14
11.インシデントの報告体制
………………………………………………………………15
12.医療事故発生時の対応
………………………………………………………………19
【必須事項】
1.輸血
2.注射・点滴
3.投薬
24
………………………………………………………………………………………24
………………………………………………………………………………33
………………………………………………………………………………………35
− Ⅰ −
4.検査関連
…………………………………………………………………………………39
5.診療録・フィルム関係
6.感染
…………………………………………………………………41
………………………………………………………………………………………42
7.医療機器
…………………………………………………………………………………43
8.外来関係
…………………………………………………………………………………43
9.病棟・中央診療部門
……………………………………………………………………44
10.栄養・患者食関係
………………………………………………………………………45
11.ハートコールシステム
…………………………………………………………………45
内科系
47
【第一内科】
………………………………………………………………………………47
【第二内科】
……………………………………………………………………………53
【循環器科(第三内科)】
………………………………………………………………65
【原研内科】
………………………………………………………………………………69
【熱研内科】
………………………………………………………………………………73
【小児科】
………………………………………………………………………………78
【精神科神経科】
【放射線科】
…………………………………………………………………………95
………………………………………………………………………………97
外科系
100
【第一外科】
……………………………………………………………………………100
【第二外科】
……………………………………………………………………………105
【整形外科】
……………………………………………………………………………116
【皮膚科】
………………………………………………………………………………123
【泌尿器科】
【眼科】
……………………………………………………………………………126
…………………………………………………………………………………130
【耳鼻咽喉科】
…………………………………………………………………………135
【産科婦人科】
…………………………………………………………………………138
【麻酔科】
【脳神経外科】
【形成外科】
………………………………………………………………………………142
…………………………………………………………………………149
……………………………………………………………………………152
【心臓血管外科】
………………………………………………………………………157
中央診療部及び中央施設
162
【検査部】
………………………………………………………………………………162
【手術部】
………………………………………………………………………………171
【放射線部】
【救急部】
【総合診療部】
【材料部】
……………………………………………………………………………192
………………………………………………………………………………197
…………………………………………………………………………199
………………………………………………………………………………201
− Ⅱ −
【輸血部】
………………………………………………………………………………204
【腎疾患治療部】
………………………………………………………………………208
【集中治療部】
【分娩部】
…………………………………………………………………………211
………………………………………………………………………………214
【理学療法部】
【病理部】
…………………………………………………………………………216
………………………………………………………………………………217
【光学医療診療部】
……………………………………………………………………219
【代謝疾患治療部】
……………………………………………………………………222
【薬剤部】
………………………………………………………………………………225
【治験管理センター】
【医療情報部】
【看護部】
…………………………………………………………………232
…………………………………………………………………………238
………………………………………………………………………………240
【資料】
251
− Ⅲ −
安 全 な 医 療 を 提 供 す る た め に
病院長
澄川耕二
良い医療を提供することは私達の使命であり願いである。そして今日の良い医療とは「患
者の求める医療サービスを効率的・効果的に提供し,その過程と結果のすべてにおいて患
者の安全と満足を得る」ことである。
本院は大学病院としての役割を担っており,高度医療を実践することが求められている。
そして同時に社会の信頼に応え得る安全な医療を提供することが必要である。すなわち本
院の医療における高度性と安全性は,いずれも欠くことのできない車の両輪であり,確か
なシステムとして構築されなくてはならない。
医療事故防止に必要な 3 つのポイントは,①組織としての取り組み,②医療事故関連情
報の共有化,③医療人の教育研修,である。このマニュアルはこれら 3 つのポイントを実
践し強化するために決定的な役割を果たすものである。これを構成する基本的な考え方は,
「ヒューマンエラーは起こる」という前提に基づき,エラーを誘発しにくい環境(エラー
レジスタント)と,起こったエラーが事故に発展しないシステム(エラートレラント)を
整備していくことである。そして,そのシステム的アプローチの基本設計は「多重防護」
の構造を持つことが大切である。
このマニュアルの内容は本院におけるすべての医療人が遵守すべきものであり,常に活
用していただきたい。さらに医療の発展に見合った安全管理体制を構築していくために,
このマニュアルが間断なく進化していくことを願うものである。
-1-
【医療事故防止に関する基本指針】
医療事故等の報告がマスコミ等で報道され,組織として事故防止,安全管理に対する取
り組みの重要性が叫ばれている。実際に,各医療機関においてもそれらの取り組みを組織
的に展開しつつあるが,依然として事故防止の報告は後を絶たない状況である。医療事故
等はあってはならない事ではあるが,これらの報告を公開し医療従事者にとっての共有の
ものとする事は,医療事故防止対策上大切な事である。医療事故等の発生原因には医療従
事者個人レベルのものから,病院組織レベルのもの,更には医療関係企業や行政にまで及
ぶものなどがある。
本院の基本理念の一つである「人間性を重視した患者本位の医療を実践する。」を全う
させるためには,病院長を中心に全職員包括した病院全体としての医療事故防止対策シス
テムの充実をはかり,患者が安心して受診できる医療の確立を目指す。
1.本院の安全管理・報告体制
本院の安全管理体制は,病院長のもと,安全管理に対する様々な施策の決定機関である
医療事故防止委員会,医療安全対策の分析・計画・実施・評価を行う安全管理部,現場に
直結した情報交換と検証を行うリスクマネージャー会議からなっている。
本 院 の 安 全 管 理 体 制
病 院 長
医 療 事 故 防 止 委 員 会
方 針 指 示
報 告
安 全 管 理 部
具 体 的 指 示
報 告
リス クマ ネ ー ジ ャー 会 議
報 告
実 践
す べ て の 医 療 従 事 者
-2-
2.医療事故防止委員会
病院長を委員長とした基幹委員会で,院内における医療事故等の情報収集,医療事故防
止のための具体的対策の検討及び推進,医療事故防止のための教育及び研修等の決定を行
う。定例会議は月1回とし,必要に応じて随時開催するものとする。
3.安全管理部
医療事故防止委員会直轄の部会である。従前の専門部会に替わる組織として,安全管理
部が平成13年度後期より設置された。安全管理部は前ページの図に示すように,医療事
故防止委員会とリスクマネージャー会議の中間に位置し,医療事故防止委員会で決定され
た方針を具体化し,実行推進を図る組織である。安全管理部がリスクマネージャーにその
旨を指示し,周知徹底を図らせるものである。安全管理部自らが具体案の実行を行うこと
もある。安全管理部会(定例会議)は月1回とし,必要に応じて随時開催するものとする。
安全管理部の主な業務としては以下のような内容がある。
(1)医療事故防止委員会の運営支援
医療事故防止委員会が有効に機能するため,具体的な提案事項等を検討作成する。
また,医療事故防止委員会で決定された方針を具体的事項として作成する。
(2)インシデントレポートの分析
インシデントレポートの収集,データベースとしての蓄積,分析を行い,医療事故防
止委員会へ報告を行う。
(3)リスクマネージャーとの連絡調整
リスクマネージャーとの窓口組織として,インシデントレポートの分析結果を,適切
に現場のリスクマネージャーに伝達周知を行う。また,リスクマネージャーからの要
望や改善提案の窓口としての役割も担う。
(4)安全管理に関する教育・研修
安全管理に関する教育・研修事業の企画・運営を行う。また,医療安全推進週間の企
画立案・運営を行う。
(5)安全管理に関する情報の収集
安全管理に関する,内外の情報を収集し,必要に応じて院内への啓蒙活動に利用する。
4.ゼネラルリスクマネージャー(GRM)
平成14年度より,長崎大学医学部附属病院に安全管理の専門職として,専任のゼネラ
ルリスクマネージャーが配置された。GRM は安全管理部に所属し,業務の遂行とともに,
病院全体の安全管理に関する監視役としての役割を担う。また全国の国立大学病院の GRM
と連携をとり,全国規模での情報収集と活動の窓口でもある。
5.リスクマネージャー(RM)
-3-
定期的に院内を巡回し,職員からの情報聴取,職員に対する指導・助言を行う。所掌業
務及び医療機器等の安全点検,施設・設備等の点検を行い,問題点がある場合には速やか
に是正処置を講じるべく指導する。職員が職種,職位を超えて医療事故の防止に関して,
些細な事でも自由に発言できる事が大切であり,そのためにも日頃からお互いが良いコミ
ュニケーションを持つように各自の自覚を促す。定例的なリスクマネージャー会議を持つ
と同時に,医療事故防止委員会,安全管理部との密接な連携を保ち,事故防止に努める。
6.医療事故防止対策マニュアルの作成
医療事故防止対策を一般的事項,必須事項,各診療部門毎に解説し,更に,医療事故発
生時の対応,連絡体制,報告書作成などについての指導書を作成していたが,今回内容を
刷新し,改定を行った。内容の改訂が今後も継続的にありうるとの認識から,最新情報を
ホームページ上に掲載し,さらにその内容を紙に印刷できるようにした。なお,今後の微
細な改訂については,各部署で改訂部分をホームページから印刷し,バインダーへの差し
替えを行うことで最新版のマニュアルとする。
7.臨床主任会議,医局長会議
月1回のこれらの定例会議において医療事故防止委員会の報告として,安全管理部およ
びリスクマネージャー会議からの連絡事項を周知させる。
8.職員の研修,教育
職種別,部署別に医療事故防止対策に対しての検討或いは研修会を随時行う。また全職
員を対象とした研修会を年2∼4回,医療安全推進週間の実施を年2回行い,医療事故防
止に対する意識の高揚を図る。
-4-
【 リ ス ク マ ネ ー ジ メ ン ト 】
1.リスクマネージメントとは
リスクマネージメントとは,医療事故を未然に防止するために各部門レベルの体制を
整備するとともに病院全体として組織的な体制を構築し,リスクの把握,分析,対処及び
評価を継続的に行うことである。インシデントの報告に基づいて原因の分析を行い,事故
発生の防止策と対応策を講じるとともに,リスクマネージメントに関する教育や啓蒙を行
い,職員がインシデントレポートを安心して提出できるような環境をつくることが必要で
ある。安全文化の風土つくりが大切である。
リスクマネージメントでは,「人間はエラーを起こす」ということを前提として,その
エラーが事故へつながらないようにマネジメントをする。
2.リスクマネージャーの配置
(1)ゼネラルリスクマネージャーの配置
病院全体の安全管理を組織的に行うため中心的な役割を担うゼネラルリスクマネー
ジャーを置く。
ゼネラルリスクマネージャーは,その職種部門だけでなく,病院全体の事故防止,
安全管理にあたり,次の業務を行う。
1)インシデントレポートの集計と分析及び現場への必要な情報の周知に関すること。
2)各リスクマネージャー及び各部門・各職種間との連絡調整に関すること。
3)各部門・各職種に対する問題解決への支援に関すること。
4)病棟巡回による安全点検と指導・助言に関すること。
5)院内相互チェックの企画に関すること。
6)安全管理に関する教育・研修に関すること。
7)安全推進事業に関すること。
8)月1回のリスクマネージャー会議,安全管理部会,医療事故防止委員会への参画し,
安全管理に関する改善措置の提案に関すること。
(2)リスクマネージャーの配置
各部門に,医療現場での事故防止や安全問題について中心的な役割を担うリスクマ
ネージャーを置く。
リスクマネージャーの任務は,当該部署の安全管理にあたり,次の業務を行う。
1)定期的に当該部署を巡回し,安全確保のための点検を行うこと。
2)当該部署の構成員に対し,安全確保のための指導・助言を行うこと。
3)常に所掌業務及び医療機器等の安全点検を行い,問題点がある場合には,速やかに
是正措置を講ずること。
4)医療事故等が発生した場合には,医療事故防止委員会,安全管理部と密接な連携を
図り,原因を分析して対応策を講じ,医療事故等の防止に努めること。
-5-
5)質の高い患者ケアを行うために,患者の意見等を充分聴取し,医療従事者と患者と
の良好なコミュニケーションの形成に努め,患者の療養環境の向上を図ること。
6)新人医師,非常勤医師,新入看護師及びその他の新人医療従事者に対する安全管理
教育を行うこと。
7)中央検査部よりパニック値に関する連絡を受けた場合は,可及的速やかに主治医に
連絡すること。
8)各部門の安全点検を「医療事故防止マニュアル」に沿って定期的に実施し,点検結
果を項目毎にまとめ安全管理部へ提出すること。
9)各部門での安全教育に関して3ケ月に1回,安全管理部へ報告すること。
10)月1回のリスクマネージャー会議へ参画し,事故防止及び安全対策に関する事項を
所属職員へ周知徹底すること。
11)その他,医療事故防止等に関する業務を行うこと。
3.リスクマネージャー会議
議長を中心として各部門のリスクマネージャーが集まり,インシデントレポートの分析
の報告及び安全管理に関する事項の報告の場である。
1)インシデントレポートの情報を定期的に(月1回)収集・分析の上,改善策等の検
討を行い,その対応策等を診療現場に迅速に徹底させる。
2)各部門のリスクマネージャーと連携を図り,事故防止の取り組みについて,情報交
換や連絡調整を行う。
-6-
【 イ ン フ ォ ー ム ド コ ン セ ン ト 】
1.インフォームドコンセントの概念
インフォームドコンセント(説明と同意)は,医師が患者に充分に情報を提供したうえ
で患者から同意を得る事であり,個人の尊厳ならびに決定権を尊重することである。医師
の患者に対する義務とされている。承諾を得ないでなされた医療行為は原則として違法な
医療行為となる。
2.インフォームドコンセントの実施
インフォームドコンセント(説明と同意)の実施は,患者との良好なコミュニケーショ
ンのもとに主治医が患者に対して充分な説明(情報の開示)を行い,患者から自発的に意
志を決定した同意を得ることである。
(1)主治医の説明
主治医は現在の病状および診断名,治療行為の具体的内容と採用する理由,治療
行為に伴う危険性の程度,治療を行った場合の期待できる効果,治療を行わなかっ
た場合の予後,代替的治療法がある場合はその内容および利害損失などについて患
者が理解できる言葉で分かりやすく説明する。この際患者や家族に質問の機会を与
えながら充分時間をかけて行う。 また,複数の診療科で医療を行う場合は,医師
および診療科が合同で一貫性を保った情報提供を行う。
(2)患者の同意
主治医が行おうとしている医療行為について,患者本人が理解するとともに納得
して承諾することである。
(3)患者が意志決定できない場合
主治医は患者が未成年であったり,或いは心身障害のために判断能力がない場合
や署名不能の場合は,患者に代わって最も適切な最近親者(配偶者,父母,同居の
子供など)又は後見人や扶養義務者に説明を行い承諾を得る。
(4)先進医療,高度医療を行う場合
一般的でない医療,或いは充分な治療成績が得られていない医療を行う場合には,
インフォームドコンセントを遵守し,ヘルシンキ宣言の倫理規定から逸脱すること
なく,倫理委員会に諮り承認を得る。
3.説明書及び承諾書
手術,麻酔,検査,処置,治療法(院内製剤も含む)などの身体に侵襲を与える行為を
行う場合は,説明書及び承諾書(別紙 : 例)を必ず作成し,診療録に添付する。
説明内容は下記の項目が必要である。
(1)現在の診断名,重症度,原因
(2)予定している手術,麻酔,検査,処置,治療法の名称と方法
(3)上記により期待される効果と限界
-7-
(4)予測される合併症と危険性
(5)予測できない偶発症の可能性とそれに対する対応策
(6)実施しない場合に予測される症状の推移と可能な他の治療法
(7)説明方法
(8)同席者
-8-
説明書・承諾書の例
説明書
私は,患者
り説明しました。
I
様の(手術,麻酔,検査,処置,治療法)について,次の通
現在の診断名,重症度,原因
1
2
3
4
II
予定している手術,麻酔,検査,処置,治療法などの名称と方法
1
2
3
4
III
上記に伴い期待される効果と限界
1
2
3
4
IV
予測される合併症と危険性
1
2
3
4
V
予測できない偶発症の可能性とその対応策
VI
受けない場合に予測される症状の推移と可能な他の治療法
1
2
3
4
VII 説明方法
(口頭,診療録,画像,図,模型,その他)
VIII 同席者
・患者側氏名:
・病院側氏名:
平成
長崎大学医学部附属病院
科(部)
科(部)
-9-
主治医(署名)
医師(署名)
年
月
日
印
印
承諾書
私は,現在の病状及び(手術,麻酔,検査,処置,治療法)の必要性とその内容,これに伴う
危険性について十分な説明を受け,理解しましたので,その実施を承諾します。なお,実施中
に緊急の処置を行う必要が生じた場合には,適宜処置されることについても承諾します。
長崎大学医学部附属病院長
殿
平成
患者
同意者
年
月
住所
氏名(署名)
日
印
住所
氏名(署名)
(患者との続柄
印
)
注1
(手術・麻酔・検査・処置・治療法)の該当項目に○印を付けてください。
注 2
患者が未成年の場合など,承諾能力がない場合,若しくは心身障害のため署名不能
の場合は後見人(配偶者,親権を伴うものまたは扶養義務者)が署名,押印する。
- 10 -
【 一 般 的 事 項 】
1.主治医の役割と責任
(1)主治医は担当患者に行われる医療行為すべての責任者である。看護職員やその他の
スタッフが実施した医療行為についても同様である。従って,最終的な責任を負う
心構えが求められる。主治医がグループ制をとっている場合でも患者ごとの主治医
(責任者)は 1 名とする。
(2)主治医は患者の人格を尊重し,お互いにコミニュケーションを充分に図ることが大
切である。このことは,患者より信頼感を得ることができ,更にその姿勢が患者の
誤解や誤認を防止できる。
(3)医療事故防止のためには日頃より医療スタッフ間の良好な人間関係を築き,マニュ
アルに従ったチェック事項を共同で確認する。
(4)主治医が看護職員などに指示を出す際は,口頭指示を避け筆記(読める字)などで
正確に伝える。また,相手に復唱をさせる。
(5)万一,医療事故が起きた場合には,患者や家族に対して充分な説明を行い,医療上
の適切な対処及び患者と家族への精神的な支援を行う。
2.看護師の役割と責任
(1)看護師の基本的責任は,人々の健康増進,疾病の予防,健康の回復,苦痛の軽減で
ある。(看護婦の倫理規定:日本看護協会1988年)
(2)患者の「安全,安楽」を保証し,常に質の高い看護を提供できるよう個人の責任に
おいて継続的な学習に努める。
(3)患者,家族を中心にして,医療チームメンバーの相互の情報交換,カンファレンス
を行い,信頼関係を深める。
(4)科学的根拠に基づいた正確な知識,技術で適切な判断により看護行為を展開する。
3.医薬品添付文書内容の遵守
(1)医薬品を処方又は投薬する際には,必ず添付文書の内容を参照の上,使用方法に留
意する。(添付文書の内容は,処方入力の際にコンピュータ画面上で確認できる)
(2)副作用に留意し,患者に対して一般的注意やその他注意すべき点は必ず伝達する。
4.診療録への明確な記載
(1)診療内容(入院時所見,治療経過,検査結果,手術記録など)を明確に記載する。
(2)読みやすい文字で,誰でも理解できるように記載する。
(3)内容は客観的に記載する。
(4)日付(場合によって時間,分についても)は明確に整合性をもって記載する。
5.主治医の指示のあり方
(1)口頭指示は原則として禁止する(口頭指示禁止マニュアル参照)。
- 11 -
(2)口頭指示を行った場合は速やかに指示表へ記載する。
(3)読みやすい文字で書く。
(4)誰にでも理解できる内容で書く。
(5)類似名の薬剤の指示に注意する。
(6)薬剤の単位,濃度,投与方法について明確な指示を出す。
(7)指示を出した際,判読可能な指示であるかもう一度確認する。
- 12 -
資料 口頭指示禁止マニュアル
平成15年2月10日
安全管理部
口頭オーダーは原則禁止
止むを得ない場合のみ以下の手順で行う。
1.医師は患者名をフルネームで伝え,看護師は復唱し確認する。
2.医師から指示された内容を看護師はメモ用紙に書き取る。
(患者氏名・薬品名・量・時間・医師名など)
指示の内容に疑問がある場合は再確認する。
受けた後に確認のため,医師と看護師はもう一度指示内容を復
唱する。
※
薬の量についてはmg,ml,ccなど単位まで
正確に指示をする。
3.指示通りの処置を正確に実施する。
4.指示を出した医師名,受けた看護師名を記録に残し,口頭オー
ダーと明記する。
5.医師はできるだけ早急に指示表に記入する。
- 13 -
6.電話相談と医師の責任
(1)電話による医療行為は可能な限り避ける。避けられない場合,特に夜間は慎重な対
応が必要である。
(2)なるべく医師の診察を受けるように指導する。
(3)電話の対応は記録(可能な限り診療録)として残しておく。
7.患者や患者家族からの投書
(1)医事課で受理し,病院長に報告する。
(2)投書の内容により関係診療科等にも報告し,対応を検討する。
(3)改善策を患者や患者家族へ提示する。
8.宗教と医療行為との関係
宗教上の理由で下記の医療行為に対して拒否を表明する場合があるので,事前に充分患
者及びその家族と話し合いを持ち,その内容を診療録に記載する。
(1)輸血,血液製剤,ワクチンの使用
(2)アルコール,麻薬,鎮痛薬の使用
(3)延命行為
(4)解剖及び検死
(5)臓器提供と移植
(6)妊娠中絶
(7)宗教上禁止されている食物の摂取
9.診療録の開示
医療提供者と患者とが診療情報を共有することにより,診療についての協動作業が可能
となる。と同時に両者の良好な関係を築くことができる。本院では,より質の高い開かれ
た医療を目指すことを目的として,患者を原則とした診療録の開示を行う体制をとってい
る。
(1)診療録は患者がわかるように明確に記載する。
(2)患者がわかるようにカルテ内容を充分に説明する。
10.医療の安全管理に関する教育・研修
各部署で定期的に話し合いを持ち,医療の安全管理に関する点検事項を確認する。
(1)新任者に対しては安全管理の基本的考え方に対する研修を行う。
(2)他施設の医療事故に関する情報や報道記事はタイムリーに情報を掲示し,事故防止
に役立てる。
(3)医療事故発生時は事故発生時の連絡体制(別紙)に基づいて,直ちに報告するよう
徹底させる。
- 14 -
11.インシデントの報告体制
職員が医療安全に関わる様々な事象と出会った場合は,医療事故の防止対策を立案する
ため,また医療事故に迅速に対応するために,インシデントレポートの提出を行う。
用語の定義
インシデント
・報告のあったすべての事象を「インシデント」とする。
医療事故
・インシデントのうち,(1)「医療側に過失があり」,(2)「患者さまに一定程度以上
の傷害があり」,(3)「(1)と(2)に因果関係がある」ものを「医療事故」とする。
・「一定程度以上の傷害」は,別紙の 3b 以上とする。
・アクシデント,医療過誤も同義(医療事故)とする。
- 15 -
インシデントレポートで報告する範囲
対
象
対
象
外
(1)患者様に障害が発生した事態(ただし, (1)院内感染
右欄に掲げるものを除く)
(2)食中毒
( 2)患者様に障害が発生する可能性があっ (3)職員の針刺し
た事態
(4)暴行傷害(事件),窃盗,盗難(事件)
( 3)患者様やご家族からの苦情(医療行為 ( 5)患者様やご家族からの苦情(医療行為
に関わるもの)
に関わらないもの)
※上記(1)(2)に含まれるもの
※上記については,別途報告システムが整
・医療用具(医療材料や医療機器)の不
備されている(整備する)。
具合
・転倒,転落
・自殺,自殺企図
・無断離院
・予期しない合併症
・発見,対処(処置)の遅れ
・自己管理薬の服薬ミス
・患者様の針刺し
※
など
当院においては対象外のレポートの中で,
(1)合併症や副作用について事前の説明により患者様が納得している場合
しかし,患者様の納得が十分なものでなくてはないこと。
(2)職員の針刺し
今後の職員教育または安全な医療器具の検討に関与すること。
以上の理由から,できるだけ報告書を提出することが望ましい。
当院でレポートを提出すべき事象は,A,B,C,D,E,F,G1,G2,G3,X の 10 種類(表)に分類
し,それに対応した患者への影響レベル(表)で区分する。
- 16 -
本院の事象分類
区分記号
内容
A
エラーがあると思われる医療事故
B
エラーがあると思われるが害が及ばなかった事例
C
エラーがあると思われるが未然に防ぐことができた事例
D
エラーがないと思われる偶発症・副作用等
E
エラーがないと思われ害が及ばなかった事例
F
エラーがないと思われ未然に防ぐことができた事例
G1
転倒・転落
G2
自己穿刺
G3
その他
X
院外組織に起因する事例
患者に害が及んだものは A,D
文部科学省の影響レベル分類
影響レベル 傷害の継続性
傷害の程度
説明
0
エラーや不具合が患者に及ばなかった
1
なし
実害なし
影響を及ぼした可能性はあるが実害はない
2
一過性
軽度
バイタルサインの軽度変化程度で,観察や
検査を行ったが処置や治療は行わなかった
3a
一過性
中等度
簡単な処置や治療を要した。
(消毒,湿布,縫合,投薬)
3b
一過性
高度
濃厚な処置や治療を要した(人工呼吸器,
手術,外来からの入院,入院延長,骨折)
4a
永続的
軽度∼中等度
有意でない障害や後遺症が残った
4b
永続的
中等度∼高度
有意な障害や美容上の問題を伴う
5
死亡
死亡
死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)
- 17 -
本院の分類と影響レベルの対応表
本院の分類
文部科学省影響レベル
エラーあり
エラー無し
C
F
0
1
B
E,G1
2
3a
3b
A
D
4a
4b
5
レポートは,各部署のリスクマネージャーが,病院情報システム端末のオンライン報告
システムに入力し,安全管理部へ送信する(表)。A 区分の場合は,当事者がリスクマネ
ージャーとともにシステムに入力するとともに,印刷して診療科長や部長と連名で署名・
捺印して医事課医事係を通じて病院長へ速やかに提出する(表)。
安全管理部は提出されるレポートのチェックを毎日行い,データを一定期間保管する。
このデータは,厚生労働省のインシデント収集事業に送られる。
- 18 -
12.医療事故発生時の対応
(1)初動体制
1)医療事故(A 区分)が発生した場合は,直ちに診療科長・部長および病院長に報告
する。
2)D 区分については安全管理部で審議し,A と同様の取り扱いとした場合は報告体制
に従う。
3)病院長は必要に応じて医療事故対策委員会を招集する。
(2)患者や家族等への対応
1)医療上の最善の措置:現場の医療従事者は上司に連絡を取るとともに,速やかに医
療上の適切な処置を講ずる。また,他の専門領域の診療科等が必要と思われるとき
は躊躇することなく応援を依頼する。
2)患者,家族等への説明:窓口を一本化し,主治医及び診療科(部)長は誠意をもっ
て事実経過について説明する。また,病院側の過誤が重大で且つ明白なものであれ
ば,責任者が率直に謝罪を行う。
3)主治医は診療録に説明者の名前,時刻,内容,説明を受けた人の名前及び患者との
続柄,患者側の質間の内容などを記録する。
4)万一患者が死亡した場合は病理解剖を勧め,医療事故対策委員会は司法解剖の必要
性を検討する。
(3)事実経過の記録
当事者および同部署のリスクマネージャーは,事故の原因究明に役立つような物品の保
全に努めるとともに,事実経過を診療録に詳細に記録する。
(4)関係省庁等への報告
外部へ報告すべき事例は,A 区分および,D 区分と警鐘事例のうち医療事故対策委員会
が必要と判断したものである。
A 文部科学省
病院長は ,「医療過誤と認められる事故又は訴訟提起の可能性があると認められ
る事例」が発生した場合は,電話による口頭連絡と共に,昭和53年9月25日付
文大医第286号文部省大学局長通知「医療事故に係わる訴訟事件等について」に
より文部科学省へ報告する。
B 長崎県
病院長は,文部科学省への報告・届け出が必要な場合には,長崎県福祉保健部へ
も併せて報告する。厚生労働省へは県から報告される。
- 19 -
C 警察署
病院長は,医師法第21条による異状死体についての届出の義務,並びに医療事
故の原因が医療行為において刑事責任を問われる可能性があると判断される場合,
すなわち,医療水準から見て著しい誤診や初歩的なミスが存在する場合は所轄警察
署に届出るものとする。
(参考)
・医師法第 21 条
「医師は,死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めるとき
は,二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」
・刑法第 221 条
「業務上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,五年以下の懲役若し
くは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させ
た者も,同様とする」
D 大学関係
病院長は,文部科学省・警察署等へ報告・届出が必要な場合,医学部長及び学長
へ報告する。
E 報道機関への対応
社会に対する説明責任を適切に果たすため,次により対応する。
1)医療事故が発生した場合,主治医や看護師が個々に取材を受けると病院としての意
志統一を欠き,混乱を引き起こす可能性があることから,窓口を一本化する。
2)対応者は病院長,副病院長,事故に関係する診療科(部)長及び看護部長等とし,
窓口は総務課とする。
3)事故原因の判断や見解は事故の実態を早急に究明したのち病院の公式見解とする。
4)医療事故について公表する場合は,患者のプライバシーに最大限配慮すべきであり,
事故の公表に先立ち,患者や家族,遺族等と充分に話し合い,ここまでは公表して
よいという範囲を明確に決めておく。
5)当該医療事故に係わった医療従事者については,その氏名は公表しない。主治医や
看護師などの職種名は公表すべきであるが,所属する診療科(部)名は,患者の特
定につながる可能性があるので,公表する場合は患者又は家族,遺族等の了承を取
る。
(5)医療事故の評価と事故防止への反映
A 医療事故調査委員会の設置
1)医療事故対策委員会が必要と認めた場合は,医療事故について事故原因,診療業務
上の間題点,医療行為上の責任,再発防止策について調査・検討するため,外部の
第三者を含めた医療事故調査委員会を設置して,医療事故調査報告書の作成を依頼
- 20 -
する。
2)医療事故調査委員会の構成は,医療事故対策委員会の判断による。
3)病院長は,医療事故の原因調査の結果については速やかに院内に周知する。
B 医療事故調査委員会からの報告後の対応
1)病院長は医療事故調査委員会からの報告を踏まえ,診療管理体制等の改善等を検討
し,再発防止の徹底を図る。
2)病院長は,安全管理部を通じて職員への指導を行なう。
(6)医療訴訟への対応
医療訴訟が予想される場合または医療訴訟が起きた場合は,医療審議委員会が病院長よ
り招集される。
インシデントの報告・連絡体制
インシ
デント
報告
当事者・発見者(報告者)・主治医
報告
報告
科長
部長
夜間・休日
リスクマネージャー
報告
報告
協
議
AおよびDレポート
1.A及びDが発生した時は、報告体制に従い、
口頭で直ちに報告する
2.Dについては安全管理部で審議し、Aと同様の
取り扱いとした場合は報告体制に従う
3.夜間は夜勤師長・事務当直にも連絡する
夜勤師長
事務当直
Dに関して審議
安全管理部
TEL 3167
ゼネラルリスクマネージャー
報告
Aと同様扱いのもの
病院長
TEL2500 3080
事務部長 看護部長 総務課長 医事課長
TEL 2501 2720 2502 2590
連絡
協議
報告
召集
調査
医療事故対策委員会
事故判定
学長・学部長
A・D
(一部)
レポート
召集
窓口
総務課
TEL
2502
文部科学省
報告
医療審議委員会
長崎県
長崎浦上警察署
報道関係
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医療事故調査委員会
上記以外のレポート
インシ
デント
当事者・発見者(報告者)・主治医
報告
科長
部長
リスクマネージャー
報告
安全管理部
TEL 3167
ゼネラルリスクマネージャー
看護部長
インシデント入力システムの画面
- 22 -
インシデントレポート印刷書式例
インシデント・アクシデントレポート
安全管理部
レポート種別
No.990010
平成 15 年 4 月 11 日
○ A エラーがあると思われる医療事故
○ F エラーがないと思われるが未然に防ぐことができた事例
○ B エラーがあると思われるが害が及ばなかった事例
○ G1 転倒転落
○ C エラーがあると思われるが未然に防ぐことができた事例
○ G2 自己穿刺
○ D エラーがないと思われる偶発症・副作用等
○ G3 その他
○ E エラーがないと思われ害が及ばなかった事例
○ X 院外組織に起因する事例
※区分 A の時のみ記入→
診療科長・部長
印
報告者
患者情報
患者 ID
診療科
来院区分
年齢
主病名
身体状態
当事者情報
職種
経験年月
年
月
所属部署
勤務形態
年齢
配属年月
年
月
配属部署
発見者
事象情報
発生場所
種類
発生日時
/
/
発見日時
/
/
処置日時
/
/
内容
具体的内容
対応・経過
家族・患者への説明内容(説明を行った人,説明を受けた人を明記)
発生要因
4M要因
改善策
- 23 -
【 必 須 事 項 】
各診療科および各中央診療部に共通する想定されるエラーを取り上げ,そのチェック項
目とその予防および対策をたてる。
1.輸血
(1)適正な輸血療法の選択
1)患者の病態を考慮して,効果と危険性の比較の元に,適正な輸血療法の選択を行う
こと。(参照;血液製剤の使用指針,輸血療法の実施に関する指針,厚生省医薬安
全局 1999)
(2)輸血の説明と選択
1) 主治医は輸血の前に,輸血の必要性,リスク等について患者(又は家族)に説明し,
一連の輸血を行う毎に,必ずインフォームドコンセントを行い承諾を得る。承諾を
得た上で輸血同意書(別紙)に署名をもらう。
2) 同意が得られない場合は,「拒否を表示する認印」を確認する。
(3)患者血液の採血(血液型検査・交差適合試験等)・輸血血液の申込み
1) 患者の検査用血液の採血時には患者名の確認(患者に直接フルネームを聞く等)し,
ラベルに印字されている内容と照合確認する。
2) 採血直後に再度,ラベルと患者名を照合して確認しながら,試験管に分注する。
3) 交叉適合試験用検体の採血は血液型用検体とは別の時に実施し,赤血球輸血申込み
毎に輸血部へ提出する。
4) 採血は 1 回に1人ずつ実施する(一度に複数の患者の採血を行ってはならない)。
また,緊急時に交叉適合試験用検体と血液型用検体を 1 回で採血する場合にも,他
の患者からの採血を同時に行わない。採血間違いはもう一人の患者の採血間違いの
可能性があることに留意する。
5) 血液申込時の入力前に患者姓名,登録番号,血液型を診療録で再度確認する。
6) 輸血血液の申込みは,主治医が患者姓名,登録番号,血液型を必ず診療録で確認し
て,オーダリングシステムより申し込む。
(4)血液型
1) 血液型は患者の申告のみでなく,必ず輸血までに検査を実施する。
2)血液型(ABO 型, Rh( D)型)検査結果が判明したら,主治医は速やかに検査結果
伝票で確認した後に該当する血液型プレートに患者名を記入し,必ずベッドサイド
に表示する。さらに結果用紙を診療録の所定の部位に明示すること。
3)血液型検査結果が判明したら,主治医は速やかにこれを患者に告知すること。患者
申告の血液型と検査結果が異なる場合は必ず再検査を行う。
- 24 -
(5)輸血用血液バッグの誤認防止
1) 輸血用血液製剤の輸血部からの搬出は,原則として当日使用分のみである。それ以
外の余分な血液製剤を病棟に保管しない。輸血用血液製剤は受け取り後速やかに使
用する。
2) 輸血は 1 回 1 患者毎に施行する。複数の患者の輸血をまとめて準備したり,患者か
ら患者へ続けて輸血してはならない。
3)主治医あるいは医療スタッフ 2 名で,輸血準備時に,血液製剤バッグ,診療録,血
液製剤出庫票に記載してある患者姓名,血液型,製剤名,製剤ロット番号,有効期
限,交差適合試験の判定結果,放射線照射の有無,外観の異常の有無を,声を出し
て読み合わせ確認して,輸血用チェックリストに記入・サインする(表)。
4) ベッドサイドにて再度,患者自身にも姓名を確認し,ベッドのネームプレートの患
者姓名,血液型と,血液製剤バッグ表示の血液型,有効期限および血液製剤出庫票
の患者姓名,血液型と一致していることを 2 名の医療スタッフで読み合わせ確認す
る。再度血液型を確認する。手術室においても医療スタッフ2名によって,同様の
確認を行う。
5)全ての照合確認が完了したら,血液製剤出庫票の確認・使用欄にサインして輸血を
開始する。
6) 輸血開始後 15 分(最初の 15 分は 1ml/kg/hr 以下の速度で輸血)を目途に,患者の状
態を観察する。終了時も副作用の有無について観察する。
7)製剤バッグの製造ロット番号シールを剥がして,輸血用チェックシートに貼り診療
録に綴じ込むと共に,診療録の実施日箇所にもこのシールを貼って輸血実施および
副作用の有無に関して記載する。
8) 不用となった血液製剤は病棟に保管せずに,不用通知書とともに輸血部へ返却する。
(6)不適合輸血時の対処法
1) 輸血を直ちに中止し,製剤をなるべく無菌的に保管して輸血部へ届ける。
2) 乳酸リンゲル液輸液を開始し,1ml/kg/hr 以上の尿量を確保する。バイタルサイン
を頻回にチェックする。
3) 採血して血液型の再確認を行い,さらに溶血や DIC に関する検査を行う。
4) 診療科責任者及び輸血部へ連絡する。
5) ショック,腎障害,DIC への対処が必要であり,集中治療部を含めた各部門に相談
する。
(7)輸血副作用の予防と対策
1)凝集塊が輸注されるのを予防する目的で,輸血用フィルター付セットを用いる。
2)頻回輸血時に起きうる抗 HLA 抗体の産生防止のために,それぞれ赤血球用,血小
板用の白血球除去フィルターを用いる。
3)輸血を介したウイルス感染を防止するために,核酸増幅法で検査済みの赤十字血液
- 25 -
センターの血液を使用する。また,院内採血の同種血を使用しない。
4)血液製剤による HIV,HCV,HBV などの感染が疑われる場合には,輸血部へ連絡
し,血液センター保管検体などによる確認を行う。
5)アナフィラキシー・ショック等の即時型輸血副作用の早期発見のために,最初の 15
分は 1ml / kg / hr 以下の速度で輸血し,充分に観察する。もし,アナフィラキシー
反応と考えられる病態を発症したら,輸血を直ちに中止し輸液などのショックに対
する処置を行う。また,中止した製剤はなるべく無菌的に保管して,輸血部へ届け
出・報告を行う。
(8)輸血の副作用記録
1) 輸血直後に血液型,製剤ロット番号,副作用の有無を含めた輸血実施記録を必ず診
療録に記載する。
2) 副作用の有無と輸血実施を確認した製剤管理票/副作用報告書を速やかに輸血部へ
返却する。輸血部への迅速な副作用発生報告は,以後の輸血による副作用防止にと
って重要な意味を持つ。
3) 製剤を使用しなかった場合には直ちに不用通知書とともに輸血部へ返却する。
(9)期限切れ血液の輸血
1) 期限切れ等で不要となった血液は,直ちに不用血届とともに輸血部に返却する。
2) 洗浄血小板は製剤調整後6時間以内,洗浄赤血球及び白血球除去赤血球は製剤調整
後 24 時間以内,解凍濃厚赤血球は製剤調整後 12 時間以内に使用する。
3) 各輸血用血液製剤の有効期限に留意する。輸血実施時のチェックを必ず行う。血小
板製剤は有効期限が短いことに特に留意する。
(10)血液の加温・冷却
1) 血液製剤は適正な方法で保存されるべきであり,輸血部の直接管轄している区域以
外の部署でその保存がなされるべきではない。
2) 血液製剤は使用時も含め,過剰に加温或いは冷却しない。
3)赤血球は 40 ℃以上の加温及び 0 ℃以下の凍結融解で溶血を起こす。従って,赤血
球製剤は高速輸血の場合以外は加温を必要としない。また冷凍庫に保管してはなら
ない。
(11)新鮮凍結血漿製剤の取り扱い
1) 血漿成分は 60 ℃以上の加温で蛋白変性する。一方,融解温度が過度に低いとクリ
オグロブリンが析出する。従って,新鮮凍結血漿製剤は,含まれる凝固因子等血漿
蛋白の活性を維持するために,30 ∼ 37 ℃の温度で解凍し,解凍後は速やかに使用
する。
- 26 -
2)融解は温度計で 30 ∼ 37 ℃であることを確認した温浴で,ビニール袋に包んだまま
行う。
3)凍結状態では落下や箱から出す際の破損が多いので,慎重に取り扱う。
4) 汚染防止に留意して慎重に取り扱う。
5) 輸血部で融解することもできるので,融解後3時間以内に使用する必要があること
を考慮した上で輸血部での融解を依頼する。
6) 融解後に再凍結して使用しない。
7) 40 ℃以上の過剰加温によって蛋白変性を生じていると考えられる場合には,直ち
に不用通書とともに輸血部へ返却する。
(12)血液への補液混合
1) 生理食塩水以外の輸液は混合しない。
2) ダブルルーメン,トリプルルーメンのライン使用時においても,薬剤の同時点滴は
できるだけ避ける。
3) IVH の側管などから輸血せざるを得ない場合には他の輸液を停止し,ルートを生
食水で置換した後に輸血を行う。
4) 血液製剤はそれぞれ単独で投与する(血液製剤同士も混合しない)。
(13)輸血用血液製剤に対する放射線照射
1) 輸血後 GVHD 防止の目的で,原則として新鮮凍結血漿以外の輸血には放射線照射
血を使用する。
2)時間外や休日に使用する赤血球,血小板製剤は使用前ラベルによって放射線照射の
有無を確認する。
3) 未照射血の場合は,主治医が照射を行い,その場で照射記録用紙に記入する。
4)照射後の血液バッグ上清ではカリウム濃度が上昇するので,特に新生児・腎不全症
例に対する輸血や急速大量輸血では,照射後速やかに輸血を実施して,高カリウム
血症に対する注意を払う。
5) その他は「(5)輸血用血液バッグの誤認防止」の項に準じる。
(14)緊急時の血液型判定ミス
1) 緊急時に交叉適合試験用検体と血液型用検体を 1 回で採血する場合は,他の患者
からの採血を同時に行わない。
2) 血液型検査に用いる血液検体が,緊急輸血の必要な患者からのものであることを
確認する。
3) 時間外の輸血検査は,「(17)時間外輸血検査体制」に基いて実施する。
4) 血液型判定に際しては,おもて検査,うら検査を行い合致することを確認する。
5) 赤血球輸血の場合は生食水法,酵素法,間接抗グロブリン法で交叉適合試験の主
試験を行う。緊急時であっても最低限,生食水法による交叉適合試験の主試験を行
- 27 -
う。
6) 交叉適合試験を行う余裕が無い超緊急の場合は患者家族の承諾を得てO型血液で
対応する事もできる。しかし,このような場合も輸血前に検査用採血を行い,血液
型が判明した時点で交差適合試験適合・放射線照射済みの同型血輸血に切り替え
る。
7) 不規則抗体スクリーニング検査の陰性患者における初回輸血の場合は,交叉適合
試験の主試験のみ合格であれば輸血を開始できる。
8) 患者又は家族の申告した血液型は参考程度に留める。患者,家族の申告した血液
型と検査結果とが異なるときは患者と家族によく説明する。
9) 輸血に用いる血液の血液型は検査結果報告用紙などの書面で確認する。
10) 輸血開始後は,15 分間ベッドサイドで患者の状態をよく観察する。
(15)血液型の判定困難
1) 時間外の輸血検査で判定困難な場合は輸血部の専任技師に連絡をとる。
(16)貯血式自己血
1) 自己血輸血を実施するにあたっては,患者および家族に説明を充分に行い,イン
フォームド・コンセントを得る。
2)自己血貯血同意書と申込用紙を記入して輸血部へ提出する。必要な検査を実施する。
3) 自己血であっても Hb 濃度が充分高ければ(10g/dl 以上)輸血しない。
4) 使用しなかった自己血は廃棄する。他人には転用しない。
5) 凍結保存赤血球は融解処理後,12 時間以内に使用する。
(17)時間外輸血検査体制
A 概要
1.
検査内容
血液型および交差適合試験
2.
場所
第二中央診療棟2階 検査部
3.
体制
当番技師 1 名が専用ポケットベルを持ち,院内に待機
4.
時間帯
時間外緊急検査室
平日
17:00 ∼ 8:30
土日,祭日(2 交代)
8:30 ∼ 17:00 / 17:00 ∼ 8:30
5.
開始
2002 年 4 月 1 日より
6.
輸血検査当直室
第 2 中央診療棟 4 階(電話番号 3517)
B 手順
1)医師は下記を準備した後,中央検査部
時間外緊急検査室 よりポケットベルで当
番技師の呼び出しを行う。
医師が準備するもの
①新たに採血された患者血液(ヘパリン採血管)
- 28 -
②検体採取指示票,血液型検査申込書
③交差試験を行う赤血球製剤(中央検査部
時間外緊急検査室 保冷庫内の予備
血)
④交差適合試験申込書
⑤血液処方箋
*血液型のみの場合は③,④,⑤は不要
*交差適合試験のみの場合は②は不要
ポケットベルでの呼び出し方
電話で
0 868-2523 *を呼び出し,アナウンスが流れたら,3435 ##と押して受話
器を置く。
2)ポケットベルが鳴ったら当番技師はただちに中央検査部
時間外緊急検査室 に向
かう(医師は検体と必要書類等を準備して待機しておく)。
3)医療事故防止のため,患者検体と交差試験用血液製剤等は医師から当番技師へ手渡
しする。この際,検体の患者氏名と必要書類との不一致がないことを確認する。
4)医師は血液型・不規則抗体スクリーニングがすでに行われている場合はカルテでの
確認を必ず行って,その結果を交差適合試験申込書に記入する。
5)さらに医師と当番技師は患者氏名,交差適合試験申込書の血液型・不規則抗体スク
リーニングの結果と血液製剤 Lot 番号の読み合わせを行い,結果判明時の連絡先も
確認し合う。
6)血液型不明の場合は試験管法による血液型検査の結果が出るまで(約 10 分)医師
はその場で待機して,上記の手続きをとる。
7)当番技師は血液型・交差適合試験のいずれの場合も,結果を直ちに病棟へ電話連絡
する(医局等は不在であることが多いので患者が入院中の病棟を連絡先とする)。
8-1)血液型の場合
(1)当番技師は所定の検査結果報告用紙に患者氏名・ID 番号・血液型・検査技師名
・年月日などを記載する。さらに ABD カードをセロハンテープで貼り付け,
検査部のコピー機で 2 枚コピーをとり,1 枚は中央診療棟 2 階の病棟用の
検査結果報告用ボックスに入れ,もう 1 枚は時間外緊急検査室の
検査結果報告書用ファイルにとじる。原本は専用の保管用トレイに残す。
(2)医師は中央診療棟 2 階の病棟用の検査報告結果用ボックスの検査結果報告用紙で
必ず確認をする。
*検査結果報告用紙が行方不明となった場合は輸血検査室の検査結果報告書用ファ
イルで確認することもできる。
8-2)交差試験の場合
(1)当番技師は交差が済んだ適合血を交差済み血液製剤専用ビニール袋に入れて中央
検査部
時間外緊急検査室 の交差済み用保冷庫に保管する。交差適合試験申込書
下段の血液型確認(ABO/Rh)・合否結果・技師名の記入を行い,うち病棟用 2 枚を
上記の交差済み血液製剤専用ビニール袋のポケット入れておく。残りの輸血部用と
医事課用は所定の棚の中に入れる。交差済み用の冷蔵庫扉の交差済み赤血球製剤リ
- 29 -
ストへ,製剤名・血液型・交差済み本数・輸血予定日・科・階・患者氏名の記入を
行う。
(2)医師は赤血球製剤を保冷庫から持ち出す分については,血液処方箋で処方を行い,
コメント欄に持ち出す分の製剤 Lot 番号を記入し,その病棟控えのみを製剤ととも
に持っていく。この時,冷蔵庫扉の交差済み赤血球製剤リストへ持ち出す者の氏名
・時刻・持ち出し本数を記入する。
9)医師は放射線照射の有無を確認し,未照射血は保冷庫扉横の鍵を使って中央診療棟 2
階輸血部の血液製剤放射線照射室を開け,照射を行う。
C 留意事項
1)緊急時の輸血
☆出血性ショックなどで,患者の ABO 型検査を行う時間的余裕がない場合
①患者・家族に ABO 型不適合による溶血の危険性のない O 型赤血球 MAP を輸血す
ることを説明し,同意を得る。
②輸血前に患者から検査用に採血する。
③放射線照射済み O 型赤血球 MAP を交差適合試験を省略して輸血する。
④血液型が判明した時点で,交差適合試験適合の照射済み同型血を輸血する。
☆大量出血などで同型の血液が不足し,かつ O 型赤血球 MAP が利用可能な場合も同
様に O 型赤血球 MAP を輸血する。
2)時間外輸血検査はあくまでも緊急の輸血に対応するものであり,不要不急の輸血や計
画性のない(昼間にオーダーを出し忘れたなど)輸血への対応を意図したものではな
い。当番技師が真の緊急輸血に対応しやすくなるよう,医師は充分,この点を配慮す
る。
3)時間外輸血検査は手術の T&S には対応できない。
進行中の手術が時間外までかかり,かつ交差済み血液製剤が必要となりそうな場
合は,従来通り,16 時 30 分までに輸血部へ必要な交差済み本数をオーダーする。
それ以降の時間外にオーダーを追加する場合は上記の一般的手続きに従う。
4)放射線照射有無の確認および照射実施は医師が責任を持って行う。
5)時間外の使用によって赤血球 MAP 予備血が 2 ∼ 3 本まで減少する場合,当番技師は
在庫を 5 ∼ 7 本に維持するため,血液センターへ赤血球 MAP 不足分を発注する。電
話で血液センター( Tel 843-5337)に連絡して在庫を確認した後,発注票を( FAX
840-0138)へ FAX し,時間外緊急検査室で受け取り,保冷庫へ保管する。ただし,血
小板製剤,凍結血漿製剤については当番技師は関与しない。
6)通常,血液型検査には約 30 分,交差適合試験には約 1 時間を要する。緊急の場合,生
食水法(約 30 分)の結果のみで輸血を行うこともあるが,酵素法および間接抗グロブ
リン法の結果が判明するまでは交差適合試験合否の結果記入はできない。
- 30 -
輸 血
同
意
書
主治医氏名
1 輸血の必要性
□赤血球製剤
−貧血による組織の酸素欠乏症状の改善
□血小板製剤
−血小板減少による出血の防止
□新鮮凍結血漿−複合性凝固因子低下による出血の防止
□そ
輸血の副作用
の
他−(
)
□ときに見られる−発熱,悪寒,蕁麻疹などのアレルギー反応
□ま
れ−HBV,HCVウイルスなどによる肝炎
□非 常 に ま れ−ショック,胸痛,
検査時には発現していなかった抗体による
遅延性溶血反応,HIV,HTLV−1な
どの検査合格にもかかわらず起こりうる感
染,マラリア,プリオンなど日本では通常
見られない感染など
□輸血後GVHD−放射線照射で予防
2 輸血方法
予測輸血量
3 輸血に関する検査
□自己血輸血
□同種血輸血
□赤血球製剤
…1単位200ml
単位
□血小板製剤
…1単位200ml
単位
□新鮮凍結血漿…1単位200ml
単位
□ABO/Rh式血液型
□HBV
□HCV
□その他
□不規則抗体検査
□HIV
□交叉適合試験
□HTLV−1
□梅毒
□その他(
4 その他留意点
)
□緊急時には放射線照射ができない場合があります
□充分に検査されている血液を使用するにもかかわらず,予想
さ
れない副作用がごくまれに起こることがあります
□その他(
)
私は,現在の疾病の診療に関して,上記の説明を受け,充分に理解した上で輸血を
受けることに同意しました。
本
人氏名
印
家族等氏名
印
(患者との続柄
)
*患者の署名,捺印がある場合には家族などの署名は不要。
- 31 -
輸血用チェックシート
長崎大学医学部附属病院
2人で出庫製剤リストを基本に各項目を照合して□をチェック、
製造(Lot)番号シールを貼付後に必ずカルテに綴じ込むこと。
年 月 日
確認者
確認者
患者氏名
製造番号シール貼付場所
氏名 & ID番号
血 液 型
製剤名
製剤番号
有効期限
交差適合※2
放射線照射※3
外観異常の有無※4
カルテ
□
□
出庫製剤リスト※1
□
□
□
□
製剤
□
□
□
□
□
□
□
□
確認者
確認者
製造番号シール貼付場所
氏名 & ID番号
血 液 型
製剤名
製剤番号
有効期限
交差適合※2
放射線照射※3
外観異常の有無※4
カルテ
□
□
血液型プレート 本 人
□
□
□
出庫製剤リスト※1
□
□
□
□
製剤
□
□
□
□
□
□
血液型プレート 本 人
□
□
□
□
□
※ 1 時 間 外 は 交 差 適 合 試 験 申 込 書 を 代 用 ※ 2 赤 血 球 製 剤 の み
※ 3 自 己 血 と 新 鮮 凍 結 血 漿 の 場 合 は 不 用
※ 4 赤 血 球 製 剤 の 場 合 は 溶 血 ( 黒 色 調 ) 、 凝 集 塊 の 有 無 、 凍 結 血 漿 の 場 合 は 融 解 後 の 白 色 の
フィブリン様析出物に注意し、異常があれば使用しない。
その他の注意事項
1) 生 食 水 以 外 の 輸 液 や 薬 剤 を 混 入 し な い 。
2) 赤 血 球 製 剤 は 決 し て 冷 凍 庫 に 入 れ な い 。
3) 不 用 と な っ た 血 液 製 剤 は 病 棟 に 放 置 せ ず 、 直 ち に 輸 血 用 血 液 不 用 通 知 書 と と も に 輸 血 部 へ 返 却 す る 。
4) 輸 血 開 始 後 10分 は 患 者 の 観 察 を 怠 ら な い こ と 。
- 32 -
2.注射・点滴
(1)注射・点滴調製時の薬剤誤認
予
防
1)調製する時間と点滴予定時間に余裕をもつ。急いで混合すると誤認・誤調製の危険
性がある。
2)患者名,日時及び注射薬の内容を記載した注射処方箋控え,注射指示簿を用意する。
使用量や内容に疑問がある場合には,主治医に確認する。
3)注射処方箋控え,注射指示簿に従って,個々の患者毎に点滴ボトル,注射薬剤,溶
解液,輸液チューブ及び輸液針を用意する。
4)点滴ボトル(バッグ)にラベルを貼付するか又は患者の姓名をマジックで記載する。
5)処方内容(文書で指示された内容)に従って,各種注射剤を混合する。
6)混合中に変化(白濁など)が起きた場合には,主治医に相談し,その薬剤を混合し
ない等の対処を行うとともに,薬剤部に確認する。
7)処方内容(文書で指示された内容)と混合した薬剤との照合を行う(空アンプルで
の確認)。
8)注射調製者は,氏名を記録する。
9)混合又は側管からの注入の際,その薬剤が極端に酸性あるいはアルカリ性である場
合には,変化が起こる可能性もあるので,確認後に実施するなど注意する。
対
処
(6)調製直後に誤調製に気付いた場合には,新たに調製する。
10)施用前の段階で,誤認・誤調製に気付いた場合には,その分だけの誤調製か,他の
混合薬剤との誤認か確認する。
11)誤調製の場合及び他の分との誤認で未施用の場合には,新たに調製する。
12)施用中の場合には,直ちに点滴を止めるか,あるいはルートを抜去する。
(2)点滴施行時の点滴ボトル誤認
予
防
1)同時に2人以上の点滴を行わない。
2)単独注射・点滴及び連続点滴では,必要に応じて翼状針あるいはカテーテル留置針
を用意し,注入薬剤,病状,意識の有無並びに安静度を考慮した上で施行する。
3)抗癌剤の点滴及び持続点滴,又は意識消失時,意識低下時及び非安静時の施行では,
翼状針あるいはカテーテル留置針を用いる。
4)点滴ボトル(バッグ)に記載された患者名とラベルの患者名を確認し,患者本人と
照合する。特に同姓同名患者が同一病棟に入院している場合には注意する。
5)穿刺部位を考慮する。特に下肢に点滴する場合には,血栓性静脈炎が発症し易いこ
とに注意する。
6)点滴を行った患者名と薬剤名を再確認する。
7)点滴速度を確認し,点滴ボトル(バッグ)に貼付したラベルへ輸液開始時間及び予
- 33 -
想終了時間をマジックで記載する。また,高浸透圧輸液及び電解質輸液を点滴する
場合には点滴速度を落とす。
8)点滴漏れあるいは気分が悪い等の症状が発生した場合には,主治医又は看護師に直
ちに連絡するように患者に説明する。
9)点滴開始後の数分間は患者の状態を観察する。
対
処
1)直ちに点滴を止めるか,あるいはルートを抜去する。
2)既に注入した薬剤の用量をチェックする。
3)患者に誤認を説明し,精神的不安を取り除く。
4)ショックなどに速やかに対処する。
5)過剰な量の薬剤が注入された場合には,薬剤の除去をするか病棟責任者とともに検
討する。
6)過少量の薬剤が注入された場合には,補充の注入は行わず,指示どおりの注入を行
うか病棟責任者と検討する。
7)点滴ボトル(バッグ)の誤認時には,誤認した別の患者もチェックする。
(3)非経静脈的投与薬(経腸栄養・ミルク・消毒薬)の注入ミス
予
防
1)経腸栄養バッグ(注射器)などに,患者の姓名をマジックで記載する。(使用する
注射器は色で識別できることが望ましい)。
2)消毒剤は,できるだけ既製の希釈した製品を使用するようにして,注射器などを使
用して希釈しないように努める。
3)経腸栄養バッグ(注射器)に記載された患者名を確認し,患者本人と照合する。
4)患者本人に確認がとれない場合には,患者家族に確認する。ベッドネームで患者本
人であることの確認をとる。
5)可能ならば静脈注入と反対側の注入ルートを設定する。
6)注入口付近にチューブ名を書いたテープを確認する。
7)注入速度を確認する。バッグに注入開始時間をマジックで記載する。
8)気分が悪くなった場合には,主治医又は看護師に直ちに連絡するように患者に説明
する。
9)退室時には患者名を再確認する。
対
処
1)直ちに注入を止めるか,あるいはルートを抜去する。
2)既に注入した薬剤の用量をチェックする。
3)患者に誤認を説明し,精神的不安を取り除く。
4)ショックやDICが起こることを予測して,処置を行う。
5)ショックやDICが見られない場合にも,バイタルサインを頻回にチェックする。
- 34 -
6)病棟責任者に連絡する。
(4)在宅自己注射用ディスポ注射器・注射針の取扱い
1)在宅自己注射開始前に針刺し事故の危険性について患者に充分指導する。
2)自己注射を行っている入院中の患者には,ベッドサイドに廃棄容器を設置し,使用
後自らそこに廃棄することを指導する。このことによって使用針の安全な廃棄につ
いて患者の意識向上を図る。
1)自宅で使用した注射器及び注射針は廃棄容器に入れ,外来受診時持参させる(医療
廃棄物であることを説明する)。
3.投薬
(1)投薬(配薬)ミス
予
防
・
対
処
1)処方箋控えと薬袋中の薬剤の確認を行う。
2)形状,色,名前などが似ている薬剤については,確認を綿密に行う。
3)不審,不明な点があれば,薬剤部に問い合わせる。
4)散剤,特に白色の散剤は,酷似しているものが多いので,薬袋を入れ替えての保管
は避ける。
(2)渡し忘れ
予
防
・
対
処
1)薬袋が数袋に分かれていたり,丸まっていたりすると見落とす危険性があるので,
同一患者の薬袋はクリップ等でまとめておく。
2)個々の患者の投薬票などにより確認する。
3)水薬や冷保等で別々に保管されている場合には,薬袋にその旨表示する。
4)配薬者と準備者を同一とする。
(3)患者誤認
予
防
・
対
処
1)特に,同姓同名者や同姓者の間違いをしないように,呼称確認及び性別確認をし,
ベッドのネームプレートと患者本人を照合する。
2)診療録等に同姓同名者がいることを表示する。
3)同姓同名者や同姓者の病室は別にする。また,受け持ちの医師や看護師を同じにし
ない。
(4)投与量ミス
予
防
・
対
処
1)患者が服薬ミスをしないように,外来での倍量処方はしない。
2)入院時の持参薬については,倍量処方がないか確認する。
- 35 -
3)入院時の持参薬については,可能なかぎり院内採用薬に変更して処方する。
4)診療録に記載された薬用量と照合する。
5)病棟に薬剤師がいる場合には,投与量,薬効及び副作用等のチェックを依頼する。
(5)投薬方法のミス
予
防
・
対
処
1)指示の変更は,口頭では行わない。必ず,変更日時及び変更内容を指示表に記載す
る。
2)指示を受けた者は日時と氏名を記載する。
3)指示を受けた看護師と受け持ち看護師等の確実な連絡を行う。
4)変更内容を薬袋等に赤色等の目立つ色で大きく記載し,注意を喚起する。
5)「1 日 1 回はいつなのか」など用法の確認を行う。
6)夜勤帯など看護師数が少ない場合には,緊急以外の指示を行わない。
(2)医師は内服薬中止時,速やかに返品する。
(6)コンピュータミス
□ 入力ミス
予
防
・
対
処
1)必ず,自分のパスワードで起動し,入力する。
2)診療録氏名とコンピュータ画面の患者氏名を照合する。
3)患者の姓名,生年月日,年齢及び性別等を確認し,同姓同名者との間違いを回避す
る。
4)受け持ち患者が多い場合には,患者を間違えて入力しないように前回処方等で確認
する。
5)新しく入力する場合には,その患者であるかを再度確認して入力する。
6)類似した名前の薬剤を入力しないように何度も確認する。
7)併用禁忌や相互作用などのチェックがかかるように,できるだけ同一処方で入力す
る。
□ 処方オーダー関連
予
防
・
対
処
1)院内処方か院外処方かを確認し,患者に伝達する。
2)院外処方箋を患者に渡す場合には,その患者の処方であるかどうかを再度,姓名及
び生年月日等で確認する。
3)定時処方,臨時処方,退院時処方及び時間外処方は,時間でオーダーが異なるので,
締切り時間などに注意して入力する。
4)時間外に多量の処方をオーダーすると調剤ミスにつながる危険性があるので,緊急
なものに留める。
- 36 -
(7)麻薬の管理
1)内服薬及び注射薬の取扱いに準じて,慎重に管理する。
2)内服薬及び注射薬ともに麻薬専用の金庫に保管する。
3)麻薬の紛失や破損が起こらないように,施用直前まで金庫内に保管する。
4)錠剤やアンプルは割れやすいので,重ねたり,上から圧力をかけるようなことは絶
対にしない。
5)麻薬施用の指示及び連絡は確実に行い,診療録,施用簿(受払簿)及び内服施用票
等に施用時間,数量及び施用した看護師等の氏名を記載する。
6)服薬が困難な患者へは,服薬を介助して麻薬の落下破損事故を防止する。
7)施用しなくなった麻薬は,麻薬管理室へ速やかに返納する。
- 37 -
酸性・アルカリ性注射剤例(一部例)
商
品
名
pH域
一
般
名
酸性
インデラル
pH2.8
∼
3.5
塩酸プロプラノロール
(pH4.5以下)
ドルミカム
pH2.8
∼
3.8
ミダゾラム
プリンペラン
pH2.5
∼
4.5
塩酸メトクロプラミド
ペルサンチン
pH2.5
∼
3.0
ジピリダモール
ペルジピン
pH3.0
∼
4.5
塩酸ニカルジピン
ボスミン
pH2.3
∼
5.0
エピネフリン
アルカリ性
アレビアチン
pH約12
(pH7.5以上)
ソルダクトン
pH
9.0
∼
10.0
カンレノ酸カリウム
デノシン
pH 10.8
∼
11.4
ガンシクロビル
ネオフィリン
pH
8.0
∼
10.0
アミノフィリン
5−FU
pH
8.2
∼
8.6
フロオロウラシル
ラシックス
pH
8.6
∼
9.6
フロセミド
外観が似ている薬剤例(一部例)
薬
剤
名
薬
名前が似ている薬剤例(一部例)
剤
ザンタック注
←→
カイトリル注
ザンタック注
←→
セレネース注
フェニトイン
名
薬
剤
名
薬
剤 名
アミノレバン
←→
アミパレン
サンディミュン注
ゾフラン注
←→
ワソラン注
←→
アキネトン注
メイロン注
←→
メチロン注
ソルコセリル注
←→
プリンペラン注
ドブトレックス
←→
ヘルベッサー注
ピシバニール
←→
ノイトロジン注
サヴィオゾール
←→
フィジオ35
フルマリン
←→
セフアメジン
ペントシリン
←→
セフメタゾン
アンコーマ
←→
マグネゾール
ミリスロール注
←→
ランダ注
アデラビン
アリナミンF
ラシックス
←→
ソルコセリル
ロイコボリン
プリンペラン
- 38 -
外観が似ている薬剤例(一部例)
薬
剤
名
薬
剤
名前が似ている薬剤例(一部例)
名
薬
剤
名
薬
剤
名
プロヘパール
←→ EPL
アルファロール ←→ ワンアルファ
アナフラニー25㎎
←→ トフラニール25㎎
ザンタック
←→ ザイロリック
インデラル10㎎
←→ パーロデル2.5㎎
セフゾン
←→ セフスパン
エラスチーム
←→ ミオナール
ノイキノン
←→ ノイエル
リズミック10㎎
←→ ナディック30㎎
フェログラ
←→ フェロミア
セルベックス細粒
←→ アルサルミン細粒
ファロム
←→ フェロミア
オイグルコン2.5㎎ ←→ ダオニール2.5㎎
ペリアクチン
←→ ペルサンチン
ノイキノン
←→ メチコバール
プルゼニド
←→ プレドニン
プレドニン
←→ メジコン
ムコスタ
←→ ムコソルバン
ワーファリン
←→ ラシックス
リーマス
←→ リマチル
アスパラK錠
←→ ウラリット錠
アレジオン
←→ アゼプチン
アタラックスP
←→ セルベックス
ノルバデックス ←→ ノルバスク
ザジテン
←→ ポンタール
テオドール
←→ テグレトール
トフラニール
←→ プルゼニド
猪苓湯
←→ 柴苓湯
4.検査関連
(1)医師
□ 患者への説明不足
予
防
1)検査の目的,必要性とリスクについて充分に説明する。説明した内容を診療録に記
載する。
2)造影剤を必要とする検査に関しては,その副作用について充分に説明し,理解を得
たうえで,ヨード造影検査の術前問診票に記載する。
3)薬剤負荷や運動・過呼吸負荷を加えた検査を行う場合には,負荷に伴うリスクを充
分に説明する。
4)検査承諾書の必要な検査については,充分な説明の後にその様式に則り承諾書の提
出を受ける。
□ 検査申込書の記載不備
予
防
1)検査部位,負荷の有無,造影の有無など必要事項を明確に記入する。
2)特に MRI では体内金属の有無に充分留意して記載する。
□ 検査結果の記載不備
予
防
1)結果とそれに対する判断を的確に診療録に記載する。
- 39 -
(2)看護師
□ 患者への説明不足
予
防
1)検査に対する説明は分かり易く行う。
2)患者に対する精神的配慮を忘れず,声掛けを行う。
3)患者の状態を充分把握し,患者急変時の対応を整えておく。
4)安全に検査が行われるように環境を整える。
□ 主治医の指示受けに関するエラー
予
防
1)主治医の指示で不明瞭な表現や誤字などは必ず再確認する。
2)指示内容の確認を充分に行う(検査の日時,場所,前処置の有無,必要物品等)。
3)指示表による指示受けを行い,口頭指示受けはしない。
4)指示を受けたら必ず指示受けの署名を確実に行う。
□ 検体の取り扱いに関するトラブル
予
防
1)採取された検体は慎重に取り扱い,破損や紛失に注意する。
2)検査伝票や検体ラベルの患者名,登録番号に誤りがないかを必ず確認する。
(3)検査技師
□ 患者誤認
予
防
1) 姓名,生年月日などをカルテおよび申し込み用紙と照合し,患者名をフルネーム
で呼称して確認する。
□ 患者接遇におけるエラー
予
防
1) 検査手順を説明して不安を取り除く。
対
処
1) 患者の気分が悪くなった場合には,安静を指示して直ちに医師(主治医,放射線
部及び検査部医師)に連絡する。特に生理検査中は患者の状態の変化に注意する。
□ 患者の感染
予
防
- 40 -
1)機器,器具の清拭及び消毒を行う。
2)可能であればディスポーザブル器具類を使用する。
3)検者手洗いを励行する。
4)機器の細菌汚染状況の有無をチェックをする。
□ 検体の取り違え
予
防
1)検体ラベルの氏名,登録番号とコンピュータ画面の確認を行う。
2)検体ラベルの氏名,登録番号と申し込み用紙の氏名,登録番号の確認を行う。
□ 異常データ
予
防
1) 機器の点検及び精度管理を行う。
対
処
1)前回データと比較する。
2)検体採取時の状況,検体の保存状態,服薬状況などを主治医に確認する。
3)顕著な異常値(パニック値)は直ちに主治医に連絡する。
5.診療録・フィルム関係
(1)医 師
□ 診療録の誤認
予
防
1) 誤って他の患者の診療録に記載しないように,とくに同姓同名の患者がいる場合には
注意する。
□ 診療録・レントゲンフィルムの紛失
予
防
1) 診療録の記載後は速やかに所定の位置に戻す習慣をつける。
2) 同時に2名以上の患者のフィルムを検討しない。やむを得ず行った場合には,フィ
ルム袋に戻す際に,フィルムに書き込まれた氏名を確認する。
3) 診療録,フィルムの無断借用はしない。診療録は管理している当該診療科に置いて,
適切な手続きのもとで借用する。フィルムの借用は決められた手続きのもとで行う。
なお患者にフィルムを貸し出す場合には,放射線部受付において所定の手続きのも
とに行う。
(2)看護師
□ 診療録の誤認
予
防
1) 診療録の患者名は正確に記載し,同姓同名の患者の場合には登録番号,主治医名,
生年月日,年齢などによって確認する。
- 41 -
□ 診療録・レントゲンフィルムの紛失
予
防
1) 使用後は必ず所定の場所に保管する。
2) 借用の際は,診療録は診療科で,レントゲンフィルムは放射線部受付で手続きを行
う。
3) 患者の退院に際しては,診療録は当該診療科へ,フィルムは放射線部へ返却する。
(3)放射線技師
□ 患者の誤認
予
防
1) 撮影時,カルテおよび依頼書の氏名,生年月日,登録番号によって本人を確認する。
その際フルネームで呼称して確認する。
2) 依頼伝票によって検査部位,依頼内容を確認する。
□フィルムの紛失
予
防
1) フィルムに書き込まれた患者名と依頼伝票氏名を確認する。
2) フィルムはその都度整理し,異なる患者のフィルムと混在させない。
6.感染
□ 院内感染
院内感染の原因となる感染症には薬剤耐性菌(MRSA,多剤耐性緑濃菌など)による感
染症,血液媒介型感染症(HIV,HB,HC,HTLV,梅毒など),市中感染症(結核,法定
伝染病,風邪症候群など)などがあり,それぞれの感染経路に応じた対策が必要である。
予
防
1) 院内感染予防の基本である手洗い,マスク・ガウンの着用,環境の整備を行う。
2) 院内感染に関する詳細は,「院内感染対策マニュアル」を参照する。
3) 感染性廃棄物は指定された「医療廃棄物等の分別方法」に準じて処理する。
対
処
1) 届け出義務のある感染症が確認された場合には,定められた期間内に指定された公
的機関に届け出る。
2) 結核は,従来通り結核予防法の規定により,病院長を通して所定の様式で保健所長
に届け出る。
□ 業務感染
業務感染の代表は針刺し事故である。
予
防
- 42 -
1) 採血,注射後にはその針にリキャップをしない。
2) 針を捨てる場合には必ず針専用の容器に捨てる。
対
処
1) 事故発生時には針を使用していた患者の感染の有無を確認し,確認された感染源に
応じて免疫グロブリンの投与などの処置を行う。また,書類(エビネット)を職員
係に提出する。
2) 医療従事者への結核感染が発生した場合には,病院長を通して所定の様式で保健所
長に届け出る。
7.医療機器
1) 機器にはその使用マニュアルを常時付けておく。
2) 医療機器は定期的に点検を行い,いつでも使用できる状況にしておく。。
3) 機器の異常を認めた場合には,関係者に衆知させるとともに直ちに修理する。
4)機器装着開始時は,すぐに退室せず,ベッドサイドにて作動状況を確認する。
8.外来関係
(1)患者接遇
□ 1階外来受付
1)初診患者の登録の際は姓名・生年月日など間違いがないように確認する。
2)姓名を呼んで確実に診療カード袋を手渡す。
3)診療部門への案内は本館,中央部門など床の線の色を利用して説明する。
4)難聴者(耳マークの利用),視力障害のある患者,同姓同名患者は特に注意する。
□ 診療部門
1)姓名を呼んで入室を要請する。再度名乗ってもらい姓名を確認する。
2)入室後に診療録をチェックし,姓名,生年月日,年齢,登録番号カードなどにより
本人かどうか確認する。
3)難聴者(耳マークの利用)の場合や同姓同名患者の場合は特に注意する。
4)ヨードアレルギーや喘息の有無,ショックの既往などについては充分問診する。
5)禁忌薬の有無,妊娠の可能性についても充分問診する。
6)電話による相談を受けた場合は,必ず診療録にその内容を記録する。
(2) 事故の予防・対処
1)薬物の投与は充分なインフォームドコンセントのもとに行う。
2)外来でのあらゆる患者の急変に対応できるように,緊急薬品,医療機器を常備して
おく。
3)急変の場合は「ハートコール」の利用も考慮する。
4)患者の誤認や薬剤の入力ミスがあった場合には,直ちに薬剤部に連絡して誤投与を
- 43 -
防止する。
5)薬剤部で処方内容に疑義を生じた場合には,直ちに主治医に連絡する。
6)薬剤の定位置配置を徹底する。
7)静脈注射,点滴静脈注射,輸血などを行う場合は,注射内容など主治医,看護師双
方で確認した後に投与する。
8)採血,静脈注射,点滴の終了時には充分な圧迫と止血との確認を行う。
9)筋肉注射の場合には神経穿刺に伴う放散痛がないかどうかを確認する。
10)検体は採取したら提出まで責任を持って行う。 外来終了後,再度検体が残ってい
ないか確認する。
11)医師は採血の指示の際には患者に説明し「採血札」を診療カード袋に入れる。看護
師は採血終了後に「採血札」をはずす。医事課は1階5番に戻された診療カード袋
に「採血札」が残っていたら患者に確認し再度診療科での採血を依頼する。
9.病棟・中央診療部門
(1)患者接遇
1) 入院時にベッドのネームプレートへの記入を記載漏れのないように確実に行う。
2) 同姓同名患者をリストアップし,患者誤認事故を防止する。
3) ヨードアレルギーや喘息の有無,ショックの既往,禁忌薬の有無,妊娠の可能性な
どについては充分問診する
4) 難聴者や発声障害者など,意思伝達が困難な患者をリストアップする。
5) 転倒やベッドからの転落の可能性のある患者に対しては充分監視する。
6) 入院患者の不慮の事故や突然死の場合には原因を充分検討して家族に説明する。
7) 患者の容態急変に備えて,24時間対応可能な家族の連絡先を確認しておく。
8) 自殺志向患者,精神病患者などでは,医療関係者全体で監視に努める。
(2)事故の予防・対処
1) アレルギー,禁忌薬,感染の有無に関しては診療録にラベルを貼付する。
2) 同姓同名患者がいる場合は,病棟の患者一覧表に告示して注意を促す。
3) 難聴者や発声障害者に対しては,患者一覧表に告示して確実な意志の疎通を図るよ
う努力する。
4) 薬剤を投与する場合には,薬剤の効能や副作用の説明を充分に行う。
5) 静脈注射や点滴を行う場合には事前にその内容を通知し,投与開始後何か自他覚症
状に変化があれば報告するよう説明する。
6) 薬剤の定位置配置を徹底させ,注射内容は必ず主治医,看護師双方で確認した後に
投与する。
7) 筋肉注射の場合には神経穿刺に伴う放散痛がないかどうかを確認する。
8) 静脈注射,点滴の終了時に充分な圧迫止血を確認する。
9) 点滴速度を確認する(特に循環作動薬の場合には注意)。
10) 輸血に関する事故防止対策は別項に準じる。
- 44 -
11) 医療事故発生時には,直ちに医療事故発生時の連絡体制に従って報告する。
12) 小児,高齢者のベッドからの転落に備えてベッド柵の使用を確実に行う。
13) 病棟内での転倒事故を防止するために,歩行訓練の監視,障害物の除去,環境整
備を行う。
10.栄養・患者食関係
(1)食中毒防止 (大量調理施設衛生管理マニュアルに則する。)
1) 検収時に品質の温度確認を行う。
2) 調理時に芯熱測定を行う。
3) 喫食2時間前に盛り付けを開始する。
4) 冷蔵庫,冷凍庫の温度確認を行う。
5) 冷蔵庫,冷凍庫の整理整頓(冷凍保存・解凍時の日付の確認)を行う。
6) 調理器具類は使用開始前毎に熱湯消毒を徹底する。
7) 清掃を徹底する。
(2)異物混入防止
1)食材料の下処理を入念に行い,複数者で点検する。
2)作業開始時は手洗いの徹底と服装の点検を行う。
3)できるだけ蓋付き食器を使用する。
4)やむを得ず部外者が厨房に入る場合は調理作業中を避け,帽子・白衣を着用し履物
は履きかえる。
(3)誤配膳等の防止
1) 食事内容は,食事毎に献立表と照合して確認する。
2) 一般食にはあじさい食(A・B),やわらか食があり,あじさい A 食及びやわらか
食には食札がなく,あじさい B 食のみに食札をつけて区分する。特別食は全員に
食札(食種,主食量,塩分量,氏名,階名,その他コメントを含む)をつける。配食
者は患者の顔と氏名を確認し,食札をつけたまま供食する。
3) 配膳時には食数表及び配膳表と食事数をその都度確認し,病棟側の立ち会いのもと
で引き渡す。
11.ハートコールシステム
長崎大学医学部附属病院の院内救急蘇生システムをハートコールシステムと呼称し,平
成 14 年 1 月より稼働している。
ハートコールシステムは患者安全管理の向上を目的とし,院内での患者急変時に 24 時
間体制で救急蘇生が行えるシステムである。
ハートコールシステムのフローチャートを以下に示す。
心停止・意識消失・呼吸停止・ショック
↓
医師・看護師がコールを中央監視室に要請する(内線 3333)
↓
- 45 -
「○階病棟○号室でハートコールです」全館放送(1 分後に 2 回目の放送)
↓
近くの階の医師(その階と上下 1 階)が駆けつけて一次蘇生開始
その階の看護師が救急カート,心電図モニター,吸引装置,酸素投与装置を持っ
てくる
↓
二次蘇生チームが到着処置
↓
検査・画像診断
↓
継続治療の必要があれば集中治療部へ搬送
ハートコールシステムをスムースな運営のため,各階の救急カートの整備と共通救急薬品
の薬剤部管理,除細動器の場所の確認等を行っている。
ハートコールシステムは医師,看護師,薬剤師,事務官の代表者による院内救急蘇生シス
テム運営部会によって運営・審議されている。
- 46 -
内 科 系
【 第 一 内 科 】
第一内科は消化器を中心に観血的手技が多く,一旦事故が起きると重大な事態に至る可
能性があることに常に留意しておく。また,神経疾患など意識障害,痴呆の存在のために
意思の疎通がうまくいかなかったり,必ずしも充分に異常を訴えることができない患者が
いることに留意する。これらを充分配慮してインフォームドコンセントを行う。
神経疾患,リウマチ性疾患で病棟内でも移動時などに転倒の危険を伴う患者が常時入院
しており,入院時,入院中を通じて事故の無いように心掛ける。
<消 化 器>
(1)内視鏡検査・内視鏡治療(上部消化管・下部消化管・膵胆道)
□ 前投薬による副作用
硫酸アトロピン,ブスコパン,鎮静剤等を使用するため,その副作用が問題となる。咽頭
麻酔に使用するキシロカインによるショックも問題となる。
予
防
1) 前立腺肥大,緑内障,心疾患,薬剤アレルギー等の充分な病歴聴取を行い, 鎮静
剤使用中は呼吸・循環のモニター(パルスオキシメーター,心電図)を行う。
対
処
1) ショック時にはステロイドや昇圧剤の投与,気管内挿管などを行う。
□ 消化管穿孔
消化管内視鏡検査,ERCP,ポリペクトミー等の治療時には時に消化管穿孔が起こり得る。
予
防
1) 挿入時抵抗がある場合には無理に内視鏡を進めない。
2) 癒着が疑われる例は慎重に行う。
3) ポリペクトミーや粘膜切除時には穿孔に注意する。
対
処
1) 穿孔が疑われた場合には腹部のX線検査やCT検査を行い,必要に応じて外科医に
外科的処置を依頼する。
□出血
生検時やポリペクトミー,粘膜切除,食道静脈瘤結紮術(硬化療法)時に認めることがあ
る。
予
防
1) 出血傾向を助長する内服薬(ワーファリン,チクロピジン等)の服用の有無を術前
に必ずチェックし,服用中であれば必要に応じて減量又は中止する。
2) 治療前に出血性素因の有無をチェックする。
3) 術後の止血を確認し,必要に応じてクリッピング等の処置を行う。
- 47 -
4) 必要に応じて術後絶食を行う。
対
処
1) 出血が疑われる場合には絶食とし,必要に応じて内視鏡で止血処置を行う。
□術後膵炎
ERCP や膵胆道の処置(EPBD)を行った場合に膵炎を起こすことがある。特に EPBD 後
は重症膵炎を起こすことがある。
予
防
1) 抗酵素剤の投与を行う。
対
処
1) 症状に応じて絶食や充分量の抗酵素剤の投与を行う。
(2)肝生検(エコー下穿刺術を含む)
□ 出血
肝生検後に穿刺部より出血することがある。
予
防
1) 出血傾向を助長する内服薬(ワーファリン,パナルジン等)の服用の有無を術前に
必ずチェックし,服用中であれば必要に応じて減量又は中止する。
2) 治療前に出血性素因の有無をチェックする。
対
処
1) 術後に腹痛が長時間持続したり,貧血の進行や血圧低下がある場合には,創部より
の出血を疑って輸血などの対処を行う。
2) 止血しない場合には外科的処置を行う。
(3)エコー下エタノール(又は酢酸)注入術
□ アルコールアレルギー
予
防
1) アルコールにアレルギーを起こすことが稀にあるため,病歴を充分に取る。
□ 出 血
予
防
・
対
処
1) 前記肝生検の場合に準じる。
□ 疼 痛
薬剤注入時に肝表面に漏れて疼痛を起こすことがある。酢酸はエタノールよりも疼痛を起
こしやすい。
予
防
1) 鎮痛剤等の投与を行う。特に腫瘍が肝表面に近い場合には疼痛を起こす可能性が高
いので充分量の鎮痛剤を投与する。
(4)エコー下胆道ドレナージ(PTCD)
□ 出 血
予
防
・
対
処
1) 前記肝生検の場合に準じる。
- 48 -
□ 疼 痛
穿刺時に特に胆汁が漏れると激しい腹痛が生じる。
予
防
1) 胆管穿刺ができずに穿刺針を抜去する時には漏れないように注意する。
2) 必要に応じてスポンゼル等を注入する。
□ 胆管内チューブの自然抜去
胆管皮膚瘻が形成されるまではチューブが抜けると胆汁性腹膜炎を起こすことがある。
予
防
1) 患者に充分説明して抜けないように注意してもらう。
2) チューブの固定を充分に行う。
(5)腹腔鏡(肝生検を含む)
□ 気腹時の腹膜剥離
予
防
1) 気腹針が腹腔内に挿入されていることを確認する。
2) 肝生検時の出血については前記肝生検の場合に準じる。
<神 経>
(1)腰椎穿刺
□ 穿刺後の出血
予
防
1) 検査前に出血傾向の有無をチェックし,血液型も確認しておく。
対
処
1)安静を保持する。
□ 神経の誤穿刺
予
防
1) 処置は少なくとも2名で行い,熟練した指導医が立ち会う。
2) ルンバール針はゆっくり刺入する。神経に接触しないように無理に針を進めない
3) 下肢の麻痺,知覚障害,膀胱直腸障害などの局所神経症状に注意する。
□ 穿刺後の頭痛
予
防
1) 穿刺後の少なくとも2時間は枕を抜いて仰臥位での安静を保つ。手技を始める前に
トイレを済ませておく。
対
処
1) 生食500 ml を点滴し,枕を外して安静臥床させる。
2) 必要に応じて鎮痛剤を投与する。
(2)筋生検・神経生検
□ 生検部位の誤認
予
防
- 49 -
1) 生検部位を術前の筋電図,筋 MRI などで確認しておく。
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無をチェックする。
2) 穿刺後の止血を確認する。
対
処
1) 圧迫止血し,止血を確認した後に安静を保持させる。
(3)脊髄造影
□ 造影剤によるショック
予
防
1) 造影剤アレルギーの有無を充分な問診によって確認しておく。
対
処
1) 静脈ラインを確保し,昇圧剤を使用する。
□ 痙攣発作
予
防
1) 痙攣の既往を確認しておく。
対
処
1) ジアゼパムを直ちに静注する。
(4)血漿交換
□ 血圧低下・ショック
予
防
1) 患者に随時問診するとともに,血圧をチェックする。
2) 体外循環速度を上げ過ぎないように注意する。
対
処
1) 血圧低下を認めた場合には,血漿交換を中止する。
2) 血圧低下が著しいときは速やかに昇圧処置を行う。
<内 分 泌・代 謝>
(1)各種のホルモン負荷試験
□ 熱感・頭重感・気分不快・血圧低下・低血糖等の誘発
予
防
1) 検査前に問診を充分に行う。
2) 低血糖をきたす試験においては,必ず静脈ラインを確保して施行する。
3) 患者の訴え,血圧,脈拍数に充分注意を払う。
(2)エコーガイド下穿刺吸引細胞診(甲状腺・頚部腫瘤)
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無をチェックし,穿刺部の止血を確認する。
- 50 -
対
処
1) 圧迫止血を行い,安静を保持させる。
□ 感 染
予
防
1) 易感染性の有無を確認する。
2) 穿刺部及びその周辺部位の充分な消毒を行う。
対
処
1) 易感染性が考えられる場合には,抗生剤の投与を行う。
□ 周囲臓器の損傷
予
防
1)必ず熟練した医師の指導下で行なう。
(3)持続皮下インスリン注入療法(CSII)
□ 針づまり
針づまりによってインスリン注入が止まり,糖尿病性ケトアシドーシスを発症する可能性
がある。
予
防
1) 患者,家族に「針づまり」の可能性と危険性を充分説明するとともに,自己血糖測
定時の針づまりによる高血糖の発見に努めるように指導する。
対
処
1) 針づまりの疑いがあるときには翼状針,シリンジ,インスリン等の一切を交換する
2) 針づまりを生じた場合には,ケトアシドーシス発症の有無を確認するために必要な
検査を行い,必要に応じて患者を入院させて治療する。
(4)インスリン療法
□ インスリン製剤のとり違え
処方されたインスリンと異なった種類のインスリン製剤を使用した場合,低血糖あるい
は高血糖をきたす可能性がある.
予
防
1)インスリン製剤はいくつもの種類があることをよく熟知する必要がある.
2)インスリンカートリッジやガラス瓶に記されているインスリン製剤名,インスリン
の濃度,種類判別に便利な帯状の色をひとつひとつ確認して使用する.
対
処
1)インスリン製剤のとり違えが疑われた場合は,本来使用すべきインスリンとその投
与量,とり違えたインスリンとその投与量を明らかにする.
2)インスリンを経静脈的に投与している場合はインスリンが混入している輸液製剤を
取りはずす.
3)患者の血糖値を簡易血糖測定器で頻回にモニターする.低血糖症あるいは高血糖が
生じた場合はそれぞれに対して対処する.
<膠 原 病>
- 51 -
(1)関節腔穿刺法
□ 感 染
予
防
1) 衣服等を穿刺部位より遠ざけ,穿刺部位を充分に露出させる。
2) 穿刺部位を中心に広めにイソジン液で充分に消毒する。
3) 内容液の吸引終了後に穿刺針を抜き,穿刺部を消毒してガーゼを当てる。
4) 当日は入浴しないことを指示する。
対
処
1) 入院させて,抗生剤の投与,排膿,洗浄を行う。
□ 運動障害・知覚障害
予
防
1) 血管,神経,腱などを避け,関節液の貯留している関節腔に最も近い経路で穿刺す
る。
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無を充分に問診する。血液疾患におけるように明瞭な出血傾向を認め
る場合の穿刺は禁忌である。
- 52 -
【 第 二 内 科 】
<呼 吸 器>
(1)呼吸機能検査
偶発事故防止のため,結核患者で排菌の認められる患者,発熱している患者,MRSA
気道感染が判明している患者,気胸のある患者,喘息発作が中等度以上で検査施行
によって状態が悪化し重篤化する恐れのある患者,意識障害を認める患者に対する
呼吸機能検査は行わない。
□ 患者及び検査日の誤認
予
防
1) 呼吸機能検査の施行年月日,施行検査名,施行患者姓名,登録番号,所属等の項目
についてチェックし,本人であることを必ず確認する。
□ 患者とのトラブル
予
防
1) 患者に対して検査に関する事前の説明を充分に行う。
2) 要注意患者(※)であるかどうかをチェックする。もし,病状が悪かったり,又は
検者の指示に従えないなど,呼吸機能検査が不可能と判断した場合には速やかに担
当部署に連絡する。
(※)低酸素血症患者,喘息発作を起こしている患者,高齢者,小児,精神神経疾患
患者,持続点滴中の患者,車椅子の患者
3) 胸部 X 線における気胸や異常肺陰影の有無,発熱の有無,当日の症状,結核,MRSA
感染の可能性などをチェックして検査が可能かどうかを判断する。
4) 心疾患や大動脈疾患の有無を確認し血圧をチェックする。
5) 呼吸機能検査室退室に際しては,担当部署への連絡などを必要に応じて行い,確実
に被験者が帰るようにする。酸素吸入中の患者については,帰るまで酸素が充分か
どうかを確認しておく。
6) 救急処置のための薬剤や容器類を整備しておく。
7) 呼吸器感染症患者又は疑いの強い患者については,原則として呼吸機能測定は行わ
ないが,測定が不可欠のときはフィルターを装着して測定する。特に肺結核患者の
場合には,病棟の測定装置を使用する。 HCV, HIV 陽性患者に使用したマウスピ
ースなどは廃棄処分とする。
8) 呼吸機能検査施行後,経気道感染の可能性のある病原菌(結核菌など)の排菌が確
認された患者であると判明し,汚染の可能性がある場合には,器具の汚染検査をす
るとともに,直ちに器具の滅菌及び消毒を行う。呼吸機能検査患者の記録を調査し
て感染の可能性のある被験者をリストアップし,その後の経過を把握する。
□ 低酸素血症による意識低下
予
防
1) 状態の悪い患者では検査中の低酸素血症による意識低下に注意する。特に気道過敏
性試験,低酸素換気応答試験,運動負荷試験などではその可能性が高く,いつでも
- 53 -
対処できるように複数の検者が立ち会う。
対
処
1) パルスオキシメーターで酸素飽和度を測定する。
2) 酸素吸入を行う。
□ 気管攣縮による呼吸困難又は呼吸停止
時に強制呼気が喘息発作を誘発することがある。
予
防
1) いつでも対処できるように検者が立ち会う。
対
処
1) 検査を一時停止するか或いは中止する。
□ 末梢神経損傷
動脈血ガス分析のための動脈採血の際に起こり得る。
予
防
・
対
処
1) 採血針が神経に触れたと判断した場合(指先に走る痛みを訴える)には,直ちに採
血を中止する。
2) 手のしびれが暫く残るが自然に回復することを説明する。
□ 汚染器具からの感染
病原菌(結核菌など)又はウイルスで汚染された器具などで検査した場合,被験者に
感染が起こる危険性がある。
予
防
1) 消毒及び滅菌を励行する。
2) 患者の体液が付着するマウスピースなどはその都度消毒を行う。
3) ディスポーザブルの器具については使用後確実に廃棄する。
4) 患者の呼気が通過する配管の蛇腹などは定期的に消毒,滅菌し,乾燥させた状態を
保ち,カビなどの発生に注意する。
5) 被験者についても,検査時には手を洗うなどの清潔を心掛ける。
(2)気管支鏡検査・気管支肺胞洗浄(BAL)・経気管支的肺生検(TBLB)
患者に検査の内容とその危険性や合併症を文書で説明し,署名・捺印した同意書
を得る。この際,検査に必要な問診事項を記録しておく。合併症に対する準備とし
て救急薬品と処置機器を常備し,原則としてルートを確保して検査中は SpO2 をモ
ニターする。症例によっては心電図モニターも併用する。また,用意した検査内容
説明文には検査前と検査後の注意点を明記して,合併症の予防に努める。
□ 出 血
予
防
1) 術前に出血性素因,内服薬の有無をチェックし,血液型も確認しておく。
対
処
1) 気管支内視鏡による止血操作を行う。
2) 必要に応じて,片側挿管や気管支動脈塞栓術,手術などを考慮する。
- 54 -
□ 気 胸
予
防
1) TBLB で最も頻度の高い合併症であることを認識して,なるべく胸膜直下まで鉗子
を進めない。
対
処
1) 気胸が疑わしい場合には,検査後直ちに胸部 X 線撮影を行う。軽症では仰臥位安
静を保ち,虚脱が著しいときには穿刺による脱気や胸腔ドレーン挿入による脱気を
考慮する。
□ 呼吸困難・呼吸不全
予
防
・
対
処
1) 低酸素血症を呈する患者で気管支内視鏡検査が必要な場合には,パルスオキシメー
ターでモニターリングしながら酸素投与(経鼻)下で検査を行う。
2) 症例によっては,気管内挿管して行う。
□ キシロカインショック及び中毒
予
防
1) 消化管内視鏡検査の既往と薬物アレルギーを含めて詳細な問診を行う。
2) キシロカインの使用量は必要最低限とし,高齢者や肝機能障害患者には注意して使
用する。
対
処
1) 一般的な救急処置を行う。
□ 感 染
検査後に肺炎を合併することがある。また,器具汚染の可能性や医療従事者に感染す
る可能性がある。
予
防
1) 検査後は抗生剤を予防投与する。
2) 結核菌については,検査前にその有無を確認し,可能性があればマスクとガウンを
着用する。
対
処
1) 肺炎などの兆候を認めた場合には,胸部 X 線撮影などの検査を行って早急に適切
な処置を行う。
2) 結核感染の可能性があれば,予防的に抗結核剤を投与する。
(3)経皮的胸膜生検・経皮的肺生検
検査の基本的注意事項は気管支内視鏡の場合に準じる。検査部位を透視やエコー
で確認し,血管,神経,心臓を損傷しないように注意して行う。
□ 気 胸
予
防
1) 臓側胸膜の損傷を最小限にする。
対
処
- 55 -
1) 軽症では仰臥位安静を保つ。
2) 虚脱が著しいときには窄刺による脱気や胸腔ドレーン挿入による脱気を行う。
□ 出 血
予
防
1) 術前に出血性素因,内服薬の有無をチェックし,血液型も確認しておく。
対
処
1) 圧迫又は直接止血を行う。
<消 化 器(消 化 管)>
(1)消化管造影検査
□ 患者の誤認
予
防
1) 患者の呼び出しは姓名で行い,診療録の氏名と患者を照合する。
2) 同姓同名の場合もあるので,年齢,生年月日でも確認する。
対
処
1) 誤認が起きた場合には患者に説明する。
□ 前処置
予
防
1) 前処置に使用する抗コリン剤に対する禁忌の病態(前立腺肥大,緑内障,重篤な心
疾患)がないかを確認する。
対
処
1) 前処置にて血圧低下やショックが起きた場合には,補液や昇圧剤などで速やかな対
処する。
□ 造影剤使用の禁忌
予
防
1) 腸閉塞や消化管穿孔が疑われる患者では施行しない。
2) 誤嚥の既往の有無を確認する(特に高齢者)。
対
処
1) やむをえず施行する際にはガストログラフィンによる造影を行う。
2) 誤嚥の危険性がある場合には,消化管内視鏡検査を行う。
(2)消化管内視鏡検査・内視鏡的治療
□ 患者の誤認
予
防
1) 患者の呼び出しは姓名で行い,診療録の氏名と患者を照合する。
2) 同姓同名の場合もあるので,年齢,生年月日でも確認する。
対
処
1) 誤認が起きた場合には患者に説明する。
□ 前処置
- 56 -
予
防
1) 前処置に使用する抗コリン剤,咽頭麻酔剤,鎮静剤に対する禁忌の病態(前立腺肥
大,緑内障,重篤な心疾患,キシロカインショックの既往など)がないか,或いは
高血圧症,呼吸障害がないかを確認する。
対
処
1) 前処置にて血圧低下やショックが起きた場合には,補液や昇圧剤の投与などで速や
かに対処する。
□ 出血・血圧低下・ショック
予
防
1) 救急処置用具(アンビュー,気管挿管セット),輸液,救急薬品,酸素,心電図計,
自動血圧計等を準備しておく。
2) 検査前から検査終了後まで患者の状態変化を観察し,状態に応じてパルスオキシメ
ーターをセットする。
対
処
1) 内視鏡中の大量出血に対しては内視鏡的止血,輸血や輸液を行い,血圧低下やショ
ックに対しては補液や昇圧剤の投与などで速やかに対処する。
□ 感染症
予
防
1) 事前に肝炎ウイルス,梅毒,結核などの感染の有無を確認し,可能な限り HTLV-1
や HIV についても感染の有無を確認しておく。
2) 検査終了後は直ちに内視鏡を洗浄して消毒する。
対
処
1) 感染症のある患者あるいはその疑いがある患者に内視鏡検査を施行した場合には特
に入念に洗浄して消毒する。
<消 化 器(肝 臓)>
(1)造影CT検査
□ 造影剤による急性腎不全
予
防
1) 検査前の腎機能をチェックしておく。
□ 血圧低下・ショック
予
防
1) 過敏反応の既往の有無を確認する。
2) 検査後の状態を観察する。
3) 救急カートを準備しておく。
対
処
1) ショックに対する治療を行う。
(2)リザーバーからの抗癌剤動注療法
□ 血圧低下・ショック
- 57 -
予防
1) 検査後の状態を観察する。救急カートを準備しておく。
対
処
1) ショックに対する治療を行う。
□ 抗癌剤の皮下漏出
予
防
1) 動注前にシリンジへの血液逆流を確認しておく。
2) 検査後の皮膚状態を観察する。
3) 動注後のヘパリンロックを確認する。
(3)経皮的肝生検
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無を確認しておく。
2) 腹水の有無を確認しておく。
3) 息止め可能時間を確認しておく。
対
処
1) 止血剤を投与する。
2) 安静を保持する。
3) 大量出血時には輸血を行う。
□ 血圧低下
予
防
1) 末梢血管を確保する。
2) 救急カートを準備しておく。
対
処
1) 昇圧剤を投与する。
(4)経皮的エタノール注入療法
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無を確認しておく。
2) 腹水の有無を確認しておく。
3) 息止め可能時間を確認しておく。
対
処
1) 止血剤を投与する。
2) 安静を保持する。
3) 大量出血時には輸血を行う。
□ 血圧低下
予
防
1) 末梢血管を確保する。
2) 救急カートを準備しておく。
- 58 -
対
処
1) 昇圧剤を投与する。
□ 肝梗塞
対
処
1) 腹痛などの症状をモニターする。
2) 肝機能をモニターする。
3) CT で確認する。
(5)肝動脈造影・TAE
□ 造影剤による急性腎不全
予
防
1) 検査前の腎機能をチェックしておく。
2) 検査後の尿量を把握する。
□ 血圧低下・ショック
予
防
1) 過敏反応の既往の有無を確認しておく。
2) 検査後の状態を厳重に観察する。
3) 救急カートを準備しておく。
対
処
1) ショックに対する治療を行う。
□ 穿刺部出血
予
防
1) 穿刺部の止血を確認する。
対
処
1) 圧迫止血を行う。
□ 消化性潰瘍・食道静脈瘤破裂
予
防
1) 門脈圧亢進の有無を把握しておく。
2) 必要に応じて予防的食道静脈瘤硬化療法を行う。
3) 胃粘膜保護剤を投与する。
対
処
1) 適切な内視鏡的治療あるいは薬物治療を行う。
□ 肝不全
予
防
1) 検査前の肝機能を把握しておく。
2) 検査後の肝機能をモニターする。
対
処
1)肝不全に対する治療を行う。
(6)腹腔鏡検査
- 59 -
□ 患者の誤認
予
防
1) 患者の呼び出しは姓名で行い,診療録の氏名と患者を照合する。
2) 同姓同名の場合もあるので,年齢,生年月日でも確認する。
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無を確認しておく。
2) 肝生検後の止血を確認する。
対
処
1) 止血剤を投与する。
2) 安静を保持する。
3) 大量出血時には輸血を行う。
□ 血圧低下
予
防
1) 末梢血管を確保する。
2) 気腹後の血圧モニターを行う。
3) 救急カートを準備しておく。
対
処
1) 昇圧剤を投与する。
(7)ICG負荷試験
□ 血圧低下・ショック
予
防
1) 過敏反応の既往の有無を確認しておく。
2) 検査後の全身状態を厳重に観察する。
対
処
1) ショックに対する治療を行う。
<循 環 器>
(1)心臓カテーテル検査・冠動脈造影・左心室造影・肺動脈造影・大動脈造影・電気
生理学的検査・心筋生検・経皮的冠動脈内血栓融解療法(PTCR)・ 経皮的冠動脈
形成術(PTCA)
いずれにおいても心血管内でのカテーテル操作に付随する重篤な合併症が起こり
得るので,常に救急治療用具や,救急薬の整備を確認しておく。また,常に心臓血
管外科医や麻酔科医の連絡先を明記しておく。
□ 心血管損傷
カテーテルが機械的に血管,心筋,心弁膜及びその支持組織を破壊することによ
って解離による閉塞,穿破による出血,心房壁や心室壁の穿破による心タンポナー
デ,心破裂,急性の弁不全ならびに伝導傷害や致死的,非致的不整脈などが起こり
- 60 -
得る。
予
防
1) 目的に応じた適正なカテーテルを選択し,心血管の解剖を熟知した丁寧かつ安全な
カテーテル操作に心掛け,常に操作を熟知した医師の監視,指導下に検査,治療を
行う。
□ 術後創部出血・皮下血腫・下流動脈の急性閉塞
予
防
1) 検査,治療時の血管損傷や不適切な圧迫止血に起因することが多いので,術後の創
部周囲の観察や下流動脈の触知に充分な注意を払う。
2) 術前の出血性素因の有無を確認し,抗凝固剤や抗血小板剤の使用の有無を確認する。
□ 術後感染症
検査,治療時の不潔操作に起因する。
予
防
1) 確実な手洗い,清潔操作に心掛ける。
2) 抗生剤の予防投与は検査前にも一回内服あるいは点滴しておく。
□肺塞栓症
検査,治療終了後の過度の静脈圧迫によって発症する。
予
防
1) 静脈鬱血による下肢の色調変化(暗赤色)に注意する。変色時は軽く圧迫を緩和す
る。
2) 圧迫止血時間をなるべく短くする(長くても 8 時間以内)。
3) 歩行開始後の息切れ等の出現の有無にも細心の注意を払う。
□ カテーテル内血栓の心血管内注入・造影剤の血管内膜下注入
造影剤注入時のカテーテル先端圧や血液逆流の未確認に起因する。
予
防
1) 検査開始時の血液ヘパリン化を確実に施行し,造影剤注入時の先端圧および血液逆
流の確認に細心の注意を払う。
□ 重篤な徐脈性不整脈・心室頻拍・心室細動
カテーテル操作を右室流出路や左心室で行ったり,冠動脈楔入状態で造影剤注入を行
った場合などに起こり得る。
予
防
1) 心室内でのカテーテル操作は特に丁寧に注意深く行うように心掛ける。
2) カテーテル楔入状態での造影剤注入は極力避け,やむをえず行う場合には素早くカ
テーテルを抜く。
3) 心室頻拍や心室細動の出現時には直ちに患者に咳払いをさせ,停止しないときには
胸骨叩打,電気的除細動を行う。
4) 硫酸アトロピンによって改善しない高度徐脈には一時的ペーシングを行う。
□ 迷走神経反射
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不充分な局所麻酔やカテーテルでの高度な血管伸展に起因する。
予
防
1) 皮内や骨膜麻酔は充分に行う。
2) カテーテル操作は丁寧に注意深く行う。
3) 血圧や心電図のモニターに注意を払う。
対
処
1) 出現時には早めに硫酸アトロピンを静注する。
□ 造影剤アレルギー ,アナフィラキシーショック
予
防
1) 充分な病歴聴取を行い,アレルギー歴やアレルギー素因の有無に注意する。
2) 過去の造影剤使用時の状態も詳細に確認する。
対
処
1) 蕁麻疹,くしゃみ,鼻水などを認めた時には,早めにステロイド剤の静注を行う。
2) 喉頭浮腫やショックを認めた時には,直ちにステロイド剤静注やボスミンの皮下投
与を行う。
3) 状態に応じて呼吸管理を行う。
(2)経胸壁心エコー検査
検査そのものによる合併症は起こり得ないが,検査台からの転落,移動時の転倒
等の可能性がある。
予
防
1) 患者の状態を充分観察し適宜介助する。
(3)経食道心エコー検査
食道内へエコープローブを挿入するため咽頭や食道の損傷が起こり得る。
予
防
1) 上部消化管内視鏡検査の充分な経験があり,同部位の解剖を熟知した者のみが検査
を施行する。
2) 食道疾患(静脈瘤など)の有無を問診にて確認する。
(4)運動負荷心電図
検査台からの転落・転倒,重篤な虚血による狭心症や心筋梗塞の誘発,虚血性な
らびに非虚血性の重症不整脈誘発の可能性がある。
予
防
1) 運動負荷の適応を充分検討する。
2) 患者の足腰の状態が運動負荷上問題がないかを検討する。
3) 救急薬品,除細動器の準備を行う。
(5)心筋シンチ
予
防
1) 安静時のみの検査では検査台からの転落を予防するために患者の充分な観察を行
う。
- 62 -
2) 運動負荷の場合には運動負荷心電図検査に準じる。
3) 喘息患者に対してペルサンチン負荷は禁忌であるため問診によって確認する。
4) ペルサンチンそのものによって高度徐脈や著しい低血圧を生じることがあるので充
分な心電図,血圧のモニターを行う。
(6)カテーテルの動脈内留置(スワンガンツ・一時ペーシング・動脈圧シーモニター)
自然抜去や自己抜去に伴って大量出血,ペーシング不全,不整脈誘発等が起こり得る。
予
防
1) 留置カテーテルを確実に固定し,患者が留置カテーテルに手を掛けにくいようなシ
ールやパットで覆う。
2) 患者の心身の安静に気を配り,状態観察も頻回に行う。
<腎 臓>
(1)腎生検
□ 生検側の誤認
予
防
1) あらかじめ生検側を確認し、更に腹部エコーあるいは腹部 CT で位置を確認する。
□ 出 血
対
処
(3)安静保持を継続する。
(4)必要に応じて外科的処置を行う。
(5)予防止血剤の追加投与をする。
予
防
1) 止血剤を投与する。
2) 圧迫止血する。
3) 安静を保持する。
4) 血尿の有無をチェックする。
5) 貧血の有無及びその進行をチェックする。
6) 穿刺部痛,発熱の出現をチェックする。
7) エコー,CT で腎周囲の出血の有無とその量を確認する。
□ ショック
予
防
1) 検査中の血圧低下に備えて、末梢血管を確保しておく。
対
処
1) ショックに対する治療を行う(酸素吸入,補液,昇圧剤投与など)。
(2)透析療法(外来・入院)
1)血液透析
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□ 患者の誤認
予
防
1) 患者入室の際、診療録の患者名と患者とを照合して確認する。
2) 同姓同名の患者では年齢、生年月日で確認する。
対
処
1) 誤認が起きた場合には患者に説明する。
2) 各患者の透析設定条件等を確認し,必要に応じて透析条件を変更する。
□ 透析設定条件の誤認
予
防
1) 透析設定条件を確認する。
□ 出 血
予
防
1) 透析中は穿刺部の固定を充分に行う。
2) 透析終了時の止血を確認する。
3) 血圧低下、不整脈などの監視を充分に行う。
対
処
1) 圧迫止血を行う。
2) 出血量を確認し,必要に応じて貧血の有無及びその進行をチェックする。
2)腹膜透析
□ 腹膜炎
予
防
(
対
処
)
1) 操作ミスのないように心掛ける。
2) 不良チューブや不良バッグの使用の有無を確認し、バッグ交換環境をチェックする。
3) トンネル感染、血行性感染、大腸憩室炎などの有無をチェックする。
対
処
1)治療方針に準じて治療を行う。
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【 循 環 器 科 ( 第 三 内 科 ) 】
循環器内科は,救急医療や侵襲的検査に携わる機会が多く,患者及び家族に対す
る充分なインフォームドコンセントのもとに診療を行うを必要がある。特に救急医
療は対処の遅れが致命的ともなり兼ねないので,24時間救急医療に対処できるス
タッフの配置と医療設備や医療器具を直ちに使用できる体制を整えておく。
(1)心臓カテーテル検査・心臓電気生理学的検査
□ 心血管損傷
カテーテルによって物理的に心血管を損傷または刺激したために発生する出血,
動脈解離,弁組織損傷,伝導障害,致死的不整脈などがあり,重篤な合併症である。
予
防
1) 検査前に検査内容,起こり得る事故,副作用の説明を充分に行う。
2) 目的に適合したカテーテルを選択し,操作を慎重に行う。
3) 抵抗がある場合には無理にカテーテルを進めない。
4) 経験の浅い術者は必ず熟練した医師の指導の下に検査を行う。
5) 左心カテーテル検査では,ガイドワイヤー先行の原則を守る。
6) 血圧,心電図などのモニターを充分に行う。
7) 心筋生検において採取困難な場合には無理をしない。
8) ソケイ部穿刺の場合には,高位置からの穿刺をしないように注意する。
対
処
1) 損傷を起こした部位を的確に把握し,止血,電気的除細動,心嚢穿刺などの適切な
処置を直ちに行う。
2) 必要に応じて,心臓血管外科医に外科的処置を依頼する。
3) 腹腔内出血の有無を CT 検査などで確認する。
□ 術後感染
カテーテル検査中,検査後に全身及び局所感染症を起こし得る。
予
防
・
対
処
1) 清潔手技を徹底し,局所の消毒を充分に行う。
2) 検査後一定期間は抗生剤を使用する。
□ 術後創部出血
カテーテル挿入部からの持続的出血や血腫形成は,その原因として穿刺部の圧迫
不備,抗血栓療法,出血性素因などが考えられる。
予
防
1) 術後の止血を充分に行う。
2) あらかじめ出血性素因の有無をチェックする。
3) 抗凝血薬や抗血小板薬を服用している場合には,事前に減量或いは中止しておく(た
だし,緊急カテーテル検査や冠動脈インターベンション施行時などはこの限りでは
ない)。
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対
処
1) 圧迫止血を徹底する。
2) 必要に応じて外科的処置を行う。
□ 心不全・ショック
心機能低下症例における造影剤投与による心負荷,心血管損傷による出血,副交
感神経過緊張,冠動脈インターベンション手技,重症不整脈の持続などが原因とな
ることが多い。
予
防
1) 心機能低下症例では,あらかじめ検査が可能かどうかを慎重に検討する。
2) 患者の精神状態によって,必要があれば安定剤を使用する。
3) 予期しない重症不整脈を誘発しないようにカテーテル操作を注意深く行う。
対
処
1) 直ちに検査を中断し,状態の把握に努める。
2) 血行動態に応じて利尿薬や強心薬の投与,輸液などの適切な処置を行う。
□ 塞栓症(空気・血栓・粥腫)
左心カテーテル検査におけるカテーテル内の空気混入,カテーテル挿入部位,カ
テーテル内,冠動脈インターベンション部位などにおける血栓形成,カテーテル操
作による壁在粥腫の剥離などによって起こる。
予
防
1) 術中に適量のヘパリンを使用する。
2) 不必要に長い圧迫止血や安静臥床を避ける。
3) 冠動脈インターベンション後には抗血小板薬を使用する。
4) 動脈硬化の強い症例ではカテーテル操作を慎重に行う。
5) 右左シャントの有無に留意する
対
処
1) まず塞栓症発生を的確に診断する。
2) 直ちに検査を中止して治療を行う。
□ 致死的不整脈
冠動脈入口部へのカテーテル楔入,心筋に対するカテーテル刺激,冠動脈インタ
ーベンションにおける心筋虚血や再灌流,検査中の心不全や心原性ショックなどに
よって出現する可能性がある。ただし,心臓電気生理検査は本来不整脈を誘発し,
その機序解明を目的の一つとするものである。
予
防
・
対
処
1) 常に心電図モニターに注意を払う。
2) カテーテルの楔入防止のため,造影直前まで圧モニターに注意を払う。
3) 除細動器を検査室内に常備し,充電しておく。
4) 心室性不整脈に対するキシロカインなど,救急薬品を常備する。
5) 心臓電気生理学的検査で不整脈を誘発させる場合には,事前に充分な説明を行って
承諾を得ておく。
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□ 造影剤アレルギー
検査中に出現する皮診などのアレルギー症状やショックのみでなく,検査後にも
遅延型アレルギー反応が起こり得る。
予
防
1) ヨードアレルギーや喘息の有無,ショックの既往,禁忌薬の有無,妊娠の可能性な
どについては充分問診する。
2) 造影剤静注テストを施行し,初回造影時には,患者の訴え,皮膚症状,バイタルサ
インに注意を払う。
対
処
1) 症状に応じてステロイドや強心薬の投与,気管内挿管などの処置を的確に行う。
2) 再発防止のために診療録や熱型表に赤字で記載する。
(2)経胸壁及び経食道心エコー検査
経胸壁心エコー検査は非侵襲的であり医療事故は起こりにくいが,物理的刺激や
長時間の体位固定が患者に不快感や疼痛をもたらす可能性がある。経食道心エコー
検査は侵襲的であり患者の苦痛を伴う場合もあるので,充分なインフォームドコン
セントを行う必要がある。
□ 経食道心エコーにおける上部消化管損傷
経食道エコープローブにより咽頭部や食道の損傷を起こす可能性がある。
予
防
1) あらかじめ胃内視鏡検査の既往,食道静脈瘤や局麻剤アレルギーの有無を確認して
おく。
2) プローブ挿入を慎重に行い,患者の苦痛を少なくするように常に注意を払う。
3) 誤嚥に注意する。
対
処
1) まず起きた出来事を正確に把握し,直ちにバイタルサインのチェックを行う。
2) 必要に応じて消化器専門医に治療を依頼する。
□ 薬物による副作用・アレルギー反応
薬物負荷エコー,心筋コントラストエコーにおいて使用する薬物の副作用やアレ
ルギー反応を認めることがある。
予
防
1) あらかじめ問診を行う。
2) 患者の観察を充分に行い,早期発見に努める。
3) 負荷として強心薬を使用する場合には血圧測定や不整脈モニターを行い,必ず2名
以上の医師で行う。
対
処
1) 異常な高血圧及び低血圧,重症な不整脈を認めた場合には負荷を中止する。
2) ステロイド剤の投与や,ショックに対する治療を行う。
(3)運動負荷心電図・負荷心筋シンチグラム
虚血性心疾患,心筋症,心機能低下症例,重症不整脈などを有する患者に運動負
- 67 -
荷や薬物負荷を行う場合には細心の注意が必要である。
□ 狭心症・心筋梗塞の誘発
重症の冠動脈病変やスパスムを生じやすい冠動脈を有する患者では,運動負荷に
よる非可逆性の心筋虚血を起こす可能性がある。
予
防
1) 不安定狭心症が疑われる患者では運動負荷は行わない。
2) 負荷中は自覚症状や心電図の観察を充分行う。
3) あらかじめ救急処置が直ちにできるように準備しておく。
対
処
1) ニトログリセリンの投与を行う。
2) ジピリダモール負荷によって重篤な心筋虚血が誘発された場合には,テオフィリン
を投与する。
3) ショックに対する治療を行う。
□ 致死的不整脈
虚血性心疾患や心機能低下例では運動負荷によって致死的不整脈が出現し易い。
予
防
1) 負荷中は自覚症状の出現に注意し,心電図モニターを充分に行う。
2) ステロイド剤の投与や,ショックに対する治療を行う。
対
処
1) 直ちに運動負荷を中止する。
2) 誘発された不整脈の種類に応じて抗不整脈薬の静脈内投与を行う。
3) 心室細動や意識消失を来した心室頻拍に対しては,直ちに電気的除細動を施行する。
□ 負荷運動に伴う身体的傷害
膝関節痛などの身体的異常を有する患者や高齢者に対する運動負荷によって身体
的傷害を起こすことがある。
予
防
1) あらかじめ下肢痛の有無など,負荷が可能かどうかを問診で確認する。
2) 低負荷から負荷を開始し,トレッドミルの手すり使用などを配慮する。
対
処
1) 直ちに負荷を中止する。
2)疼痛処置を行う。
- 68 -
【 原 研 内 科 】
(1)骨髄穿刺
□ 局所麻酔薬によるショック
予
防
1) 薬物アレルギーに関して問診する。
対
処
1) 救急カート(アンビュー,気管挿管セット,救急薬品)を準備しておく。
□ 出 血
予
防
1) 穿刺部位を確認する(出血傾向は禁忌ではない)。
2) 局所麻酔時に骨膜までの深さを確認し,穿刺針のストッパーの位置を調節する。
3)充分な圧迫止血を行う
対
処
1) 圧迫止血する。
(2)骨髄生検
□ 局所麻酔薬によるショック
予
防
・
対
処
1) 骨髄穿刺の項に準じる。
□ 出 血
予
防
・
対
処
1) 出血傾向の有無をチェックし,必要があれば事前に輸血の準備をしておく。
2) その他,骨髄穿刺の項に準じる。
(3)化学療法
□ 薬剤投与の誤り
予
防
1) 薬剤の投与量,投与回数,投与日時,投与経路及び投与速度を確認し,注射オーダ
ーを入力する。
2)研修医は指導医のチェックのもとに指示入力する。
3)点滴のラインは,主管,治療薬,免疫抑制剤等,区別できるように色違いのテープ
を貼る。
4) 薬剤を入れたシリンジ,或いは点滴ボトルには患者名,投与時間,薬剤内容が確認
できるように明示する。
5) 患者にはあらかじめ治療内容を通知し,投与すべき患者を間違えないように注意す
る。
6) 投与開始直後は充分な観察を行う。症状の何らかの変化或いは症状の新たな出現を
認めた場合には,すぐに連絡するように患者へも教育し協力を求める。
対
処
- 69 -
1) 直ちに薬剤の投与を中止するか,又は投与量の変更を行う。
2) 自他覚所見をチェックする。
3) 状態に応じた治療を開始する。
4) 患者本人,家族に事実内容を説明する。
□ 血管外に投与できない抗癌剤の血管外漏出
予
防
1) ルート確保時には,血液の逆流および滴下状態を確認する。
2) 点滴時間が長時間におよぶ場合には,静脈留置針などによりルートを確保すること
が望ましい。
3) 点滴針刺入部位の疼痛や点滴漏れに気付いた時には,直ちに連絡するように患者に
注意を促す。
対
処
1) 直ちに点滴を中止し,抜針する(抜針時に,可能であれば漏出した薬液を吸引する)。
2) 患部を冷却する。
3) 必要に応じて漏出部位及びその周囲に副腎皮質ステロイド注射薬を局注する。
4) 必要に応じて,皮膚科,形成外科の診察を依頼する。
(4)抗癌剤の髄注
□ 神経の誤穿刺
予
防
1) 腰椎穿刺の項に準じる。
□ 注入薬剤の誤り
予
防
1) 注入可能な薬剤は,シタラビン,メソトレキセート,副腎皮質ホルモン剤のみであ
り,その他の薬剤は絶対に注入しない。
髄腔外への薬剤の漏れ
予
防
1) 髄液の流出を確認し,注入時に針の深さが変わらないようにシリンジを持たない側
の手でしっかり固定する。
□ 穿刺後の頭痛
予
防
1) 注入速度を速くしない。
2) 適宜患者に声を掛け,処置中の状態変化に気を付ける。
3) 穿刺後1時間は,頭部を挙上しないよう安静臥床を指示する。
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無をチェックする。
2) 血小板数については7万/μl 以上の回復後に行う。
(5)瀉血療法
□ 血圧低下
- 70 -
予
防
1) 1回の瀉血量は最大400 ml とし,高齢者などでは適宜減量する。
2) 瀉血の速度に留意する。
3) 瀉血前後,必要に応じて血圧などのバイタルサインをチェックする。
対
処
1) 安静を保持し,必要に応じて輸液を行う。
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無をチェックする。
2) 抜針後の止血を確認する。
対
処
1) 圧迫止血を行う。
(6)中心静脈ルート確保
□ 出 血
予
防
1) 出血傾向の有無をチェックする。
2) 高度の血小板減少,消費性凝固障害がある場合には事前に輸血を行っておく。
3) 技術的に習熟した医師が行う。
4) 無理な穿刺は行わない。
5) 試験穿刺,本穿刺の際に静脈であることを確認する。静脈であることが確信できな
い場合にはガイドワイヤーの挿入や dilater の使用は決して行わない。
対
処
1) 圧迫止血を行う。
2) X 線による確認を行う。
□ 気 胸
予
防
1) 技術的に習熟した医師が行う。
2) 無理な穿刺は行わない。
対
処
1) 穿刺後には必ず胸部 X 線による確認を行う。
2) 安静臥床を保持する。
3) 必要に応じて胸腔ドレーンカテーテルを挿入して低圧持続脱気を行う。
□ 感 染
予
防
1)穿刺部位は充分に消毒し感染予防に努める。
対
処
1) 刺入後,感染が疑われる場合には抜去する。
2) カテーテル先端部の培養検査を行う。
(7)輸 血
- 71 -
輸血の項に準じる。
(8)骨髄移植・末梢血幹細胞移植
当科で作成したマニュアル(「BMT manual ver. 3」,「Auto-PBSCT マニュアル 2.3」,
「Allo-PBSCT Manual 2.0」)に準じる。
- 72 -
【 熱 研 内 科 】
<呼 吸 器>
(1)気管支鏡検査・気管支肺胞洗浄 (BAL)・経気管支的肺生検 (TBLB)
事前に主治医,検査医が患者及び家族に検査の内容を充分に説明して承諾を得て
おく。また充分な問診を行い,特にアレルギー性疾患,薬剤アレルギー,緑内障,
心疾患,前立腺肥大症などの有無及び常用薬の有無を確認する。検査時には患者誤
認のないように主治医が検査室入室時に患者本人であることを必ず確認する。
□ 出 血
気管支鏡操作,ブラシ操作,TBLB などによって出血を来たすことがある。
予
防
1) あらかじめ検査前に出血性素因の有無をチェックする。
2) ワーファリンや抗血小板剤の服用の有無を確認する。
3) 血液型をチェックする。
対
処
1) 気管支鏡下のトロンビン散布等の止血操作,吸引による気道確保,片肺挿管,ファ
イバースコープまたは Fogarty カテーテルによる出血気管支の閉塞等を行う。
2) 出血が持続する時には輸血,手術も考慮する。
□ 気 胸
TBLB によって気胸を来たすことがある。
予
防
1) 検査終了時に透視下で気胸を起こしてないことを確認する。
2) 鉗子の把持による胸膜の引っぱり込みが透視下に確認される。生検時に鉗子を引い
た時の疼痛がないことを患者に確認する。
対
処
1) 虚脱が軽度の場合には仰臥位安静を保持させて観察する。
2) 虚脱が中等度以上の場合には胸腔ドレーン挿入,低圧持続脱気等の治療を行う。
□ 呼吸不全
気管支鏡操作,BAL などで低酸素血症を起こすことがある。
予
防
1) 1 秒量が 1000ml 以下の症例,Pa02 60torr 以下の症例には特に注意を払う。
2) パルスオキシメーターによるモニター下に行う。
対
処
1) 術中に経鼻的に酸素投与を行う。
2) 酸素投与しても酸素飽和度が改善しない時は検査を中止し,呼吸管理を行う。
□ キシロカインアレルギー
キシロカインの投与量に関係なく起こり得る。
予
防
1) 問診を充分に行い,事前にキシロカインテストを行う。
- 73 -
対
処
1) ショックに対してルート,気道の確保とともに,エピネフリン,ステロイドの投与
を行う。
□ キシロカイン中毒
咽喉頭,肺内の局所麻酔において過剰投与による中毒を認めることがある。
予
防
1) 鎮静剤等の前投与により,患者の不安を除去する。
2) 使用量に注意して麻酔をかける。特にリスクのある患者(高齢者,肝障害等)には
量を少な目にする。
対
処
1) ルートを確保し,気道確保と呼吸管理を行う。
□ 落下事故
予
防
1) 検査台への移動時,検査中の体動時に患者が落下しないように介助する。
2) 複数の医療従事者が介助し,転倒落下を防止する。
□ 誤 嚥
予
防
1) 誤嚥防止のために検査後2時間は安静とし,絶食とする。
□ 検査に伴う発熱,肺炎
検査後に発熱したり,肺炎を起こすことがある。
予
防
1) 気管支鏡などの器具はその都度消毒し,清潔な状態で保管する。
2) 検査後に抗生剤(点滴或いは経口)投与を行い,感染予防に努める。
対
処
1) 検査後に発熱を認めた場合には直ちに胸部 X 線を撮影し,肺炎の有無を確認する。
血液培養などの細菌検査を行った後に,抗生剤の変更を検討する。
□ 感 染
予
防
1) 事前に肝炎ウイルス,梅毒,結核などの感染の有無をチェックしておく。
2) 検査終了後は直ちに内視鏡を洗浄して消毒する。
対
処
1) 感染症患者或いはその疑いがある患者に内視鏡検査を施行した際には特に入念に洗
浄して消毒する。
(2) 胸腔穿刺・経皮的胸膜生検・CTガイド下肺生検
検査の基本的注意事項は気管支鏡検査の場合と同様である。検査部位を確認し,
血管,神経,心臓などに注意して生検を行う。
□ 気 胸
肋間からの穿刺により気胸を来たすことがある。
予
防
- 74 -
1) 臓側胸膜を損傷しないように注意する。
対
処
1) 虚脱が軽度の場合には経過を観察する。
2) 虚脱が中等度以上の場合には胸腔ドレーン挿入,低圧持続脱気等の治療を行う。
□ 出 血
肋間からの穿刺によって出血を来たすことがある。
予
防
1) あらかじめ検査前に出血性素因の有無をチェックしておく。
2) ワーファリンや抗血小板剤の服用の有無を確認する。
3) 血液型をチェックする。
4) 肋間動脈を損傷しないように注意する。
対
処
1) 圧迫あるいは直接止血を行う。
(3)呼吸機能検査
排菌の認められる結核患者,発熱している患者,MRSA 気道定着が判明している
患者,気胸のある患者,喘息発作が中等度以上で検査により重篤化する危険性のあ
る患者,意識障害を認める患者では検査を行わない。
□ 低酸素血症による意識低下
予
防
1) 状態の悪い患者では検査中の低酸素血症による意識低下に注意する。特に気道過敏
性試験などでは緊急の対処ができるように複数の検者が立ち会う。
対
処
1) パルスオキシメーターで酸素飽和度を測定する。
2) 酸素吸入を行う。
□ 気道攣縮による呼吸困難または呼吸停止
深吸気によって喘息発作が誘発されることがあり,特に気道過敏性試験では誘発され
る可能性が高い。
予
防
1) 緊急の対処ができるように複数の検者が立ち会う。
対
処
1) 検査を一時停止するか或いは中止する。
□ 不整脈
予
防
1) 不安定な患者では,主治医或いは循環器専門医の立ち会いが望ましい。
対
処
1) 検査を一時停止するか或いは中止する。
□ 気 胸
強制呼気などの場合に,気道内圧上昇によって起こり得る。
予
防
- 75 -
1) 検査前に胸部 X 線による気胸の有無をチェックする。
対
処
1) 検査を一時停止するか或いは中止する。
2) 胸部 X 線撮影を行う。
<感 染 症>
(1)腰椎穿刺
□ 穿刺後の出血
予
防
1) 検査前に出血性素因の有無をチェックしておく。
対
処
1) 圧迫し,安静によって経過を観察する。
□ 神経の誤穿刺
予
防
1) 処置は少なくとも2名で行い,熟練した指導医が立ち会う。
2) 穿刺針はゆっくり刺入し,神経に触れないよう無理に進めない。
3) 下肢の麻痺,知覚障害,膀胱直腸障害などの局所神経症状の出現に注意する。
□ 穿刺後の頭痛
予
防
1) 髄液の過剰な採取除去は行わない。
対
処
1) 安静にて経過観察する。
(2)汚染器具からの感染
結核菌,細菌,ウイルスなどで汚染された器具で検査した場合に,被験者に感染する
可能性がある。
予
防
1) 消毒及び滅菌を行う。
2) 患者体液の付着するマウスピース,食道バル−ンなどはその都度消毒を行う。
3) ディスポーザブル器具については使用後確実に廃棄する。
4) 患者の呼気が通過する配管の蛇腹などは定期的に消毒,滅菌し,乾燥させた状態を
保ち,カビなどの発生に注意する。
5) 被験者についても,手を洗うなどの清潔を心掛ける。
対
処
1) 感染症が発生した場合には,その原因菌に対する治療を行う。
(3)院内感染
MRSA や結核などの院内感染を起こすことがある。
予
防
1) リスクのある患者の場合は早めに喀痰等の検体のスクリーニングを行う。
- 76 -
対
処
1) MRSA 感染症や結核が発生した場合には,直ちに患者を隔離し,適切な治療を行
う。
(4)採血事故
予
防
1) 必ず止血を確認する。
2) 動脈血採血に際して伴走する神経を損傷しないように注意する。
対
処
1) 手のしびれが暫く残るが自然に回復することを説明する。
(5)誤点滴
予
防
1) 点滴すべき患者を誤認しないように注意する。
2) 点滴内容及び速度を確認する。
3) 抗生剤の点滴の際は,例え過去に使用歴のある薬剤でも必ずその都度皮内テストを
実施する。
- 77 -
【 小 児 科 】
(1)外来診療
□検査・処置時の患児誤認,検体取違い
予
防
1) 患児を呼ぶ際には,2回以上フルネームで呼ぶ。
2) 処置室入室時に対象患児であることを,保護者に氏名,生年月日で確認し,さらに
外来主治医より指示された検査,処置内容を保護者に説明して確認する。
3) 検体に貼布するラベルの患者名,検体項目を再確認する。
対
処
1) 誤認が発生した場合には,保護者及び患児に説明して謝罪する。
□ 落下・転落事故
予
防
1) 診察台及び処置台には医療従事者又は保護者が1名以上必ず付き添い,目を離さな
い。
2) 診察台及び処置台の下には,柔らかい物を敷く。
対
処
1) 事故が発生した場合には,特に頭蓋内出血や骨折の有無を直ちに診断し,必要に応
じた検査を行って専門医の判断を仰ぐ。
2) 保護者にも充分説明する。
□ 処方箋の誤認
予
防
1) コンピュータ画面での患者選択における単純ミスを防ぐように心掛ける。
2) 処方箋を外来患者シートに入れる際,処方箋の氏名とシート内の外来患者基本カー
ドの氏名が一致することを確認する。
3) 医事課外来会計の際にも氏名の一致を確認してもらう。
4) 薬剤部でも患児本人であることを確認してもらう。
対
処
1) トリプルチェックにても誤認があった場合には,直ちに患児の保護者に連絡し,薬
剤を服用しないように連絡して来院してもらう。
(2)病棟診療
□ 病室ベッドからの落下・転落事故
予
防
1) 患児の観察を保護者に充分指導する。
2) 保護者睡眠時や不在時は,ベッド柵を最上部まで上げる。
対
処
1) 外来での落下・転落事故の場合に準じる。
□ 異物誤飲・誤嚥
予
防
- 78 -
1) 乳幼児の手が届く範囲内に,口に入れる危険性のあるものを置かない。
2) 玩具等で遊ぶ場合にも,大人の目が届くようにする。
対
処
1) 異物の内容や緊急度に応じて処置する。
(3)一般処置
□ 採 血
低年齢の小児で採血を行う場合には,ベッドに横臥した状態で採血部位を固定して行
うが,その際,目を離した隙にベッドから転落したり,採血中にその部位を激しく
動かしたために損傷することが考えられる。
予
防
1) 少なくとも2人で施行し,補助を行う医師は,患児がベッドから降りるまで目を離
さない。
2) どのような場合でも,処置が終わるまで気を緩めない。
対
処
1) ベッドから転落した場合には,直ちに意識レベル及びその他の神経学的所見をチェ
ックする。
2) 必要に応じて,頭部 CT 検査などを施行する。
3) 出血を認めた場合には,それについて対処する。
4) 採血時,急激にその部位を動かして裂傷が起きた場合には,直ちに裂傷の程度や縫
合の必要性をチェックする。
□ 点 滴
低年齢の小児に行う際には,ベッドに横臥した状態で行う(採血時と同様)が,点滴
手技が終了した後に,点滴ルートが外れたり,患児が外したりすることがある。
予
防
1) 点滴手技が終了した後には点滴ルートを清潔なシーネで固定するが,その際,末梢
循環が悪くならないように,しかも外れないように固定する。
2) コネクターが弛んでいないかをチェックしておく。
対
処
1) シーネ固定の場合には,末梢がうっ血していれば弛め,弛んでいれば固定し直す。
2) 点滴のある部分が外れていた場合には,出血量,感染の可能性,その点滴が再度使
用できるかをチェックする。
□ 針刺し事故
採血,点滴に際して注意すべき問題である。
予
防
1) 手袋をする。
2) キャップを取る時は,充分に注意する。
3) 処置終了時に,リキャップしないで直ちに針入れ容器に投棄する。
対
処
- 79 -
1) 刺した場合には,損傷部位の消毒を行う。
2) 感染の可能性が高い場合には,ワクチン投与などを考慮する。
□ 骨髄検査
骨髄検査では,検査後の局所疼痛,場合によっては化膿を起こすことがある。
予
防
1) 充分な説明を行う。
2) 消毒は気を付けて行う。
対
処
1) 疼痛を伴う場合には,傷口をよく観察し,場合によっては,X 線によるチェックを
行う。
□ 髄液検査
穿刺針を髄膜腔に挿入して髄液を採取する時に,同じ体勢をしばらく保持しておく必
要がある。充分な固定が得られない場合には,穿刺針が彎曲したり,折れたり,損
傷を起こしたりする可能性がある。
予
防
1) 固定を適切な体勢で行う。
2) 急激な体動にも対応できるように気を抜かない。
対
処
1) 患者の体勢確保が難しい状態になれば,直ちに穿刺針を抜く。
2) 損傷があれば,消毒して感染を予防する。
□ 薬物による副作用・アレルギー
予
防
1) 薬物による副作用,アレルギーは起こり得るものであるとの説明を充分行う。
対
処
1) 原因となった薬物を直ちに中止して,全身状態の観察を注意深く行い,その後の適
切な対処を行う。
□ 入院中の転倒・転落
入院中にベッドからの転落,移動中の転倒などを起こす可能性がある。
予
防
1) 両親によく注意を促す。
2) 柵ベッドを使用している場合には,柵をこまめに上げておく。
対
処
1) 外傷の有無に充分注意する。
2) 外傷や頭部打撲による神経学的異常があれば直ちに対処する。
□ 薬剤処方
小児の場合には,体重や体表面積から投与量を算定する。投与量を間違えたりすると
副作用が前面に出て,事故につながる可能性が高い。
予
防
1) 投与量を必ず確認する。
- 80 -
2) 通常と異なる量を用いる場合には,下線を引くなどして注意を喚起する。
3) 投与量について確信がもてない場合には適切な関係書で確認したり,薬剤部に問い
合わせて確認する。
対
処
1) 直ちに投与を中止し,全身状態を把握した後に適切な対処を行う。
<小 児 内 分 泌・代 謝>
□ 負荷試験時の事故
予
防
1) 検査前に,副作用を含めて内容を充分に説明する。
2) 負荷薬物量を複数人でチェックする。
3) 負荷試験中は充分にバイタルサインをチェックする。
対
処
1) 直ちに検査を中止し,状態に応じた処置を行う。
<小 児 腎 臓>
(1)腎生検
□ 出 血
腎臓は血流の豊富な臓器であるため,腎生検における最も頻度の高い合併症は出血で
ある。腎生検に合併する出血では血尿と腎周囲血腫を認める。
予
防
1) 腎生検の適応かどうか,禁忌ではないかを充分に検討する。
2) 血圧,血液型,血小板数,血液凝固能,腹部エコーなどの術前検査を充分に行う。
3) 検査前に検査内容,起こり得る事故や合併症について充分な説明を行う。
4) 被験者に呼吸を止める説明をして練習をさせる。
5) 症例に応じて適切な検査方法,生検針を選択する。
6) 検査前に静脈ルートを確保しておく。
7) 生検針が腎に達する際には呼吸をしっかり止めて腎被膜の裂傷を防ぐ。
8) 大きい血管の少ない腎下極を穿刺する。
9) 経験の浅い術者は必ず指導医の指導下に検査を行う。
10) 検査中に危険が予測される場合には直ちに検査を中止する。
11) 穿刺回数は最小限にする。
12) 検査後には穿刺部位を圧迫し,止血剤の投与と充分な輸液を行う。
13) 検査後は安静を保ち,血圧などのバイタルサインの確認と検尿を行う。
14) 検査後エコーで腎周囲の血腫の有無を確認する。
15) 検査後数日間は激しい運動を禁止する。
対
処
1) 出血部位を確認し,圧迫などによる止血を行う。
2) 肉眼的血尿の場合には充分な輸液や導尿によって凝血塊による尿閉を防ぐ。
- 81 -
3) ヘマトクリット値低下の程度に応じて輸血を考慮する。
4) 大出血の場合,血管造影を施行して血管損傷の検査と塞栓術などの止血を行う。
5) 最終的には腎の部分又は全摘出術を考慮する。
□ 動静脈瘻
腎生検の約15%に動静脈瘻を合併すると云われているが,多くは無症候性で自
然閉鎖する。高拍出性心不全,腎血管性高血圧,持続する血尿などを伴う場合には
治療が必要になる。
予
防
1) 出血の項目に準じた予防を行う。
対
処
1) 経カテーテル的腎動脈塞栓術を行う。
2) 最終的には腎の部分又は全摘出術を考慮する。
□ 感 染
腎生検後に重症感染症を起こすことは稀であるが,腎周囲膿瘍の合併例が報告さ
れている。また尿路感染患者では菌血症を合併する例もあり,このような患者では
腎生検は禁忌と考えられる。
予
防
1) 検査前に感染症,特に尿路感染症の有無を確認しておく。
2) 術者は検査前に充分な手洗いを施行し,マスク,手袋を着用する。
3) 穿刺部周囲を充分にイソジン消毒し,清潔手技を徹底する。
4) 検査後に抗生剤を投与する。
□ 造影剤に関する合併症
近年,当科ではほとんどの腎生検をエコー下で施行しており,造影剤による合併
症は見られな い。
予
防
1) アレルギー疾患,造影検査,ヨード過敏の既往などを充分確認する。
2) 検査前に腎機能を評価し,腎機能低下例では造影剤を使用しない。
対
処
1) 造影剤による過敏反応に対してはステロイド剤投与や気管内挿管などの適切な処置
を行う。
2) 腎機能低下に対しては輸液,透析などを行う。
3) 再発防止のため診療録などに赤字で記載する。
□ 腎以外の臓器・組織の穿刺
予
防
1) 検査前にエコーなどで腎を含めた位置関係を確認する。
対
処
1) 肝臓,筋肉などの場合には保存的に対処する。
2) 脾臓の場合には大量出血の可能性があるので手術を含め対処する。
- 82 -
3) 消化管の場合は,腹膜炎の可能性があるので手術を含め対処する。
<小 児 神 経>
(1)筋・皮膚・神経生検
予
防
・
対
処
1) 局所・静脈麻酔下で起こり得る事故,検査の内容,副作用について患者及び家族に
充分な説明を行う。
2) 血圧,SpO2 などのチェックを行い,気道確保などの準備を行う。
3) 検査時,検査後の出血の有無をチェックし,止血の確認を行う。
4) 起きた出来事に迅速に対処する。
(2)深部(蝶形骨)電極留置
予
防
・
対
処
1) 局所麻酔下に起こり得る事故,検査内容,副作用について患者及び家族に充分な説
明を行う。
2) 起きた出来事に迅速に対処する。
<小 児 循 環 器>
(1)心臓カテーテル検査・心血管造影検査
□ 検査台からの転落
予
防
1) 検査台には医療従事者が1名以上必ず付き添い,絶対に目を離さない。
2) 検査中の体動を想定して,抑制帯等で充分固定する。
3) 適切に麻酔を行う。
対
処
1) 事故が発生した場合には,バイタルサインをチェックし,特に頭蓋内出血や骨折の
有無を直ちに診断し,必要に応じた検査を行って専門医の判断を仰ぐ。
2) 保護者にも充分説明する。
□ 心血管損傷
予
防
1) 検査前に充分な検討を行い,検査の方法,手順を理解し,起こり得る事故を理解し
たうえで,慎重に行うことが重要である。これには患児特有の血管走行の把握や適
切なカテーテル選択等も含まれる。
2) 検査中は患児の状態観察を厳密に行い,血圧,心電図をモニターする。
3) カテーテルの操作時は,抵抗があれば絶対に無理をしない(過剰な力をカテーテル
に加えない)。
4) 小児用の救命救急用具と薬剤を検査室に常備する。
対
処
1) 損傷部位と損傷の程度を迅速かつ的確に把握し,損傷に対する処置と全身状態の管
- 83 -
理を集中的に行う。
2) 時期を失せずに心臓血管外科に外科的処置を依頼する。
□ ショック・心不全の増悪
予
防
1) 患児に対する心臓カテーテル検査,心血管造影検査の適応を充分に検討する。
2) 検査のストレスを出来る限り少なくするため,必要に応じて全身麻酔下に行う。麻
酔薬は循環動態に著しい影響のないものを選択する。
3) 水分出納を厳密に管理し,必要に応じて循環器用薬剤を用いる。
対
処
1) 直ちに検査を中止し,全身状態の把握とともに,酸素吸入,循環作動薬の投与等を
行う。
□ 薬剤アレルギー
予
防
1) 問診の際,薬剤アレルギーの既往をはじめ,アレルギー疾患,体質,家族歴を詳細
に聴取し,使用予定の前投薬,鎮静薬,鎮痛薬,麻酔薬,造影剤,抗生剤に対する
アレルギーを未然に防ぐ。特に,アナフィラキシー型アレルギー反応の既往歴には
細心の注意を払う。
2) 造影剤使用時には,静注テストを行い,安全を確認してから造影検査を施行する。
3) バイタルサイン,自覚症状,皮膚症状等に注意し,早期発見に努める。
対
処
1) 重症度に応じて速効性の副腎皮質ホルモン剤を静注し,呼吸困難やショックに対す
る救急治療を行う。
□ 塞栓症
予
防
1) 血栓形成予防のために,ヘパリンを適正に使用する。
2) 必要に応じて,カテーテルをヘパリン加生食水にてフラッシュする。
3) カテーテル内の血栓形成が疑われた場合には,カテーテルを抜去し,ヘパリン加生
食水にて洗浄する。
4) 血栓が除去できないカテーテルは,使用しない。
5) 不必要な長時間の安静や圧迫止血を避け,血管内での血栓形成を予防する。
6) 空気塞栓の予防には,カテーテル内の空気を吸引して除去する操作を完全に行う。
対
処
1) 検査を中止し,血栓性塞栓の場合には血栓溶解剤を投与する。
2) 臓器梗塞にはそれぞれの治療を早急に行う。
□ 不整脈
予
防
1) カテーテル操作に起因することが圧倒的に多いため,その操作には細心の注意を払
- 84 -
う。特に重篤な心室不整脈の誘発を防ぐには,心室内での無理なカテーテル操作を
行わないことが重要である。
2) 必要に応じてカテーテル先端のバルーンを膨張させ,心筋刺激を抑制する。
3) 冠動脈開口部のカテーテル楔入予防のために,圧のモニターを行う。
4) 心電図モニターを厳重に行う。
対
処
1) 原因となったカテーテル刺激を除去する。
2) 持続する心室不整脈には,抗不整脈薬の静注や直流通電を行う。
3) 冠動脈開口部のカテーテル楔入による徐脈性不整脈には,冠血管拡張薬の注入や一
時的体外ペーシングを行う。
□ 創部感染・出血
予
防
1) 感染に関しては,局所の消毒と清潔操作を徹底する。
2) 小児の心疾患では感染による心内膜炎の危険性があるため,術前術後に抗生剤を使
用する。
3) 出血に関しては術前に出血傾向の有無をチェックし,術後の圧迫止血を充分に行う。
4) 小児では術後の体動が激しいことがあるため,これに耐えうる固定と止血を行う。
対
処
1) 感染時には血液培養と局所培養を行い,心内膜炎の有無をチェックする。
2) 出血時には圧迫止血を確実に行い,出血傾向が生じた場合には,必要に応じて治療
(血小板輸血,新鮮凍結血漿輸血等)を行う。
(2)心臓超音波検査
□ 薬剤アレルギー(入眠剤アレルギー)
予
防
1) 検査で使用する入眠剤(多くは抱水クロラール)に対するアレルギーの既往を問診
し,その他の薬剤に対するアレルギーの既往歴や家族歴を詳しく聴取する。
2) 入眠剤使用後のバイタルサイン,自覚症状,皮膚症状等に注意を払う。
対
処
1) 重症度に応じた治療や経過観察を行う。
□ 検査台からの転落
予
防
1) 部屋を暗くして検査を行うことが多いため,転落には特に注意する。柵のついた検
査台の使用が望ましい。
2) 患児の不安を除くため,保護者に入室してもらう。
対
処
1) 心臓カテーテル検査,心血管造影検査に伴う合併症の場合に準じる。
- 85 -
<小 児 ア レ ル ギ ー>
(1)経口食物負荷試験におけるアナフィラキシー
小児のアトピー性皮膚炎をはじめとする食物アレルギーの原因抗原を検索する目
的で,またすでに除去食療法を行っている児の除去食の解除を決定する目的で,外
来にて経口負荷試験を行うことがある。その際に予測し難い,重篤なアナフイラキ
シー症状を呈することがある。
予
防
1) 検査前に検査内容,起こり得る症状について家族に充分説明する。
2) 1年以内に明らかなアナフィラキシーの症状を呈した抗原については行わない。
3) 食物抗原に関しては,少量ずつ,15 分から 20 分おきに経口負荷し,一度に大量摂
取しないように計画する。
4) 必ず事前に血管ルートを確保し,パルスオキシメーターなどのモニタリングを用意
し,緊急時に必要な薬剤を用意しておく。
対
処
1) 症状が発現した場合には,直ちに検査を中止する。
2) 症状に応じて,エピネフリンの皮下注,ステロイドの静注,気管支拡張剤の投与な
どの適切な処置を行う。
(2)薬物の副作用・アレルギー反応
□ ハイドロコルチゾン
ステロイド剤は,喘息発作の重症例の治療やアナフィラキシーショックの治療に
不可欠の薬剤である。この場合,多くは速効性のハイドロコルチゾンの静注を行う
が,添加されている防腐剤や,ハイドロコルチゾンそのものに対して過敏反応を呈
する症例がある。例えば,喘息発作の重積時にハイドロコルチゾンを静注した場合
に,発作がさらに悪化したり,アナフィラキシーショックをきたすことがある。
予
防
1) アレルギー疾患の患者に対しては,初診時より充分な問診を行い,薬物アレルギー
の既往の有無,ステロイドの静注歴を確認しておく。
対
処
1) 症状の重症度に応じて,アナフィラキシーの治療を行う(気道確保,酸素投与,大
量輸液,エピネフリンの投与)。
2) 症状改善後に,ハイドロコルチゾンに対する過敏の有無を,プリックテスト,スク
ラッチテストなどの皮膚テストによって確認する。
□ テオフィリン製剤
テオフィリンは気管支拡張剤として使用頻度が高く,特に小児の気管支喘息発作
重積時には不可欠の薬剤である。しかし,有効血中濃度の幅が狭く,中毒域との差
が少ないこと,テオフィリンクリアランスの個人差があること,同一患者でも様々
な因子によってクリアランスが大きく変化することがあることなど,その使用に関
してはいくつかの注意点がある。特に,最近では,低い血中濃度でも痙攣発作を起
こす可能性があると報告されており,点滴静注に際しては,充分な観察を必要とす
- 86 -
る。
予
防
1) テオフィリン製剤の使用に際しては,その中毒症状(悪心,嘔吐,頭痛,手指振戦,
頻脈,異常興奮,不眠)について家族にも充分に説明し,早期診断に努める。
2) テオフィリンの点滴静注時には,できるだけ頻回に血中濃度のチェックを行う。
3) ウイルス感染,発熱など,テオフィリンのクリアランスを低下させる要因がある場
合には,あらかじめ低めの血中濃度に設定しておく。
4) 外来患者に対して,ネオフィリンの持続点滴を行う場合には,必ず輸液ポンプを使
用する。
5) 入院に際しては持続点滴療法と,外来で継続されている内服薬が重複せぬ様,充分
な注意を払う。
対
処
1) テオフィリンの点滴静注時に疑わしい症状が生じた場合には,直ちにテオフィリ
ンの静注を中止し,血中濃度の確認を行う。血中濃度が中毒域にあった場合には,
有効安全域に下がるまでテオフィリン抜きの維持液を点滴静注する。
<未 熟 児・新 生 児>
新生児,未熟児は,自ら訴えることのできない弱者である。疾病の急性期には1
人の児に何種類もの医療器具が 装着され,わずかな対処の遅れが生命の危機を招
くことも稀ではない。
(1)保育器関連
□ 転落事故
患児が高さ約1 m の保育器内から床に転落する事故が稀に報告されている。
また,保育器のわずかな隙間に手足を挟んで骨折することがある。
予
防
1) 常に保育器の開閉ロックをかけておく。
2) 急性期以降で体動の激しい患児では隙間に四肢が挟まれないように保育器内に適宜
バスタオルなどを置く。
3) 保育器の窓の開閉に弛み等があった場合にはすぐに点検,修理を依頼する。
4) 患児を抱く際には片手では行わない。
対
処
1) 必要に応じてX線検査,CT検査を施行する。
□ 器内温度の乱高下
予
防
1) 当未熟児室ではサーボコントロールは使用せず,看護師自身が検温を実施する。
2) 生直後や急性期の長時間処置による低体温に対して保育器内温度を上げた後は 特
に注意を払う。
3) 患児の心拍の変化などに注意し,早期発見に努める。
対
処
- 87 -
1) 低体温になった場合には適宜あんか等を使用して復温を計るが,急激に温め過ぎて
火傷を生じないように注意する。
(2)人工呼吸器関連
□ 回路・接続部のはずれ
予
防
1) リークのアラームが作動しない程度の圧低下をきたす場合もあるので設定圧と実際
の圧を随時確認する。
2) 加湿器の水交換時,回路に水を張った後に接続部が弛むことがあるので注意を払う。
対
処
1) アラームが作動したときにはすぐに呼吸器回路を点検する。
2) 点検中に患児に bagging
等が必要であると判断した場合には,応援を依頼する。
□ 事故抜管
完全な抜管には至らないまでも,チュ−ブの位置がかなりの程度に浅くなり,喉
頭を刺激して心拍が低下することがある。
予
防
1) 患児にとって適切な気管チューブの位置(口元何 cm で固定しているか)を把握し
ておく。
2) テープの弛みなどを発見した場合には貼り換える。X 線撮影時,体重測定時,固定
テープ貼り換え時に最も事故抜管が起こり易いので注意を払う。
3) 患児を動かしたり,また保育器の架台を動かしたりする際には口元の気管チューブ
挿入部に手を添える習慣を付ける。
対
処
1) 明らかに,事故抜管が確認された場合には,速やかに気管チューブを抜去して口腔
内吸引を行って酸素を投与し,再挿管を行う。既に weaning が進んでおり,患児の
状態が良好な場合には適宜対処する。主治医が再挿管等の処置を行うまでの間,ス
タッフ全員が有効な mask & bagging が施行できるように定期的な訓練を行う。
□ 分泌物によるチューブ閉塞
2.0 ∼ 2.5cm の気管カニューレを使用している児ではチューブ閉塞の危険性が高い。
予
防
1) 吸引チューブの入る距離,抵抗感,分泌物の性状に注意する。
2) 粘調な喀痰を吸引したときには洗浄を施行し,加湿器の設定温度を上げる。
3) 定期的に体位交換を行う。
4) one-hole の気管チューブのみでなく側孔のあるチューブの使用も考慮する。
対
処
1) 前述の事故抜管の対処に準じる。
□ 加湿器関連
蒸留水の入れ忘れ,開始時のスイッチの入れ忘れが起こり得る。
予
防
- 88 -
1) 開始時の確認を習慣づける。
対
処
1) 直ちに正す。
2) 気管分泌物の性状を確認する。
(3)呼吸モニター関連
□ パルスオキシメーターのセンサー事故
四肢末梢に強く巻き過ぎたり同位置に長時間巻いたりした時に,皮膚の循環障害によ
る壊死を来たすことがある。
予
防
1) 末梢の皮膚色を随時確認する。
2) 巻く位置を換える。
対
処
1) 点滴漏れの項に準じる。
□ 経皮酸素炭酸ガスモニターの事故
経皮酸素炭酸ガスモニターの加温で低温火傷を来たすことがある。
予
防
・
対
処
1) 循環障害のある児や超未熟児などで特に危険性が高いので,センサーの貼付部位を
2−3時間毎に換える。
□ 機器類の誤表示
パルスオキシメーターや経皮酸素炭酸ガスモニターで実際の値とかけ離れた値が表示
された時にその値に基づいて治療してしまうことがある。
予
防
1) 適宜血液ガスを測定してチェックする。
2) モニターの値だけに頼らずに心拍呼吸状態を判断できるように訓練しておく。
3) 機器の定期点検を行う。
対
処
1) 実際の値に基づいて治療する。
(4)輸液関連
□ 輸注ポンプ接続部のはずれ
接続部がはずれて血液が逆流し,循環血液量の少ない超未熟児では貧血に至るほどの
失血をきたすことがある。
予
防
1) 特に留置針と延長チューブの接続が弛み易いので,血管確保時に接続の確認を徹底
する。
対
処
1) 失血量を計測して貧血が疑われる場合には速やかに検査を行って対処する。
□ 点滴漏れ
漏れた点滴液に含まれる薬物の種類(メイロン,カルチコールなど)によっては皮膚
壊死を起こすことがある。
- 89 -
予
防
1) 漏れが疑われる場合には直ちに抜去する。
対
処
1) 温湿布を行い,壊死部のイソジン消毒を行って感染を予防する。
2) 必要に応じて小児外科医に処置を依頼する。
□ 中心静脈ルートの閉塞
末梢静脈の確保が困難な児では中心静脈に28Gの PI カテーテル,NCV カテーテル
を用いる。これらのカテーテルは内径が小さく閉塞することがあり,必要な輸液量
や,薬量が実際に入っていないことがある。低血糖に対して高濃度ブドウ糖を輸液
している児や昇圧剤等の循環作動薬を使用している児はカテーテルの閉塞で状態が
悪化することがある。
予
防
1) シリンジ交換時に少量の早送りをする。
2) 保育器の蓋の隙間にルートを挟まないように注意する。
3) 点滴滴数が少なくなったときには50 ml のシリンジは使用しない(抵抗が強く閉
塞し易くなる)。
4) 閉塞時にアラームが作動せずにルートより液が漏出していることが稀にある。保育
器内のシーツが濡れている場合にはその可能性も考えられるので,可能であれば1
時間毎に残量や輸液状況をチェックする。
対
処
1) ヘパリン等の静注ですぐに閉塞が解除できない場合には抜去して交換する。
2) 血糖等のチェックを行う。
□ 臍静脈確保時の挿入部からの出血
臍静脈確保時に挿入部から出血し,超未熟児では貧血に至るほどに失血することがあ
る。
予
防
・
対
処
1) 確保時に臍帯を強く結紮するか,または臍静脈の先端を別に結紮しておく。
2) 結紮後にもじわじわ出血することがあるので挿入後半日はガーゼ汚染をよくチェッ
クする。
□ 点滴固定時の外傷
極低出生体重児ではテープ固定が過度に強いと容易に皮膚色の悪化を来たすことがあ
る。点滴抜去時に患児の指を切断した事故が報告されている。
予
防
1) 余裕をもって固定する。
2) 末梢の爪色が見える状態で固定する。
対
処
1) 手で切れるテープで固定する。
2) テープ抜去時に鋏は使用しない。
(5)経管栄養関連
- 90 -
□ 気管内への母乳注入
気管に母乳を注入してしまうことがある。
予
防
1) 注入毎に必ず注射器で空気を送り,正しく胃管が留置されていることを確認する。
2) X線撮影時に胃管の位置を確認し,患児に適した深さを把握しておく。
対
処
1) 直ちに胃管を抜去し,口腔内吸引を行って呼吸状態に応じた処置を行う。
(6)内服薬関連
□ 薬の分包ミス
未熟児では1回の投与量が極端に少なく,オーダーの単位が異なるため10倍散など
を使用することがある。誤って通常の散を使用したために多量のネオフィリンが投
与されて中毒を来たした例がある。
予
防
1) 薬剤部に新生児・未熟児の特殊性を理解してもらい,その都度薬用量をチェックし
てもらう。
2) 薬剤毎に原液で処方し,乳糖は加えない。
3) 時間外に処方オーダーを出さないように心掛ける。
4) 年末年始など通常調剤する担当でない者が扱う可能性の有る場合には薬剤部内でも
申し送りを徹底してもらう。
対
処
1) 直ちに投与を中止して血中濃度測定を行い,児の状態と誤薬の因果関係を明らかに
する。
□ 投薬ミス
内服薬(インクレミンシロップなど)を静注してしまう。
予
防
1) 主治医が静注を担当し,看護師が胃管注入を担当して役割を分担する。
(7)鎮静剤投与後の無呼吸・低体温
CT,MRI,ABRなどの検査施行時に鎮静剤を投与したために,検査中及び検査
後に無呼吸を生じることがある。児により感受性が異なるので注意を要する。
予
防
・
対
処
1) 投与量は少な目にし,新生児ではよほどの必要がない限り静注薬は使用しない。使
用する場合には,気管内挿管の準備を整えておく。
2) 新生児の場合,多くは哺乳後に入眠するので放射線科と緊密な連絡をとり,その特
殊性を理解してもらって体制を整える。適時の撮影を行えば鎮静剤の量を少なくす
ることができる。
3) MRI検査時は必ずM RI用の酸素飽和度モニターを装着する。
4) 帰室時の状態によっては心拍,酸素飽和度モニターを装着する。
5) 母児同室中の児は観察室で状態が安定するまで状態を観察する。
- 91 -
(8)輸血関連
小児科病棟の事故防止に準じる。新生児,未熟児の特異性に注意する。
□ 交換輸血時の低カルシウム血症
予
防
・
対
処
1) 適宜検査をして補充を行う。
□ 高カリウム血症
出生後早期の超未熟児において稀に認めることがある。
予
防
1) 保存期間の短い血液を使用する。
2) シリンジに移して使用する際に細い注射針を使用しない。やむをえず前記の28G
のNCVカテ−テル,PIカテーテル等を用いて輸血する際には緩徐に輸血する。
対
処
1) 通常の高カリウム血症に対する治療に準じる。
(9)患児誤認
新生児の誤認が稀にある。
予
防
1) 退院までネームプレートをはずさない。着物にも氏名を記入する。
2) 輸液指示,投薬の確認等をその都度再確認する。
<小 児 血 液・悪 性 腫 瘍>
□ 骨髄穿刺
稀に穿刺部位の感染,発赤腫脹を来たすことがある。また,ごく稀に穿刺による骨破
壊を来たすことがある。小児では一般に腸骨の穿刺を行うが,胸骨の穿刺を行う場
合には,心嚢穿孔の危険性もある。
予
防
1) 手洗いと穿刺部位の消毒を確実に行う。
2) 無理な力を加えない。
3) 穿刺の深さを充分に考慮する(特に胸骨穿刺の場合)。
対
処
1) 感染が発症した場合には充分な抗生剤投与を行う。
2) 心嚢穿孔を来たした場合には,直ちに血液吸引,充分な輸液及び血圧管理を行って,
心臓血管外科と連絡を取る。
□ 腰椎穿刺(髄注)
神経損傷の危険性がある。血管穿刺の可能性もある。また,髄注の場合には髄液採取
時に脳ヘルニアを起こす危険性がある。薬剤注入の場合には急激な脳圧亢進もあり
得る。 穿刺部位からの髄液漏出にも注意する。
予
防
1) 穿刺部位を充分に確認する。また,穿刺の方向にも細心の注意を払う。
- 92 -
2) 髄液採取の場合には陰圧をかけない。
3) 薬剤注入はゆっくり行う。
4) 終了後は,最低でも1時間仰臥位安静とし状態観察を厳密に行う。
対
処
1) 神経損傷の可能性(下肢の疼痛やしびれ)があれば,直ちに穿刺針を抜去する。
2) 脳ヘルニアの可能性がある場合には,直ちに頭部CT検査を行い,脳圧低下剤(グ
リセオールなど)を使用するとともに,脳神経外科と連絡を取る。
3) 髄注後は入院を原則とし,充分な経過観察をおこなう。
□ 抗癌剤の誤静注・点滴
血管外への漏出,用量の間違いが起こり易い。
予
防
1) 血管ルートを確実にとる(留置針が望ましい)。とくに,血管外への漏出で組織壊
死を来たす薬剤(ビンクリスチン,ドキソルビシンなど)の場合には新たにルート
を確保した後に静注を行う。
2) 血管ルートは確実に固定し,静注時には血液の逆流を確認する。
3) 投与量は必ず紙面で計算を行う。
4) 溶解液の量を決めておく。
対
処
1) 血管外へ漏出した場合には,直ちに静注を中止して血管ルートを再確保する。
2) 血管外へ漏出した場合には,家族にその旨を告げて深謝し,起こり得る副作用を説
明する。
3) 漏出部位に対しては,リバノールガーゼ及びステロイドの局所投与を行う。
□ 輸血(赤血球・血小板・凍結血漿)
最も頻度が高く,重大な事故は異型輸血である。また,輸血速度も問題となる。
予
防
1) 血液型を確認する。
2) 血液を申し込む段階,輸血施行の段階ともに必ず複数人で確認する(主治医と看護
師の2名で行う)。
3) 輸血開始時にはゆっくり投与し,副作用の出現がないかをよく観察する。
対
処
1) 異型輸血に関しては,家族へ深謝して起こり得る副作用に備える。
2) 輸血の副作用が出現した場合には,輸血を中止し,必要に応じてステロイド剤など
を早期に使用する。
□ 末梢血幹細胞採取・移植
採取時は,血管ルート確保による合併症の他に,細胞採取に伴う副作用(血圧低下,
低カルシウム血症など)に注意する。移植時は,凍害防止剤である DSMO による
合併症に注意する。
予
防
1) 採取時には,充分なモニタリングを行うと同時に,昇圧剤,Ca 製剤を準備してお
- 93 -
く。
2) 適宜採血を行い,状態の把握を行う。
3) 移植時には,ステロイド剤,抗ヒスタミン剤の前投与を行う。
対
処
1) 重大な副作用が発生した場合には採取を中止する。
2) その他には,適切な対処を行う。
- 94 -
【 精 神 科 神 経 科 】
□ 患者間,患者と医療従事者間の暴力的トラブル
不安定な精神状態では衝動的な粗暴行為がみられることがある。治療スタッフは
その危険性を充分に認識したうえで,患者との接触に注意を払うと同時に,日常の
ケアにおいて自らの言動が患者に与える影響を考える必要がある。
予
防
1) 患者の興奮性が強く,暴力的トラブルが予想されるときは,
・治療スタッフ内の話し合いや家族との連絡を緊密にして適切な対応を検
討する。
・複数の医療スタッフで接し,暴力を誘発させないようにする。
・隔離室へは,できるだけ複数で入室し対応するように心掛ける。
2) 処置を行う際に病識の欠如などから,患者の同意が得られないときは,処置の必要
性を説明する一方で,できるだけ不必要に患者を刺激しないよう配慮する。
対
処
1) 責任者(主治医を含む)に速やかに連絡,報告をする。
2) トラブルの背景を厳密に調査し,加害・被害の各人に対して必要な措置をとる。
3) 必要と判断される場合には,刺激の少ない環境(個室管理による行動制限等)を検
討する。
4) 適切な精神療法や薬物療法の見直しを図る。
□ 自殺・自傷行為
希死念慮が持続している患者をはじめとして,突発的,衝動的に自傷行為におよ
ぶ患者もいるため,予測はきわめて困難である。このため注意深い観察が重要であ
る。
予
防
1) 既往の有無を把握しておく。
2) 所持品の点検をして危険物の管理を徹底する。
3) 与薬毎に内服を確認する。
4) うつ病の回復期は特に注意をして症状を観察する。
5) 外泊や外出は主治医,家族,本人が了解のもとに行う。外泊時の内服薬は必ず家族
へ手渡す。
6) 日頃より本人,治療スタッフ,家族間でのコミュニケーションを図り自殺,自傷の
兆候に気を配る。
7) 個室利用の患者は,頻回に観察を行い,自殺企図および自傷行為の危険の回避に努
める。
8) 使っていない診察室や倉庫などの施錠を日頃より徹底し,病棟内の死角をなくす。
対
処
- 95 -
1) 責任者(主治医を含む)に速やかに連絡,報告をする。
2) 必要な救命・救急処置を行う。
3) 背景要因と企図後の精神医学的把握を充分に行う。
4) 治療スタッフの話し合いや家族との連絡を緊密にして,精神療法,薬物療法,行動
制限などによる対処を検討する。
□ 無断外出・離院
病識がない患者や自傷他害の危険がある患者の場合は無断外出,あるいは離院を
企図する可能性が高い。さらなる大きな事故につながる危険性も大きい。
予
防
1) 既往や希死念慮の有無,幻覚・妄想に左右される行動などの精神症状を把握してお
く。
2) 指示された行動制限については職員間で周知徹底する。
3) 所持金,履き物,服装,言動及び離院のそぶりの有無をチェックする。
4) 患者の病棟への出入りは時刻と開扉者の記録を徹底し,把握しておく。
5) 扉の施錠確認を徹底する。
対
処
1) 事態の連絡を受けた主治医は,医療事故発生時の連絡体制(別紙 14 頁)に従って
患者の発見などに対処する。
2) 発見された場合は,その背景を探り精神医学的既往症を把握し,繰り返しの恐れを
推し量っておく。
3) 適切な精神療法あるいは薬物療法を提供できるように検討する。
- 96 -
【 放 射 線 科 】
(1)患者の誤認
予
防
1)外来基本カード,予約券,診察券,依頼票の氏名を照合する。
2)患者自身の名乗りなどによって,フルネームと診療科名で本人であることを確認す
る。
3)同姓同名の患者に該当していないかを確認する。
(2)外来・病棟におけるトラブル
□受付
予
防
1) 外来基本カード,診察券,依頼票,予約券等を照合する。
2) 患者本人であることをフルネームと診療科名で確認する。
3) 同姓同名の患者に該当していないかを確認する。
□予約
予
防
1) 造影検査のように副作用が起こる可能性のある検査は殆どが予約検査であり,各検
査の予約表(紙)によって患者の検査に対する理解を高め,副作用の防止,軽減を
図る。
2) 同姓同名や類似氏名の患者は原則として同じ予約枠内に入れないようにする。
□超音波検査
予
防
1) 検査室入室時に患者確認と検査の目的,部位の確認を行う。
2) 検査部位,依頼内容等を依頼表にて充分に確認する。
3) 検査報告書には,必ず患者名と ID を記載する。
□TV室検査
予
防
・
対
処
1) 検査室入室時に患者確認と検査の目的,部位の確認を行う。
2) 転落,機器による事故などが起こり得るため,リスクの高い患者では主治医,技師,
看護師がプロテクター着用の上,検査室にて介助する。
3) 腎尿路撮影,静脈造影,胆道造影ではヨード造影剤を用いるため,造影剤の注射前
には副作用の既往と腎機能を依頼票,診療録にて確認する。
4) 副作用が出現した場合は,現場で処置を行い,事故報告書にて報告する。遅発性副
作用の発生にも注意を払う。
5) 検査報告書には,必ず患者名と ID を記載する。
- 97 -
□CT室検査
予
防
・
対
処
1) 検査室入室時に患者確認と検査の目的,部位の確認を行う。
2) 転落,機器による事故などが起こり得るため,リスクの高い患者では主治医,技師,
看護師がプロテクター着用の上,検査室にて介助する。
3) ヨード造影剤を用いるため,造影剤の注射前には副作用の既往と腎機能を依頼票,
診療録にて確認する。
4) 副作用が生じた場合には,現場で処置を行い,事故報告書にて報告する。また,遅
発性副作用の発生にも注意を払う。
5) ヨード造影剤を用いる場合には,ヨード造影剤の瓶に破損がないかどうかを必ずチ
ェックする。
6) 依頼票に記載された感染症の有無をもとに検査順を考慮する。また,現場のスタッ
フも感染しないように,マスク,手洗いなどを行う。
7) 検査内容に大きな変更がある場合には,口頭や電話ではなく依頼票を新たに提出し
てもらうようにする。
8) 検査報告書には,必ず患者名と ID を記載する。
□MRI室検査
予
防
・
対
処
1) 検査室入室時に患者確認と検査の目的,部位の確認を行う。
2) 事前に体内金属(ペースメーカー,人工内耳,脳動脈クリップなど)の有無を本人,
主治医及び診療録などにより確認しておく。
3) 転落,機器による事故などが起こり得るため,リスクの高い患者では主治医,技師,
看護師が検査室内の患者を常に監視する。
4) ガドリウム造影剤を用いるため,造影剤の注射前には副作用の既往を依頼表,診療
録にて確認する。
5) 副作用が起きた場合は,現場で処置を行い,事故報告書にて報告する。頻度は非常
に少ないが遅発性副作用の発生にも注意を払う。
6) 依頼票に記載された感染症の有無をもとに検査順を考慮する。また,現場のスタッ
フも感染しないように,マスク,手洗いなどを行う。
7) 検査内容に大きな変更がある場合には,口頭や電話ではなく依頼票を新たに提出し
てもらうようにする。
8) 検査報告書には,必ず患者名と ID を記載する。
□血管造影検査
予
防
・
対
処
1) 清潔操作に留意する。
2) 検査室入室時に患者確認を行う。入院患者は看護師が付き添って入室する。入院患
- 98 -
者の場合は,検査前に放射線部の看護師と病棟の看護師との申し送りを行う。
3) 事前に検査の目的,部位,感染症の有無,造影剤に対する副作用の既往の有無を依
頼票,診療録にて確認する。
4) 副作用が起きた場合は,現場で処置を行い,事故報告書にて報告する。また,遅発
性副作用の発生にも注意を払う。
5) 外来患者の場合,検査前後に,主治医,看護師による充分な説明を行い,患者の状
態が充分安定したことを確認して帰宅させる。また,遅発性副作用の発生にも注意
を払う。
6) 事前に主治医が検査についての充分な説明を行い,患者より承諾書を受取る。
7) 検査内容に大きな変更がある場合には,口頭や電話ではなく依頼票を新たに提出し
てもらうようにする。
8) 検査報告書には,患者名と ID を記載する。
9) 検査報告書には,造影剤の体内注入量を記載する。
□核医学検査
予
防
・
対
処
1) 検査室入室時に患者確認を行う。
2) RI 検査時には,検査と放射性医薬品の種類,量を確認する。
3) 使用後の注射器は,別容器に入れ,未使用の注射器と区別する。
4) 転落,機器による事故を防ぐため,患者を常に監視しておく。特に,小児,意識レ
ベルの低下した患者では注意する。
5) 検査報告書には,必ず患者名と ID を記載する。
□放射線治療
予
防
・
対
処
1) 治療室入室時に患者確認を行う。特に初回は,診察時,照射の設定時,照射時等に
おいて厳密に行う。
2) 治療に関する説明をパンフレットを用いるなどして充分に行う。
□一般病棟
予
防
・
対
処
1) 点滴ミス,輸血ミス防止のための点滴簿での確認を充分に行う。
2) 可能な限り,主治医による点滴,輸血を行う。
- 99 -
外 科 系
【 第 一 外 科 】
<消化器,一般>
(1)外来診療
□急性腹症における過誤
予
防
1)詳細な病歴や既往歴の把握を充分に行う。
2)高齢者では典型的な腹部所見に乏しいことに留意する。
3)画像検査を積極的に行う。
4)可能な限り複数の医師による診察を行う。
5)他科紹介を躊躇しない。
対
処
1)可能な限り迅速な対応を心掛ける。
2)外来医長に相談する。
□ストーマに対する患者の誤解
予
防
1)日頃からストーマ外来の受診を進め,ストーマ・ケアの指導並びにメンタル・ケア
に努める。
(2)病棟診療
□腹腔ドレーンの体内脱落
予
防
1)手術時に皮膚縫合を確実に行う。
2)包交時に固定部の確認を怠らない。
3)抜去時は位置・本数等記録を確実に行う。
対
処
1)腹部 X 線撮影によってドレーンの有無,位置を確認する。
2)患者に状況を説明し,ドレーンを取り出す。
□ドレナージチューブ逸脱に伴う出血,縫合不全など
予
防
1)縫合並びに絆創膏によって確実にチューブを固定する。
2)包交時に必ずチェックする。
(3)周術期
□手術患者の誤認
予
防
1)手術室担送時,主治医,看護師の両者で患者を確認する。
2)麻酔導入時及び前に担当医が患者を確認する。
□ガーゼ,針などの異物置き忘れ
- 100 -
予
防
1)ガーゼ枚数の確認,針数の確認,手術器具の確認を心掛ける。
2)手術終了時 X 線撮影を行い,異物遺残が無いことを確認する。
対
処
1)直ちに再開創して除去する。
□圧迫による神経障害
予
防
1)麻酔導入後,神経圧迫がないように注意して手術体位をとる。
2)側臥位時の腋窩神経圧迫,仰臥位時の腕神経叢過伸展,尺骨神経圧迫,砕石位での
坐骨神経圧迫,腓骨神経圧迫,腹臥位時の眼球圧迫には特に注意する。
対
処
1)術後の肢位に注意し,麻痺がある場合には整形外科等に相談する。
□術後の血栓性静脈炎・肺梗塞
予
防
1)術中より下肢静脈鬱血の予防を行い,術後も継続する。
2)電動式下肢圧迫帯や弾力靴下,弾力包帯を使用する。
3)必要に応じてヘパリン等を使用する
4)可能な限り長期臥床を回避する。
5)起床,起立後の呼吸困難の出現に注意する。
<移植外科>
(1)外来診療
□移植医療に対する誤認
予
防
1)外来通院時より想定される病態について今後の変化と想定される診療を繰り返し説
明する。
2)必要に応じて移植コーディネーター同席のうえで移植の現状や問題点を充分に説明
する。
3)情報公開についても説明する。
4)説明内容を随時診療録に記載する。
□移植後の臓器機能異常の見逃し
予
防
1)主治医,薬剤師による服薬指導を徹底する。
2)薬剤血中濃度のモニタリング,感染症のスクリーニングを行う。
3)病態が安定していても定期検査の必要性を充分に説明する。
4)他院主治医との連絡体制を整備しておく。
□胸腔ドレーンに伴う合併症
予
防
1)水封状態を確認する。陰圧の程度や気漏の有無を絶えずチェックする。
対
処
- 101 -
1)気漏がある場合は回路の漏れの有無を確認する。
2)出血が持続する時は必要に応じて止血術を行う。
(2)病棟診療
□移植患者の容態急変
予
防
1)院内関連各科主治医との連絡体制を整備しておく。
2)病棟における集中管理体制を整備しておく。
□感染症
予
防
1)無菌室を使用する。
2)医療関係者,家族の手洗いやガウンテクニックを徹底する。
3)感染症スクリーニング検査を実施する。
対
処
1)院内感染症委員会へ報告する。
2)感染症マニュアルに準じて対処する。
(3)周術期
□移植臓器の機能不全と感染症・急性拒絶反応
予
防
1)集中治療部の無菌室で管理する。
2)人工呼吸器による管理を行う。
3)免疫抑制剤とともに広域スペクトラムの抗生剤,抗真菌剤,抗ウィルス剤の予防的
投与を開始する。
対
処
1)感染症に対しては院内感染症委員会へ報告する。
2)合同カンファランスによって治療方針を決定するように心掛ける。
<小児外科>
(1)外来診療
外科共通の項に準じる
(2)病棟診療
□直腸肛門奇形・Hirschsprung病に対する誤処置(※)
予
防
1)主として新生児期に起こる可能性が多いので,患者のベッドサイド(保育器の一部)
に病態及び病型の図示したものを貼っておく。
対
処
1)誤処置によって発生,或いは発生する可能性のある事象を推測,判断し,それぞれ
に応じて,適切な処置を行う。
2)誤処置後,さらに重症な合併症を起こさないように充分注意する。
(※)例 1:直腸盲端が肛門窩に近接している低位鎖肛で,肛門が開口していない患
- 102 -
児に対して,直腸体温計を挿入しようとして皮膚を傷つける。
例 2:術後安静に保つべき肛門に坐薬挿入や,浣腸を行う。
(3)周術期
□小児鼠径ヘルニアにおける患側の誤認
予
防
1)入院時の診察時に,患者の家族に再度,患側を確認するとともに,診療録で確認し
て,患側にマジックで印をつける。
2)手術室でも執刀直前に外来診療録,入院診療録,手術申込書のすべてによって患側
が一致していることを確認する。
対
処
1)誤って健側を手術したことが手術中の所見で判明したり,或いは終刀直後に判明し
た場合には,直ちに患者の家族に説明して承諾を得た後に,患側の処置を引き続い
て行う。
2)手術終了後に病棟あるいは外来で判明した場合には,状況を充分に説明し,再度,
本来の患側の手術を行うように丁寧に説明する。
<呼吸器>
(1)外来診療
□気管支鏡検査に伴う出血・偶発症
予
防
1)気道病変を慎重に観察し,病変と近接する肺動脈の存在を念頭において,生検及び
レーザー焼灼を行う。
対
処
1)レーザー処置では必ず気管内挿管を行い,止血処置を直ちに施行できる準備をして
おく。
2)気胸発生が疑われた場合には,胸部 X 線撮影を行い,胸腔ドレーン留置などの適切
な処置を行う。
(2)病棟診療
□気管支鏡検査に伴う出血及び偶発症
予
防
1)充分な酸素供給の可能な設備下で行う。
2)気道確保及び気道吸引の器材を準備して行う。
3)術前に出血性素因の有無をチェックする。
対
処
1)輸液ルートを確保し,必要に応じて気道確保,気道吸引,酸素投与を行う。
2)バイタルサインのモニタリングを行う。
3)必要に応じて,胸部 X 線撮影を行う。
(3)周術期
□術後の喀痰喀出障害・術後の肺炎・呼吸不全
- 103 -
予
防
1)術前及び術後早期からの呼吸器リハビリテーションを開始する。
2)術前に充分な気道浄化を行う。
対
処
1)体位ドレナージや気管支内視鏡により喀痰排出を補助する。
2)喀痰喀出障害が高度で,長期にわたることが予想される場合には,トラヘルパーの
留置や気管切開を早期に行う。
3)人工呼吸器の設定条件をきめ細かく行う。
- 104 -
【 第 二 外 科 】
<消 化 器 外 科>
(1)外来診療
□電話相談
予
防
1)相談者の住所,氏名,電話番号および応対内容を記録する。
2)再診者の場合には外来カルテに内容を記載する。
3)受診歴のない患者及び家族からセカンドオピニオンの依頼を受けた場合には,でき
るだけ書面による依頼を受ける。
□ 誤処方
予
防
1) 処方内容と処方量を患者名,登録番号と照合して確認する。
2) 薬剤部で疑義が生じた場合は,直ちに主治医に連絡してもらう。
3)院内処方と院外処方の何れかを必ず確認する。
対
処
1) すでに患者に渡された場合には,速やかに連絡し,回収する。
□ 誤処置
予
防
1) 診療録に処置内容を記載して引き継ぐ。
2) 原則として前の処置医から直接引き継ぐことが望ましい。
□ 注射(採血,静脈,筋肉)事故
予
防
1)神経症状のないことを確認した後に行う。
2)静脈内注射では血液の逆流を確認する。
□ 注射液の漏れ
予
防
1) 確実な滴下を確認したのちに抗癌剤などの入った薬液を滴下する。
対
処
1) 滴下を中止し,患部を冷却する。
2) ステロイド剤投与等の処置を行う。
□ 点滴・注射内容の誤り
予
防
1) 患者名と処方を照合して確認する。
2) 薬物アレルギーの有無を確認する。
- 105 -
3) 主治医及び看護師の両者で 1)2)を行う。
4) 注入中の状態をチェックする。
対
処
1) 投与を中止し,急変に対処する。
2) リスクマネージャー・病棟医長,診療科長に報告する。
□ 検査に対する理解不足
予
防
1) 検査の必要性と前処置について充分に説明し了解を得る。
2) 外来診療録表紙に検査予定票を添付する。
(2)病棟診療
□ 患者の急変・不測の事態
予
防
1) 救急セットの確認を怠らない。
2) 定期的に回診し,その結果を記録する。
3) 連絡網,不在時の処を徹底する。
対
処
1) 当直医,主治医は病棟医長,診療科長に報告する。
□ 患者の誤認
予
防
1) 部屋番号と氏名(フルネーム)を確認し,ベッドのネームプレートによる二重チェ
ックを行う。
□ 患者家族の誤認
予
防
1) あらかじめ患者との続柄を確認し,患者の同席が可能ならば同時に説明する。
□ 患者のアレルギー
予
防
1) 充分な問診のうえ,禁忌薬剤を診療録表紙へ朱書きする。
対
処
1) 急変への対処に準じる。
□ 患者の転落・転倒
予
防
1) ベッド周囲の柵を設置する。
2) 滑り易い場所を表示する。
- 106 -
3) 歩行訓練者の監視を行う。
□ 患者の移動
予
防
1) 安静度を確認する。
2) 酸素ボンベの残量を確認し,患者の呼吸状態を把握する。
3) ドレーン類の逸脱防止に注意を払う。
要観察者の移動に際しては,酸素飽和度モニターを付け,また,緊急蘇生具を一式持
っていく。
□ 誤処方
予
防
1) 処方内容と処方量を患者名,登録番号と照合して確認する。
2) 薬剤部で疑義を生じた場合には,直ちに主治医に連絡してもらう。
対
処
1) 患者に渡された場合には,速やかに連絡して回収する。
□ 誤処置
予
防
1) 原則として主治医が施行する。
2) 主治医より依頼を受けた医師は必ず診療録と指示簿によって処置内容を確認する。
□ 注射(採血・静脈・筋肉)事故
予
防
1) 神経症状のないことを確認した後に行う。
2) 止血を確認する。
□ 注射液の漏れ
予
防
1) 確実な滴下を確認したのちに抗癌剤などの入った薬液を滴下する。
対
処
1) 滴下を中止し,患部を冷却する。
2) ステロイド剤投与等の処置を行う。
3) 皮膚科に相談する。
□ 点滴・注射内容の誤り
予
防
1) 患者名と処方を確認する。
2) 薬物アレルギーの有無について確認する。
- 107 -
3) 主治医及び看護師の両者で 1)2)を行う。
4) 注入中の状態をチェックする。
対
処
1) 投与を中止し,急変に対処する。
2) リスクマネージャー・病棟医長,診療科長に報告する。
□ 輸血ミス
予
防
1) 2人以上で番号,患者名,血液型を確認する。
2) 投与後15?30分間は副作用の有無をチェックする。
対
処
1) 直ちに中止する。
2) 輸血部と相談する。
3) 臓器保護対策を行う。
4) リスクマネージャー・病棟医長,診療科長に報告する。
□ 前処置の不良
予
防
1) 検査手順を説明し,検査前に患者に説明書を配付する。
□ 内視鏡検査・超音波下処置(PTCD,etc)時の局所麻酔
予
防
1) 麻酔アレルギー既往の有無を問診によって確認する。
2) 局所麻酔薬の使用量に注意する(特にスプレーは高濃度であることに留意する)。
対
処
1) 処置を中止する。
2) 酸素投与,気道確保,救急処置を行う。
(3)周術期
□ 手術侵襲・術前合併症
予
防
1) 集中治療部,関係各科との連携を図り,正確な評価と前処置を行う。
□ 輸血準備
予
防
1) 出血傾向,貧血,予定出血のチェックを行う。
2) 可能な症例は自己貯血を行う。
- 108 -
□ 患者搬入
予
防
1) ネームプレート,呼名によって確認し,搬入時には主治医が同伴する。
□ チューブ・ドレーンの接続不良
予
防
1) 各々のチューブ・ドレーンに名称を記す。
2) 接続部を確認する。
3) 輸液ラインも可能な限り単純にする。
4) 人工呼吸器使用の場合には,設定条件を確認し,異常が生じた際のスイッチを確認
する。
□ チューブ・ドレーンの喪失
予
防
1) 包帯交換時に主治医と看護師が術後の図示と対比して確認する。
2) カフ圧や吸引圧については,看護師に各勤務帯での確認を指示する。
ドレーン紛失時は単純レ線にて確認する
□ せん妄症例の転倒事故
予
防
1) 充分な睡眠を確保し,患者と家族との対話を勧める。
2) 夜間監視を強化する。
対
処
1) 充分な鎮静により生活リズムの改善を図る。
2) 家族の協力を得る。
□ 肺梗塞
予
防
1) 長期臥床を防止する。
2) 下肢うっ血の予防に努める。
対
処
1) 救急処置を行う。
2) 循環器科・呼吸器科と検討を行う。
□ 栄養路の汚染
予
防
1) IVH,腸瘻部は週2回の消毒,交換を行う。
□ 感 染
- 109 -
予
防
1) 術前からの感染の有無を確認しておく。
2) 抗生剤の的確な使用を検討する。
対
処
1) 原因の除去を図る。
2) 培養結果に応じた抗生剤の検討を行う。
3) 必要に応じて患者を隔離する。
□ シリンジポンプ等の誤操作
予
防
1) 設定条件変更の際には必要ず一旦停止する。
2) 電源が切れている時には設定条件を確認して再起動する。
3) 再開後は15分以内に作動を確認する。
4) 劇薬(リドカイン等)は一旦回路を閉じてから行う。
□ モニター装置への接続不良
予
防
1) モニター装置の波形を確認する。
2) 動脈ライン刺入部と回路の開通を確認する。
□ 患者の誤認(手術時)
予
防
1) 入室後は患者のネームプレート,患者の特徴を確認する。
2) 麻酔前に呼名し再確認する。
□ アース不良による患者の熱傷(手術時)
予
防
1) 対極板を確認する。
対
処
1)皮膚科,形成外科に相談する。
□ 手術器械の数が合わない
予
防
1) 使用済の器械は器械台へ返却する。
2) コントロールリリースの針は必ず一回毎に返却する。
対
処
1)イメージ透視や X 線撮影を行う。
□ 術中の異物
- 110 -
予
防
1) ガーゼ,器具の数を確認する。
2) 場合によっては X 線撮影を行う。
対
処
1) 摘出する。
□ 圧迫による神経・循環障害(手術時)
予
防
1) 神経圧迫のない体位を設定する。
2) 下肢の循環不全がある場合には,ハドマーなどを使用する。
対
処
1) 術後の神経症状を確認する。
2) 一定期間のハドマー継続を行う。
<移 植 外 科>
(1)外来診療
□ 保険適応性
対
処
1) 保険適応外の疾患については,自費診療となることを了解してもらい,その費用に
ついても充分に説明する。
□ 緊急搬入の必要性
対
処
1)紹介病院から緊急搬入の可能性が生じた場合,直ちに集中治療部,手術部,検査部,
看護部等に連絡する。
2) その他は消化器外科の項に準じる。
(2)病棟診療
□ 円滑な実施
対
処
1) 院内体制を整備し,各診療科との綿密な打ち合わせを行う。
(3)周術期
□ 準無菌管理のトラブル
予
防
- 111 -
1) 病棟,集中治療室と協力して準無菌室を準備する。
2) ガウンテクニック,手洗いの励行を徹底する。
□ 免疫抑制治療のトラブル
対
処
1) 患者に対して術前の説明,服薬指導を行う。
2) モニタリングに関しては薬剤部と採血時間等について協議しておく。
3) 拒絶反応が疑われた場合には,病理医,肝臓内科医と協力して積極的に肝生検を行
う。
□ 使用薬剤・機器の不足(手術時)
対
処
1) 保存液,循環作動薬などは,あらかじめリストアップして手術の 3 日前までに揃え
ておく。
2) 機器については,手術の 7 日前までに業者と連絡をとって,搬入計画を立てておく。
3) その他は消化器外科の項に準じる。
<小 児 外 科>
(1)外来診療
□ 患児の誤認
予
防
1) 必ず親やその代理人とともに確認する。
□ 薬物の過剰投与
予
防
1) 体重,発育状態を必ず確認する。
2) 薬剤部で投与量に疑義を生じた場合には,直ちに主治医に連絡してもらう。
対
処
1) 速やかに服用中止を伝達する。
□ 患児の鎮静・抑制(特に採血,検査時)
対
処
1) 鎮静,抑制の必要性について家族に充分な説明を行う。
2) その他は消化器外科の項に準じる。
(2)病棟診療
- 112 -
□ 患児の誤認
予
防
1) 必ず親やその代理人とともに確認する。
2) 未熟児や幼児については,マジック或いはネームプレートを付けて確認を徹底する。
□ 薬物の過剰投与
予
防
1) 体重,発育状態を必ず確認する。
2) 薬剤部で投与量について疑義を生じた場合には,直ちに主治医に連絡してもらう。
対
処
1) 速やかに服用中止を伝達する。
□ 患児の鎮静・抑制(特に採血,検査時)
対
処
1) 鎮静,抑制の必要性について家族に充分な説明を行う。
□ 過剰/過小輸液
予
防
1) 輸液量を的確に算出する。
2) 輸液ポンプを使用し,一定量の滴下を保持する。
□ 輸液漏れ
予
防
1) 包帯,シーネ部を観察し,輸液漏れがないかを確認する。
2) 輸液滴下状況を適宜確認する。
対
処
1) 直ちに抜去し,主治医に連絡する。
2) その他は消化器外科の項に準じる。
(3)周術期
□ 患児の誤認
予
防
1) 主治医と受け持ち看護師で確認する。
2) 未熟児や幼児については,マジック或いはネームプレートを付けて確認を徹底する。
- 113 -
3) その他は消化器外科の項に準じる。
<内 分 泌 外 科>
(1)外来診療
□ 患側の誤認(化学療法,採血,検査時)
予
防
1) 手術部位を必ず確認し,問診で再確認する。
対
処
1) 直ちに中止し,反対側に設定する。
□ 薬物の誤投与
予
防
1) ルゴール等は使用目的を必ず入力する。
2) 薬剤部で疑義が生じた場合には,直ちに主治医に連絡してもらう。
3) 妊娠との関係については,外来診察時に必ず説明する。
対
処
1) 速やかに服用中止を伝達する。
2) その他は消化器外科の項に準じる。
(2)病棟診療
□ 患側の誤認(化学療法・採血・検査時)
予
防
1) 手術部位を必ず確認し,問診で再確認する。
対
処
1) 直ちに中止し,反対側に設定する。
□ 薬物の誤投与
予
防
1) ルゴール等は使用目的を必ず入力する。
2) 薬剤部で疑義が生じた場合には,直ちに主治医に連絡してもらう。
3) 妊娠との関係については,投与前に必ず説明する。
対
処
1) 速やかに服用中止を伝達する。
2) 必要に応じて産婦人科に相談する。
- 114 -
□ 患肢の拘縮予防
予
防
1) 患者に必要性を説明し,術後早期からリハビリテーションの導入を行う。
□ 内分泌・電解質異常
予
防
1) 低 Ca 血症,低 K 血症が想定される場合には,一定間隔でモニタリングを行う。
2) 特異的症状の有無についても注意深く観察する。
3) その他は消化器外科の項に準じる。
(3)周術期
□ 鏡視下手術時の創熱傷
予
防
1) 愛護的処置を行う。
2) 創縁にガーゼ或いはシーツを敷き,牽引や発熱機器による損傷を防ぐ。
対
処
1) 形成外科的手技を用いる(ステロイド,デブリドメント)。
□ ドレナージチューブ附属の金属針による医療従事者の外傷
予
防
1) 使用直前までキャップを被せ,使用後は直ちにチューブから離し,再びキャップを
被せる。
2) 決して盲目的に渡さない。
対
処
1) 直ちに処置を行う。
2) 感染症の際は,感染症対策委員会に届ける。
- 115 -
【 整 形 外 科 】
(1) 外来診療
□ 関節内注射に伴う感染
予
防
1)易感染患者(糖尿病,ステロイド服用者など)では特に注意する。
2)消毒はイソジンで広めに確実に行う。
3)当日の入浴を禁じる。
4)穿刺関節周囲の熱感,疼痛,腫張などがみられた場合には,病院に連絡ないし受診
をするように患者に説明する。
対
処
1)抗生剤の投与,排膿,洗浄を考慮する。
□ 関節内注射に伴う運動障害・知覚障害
予
防
1)関節周囲の解剖,特に神経の走行に注意する。
2)放散痛を訴えた場合には,刺入部位を変更する。
対
処
1)患者に説明し,神経学的所見,検査所見より治療方針を決定する。
□ 関節内注射に伴う出血
予
防
1)出血傾向の有無を確認する。
2)注射後に穿刺部を観察する。
対
処
1)出血が予想された場合には,しばらく観察する。
□ ギプス包帯固定に伴う循環障害・神経麻痺
予
防
1)四肢ギプスでは指趾先端を充分観察できるようにする。
2)ギプス固定後,しびれや疼痛の増強の有無を確認する。
3)患者及び家族に運動や知覚の異常,爪の血行,疼痛に注意するように説明する。異
常発生時は連絡ないし来院するように説明する。
4)腫張増強が予想される時には,シーネ固定ないし割入りギプスを装着する。
対
処
1)圧迫部位の切除,ギプスの巻き直し,あるいは除去を行う。
2)指趾の血行障害,動脈拍動の欠如,疼痛,麻痺などを認める場合にはギプスを除去
する。改善しなければ,緊急に筋膜切開を考慮する。
□ ギプス包帯固定に伴う関節拘縮
予
防
1)不必要な関節まで固定しない。とくに MP 関節には注意する。
- 116 -
2)患者へ自動運動を行う等の指導,説明を行う。
対
処
1)理学療法を行う。
□ 神経ブロック・硬膜外ブロックに伴う合併症
予
防
1)患者には充分に説明する。
2)使用薬剤によるショック,気分不良,アレルギ−などの既往の有無を必ず確認する。
□ ブロックに伴う感染
予
防
1)消毒はイソジンで広めに確実に行う。
2)清潔操作を徹底する。
3)当日の入浴を禁じる。
対
処
1)抗生剤の投与,排膿,洗浄を考慮する。
□ ブロック後の意識障害・呼吸抑制・血圧低下
予
防
1)ブロック直後はベッドで安静を保持し,意識障害が出現しないかを観察する。
2)緊急薬品,医療機材・機器を近くに準備する。
対
処
1)気道及びルートを確保し,蘇生術を行う。
□ ブロック後の上下肢の脱力
予
防
1)ブロック後は安静臥床とする。
2)脱力肢の使用を禁止する。
対
処
1)経過を観察する。
2)患者,家族に充分説明する。
3)歩行可能となるまで外来で経過を観察する。場合によっては入院も考慮する。
□ ブロック後の尿・便失禁
予
防
1)ブロック前の排尿,排便を確認する。
対
処
1)患者,家族に充分説明する。
□ ブロック後に帰宅した後の異常発生
予
防
1)深夜,休日を問わず,直ちに連絡ないし来院するように説明する。
対
処
1)なるべく来院してもらい,診察して適切な処置を行う。
□ 関節造影に伴うショック
- 117 -
予
防
1)患者には充分に説明する。
2)使用薬剤によるショック,気分不良,アレルギ−などの既往がないかを必ず確認す
る。
3)緊急薬品,医療機材・機器を近くに準備する。
対
処
1)気道及びルートを確保し,蘇生術を行う。
□ 関節造影に伴う感染
予
防
1)消毒はイソジンで広めに確実に行う。
2)清潔操作を徹底する。
3)当日の入浴を禁じる。
対
処
1)抗生剤の投与,排膿,洗浄を考慮する。
□ 関節造影に伴う神経障害
予
防
1)関節周囲の解剖,特に神経の走行に注意する。
2)患者には充分に説明する。
3)放散痛を訴えた場合には,刺入部位を変更する。
対
処
1)患者に説明し,神経学的所見,検査所見より治療方針を決定する。
(2) 病棟診療
□ 関節内注射に伴う感染
予
防
1)易感染患者(糖尿病,ステロイド服用者など)では特に注意する。
2)消毒はイソジンで広めに確実に行う。
3)当日の入浴を禁じる。
4)穿刺関節周囲の熱感,疼痛,腫張などがみられた場合には,主治医及び看護師に連
絡するように患者に説明する。
対
処
1)抗生剤の投与,排膿,洗浄を考慮する。
□ 関節内注射に伴う運動障害・知覚障害
予
防
1)関節周囲の解剖,特に神経の走行に注意する。
2)放散痛を訴えた場合には,刺入部位を変更する。
対
処
1)患者に説明し,神経学的所見,検査所見より治療方針を決定する。
□ 関節内注射に伴う出血
予
防
- 118 -
1)出血傾向の有無を確認する。
2)注射後に穿刺部を観察する。
対
処
1)出血が予想された場合には,しばらく観察する。
□ ギプス包帯固定に伴う循環障害・神経麻痺
予
防
1)四肢ギプスでは指趾先端を充分観察できるようにする。
2)ギプス固定後,しびれや疼痛の増強の有無を確認する。
3)患者及び家族に運動や知覚の異常,爪の血行,疼痛に注意するように説明する。異
常発生時は主治医,看護師に連絡するように説明する。
4)腫張増強が予想されるときは,シーネ固定ないし割入りギプスを装着する。
対
処
1)圧迫部位の切除,ギプスの巻き直し,もしくは除去を行う。
2)指趾の血行障害,動脈拍動の欠如,疼痛,麻痺などを認める場合にはギプスを除去
する。改善しなければ,緊急に筋膜切開を考慮する。
□ ギプス包帯固定に伴う関節拘縮
予
防
1)不必要な関節まで固定しない。とくに MP 関節には注意する。
2)患者へ自動運動を行う等の指導,説明を行う。
対
処
1)理学療法を行う。
□ 神経ブロック・硬膜外ブロックに伴う合併症
予
防
1)患者には充分に説明する。
2)使用薬剤によるショック,気分不良,アレルギ−などの既往がないかを必ず確認す
る。
□ ブロックに伴う感染
予
防
1)消毒はイソジンで広めに確実に行う。
2)清潔操作を徹底する。
3)当日の入浴を禁じる。
対
処
1)抗生剤の投与,排膿,洗浄を考慮する。
□ ブロック後の意識障害・呼吸抑制・血圧低下
予
防
1)ブロック直後はベッドで安静を保持し,意識障害が出現しないかを観察する。
2)緊急薬品,医材,機器を近くに準備する。
対
処
1)気道及びルートを確保し,蘇生術を行う。
- 119 -
□ ブロック後の上下肢の脱力
予
防
1)ブロック後は安静臥床とする。
2)ブロック肢の使用を禁止する。
対
処
1)経過を観察する。
2)患者,家族に充分説明する。
□ ブロック後の尿・便失禁
予
防
1)ブロック前の排尿,排便を確認する。
□ 脊椎における諸検査(脊髄造影など)に伴う合併症
予
防
1)検査前に患者,家族に充分説明する。
2)使用薬剤によるショック,気分不良,アレルギ−などの既往がないかを必ず確認す
る。
3)使用造影剤を必ず確認する。
4)補液ルートを確保する。
5)検査後2時間は安静とする。脊髄造影後は8時間安静とする。
対
処
1)経過観察を行う。
2)頭痛,嘔気,嘔吐に対しては補液を行い対症的治療を行う。
3)感染を疑う時は抗生剤の投与を検討する。
4)ショックに対しては,気道及びルートを確保し,蘇生術を行う。
□ 関節造影に伴うショック
予
防
1)患者には充分に説明する。
2)使用薬剤によるショック,気分不良,アレルギ−などの既往がないかを必ず確認す
る。
3)緊急薬品,医療機材・機器を近くに準備する。
対
処
1)気道及びルートを確保し,蘇生術を行う。
□ 関節造影に伴う感染
予
防
1)消毒はイソジンで広めに確実に行う。
2)清潔操作を徹底する。
3)当日の入浴を禁じる。
対
処
1)抗生剤の投与,排膿,洗浄を考慮する。
□ 関節造影に伴う神経障害
- 120 -
予
防
1)関節周囲の解剖,特に神経の走行に注意する。
2)患者には充分に説明する。
3)放散痛を訴えた場合には,刺入部位を変更する。
対
処
1)患者へ説明し,神経学的所見,検査所見より治療方針を決定する。
□ 四肢牽引中の循環障害・神経麻痺
予
防
1)頻回に四肢の循環状態,神経学的所見を観察する。
2)神経が圧迫され易い状態になってないかを確認する(とくに腓骨神経)。
3)四肢末梢の疼痛,知覚障害,運動障害が認められるときは,直ちに主治医,看護師
に連絡するように患者及び家族に説明する。
対
処
1)牽引状態を検討し,牽引方向,牽引肢位,牽引力などの調整を行う。
2) 著しい血行障害では,その原因を検討し,手術治療も検討する。
(3) 周術期
□ 手術部位(とくに左右)の誤認
予
防
1)手術前に複数の主治医で手術部位を確認する。
2)診療録,手術申し込み書の手術部位を再確認する。
3)執刀前に手術部位を再度確認する。
対
処
1)直ちに手術を中止し,患者及び家族に充分説明する。
□ ガーゼ・手術器具などの異物の置き忘れ
予
防
1)ガーゼ,手術器具を術前後で確認する。
2)閉創前に手術創内を確認する。
3)術後のレントゲン写真で確認する。
対
処
1)再開創して異物を除去する。
□ 術中圧迫による神経障害
予
防
1)麻酔導入後,神経圧迫が生じないような体位をとる。
2)特に腋窩部,肘部管部,腓骨頭部などには注意する。
3)腹臥位では特に眼球圧迫に注意する。
対
処
1)患者,家族には充分説明する。
2)経過観察を行う。
□ 止血帯による循環障害・神経障害
- 121 -
予
防
1)止血帯の最適圧,使用時間を厳守する。
対
処
1)患者,家族には充分説明する。
2)経過観察を行う。
□ 術後の循環障害・神経麻痺
予
防
1)頻回に四肢の循環状態,神経学的所見を観察する。
2)神経が圧迫され易い状態になってないか注意する。
3)四肢末梢の疼痛,知覚障害,運動障害が認められるときは,直ちに主治医,看護師
に連絡するように患者及び家族に説明する。
対
処
1)患者,家族に充分説明する。
2)早急に循環障害,神経麻痺の原因を検討し,適切な処置及び治療を行う。
□ 術後の患者とのトラブル
予
防
1)手術の目的,方法,危険性,有用性,合併症,麻酔の方法,危険性,輸血の必要性,
方法,危険性,術後の治療経過などを説明し,手術同意書によって患者及び家族の
同意を得る。
対
処
1)患者,家族には充分説明する。
- 122 -
【 皮 膚 科 】
(1)外来診療
□ 皮膚生検及び小手術についての同意
予
防
1) 目的,手順,効果,予想される危険性,手術創,考えられる他の診療の有無,病理
標本の学会での利用につき,充分な説明を行い,同意の署名をもらう。
□ 皮膚生検後の創部トラブル
予
防
1) 創部疼痛や出血が生じて止まらない時には直ちに病院に連絡するように説明する。
対
処
1) 止血,血腫除去等の適切な処置を適宜行う。
□ 病変部写真撮影の同意
予
防
1) 写真撮影は,病変部の変化についての記録であり,診療の一部であることを説明す
る。
2) ときに検討会や学会での使用もあり得ること,またその場合には,人物が特定でき
ない配慮をすることを説明する。
3) 1),2)の後に診療録に本人が同意した旨を記載する。
□ 外用薬の誤用
予
防
1) 各薬剤について,外用部位と1日の外用回数を処方箋に記載する。
対
処
1) 受診時に外用薬の誤用が発見された場合には再度説明する。
□ 腫瘍・疣贅に対する液体窒素による凍結療法後の皮膚障害・感染
予
防
1) 初回は凍結時間と回数を少なくする。
対
処
1) 強い疼痛や広範囲な水疱形成,皮膚壊死が生じた場合には,直ちに病院に連絡する
よう説明する。
2) 創傷処置を行う。
□ 脱毛症に対する局所免疫療法による激しい接触皮膚炎
予
防
1) 低濃度より徐々に希釈濃度を上げる。
対
処
1) 強い O'痒,紅斑,水疱などが生じたときには,直ちに医師,看護師に連絡するよ
う説明する。
2) 接触皮膚炎の場合に準じた治療を行う。
□ 光線療法後の皮膚障害
- 123 -
予
防
1) 最少紅斑量を確認し,少量のエネルギー量より光線を照射する。
対
処
1) 疼痛や紅斑が生じた時には直ちに医師,看護師に連絡するように説明する。
2) ステロイド外用剤使用などの適切な処置を行う。
(2)病棟診療
□ 皮膚生検及び小手術についての同意
予
防
1) 目的,手順,効果,予想される危険性,手術創,考えられる他の診療の有無,病理
標本の学会での利用につき,充分な説明を行い,同意の署名をもらう。
□ 病変部写真撮影の同意
予
防
1) 写真撮影は,病変部の変化についての記録であり,診療の一部であることを説明す
る。
2) ときに検討会や学会での使用もあり得ること,またその場合には,人物が特定でき
ない配慮をすることを説明する。
3) 1),2)の後に診療録に本人が同意した旨を記載する。
□ 薬物アレルギー誘発テストにおける薬疹
予
防
1) 重症型薬疹が疑われている場合には,誘発テストは原則として行わない。
2) 誘発テストは,確実な診断のための有用なテストであることと,薬疹が発症する可
能性があることを説明し,同意が得られた場合のみ,同意書に署名をもらってテス
トを行う。
対
処
1) 誘発テストはルート確保下に施行し,薬疹発症時には素早く治療を開始する。
□ 注射・処置の誤認
予
防
1) 個人別の注射及び処置表を作成する。
2) 休日等は,主治医から当直医へ文面で依頼する。
□ 外用薬の誤用
予
防
1) 個人別に処方を管理し,他の患者とは共用しない。
(3)周術期
□ 悪性腫瘍手術後の手術創に対する不満
予
防
1) 悪性であるための生命の危険性を充分に説明し,必要な大きさの手術の結果として,
大きな手術創が残ることに同意してもらう。
2) 1)の後に同意書に署名をもらう。
対
処
- 124 -
1) 手術前のデザインを示し,手術前に術後の創を理解してもらう。
□ 手術後の出血
予
防
1) ドレーン挿入を多用する。
2) 出血傾向を助長する薬剤を使用している場合には,投与を中止する。
対
処
1) ドレーンを長期に挿入する。
2) 圧迫を加える。
3) 止血剤を投与する。
□ 消毒薬による手術創の接触皮膚炎
予
防
1) 接触皮膚炎の既往がある場合には,術前に消毒薬の貼付試験を行い,かぶれない消
毒薬を使用する。
対
処
1) 術後の包交時にかぶれが発見された場合には,消毒薬を変更する。
□ 患者の誤認
予
防
1) 病室を出る時より手術室から帰室するまで,主治医が常に同伴する。
- 125 -
【 泌 尿 器 科 】
(1)外来診療
□ 経尿道的検査・処置に伴う出血
予
防
1) 愛護的操作を行う。
2) 疼痛の緩和を図る。
3) 検査,処置の内容及び合併症について説明する。
対
処
1) 激しい出血を認めた場合には,直ちに医師による診察を行う。
2) 水分を充分にとる。
□ 経尿道的検査・処置に伴う感染
予
防
1) 消毒を充分行い,清潔操作を徹底する。
2) 症例により抗生剤を投与する。
対
処
1)疼痛,発熱があれば直ちに医師による診察を行い処置をする。
□尿閉時の尿道カテーテル留置に伴う合併症
予
防
1)清潔操作で行う。
2)尿道損傷を起こさないよう無理をしない。
3)カフを膨らませる時は尿流出を確認し,膀胱内留置を確認後に行う。
4)充満した尿をゆっくりドレナージする。
対
処
1)カテーテル挿入不能の場合一時的に恥骨上より静脈留置針にて膀胱を穿刺し尿のド
レナージを図る。
2)尿道損傷が疑われれば,透視下や内視鏡下にカテーテルを留置する。
3)症例により抗生剤を投与する。
□ レントゲン・造影検査における妊婦の被爆
予
防
1) 本人に妊娠の週齢確認を行う。
2) 妊娠の可能性の確認を行う。
対
処
1) 被爆があった場合には,患者に説明して対応を話し合う。
□ 砕石位による疼痛
予
防
- 126 -
1) 神経圧迫に注意する。
2) 開脚時の筋緊張に注意する。
対
処
1) 下肢疼痛などの出現時には医師の診察を行う。
2) 体位をとる時に注意を払う。
□ 膀胱内薬液注入後の疼痛・膀胱刺激症状
予
防
1) 副作用の説明を行う。
2) 薬液注入後の決められた時間に排尿させる。
対
処
1) 発熱,激しい疼痛には医師による診察を行い処置をする。
(2)病棟診療
□ 経尿道的検査・処置に伴う出血
予
防
1) 愛護的操作を行う。
2) 疼痛の緩和を図る。
3) 検査,処置の内容及び合併症について説明する。
対
処
1) 激しい出血を認めた場合には,直ちに医師による診察を行う。
2) 水分を充分にとる。
□ 経尿道的検査・処置に伴う感染
予
防
1) 消毒を充分行い,清潔操作を徹底する。
2) 症例により抗生剤を投与する。
対
処
1) 疼痛,発熱があれば直ちに医師による診察を行い処置をする。
□ 砕石位による疼痛
予
防
1) 神経圧迫に注意する。
2) 開脚時の筋緊張に注意する。
対
処
1) 下肢疼痛などの出現時には医師による診察を行う。
2) 体位をとる時に注意を払う。
□ 膀胱内薬液注入後の疼痛・膀胱刺激症状
予
防
1) 副作用の説明を行う。
2) 薬液注入後決められた時間に排尿させる。
対
処
1) 発熱,激しい疼痛には医師による診察を行い処置をする。
- 127 -
□ 前立腺針生検後の合併症
予
防
1) 予想される合併症(出血,疼痛,急性前立腺炎など)について説明する。
2) 止血剤,抗生剤を投与する。
3) 抗凝固剤の服用有無を確認する。
対
処
1) 医師による診察を行い処置をする。
□ 経皮的腎生検・腎瘻造設に伴う合併症
予
防
1) 血尿,出血,血腫,疼痛,発熱などの起こり得る合併症を説明する。
対
処
1) 医師による診察を行い処置をする。
2) 血液検査,超音波検査を行う。
3) 局部の圧迫と安静を保つ。
□ 経尿道的膀胱生検に伴う合併症
予
防
1) 血尿,疼痛,発熱などの起こり得る合併症を説明する。
対
処
1) 主治医による診察を行う。
2) 膀胱内灌流,抗生剤の投与を行う。
3) 必要に応じて血液検査を行う。
□ 仙骨硬膜外ブロックに伴う合併症
予
防
1) 麻酔の有用性,危険性を説明する。
2) 検査日は絶飲食とする。
3) ルートを確保する。
4) 緊急薬品を準備する。
5) ブロック後は頻回にバイタルサインをチェックする。
対
処
1) 血圧低下時には昇圧剤を投与する。
2) ブロック後はベッド上で安静とする。
(3)周術期
□ 術後の膀胱留置カテーテル・腎瘻カテーテルのトラブル
予
防
1) 定期的にカテーテルのチェックを行う。
2) カテーテルの固定を確実にする。
3) 尿量のモニタリングを行う。
対
処
1) 膀胱洗浄,腎盂洗浄を行いドレナ−ジに問題がないかを確認する。
- 128 -
2) カテーテル閉塞やカテーテル位置不良があれば,カテーテルの位置調節或いは入れ
替えを行う。
□ 経尿道的手術後の血尿
予
防
1) 前立腺部の術後であれば,カテーテルの牽引を行う。
対
処
1) 膀胱洗浄を行って凝血塊を除去する。
2) 持続する血尿であれば膀胱内灌流を行う。
3) 血液検査を行って貧血の進行がないかをチェックする。
□ 腎摘後又は腎不全患者の電解質異常
予
防
1) 術後輸液に問題がないかを確認する。
2) 透析患者であれば,術前に充分な透析を行う。
3)
対
血清カリウム値がコントロールされているか確認する。
処
1) 尿量,心電図のモニタリングを行う。
2) 血液検査を行い,必要な処置を行う。
3)
高カリウム血症であれば,早急に対処し,場合によっては血液浄化療法を行う。
□ 腎移植後の免疫抑制に伴う合併症
予
防
1)周術期はマスク・ガウンにて接する。
2)
対
体温,腎部のはり感,尿量の変化に注意する。
処
1)面会を制限し,うがいを慣行する・
2)
免疫抑制剤の投与量は血中濃度などを参考にしその度指示する。
□ ESWL後の血尿・疼痛
予
防
1) 術後に輸液を行う。
対
処
1) エコーにて水腎症,血腫などを確認する。
2) 必要に応じて血液検査を行う。
3) 疼痛に対しては疼痛コントロールを行う。
□ ホルモン産生副腎腫瘍術後の電解質異常
予
防
1) 術後より計画的な補充療法を行う。
対処
1) 尿量,血圧の定時的なモニタリングを行い,定時的に血液検査を行って処置を行う。
- 129 -
【 眼 科 】
(1)外来診療
□ 転 倒
予
防
1) 視覚障害者を暗室に案内する時は手を引いてキャスターのない安定した椅子に誘導
する。
2) 障害物を除去する。
□ コンタクトレンズ検査時の眼心臓反射血圧低下
予
防
1) 時々患者に声をかけながら状態を把握しておく。
対
処
1) 安静にしてバイタルサインをチェックする。
2) モニタリングと処置を行う。
3) 後頭部を強く殴打した時は必要に応じて頭部 CT 撮影を行う。
□ 点 眼
予
防
1) 薬物アレルギーについて問診する。
2) 点眼する際,何を点眼するかを診療録に分かりやすく記載する。
3) 点眼した時刻を記入する。
4) 点眼した人のサインを診療録に記載する。
□ アトロピンによる屈折検査
予
防
1) 検査の意義,薬剤の副作用(発熱など)について充分に説明する。
2) 点眼方法に関するマニュアルを渡す。
対
処
1) 発熱などの症状があった時は点眼を中止させる。
□ 散瞳検査による緑内障発作
予
防
1) 検査の評価を徹底する。
対
処
1) 発作の可能性のある患者に対しては緊急連絡先を伝えておく。
□ レーザー治療での黄斑部誤照射
予
防
1) 照射部位の再確認を徹底する。
□ 造影眼底検査の検査前対策
予
防
1) 検査内容と合併症を充分に説明し同意書に署名して頂く。
2) アレルギー,出血傾向,抗凝固剤使用の有無を確認する。
- 130 -
3) 蛍光造影剤使用時は皮内テストを施行する。
4) 検査前に主治医が患者の氏名を呼んで確認する。
□ 造影眼底検査中のショック
予
防
1) 充分な問診を行う。
2) 開始直前に異常がないかどうかを確認する。
3) 投与開始直後に異常がないかどうかを患者に確認する。
4) 投与中,時々患者と会話をして状態を確認する。
5) 救急用具(医材,機器,薬品)を準備する。
6) 補液ルートを確保する。
対
処
1) 軽症のアレルギー反応(結膜充血,くしゃみ,嗄声,あくび,嘔気)が出現した場
合には,すみやかに抗アレルギー剤やステロイド剤を投与する。
2) 検査を中止する。
3) 救急蘇生を行う。
4) 麻酔科に連絡する。
□ 感染症患者の診察
予
防
1) 流行性角結膜炎の疑われる患者は診察室に入る前にチェックを行い,必要に応じて
専用の診察台で診察する。
2) 手洗いを徹底し,ウェルパスで消毒する。
3) 感染症の患者に共同の点眼液は使用しない。
4) 患者の座っていたシートをウェルパスで消毒する。
5) 患者に病気について充分に説明し,点眼の続行と,できるだけ人との接触を避ける
ように説明する。ただし,眼痛などの症状悪化時は来院してもらう。
6) 流行性角結膜炎に関するマニュアルを渡す。
7) MRSA が疑われる時は眼脂の培養を行う。
□ 注 射
予
防
1) 患者を確認する。
2) ボトル,シリンジに薬剤名,患者名を記載する。
3) 抗生剤を使用する場合には,皮内テストを行う。
4) 点滴速度を調節する。
5) ラインからの漏れに注意する。
6) 薬剤の定位置配置を徹底する。
□ 注射針による眼球穿孔
対
処
1) 眼圧を測定し,緊急に硝子体手術を行う。
□ 眼圧測定時の角膜上皮びらん
- 131 -
対
処
1) 問題がないことを患者に説明する。
2) 患者の訴えが強い時には,外来医長,又は指導医に相談する。
(2)病棟診療
□ 転 倒
予
防
1) 視覚障害者を暗室に案内する時には手を引いてキャスターのない安定した椅子に誘
導する。
2) 障害物を除去する。
3) 小児は柵つきベッドを使用する
4) 小児の場合,柵に頭部,手足を挟まないように留意する。
5) ベッドから転落・転倒する患者については床に布団を敷く。
□ 術後の点眼介助
予
防
1) 患者個人の点眼薬を使用する。
2) 点眼する際には,何を点眼するかを診療録に分かりやすく記載する。
3) 点眼した時刻を記入する。
4) 点眼した人の氏名を診察録に記載する。
□ 注 射
予
防
1) 患者を確認する。
2) ボトル,シリンジに薬剤名,患者名を記載する。
3) 抗生剤を使用する場合には,皮内テストを行う。
4) 点滴速度を調節する。
5) ラインからの漏れに注意する。
6) 薬剤の定位置配置を徹底する。
□ 球後麻酔による眼球穿孔
対
処
1) 降圧処置及び緊急硝子体手術を行う。
□ 感 染
予
防
1) 挿入部を観察する。
2) 定期的な消毒を行う。
3) 感染徴候に注意する。
4) 手洗いを徹底し,ウェルパスによる消毒を行う。
対
処
1) 術後眼内炎の場合は抗生剤の大量投与又は硝子体手術を行う。
2) MRSA については,病棟医長,看護師長に報告し,培養検査において3回以上の
陰性が認められるまで隔離する。
- 132 -
□ レーザー治療での黄斑部誤照射
予
防
1) 照射部位の再確認を徹底する。
□ 造影眼底検査の検査前対策
予
防
1) 検査内容と合併症を充分に説明して同意を得る。
2) アレルギー,出血傾向,抗凝固剤使用の有無を確認する。
3) 蛍光造影剤使用時は皮内テストを施行する。
4) 検査前に主治医が患者の氏名を呼んで確認する。
□ 造影眼底検査中のショック
予
防
1) 充分な問診を行う。
2) 開始直前に異常がないかどうかを確認する。
3) 投与開始直後に異常がないかどうかを患者に確認する。
4) 投与中,時々患者と会話して状態を確認する。
5) 救急用具(医材,機器,薬品)を準備する。
6) 補液ルートを確保する。
対
処
1) 軽症のアレルギー反応(結膜充血,くしゃみ,嗄声,あくび,嘔気)が出現した場
合には,速やかに抗アレルギー剤やステロイド剤を投与する。
2) 検査を中止する。
3) 救急蘇生術を行う。
4) 麻酔科に連絡する。
□ 角膜抜糸
予
防
1) 研修医の抜糸は事前に指導医が指導する。
対
処
1) 創が離開した時は再縫合,又は適切な処置を行う。
□ 硝子体内へのガス注入
予
防
1) 患者に治療方法,合併症などについて説明し,2人の医師で針先を確認して行う。
対
処
1) 水晶体損傷時は硝子体手術を行う。
(3)周術期
□ 術前点眼
予
防
1) 点眼する際には,何を点眼するかを術前処置録に分かりやすく記載する。
2) 点眼した時刻を記入する。
- 133 -
3) 点眼した人の氏名を診察録に記載する。
□ 患者搬入
予
防
1) 手術室への患者搬入は主治医が行う。
□ 手術眼の誤認
予
防
1) 診療録に赤インク,又は大きな文字で術眼,術式を記載する。
2) 斜視手術については移動距離も記載する。
□ 眼内レンズの誤認
予
防
1) 使用前に主治医,手術医,外回り看護師で確認する。
□ 球後麻酔による眼球穿孔
対
処
1) 降圧処置及び緊急硝子体手術を行う。
□ 眼内投与薬剤の誤使用
予
防
1)局所麻酔薬はシリンジに薬剤名シールを貼る。
2)薬剤によってシリンジの色を変える。
対
処
1) 直ちに眼内還流液を用いて眼内還流を行う。
□ 鎮静剤(塩酸ケタミンなど)併用時の局所麻酔手術における深麻酔
予
防
1) 血圧,心電図,経皮酸素分圧などの各種モニターを必ず使用する。
対
処
1) 異常発生時は麻酔科に連絡する。
□ 術後の眼圧上昇
対
処
1) 主治医に連絡し,眼圧測定後患者の状態に応じて高浸透圧剤などを投与する。
□ 全身麻酔後の処置
予
防
1) 麻酔医の指示に従い,術後の経過を観察する。
対
処
1)異常発生時は麻酔科に連絡する。
- 134 -
【 耳 鼻 咽 喉 科 】
(1)外来診療
□ キシロカイン使用時のショック及びショック様症状
予
防
1) 充分な問診を行う。
2) キシロカインの表面・浸潤麻酔の極量は 200mg(エピネフリン添加の場合は 500mg)
であり,1 %キシロカインは 20ml,4 %キシロカインは 5ml,1 %キシロカイン E
は 50ml を超えないようにする。
対
処
1) 気道確保,酸素吸入,静脈路確保を行い,痙攣,血圧変動などに対して適切な処置
を行う。
□ ボスミン使用時の過敏反応
予
防
1) 充分な問診(血管収縮剤過敏症の既往歴,高血圧,心不全,甲状腺機能亢進などの
有無)を行う。
対
処
1) 必要に応じて降圧剤使用も考慮する(頻脈,血圧上昇は通常数分間以内に消失する)。
□ 耳洗浄時のめまい
予
防
1) 洗浄液の温度が体温程度になっていることを確認する。
□ 処置中の迷走神経反射
対
処
1) 仰臥位とし,バイタルサインを確認する。
2) 静脈路の確保を行う。
□ イオント・フォレーゼ麻酔によるめまい,極板火傷
予
防
1) 鼓膜穿孔,ペースメーカー使用の患者には行わない。
2) 麻酔液の温度は体温程度にする。
3) 対極板が直接皮膚に触れないようにする。
□ 耳管通気による重篤な合併症(髄液漏,頭蓋内気腫)
予
防
1) 通気途中又は通気終了後の患者の訴えに充分に注意する。
2) 通気音が聞こえないからといってむやみに圧を上げない。
対
処
1) 急速に進行する意識障害や耳出血,髄液漏などを認める場合には速やかに脳神経外
科医に連絡する。
□ 使用頻度が高い併用禁忌(注意)薬剤の処方
- 135 -
予
防
1) ニューキノロン系薬と非ステロイド性抗炎症薬,マクロライド系抗生剤とアステミ
ゾール,マクロライド系抗生剤とテオフィリン,カルバマゼピン,ワルファリン等
の併用に際しては,内服薬について充分な問診を行う。
□ アスピリン喘息
予
防
1) 鼻茸,喘息発作を有する患者では,解熱消炎鎮痛薬による呼吸困難や喘息発作誘発
の既往について詳しく問診する。
2) 既往歴がなくても解熱消炎鎮痛薬は慎重に投与する。
対
処
1) 酸素投与,ボスミン皮下注又は筋注,輸液,気管支拡張薬及びステロイド剤の静注
などの適切な処置を行う。
□ 感 染
予
防
1) 耳鏡は左右で換える。
2) ポリッツェルゴム球のオリブ,オトスコープやホチキスの耳鏡部分の交換を行う。
3) チャンネル付きファイバーはチャンネル内の有機物をブラシで落とし,水, 消毒
液の順に洗浄する。
□ 視診で確認できない咽頭及び食道異物
予
防
1) 単純 X 線,CT撮影を行う。
対
処
1) 咽頭痛の増悪,頸部圧痛,熱発,嚥下困難を認める場合には直ちに病院に連絡する
ように説明する。
(2)病棟診療
□ 抗癌剤による漏出性皮膚障害
予
防
1) あらかじめ生食水などでルートをとり,血管外漏出がないことを確認した後に静脈
注射する。
対
処
1) ステロイド剤の皮下注射,アクリノール湿布,ステロイド剤の内服などの適切な処
置を行う。
□ 抗癌剤投与のトラブル
予
防
1) 診療録の指示を確認する。
2) 実際の投与量を再確認する。
□ 感染(MRSA)
予
防
- 136 -
1) 医療行為前後の手洗い(15 秒)をする。
2) ガウンテクニック,手袋の着用を徹底して行う。
□ 経管栄養剤の経静脈注入
予
防
1) 経管栄養剤注入時の栄養チューブと静脈ラインの確認を行う。
□ 鼻手術後のtoxic shock syndrome
予
防
1) 術前の抗 TSST-1 抗体価が低く,術前の鼻内検査で黄色ブドウ球菌が検出された場
合には,術前の除菌を行う。
対
処
1) 術後に急激な高熱,ショック様症状,発疹,多臓器障害が出現した場合には本症を
疑い,確定診断を待たずとも,早期に治療を開始する。
□ 気管切開・気管カニューレ交換時の気道確保
予
防
1) カフのチェックを行い,カニューレの口径が異なるものをいくつか準備しておく。
(3)周術期
□ 扁桃腺摘出術
予
防
1) 開口器をはずす時に気管チューブを抜管しないようにする。
□ ガーゼ遺残
予
防
1) 明視下に術野の再確認を行う。
2) ガーゼの枚数を確認する。
□ レーザーの使用手術
予
防
1) 術野周辺組織の損傷,挿管チューブの損傷に注意する。
2) 専用のチューブを使用し,生食水を浸したタンポンガーゼで覆う(酸素への引火に
よる火傷事故を防ぐ)。
□ 耳手術後の顔面神経麻痺
予
防
1) 麻酔からある程度覚醒した時点で顔面神経麻痺の有無をチェックする。
対
処
1) 術直後から認める場合には手術操作による直接の神経損傷であり,早急に外科手術
を考慮する。
2) 遅発性に生じる場合には手術操作,出血,感染などが原因と考えられるので,ガー
ゼタンポンを緩めて,ステロイド剤,抗生剤を投与する。
- 137 -
【 産 科 婦 人 科 】
<産
科>
(1)外来診療
□ 診察時の患者誤認
予
防
1)診察に先立ち患者番号および姓名(フルネーム)を本人に確認する。
2)診察に先立ち診察の内容,目的について患者によく説明する。
対
処
1)患者に謝罪し,適切な処置を行う。
□ 診察台からの転落・頭をぶつける
予
防
1) 診察台昇降の際,必ず医師や看護師が介助する。
2) 転倒のもとになりやすい部分,頭をぶつけやすい部分にはあらかじめ注意をうなが
す。
対
処
1) 外傷に対しては適切な処置を行う。
□ 羊水穿刺・臍帯穿刺時の検体誤認。
予
防
1)検体を入れる容器にはあらかじめラベルを貼っておく。
2)検体を容器に入れる際にはカルテ,患者本人,ラベルを照合する。
対
処
1)謝罪し,必要があれば検体を採り直す。
□ 羊水穿刺・臍帯穿刺に伴う流早産・胎児死亡
予
防
1) 胎児や胎盤を避け,安全な部位に刺入する。
2) 検査の利益と危険性についてあらかじめ患者に詳しく説明する。
□ 子宮内容除去術に伴う合併症
予
防
1) 手術の方法とリスクについてあらかじめ患者に説明する。
2)子宮を穿孔しないようじゅうぶん注意する。
対
処
1) 子宮穿孔が起きた場合には,患者に説明し,必要な処置を行う。
- 138 -
(2)病棟診療
□ 診察台での患者誤認
予
防
1) 診察に先立ち患者番号および姓名(フルネーム)を本人に確認する。
2) 診察に先立ち診察の内容,目的について患者に説明する。
対
処
1) 患者に説明,謝罪する。
□ 診察台からの転落・頭をぶつける
予
防
1) 昇降の際,必ず医師や看護師が介助する。
2) 転倒のもとになりやすい部分,頭をぶつけやすい部分についてあらかじめ注意をう
ながす。
対
処
1) 外傷があれば適切に処置する。
(3)周術期
□ 帝王切開時の児損傷
予
防
1) 子宮壁を切開する時,又は臍帯を切断する時には,児を傷つけないように慎重に行
う。
対
処
1)患者に謝罪し,必要な処置を行う。
□ 帝王切開時の児転落
予
防
1) 新生児を手渡す時には,転落させないように充分に注意する。
対
処
1) 患者に謝罪し,必要な処置を行う。
□ 術後の肺塞栓
予
防
1) リスクの高い症例には特に注意する。
2) 抗凝固療法,下肢の間欠的空気圧迫,早期離床をおこなう。
対
処
1) 集学的な集中治療を行う。
- 139 -
<婦 人 科>
(1)外来診療
□ 診察台での患者誤認
予
防
1) 診察に先立ち患者番号および姓名を本人に確認する。
2)診察に先立ち診察の内容,目的について患者によく説明する。
対
処
1) 患者に事情を説明し,謝罪する。
□ 診察台からの転落・頭をぶつける
予
防
1)診察台昇降の際,必ず医師や看護師が介助する。
2)転倒のもとになりやすい部分,頭をぶつけやすい部分はあらかじめ注意をうながす。
対
処
1) 外傷があれば適切な処置を行う。
□ 子宮内操作時の妊娠の有無確認
予
防
1) 子宮内膜細胞診,子宮内膜組織診など子宮内操作を行う際には,妊娠の有無を確認
する。
対
処
1)検査の目的と内容について患者に充分説明する。
□ 排卵誘発剤の投与に伴う合併症
予
防
1) 頻回に問診と診察を行い,多胎,卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症を充分予測
しながら対処する。
対
処
1) OHSS が発症した場合には,入院のうえ必要な治療を行う。
□ 子宮腟部内膜の細胞診・組織診に伴う子宮穿孔
予
防
1) 内診,経腟超音波断層装置により,子宮腔長,方向を予測する。
2) 無理な子宮消息子の挿入を行わない。
対
処
1) 補液ルートを確保し止血剤を投与する。
- 140 -
2) 入院の上,全身状態を観察する。
3) 開腹手術を考慮する。
□ 子宮腟部,内膜の細胞診・組織診に伴う出血
予
防
1) できるだけ出血しないように慎重に行う。
対
処
1) ガーゼによって圧迫し,安静を保持させる。
(2)病棟診療
□診察台での患者誤認
予
防
1)診察に先立ち患者番号およびフルネームを本人に確認する。
2)診察に先立ち診察の内容,目的について患者に説明する。
対
処
1) 患者に充分説明し謝罪する。
□ 内診台からの転落・頭をぶつける
予
防
1) 昇降の際には,必ず医師や看護師が介助する。
2) 転落のもとになりやすい部分,頭をぶつけやすい部分にはあらかじめ注意をうなが
す。
対
処
1) 外傷があれば適切な処置を行う。
(3)周術期
□ 砕石位による神経圧迫
予
防
1)関節にクッションを巻く。
2)患者の身体を手術台の中央におく。
3) 脚台を膝窩に無理なくフィットさせる。
4) 骨盤や下肢に無理な緊張がかからないように股関節,膝関節の位置を調整する。
5) 固定のためのレバーは手術中に緩まないように強く締めておく。
6) 手術時間を短くするよう努力する。
対
処
1) 神経麻痺の部位及び程度を把握し,必要な処置を行う。
- 141 -
【 麻 酔 科 】
(1)外来診療
□神経ブロック・硬膜外ブロックに伴う合併症
予
防
1)文書手渡しと口頭で説明を行う。
2)ブロック施行前に,全身的な合併症,出血傾向,アレルギー,神経ブロックの既往,
神経ブロックでの合併症,その他常用薬の有無を確認する。
□ブロック側(左・右)の誤認
予
防
1)患者に確認する。
2)看護師,主治医による確認を行う。
□ブロックに伴う感染
予
防
1)消毒はイソジンまたはヒビテンで広めにしっかりと行う。
□ブロック後の意識障害(血管内注入,くも膜下注入など)
予
防
1)ブロック直後はベッドサイドでの会話で異常のないことを確認する。
2)カーテンを開けた状態で臥床させ,遠くからも観察可能にする。
3)緊急薬品,医材,機器を近くに準備する。
□ブロック後の呼吸抑制・停止
予
防
1)ブロック直後の呼吸回数,呼吸パターンをベッドサイドで確認する。
2)安静中,できるだけ会話し,早期発見に努める。
3)緊急薬品,医材,機器を近くに準備する。
□ブロック後の血圧低下
予
防
1)硬膜外ブロックでは5分,15 分,30 分,45 分後に血圧測定を行う。
2)星状神経節ブロックでは5分,15 分,30 分後に血圧測定を行う。
3)他の神経ブロックでも 1),2)に準じて血圧測定を行う。
4)必要に応じて適宜,血圧測定を追加して行う。
5)緊急薬品,医材,機器を近くに準備する。
- 142 -
□ブロック後の上肢あるいは下肢の脱力
予
防
1)ブロック後は安静臥床とする。
2)脱力肢は使用禁止とする。
3)歩行可能になるまで外来で経過観察する。
4)当日は自動車運転をなるべく控えてもらう。
□ブロック後の尿・便失禁
予
防
1)ブロック前の排尿,排便を確認する。
2)本人,家族に充分説明する。
対
処
1)ブロック後の安静臥床。
□ブロックした後の帰宅後の異常発生
予
防
1)緊急電話連絡先を患者に伝えておく。
2)異常時は深夜,休日を問わず来院するように伝える。
3)当直医へ的確に引継ぐ。
(2)病棟診療
□神経ブロック・硬膜外ブロックに伴う合併症
予
防
1)文書手渡しと口頭で説明を行う。
2)ブロック施行前に,全身的な合併症,出血傾向,アレルギー,神経ブロックの既往,
神経ブロックでの合併症,その他常用薬の有無を確認する。
□ブロック後の意識障害(血管内注入,くも膜下注入など)
予
防
1)ブロック直後はベッドサイドでの会話で異常のないことを確認する。
2)カーテンを開けた状態で臥床させ,遠くからも観察可能にする。
3)緊急薬品,医材,機器を近くに準備する。
□ブロック後の呼吸抑制・停止
予
防
1)ブロック直後の呼吸回数,呼吸パターンをベッドサイドで確認する。
2)安静中,できるだけ会話し,早期発見に努める。
3)緊急薬品,医材,機器を近くに準備する。
- 143 -
□ブロック後の血圧低下
予
防
1)硬膜外ブロックでは5分,15 分,30 分,45 分後に血圧測定を行う。
2)星状神経節ブロックでは5分,15 分,30 分後に血圧測定を行う。
3)他の神経ブロックでも・,・に準じて血圧測定を行う。
4)必要に応じて適宜,血圧測定を追加して行う。
5)緊急薬品,医材,機器を近くに準備する。
□ブロック後の上肢あるいは下肢の脱力
予
防
1)ブロック後は安静臥床とする。
2)脱力肢の使用禁止とする。
□ブロック後の尿・便失禁
予
防
1)ブロック前の排尿,排便を確認する。
2)患者,家族に充分説明する。
対
処
1)ブロック後は安静臥床する。
□持続硬膜外ブロックに伴う硬膜外膿瘍
予
防
1)消毒はイソジン又はヒビテンで広めにしっかりと行う。
2)清潔操作を徹底する(compromised host,糖尿病,ステロイド使用の患者では特に
注意)。
3)必要ならば予防的に抗生剤を投与する。
4)医療従事者の手洗いを励行する。
5)カテーテル刺入部を毎日確認する。
6)感染兆候(発熱,自発痛,注入時痛),神経症状発現の有無に注意する。対処
対
処
1)抗生物質を投与する。
2)MRI にて病巣を確認する。
3)神経麻痺が高度の場合には,緊急に椎弓切除による病巣掻爬も考慮する。
□持続硬膜外ブロックに伴う硬膜外血腫
予
防
1)穿刺時に出血がみられた場合には,慎重に神経症状などの経過を観察する。
2)MRI にて病巣を確認する。
3)神経麻痺が高度の場合には,緊急に椎弓切除による血腫除去を行う。
- 144 -
(3)周術期
□患者・家族とのトラブル
予
防
1)麻酔科医は,患者との面談と診察を行うために術前の訪問を必ず行う。
2)訪問の際には,氏名を確認し,既往歴,家族歴,特異体質の有無,アレルギーの有
無,特殊薬剤内服の有無などを問診する。
3)検査成績,特記事項など必要事項を麻酔術前・術後訪問記録用紙に記載する。
4)研修医は,職位上位の指導のもとに術前訪問を行う(緊急手術,手術当日入院の場
合は,この限りでない)。
□患者の誤認
予
防
1)麻酔科医は,手術部ストレッチャープールまで患者を出迎え,病棟看護師から手術
部看護師への患者引継ぎに立ち合う。
2)氏名確認は,ネームプレート(氏名,年齢,性別,血液型が記されている)の確認
及び麻酔科医が患者自身に名前を確認することで行う。
□麻酔中のトラブル
予
防
1)麻酔を開始する前に,麻酔器の始業点検を行う。
2)麻酔呼吸回路の接続を確認する。
3)点滴回路の接続を確認する。
4)麻酔時は,血圧計,心電図,パルスオキシメーター,呼気ガスモニター(全身麻酔
時のみ),体温モニターを装着する。
5)麻酔中は長くとも5分毎にバイタルサインを確認し麻酔記録用紙に記載する。
6)筋弛緩薬にはラベルを貼り他薬剤と区別し誤投与を防ぐ。
7)主治医とともに安全な体位を確認し,長時間の同一肢位による神経障害を防ぐ。
□挿管チューブの事故抜去
予
防
1)挿管チューブが適切な位置で,テープで確実に固定されていることを確認する。
2)挿管チューブの不自然な屈曲が無いことを確認する。
□移床時のライントラブル
予
防
1)点滴,硬膜外カテーテル,体外式ペースメーカーワイヤー,導尿カテーテルなどの
ラインを確認した後に,麻酔科医の合図で移床を行う。
- 145 -
□停電
予
防
1)原則として無停電コンセントより電源を供給する。
□医療用ガスのガス漏れ,ガス切れ
予
防
1)医療ガス端末での接続部におけるガス漏れがないことを確認する。
2)緊急用の酸素ボンベのガス残量を確認しておく。
□輸血用血液バッグの誤認
予
防
1)「輸血用チェックシート」に基づいて,二人でカルテ・出庫製剤リスト・血液バッ
グ・血液型プレートについて,患者氏名・血液型・製剤名・製剤番号・有効期限・
交差適合・放射線照射の有無・外観異常の有無などを確認し,サインをする。
2)患者と血液バッグの照合後,「出庫製剤リスト」の確認・使用欄にサインして輸血
を開始する。
対
処
1)直ちに中止し,ルートを交換する。
2)急性腎不全対策,ショック対策を行う。
3)血液型を再確認する。
4)輸血部に連絡する。
5)血液バッグを保存し,輸血部に提出する。
6)主治医,診療科科長に直ちに連絡する。
□術後のトラブル
予
防
1)麻酔科医は,麻酔担当患者について術後状態を把握し,麻酔後の合併症を麻酔術前
・術後訪問記録用紙に記載する。
2)研修医は,職位上位の指導のもとに術後の訪問を行う。
(4)高気圧酸素治療
□高気圧酸素治療装置のトラブル
予
防
1)日常の始業点検を行う。
2)定期的な点検(メーカーに依頼)を行う。
□火災事故
予
防
1)火災の原因となるものの持ち込みを禁止する。
- 146 -
2)静電気を起こしやすい素材の服の着用を避ける。
□高気圧酸素治療に伴う合併症
予
防
1)説明を文書手渡しと口頭で行う。
2)治療前に,全身的な合併症,耳管機能,気胸の有無を確認する。
(5)インシデントが起こりやすい事項
□マスキュラックスと他薬剤の誤投与
予
防
1)注射器とラベルで区別する。
□麻酔呼吸回路の接続ミス
予
防
1)導入指導者もチェックする。F 回路の使用を制限する。
□点滴回路の接続ミス
予
防
1)導入前に回路の接続部分(途中,静脈留置針との接続)を確認する。
□三方活栓に残った筋弛緩薬による術後呼吸停止
予
防
1)三方活栓使用後直ちに薬液を流す,生食でフラッシュする,等を行う。
□長時間麻酔時の水分による人工鼻の閉塞
予
防
1)9 時間を目安に人工鼻を交換する。人工鼻の位置を工夫する。
□長時間の同一肢位による神経障害
予
防
1)安全な体位がとれるよう,主治医も含めて検討する。
□移床時のライントラブル
予
防
1)ハウプトによるライン確認の後に,ハウプトの号令で移床させる。
□薬剤(マスキュラックス)が溶解されず生理食塩水のみを注射
予
防
- 147 -
1)マスキュラックスの空アンプルは,薬剤ボックスの下段に収納する。
□インスリンの誤投与
予
防
1)インスリン製剤の調剤・投与は上位指導者とともに行なう。
- 148 -
【 脳 神 経 外 科 】
(1)外来診療
□ 薬剤アレルギー・薬剤重複投薬
予
防
1)薬剤アレルギーの既往,他院や他診療科から受けている投薬内容は充分に把握して
おく。
□ 薬剤量変更に伴う合併症
予
防
1) 内服薬の変更や増量を行った場合には,長期投与を避ける。
2) 体調に変化を生じた場合には連絡するように伝える。
□ 神経ブロックその他の外来処置による合併症
予
防
1) 神経ブロックを行う場合には,必ず局所麻酔薬によるアレルギーの有無を確認する。
2) 施行後は呼吸,循環状態を充分に経過観察した後に帰宅させる。
3) 腰椎穿刺,脳腫瘍に対する化学療法を行った場合には,充分な経過観察後に帰宅さ
せる。
(2)病棟診療
□ 不測の事態発生
対
処
1) 病棟医長,診療科長に報告する。
□ 患者搬送に伴うトラブル
予
防
1) 酸素を必要とする患者ではボンベ内の酸素残量が充分であるかを確認する。
2) 輸液ポンプのバッテリーを確認する。
3) 呼吸,心拍監視の必要な患者にはモニターを使用する。
4) 必要に応じて,アンビューバッグを携帯する。
□禁忌薬
予
防
1)禁忌薬については,カルテ表紙に明確に記載する。
□ 抗癌剤の血管外漏出
予
防
1) 溶解液のみでルートを確保し,輸液の血管外漏出がないことを確認後に抗癌剤を輸
液ボトル内に注入又は,輸液側管から抗癌剤をゆっくりと注入する。
対
処
1) 患部を冷却し,安静挙上する。
2) ステロイド外用剤を塗布する。
3) 皮膚科に相談する。
- 149 -
□ フェニトインの静注,急速飽和での合併症
予
防
1) 肘静脈などのなるべく太い静脈から静注し,静脈炎を予防する。
2) 急速飽和に際しては,心電図及び血圧モニター下に 50mg/min 以下の注入速度で行
う。
□ 同姓同名の患者に対する注射薬の誤認
予
防
1) 輸液ボトルなどに,患者の部屋番号と姓名を記入する。
□ ドレナージバッグ閉鎖での放置
予
防
1) ベッドに戻った後は必ずドレナージバッグの再開放を主治医及び看護師が確認す
る。
□ 輸血(凍結血漿)ミス
予
防
1) 診療録によって血液型の確認(意識清明な患者では,患者にも確認)後に,主治医
と看護師のダブルチェックにて輸血バッグの番号を確認する。
2) 凍結血漿では解凍前に2名以上で血液型とバッグの番号を確認する。
□ 腰椎穿刺の合併症
予
防
1) 検査前に出血傾向の有無をチェックする。
2) 処置は少なくとも2名以上で行い,熟達した指導医が立ち会う。
3) 下肢の麻痺,知覚障害,膀胱直腸症状に注意する。
4) 穿刺後1時間は安静を保持する。
□ スパイナルドレナージにおけるドレナージチューブ破損
予
防
1) 穿刺針を脊髄腔内に残した状態で,既に脊髄クモ膜下腔内に挿入したドレナージチ
ューブを引き抜かない。穿刺針を抜去した後にドレナージチューブを引き抜く。
□ 中心静脈カテーテル挿入後の合併症
予
防
1) 胸部 X 線にて,カテーテル位置及び血胸や気胸の有無を必ず確認する。
□ 院内感染
予
防
1) 関係者及び実習学生は院内専用の履き物を使用する。
2) 術後に家族が観察室へ入室する際には,専用の履き物を使用する。
□ 脳血管造影の合併症
予
防
1) 出血傾向,抗凝固剤使用の有無を確認する。
2) 必要に応じて穿刺部血管縫合の専用器具を用いて行う。
- 150 -
3) 検査中は,血圧の変動や意識状態の変化,局所神経症状出現の有無を定期的に確認
する。
4) 静脈血栓症及び肺塞栓症の予防については,帰室後に下肢をやや挙上し,下肢の浮
腫に注意する。また圧迫,安静時間を厳守する。
対
処
1) 患者及び家族に対して脳血管造影の目的及びリスクを充分に説明したうえで,検査
承諾書を得る。
□ ホルモン負荷検査
予
防
1) 検査前に問診を充分に行う。
2) 静脈ルートを確保し,薬剤負荷後は血圧,心拍数をチェックし,容態変化の有無を
充分に観察する。
(3)周術期
□ 手術部位の誤認
予
防
1) 皮膚切開線を描画する際に,主治医,執刀医グループで手術側を確認する。
□ 手術体位による褥瘡・皮膚損傷
予
防
1) 身体の各部位が,直接器材などに接触して血行不良を来たさないように注意する。
□手術時に使用する眼軟膏
予
防
1)手術室に眼軟膏専用の容器を準備する。
2)眼軟膏使用時に主治医が薬剤名を確認する。
□ 輸血の準備不足
予
防
1) 主治医は手術中の輸血見込み量を執刀医グループとともに充分に確認し,必要量を
準備する。
対
処
1) 術中に不測の出血が見込まれる場合には,なるべく早期に麻酔医へ連絡する。
□ 局所麻酔手術における全身管理
予
防
1) 術中は呼吸状態を把握し,意識状態のチェックを怠らない。
2) 患者に声をかけて状態をチェックする。
3) ジアゼパムを使用した場合の呼吸抑制に注意する。
- 151 -
【 形 成 外 科 】
(1)外来診療
□ 創部挿入ドレーンに伴うトラブル
予
防
1) ペンローズドレーンおよびガーゼドレーンでは,創内への迷入や脱落に注意し,部
位および数を診療録に記載する。
2)ペンローズドレーンおよびガーゼドレーンの抜去時には,抜去した数と残りの数を
確認し,診療録に記載する。
3)ペンローズドレーンを切って使用する場合には,X 線に不透過な箇所を使用するこ
とを守る。
対
処
1)X 線撮影によりドレーンの位置を確認し,創内へ迷入した場合には,麻酔下に摘出
する。
□ 鼻腔内へのタンポンガーゼ挿入に伴うトラブル
予
防
1)挿入側および挿入枚数の記録を診療録に記載する。
対
処
1)枚数に違いを生じた場合には,鼻鏡などにより直接確認する。
□ 処置ならびに手術説明の際の皮膚へのマーキング
対
処
1)治療上必要であることを説明し,マーキングの前に同意を得たうえで,行う。
2)説明が終了した後には,必ずマーキングを消す。
□ 病変部写真撮影の同意
対
処
1) 診療以外の目的には使用しないことを撮影前に患者及び家族に充分説明する。
2) 説明内容と得られた同意内容を診療録に記載する。
□ ケロイド・肥厚性瘢痕に対するステロイド剤注射後の感染
予
防
1) 消毒はポビドンヨードで広く,充分に行う。
2) 注射当日の入浴は避ける様に指示する。
対
処
1) 注射部位に発赤を認めた場合には,医師,看護師に連絡するように患者へ説明する。
□ 包帯を強く巻過ぎたことに伴う循環障害・褥瘡
予
防
1) 適切な圧で巻く。
2) とくに伸縮包帯では,スポンジパッドを当てた上に包帯を巻くように心掛ける。
対
処
- 152 -
1) 疼痛や皮膚の色調変化を生じた場合には,直ちに医師,看護師に連絡するように説
明する。
2) 包帯を解除し,適切な圧で巻き直す。
□ ギプスシーネ固定に伴う循環障害
予
防
1) 四肢ギプスでは,手指及び足趾先端を充分観察できるようにしておく。
2) 患者及び家族へ皮膚や爪の色を定期的に確認するように説明する。
3) とくに小児では,機嫌不良などが訴えの場合もあるので注意する。
対
処
1) 直ちに医師,看護師に連絡するように説明する。
2) 皮膚の蒼白,動脈拍動の欠如,持続的な疼痛,指趾の他動運動時の疼痛及び麻痺が
ある場合には,直ちにギプスを除去する。
□ ギプスシーネ固定に伴う褥瘡
予
防
1) 固定時に一部分の過剰な圧迫が加わらないようにする。とくに関節部や骨の突出部
では,慎重に確認を行う。
対
処
1) 直ちに医師,看護師に連絡するように説明する。
2) ギプスシーネの除去と褥瘡部の処置を行う。
□ ギプスシーネ固定に伴う神経障害
予
防
1) ギプスシーネ固定後,しびれや疼痛の増悪の有無をチェックし,あれば直ちに除去
し,再度固定し直す。
対
処
1) 直ちに病院に連絡するように説明する。
2) ギプスシーネを除去する。
□ 顎間固定中の気分不良や嘔吐
予
防
1) 顎間固定中には,なるべく安静を指示する。
2) 過激なスポーツを避けるように指示する。
対
処
1) 嘔吐時には,顎間固定用のゴムやワイヤーを切離できるようにハサミ等を近くに置
いておく。
(2)病棟診療
□ 創部挿入ドレーンに伴うトラブル
予
防
1) 陰圧ドレーンでは,確実に廃液後の陰圧を確認する。
2) ペンローズドレーンおよびガーゼドレーンでは,創内への迷入や脱落に注意し,部
位および数を診療録に記載する。
- 153 -
3)ペンローズドレーンおよびガーゼドレーンの抜去時には,抜去した数と残りの数を
確認し,診療録に記載する。
4)ペンローズドレーンを切って使用する場合には,X 線に不透過な箇所を使用するこ
とを守る。
対
処
1)X 線撮影によりドレーンの位置を確認し,創内へ迷入した場合には,麻酔下に摘出
する。
2)ペンローズドレーンの抜去時には,抜去した数と残りの数を確認し,診療録に記載
する。
□ 鼻腔内へのタンポンガーゼ挿入に伴うトラブル
予
防
1)挿入側および挿入枚数の記録を診療録に記載する。
対
処
1)枚数に違いを生じた場合には,鼻鏡などにより直接確認する。
□ 乳幼児の抜糸に伴うトラブル
予
防
1) 乳幼児では,押さえ付けて抜糸することが多いため,不用意に他の部位を押さえ付
け過ぎないように注意する。
対
処
1) 必要に応じて鎮静剤や麻酔薬等を使用する。
□ 唇裂・口蓋裂児における鼻腔栄養チューブの気道内挿入
予
防
1) チューブの位置は胃内への空気注入音で確認する。初回は微温湯を注入する。
□ 処置ならびに手術説明の際の皮膚へのマーキング
対
処
1)治療上必要であることを説明し,マーキングの前に同意を得たうえで,行う。
2)説明が終了した後には,必ずマーキングを消す。
□ 病変部写真撮影の同意
対
処
1) 診療以外の目的には使用しないことを撮影前に患者及び家族に充分説明する。
2) 説明内容と得られた同意内容について診療録に記載する。
□ 包帯を強く巻過ぎたことに伴う循環障害・褥瘡
予
防
1) 適切な圧で巻く。
2) とくに伸縮包帯では,スポンジパッドを当てた上に包帯を巻くように心掛ける。
対
処
1) 疼痛や皮膚の色調変化を生じた場合には,直ちに当直医に連絡するように説明する。
2) 包帯を解除し,適切な圧で巻き直す。
- 154 -
□ ギプスシーネ固定に伴う循環障害
予
防
1) 四肢ギプスでは,手指及び足趾先端を充分観察できるようにしておく。
2) 患者及び家族へ皮膚や爪の色を定期的に確認するように説明する。
3) とくに小児では,機嫌不良などが訴えの場合もあるので注意する。
対
処
1) 直ちに医師,看護師に連絡するように説明する。
2) 皮膚の蒼白,動脈の拍動の欠如,持続的な疼痛,指趾の他動運動時の疼痛や麻痺が
ある場合には,直ちにギプスを除去する。
□ ギプスシーネ固定に伴う褥瘡
予
防
1) 固定時に一部分の過剰な圧迫が加わらないようにする。とくに関節部や骨の突出部
では,慎重に確認を行う。
対
処
1) 直ちに医師,看護師に連絡するように説明する。
2) ギプスシーネの除去と褥瘡部の処置を行う。
□ ギプスシーネ固定に伴う神経障害
予
防
1) ギプスシーネ固定後,しびれや疼痛の増悪の有無をチェックし,あれば直ちに除去
し,再度固定し直す。
対
処
1) 直ちに病院に連絡するように説明する。
2) ギプスシーネの除去を行う。
□ 顎間固定中の気分不良や嘔吐
予
防
1) 顎間固定中には,なるべく安静を指示する。
対
処
1) 嘔吐時には,顎間固定用のゴムやワイヤーを切離できるようにハサミ等を近くに置
いておく。
□ 切断肢指の再接着や血管柄付き遊離組織移植後の血流障害
予
防
1) 一定時間毎に血流チェックを確実に行う。
対
処
1) 虚血や鬱血などの障害が発生した場合には,直ちに再手術を行う。
□ 保存皮膚の再使用時の誤認
予
防
1) 保存皮膚の容器に患者情報(氏名,患者番号,採取日,採取部位等)を明記する。
2) 一定期間(採取後2∼3週間)を過ぎたものについては患者の承諾を得た後に廃棄
- 155 -
する。
(3)周術期
□ 腋窩神経ブロック時の血腫
予
防
1) 穿刺時に血管を確実に避ける。
□ 各種神経ブロック時の穿刺による神経障害
予
防
1) なるべく細い注射針を使用する。
□ 塩酸ケタミンなどの鎮静剤併用時の局所麻酔手術における深麻酔
予
防
1) 血圧,心電図,経皮酸素分圧などの各種モニターを必ず使用する。
□ 止血帯使用時の循環障害・神経障害
予
防
1) 上肢で 1 時間,下肢で 1.5 時間以上の使用を避ける。
□ 手術後の出血および血腫
予
防
1) 手術後の定期的な診察
2) 創周囲および留置ドレーンの確認
対
処
1) 全身状態の確認(貧血の有無)
2) すみやかな止血および血腫除去術
- 156 -
【 心 臓 血 管 外 科 】
(1)外来診療
□ 術前検査におけるインフォームドコンセント
予
防
1) 輸血後感染症のリスクと,術前に感染症の有無を確認することが必要なことを説明
し,同意を得た旨を診療録に記載する。
□ 造影検査の合併症(CT,静脈造影など)
予
防
1) 造影剤アレルギーの既往,腎機能障害の有無を確認する。
2) 心不全,腎不全の合併例では検査入院も考慮する。
対
処
1) 異常を認めた場合には中止し,急変に対処する。
□ 自己血採血におけるインフォームドコンセント
予
防
1) 採血前に感染症の有無のチェックが必要なことを説明する。
2) 心不全症状のある患者では主治医が付き添い,採血時の急変に備える。
対
処
1) 異常を認めた場合には中止し,急変に対処する。
(2)病棟診療
□ 血管造影のトラブル
予
防
1) 検査前に抗凝固薬,抗血小板薬を中止する。
2) 検査終了後は充分な圧迫により皮下血腫予防を行う。
3) 高齢者や腎機能低下症例では,検査後に輸液行うなどして尿量確保に留意し,検査
後は腎機能をチェックする。
4)検査終了後,四肢の血流を定期的にチェックし,血栓形成などによる急性動脈閉塞
の早期発見につとめる。
□ 循環作動薬使用時のトラブル
予
防
1)カテコラミン,血管拡張薬等の循環作動薬は適正な量で用いるように,薬液濃度,
投与量を充分に確認する。
2) 循環作動薬のルートと,他の静注薬抗生剤などのルートは別に確保する。
3) カテコラミンの急速投与を防ぐため,作動薬の点滴本体の速度を変えないように留
意する。
対
処
1) 不整脈,血圧低下,心停止等の急変に対処する。
□ 抗凝固薬・抗血小板薬によるトラブル
- 157 -
予
防
1)術中出血のコントロールのため抗凝固薬,抗血小板薬は術前 5 ∼ 7 日前までに中止
しする。
2) 不安定狭心症や左房内血栓を伴う心房細動症例などでは必要に応じてヘパリン投与
に切り替え
る。
対
処
1) 投与中止から手術までの日数が短い場合,待機可能な病状であれば手術を延期する。
ワーファリン投与例ではビタミンKによる拮抗を行う。
2) 手術待機中の不安定狭心症の増悪や心筋梗塞の発症については病状,病変に応じて
インターベンション,緊急手術などを行う。
3) 左房内血栓による脳梗塞,四肢の急性動脈閉塞などの合併症に対して迅速に対処す
る。
□ ヘパリン使用時のトラブル
予
防
1)薬効確認のため ACT (activated clotting time) をチェックし,出血傾向や,血栓症,
塞栓症の発症を防止する。
対
処
1)出血傾向についてはヘパリンの減量或いは中止を行い,血小板,血液凝固系に異常
がないかを
チェックする。
2) 血栓症,塞栓症に対して迅速に対処する。
□ 誤注射・誤点滴
予
防
1) 点滴すべき患者を間違わないように施行前に確認する。
2) 薬剤の定位置配置を徹底し,注射内容は必ず主治医,看護師双方で確認してから投
与する。
3) 点滴内容及び点滴速度を確認する。特に循環作動薬の微量点滴の点滴速度に注意す
る。
4) 患者に投与内容を通知し,投与開始後何か自他覚症状に変化があれば報告するよう
に説明する。
5) 微量点滴の場合,輸血ポンプ,シリンジポンプを使用して点滴量を調節する。
6) 点滴ラインの漏れや末梢ルートからの漏れの有無に注意する。
7) 抗生剤点滴の場合には,皮内テストでアレルギーの有無を確認する。
8) 筋肉内注射の場合には,神経損傷に注意する。
9) 薬物をシリンジに入れたら直ちに薬剤名をシリンジに記載する。
10) 静脈注射,点滴終了後は充分な圧迫止血の確認を行う。
対
処
1) 直ちに主治医に報告し,薬量の是正或いは投与を中止する。
- 158 -
2) 自覚症状,身体所見をチェックする。
3) 病状に応じて治療を行い,患者及び家族に充分説明する。
(3)周術期
手術のインフォームド・コンセントについては,発生しうる合併症につき臓器ごとに
説明を行う。
□心不全
予
防
・
対
処
1)SWAN−GANZカテーテルを挿入し,前負荷と後負荷の適正化を図る。カテコ
ラミン投与にて低心機能に対する治療不充分な場合は,IABP(大動脈内バルー
ンパンピング)およびPCPS(経皮的補助循環装置)にて対応する。
2)周術期心筋梗塞予防のため術中の心筋保護液潅流および空気混入予防には細心の注
意を払う。また心電図の変化,心筋逸脱酸素の推移に留意しながら,不整脈および
低心拍出量症候群の予防につとめる。
3)術後出血に対しては,ヘパリンの適正な中和,体外循環やIABPに伴う血小板減
少に注意を払い,胸部X線における縦隔・心陰影の拡大,静脈圧・動脈圧の推移に
留意しながら,ドレーン管理を行う。外科的処置が必要な場合は再開胸止血術を行
う。
4)
不整脈予防のため,電解質異常,薬剤の過剰投与等の誘因の除去につとめ,抗不
整脈剤,ペースメーカー等にて,術後の至適心拍数となるよう管理を行う。また不
整脈によっては,オーバードライブペーシング,心マッサージ,電気除細動にて対
応する。
- 159 -
□脳障害
予
防
1)術前にCT,MR等にて充分な評価を行い,術中は空気塞栓,アテロームによる脳
梗塞および体外循環に伴う脳出血の発生予防につとめる。
対
処
1)脳梗塞急性期および脳出血急性期の治療に準じて対処する。
□肺傷害
予
防
1)術前に呼吸機能の評価を行い,周術期は人工呼吸器および回路のチェックならびに
血液ガス検査,胸部X線検査,呼吸音にて呼吸状態のチェックを行う。
2)
対
気道内吸引,体位変換,タッピング等にて肺炎の予防を行う。
処
1)
心不全等の原因治療と同時に,感受性テストに基づいた抗生剤投与を行う。
2)
人工呼吸器管理が長期におよぶ場合は気管切開下に管理を行う。
3)
大量の胸水が原因で呼吸不全をきたしている場合はドレナージを行い対処する。
□肝機能障害
予
防
1)薬剤による肝負荷傾向を認めた場合は,抗生剤等の薬剤の中止・変更を行い,薬剤
性肝障害予防につとめる。
2)
対
中心静脈圧が高い場合は容量軽減をはかり,うっ血性肝障害予防につとめる。
処
1)重症肝障害をきたした場合は,血漿交換を施行し毒性物質の除去および欠乏因子の
補充をはかる。
□腎機能障害
予
防
1)尿量を維持し,かつ症例に応じた適切な前負荷を維持するように,輸液量と利尿剤
を調節する。
対
処
1)重症腎機能障害症例に対しては,血液浄化による炎症性メディエーターおよび尿毒
症物質の除去を行い対処する。
□ 術後縦隔血腫・心タンポナーデ
予
防
1)縦隔血腫による心臓の圧迫を防ぐため,術中止血を確認し,有効なドレナージが可
能な位置にドレーンを留置する。
2) 出血が持続する症例ではドレーン内で血液が凝固しないように頻繁に観察し,ミル
キングを行う。
対
処
1)術後縦隔陰影の拡大,心拍出量低下,中心静脈圧上昇,頻脈などの所見がみられた
場合には縦隔血腫,心タンポナーゼを疑い心エコー,CT で確認する。
- 160 -
2)術後早期で充分な画像診断ができない場合でも循環動態から評価し,迅速に再開胸,
ドレナージ等の処置を行う。
□ 術後縦隔炎
予
防
1) 術中の清潔操作に充分留意する。
2) 重症心不全で開胸による術後管理が必要な症例では点感染の危険が高いので,炎症
所見やドレーン排液の性状を注意深く観察し,培養検査や必要に応じた CT による
確認を行う。
対
処
1) 感染巣のデブリードメントを行った後に,除菌が確認されるまで縦隔洗浄を定期的
に行う。
□ 人工心肺のトラブル
予
防
1) 開心術では多種類の回路を使用するため,区別しやすいように術野では回路の整理
を行う。
2) 回路の遮断や切断を行うときは正しい部位であることを確認する。
3) 回路の屈曲,空気の混入による脱血不良に注意する。
□ 患者搬送時の事故
予
防
1)ドレーン,カテーテル類は搬送中に抜けないようにしっかり固定し,ドレーンの接
続部はタイガンで補強する。
2) 移床の際はドレーン,カテーテル類の長さに充分な余裕をとっておく。
3) 酸素ボンベ,カテコラミンに充分な残量があることを確認し,モニター,IABP の
充電を行う。
4) 機器の代替品をすぐに使用できるように常に準備しておく。
- 161 -
中 央 診 療 部 及 び 中 央 施 設
【 検 査 部 】
1. 生理検査及び採血
(1)共通事項
□ 患者への感染
予
防
1) 器具の清拭,滅菌消毒を行う。
2) 器具の細菌汚染状況をチェックする。
3) 検者の手洗い消毒を行う。
4) 申込用紙で感染性疾患の有無をチェックする。
5) MRSA,多剤耐性菌,帯状疱疹,感染性皮膚疾患,クロイツフェルト・ヤコブ病
などの感染症の場合には,患者に直接触れる電極や器具類などはディスポーザブル
にする。
6) 排菌を認める結核患者に対する呼吸機能検査は行わない。
□ 患者の誤認
予
防
1) 患者にフルネームで名乗ってもらい,生年月日で確認する。
2) 同姓同名に注意する。
3) 聴覚障害や言語障害等の患者には適応可能な手段を講じる。
□ 患者の気分不良及び事故
予
防
1) 患者に話しかけ安心感を持たせる。
2) 検査や採血時に気分が悪くなったことがあるかを聴取する。
3) 幼児の場合はベットからの転落に注意する。
対
処
1) 横臥してもらい安静にする。
2) 直ちに主治医に連絡を取る。
3) 医師を必要とする場合には,検査部医師当番表に基づき当番医師に連絡する。
4) 緊急性が高い場合には,直ちにハートコールシステム(内)3333に連絡する。
5) 緊急用として緊急カートを常備する。
□ 患者へのインフォームドコンセント
対
処
1) 検査の目的を説明する。
2) 患者に対して検査内容を充分に説明する。
3) 患者の緊張,不安感,恐怖感を取り除く。
4) 患者の協力がなければ正確な検査が出来ないことを伝える。
5) 検査中や検査後に異常を感じた場合には我慢せずに訴えるように伝えておく。
(2)循環器検査
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□ 運動負荷検査の事故
予
防
1) 慎重に適応の決定を行う。
2) 必ず主治医の立ち会いを求める。
3) 安静時 12 誘導心電図を記録して負荷前の状態を把握する。
4) 負荷前に血圧を測定して状態を把握する。
5) 中止徴候を熟知し,徴候が現れたら直ちに検査を中止する。
対
処
1) 横臥してもらい安静にする。
2) 医師が必要な場合には,検査部医師当番表に基づき当番医師に連絡する。
3) 緊急時には,直ちにハートコールシステム(内)3333に連絡し,心肺蘇生法を
行う。
(3)脳波・筋電図検査
□ てんかん患者の発作
予
防
1) 検査前に患者の体調や服薬状況を確認しておく。
対
処
1) 直ちに主治医に連絡をする。
2) 医師を必要とする場合には,検査部医師当番表に基づき当番医師に連絡する。
3) 緊急性が高い場合には,直ちにハートコールシステム(内)3333に連絡する。
4) 過換気発作を誘発した場合に備えて紙袋を備えておく。
□ 精神科患者の精神状態不穏
対
処
1) 主治医又は看護師に付き添ってもらう。
2) 事前に患者の状態を病棟に問い合わせて検査に耐えられるかどうかを確認してお
く。
□ 睡眠脳波検査の事故
予
防
1) 薬剤による睡眠脳波検査後はなるべく車椅子やストレッチャーで帰室させる。
2) 眠剤使用の小児睡眠脳波検査では睡眠中の小児の呼吸に注意する。
3) 小児睡眠脳波検査は検査後も薬剤の影響が残ることがある。付き添いの両親等に説
明し転倒等の事故を防止する。
対
処
1) 直ちに主治医に連絡する。
2) 医師を必要とする場合には,検査部医師当番表に基づき当番医師に連絡する。
□ 使用済み針電極による感染事故
予
防
1) 針電極は滅菌したもの又はディスポーザブルなものを使用する。
対
処
- 163 -
1)直ちに主治医に連絡する。
2)検査部リスクマネージャーに連絡する。
(4)呼吸機能検査
□ 呼吸機能検査の事故
予
防
1) 申込書により患者の状態をチェックする。
2) 申込書の既往歴及び感染症の有無の欄は必ず確認し,記載がない場合には主治医に
確認する。
3) 必要に応じて血圧を測定する。
4) 患者の顔色や容態に注意する。
5) 患者の咳,喀痰,呼吸困難,胸痛,喘鳴などに注意して過度に力ませない。
6) 検査による呼吸状態の悪化が予想される場合や,理解ができない患者の場合には,
主治医の同伴を要請する。
7) 全ての項目について検査できない場合には,必要最小限の項目についてのみ行う。
8) 発熱している患者,気胸のある患者,喘息発作が中等度以上で検査によって状態が
悪化し重篤化する危険性のある患者,意識障害の認められる患者に対する検査は行
わない。
対
処
1) 直ちに主治医に連絡する。
2) 医師を必要とする場合には,検査部医師当番表に基づき当番医師に連絡する。
3) 緊急性が高い場合には,直ちにハートコールシステム(内)3333に連絡する。
(5)採血業務
□ 消毒用アルコールに対する過敏反応
予
防
1) 患者より消毒用アルコールに対する過敏反応の既往の有無を聴取する。
対
処
1) ポピドンヨードを使用する。
□ 針刺し事故
予
防
1) リキャップをしないでそのまま専用の容器に捨てる。
2) リキャップする場合には,キャップを机の上に置いて片手ですくい上げて注射針に
被せる。
対
処
1) 針刺し事故が起きた場合には,直ちに血液を絞り出し流水で洗浄して応急処置を行
う。
2) 感染の有無に拘わらず ,「針刺し・切創事故報告書(エピネット日本版 )」を総務
課人事係へ提出する。
2. 検体検査
(1)共通事項
- 164 -
□ 検体の誤認
予
防
1) 検体ラベルの検査室名,患者名,日付,容器名,緊急マーク,コメントの確認及び
検体の種類を確認する。
2) 自動分注装置を利用し,手分注をなくす。
□ 異常データ
予
防
1) 臨床検査ガイドブックに則って検体を提出してもらう。
対
処
1) 前回値と比較する。
2) 異常値及び前回値と著しい差違がある場合は再検を行う。
3) 検体採取時の状態,検体の保存状態,服薬状況を診療科に確認する。
4) パニック値及び顕著な異常値は診療科へ直ちに報告する。
5) 検体取り違えの可能性がある場合は,検体を再提出してもらう。
□ 分析装置の異常によるデータの異常
予
防
1) 機器の点検,整備,定期的部品の交換を行う。
2) 内部精度管理を行う。
3) 外部精度管理を行う。
対
処
1) 分析機を修理後再測定を行う。
(2)臨床化学検査
□ 血中アンモニアの異常高値
採血後の室温放置や長時間経過した検体は高値となることを考慮する。
予
防
1) 提出された検体は直ちに測定する。
2) 氷冷していない検体は診療科に採血時間を確認する。
3) 必要な場合は検体の再提出を依頼する。
□ M蛋白の誤認
溶血によるヘモグロビンや血漿(ヘパリン療法や体外循環を行った患者血液の場合)
を検体とした場合のフィブリノーゲンをM蛋白と誤認することがある。
予
防
1)検体を充分凝固させる。
2)溶血検体はできるだけ使用しない。
対
処
1) 自動電気泳動装置の解析プログラムを使用する。
2) セルロースアセテート膜の分画位置を確認する。
3) 検体の確認を行う。
4) 必要な場合は検体の再提出を依頼する。
- 165 -
□ 搬送システムでの異常低値
フィブリン析出によるサンプル不足の可能性。
予
防
1) 充分凝固している検体のみ遠心分離する。
2) 検体の観察を行い浮遊物は取り除く。
3) フィブリン析出検体は竹串でフィブリンを搾り取り再度遠心分離を行う。
4) フィブリン析出を繰り返す場合には長時間放置するか,項目を確認して凝固促進剤
を使用する。
対
処
1) 他の項目に低値傾向があるかどうかを確認する。
2) 前回値を確認する。
3) 検体にフィブリンの析出があるかどうかを確認する。
4) 既に自動確定済みの場合は結果の取消しと誤ったデータであることを診療科に連絡
する。
5) 再検を行う。
□ 保存検体における異常値
凍結保存検体を溶解後,混和不充分で検体に濃度差がある状態で検査を行った場合に
異常値を認めることがある。
予
防
1) 室温又は水浴中で充分に溶解する。
2) 容器の先端部分まで混和されている事を確認しながら,ゆるやかに10回以上転倒
混和する。
対
処
1) 検体の再提出を依頼する。
2) 既に自動確定済みの場合は結果の取消しと誤ったデータであることを診療科に連絡
する。
(3)血液検査
□ 検体凝固による異常値
予
防
1) 検血用検体及び凝固検査用検体はゆっくり2∼3回転倒させ微小凝固の有無を確認
する。
対
処
1) 検体を再度採取してもらう。
2) 血小板低値の場合には血液塗抹標本で凝集の有無を確認する。
3) 既に自動確定済みの場合には結果の取消しと誤ったデータであることを診療科に連
絡する。
□ 血球計数装置の異常コメント及び異常スキャッタグラムが出た場合
予
防
1) 検体が凝固しないようにすみやかに採血を行い,抗凝固剤との転倒混和を確実に行
- 166 -
う。
対
処
1) 他の血球計数装置で再測定を行う。
2) 血液塗抹標本で細胞形態の確認を行う。
3) 明らかに異常が有る場合には診療科へ連絡する。
□ 同一患者におけるMCVの変化(検体取り違えのチェック項目)
予
防
1) 患者及び検体の取り違えをなくす。
対
処
1) 他の血球計数装置で再測定を行う。
2) 血液塗抹標本で細胞形態の確認を行う。
3) 明らかに異なる場合には,採血の状況や検体に誤りがないかを診療科に問い合わせ
る。
□ 赤芽球の出現
対
処
1) 血液塗抹標本で赤芽球が多数出現している場合には,白血球数の補正を行う。
2) 既に自動確定済みの場合には結果の取消しと誤ったデータであることを診療科に連
絡する。
□ 検体の紛失
予
防
1) 血液検査室の検体は,外観では検査実施済か未実施かの判断が付かないため,検体
保存場所を確実に分ける。
対
処
1) 検体を再度採取してもらう。
□ 凝固検査検体の採血量不適
予
防
1) 真空採血管で採血中は,血液の流入が止まるまでは採血管を抜かない。
2) 注射器で採血した場合には,黒凝固採血管に血液を 1.8ml(白線まで)正確に入れ
る。
対
処
1) 採血量が 2.0ml(白線)± 0.3ml 以外の時は再提出を依頼する。
(4)免疫血清検査
□ 血清及び血漿補体価の異常低値
予
防
1) 分離した検体は速やかに検査するか−20℃以下に保存する。
2) 凍結検体は融解することなく−20℃以下に保存する。
□ 乳び検体における免疫グロブリンの異常高値
予
防
1) 検体をフリーゲン処理後測定する。
- 167 -
□ 寒冷凝集反応の異常低値
予
防
1) 血清分離前の検体を低温(20℃以下)に放置しない。
2) 低温(20℃以下)で判定を行う。
(5)微生物検査
□ 異常データ
予
防
1) 器具は滅菌したディスポーザブルな器具を使用する。
2) 処理液及び希釈液等は雑菌の増殖を防ぐため分注後直ちに保冷する。
3) 培地はオートクレーブを用い,121℃で15分間滅菌する。
4) 標準菌株を毎日検査し培養環境,試薬,機器の精度管理を行う。
5) 抗酸菌の検鏡を行う場合には,陰性・陽性コントロールと対比する。
対
処
1) 前回の培養成績,検鏡所見,患者背景を確認する。
2) 検鏡所見と培養成績が異なった場合には,その原因追求と同時に検鏡の確認及び培
養の再検査を行う。
3) 新規ガフキー陽性患者の場合には,前回の成績をチェックし,2名以上の技師で確
認するとともに感染対策委員を通じて主治医に連絡する。
□ 技師の感染
予
防
1) 検体の前処理はゴム又はプラスチック手袋を着用し,安全キャビネット内で行う。
□ 環境の汚染
予
防
1) 検査後の検体及び使用済み培地等はオートクレーブを用い121℃で30分滅菌後
感染性廃棄物として処理する。
□ 赤痢菌,腸チフス菌,パラチフス菌等(2類感染症)及び腸管出血性大腸菌(3
類感染症)が検出された場合
対
処
1) 担当者→主任→主治医へ直ちに連絡する
2) 担当者→主任→技師長→感染対策小委員会→感染対策委員会へ直ちに連絡する。
(6)遺伝子検査
□ 病原体の飛散・自己感染に関するバイオハザ−ド
予
防
1) 検体の取り扱いは必ず安全キャビネット内で行う。
2) 感染エリア(DNA 抽出操作まで)と非感染エリア(DNA 抽出操作以後)とに作業
場所を区分する。
3) 感染エリアから非感染エリアへ移る場合は検体容器の外側を必ず次亜塩素酸ナトリ
ウム液で清拭する。
- 168 -
4) 感染エリアでの作業中は,テフロン製エプロン,ラテックス製グロ−ブ,タイプN
95微粒子用マスク,保護メガネを使用する。
5) 非感染エリアへ移る場合は,必ず殺菌済み着衣と交換する。
6) 手指はテゴ51又は消毒用アルコールで消毒する。
7) 器具は2%次亜塩素酸ナトリウム液で消毒する。
対
処
1) 広域殺菌剤(ステリハイド,アノン300,次亜塩素酸ナトリウム液など)で清拭
後噴霧する。
□ PCR増幅産物の汚染
予
防
1) 測定操作工程別に,検体処理室,試薬調整室,増幅検出室と3部屋に分けて着衣を
替える。
2) 測定試薬は自然界のDNAには存在しないウラシルを用いて増幅を行う。
3) 測定毎に増幅前にウラシル−Nグリコシダ−ゼ(UNG)反応を行い,汚染による
PCR増幅産物は完全に分解する。
□ 測定上の誤差
予
防
1) 分析毎に陰性及び陽性検体をコントロ−ルとして必ず測定する。
2) 検体毎に内部コントロ−ルを入れ,内部コントロ−ルが陽性の場合にのみ陰性及び
陽性の判定を行う。ただし内部コントロ−ルが陰性の場合でも検体の測定値が陽性
の場合は陽性と判定する。
3) 分析検体の臨床情報を入手し検体の誤認をなくす。
□ 処理済検体による病原体汚染
予
防
1) 処理済検体は121℃20分以上オートクレーブ滅菌又は1%次亜塩素酸ナトリウ
ムに一晩以上浸漬する。
2) 滅菌後は感染性廃棄物として廃棄する。
3. 事故発生時の対応
対
処
1) 不測の事故が発生した場合には,医療事故発生時の連絡体制に従って連絡する
担当技師→主任→技師長(副技師長)→部長(副部長)へ直ちに連絡する。
□ 血球計数装置の異常コメント及び異常スキャッタグラムが出た場合
予
防
1) 検体が凝固しないようにすみやかに採血を行い,抗凝固剤との転倒混和を確実に行
う。
対
処
1) 他の血球計数装置で再測定を行う。
2) 血液塗抹標本で細胞形態の確認を行う。
- 169 -
3) 明らかに異常が有る場合には診療科へ連絡する。
□ 同一患者におけるMCVの変化(検体取り違えのチェック項目)
予
防
1) 患者及び検体の取り違えをなくす。
対
処
1) 他の血球計数装置で再測定を行う。
2) 血液塗抹標本で細胞形態の確認を行う。
3) 明らかに異なる場合には,採血の状況や検体に誤りがないかを診療科に問い合わせ
る。
□ 赤芽球の出現
対
処
1) 血液塗抹標本で赤芽球が多数出現している場合には,白血球数の補正を行う。
2) 既に自動確定済みの場合には結果の取消しと誤ったデータであることを診療科に連
絡する。
□ 検体の紛失
予
防
1) 血液検査室の検体は,外観では検査実施済か未実施かの判断が付かないため,検体
保存場所を確実に分ける。
対
処
1) 検体を再度採取してもらう。
□ 凝固検査検体の採血量不適
予
防
1) 真空採血管で採血中は,血液の流入が止まるまでは採血管を抜かない。
2) 注射器で採血した場合には,黒凝固採血管に血液を 1.8ml(白線まで)正確に入れ
る。
対
処
1) 採血量が 2.0ml(白線)± 0.3ml 以外の時は再提出を依頼する。
- 170 -
【 手 術 部 】
(1)患者誤認
□手術前日
1)担当看護師は術前訪問の患者面接時に面識を得て,患者の外見的特徴を把握する。
2)訪問後患者の外見的特徴,看護上の注意点などを同じチームの看護師にも伝達し,
複数の者で確認できるようにする。
3)同日に同姓同名の患者や,類似した姓名の患者の手術が予定されている場合は,
手術部スタッフに周知させる。
□手術当日
1)患者が搬送されて来たら看護師長や回復室担当看護師は,患者本人に氏名を名乗
ってもらい,認識票(血液型プレート)・手術予定表で確認し,担当看護師に伝え
る。
2)患者をハッチウエイ・更衣室入り口等の患者受けの場所へ誘導する。
3)受け持ち患者が搬入されてきた事を確認した担当看護師・担当麻酔医は患者受け
の場所で受ける。この際,患者本人に氏名を名乗ってもらう。それが不可能な場合
は病棟看護師・主治医に患者の氏名・診療科名を確認する。
4)病棟看護師からの申し送り時,患者とカルテ・フイルム・その他持参品などが間
違っていないか,手術申し込み票を見ながら確認する。
5)手術室へ搬送する直前に,再度患者本人に氏名を名乗ってもらい,更に認識票で
患者本人であることを担当麻酔医・担当看護師と共に確認する。
6)手術室内で術者が患者確認後,担当麻酔医は麻酔を開始する。
7)手術体位固定は,術者が必ず手術部位を確認してから麻酔医・看護師と共に行な
う。
8)小児の場合は,患者受けの場所まで保護者に同伴してもらい患者を確認する。
9)聴力障害のある患者・言語障害のある患者・意思疎通困難のある患者の場合は,
特に注意して確認を行なう。
10) 前投薬が施行されている患者のでは,前投薬の作用を考慮し患者の確認には特に
注意する。
□手術後
1)患者迎えの連絡時は,診療科名・患者氏名を必ず伝える。
(2)輸血事故予防
血液製剤の取り扱い※輸血施行時は病院のマニュアルに準ずる。
□T&Sになっている場合
1)血液型を確認する。
2)申し込む量を主治医・麻酔医に確認する。
3)輸血部に連絡し,手術部へ届けてもらう。
4)輸血処方箋がない場合は,後で主治医が記入する。
- 171 -
□輸血が不足して追加する場合(時間内)
1)血液型を確認する。
2)申し込む量を主治医・麻酔医に確認する。
3)輸血部へ連絡する。その際科名,患者名,血液型,種類,量,クロスマッチ用血
液の有無を確認する。
4)クロスマッチ用の血液が必要な場合,検体を輸血部まで看護助手に届けてもらう。
5)クロスマッチ,照射終了後,輸血部より手術部まで届けられる。
□緊急手術時,病棟で血液製剤を申し込んである場合
1)原則として,病棟の医師や看護師が患者と一緒に持参する。
2)手術終了後,残った血液製剤は,主治医が持ち帰らない場合は,そのまま手術部
に残して置いてよい。
3)使用しなかった血小板は持ち帰る。
□時間外の血液製剤の搬入
1)主治医がクロスマッチ申し込み用紙を記入し,クロスマッチ用の検体を持って救
急部(検査室)へ行き,検査技師へ依頼する。
2)クロスマッチ・照射終了後の血液製剤を,病棟医師か看護師より届けてもらう。
3)持参した血液製剤と交叉適合用紙を照合し,確認後受け取る。
□FFP以外の血液製剤の持ち帰り
1)MAPは必ず病棟で使用する場合にのみ持ち帰る。手術部より持ち出した血液製
剤は返品できないので,早急に使用しない場合は血液製剤は出さない。
※翌日の9:00までクロスした血液製剤は手術部にある。
2)科名,患者名,血液型を確認する。
3)主治医に量,種類を確認する。
4)交叉試験合格書の1枚を添えて渡し,血液製剤のナンバ−を確認する。
5)輸血用処方箋に手術室→病棟へと書いておく。
6)自己血のMAP・FFPは必ず持ち帰ってもらう。
□FFPについて
1)病棟への持ち帰り
1) 原則として持ち帰りは出来ない。
(退出時,確実に使用する場合は1∼2パックのみ持ち帰ってよい。しかし輸血用処方
箋は病棟で書いてもらう。)
2)申し込みをせず使用する場合
1) ストックから使用することが出来る。後で,主治医は輸血用処方箋を記入する。
3)ストックがない場合
1) 時間内は,手術部スタッフが輸血部へ連絡し届けてもらう。
2) 時間外は,主治医か同科の医師が輸血処方箋をFAXで日赤血液センタ−へ送る。
3) 同科の医師はFFPを救急部へ取りに行き,手術部へ届ける。
4)破損があった場合
- 172 -
1) 解凍後に破損があった場合,そのまま袋に入れ(破損、0月0日、0時)と記入して
監視室の机においておく。輸血部へも連絡する。
2) 一度フリーザーから取り出したFFPは戻すことはできない。
□血小板について
1)定時の手術の場合は,術前に処方箋が提出してあり返品できない。
使用時に,改めて処方箋を書く必要はない。
2)緊急で必要な場合は、主治医か同科の医師が日赤血液センターへ連絡する。
3)手術室に届き使用するまでは,監視室のダブルシェイカーにかけておく。
4)未使用時は必ず持ち帰ってもらう。
□その他
1)MAPを血液保冷庫より取り出すときは,科名・患者名・血液型を確認する。
2)FFPを冷凍庫より取り出すときは,血液型を確認しノートに記入する。
3)血液を取り出した後は、ドアが閉まっていることを必ず確認する。
4)巡視時は、ドアが閉まっていること,温度の確認を行う。
(3)体内異物
□カウントの手順
1)器械出し看護師は,最初に器械台に準備している器械・ガーゼ・生食ガーゼ・手
拭・針・セット物をカウント用紙に記載された数と照合し確認する。
※その際,器械のネジの有無や破損がないかも確認する。
2)カウントが終了したら,ガーゼ・生食ガーゼ・手拭の枚数・針の数・ベッセルテ
ープ・テフロンテープ・ツッペルの数を外回り看護師へ報告する。
3)外回り看護師は,報告された数をカウント用紙に記入する。
4)術中に追加された器械の名称・数・ガーゼの枚数を器械出し看護師,外回り看護
師共にカウント用紙に追加記入する。
5)閉創に入る前(創部洗浄後)に ,“カウントしましょう”と声かけを行い,一回
目のカウントを行う。
※声かけは本来医師から行うべきであるが,誰が行っても良い。お互いに言える人間
関係が必要である。
6)医師は術野の不要な器械・ガーゼを器械出し看護師へ戻し,術創の中を充分確認
する。
7)器械出し看護師は器械台・術野にある器械等をカウントし,ガーゼ・生食ガーゼ
・手拭の数を外回り看護師へ声出し報告する。
8)外回り看護師は,不潔になっている器械の名称・数・ガーゼの枚数をカウントし,
器械出し看護師へ報告する。
9)器械出し看護師は器械の数を,外回り看護師はガーゼ・生食ガーゼ・手拭の数を
“OK”か“NO”を声出し報告する。
10)完全に閉創する前に,上記の5)6)7)8)と同じ手順で二回目のカウントを
- 173 -
行う。
11) 手術終了後,患者が手術部を出るまでに,器械出し看護師は器械・ガーゼの最終
カウント(三回目)を行う。
※医師は鏡視下手術の場合,セット物・ポート類をカウントする。
※“NO”の場合は、医師・看護師共に再確認する。それでも,“NO”の場合はレン
トゲン撮影を行い,器械類の遺残がないことを確認する。
12) ガーゼ・器械・針・カウント記録用紙の確認医師の欄へ医師はサインをする。
□手術器械等の確認(全診療科共通)
1)原則としてすべての手術器械をカウントする。
2)レントゲン不透過物もカウントする。
3)手術終了までに最低2回カウントし、最終確認として患者が手術部を出るまでに器
械出し看護師が3回目のカウントを行う。
4)鏡視下手術に使用する鉗子類は医師と看護師で数・破損の有無等を確認する。
5)不要の器械は器械出し看護師へ戻し,ガーゼはキックバケツへ入れるか器械出し
看護師へ戻す。
6)ガーゼを腹腔内や胸腔内に入れたままにしておく場合,執刀医はガーゼの枚数・
場所を回りの医師・看護師へ伝える。閉創時には医師が責任を持って取り出す。
7)テープ類は切らない。
8)針は持針器につけて受け渡しすることを厳守する。針がなくなった場合は,その
時点で探す。
9)閉創時,手術器械等のカウントが間に合わない場合,カウント終了まで閉創しな
い。
10) ICUに入室する患者については,胸・腹部レントゲン撮影を手術室で行う。
カウントが“OK”であっても主治医の判断で,手術後レントゲン撮影を行うことも
ある。
※詳細な取り決めについては各診療科との話し合い事項に従う。
□第1外科
開
創
手
術
1)開胸・開腹手術時は,閉創前に手術器械・ガーゼ・レントゲン不透過物を2回カ
ウントする。
2)甲状腺手術時はデクーゼガーゼを使用しカウントする。手術器械・レントゲン不
透過物はカウントしない。
3)乳腺腫瘍手術時はデクーゼガーゼを使用し,手術器械・ガーゼ・レントゲン不透
過物をカウントする。
- 174 -
4)開創器・セット器械等は定数確認後,使用する。定数確認は器械出し看護師又は
医師が行う。
5)ベッセルテープは切らない。
6)ネジの紛失・手術器械破片の紛失時は医師・看護師共に探す。
7)一時止血等にガーゼを体腔内に留置する場合,医師の責任のもと取り出す。但し,
枚数・留置場所を看護師に伝えた場合,看護師は閉創前に医師へ確認を促す。
8)針は持針器につけて受け渡しする。
9)不要の器械は,その都度器械出し看護師へ戻す。
10) ガーゼはキックバケツへ入れるか器械出し看護師へ戻す。
11) 医師は腔内洗浄前,術野のガーゼ・手術器械を全て器械出し看護師へ戻す。
12) 医師はカウントが“OK”になるまで閉創しない。
13) 開胸・開腹手術時は閉創後,全症例レントゲン撮影を行い,最終カウントとする。
14) 閉創後レントゲン撮影にて異物遺残の確認を行う為,3回目のカウントは行わな
い。
15) 局所麻酔手術の場合,ガーゼ・手術器械・レントゲン不透過物のカウントは行わ
ない。
※器械カウント対象物品
外科基準セット開胸セット食道開胸セット小手術セット
縫合針注射針
レントゲン不透過物
造影チューブ
シリコンガーゼ
シリコンシート(緑:腸班)
ネラトン
膵管チューブ
コンドーム
ヘモクリップ
RTBDチューブ
輪ゴム(腸班:TEM)
テフロンテープ
ラッププロテクター
ビニール袋
ツッペル
ベッセルテープ
綿テープ
※注射器はカウント外とする。
鏡
視
下
手
術
(
第
1
外
科
)
1)胸腔鏡手術・腹腔鏡手術のガーゼ・手術器械カウントは開胸・開腹手術のカウン
トに準ずる。
2)鏡視下手術器械は,使用前後に破損・欠損などがないか,必ず医師と共に確認す
る。
3)切ったデクーゼガーゼを,胸腔内・腹腔内に入れた場合や取り出す場合は,医師・
看護師共に声出し確認を行う。
4)手術器械・ガーゼカウントが確実に“OK”になってから閉創する。
5)トラカール・ポート類は内筒と外筒が対になっていることを,使用前後に医師・
看護師と共に確認する。外筒(ソフトタイプ)を切った場合は,切った部分と必ず
照合する。
- 175 -
□第二外科
開
胸
・
開
腹
手
術
1)ガーゼ・針・手術器械・レントゲン不透過物のカウントは・執刀前・閉創時(ガ
ーゼカウントは2回以上)・終刀後に行う。
2)手袋のタルクを落とした後のガーゼは,キックバケツに入れるか,器械出し看護
師に戻す。
3)途中で交代する場合は,追加した手術器械や使用しているガーゼ(例:標本用,
輪ゴムの変わりに手術器械を止めている場合,レトラクターの鉤に付けている場合)
など詳細に申し送る。
※術野から降りている標本については,標本の数・ガーゼの枚数を保管している
袋から取り出して,申し送る看護師と申し送られる看護師2人で確認する。
4)外回り看護師は,閉創時のガーゼカウントの前に使用後の束ねていて10枚ガー
ゼを再度カウントする。
5)ガーゼを体腔内に入れて置く場合は,ガーゼの枚数・置いた場所を医師・看護師
へ報告し,共に把握する。外回り看護師はカウント用紙の備考欄へ記入する。
6)使用したガーゼはキックバケツに入れるか,器械出し看護師へ戻す。
7)不要な手術器械は,器械出し看護師へ戻す。
8)ベッセルテープ・テフロンテープは切らずに使用する。
9)針は持針器につけて受け渡しする。針が無くなった場合は,その時点で探す。
10) 閉創時のガーゼ・器械カウントが間に合わない場合,術者はカウント終了まで閉
創しない。
11) 閉創前にガーゼ・器械類が体内に残っていない事を確認する。備考欄に記入した
挿入ガーゼもチェックする。
12) 器械出し看護師がいない場合は,医師が外回り看護師と共にカウントを行う。
13) 手術終了後レントゲン撮影を行い,体内に異物が遺残していない事を確認する。
甲
状
腺
・
乳
房
手
術
1)ガーゼはデクーゼガーゼを使用する。
2)甲状腺・乳房手術は,針・デクーゼガーゼ・レントゲン不透過物(ツッペル・ベ
ッセルテープ・テフロンテープ)についてもカウントを行う。
3)術者の判断で手術終了後,レントゲン撮影を行う。
肝
移
植
術
1)ドナー手術は通常の開腹手術と同様のカウントを行う。
2)レシピエント手術は手術器械(鋼製小物)はカウントは行わない。レントゲン不
透過の手術器械類・針はカウントを行う。
※閉創直前にレントゲン撮影にてガーゼ・手術器械の遺残なきことを確認する。
鏡
視
下
手
術
(
第
2
外
科
)
- 176 -
1)胸腔鏡・腹腔鏡手術のガーゼ・手術器械のカウントは,開胸・開腹手術のカウン
トに準ずる。
2)鏡視下手術の使用前後に,破損・欠損などがないか,必ず医師・看護師と共に確
認する。
3)切ったデクーゼガーゼを胸腔内・腹腔内に入れる場合や取り出す場合は,医師・
看護師と共に声出し確認を行う。
4)手術器械・ガーゼカウントが“OK”になってから閉創する。
5)トラカール・ポート類は内筒と外筒が対になっている事を,使用前後に医師・看
護師と共に確認する。外筒(ソフトタイプ)を切った場合は,切った部分と必ず照
合する。
6)鏡視下補助下甲状腺手術は,デクーゼガーゼを使用しカウントを行う。終刀後,
医師の判断でレントゲン撮影を行うこともある。
□小児外科(第1外科・第2外科共通)
1)開胸術,開腹術,鏡視下手術はガーゼ・手術器械・針のカウントを行う。
2)鼠径ヘルニア根治術,精巣固定術,肛門形成術,ポーターカット挿入及び抜去術,
気管支・食道ファイバー下手術はガーゼ・手術器械カウントは行わない。但し,針
・ツッペル・ベッセルテープ・テフロンテープはカウントを行う。
3)ベッセルテープ・テフロンテープは切らずに使用する。
4)体腔内に一時止血の為にガーゼを置いた場合,器械出し看護師・外回り看護師へ
置いた場所・枚数を報告する。外回り看護師はカウント用紙に記録しておく。
5)カウント時,術者は術野のガーゼ・手術器械を器械出し看護師へ戻す。
6)ガーゼ・手術器械のカウントが“OK”になってから閉創する。
7)執刀医は,カウント用紙へカウント“OK”確認のサインを行う。
□心臓血管外科
1)開心術(心嚢内操作のみの場合,CABGで正中切開し開胸になった場合を含む)
は,デクーゼガーゼ・別記の手術器械などをカウントする。
2)開胸・開腹を伴う開心術,開腹術の場合は,デクーゼガーゼ・コンテナの手術器
械・追加した手術器械をカウントする。
3)F−F・F−Pバイパス術・ストリッピング術の場合,デクーゼガーゼ・手術器
械はカウントを行わない。但し,針・ブルドック・テフロンテープ・ベッセルテー
プ・スーチャーブーツはカウントを行う。
※創が深くなった場合レントゲン撮影を行う。
4)終刀後レントゲン撮影を行う為,3回目のガーゼカウントは行わない。
5)手術器械はレントゲン不透過物が多い為,3回カウントを行う。
6)カウントが間に合わない場合は医師に協力してもらう。
- 177 -
7)器械出し看護師なしで手術を行う場合は,医師がカウント業務を行う。
※心嚢内操作時カウントする物
布鉗子短曲モスキート短直コッヘルブルドック(直・曲)
テフロンテープベッセルテープスーチャーブーツルメル
ビニールタニケット通しビニールタニケットディスポシリンジ
ネラトンタニケット27G注射針サーフロ針三方活栓
アオルタクランプ用ラバーIMA用開胸器(小2個)縫合針
塩酸パパベリン注入針スポイト先(ネラトン)洗濯ばさみ
人工血管用サイザーパクレン
コロナリーセット(ソフトジョウ,ベビーブルドック)
※開胸・開腹手術時にカウント追加する物
デリケート鑷子長直ドゥベーキ鑷子A弁フック大動脈弁鉤
僧帽弁鉤クーリー鉤心房鉤血管鉗子(6本組)
パンチャー
※心嚢内に残存する可能性がない為,カウントは行わない物
送血管脱血管ドボンベントカテーテル逆行性カニューラ
コロナリーカニューラ大動脈カニューラY字アダプター
コネクター
□整形外科
ガ
ー
ゼ
カ
ウ
ン
ト
1)全麻・脊麻下の症例は全てカウントを行う。鏡視下手術・局麻手術は行わない。
但し,関節鏡に引き続き行われる鏡視下手術は行う。例外時は麻酔手術申込表にそ
の旨記入する。
2)カウントは執刀前・最終洗浄時・閉創前の3回行う。
3)関節鏡の場合は,開始前・終了前に術者が行う。
4)術前カウントが終了するまで執刀しない。
5)コード類の固定には輪ゴムを使用する。但し,イルリガートルには水滴落下防止
のためガーゼを使用する。
6)不要のガーゼは,その都度キックバケツに入れるか器械出し看護師へ戻す。シー
ツの間や器械ポケットなどに入らないように注意し,術野のガーゼ整理に術者・看
護師共に心がける。
7)キックバケツ以外の場所に落ちた場合,その都度外回り看護師へ報告する。
8)術者はガーゼを深部に挿入する場合,周囲の医師・麻酔医・看護師に報告し,必
ずコッヘルを付ける。外回り看護師はカウント用紙にメモしておく。カウント時,
術者は必ず取り出して報告し,外回り看護師のメモと照合する。
9)ガーゼの使用は必要最小限を心がけ,ライトハンドルが不潔になった場合は,ガ
ーゼを使用せず,その都度ライトハンドルカバーを交換する。
10) 最終洗浄に限り,手の空いた術者が洗浄の介助を行う。
- 178 -
11) カウントの声かけは術者が行う。
12) カウント時,術野の不要なガーゼはキックバケツに入れるか,器械出し看護師へ
戻す。
13) カウントが“OK”になるまで閉創しない。
14) カウントが合わない場合,手術の進行を止め術者も協力して探す。“OK”になら
ない場合は,イメージでの確認かレントゲン撮影にて確認す。
15) ガーゼカウントを行う症例は,原則として術後レントゲン撮影を行う。
手
術
器
械
カ
ウ
ン
ト
1)下記の物はカウントを行う。
針セット手術器械レントゲン透過物(ツッペル,サーフロ針,ベッセルテープ,
テフロンテープ)
THA……骨頭トライアルライナートライアル
TKA……インナートライアルパテラトライアル
※カウント時は器械破損などの確認も行う。
2)関節鏡・局麻手術はセット器械・針のカウントを術者が行う。ネジの数・破損等
も確認する。
3)カウントは執刀前・最終洗浄後・閉創前の3回行う。
4)術前のカウントが終了するまで執刀しない。
5)手術器械は術野に貯めずにその都度,器械出し看護師へ手渡しする。
6)手術器械が落ちた場合,種類・場所を外回り看護師へ報告する。
7)カウントが“OK”になるまで執刀しない。
8)カウントが合わない場合,手術の進行を止め術者も協力して探す。
9)吸引嘴管カバーはレントゲン不透過性チューブを使用する。
10) 術者の判断で,術後レントゲン撮影を行う。
□形成外科
顔
面
手
術
1)コンテナの基本手術器械はカウントしない。
2)オベゲッサーセット・上顎下顎セット・平野先生セット・エスカラップボーンソ
ーセットは数の確認を行う。
3)スクリュー・プレートは納品伝票と照合し,器械出し看護師と外回り看護師とで
種類・数を確認する。
4)デクーゼガーゼを使用するが,カウントは行わない。
5)コメガーゼやタンポンガーゼの代わりに,X−P感応線入りベンシーツを使用し,
カウントする。
6)ベンシーツの糸やデクーゼガーゼは切らない。
7)手術終了後,レントゲン撮影し異物遺残の有無を確認する。
- 179 -
広
背
筋
皮
弁
・
乳
房
再
建
術
な
ど
の
皮
弁
形
成
手
術
1)コンテナの基本手術器械は,術野に出した物をカウント用紙にチェックしておき,
手術終了時にそれらのみカウントする。
2)デクーゼガーゼを使用するが,カウントするか否かは,術者が判断する。
3)ベッセルテープはカウントする。
マ
イ
ク
ロ
手
術
1)マイクロクリップセット・マイクロセットの確認とカウントは,術者と器械出し
看護師と共に行う。
2)器械出し看護師がいない場合は,術者と外回り看護師と共に行う。
3)手術開始・交代時・手術終了時に,数を確認しカウント用紙に記入する。
4)手術終了時は,使用したクリップの種類・数を術者と器械出し看護師と共に確認
し,“クリップOK”とカウント用紙に記入する。
5)MQAは,柄付きのものを使用しカウントする。
6)ベッセルテープはカウントする。
唇
裂
・
口
蓋
裂
手
術
1)コンテナの基本手術器械は,カウントしない。
2)白ガーゼを使用し,カウントしない。
3)タンポンガーゼは10枚単位で準備し,使用後は所定のコップにもどす。
4)手術中はガーゼを切らない。
5)針は必ず持針器に付けて受け渡しを行う。
□脳神経外科
1)術者は,ベンシーツ・綿球・むし綿・タンポンガーゼを直視下・マイクロ下で確
認し,看護師はカウントしない。
2)器械出し看護師は,縫合針・目無し針を執刀前・終刀時にカウントする。
3)針は必ず持針器に付けて受け渡しを行う。針が紛失した場合は,直ちに確認作業
を行う。
4)交代時は申し送る看護師・申し送られる看護師と共に,針の種類・数を見ながら
申し送る。
5)頭皮クリップは脳内に入ることはないのでカウントしない。
6)スクリュー・プレートは使用前に納品伝票と照合し,器械出し看護師と外回り看
護師とで種類・数を確認する。
7)スクリュー・プレートを使用したら,器械出し看護師はその都度外回り看護師へ
報告する。終刀時は,使用数・残数を器械出し看護師と外回り看護師とで確認する。
8)交代時は申し送る看護師・申し送られる看護師と共に,スクリュー・プレートの
種類・数を納品伝票と照合しながら申し送る。
- 180 -
9)器械出し看護師は使用前にドリル類の種類・数・破損の有無を確認し,始業点検
を行う。破損した場合は,必ず破片を照合し,外回り看護師へ報告する。
10) 器械出し看護師は使用前・使用後にマイクロセットの種類・数・破損の有無を確認
する。破損した場合は,必ず破片を照合し,外回り看護師へ報告する。
11) 交代時は申し送る看護師・申し送られる看護師と共に,マイクロセットを確認し
ながら申し送る。
12) 術者は内視鏡の使用前の確認,使用後の洗浄・ケース収納までを行う。
13) コンテナの基本手術器械はカウントしない。
14) 閉創時は術者・器械出し看護師と共に異物遺残の有無を直視下で確認する。
□産婦人科
開
腹
術
1)デクーゼガーゼ・手術器械・針は終刀までに 2 回,患者が手術部をでるまでに 1
回,計 3 回カウントする。
2)単純摘出術・準広汎術・広汎術は,後腹膜を閉じる前に 1 回カウントし,閉創ま
でに最低 2 回カウントする。
3)デクーゼガーゼはキックバケツに入れるか,器械出し看護師へ戻す。
4)不要な手術器械は器械出し看護師へ戻す。
5)カウントが“OK”になるまで閉創しない。
6)緊急帝王切開時,執刀前にカウント出来なかった場合,術後のレントゲン撮影は
術者の判断に任せる。
7)サクションボール・ツッペル・アビテンスプレーのノズル等の,レントゲン透過
物はカウントする。
8)器械出し看護師がいない場合は,術者・外回り看護師と共にカウントを行う。
シ
ロ
ッ
カ
ー
術
・
ア
ウ
ス
・
円
錐
切
除
術
1)膣式単摘術時は,開腹に準じたカウントを行う。その他の手術時は,白ガーゼを
使用し,カウントしない。
2)術後,腟内へガーゼを挿入する場合,術者は器械出し看護師・外回り看護師へ挿
入したガーゼ枚数を報告する。
3)外回り看護師は,挿入したガーゼ枚数を病棟看護師へ必ず申し送る。
腹
腔
鏡
1)デクーゼガーゼ・コンテナの基本手術器械は最低 2 回カウントする。
2)鉗子の種類・数・ネジ・破損の有無を術者・器械出し看護師と共にカウントする。
3)カウントは,執刀前・術者が鉗子等を受け取った時・終了時の 3 回行う。
4)器械出し看護師がいない場合は,術者・外回り看護師と共にカウントする。
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□泌尿器科
開
腹
手
術
1)下記の物はカウントを行う。
手術器械デクーゼガーゼ針ツッペルテープ注射器
3号ネラトンサーフロ針
2)テープ・ネラトンは切らない。
3)不要なデクーゼガーゼは,キックバケツに入れるか,器械出し看護師へ戻す。
4)不要な手術器械は,その都度器械出し看護師へ戻す。
5)腎移植用の潅流セットは,医師・器械出し看護師と共にカウントする。
6)閉創前に2回,閉創後に3回目のカウントを行う。
7)カウントが“OK”になるまで閉創しない。
8)手術終了後,レントゲン撮影を行い,異物遺残の有無を確認する。
腹
腔
鏡
1)デクーゼガーゼ・ラパーゼ・ポート(対である )・鉗子のカウントを術者.器械
出し看護師と共に行う。
2)鉗子のネジ,破損の有無を術者・器械出し看護師と共に確認する。
3)腹腔鏡補助下手術の場合は,開腹術・腹腔鏡手術に準じてカウントする。
膀
胱
鏡
・
T
U
R
1)手術終了時,術者・器械出し看護師と共に,手術器械を分解し,鉗子類の数・ネ
ジ・破損の有無を確認する。
シ ャ
ン ト 手
術
1)シャントセット・スーチャーブーツ・テープ・針を術者・外回り看護師と共に確
認する。
2)テープはシャントセットに6本いれる。
3)テープは切らない。
そ
の
他
1)停留精巣の場合は,針のみカウントする。開腹した場合は,術者の判断でデクー
ゼガーゼ・手術器械のカウントを行う。
2)尿道下裂の場合は,針のみカウントする。
□眼科
1)器械出し看護師は,使用する全ての手術器械を,執刀前・終刀時にカウントし,
外回り看護師へ報告する。
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2)硝子体プラグ・アイリスレトラクターは術者・器械出し看護師と共に声だし確認
する。
3)ドルク・グリスハーバー社の硝子体用器械は,術者が破損等の有無を顕微鏡下で
確認する。
4)針は持針器に付けて受け渡しを行い,術野から戻ってきた針は,スポンジに必ず
刺しておく。
※マイクロ持針器はロックできないので,針が落ちないよう注意する。
5)器械出し看護師は,終刀前に使用した針の数を,最終チェックする。
6)腫瘍手術に使用する綿球は,総数・術野に出した数・戻ってきた数を器械出し看
護師がカウントする。
7)緑内障手術時(MMC使用)はMQAを適当な大きさに切って使用するため,術
野に出した数・戻ってきた数を器械出し看護師がカウントする。
8)網膜復位術・眼窩腫瘍手術時は,MQAの総数・術野に出した数・戻ってきた数
を器械出し看護師がカウントする。
9)他の手術でMQAを使用する場合は,カウントしない。
10) 綿棒はカウントしない。
11) バックフラッシュニードルの先は,シリコン製でちぎれる可能性があるので,毎
回ディスポーザブルとする。
12) 術者は,終刀前に顕微鏡下で眼内・眼周囲を最終チェックする。
13) 器械出し看護師がいない場合は,術者・外回り看護師と共に,上記のカウントを
行う。
□耳鼻科
扁
桃
摘
出
術
の
綿
球
1)5 個単位で器台に出し,5 個単位で捨てる。
2)術者は,使用後の綿球を確実に器台に戻す。
3)綿球の形を変えたり,ちぎったりしない。
鼻
内
術
の
タ
ン
ポ
ン
ガ
ー
ゼ
1)術野に出した数・戻ってきた数を,術者・器械出し看護師と共に呼称確認しカウ
ントする。
2)絹糸で結んだタンポンガーゼも同様にカウントする。
3)軟膏ガーゼ・ベスキチンF等を挿入した場合,術者は枚数を看護師へ報告する。
4)外回り看護師は,挿入した枚数を,病棟看護師へ必ず申し送る。
口
腔
・
顎
部
・
頚
部
の
手 術
1)術野の乾燥防止の保護材には,手拭ガーゼか紐付き生食ガーゼを使用する。
2)タンポンガーゼはカウントする。
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3)長時間手術における開腹手術時(第 2 外科)は,緑線入りデクーゼガーゼを使用
し,第 2 外科のカウント手順で行う。
4)長時間手術における耳鼻科・形成外科の手術時は青線入りデクーゼガーゼを使用
しカウントしない。
5)長時間手術における形成外科の手術時は,形成外科のカウント手順で行う。
6)長時間手術終了後はレントゲン撮影を行う。
鼓
室
形
成
術
1)マイクロセット・シェーのセットは,数の確認と先端の点検を,執刀前・終刀時
に術者・器械出し看護師と共に行う。
2)タンポンガーゼ・コメガーゼ・ベンシーツ・綿球はカウントする。
3)タンポンガーゼ・コメガーゼ・ベンシーツ・綿球は入れたままにしないで,すぐ
に取り出す。
4)軟膏ガーゼ等を挿入した場合,術者は枚数を看護師へ報告する。
5)外回り看護師は,挿入した枚数を,病棟看護師へ必ず申し送る。
※その他,特殊器械セットは,数をカウント用紙と照合する。
□皮膚科
1)ガーゼ・コンテナの基本手術器械はカウントしない。
2)針はカウントする。※目無し針は特に注意する。
3)針は持針器に付けて受け渡しする。
4)器械出し看護師がいない場合は,術者が針をカウントする。
5)複合科による手術時は,術者の判断でカウントの要否を決定する。
□内科(第1内科,第2内科,循環器内科)
1)ガーゼ・コンテナの基本手術器械はカウントしない。
2)不要な手術器械は器械台へ戻す。
3)閉創前に術野にガーゼ・手術器械がないか確認する。
4)針・メス刃は戻す場所を決めておき,終刀前に必ずカウントする
(4)転倒・転落
1)患者を移動させる時は,ストレッチャーが動かないようにロックし,主治医・麻
酔医・看護師の複数で静かに行う。
2)歩行入室患者をストレッチャーへ移動させる時は,必ず傍に付き添う。
※身長の低い患者の場合などは,足台を準備する。
3)ストレッチャー・手術台での患者搬送は,必ず柵をあげて行う。
4)小児の搬送時は,全柵のストレッチャーを使用する。
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5)搬送時は,麻酔科医が患者の頭側に立ち,看護師がストレッチャーのサイドに立
つ。
6)ストレッチャーを使用せず,抱っこで入室する小児の場合は,体制を整え麻酔医
と共に移送する
7) ハッチウエイや手術台の高さを調節する際は,患者にその旨を説明し,患者の身
体に手を添え,保持しながら行う。
8) 手術台は通常のベッドより幅が狭いことを患者に説明し,上下肢を必要範囲内で
固定する。
9) 脊椎麻酔・硬膜外麻酔の体位をとる時は患者に説明し,患者を抱え込むように支
え,安全な体位を確保する。
10) 麻酔導入時や覚醒時には,興奮期の体動に備えて患者の傍を離れないようにする。
11) 手術中の体位固定は,術中体位の基本にそって安全・安楽な方法で確実に行う。
※「術中体位」の項参照!
(5)ルートトラブル
1)静脈ライン・動脈ライン・その他のルートの接続部位や三方活栓にゆるみがない
か確認する。
2)常にライン類を患者のシーツや支持器などに巻き込まないように注意する。
3)ライン類は外から容易に確認できるようにしておく。
4)移動時は柵に引っかかったり,患者の身体の下に敷き込んだりしないように注意
する。
5)静脈ライン・動脈ラインを抜去した後は,止血が確実であることを確認する。特
に動脈ライン抜去時間は記録し申し送る。
(6)低体温
1)手術室を使用する1時間前からと覚醒時には室温を上げておく。
2)持続的に体温測定を行う。
3)保温保護材料・リネン類を使用し術野以外は不必要に露出させない。
4)術式に応じて早めの保温に心がける。
5)輸液類・洗浄液等は加温して使用する。
6)新生児・未熟児の手術時は,早めに室温を上げ,加温マット・インファントウォ
ーマーを使用する。
(7)褥創・皮膚損傷・神経損傷
□ 術中体位の基本
術中の体位は,手術部位・術式によって決定される。最も良い体位とは患者にと
って安全・安楽で苦痛を与えない体位であり,又,術者に良好な視野が得られ,安
全な麻酔管理が確保できる体位である。
安全な体位をとるために必要なことは,患者の状態・年齢・身体的特徴や皮膚の
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状態・栄養状態・合併症の有無等をアセスメントし,起こりうる障害を予測して対
処することである。
又,神経・血管の走行や体位による生体への影響を充分考慮し,適切な固定器具
・保護材料を選択することが重要である。
1)手術体位の条件
1) 関節が可動域内にあること。
2) 末梢神経系,骨筋肉系に障害を残さないこと。
3) 過剰な圧迫や伸展,牽引が加わらないようにすること。
4) 循環器系,呼吸器系の機能に障害を及ぼさないこと。
5) 麻酔管理と観察がしやすいこと。
6) 電気メス等の漏電による熱傷の危険がないこと。
7) 皮膚損傷の危険がないこと。
2)固定器具及び保護材料
1) 手術台は手術術式,患者の体型にあったものを選択する。
2) アクセサリーは破損がないか確認し使用する。
3) 患者の身長,体重などの体格,手術時間などを考慮し,保護材料を選択
する。
※アクセサリー
手台
足底板
側臥位用手台
支持器
アームガード
支脚器
ブリッジ
※保護材料
アクションパット(円座型・U字枕・腋窩枕型・踵部用)
フリーシーシーツ
スポンジクッション各種
綿枕各種(手製)
膝下枕
膝カバー(載石位用)
マジックバンド
腋窩枕
固定帯(上肢用・下肢用)
サンステート
サンステートブーツ
□術中体位(仰臥位)
1)頭部
1) 圧が分散できるようにアクションパット等の保護材料を,体格にあわせて選択し使
用する。
2) 位置は,頸椎・胸椎・腰椎を水平にする。但し,手術術式により懸垂頭位等この限
りではない。
2)上肢
1) 体側につける場合は,固定帯でくるみ,手術中に手がずれ落ちないように固定し,
アームガードで保護する。この際,点滴チューブやモニター類のラインに留意し,
手台・ブリッジの金属部分に上肢が直接触れることのないようにする。
2) 横に開く場合は,手台を使用し,体幹と腕は 90 度以内,前腕は外旋しないように
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固定する。又,過伸展による上腕神経麻痺を予防するために,保護材料を使用して
手台と手術台の高さが水平になるよう調節する。更に,手台から落下して神経麻痺
や脱臼をおこさないように,上肢用マジックバンドで固定する。
3)下肢
1) 膝下枕を膝窩部上10cm以上に挿入し,下肢を軽く屈曲位とする。
2) 大腿部へスポンジクッションを当て,下肢用固定帯で固定する。この際,固定帯が
腓骨骨頭に当たらないよう注意する。
3) 踵部はアクションパット等の保護材料を使用し,除圧をはかり,尖足を防止する。
足底板を必要とする場合は,足底が直接当たらないよう保護材料を使用し,過度の
屈曲を防ぐ。
4)注意点
1) 上肢は 90 度以上外転しない。90 度以上の外転位は上腕骨頭が腕神経叢を圧迫する
ため神経麻痺の原因になる。
2) 仰臥位における皮膚障害の好発部位は仙骨部・踵部・肩甲骨部・頭部である。保護
材料を有効に使用し褥創の予防に努め,術後に皮膚の状態を観察する。
3) シーツの皺を綺麗に伸ばしておく。
5)適応手術
頭部・前胸部・心臓・開腹・四肢・顔面・頸部の手術
など
□ 術中体位(側臥位)
1)頭部
1) 頸椎の角度が胸椎に対して水平になるようにスポンジ枕や頭用アクションパットで
高さを調整し,耳介や眼球を圧迫しないよう固定する。
2)上肢
1) 上側になる上肢は,尺骨神経麻痺を起こさないよう肘関節を浮かして過伸展を防ぎ
ながら側臥位用手台に固定する。
2) 下側になる上肢は手台と手術台が水平になるようにクッション類を使用し固定す
る。
3) 下になる腋窩に腋窩静脈の環流を保ち,下側になる腕の鬱血予防の為,腋窩枕を挿
入するか,ベッドを屈曲させる。
3)体幹
1) 恥骨部と仙骨部を支持器で固定し,支持器と身体の間にスポンジを入れ支持器が直
接身体に当たらないようにする。必要時,支持器を追加する。
4)下肢
1) 下側になる下肢は,股関節で 60 度∼ 80 度,膝関節で 90 度程度に屈曲し,上側の
下肢は自然に伸ばした状態で固定する。
2) 下側になる下肢の膝関節(腓骨骨頭部)や外踵部は,神経麻痺を予防するために保
護材料を使用し除圧をはかる。
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3) 股間には綿枕等のクッション類を入れ,下肢用固定帯で上側の下肢の腓骨神経を圧
迫しないように固定する。
5)注意点
1) 顔面神経麻痺・眼窩神経麻痺をおこさないよう頭部を固定する。
2) 上腕神経麻痺・橈骨神経麻痺・尺骨神経麻痺をおこさないよう上肢の過伸展や肩関
節の上方転位に注意し,保護材料を使用する。
3) 体格にあった腋窩枕を準備し,挿入位置に留意する。
4) ブリッジは背部側から上側の上肢にあたらないように設置する。
5) 固定のマジックバンドや固定帯は締めすぎない。
6) 手術中にローテーションする場合は,その都度,固定状況を確認する。
7) シーツの皺を綺麗に伸ばしておく。
6)適応手術
胸郭内・腎臓・副腎・股関節・肩関節・広背筋皮弁の手術
など
□ 術中体位(砕石位)
1)頭部・上肢は仰臥位に準ずる。
2)下肢(下半身)
1) 恥骨部が手術台の脚板がはずせる部位に来るように,あらかじめ身体をずらす。
2) 両下肢にサンステートブーツ(保温保護材料),膝カバーをつける。
3) 手術台に左右対称に支脚器を取り付け,股関節部・膝関節部で屈曲し,両下肢(膝
関節部)を載せる。
4) 両下肢を支脚器に取り付けのベルトと,下肢用マジックバンドで固定する。
5) 手術台の脚板をはずす。
6) 身体が左右対称であるか,骨突出部及び皮膚表面が手術台の金属部に当たっていな
いかを確認する。
3)注意点
1) 仙骨部に圧がかかりやすいので,フリーシーシーツやアクションパット等の保護材
料を仙骨部に敷いておく。
2) 身体をあらかじめ,手術台の適当な位置にずらしておく。
3) 患者の体格,手術術式により,支脚器の高さを調節する。
4) 大腿は鋭角に屈曲させることは避ける。
5) 股関節の過度の屈曲・伸展・外旋・外転を防ぐ。
(大腿神経・閉鎖神経・坐骨神経の障害防止)
6) 膝関節及び膝窩部の過度の圧迫を防ぐ。
(伏在神経・腓骨神経の障害防止)
7) 下腿の圧迫を防ぐ。
(伏在神経・腓骨神経の障害防止)
8) 手術中,術者の肘による加圧をおこさないように注意し観察をする。
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9) シーツの皺を綺麗に伸ばしておく。
4)適応手術
外陰・会陰・直腸・膣・子宮・膀胱・前立腺等の手術
□ 術中体位(腹臥位)
1)手術台の準備,手順
1) 手術台にあらかじめ,腹臥位のための保護材料をセッティングする。
2) チェストロールを両鎖骨∼両腸骨稜までの部分に設置する。
3) 骨盤の下の部分に綿枕を設置する。
4) ストレッチャーから,上記 1) ∼ 3) の準備をした手術台に4人以上で移す。
5) 頭の下にはスポンジ枕またはアクションパットを使用し,自然な位置で顔は横向き
にする。
6) 上肢は肘を少し曲げた回内位とする。肘関節を屈曲させ,自然な型に挙上させ上肢
台に固定する。
7) 膝を屈曲させ,下腿を上げ綿枕を入れる。
8) 足背部の下に尖足位にならないようスポンジ枕を入れる。
2)注意点
1) 頸部は脊椎の中心線からずれないようにする。
2) 眼球の圧迫,気管内チューブの屈曲に充分注意する。
3) モニター・点滴チューブなどのライン類が絡まないように整理する。
4) シーツの皺を綺麗に伸ばしておく。
5) 腹臥位における皮膚障害の好発部位は,前胸部,前腸骨稜,膝蓋部である。保護材
料を有効に使用するとともに,術後に皮膚の状態を注意深く観察する。
3)適応手術
後頭部・脊椎・肛門等の手術
4)手術によるバリエーション
1) 頸椎後方手術
頭部固定器を使用し,両上肢は体側に固定する。
下肢は膝関節で 90 度屈曲させ,足部固定器で固定する。
手術台は,頭側をギャッチアップする。
2) 胸・腰椎後方手術
4点支持フレームを使用して,腹圧を完全に除去する。鼠径部,腸骨部での圧迫
による神経合併症を防ぐため,大腿∼下腿の下に綿枕などを置き,自然な屈曲位
とする。
3) 肛門手術(ジャックナイフ位)
腸骨棘部に綿枕を挿入し,手術台を屈曲させる。股間に術者が2人入れるくらい
に,下肢を乗せた脚板を開き固定する。
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(8)熱傷予防
1)電気メスでは対極板が適切に装着,接続されているかを確認する。
2)電気メスの対極板の下に消毒液が流れ込まないようにする。
3)加温マット,温風式加温器は適切な温度設定になっているかを確認する。
4)身体に直接加温マット加温器を接触させない。
5)アームガード・ブリッジなどの金属が,身体に接触しないようにする。
6)消毒用のイソジンがシーツに溜まらない様,手拭などで工夫する。
(9)ME機器の誤作動
□ME機器の安全性の確保
1)取り扱い説明書・使用手順を分りやすくしたものを,本体に設置しておく。
2)必要に応じて,操作手順を本体に表示しておく。
3)通常のセッティングレベルを本体に表示しておく。
4)電源コード,電源プラグがきちんと接続されているか確認する。
5)タコ足配線をしない。
6)始業・終業点検を行う。
7)臨床工学士は定期的な点検を行う。
□電気メス
1)患者の体重,電気メスの機種によって適切な対極板を選択する。
2)対極板は骨の突出部・瘢痕部等は避け,血行に富んだ筋肉部分に充分密着させて
貼付する。毛深い場合は,剃毛が必要になる。
3)対極板とコ−ドの接続に身体の荷重がかからないようにする。
4)患者の皮膚に金属が接触していないことを確認する。
5)患者の身体の部分が,小面積で接触していないことを確認する。分流の経路が形
成されると熱傷の原因になる。
6)手術中に体位交換がある場合は,対極板の装着部位を再度確認する。
7)手術終了後,対極板の装着部位の皮膚の観察を行う。
8)引火性の薬品を使用する場合,本体のスイッチを切る。
□体温維持装置(温風式体温回復システム)
1)ウォーミングカバーを直接患者の身体に当てない。
2)大動脈クランプ中は使用しない。
3)加温を中止する時は電源スイッチを必ず切る。
4)ブランケットの上に重いものを置かない。
5) アラーム作動の原因が特定できない場合は,使用しない。
6)可燃性,麻酔薬雰囲気で使用すると爆発を起こす危険がある。使用直後と経過を
追って皮膚の観察を行う。
(10)針刺し事故
1)メス・持針器の受け渡し時は,医師と器械出し看護師で声だし確認を行う。
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2)針はリキャップしない。
3)針・メス類は専用ボックスを使用する。
4)メスの刃を取り外す場合,ペアンなどで外す。
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【 放 射 線 部 】
1. 受付業務
□ 患者の呼称
待合室等での呼び出しは「・・・・・様」で統一する。
□ 患者及びフイルムの誤認
予
防
1) 登録カードと依頼書を照合する。
2) 患者名の確認はフルネームで行う。
3) 患者への説明も分かり易く丁寧に行う。
4) 照射録,CR カード内容と依頼書を照合する。
5) フイルム整理の際,他の患者のフイルム混入に注意する。
6) 同姓同名の患者には,氏名や生年月日の自己申告等で確認する。
□ フィルムの紛失
予
防
1) 無断借用をなくし,必ずフイルム貸し出し票(アリバイカード)を記載のうえ,貸
し出す。
2) フイルム袋の整理整頓を励行し,他の患者フイルムの混入を防ぐ。
2.一般撮影・画像診断全般
□ 患者の呼称
待合室からの患者の案内は「・・・・様」で行う。
□ 患者の誤認
予
防
1) 登録カード,依頼書の確認と患者の個人識別を確実に行う。
2) 撮影室内への誘導は,分かり易く丁寧に行う。
3) 撮影の前に,診療科,病棟名,患者姓名を再確認する。
4) 難聴者や搬送患者に介助者がいない時,個人識別は特に慎重に行う。
5) 撮影部位等により待ち時間が長い場合には,前もって患者に説明し,同意を得てお
く
6) 出張撮影時は,立ち会いの医師及び看護師と供にベッドのネームプレートで患者名
を確認する。
□ フイルム誤認
予
防
1) フイルムへの患者氏名焼き付け用ラベルと依頼書患者氏名の照合を励行する。
2) CR 撮影の場合,CR カード内容の確認後にフイルムを処理する。
3)検査結果(フイルム)はその都度整理し,他の患者の結果と混在させない。
□ 撮影・検査部位の誤り
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予
防
1) 依頼内容を確実に把握し, 特に左右の誤認防止を励行する。
2) 依頼書への記載内容に疑問がある場合は,依頼医に確認する。
3) 記載文字が判読し難い場合は,依頼医に確認する。
4)フイルムに焼き付けた患者名と依頼書の患者名を照合し,フィルム枚数を確認する。
□ 検査中の事故
予
防
1)患者が検査台から降りる時,転落,転倒しないように注意する。
2)フイルムの確認等で,担当技師が持ち場を離れる場合は,患者様を椅子等に座らせ
る。
3)担当者以外の者が業務を補佐する場合には,担当者への確認を確実に行う。
3.消化管造影に伴う事故
□ 種々の確認
1)フイルム,カルテ,検査依頼書,造影剤の確認を励行する。
2) 指示された薬品名,量を確認する。
□ 不充分な前処置による検査のやり直し
予
防
1) 前処置を確認する
2)注射薬の作用,副作用を患者に説明し,注射後の観察を怠らない。
□ 装置・機器の操作に伴う事故
予
防
1) 装置,機器を動かして検査する際には,患者に充分説明を行うとともに,周辺に障
害物がないことを確認する。
2) 透視台よりの転落防止のために,握手(グリップ)の位置を調整し,確実に握るよ
う説明する。
□その他
1)検査終了後も一般状態を注意深く観察し,異常がないことを確認後,帰室(帰宅)
させる。
2)使用薬品の請求もれがないよう伝票の確認を行う。
3)疑問に思ったことは,医師に問合せ,指示内容の把握を確実に行い,実行する。
4. ヨード造影剤を用いる造影CT・血管造影・尿路造影・胆道造影
□ 水溶性ヨード造影剤の副作用
予
防
1) インフォームドコンセントを実施する。
2) アレルギーの有無,ヨード造影剤の使用歴とその副作用の有無を確認する。
- 193 -
3) 末梢血管は検査室退出直前まで確保しておく。
4) 血圧低下,ショック等に対応できる救急カート(アンビュー,気管挿管セット),
緊急薬品を準備する。
5) ヨード造影剤は検査室で少量(1∼2 ml)注入し,患者の状態を1∼2分間観察
し,変化が無ければ全量を投与する。
6) 造影剤投与中,投与後は充分に患者の状態を観察する。
7) 検査前に腎機能のチェックと検査後の造影剤による急性腎不全に注意する。
8) 腎不全については,脱水に注意し,造影剤使用量を必要最小限とする。
9)注射針抜去後は,止血の確認を励行する。
10) 外来患者には,院外で副作用が出現した場合に,連絡するように説明する。
対
処
1) 軽症のアレルギー反応(結膜充血,くしゃみ,嗄声,あくび,嘔気)が出現した場
合には,速やかに抗アレルギー剤やステロイド剤等を投与し,重篤な合併症に備え
る。
5. 血管造影検査・インターベンショナルラジオロジーに関連する事故
予
防
1) 検査室入室時に患者の確認を行う。
2) 入院患者は看護師付き添いのうえ,ストレッチャー又は車椅子にて入室する。検査
前に放射線部の看護師と病棟の看護師との申し送りを行う。
3) 事前に感染症の有無,副作用の既往を依頼書,問診票,看護支援システムにて確認
する。
4) 現場で副作用が起きた場合には,現場で処置を行い,放射線部事故の報告書により
報告する。
4) 遅発性副作用の可能性を患者に説明する。
5)血管造影検査,インターベンショナルラジオロジーのインフォームドコンセントに
ついては,主治医が説明を事前に行い,診療録に記載する。
□ カテーテル使用の血管造影検査に伴う穿刺部血腫
予
防
1) 出血傾向の有無,抗凝固剤の使用を確認する。
2) カテーテル刺入部を充分に圧迫し,止血を確認する。
3) 検査後,安静を保つ。
4) 末梢動脈の脈拍を確認する。
□ 肺塞栓症
予
防
1) 穿刺部の圧迫は必要最短時間とし,下肢静脈の鬱滞に注意する。
6. MR検査の事故
□種々の確認
- 194 -
1)入院患者のカルテ,フイルムの確認を励行する。
2)外来患者の医事課窓口での手続き完了の確認と共に,本人であることの確認をする。
3)問診票に基づき,体内及び体外金属の有無,特にペースメーカー,動脈瘤クリップ
の有無を確認する。
4)検査直前にチェックシートにて,再度体内外の金属等を確認する。
5)義歯,装着品の除去を確実に行う。
6)閉所恐怖症に対処するため,検査室入室後は緊急ブザーの利用を励行する。
7)妊娠の有無を確認する。
8)MR検査室内には専用の非磁性体の器具(輸液スタンド等)以外のものを持ち込ま
ない。又それらの器具に「非磁性体」の表示を行う。
9)前処置,指示薬品の確認を励行する。
10)造影剤の注射前には副作用の既往を依頼書や診療録によって確認する。
□その他
1)撮像中の騒音について説明し,耳栓の装着を励行する。
2)鎮静した小児には特に注意し,主治医が付き添い,転落事故防止に注意する。
3)緊急時の処置は,MR検査室外で行う。
7. 超音波検査
□ 転倒・転落防止
検査ベッドへの移動又検査ベッドからの移動に際しては慎重に対応する。
□ 超音波検査用造影剤の副作用
予
防
1) ガラクトース血症及び急性心筋梗塞患者でないことを確認する。
8. 核医学検査の事故
□種々の確認
1)予約票,検査依頼書,フイルム袋,カルテ等で患者の確認を励行する。
2)使用する放射性医薬品,検定日を確認する。
□予約
1)他院からの検査依頼は紹介状で受ける。
□放射性同位元素の取扱
1)放射性物質の取扱いは有資格者が慎重に行う。
2)放射性医薬品の受け取りに際しては,薬品名,検定日等を確認する。
3)
〃
の分注に際し,薬品名,検定日を再度確認する。
4)放射性物質による汚染がないように留意する。
5)研究者は使用・廃棄の手続きを確実に行い,管理責任者は定期的に確認する。
9. 放射線治療の事故
- 195 -
予
防
1)照射前の患者識別を励行する。
2)照射室に患者以外の入室者がいないことを確認した後,照射を開始する。
3)患者の転倒・転落事故防止に努める。
4)操作室内の患者監視モニターで患者の状態を監視する。
5)治療方法,照射野,線質,線量の確認を励行する。
6)照射終了を確認した後,照射室ドアを開ける。
7)照射伝票のチェックを確実に行い,カルテポケットに入れ看護師に引き継ぐ。
10. RI病棟での事故
(1)密封病室
予
防
1) 密封小線源は法令,規則を遵守し,適正に管理する。
2) 入退室者の管理を適切に行う。
3) 入室時に患者識別を確実に行う。
4) 使用前後において,密封小線源の数を確認する。
5) 密封小線源は患者に刺入時の紛失に注意する。
6) 密封小線源刺入後の体内,体外への脱落の防止に充分注意する。
(2)非密封病室
1) 非密封線源を適正に管理する。
2) 入退室者の管理を適切に行う。
3) 入室時に患者識別を確実に行う。
4) 放射性物質による汚染のないように注意し,万一汚染した場合は管理責任者に通報
し,適切な処置を行う。
- 196 -
【 救 急 部 】
(1) 患者の誤認
予
防
1) 診察,処置前に患者名を確認し,また患者と診療録の氏名との一致を確かめる。
2) 意識の無い患者など身元不明の患者については,方法を工夫して身元の確認に努め
る。又,その旨を診療録に記載する。
3)事件,事故などに関連ある事例についての身元確認には特に注意を払う。
(2) 届出の必要な事態
対
処
1) 異状死体(損傷など),麻薬中毒患者,集団食中毒,性病,結核,伝染性感染症等,
及び犯罪に関連がある事故は公的機関に届け出る。
(3) 患者とのトラブル
予
防
1) 感情的な対応をしない。冷静にその診療行為の必要性を説明する。
対
処
1) 患者の状態,診断名,処置の内容,説明した内容などを具体的に診療録に記録する。
2) 以下の理由で受け入れを拒否してはいけない。
・正当な事由がない場合。
・満床は,正当な理由にならない。
3) 病状,処置の説明は必ず責任者が行い,説明内容は診療録に記載する。
(4) 誤処置
予
防
1) 不穏な患者,意識障害の患者などがストレッチャーから転落しないように,サイド
アームを上げておく。
2) 患者の移送は複数で行う。
3) 処置を行うときに,誤解を受けるような言動を慎しむ。
4) 患者や家族のいるところで,声高に談笑したり,診療と関係のない行動をしたりし
ない。
(5) 誤注射
予
防
1) 薬剤を使用する前に三度の確認を行う(アンプルを選択した時,注射器に薬液を充
填した時,患者に使用する時)。
2) 副作用の有無を確認する。
3) 常備している注射薬剤の補充を確認しておく。
4)容器,ラベル等の表示が類似している注射液等は,相互の置き場所を離して保管
し,表示を明確にしておく。
(6) 誤投薬
- 197 -
予
防
1) 使用前に薬剤を確認する。
2) 使用後には,副作用の有無を確認する。
3) 処方箋を発行する場合には,薬剤名,用量に誤りがないかを確認する。
4) 常備している薬剤の補充を確認しておく。
(7) 誤輸血
予
防
1) 血液型の確認は2人以上で行う。
2) 交叉試験,X 線照射が終了済みであることを確認する。
3) 輸血開始の時に,再度患者名,血液型,交差試験適合用紙照合し,一致を確認する。
4) 輸血後,副作用の有無に注意する。
5) 輸血を拒否された場合には,その旨を必ず文書にして署名してもらう。
(8) 誤検査
予
防
1) 患者の検体とラベルに誤認がないかを確認する。
2) 患者と検査結果票の患者名が一致しているかを確認する。
(9) 装置・器機・器具の誤用
予
防
1) 心電図,人工呼吸器,除細動器その他の器具の取り扱いには日頃から習熟しておき,
緊急対応が取れるようにしておく。
2) 突然制御不能となった場合の緊急の停止方法を日頃会得しておき,実施できるよう
にしておく。
3) 突然制御不能となった場合には,緊急停止して患者の安全確保を図る。
4) 常に装置,器機を整備し,正しく作動することを確認しておく。
(10) 感染症対策
対
処
1) 院内感染対策マニュアルに従って行動する。
(11) 危険物・毒物・有毒ガス
予
防
1) 患者以外の人員に危険が無いかを確認する。
対
処
1) 危険があると予想される場合には,患者の隔離,毒物の排除(汚染用シャワーの使
用など)などの適当な処置の後に,診療にあたる。
(12)死亡患者
対
処
1) 病院到着前死亡の場合は確かな根拠による身元の確認を行い,警察へ通報する。異
常死体の届け出を行う。必要な場合には司法解剖を行う。
2) 病院到着後死亡の場合,一般的な患者死亡は通常の死亡として取り扱う。死因が不
審な時,不明の時は警察へ通報する。司法解剖,死体検案が必要な場合がある。
- 198 -
【 総 合 診 療 部 】
□ 患者誤認
予
防
1) 必ずフルネームで患者の確認を行う。
2) 患者診察時,患者本人への確認のみならず患者持参の登録カード,予約カードにて
確認を行う。
3) 高齢者や難聴者は,聞こえなくても頷くことがあるため特に注意を払う。
□ 不充分な医療面接(問診)による事故
予
防
1) 妊娠の有無,生理期間,アレルギー歴,ショック歴(薬剤,造影剤など)を充分問
診する。
2) 現在服用中の薬剤について詳細に問診する。
3) 患者の解釈モデルを確実に尋ね,尊重する。
4) 外来の診察待期が昼食時間に掛かる場合,インスリン投与,血糖降下剤,抗不整脈
剤,降圧剤など時間のずれが医療事故につながる恐れがあるので注意する。
5) 患者の気分不良などの訴えや状態のチェックを徹底する。
6) 外来待合い時間中に病状が悪化する患者もいるので,受付時に気分不良などの訴え
の有無を確認し,状態のチェックを行う。
対
処
1) 患者状態を把握し,特に低血糖の有無,不整脈の有無,バイタルサインのチェック
などを速やかに行い,病状に応じて処置する。
□ 患者との感情的なトラブル
予
防
1) 理由なく診療を拒否しない。
2) 診療行為の根拠,理由をよく理解してもらう。
対
処
1) 患者に誠意ある説明を行い,説明内容を診療録に記録をする。
□ 診察時の事故
予
防
1) 腹部診察時,必要以上に急激かつ強い圧迫を加えない。
2) 出血傾向のある患者では,マンシェットなどによる過剰な圧迫を避ける。
3) 院内感染防止のため診察後の手洗いを励行する。
4) 必要に応じて,診察ベッドのシーツを取り替える。
□ 採血時の誤認・事故
- 199 -
予
防
1) 本人及び登録カードで患者確認を行う。
2) 検体ラベルと確認する。
3) 患者の出血傾向,感染症の有無を確認する。
□ 薬剤処方時の誤処方・処方不備
予
防
1) 薬剤の種類,薬量,投与期間を確認する。
2) 総合診療部の患者では,各診療科にまたがる患者が多いため,薬剤の相互作用,副
作用,類似薬剤の重複投与をチェックする。
対
処
1) 副作用による症状のチェックを行い,必要に応じて薬剤の血中濃度の測定する。
□ 自由診療(禁煙外来)でのトラブル
予
防
1) 保険診療との違いに関して,患者へ充分説明する。
2) プライバシーの保護に配慮する。
対
処
1) 予約の際に自由診療であることを説明し,了解を得る。さらに,指導時に自己負担
額を明示した文書を渡して説明する。
- 200 -
【 材 料 部 】
<器材の供給>
(1)使用済み器材の回収
□汚染の拡大
予
防
1)回収用コンテナの器材の密閉,器材の分別を点検し,搬入時汚染を広げないように
する。
2)コンテナ回収カート,専用ワゴンからの汚染器材の受け取りは不潔区域で行う。
3)作業者はマスク・ガウン・2 重手袋を着用し,専用のゴム靴を履く。
4)汚染区域での作業を規定どおり実施する。
5)一次処理済みの器材は種類別に洗浄の準備をする。
6)作業後の作業台は消毒薬にて清拭する。
(2)使用済み器材の洗浄
□洗浄不良
予
防
1)汚染器具の仕分け作業を行ない,洗浄効果を高める。
2)ウォッシャーディスインフェクター装置が正常に作動しているか確認する。
3)超音波洗浄装置,高温乾燥機が正常に作動しているか確認する。
4)洗浄後の器材の点検を行ない,手作業にて器材の汚れを落とす。
(3)器材の組み立て・包装
□異物の混入
予
防
1)パック作業時,器材を再度点検する。
2)異物が混入しないよう,作業台は常に清潔にする。
3)作業者はキャップを着用する。
□セットの不備
予
防
1)手元のファイルを見ながら 1 つ 1 つ確認する。
2)指差し確認作業をする
(4)器材の滅菌
□滅菌不良
予
防
1)物理的,化学的インジケータ以外に週 1 回生物学的インジケータを実施し,滅菌不
良に速やかに対応する。
2)器材を効果的な配置で滅菌装置に入れる。
3)滅菌不良発生時,速やかに供給器材を回収する。
□高濃度の残留ガス
- 201 -
予
防
1)ガス滅菌装置のエアレーションの作動を確認する。
2)器材の残留ガスが規定値以下であることを確認し,滅菌装置から取り出す。
□滅菌器のトラブル
予
防
1)始業前,終了後の機械を点検する。
2)異常音やガス漏れに注意する。
(5)滅菌物の供給
□滅菌物の汚染
予
防
1)払い出しの際,包装の点検を行ない,インジケータ・破損・滅菌日の表示を確認す
る。
2)供給用のボックスエレベーター・カートに滅菌物を乗せるとき,清潔・安定配置に
注意する。
3)依頼滅菌物が滅菌出来る状態か確認し,何らかの異常時は依頼部署に連絡する。
□請求と供給不一致
予
防
1)伝票のチェックは確実に行う。
2)器材の返数と供給はダブルチェックする。
□器材の在庫数不足
予
防
1)在庫管理を確実に行う。
2)滅菌切れが無いように点検を行う。
<環境・機械・職員の管理>
(1)環境
□汚染
予
防
1)清潔区域・不潔区域を徹底する。
2)下足を禁止する。
3)清掃を徹底する。
(2)機械
□ガス漏れ,爆発,火災
予
防
1)日頃より機械の異常に敏感である。
2)異常時は機器担当者,メーカー,修理代行者に連絡する。
3)業務終了時は,機械の電源を切り,不要なプラグは抜く。
(3)職員
- 202 -
□針刺し・切創・刺創
予
防
1)業務内容に見合った手袋を着用する。
2)不用意にコンテナの器材を掴まない。
3)器材の取り扱いは落ち着いて行う。
□熱傷
予
防
1)機械の取り扱い時は慎重に行ない,作業用の手袋を使用する。
□有毒ガスを吸う
予
防
1)作業者は防護マスク・ゴーグル・グローブを着用する。
- 203 -
【 輸 血 部 】
(1) 輸血検査
□ 検体の誤認
予
防
1) 輸血検査申込用紙と検体ラベルを照合する。
□ 判定ミス或いは記載ミス
予
防
1) 血液型の検査はスライド法と試験管法又はマイクロタイピングシステム( MTS)
法で2回行い,検査結果台帳と検査結果報告用紙を2人で読み合わせを行って検査
結果を確認する。
2) 検査試薬の保存や管理,器具類の洗浄,機器類のメンテナンスを定期的に行い,検
査が迅速・正確に実施可能な環境を整える。
3)検査機器の精度管理を毎日実施して,記録する。
(2) 製剤受け渡し
□ 患者或いは血液バッグの誤認
予
防
1) 血液製剤出庫時には,受け渡しのスタッフ 2 名で患者姓名,血液型,製剤名,製剤
ロット番号の読み合わせを必ず行う。
(3) 血液製剤取り扱い
各輸血用血液製剤の保管を適正に行うこと。温度管理可能な冷蔵庫・冷凍庫を使用す
ること。
□ 赤血球製剤溶血
予
防
1) 冷凍庫に保管しない。
2) 生食水以外の輸液や薬剤を混合しない。
3) 過剰加温を避ける。
対
処
1) 直ちに不用通知書とともに輸血部へ返却する。
□ 血液製剤凝固
予
防
1) 輸液や薬剤を混合しない。
- 204 -
対
処
1) 直ちに不用通知書とともに輸血部へ返却する。
□ 凍結血漿破損
予
防
1) 落下や箱から出す際の破損が多いので慎重に取り扱う。
対
処
1) 直ちに不用通知書とともに輸血部へ返却する。
□ 凍結血漿過剰加温
予
防
1) 融解は温度計で 30 ∼ 37 ℃であることを確認した温浴でビニール袋に包んだまま行
う。
2) 汚染防止に留意して慎重に取り扱う。
3) 融解後に再凍結して使用しない。
対
処
1) 40 ℃以上の過剰加温によって蛋白変性を生じていると考えられる場合には,直ち
に不用通知書とともに輸血部へ返却する。
□ 凍結血漿クリオグロブリン析出
予
防
1) 融解温度が過度に低いとクリオグロブリンが析出するので 30 ∼ 37 ℃で融解する。
対
処
1) 温浴の温度を 37 ℃まで上昇させる。
□ 期限切れ製剤使用
予
防
1) 製剤調整から洗浄血小板は6時間以内,洗浄赤血球及び白血球除去赤血球は 24 時
間以内,解凍濃厚赤血球は 12 時間以内に使用する。
2) 血小板製剤は有効期限が短いことに特に留意して,直ちに使用する。
対
処
1) 期限切れ製剤は直ちに不用通知書とともに輸血部へ返却する。
(4) 輸血の副作用
□ 記録不備
予
防
1) 副作用の有無と輸血実施を確認した製剤管理票/副作用報告書を,速やかに輸血部
- 205 -
へ返却してもらう。
対
処
1) 製剤を使用しなかった場合には直ちに不用通知書とともに輸血部へ返却する。
再発防止
1)診療科からの輸血副作用情報をもとに,必要な検体を採取し各種原因検索を行う。
2)結果判明後,診療科に結果および対処法を連絡する。
(5) 貯血式自己血
□ 採血条件の誤認
予
防
1) 自己血貯血同意書と申込用紙を記入して輸血部へ提出する。
2) 輸血部は自己血貯血マニュアルの手順に従って採血を行う。
□ 誤 用
予
防
1) 自己血であっても Hb 濃度が充分高ければ(10g / dl 以上)輸血しない。
2) 使用しなかった自己血は廃棄する。他人には転用しない。
3) 凍結保存赤血球は融解処理後,12 時間以内に使用する。
(6) 時間外
□ 時間外輸血検査ミス
予
防
1) 時間外の輸血検査は,時間外輸血検査体制マニュアルに基いて,主治医および当直
検査技師の連携によって実施する。
2) 血液型判定に際しては表試験と裏試験が合致することを確認する。
3) 赤血球輸血の場合は生食水法,酵素法,間接抗グロブリン法で交叉適合試験の主試
験を行う。
4) 緊急時であっても最低限,生食水法による交叉適合試験の主試験を行う。
5) 交叉適合試験を行う余裕がない超緊急の場合には,患者家族の承諾を得て O 型で
対応することもできる。しかし,このような場合も輸血前に検査用採血を行い,血
液型が判明した時点で交差適合試験適合・放射線照射済みの同型血輸血に切り替え
る。
6) 不規則抗体スクリーニング検査陰性の患者の初回輸血の場合には,交叉適合試験の
生食水法が合格であれば輸血を開始できる。
対
処
1) 時間外輸血検査で判定困難な場合には,輸血専任技師に連絡をする。
□ 非照射血使用
予
防
1) 時間外や休日に使用する赤血球或いは血小板製剤は,使用前にラベルによって放射
- 206 -
線照射の有無を確認する。
2) 非照射血の場合には医師が照射を行い,照射記録用紙に記入を行う。
(7)末梢血幹細胞採取
□ 採血時のトラブル
予
防
1) 原研内科作成の末梢血幹細胞採取マニュアルに従って採取を行う。
2) 心電図を持続モニターする。
- 207 -
【 腎 疾 患 治 療 部 】
□患者の誤認
予
防
1)入院が決まったら前もって血液浄化予定申し込み書を提出しておく。
2)入院時に血液浄化療法依頼書を提出する。
3)入室の際及び検査や処置の際に患者の誤認が起きないようにフルネームで呼名し,
診療録およびベッドネームなどで氏名を確認する。
4)週 1 回の主治医在席によるカンファランスにて,患者情報をスタッフ全員で把握し
て共有する。
□血液透析条件の誤認
予
防
1)医師は透析指示表に記入し,口頭指示は行わない。
2)医師の指示に従って透析方法,透析膜,抗凝固剤の種類及び量,血液流量,透析液
流量,除水量,透析時間の設定を行う。
3)透析開始直後に複数のスタッフによるダブルチェックを行い,透析記録用紙に記載
する。
4)透析前と透析終了後には体重測定を行い,スタッフが確認し,バランスチェックを
必ず行う。
5)透析条件の変更の時は朝のミ-テイングで読み上げ,全員に周知する。
対
処
1)医師の指示に従い,透析条件を直ちに設定変更し,時間内で修正を行う。
2)時間内で修正困難な場合には,医師の指示のもとに時間を延長して行う。
□アフェレシス条件の誤認
予
防
1)医師は透析指示表に記入し,口頭指示は行わない。
2)医師の指示のもとにアフェレシス方法,抗凝固剤の種類及び量,血液流量,血漿分
離量,置換液の種類及び量の設定を行う。
3)アフェレシス開始直後に複数のスタッフによるダブルチェックを行い,アフェレシ
ス記録用紙に記載する。
対
処
1)医師の指示に従いアフェレシス条件を直ちに設定変更し,時間内で修正を行う。
2)時間内に修正困難な場合は医師の指示のもとに時間を延長して行う。
□警報スイッチの設定忘れ
予
防
1)各種警報スイッチ(透析液濃度異常,溶血探知,気泡探知,静脈圧異常,脱血不良,TMP
異常など)の確認を複数のスタッフによるダブルチエックを行う。
□血液透析時低血圧
予
防
- 208 -
1)低血圧患者及び糖尿病など透析時低血圧を来たしやすい患者では,医師の指示に従
い,透析前および透析中の昇圧剤の内服や透析中の昇圧剤の点滴静注を行う。2)透
析施行中は血圧を時間おきに測定する。
対
処
1)血圧低下時には除水を中止し,血液流量を下げ,下肢を挙上して,生食水を注入す
る。それでも血圧が上昇しない時は医師の指示もとに昇圧剤の点滴静注を開始する。
2)血圧がどうしても上昇しない時には,医師の指示のもとに透析の中止も考慮する。
□誤注射
予
防
1)腎疾患治療部による指示表と処方箋と薬剤および主治医からの連絡状と持参薬を確
認する。
2)薬物をシリンジに入れたら直ちに薬物名と患者名を記載する。
3)注射薬は注入ポンプを使用し,基本的に静脈側より定量的に注入する。
4)注入速度,注入量など注射施行時のマニュアルに沿って施行する
5)臨時で注射をする時は声を出して確認し,注意を喚起する。
□空気混入
予
防
1)透析終了時の血液回収は空気回収でなく生食回収とする。
2)血液回路(静脈側)にエアー探知機を設置する。
3)回路よりの静注はエアー探知機の手前より注入する。
□ブラッドアクセス及び血液回路脱落(出血事故)
予
防
1)内シャント穿刺及びカテーテル留置の固定を充分に行い,回路との接続はロック方
式とする。
2)一定の時間おきに透析条件を確認すると共に回路の点検を行う。
□内シャント穿刺部及びカテーテル挿入部の出血事故
予
防
1)血液透析およびアフェレシスの施行中は,穿刺部及びカテーテル挿入部からの出血
の有無を確認する。
2)血液透析およびアフェレシスの終了後の抜針部の出血の有無を確認する。
□事故穿刺
予
防
1)血液浄化予定申し込み書に感染の有無うを記載してもらいスタップ全員で把握して
おく。
2)事前に HBV,HCV の検査を施行し,陽性患者を確認しておく。
3)使用した針はリキャップを行わない。
4)内シャント穿刺針及び回路への注入針は穿刺後直ちにベッドサイの医療廃棄物専用
容器に入れる。
対
処
- 209 -
1)事故穿刺が発生した場合には事故穿刺マニュアルに従って処置する。
□感染
予
防
1)排菌の肺結核患者は陰圧個室か Hepa フィルターを設置した部屋で透析を行う。
2)スタッフは処置するときは N 95マスクを着用する。
3)MRSA 感染患者は隔離透析を行う。隔離透析ができない場合にはベッドを固定し,
ディスポーザブルの防水シーツを用いる。
4)内シャント穿刺及びカテーテル操作時には手袋を着用する。
5)血液汚染物は医療廃棄物マニュアルに従って廃棄する。
6)感染症患者の処置を行った後は必ず手洗いを励行する。
7)血液検体の取り扱う場所は,注射薬を取り扱う場所と区別する。
- 210 -
【 集 中 治 療 部 】
□ 患者の誤認
予
防
1) ホワイトボードへの患者名等の記載は,カルテで確認しながら行う。
2) 検査や処置などを施行する際,患者の誤認が起きないように呼名,モニター画面,
バランスシートなどで氏名を確認する。(特に患者のベッドを移床したときには注
意する。)
3) 血液型プレートは必ずベッド備え付けの点滴架台へ下げる。
□ 患者情報不足による事故(アレルギー,禁忌薬投与)
予
防
1) 禁忌薬,アレルギーの既往の記載は,診療録,指示表,バランスシートに赤字で記
載する。
2) 抗生剤は使用する前に,これまでの使用の有無,皮内テストの感受性の有無を確認
する。
□ 誤注射
予
防
1) 指差し呼称の徹底。
2) 氏名,薬剤名,投与量,投与方法を指示表で 3 回以上確認する。
3) 薬物をシリンジに入れたら直ちに薬物名をシリンジに記載する。
4) 一患者一トレーとし,準備した薬剤は所定の場所へ置く。
5) 途中中断を避ける。
□ 誤点滴
予
防
1) 点滴内容及び点滴速度は,バランスシート,指示表,実際の表示の 3 点で確認する。
2) フラッシュした時はもとの速度に必ず戻す。
3) 特に循環作動薬などの微量点滴の点滴速度に注意し,接続する側にも薬品名を記入
したラベルを貼付する。
4) 点滴ラインの漏れ,三方活栓のゆるみに注意する。
5)点滴作製,接続時は指差し確認を徹底する。
6)各勤務交代時やシリンジ交換時に設定量や注入速度の確認を行う。
□ 非経静脈的投与薬(経腸栄養,ミルク,消毒薬)の点滴防止
予
防
1)三方活栓,シリンジの色識別を行い,胃管は静脈ラインの反対側に置く。
2)接続時はラインのチェックを行い,実施する。
□ 誤 嚥
予
防
1) 術後患者や重症患者は嚥下反射が低下するので,経口開始時は注意する。
- 211 -
2) 氷片や水で試飲させる。
3) とろみ食を利用する。
4) 体位に注意する。
5) 経鼻チューブへの注入前にレントゲン写真等で先端位置を確認する。
□ 出血事故
予
防
1) 動脈ライン,カテーテル挿入部,抜去部等は必ず用手圧迫を行い,出血の有無を確
認する。術創やドレーン等の出血にも注意する。
□ 輸血事故
予
防
1) 輸血部発行の「輸血実施手順書」に準ずる。
2) 緊急輸血,時間外輸血の際,照射の有無を必ず確認する。
3) 輸血搬入時は必ず医師がチェックし,製剤表の一枚は製剤とともに輸血庫に,一枚
は患者カルテに綴じ込む。
4) 凍結血漿の解凍は氏名を記入してから,恒温槽に一人分ずついれ,解凍温度をチェ
ックする。
5) 輸血開始後 15 分間は患者のベッドサイドで輸血による副作用がないかをチェック
する。
対
処
1) 輸血を直ちに中止する。
2) 輸血回路を交換する。
3) 急性腎不全対策,ショック対策,DIC 対策を講じる。
□ 検体の誤認
予
防
1) 検体準備から実施まで,医師,看護師で三重チェックして,指示表に確認サイン
する。
2) 検体ラベルの氏名を採血菅注入前にチェックする。
3) 一人ずつ検体を採取する。
□ 患者搬送に伴う合併症
予
防
1) 必ずバイタルサインその他を移動用モニターでチェックする。
2) ボンベ内の酸素量を確認する。
3) ラインやドレーンの逸脱に注意する。
4) モニター,輸液ポンプの電源をチェックする。
5) 転落に注意する。
6) ベッド柵を必ず上げる。
□ 人工呼吸
予
防
1) 医師・看護師による人工呼吸回路の始業点検を行い,設定とモニターを照合する。
- 212 -
2) 加温加湿器を定時点検する。
3) パルスオキシメーターを装着する。
4) 毎日,挿管チューブの位置を確認し,固定する。自己抜管に充分注意を払う。
□アラームのトラブル
予
防
1) どのアラームが作動しているのかを確認し,迅速に対応する。
2) アラームは原則として off にしない。
3)夜間などでやむをえず off にするときは全員に周知し,表示する。
4)勤務者は全員アラーム用ポケベルを携帯する。
□ 救急カート・挿管カートのトラブル
予
防
1) 救急用具(アンビューバック,マスク,挿管チューブ),救急薬品(ボスミン,メ
イロン),直流除細動器,体外式ペースメーカー等の救急対策物品を定期的に整備
する。
□感 染
予
防
1) 手洗いを励行する。
2) 器機の清拭,消毒を行う。
3) ディスポーザブル器具にできるものは交換する。
4) 感染個室に隔離する。又はコホーティング(同じ感染症患者を一つの病室に集めて
管理)する。
5) コホーティングが不可能ならベット感覚を 2m 以上保ち,カーテンの仕切をつける。
6) 必要時ガウンテクニックを行う。
7) ゴム手袋使用時は他人のことも考える。
□ 転 落
予
防
1) 精神状態を把握し,行動をチェックし,必要時適切な鎮静を行う。
2) ベッド柵の点検を行い,必ず上げておく。
□ カテーテルのトラブル
予
防
1) 圧ラインはヘパリン生食水の残量を確認して波形を確認する。
2) 導尿カテーテルは確実に固定する。
3) ドレーンの接続を確認する。
4) 持続吸引の必要なドレーンはベッドサイドに鉗子を準備しておく。
5) ラインの屈曲に注意する。
- 213 -
【 分 娩 部 】
(1)入院診療
□ 診察台での患者誤認
予
防
1) 診察に先立ち患者番号および姓名(フルネーム)を本人に確認する。
2) 診察に先立ち診察の内容,目的について患者によく説明する。
対
処
1) 患者に事情を充分説明し,謝罪する。
□ 内診台からの転落
予
防
1) 昇降の際,必ず医師や看護師が介助する。
2) 転落しやすい部分,頭をぶつけやすい部分には注意を促す。
対
処
1) 外傷の有無等をチェックし,必要があれば精査して治療する。
□ 陣痛促進剤の使用による合併症
予
防
1) 過強陣痛や胎児心拍陣痛図(CTG)の異常所見に充分注意する。
2) 陣痛促進剤を使用する利点および起こり得る合併症などにつき,あらかじめ産婦に
よく説明する。
対
処
1) 過強陣痛に対しては,陣痛促進剤を中止し,子宮収縮抑制剤の投与などを行う。
□ 出生児の誤認
予
防
1) 出生後すぐ下腿に油性マジックで名前を記入し,左手首にネームプレートをつける。
2) ベビー服及びコットにも記名する。
対
処
1) 患者に謝罪して,必要な処置を行う。
□ 出生児への傷害
予
防
1) 危険物(はさみ,メス,ガラス器具)は必要時にのみ持ち込み,使用後は直ちに片
づける。
2) 臍帯切断時は充分注意し,他の部位(手足等)を傷つけないようにする。
対
処
- 214 -
1) 産婦に謝罪し,創部縫合等の必要な処置を行う。
□ 出生後の児の転落
予
防
1) 児を受け渡す時には,児を転落させないように充分に注意する。
対
処
1) 産婦に充分謝罪して必要な処置を行う。
□ 軟産道裂傷縫合時のガーゼ,縫合針の遺残
予
防
1) 縫合終了後に,腟内のガーゼの有無を確認する。
2) 使用した針の種類と数を看護師とともに確認する。
対
処
1) 針の数が合わない場合には,必要に応じて X 線検査等を行う。
□ 体外受精・胚移植時の患者(卵子,精子)の誤認
予
防
1) 同時に多くの患者を扱わない(原則として1日1人)。
2) 採精した精液のカップには記名し,患者が直接担当医に手渡す。
対
処
1) 患者に充分説明して,必要な処置を行う。
- 215 -
【 理 学 療 法 部 】
□
予
患者の誤認
防
1) 理学療法施行前に患者の誤認が起きないように呼名し,診療録などで氏名を確認す
る。
□
転倒事故
筋力低下,意識障害,意志疎通に障害がある患者,高齢者などでは患者の筋力,平衡
能力,理解力などの不足によって転倒する可能性がある。
予
防
1) 患者の筋力,平衡能力,理解力等をよく把握し,充分な支持が可能な範囲で訓練を
監視下で行う。
2) 訓練前に患者に訓練の方法について充分説明する。
3) 床上の水,汗で滑べらないように拭き取り用のモップを訓練室,廊下等に配置し,
気付いたスタッフが直ちに拭き取る。
4) 障害物等で転倒しないように訓練室,廊下等に不要なものは置かない。
対
処
1) 事故が発生した場合には,直ちに整形外科,脳神経外科等に相談し,必要に応じて X
線撮影やCT撮影等の検査を行う。
□
偶発事故
心疾患や呼吸器疾患などの合併症を有する患者では訓練施行時に様々な発作が起こる
可能性がある。
予
防
1) 心疾患や呼吸器疾患などの合併症を有する患者では訓練施行時の安全性を事前に確
認し,必要に応じて訓練開始前に運動負荷試験などを行って,運動の許容範囲を明
らかにしておく。
2) 物理療法施行時には患者体内の人工物に注意する。特にマイクロウエーブ施行時に
は心臓ペースメーカーの有無を確認する。
対
処
1) 事故が発生した場合には,直ちに当該科の主治医に連絡をとり,必要に応じて検査
や処置を行う。
- 216 -
【 病 理 部 】
(1) 病理検体の受付
□ 患者の誤認
予
防
1) 臨床医に,検体容器への氏名記入および申込み用紙への検体数記載を徹底してもら
う。
2) 受付で,検査依頼書と検体(組織診,細胞診,術中迅速,電顕)の氏名を照合して
確認する。受付要員が配置されれば,検体受取時に逐次照合確認し,正確を期す.
3) 同一患者から複数の検体が提出された場合には,提出科や臓器の確認も合わせて注
意して照合する。
4) コンピュ−タへの患者属性入力時は医事課から入ってくるデ−タをもとに,担当技
師が検査依頼書と相互に照合する。
対
処
1) 記載内容の不一致など疑問が生じた場合には,当該診療科に問い合わせた後に,依
頼書に“確認済み”の追加記載を行う。
(2) 病理標本作製
□ 患者の誤認
予
防
1) 切出し時,検査依頼書と検体の氏名や受付番号を照合し,医師と技師でダブルチェ
ックを行いながら検体を正しい受付番号の記載されている標本カセットに納める。
2) 生検組織に関しては依頼書に記載された個数と実際の検体個数を照合して確認す
る。
3) パラフィンブロック作成時,組織切片薄切時,染色時,ガラススライドへのラベル
貼付時には,それぞれ担当技師が検査依頼書をもとに照合する。
対
処
1) 切出し時に,検体の個数に記載との不一致がある場合には,当該診療科に問い合わ
せて確認する。
(3) 病理・細胞診断及び報告
□ 患者の誤認
予
防
1) 診断時,病理医又は細胞検査士が検査依頼書に記載された氏名と標本のラベル,コ
ンピュ−タのデ−タを照合して確認する。
2)病理診断の際に,医師により依頼書に記載された臓器,個数と組織標本の組織学的
照合及び個数の確認を行う。
3)
病理組織診断は発行後,別の医師による相互チェックを行う.細胞診は検査技師
(必ず 1 名以上の細胞検査士を含む)及び細胞診指導医により診断チェックを行う。
- 217 -
対
処
1) 診断時,検査依頼書の記載と標本の間に組織所見や個数の不一致がみられる場合に
は,もととなるパラフィンブロックと組織標本を照合し,標本作成時の誤認がない
かを確認する。
2) 解決しない症例では同一受付日の標本誤認等の可能性についても切り出しノ−トな
どを元に調査し,誤認の有無や原因を調査して,正しく対処する。
3) 問題のある事例では免疫組織化学を用いた血液型物質のチェックや当該診療科への
連絡等を行う。
- 218 -
【 光 学 医 療 診 療 部 】
1. 内視鏡検査・内視鏡的治療
□ 患者の誤認
予
防
・患者の呼び出しは姓名で行い,診療録の氏名と患者を照合する。同姓同名の場合も
あるので,年齢,生年月日でも確認する。 患者にも名乗ってもらう。
・同姓者がいる場合,診療予定表に印を付ける。診療スタッフにも同姓者を周知させ
る。
・検体の患者誤認予防のために三重のチェック手順を確立する。
対
処
・ 誤認が起きた場合には患者に充分説明する。
□ 前処置トラブル
(1)上部消化管内視鏡
予
防
・前処置に使用する抗コリン剤,咽頭麻酔剤,鎮静剤に対する禁忌の病態(前立腺肥
大,緑内障,重篤な心疾患,キシロカインショックの既往など)がないか,また高
血圧症,呼吸障害などの全身疾患の有無を確認する。
対
処
・救急処置用具を週に 1 回チェックし,常に完備しておく。
・前処置にて血圧低下やショックが起きた場合には,補液や昇圧剤などで速やかに対
処する。
(2)下部消化管内視鏡
予
防
・ 前処置に腸管洗浄液のゴライテリー液を使用するため,禁忌疾患(胃腸管の閉塞ま
たは穿孔例や中毒性巨大結腸症)や慎重疾患(腎機能障害)の有無を確認する。
対
処
・前処置にて腸閉塞や腸穿孔が起きた場合には,速やかに腹部単純 X 線撮影などの必
要な検査を行い,緊急処置を行いながら病態を把握し,速やかに,的確な治療を行
う。
・電解質異常を認めた際には,速やかに補正などの適切な処置を行う。
(3)気管支鏡
予
防
・ 咽喉頭や肺内で局所麻酔剤を使用するので,禁忌の病態(キシロカインショックの
既往など)がないかを確認しておく。麻酔前に鼻粘膜でのテストを行い,使用量に
注意して麻酔をかける。
- 219 -
・ 高血圧症,呼吸障害がないかを確認する。
対
処
・ 前処置にて血圧低下やショックが起きた場合には,補液や昇圧剤などで速やかに
対処する。
(4)内視鏡的逆行性膵胆管造影
予
防
・ 前処置に使用する抗コリン剤,咽頭麻酔剤,鎮静剤に対する禁忌の病態(前立腺肥
大,緑内障,重篤な心疾患,キシロカインショックの既往など)がないか,或いは
高血圧症,呼吸障害がないかを確認する。
・造影剤使用のため,造影剤アレルギーの既往の有無を問診する。
対
処
・前処置にて血圧低下やショックが起きた場合には,補液や昇圧剤などで速やかに対
処する。
・造影剤アレルギーが起きた場合には,補液を行い,副腎皮質ホルモン投与など必要
な治療を行う。
□ 検査・治療による出血,血圧低下,ショック穿孔
予
防
・救急処置用具(アンビュー,気管挿管セット ),輸液,救急薬品,酸素,心電図計
を準備しておく。
・検査前から検査終了後まで患者の容態変化を観察し,また,状態に応じてパルスオ
キシメーターをセットする。
対
処
・内視鏡中の大量出血には輸血や輸液,血圧低下やショックに対しては補液や昇圧剤
などで速やかに対処する。
・腸穿孔が起きた場合には,速やかに腹部単純 X 線撮影などの必要な検査を行い,緊
急処置を行いながら病態を把握し的確な治療を行う。
□ 内視鏡検査・治療に伴う感染
(1)感染一般
予
防
・
対
処
・事前に肝炎ウイルス,梅毒,結核,MRSA などの感染の有無と,可能な限り HTLV-1
や HIV についても感染の有無を確認しておく。・ 検査終了後は直ちに内視鏡機器
は 1 患者,1 洗浄,1 消毒を行う処置具も厳密に洗浄・消毒する。
・感染症のある患者或いはその疑いがある患者の内視鏡検査に関しては,検者および
洗浄・消毒実施者に周知徹底する。
(2)気管支鏡
予
防
・
対
処
・結核菌感染の可能性がある時はマスク(No.95)を着用する。
- 220 -
・検査後2時間は仰臥位安静とし,絶食として誤嚥を防止する。
・肺炎の可能性があれば,胸部 X 線を撮り肺炎が確認されれば抗生剤の投与を行う。
・結核菌排菌患者の内視鏡検査あるいは治療は結核病棟で実施する。その際,内視鏡
機器一式を貸し出し,終了後の消毒は前記のように厳密に行う。
・肺結核に感染の可能性があれば,抗結核剤を予防的に投与する。
(3)内視鏡的逆行性膵胆管造影後の胆道感染症・膵炎
予
防
・膵胆管のカニュレーションや造影を予防的に行う。
・造影剤の使用量に注意し,抗生剤の併用を常とする。
対
処
・検査後胆道・膵管系感染症の予防に抗生剤を投与する。
・予防的に抗膵酵素剤を投与する。
□ X線・レーザー障害
予
防
・ 防護具の完備と着用を徹底する。
・ 照射記録を徹底する。
- 221 -
【 代 謝 疾 患 治 療 部 】
□ 患者の誤認
予
防
1) 診療に際して患者の姓名を呼んで,入室を要請する。
2) 入室後に診療録をチェックし,姓名,年齢,登録番号カード,外来予約カードなどに
よって本人かどうか確認する。
3) 外来基本カードにより受診診療科が正しいかどうか確認する。
対
処
1) 誤認が発生した場合には患者に説明し謝罪する。
□ 誤処方
予
防
1) 薬剤の投与は,充分なインフォームドコンセントのもとに行う。
2) 患者の姓名,診断名,処方薬,薬量,投与方法を確認する。とくに以前の処方を流用
する際には注意する。
3) 処方薬,薬量,投与方法の変更時には,診療録に詳細を明記し,処方箋の控えに赤印
をつけて表示する。
対
1)
処
患者に誤処方薬が渡ってしまった時には,服用又は使用しないように連絡し,返却し
てもらう。
2) コンピュータ入力において,オーダー間違いに気付いた場合には直ちに薬剤部に連絡
する。
□ インスリン製剤の種類および量の誤認
予
防
1) インスリン製剤の種類(超速効型,速効型,中間型,混合型)の相違点を理解する。
2) インスリン注射方式の種類(シリンジ,ペン型)の相違点を理解する。
3) インスリン製剤の種類または量を変更したときには,診療録および指示簿に明記する。
4) 患者に注射する際(または自己注射の際)は,注射処方箋,指示簿などでインスリン
の種類と量を確認する。
5) インスリンを静脈内投与する場合は,「インスリン基準書」に基づいて行う。
対
処
1) インスリンの種類または量を間違えて注射した場合には,頻回に血糖を測定する。
2) 低血糖をきたした場合には,補食,ブドウ糖の静注(または点滴)を行う。
□ 他科入院患者に対する指示誤認
予
防
1) 病棟カンファランスは,主治医または代理医師の同席のもとで行う。
- 222 -
2) 治療変更の際は,直接主治医に連絡するか診療録および指示簿に記載する。
□ インスリン注射針・血糖測定用穿刺針による針刺し事故
予
防
1) インスリン注射針・血糖測定用穿刺針および穿刺器具の取り扱いを充分に理解する。
2) 使用済みの注射針または穿刺針は,針専用の医療廃棄物容器に捨てる。
対処
1) 事故発生時には,針を使用した患者の感染の有無を確認し,確認された感染源に応じ
て免疫グロブリン投与などの処置を行う。
- 223 -
インスリン基準書
ー静脈内投与方法ー
ヒューマリンR(U−100) 50単位+生食50ml 1単位=1ml
<使用基準>
静脈内投与時はシリンジポンプを使用し、点滴
内には混入しない
<作成法>
1ml
インスリン専用注射器
・調合は医師が行なうこと
・インスリンは専用注射器を使用すること <調合方法>
内筒を引きながら注入
・インスリンを生食に混入する時は、生食のシリンジ内筒を引きながら注入す
るとスムーズに入る。インスリン液があふれた場合は作り直すこと。
・混入後はよく撹拌すること。
<注入開始>
シリンジポンプに正しくセットし、回路・流量設定を確認後、
スタートさせること
<注意事項>
指示は“単位/時間”で出すこと
通常0.5∼5単位/時間で使用する
- 224 -
【 薬 剤 部 】
1. 調剤業務
□ 誤処方・処方不備
対
処
1)処方内容の確認は,少なくとも調剤時及び調剤監査時の2回,それぞれ2人の異
なる薬剤師が行う。
2)特に併用禁忌,過量投与や明らかな誤処方等の見逃しの防止に努める。
3)併用禁忌については,注射薬も含めたコンピュータによるチェックを行う。
4)処方内容に疑わしい点がある場合には,必ず医師に疑義照会を行う。
□ 誤調剤
予
防
1)調剤は調剤内規に基づいて処方箋に従って適切に行う。
2)錠剤等の調剤は,複数回確認する。
3)散剤は秤量前に計量器が正常かどうか確認後,複数回確認しながら薬剤を秤量す
る。
4)散剤監査システムを使用して,秤量時の薬剤誤認及び秤量間違いの防止に努める。
5)水剤についても,複数回確認しながら適切な器具で計量して調剤する。
6)調剤時に,可能なものについては調剤する薬品の有効期限チェックを行う。
□ 誤分包
予
防
1)分包の際は,調剤者の指示,薬袋の表示,処方箋の記載等で複数回確認した上で,
分包する。また,分包機が正常に作動しているか確認する。
2)分包された薬の包数を確認した後に,薬袋に入れる。
3)分包の結果,同一処方内で区別がつきにくい薬剤《例えば,白と白の顆粒》の 場
合は,分包紙に色つきの線を入れる等の配慮をする。
□ 誤調剤監査
予
防
1)調剤済みの薬については,必ず調剤者以外の薬剤師が監査を行う。
2)錠剤監査時は,錠剤の規格,用法・用量,外観の酷似したものとの取り違いに注
意しながら監査する。
3)散剤監査時は,分包紙の重量を考慮しながら重量を確認するとともに,分包誤差
及び分包数の確認を1包毎について,色,量,数,異物の混入がないかチェックす
る。
4)液剤及び外用剤についても,液漏れ,破損,変色,異物混入等のチェックを行う。
- 225 -
対
処
1)誤薬を服薬していない場合には,速やかに回収し,調剤をやり直す。また,原因
の確認と対策を検討する。
2)服薬していた場合には,患者の身体状況を確認して主治医と相談する。
3)服薬して副作用が生じた場合には,主治医に連絡するとともに,副作用に対する
処置法等の必要な情報を提供し,必要であれば血中薬物濃度の測定も検討する。
□ 誤充填
予
防
1)薬剤の充填(特に散剤あるいは錠剤自動分包機への充填)の際には,元の容器と
移し替える容器双方のラベルを2人以上の薬剤師が複数回確認し,誤充填を防止す
る。
2)薬剤の返品に際しては,誤返品や誤充填をしないように注意する。
対
処
1)誤充填が判明した場合には,それにより誤調剤が疑われる処方箋を過去に遡って
調査し,交付した薬剤すべてを速やかに回収する。
□ 外来患者に対する薬剤の誤交付
予
防
1)薬剤の交付は ,「引き換え券」との交換により行い,さらに薬剤師が患者氏名の
フルネームを呼んで確認し,それと薬袋記載の氏名とを照合した後に薬剤を交付す
る。
対
処
1)薬剤の誤交付が起きた場合には,速やかに患者住所等を調査し,電話で確認後に
回収して交換する。
□ 病棟(入院患者)に対する薬剤の誤交付
予
防
1)薬袋やラベルを使用して,薬剤の交付先(診療科,階,患者名)をそれぞれ薬剤
毎に添付する。
2)1枚の処方箋にある薬剤はひとまとまりになるように処方箋控えを添付して,輪
ゴムやビニール袋等を利用して交付する。
□ 重大な副作用による被害
予
防
1)病棟及び外来窓口における患者へのわかりやすい服薬説明に努める。特に,重大
な障害につながるような副作用が考えられる薬剤については,患者が未然にこれら
の副作用を回避できるように解説する。
2)眠気等の日常生活で事故につながるような副作用を伝え,二次的な被害の防止に
- 226 -
努める。
□ 医薬品の品質低下
予
防
1)医薬品の添付文書に規定された貯法に従い,適切な環境下で保管管理する。
2)随時,薬剤の有効期限の確認を行う。
3)有効期限の短い薬品から取り出せるように整理整頓する。
4)患者への薬剤交付時には,必ず薬袋等に薬剤の保存方法(保冷,遮光)の指示を
行い,適切な方法で交付する。
2. 注射薬の調剤
□ 誤処方・処方不備
対
処
1)処方内容の確認を行い,併用禁忌,過量投与や明らかな誤処方,配合変化が疑わ
れる内容がある場合には,必ず医師に疑義照会を行う。
□ 注射薬の誤調剤
定時処方(セット渡し)
予
防
1)注射薬自動払出機に注射薬を充填する際には,誤充填のないように確認する。
2)注射薬自動払出機により患者毎に調剤された薬品を処方箋にもとづいて監査し,
患者毎に払出す。
3)払出し用カートには,必ず処方箋の控えを入れ,病棟での確認が行えるようにす
る。
4)注射薬自動払出機の誤作動等に常に注意を払い,システム機器が正常に作動して
いるか確認する。
緊急処方
予
防
1)処方内容を確認し疑義のない場合には,アンプル類と輸液を調剤する。その
後,調剤者以外の薬剤師が薬袋を用意し,アンプル類と輸液をセットし,払出し用の
棚に病棟を確認しながら,誤交付しないように払出す。
□ 外来患者に対する薬剤の誤交付
予
防
1)薬剤の交付は ,「引き換え券」又は「処方箋控え」との交換により行い,さらに
薬剤師が患者氏名のフルネームを呼んで確認し,それと薬袋記載の氏名とを照合し
た後に薬剤を交付する。
2)同時に内用薬がある場合には,内用薬と一緒に交付できるようにセットする。
対
処
- 227 -
1)薬剤の誤交付が起きた場合には,速やかに患者住所等を調査し,電話で確認後に
回収して交換する。
□ 医薬品の品質低下
予
防
1)医薬品の添付文書に規定された貯法に従い,適切な環境下で保管管理する。
2)随時,薬剤の有効期限の確認を行う。
3)有効期限の短い薬品から取り出せるように整理整頓する。
4)患者への薬剤交付時には,必ず薬袋等に薬剤の保存方法(保冷,遮光)の指示を
行い,適切な方法で交付する。
3. 時間外の調剤業務
□ 内用薬及び注射薬の誤調剤
予
防
1)当直業務は,薬剤師1名による長時間連続勤務であるため,特に調剤時の複数回
確認に努め,誤調剤しないように注意する。
□ 盗難・事故
予
防
1)特に麻薬や覚醒剤原料の盗難や事故がないように,時間外の払出しや夜間の戸締
り等に注意する。
4. 製剤業務
□ 誤調製
予
防
1)調製は ,「院内製剤製造指図・記録書」に従い,手順及び秤量をよく確認して適
切な方法で正確に調製し,その結果を記録する。
2)同一人が同時に2種類以上の製剤を行わない。
3)無菌製剤の調製は,クリーンベンチもしくは無菌室内で行う。また,その手順は
無菌操作によって行い,汚染や事故のないようにする。
対
処
1)施用前に判明した場合には,新たに調製し,誤調製したものは廃棄する。
2)施用後判明した場合には,主治医に連絡し,対策を協議するとともに薬剤を回収
する。
3)必要な場合には,新たに調製する。
□ 高カロリー輸液の誤調製
予
防
- 228 -
1)調製は,処方箋又はラベルに従い,無菌室内にて薬品と用量を確認しながら行う。
2)その手順は無菌操作によって行い,汚染や事故のないようにする。
3)調製専用のラベルを別途作成する場合には,処方箋の内容と不一致がないことを
チェックする。
4)調製後には,原則として調製を行っていない者が必ず監査し,重量測定及び結果
の記録,異物混入や液漏れ等のチェックを行う。
対
処
1)施用前に判明した場合には,新たに調製し,誤調製したものは廃棄する。
2)施用後に判明した場合には,主治医に連絡し,対策を協議するとともに回収する。
3)必要な場合には,新たに調製する。
□ 誤使用
予
防
1)製剤の容器に適切なラベルを表示し,必要があれば用法指示や貯法等を明示して,
誤使用の防止に努める。
2)薬事法で定められた適用外に使用するための製剤および医薬品以外の試薬を用い
て調製する製剤で,特定の患者の特定の疾患に対して使用する製剤については,患
者に対するインフォームドコンセントを必要とし,その同意書のコピーを保存する。
対
処
1)誤使用があった場合には,必要な情報を主治医に提供する。
□ 環境整備の不備
予
防
1)製剤の調製を行う場所の清潔保持,整理整頓及び整備を常に心掛ける。
2)製剤の調製を行う者も清潔を心掛け,製剤の際には,白衣,帽子及びマスクを着
用する。
3)製剤の調製を行う時に,クリーンベンチや無菌室の環境整備の不備から,製剤汚
染等を起こさないように,常に環境整備に努める。必要な場合には,測定機器を使
用して環境整備状況のチェックを行う。
□ 器具機械検査の不備
予
防
1)使用している製剤機器の作動状況を使用の都度点検し ,「製剤用機器等管理表」
に記録する。
2)異常がある場合には,業者に連絡するなど適切な処置を行う。
3)滅菌等の装置については,その稼動状態を定期的に検査する。
- 229 -
□ 品質管理の不備
予
防
1)調製した製剤の保存期間及び保存方法の適正性を検討する。さらに,無菌製剤に
関しては無菌性についても検討し,品質管理に努める。
5.治験薬
□ 医療者側の誤使用
予
防
1)新規処方の場合には,インフォームドコンセントを確認する。
2)プロトコールに従った適正な処方であるかを確認する。
□ 誤調剤
予
防
1)処方内容の確認は,少なくとも調剤時及び調剤監査時の2回,それぞれ2人の異
なる薬剤師が行う。
6.薬品情報業務
□ 誤った情報伝達
予
防
1)薬剤に関する問合せに対しては,正確な薬品情報の提供に努め,2人以上の薬剤
師で確認し,誤った情報を伝達しないよう注意する。
2)必ず文献や書籍による確認を行った後に返答する。
3)電話での問合せの時には,必ず相手の所属と氏名を確認し,問合せの内容及び返
答の内容を記録する。
□ オーダーリングシステムへの誤った情報登録
予
防
1)登録する場合には,オーダーリングシステムへ直接登録するのではなく,まずは
コーディング表などに記入する。その後,内容を 2 人以上の薬剤師で確認し,登録
する。
2)登録した後には,必ず帳票を印刷し,登録ミスの有無を確認する。
7. 薬剤管理指導業務
□ 患者の誤認
予
防
1)必ず患者の氏名を呼び,その返事をもって確認する。
- 230 -
□ 医師と薬剤師の説明の相違による医療不信
予
防
1)服薬指導に先立って,薬物療法について他の医療スタッフと申し合せを行う。
□ 院内感染
予
防
1)薬剤師自らが感染源になることを防止するため,定期的に健康診断を受診し,自
らの健康状態の維持に努める。
2)白衣は常に清潔なものを着用し,ボタンを必ずかける。
3)薬剤師自らが流行性感冒等に罹患した場合には,患者との面談を避ける。
8. TDM業務
□ 検体の誤認
予
防
1)採血管等の試料についているラベルと測定依頼書の患者名,ID 番号,採血日及び
時間をよく確認し,試料の誤認を防止する。
2)担当医師からの依頼内容と測定依頼書の記載事項とを照合し,疑義のある場合に
は主治医に照会する。
対
処
1)検体の誤認が起きた場合には,速やかに主治医に連絡し,必要な処置を行うとと
もに,原因の確認と再発防止の対策を検討する。
□ 測定結果の誤伝達
予
防
1)測定結果を測定結果報告書に記載する。
2)測定結果をコンピュータに入力する際には,患者氏名,採血日,時間等を確認し,
誤った結果を伝達しないようにする。
対
処
1)誤伝達があった場合には,速やかに訂正等の必要な対策をとる。
□ 感 染
予
防
1)検体による測定者の感染と他職員への感染を防止するため,ユニバーサルプレコ
ーションに則った管理を行う(血液付着物や検体は常に感染したものとして取り扱
い,測定する場所は感染の危険性があるものと認識して行動する)。
- 231 -
【 治 験 管 理 セ ン タ ー 】
□ 治験参加同意取得における倫理性の欠落
予
防
1)同意説明文書の内容や表現について,患者が理解しやすいように充分に検討する。
2)事前にカルテや患者面談より,患者背景,病歴について情報を得る。
3)治験参加同意説明時には,患者が話しやすい雰囲気作りに心がけ,患者のプライバ
シーが守られる部屋,場所を考慮し,家族の方がいらっしゃる場合は家族にも同席
してもらう。
4)患者に充分な治験参加同意説明及び情報提供を行う。
5)GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)にあげられている以下の内容について充分
な説明を行う。
・当該治験が研究を伴うこと
・治験の目的
・治験の方法(治験の試験的側面,被験者の選択基準,無作為割付が行われる場合は
各処置に割付られる確率を含む)
・被験者の治験への参加予定期間
・治験に参加する予定の被験者数
・予期される臨床上の利益および危険性又は不便(被験者にとって予期される利益が
ない場合には,被験者にその旨を知らせなければならない)
・患者を被験者にする場合には,当該患者に対する他の治療法の有無及びその治療方
法に関して予測される重要な利益及び危険性
・治験に関連する健康被害が発生した場合に被験者が受けることのできる補償及び治
療
・治験への参加は被験者の自由意思によるものであり,被験者又はその代諾者は,被
験者の治験への参加を随時拒否または撤回することができること。また拒否・撤回
によって被験者が不利な扱いを受けたり,治験に参加しない場合に受けるべき利益
を失うことはないこと。
・治験への参加の継続について被験者又はその代諾者の意思に影響を与える可能性の
ある情報が得られた場合には速やかに被験者またはその代諾者に伝えられること。
・治験への参加を中止させる場合の条件又は理由
・モニター,監査担当者,治験審査委員会及び規制当局が原医療記録を閲覧できるこ
と。その際,被験者の秘密は保全されること。また,同意文書に被験者又はその代
諾者が記名捺印又は署名することによって閲覧を認めたことになること。
・治験の結果が公表される場合があっても,被験者の秘密は保全されること。
・被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容
・被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容(支払い額算定の取り決めなど)
・治験責任医師又は治験分担医師の氏名,職名及び連絡先
・被験者が治験及び被験者の権利に関してさらに情報が欲しい場合又は治験に関連す
る健康被害が生じた場合に照合すべき又は連絡をとるべき医療機関の相談窓口
- 232 -
・被験者が守るべき事項
・治験期間中に治験責任医師以外の医師,歯科医師の診療を受ける場合,治験参加中
であることを当該医師等に伝えること。及び,その診療内容について調査すること。
6)治験参加同意説明は,一度に全ての説明を行わず,さらに一方的な説明にならない
ように患者の理解度の段階をおって進める。
7)治験についての説明後,患者に同意説明文書を渡し,充分に考える時間をもっても
らう。また家族の意見も聞くように勧める。原則として同意説明日と同意取得日は
同日にならないように配慮し,後日,返答してもらう。
8)同意文書に患者及び代諾者の意思で,署名または記名捺印し,日付の記載をするこ
とによって治験参加に同意したとみなすことを説明する。
9)代諾者より治験参加同意を得た時は,後日,患者が回復した際,可能な限り患者本
人に説明を行い同意を得る。
10)患者が 20 歳未満の場合は,患者本人と代諾者より同意取得が必要となるため,両
者の署名と日付の記載が行われたことを確認する。
11)治験参加同意を取得後も,随時,治験についての説明を補足していく。
対
処
1)再度,患者、家族の理解度の確認を行い,不充分な点は治験コーディネーターが説明
補足を行う。
2)治験責任医師,治験分担医師から再度説明をしてもらう。
□患者の自由意思を無視した治験続行
予
防
1)外来治験患者に対しては,外来受診の前後で面談を行い,患者の治験参加継続の意
思確認を行う。
2)入院治験患者に対しては,毎日,病室を訪室して面談を行い,患者の治験参加継続
の意思確認を行う。
3)患者の言葉,態度には細心の注意をはらい,小さな変化にも気をつける。
4)治験や治療に関する新しい情報が得られた場合は,速やかに患者に伝え参加継続の
意思を確認する。
5)外来の治験患者の場合は治験参加による療養上の負担を強いることがないように患
者の希望を配慮して外来受診日や検査日を調整する。
6)入院治験患者の場合は,病棟看護師と情報交換を密に行い情報を共有化し患者の気
持ちを把握する。
7)治験患者へ治験コーディネーターは相談窓口であることを伝える。
対
処
1)面談を充分に行い患者の感情の表出ができるように考慮する。
2)治験参加継続,撤回について意思の確認をする。
3)患者が治験を断っても通常の治療が受けられ,不利益がないことを伝え,気持ちの
整理がつくように配慮する。
4)患者が治験参加継続をしたくない旨を意思表示されたら,その気持ちに添い治験中
- 233 -
止の意思を確認する。
5)治験責任医師,治験分担医師に患者が気持ちを伝えきれない様子がみられたら補助
を行う。
□患者の誤認
予
防
1)患者氏名,性別,年齢,診療科名,ID番号, 患者識別番号,患者イニシャル,
薬剤番号の確認を行い,患者に割り付けられた治験薬を確実に投与する。
2)治験注射薬の場合,点滴本体に患者氏名,治験薬名を明記した治験シールを貼る。
3)治験患者であることを,呼名し患者本人の応答により確認をする。
対
処
1)謝罪の言葉を述べ,誤認であったことを説明する。
2)患者の身体・心理状況を確認し,医師と相談する。
3)治験責任医師,治験分担医師に連絡する。
4)治験責任医師,治験分担医師より治験依頼者に連絡してもらう。
□ 治験薬及び併用薬処方時の誤処方・処方不備
予
防
1)治験実施計画書と 治験薬概要についての理解を深める。
2)治験薬・併用薬の種類,用法,用量,投与期間を確認する。
3)治験薬は院内処方のみ,併用薬は原則として院内処方の取り扱いとし,処方箋は分
けて出力する。
4)治験薬及び併用薬は院内処方とし併用禁止薬,併用可能薬,同種同効薬のチェック
を行うようにする。
5)他科受診の際,オーダリングで併用禁止薬が処方されていないか確認する。
6)治験薬は治験責任医師,治験分担医師のみ処方する。
対
処
1)治験責任医師,治験分担医師に処方の取り消し,やり直しを依頼する。
2)再度,同様のことが起こらないように処方について情報伝達を行う。
3)誤処方が調剤され,誤って治験薬及び併用薬を患者に渡した場合は,誤処方が確認
できた時点で,ただちに患者に使用しないように連絡する。
□治験薬の品質低下
予
防
1)治験薬を病棟に払い出した後,治験薬管理手順書に規定された方法で保管管理する
ように医師,病棟看護師に情報伝達する。
2)治験薬自己管理の患者には保存方法(保冷,遮光等)について充分説明し,薬袋に
も明記してあることを告げる。
3) PTPシートの破損や治験薬の変色等品質低下の可能性を感じた場合は,その治験
薬の使用は避け,治験薬管理室及び治験コーディネーターに相談するように指導す
る。
対
処
- 234 -
1)治験薬の品質低下が判明した場合は,患者が治験薬を使用しないように,速やかに
連絡し,治験薬を使用しないように注意する。
2)治験責任医師,治験依頼者に報告する。
3)品質低下の原因を調べ,再度起こらないように注意,指導を行う。
4)医師,病棟看護師,患者に治験薬の適切な保管方法について再指導を行う。
□誤薬
予
防
1)治験実施計画書にそって用法,用量を厳守する。
2)治験薬及び併用薬の服薬指導,服薬確認を行う。
3)外来患者の治験内服薬の自己管理の場合は服薬日誌及び患者日誌を活用する。
4)入院患者への治験内服薬開始時は原則として都度与薬とし,患者の服薬コンプライ
アンスの確認する。
5)退院日決定後から治験薬は自己管理とし服薬指導を行う。
6)入院患者の治験内服薬の都度与薬及び自己管理は管理表を活用する。オーバーテー
ブルと薬袋に貼り,投与時及び確認時に患者と病棟看護師,治験コーディネーター
でチェックを行う。
7)原則として治験内服薬の飲み残し及び空シートは最終的な内服確認として治験コー
ディネーターが回収を行う。
8)原則として治験注射薬の調整及び針の刺入は医師に依頼する。
9)治験注射薬の場合は投与時間,投与速度を確認し必要時は点滴注入ポンプを使用す
る。
10)原則として治験注射薬は,未使用薬及び空バイアルは,最終的な投与確認として治
験コーディネーターが回収を行う。
対
処
1)謝罪の言葉を述べ,誤薬があったことを説明する。
2)患者の身体・心理状況を確認し,医師と相談する。
3)治験実施計画の逸脱になる場合は,治験依頼者に連絡する。報告が必要な時には逸
脱報告をする。
4)医師,外来・病棟看護師,患者に正しい使用方法を再度説明,指導する。
□ 副作用,有害事象の出現の見落とし,未報告
予
防
1)患者観察を行ない,異常の早期発見に努める。
2)治験薬概要書より発生率の高い副作用の確認をしておく。
3)治験依頼者から届けられる有害事象報告の把握をしておく。
4)患者に起こりやすい副作用及び注意すべき副作用について具体的な症状を伝え,患
者に体調の変化を感じた場合は速やかに報告するように指導する。
5)常に患者からの情報を意識し,些細な変化を見落とさないようにする。
6)入院の場合は,治験薬開始時に医師,病棟看護師に起こりやすい副作用及び注意す
べき副作用について説明を行う。
- 235 -
7))臨床検査の結果はその日のうちに確認を行い, 前回の検査値と比較して異常デー
タのチェックを行う。
8)治験責任医師,治験分担医師は治験の副作用,有害事象に関わる報告の義務がある
ことを指導する。
9)重篤な有害事象の出現時は 24 時間以内に治験依頼者に報告し,また病院長に速や
かに報告する。
対
処
1)副作用,有害事象発生時及び発見時は,処置,治療,救命を第一優先する。
2)治験薬概要書又は,治験実施計画書に有害事象及び副作用に対する処置の記載がし
てある場合は,確認の上,対処する。
3)治験責任医師,治験分担医師より治験管理センターに連絡してもらい,治験依頼者
へも連絡,報告をしてもらう。
□検査スピッツ類の品質低下
予
防
1)適切な方法(室温,保冷,冷凍等)で保管・管理する。
2)有効期限を確認し,期限切れになる前に新しいスピッツの準備を行う。
対
処
1)治験依頼者に連絡して新しい検査スピッツと交換してもらう。
2)不適切な保管や品質低下に気づいた時は,その検査スピッツの使用は避ける。新し
い検査スピッツがある場合はそれを使用する。
3)品質低下の原因を調べ,再度起こらないように注意をはらう。
□ 不適切な検体の処理 ・管理
予
防
1)治験実施計画書にそった検体の処理・管理を行う。
2)病院のシステムにそって検体の処理・管理が可能な限り通常の流れに乗るようにコ
ーディネートする。
3)関連部門(外来,病棟,医局,検査部など)へのインフォメーションを行う。
4) 外注の検体スピッツ,伝票は検査前日までに準備する。
5)検体ラベルの患者識別コード,患者イニシャル,日付の確認を行う。
6)検体採取時間及び,検体の保存状態を把握する。
7)検体処理を診療科医局に依頼する場合は,担当者との打ち合わせを充分に行う
8)外注検査会社へ検体回収依頼の連絡を行い,確実に回収されているか確認する。
対
処
1)治験責任医師,治験分担医師に報告する。
2)治験依頼者に連絡し,検査データの信頼性や対処方法について確認する。
3)治験実施計画の逸脱になるため治験依頼者に連絡し,報告の必要があれば逸脱報告
を行う。
4)代用できる血清が検査部に残っているかまた,外注検査の検体として使用して良い
かを確認する。
- 236 -
5)再度,同様のことが起こらないように,治験責任医師,治験分担医師,治験依頼者,
外注検査会社などで対策を立てる。
- 237 -
【 医 療 情 報 部 】
□ 他の職員名義での操作
ある職員( A)が業務終了後に,端末の終了操作を行わずにそのままにしておき,別の
職員(B)がそのまま業務を実行すると,その業務は B でなく A によって施行され
たことになる。
予
防
1) 自分の一連の業務終了時には画面を閉じてパスワード入力画面に戻しておく(多く
の場面で f4 キーを押すとパスワード入力画面に戻ることができる)。
2) 画面上の操作者氏名が自分のものであるかを確認し,そうでない場合にはパスワー
ド入力画面に戻って,自分のパスワードを入力する。
対
処
1) 誤った操作に気付いた場合には,速やかに当該部署に連絡して操作を取り消しても
らう。
□ 誤った患者の選択
患者一覧から患者を選択する際に,リストの隣の患者などを選択してしまうことがあ
る。また,同姓同名の患者を選択してしまうこともあり得る。
予
防
1) 操作の際に,画面に表示された患者名,生年月日を確認する。
対
処
1) 誤った操作に気付いた場合には,速やかに該当部署に連絡して操作を取り消しても
らう。
□ 手書き伝票運用時の患者誤認
定時及び臨時の医療情報システム停止の際には,通常端末操作によって行う業務を手
書き伝票で行うことになるので,転記ミスが増加する恐れがある。
予
防
1) 日常的に行わない操作で慣れていないので,慎重に確認する。
対
処
1) 誤認に気付いた場合には,伝票の行先きに連絡して処理を停止して訂正する。
□ 診療録取り出し時の患者誤認
保管された診療録を診療現場へ取り出す際に,誤ったものを取り出して,診療を行っ
てしまう恐れがある。
予
防
1) 診療現場では,取り出しを依頼する際に,患者番号,患者名,生年月日,住所のす
べてを必ず確認してから依頼する。
2) 保管側では,その依頼情報と照合し,他人の診療録でないことを確認する。
3) 依頼情報と診療録情報がくい違う場合には直ちに照会する。
対
処
- 238 -
1) 誤った診療録に記載した場合には,直ちに正しい診療録を取り寄せて,転記,訂正
を行う。
2) そのため不適切な診療を行った場合には,患者に謝罪するとともに適切な診療を行
う。
- 239 -
【 看 護 部 】
1. 事故防止に対する方針
看護部では「人々に信頼される質の高い看護を提供する」ことを第一としている。患
者の「安全,安楽」を保証することは看護業務のなかで最重要課題である。
平成10年(1998年)より安全管理委員会が発足し,看護事故の実態の把握,原
因の分析などを行い,それらの情報を開示して,共有することにより看護部全体で
事故防止対策に取り組んでいる。
2. 医師の診療補助行為
(a)医師の指示受け関連事故の予防
1) 医師の指示内容を確認する(5W1H:いつ,どこで,誰が,何故,何を,どのよ
うに)。
2) 原則的に口頭指示は受けない。止むを得ない場合には,指示内容・医師名を記録し,
復唱して再確認する。後で必ず指示表に記載してもらい,医師が記録した指示内容
を確認する。
3) 読みにくい文字や,略語,理解しにくい場合は必ず記載した医師に内容を確認する。
4) 転記はしない。止むを得ない場合には,複数の看護師で数回確認する。
5) 指示受けはダブルチェックする。
6) 指示受け後サインする。
(b)与 薬
1) 入院時持参薬は原則として当院での処方に切り替える。(入院時持参薬の取り扱い
手順)
2) 薬剤部より薬剤を受け取ったら,医師の処方指示と薬剤との照合を行う。
3) 患者の状態,治療方針を把握しておく。
4) 薬剤の知識を習得しておく。不明な時は医薬品添付文書集及び DICS などで調べる。
5) 同姓同名患者は ID 番号,生年月日,年齢,住所で確認を行う。
6) 冷暗所,室温等の保存方法を守る。
7) 有効期限に注意して薬剤管理を行う。
8) 与薬の開始及び,中止,薬量の増量及び減量など処方指示で確認する。
9) 患者の理解度に応じた説明,内服指導を行う。
10) 与薬方法,時間の確認を行う。
11) 与薬後は実施記録にサインする。
12) 自己管理は医師の指示のもとに行う。
(c)輸 液
1) 薬剤部から注射薬を受け取ったら,医師の注射指示及び処方箋と照合し声だし確認
をする
2) 適切な薬剤管理,薬剤配置場所を工夫する。
- 240 -
3) 患者の状態,治療方針の把握を行う。
4) 薬剤の知識を習得しておく。不明な時は医薬品添付文書集及び DICS などで調べる。
5) 薬剤を取り出す時,注射器につめる時,空アンプルを捨てる時などには声に出して
薬剤を確認する。
6) ボトルに部屋番号とフルネームでの患者名,薬剤名,注入時間や速度を記載し,一
患者一トレイで準備する。
7) ネームプレートの記載とボトルの患者名,患者本人を照合し,更に本人にも声かけ
し確認する。同姓同名患者に注意する。
8) 指示された薬量,滴下速度,濃度の確認を行う。
9) 輸液ポンプ・シリンジポンプなどのME機器の取り扱いの知識を習得する。使用中
は作動状況を経時的にチェックする。
10) 輸液ポンプの流量は,○ml/ H で設定する。
11) 針の刺入部及び固定,ルート接続部を確認し観察する。
12) 実施記録にサインをする。
(d)注 射
1) 注射指示と処方箋,注射薬を声出して照合,確認する。
2) 指差し呼称で確認し,準備する(患者氏名,薬剤名,薬量,投与法,時間,滴下速
度)。
3) 患者名を声に出して確認する。同姓同名患者に注意する。
4) 側管や三方活栓からの注入時はルートの確認及び刺入部を確認する。
5) 正しい手技を身に付ける。
6) 注射前後での患者の状態を観察する。
7) 実施記録にサインする。
(e)輸 血
1) 「輸血実施手順書」に従い,基本的確認事項を遵守する。
(輸血前,輸血時の確認,
輸血開始後)
2) 保存方法や融解後の使用時間,不適合時の対処など輸血療法に関する知識を深めて
おく。
3) 血液型プレートを医師が記載し,プレートを確認できる場所(点滴スタンド)へか
ける。
4) 「輸血用チェックシート」に基づいてダブルチェックをし,サインする。(氏名・
血液型・製造名・製剤番号・有効期限・交差適合・照射の有無・外見異常の有無)
5) 血液型プレートの氏名・血型が血液バックの血型及び「出庫製剤リスト」の氏名・
血型と一致していることを確認する。
6) 患者を充分に把握し,患者名の確認と,血型プレートで血型を確認する。
7) 指示された輸血速度で開始し,副作用の有無を観察する。輸血開始後15分間,患
者の状態を観察する。
8) 2本目以降の接続時も「輸血用チェックシート」に基づき確認,実施する。
- 241 -
(f)チューブトラブル
1) チューブの挿入目的,挿入部位,チューブの種類,数,挿入の長さなどを把握して
おく。
2) チューブの固定を確実に行い,観察する。
3) チューブの閉塞,屈曲,ねじれ,自然抜去などの有無を必ずチェックする。
4) 予測されるチューブトラブルについての対応と防止策を知っておく。
5) 点滴とチューブ類は,誤注入がないように離しておく。
6) 複数のチューブが挿入されている患者のケアは,複数の看護師で手早く行う。
7) 各チューブにその種類をネーミングしておき,チューブがからまないようにする。
8) チューブ交換は適切な時期に行い,二次感染に注意する。
9) 不隠傾向や理解力に乏しいケースは自己抜去に注意する。
(g)検査・検体採取時
1) 患者名をフルネームで確認する。
2) 患者への充分な説明を行い,同意を得る。
3) 検査伝票や検体ラベルの内容を確認し,不明な点は医師に確認する。
4) 患者に姓名を名乗ってもらい確認する。
5) 臨床検査ガイドブックを活用し,採取法・検体取り扱いを確認する。
6) 患者の状態把握と検査前後の観察を行う。
7) 適切な物品の準備とともに確実な手技で行う。
8) 採取後は速やかに検査室へ提出する。
(h)周手術
1) 手術患者の移送は「手術患者移送マニュアル」に従って行う。
2) 患者の情報収集とアセスメントを充分に行う。
3) 手術部位と手術体位を知り,褥瘡の予防について工夫する。
4) 麻酔覚醒までの患者を観察し,異常時の対応を速やかに行う。
5) 手術機器の定期的な点検と整備を行う。
6)医療材料の有効期限の確認を行う。
7) 手術に携わる医療スタッフのよりよいチームワークに努める。
(i)周産期
1) 充分な知識を持って,妊婦への指導を行う。
2) 発生しやすいトラブルとその対応について習熟しておく。
3) 医師,助産師との情報交換を行う。
4) 産婦の訴えの傾聴と観察を行う。
5) 褥婦の状態を観察し,適切に指導する。
6) 新生児の氏名の確認,ネームプレートの装着を確実に行う。
7) 新生児の取り扱い時は落下,熱傷,打撲などに充分注意し,母親への指導を行う。
(j)ME機器
1) 機器の正し取り扱い方法をマスターしておく。 取り扱い説明書を各機器につけて
- 242 -
おく。
2) 初めて及び慣れない機器の場合一人では行わない。
3) 慣れている動作でも必ず操作手順に従い指差し確認して行う。
4) 使用中の作動状態を定期的にチエックする。
5) 定期的な機器の点検,整備を行う。
6) 停電時非常用電源に接続し,再起動の点検を行う。
7) 機器(人工呼吸器等)によっては最初から非常用電源を使用する。
8) アラーム設定を OFF にしない。
9) 異常時は冷静な判断のもとに行動する。
10) 1つの電気回路に接続するアンペア数を考慮して接続する。
11) 患者の転倒防止,スタッフが動きやすいようにコード類を整理する。
3.療養上の世話に関する事項
(a)転倒・転落
1) 入院時,1週間後,変化時「転倒転落アセスメントスコアシート」でチェックする。
2) 危険度ⅡⅢの患者に対し,「転倒転落防止マニュアルチェックリストを用いて防止
策を計画する。
3) 危険度Ⅲの患者に対し看護室のナースコールネームプレートに「危険シール」を貼
付する。
4) 高齢者,小児,眠剤服用者,下肢の筋力低下のある患者,痴呆,精神障害者,不隠
患者は転倒・転落事故を起こす危険性が高いので,充分な観察を行う。
5) 入院オリエンテーション時,リーフレットに基づき転倒転落防止の指導を患者に及
び家族に指導する。「
( あぶないのでご注意下さい」)
6) 夜間の排泄行動に伴う転倒事故が多いため,頻回の訪室による介助,事前の誘導な
どを行う。(フットライトの設置,柵つきポータブルトイレ設置)
7) ベッド周囲の整備を行い,椅子など使用しない時は片付ける。
8) 廊下に不必要な医療機器等を置かない。
9) ベッド柵の取り扱い方法を充分に説明しておく。ベッド柵は常時あげておく。
10) ベッドや車椅子のストッパーを確認する。キャスターにつまづく危険性もあるた
め,キャスターの向きにも注意する。
11) 床に水をこぼさない。水のこぼれやすい場所にはマット等を敷き,こぼれた場合
にはすぐに拭き取る。
12) 小児の転落事故が多いので,ベッド柵の確実な使用を徹底し,乳幼児では家族へ
の指導を行う。また,ベッド周囲にマットなどを敷く。
13) CT,X線,エコーなどの検査や処置が柵や手すりのない狭いベッドで行われる
ときは,特に転落に気をつける。
14) 他部署での検査の場合は,患者状態の情報を伝える。
(b)院内感染
1) 一処置一手洗いを原則として,充分に手洗いを行う。
2) 原則としてウエルパス等の速乾性手指剤を病室入口に設置する。
- 243 -
3) すべての患者の血液,体液は感染の可能性があるものとして取り扱う。
4) 針刺し事故防止用の医療器材を使用する。
5) 採血時は手袋を着用する。
6)感染性廃棄物は指示された方法で処理する。
7) ゴミの分別を徹底する。
8) 行き届いた清掃,環境整備を行う。
9) 患者,家族,面会者,医療従事者の教育指導を図る。
(C)褥 瘡
1) 日常生活自立度判定を用いて評価し,ランク B・C の患者はマニュアルに添った対
応を行う。
2) 患者の状態把握と少なくとも 2 時間毎の体位交換を行う。
3)
栄養と褥瘡の関係についての知識を深めておく。
4) エアーマットや体圧分散マットを使用する。
(d)徘 徊
1) 痴呆・健忘のある場合は,入院時に充分な情報を収集しアセスメントする。家族と
共に危険防止策を考え,対応する。
2) 病室やベッドの配置を考慮し,頻回の訪室と共に常に在室確認を行う。場合によっ
てはモニター監視し所在の把握を行う。
3) 離床センサーマット,うーご君などの IT 機器を活用する。
4) 患者に階名,氏名を記載した名札をつけ,入院階がわかるようにしておく。
5) 夜間は防火扉を閉めておく。
(e)無断外出(外泊)
1) 外出(外泊)の際は必ず医師の許可が必要であることを入院時説明する。許可証の
記入,使用方法について説明しておく。
2) 患者の連絡先(電話番号を含む)は数カ所を聞く。携帯電話番号なども聞いておく。
3) 病棟から離れる場合は,必ず看護師に声をかけるよう説明する。
4) 連絡がとれず,帰院しない場合には医療事故の連絡体制に従って対処する。
5) 無断外出(外泊)の危険がある患者はスタッフ間で情報を共有し,夜間は防火扉を
閉めておく。
(f)自殺(自殺企図)や異状死
1) 患者の把握を充分に行い,予測される患者は観察を頻回に行い,テレビモニターで
の監視も考慮する。
2) 病室の窓は施錠する。
3) 患者状態や言動を詳細に記録する。
4) 異状死の場合には,発見後,直ちに患者の状態を確認し,応援を要請すると共に医
師に連絡する。
5) 異状死と思われる場合は,現場保存を行う。
6) 救急蘇生を行い,家族へ連絡する。
- 244 -
7) 大部屋の場合には,他の患者を刺激しないように,静かに,速やかに個室へ移す。
8) 警察への報告は病院長より行う。
4.その他
(a)患者誤認
1) 確認不足,思い込みが事故原因の第一であることから,患者の顔,氏名,疾患名を
覚える。
2) 同姓同名患者は登録番号や生年月日,年齢,病棟,科名,病室,主治医で区別し,
確認を怠らない。
3) 同姓患者はスタッフの目に付く所(ナースコール表示板,カルテ表紙)に掲示する。
4) 声を出して確認する。
5) 患者に姓名を名のってもらい確認する。
6) 伝票と氏名の確認はフルネームで行う。
7) 手術患者移送時は血液型プレートを手首に装着する(手術患者移送マニュアル参
照)。
8) 患者にも同姓同名者がいることを知らせる。
9) 他部門にも同姓同名患者がいることを知らせる。
(b)針刺し
1) リキャップはしない。止む得ずリキャップする場合には,キヤップを手に持たずに,
片手ですくいあげるなど正しい方法で行う。
2) 注射などの処置時はトレイを使用し,使用後の針を放置したままにしない。
3) 針の片付けは専用容器を使用する。
4) 注射,採血施行時は,患者の感染症の有無を把握し,落ち着いて行う。
5) 針先は自分の方に向けない。
6) 針刺し事故発生時には,直ちに血液を絞り出して流水で洗浄し,応急処置を行う。
7) 感染症が明確であった場合,感染の疑いがあった場合,フローチャートに従い予防
措置を行う。
8) 感染の有無に拘わらず,「針刺し・切創事故報告書(エピネット日本版)」を看護部
へ提出後,総務課人事係へ提出する。
9) 感染性刺傷時には,「針刺し事故マニュアル」を参照し,総務課人事係に報告して
所定の手続きを行う。
(C)インフォームドコンセント
1) 患者が自分の病気や病名の説明をどのように希望しているかを把握し,医師のイン
フォームドコンセントに協力する。
2) 医師が患者,家族へ病気,病名,治療,検査について説明を行う際は,看護師も同
席し,患者,家族の反応について記録しておく。説明内容は医師が記載したものを
コピーして看護カルテに貼付する。
3) 医師の説明についての患者,家族の理解度の確認を行う。理解できていない点につ
- 245 -
いては看護師が説明したり,再度医師に報告し説明を依頼する。
4) 医師との情報交換を行う。
5) 医師,患者,家族とのより良い人間関係づくりに配慮する。
(d)診療録・レントゲンフィルム関係(看護師)
□ 診療録の誤認
予
防
1)入院時診療録はDrカルテの一番上に綴じる。
2) 同姓同名の患者の場合には登録番号,主治医名,年齢,生年月日で区別できるよう
に工夫を行う。
□ 診療録・レントゲンフィルムの紛失
予
防
1) 使用後は必ず所定の場所に保管する。
2) 患者が退院したら,診療録は病歴管理室へ,フィルムは放射線部へ返却する。
3) 借用は,診療録は病歴管理室で,レントゲンフィルムは放射線部受け付けで手続き
を行う。その際,借用サインを必ずする。
- 246 -
- 247 -
- 248 -
- 249 -
- 250 -
【 資 料 】
○長崎大学医学部附属病院医療事故防止委員会内規
(
平成12年3月8日制定
)
(設置)
第1条
長崎大学医学部附属病院に、医療事故の予防を推進し、かつ、患者に安全
療を提供するための方策等を講じるため、長崎大学医学部附属病院医療事故
な医
防止委員会
(以下「委員会」という。)を置く。
(審議事項)
第2条
委員会は、次に掲げる事項を審議する。
一
医療事故の予防対策の推進に関すること。
二
医療事故防止のための教育及び研修に関すること。
三
医療事故防止のためのマニュアル作成等に関すること。
四
医療事故の情報収集に関すること。
五
その他医療事故に関すること。
(組織)
第3条
一
病院長
二
副病院長(診療経営担当)
三
内科系及び外科系の診療科長
各2名
四
内科系及び外科系の病棟医長
各1名
五
中央診療施設の副部長
六
薬剤部長
七
看護部長
八
副看護部長又は看護師長
九
事務部長
十
総務課長、管理課長及び医事課長
十一
2
委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。
2名
2名
その他委員長が必要と認めた者
委員は、病院長が命ずる。
(任期)
第4条
前条第1項第3号から第5号までの委員の任期は、2年とする。ただし、
再任
を妨げない。
2
前条第1項第3号から第5号までの委員に欠員が生じた場合の補欠委員の任期
前任者の任期の残余の期間とする。
(委員長)
第5条
2
委員会に委員長を置き、病院長をもって充てる。
委員長は、委員会を招集し、その議長となる。
- 251 -
は、
3
委員長に事故があるときは、副病院長(診療経営担当)がその職務を代行す
る。
(会議)
第6条
2
委員会は、委員の過半数の出席がなければ議事を開くことができない。
委員会の議事は、出席者の過半数の同意をもって決し、可否同数のときは、議
長の
決するところによる。
(意見の聴取)
第7条
委員長が必要と認めたときは、委員会に委員以外の者を出席させ、意見を
聴取
することができる。
(事務)
第8条
委員会の事務は、医事課において処理する。
(補則)
第9条
この内規に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会
に定めることができる。
附
則
この内規は、平成12年4月1日から施行する。
附
則
この内規は、平成12年7月12日から施行する。
附
則
この内規は、平成13年11月19日から施行する。
附
則
この内規は、平成14年3月1日から施行する。
附
則
この内規は、平成14年9月11日から施行する。
- 252 -
が別
○長崎大学医学部附属病院安全管理部内規
(
平 成 14 年9 月11 日制定
)
(趣旨)
第1条
この内規は、長崎大学医学部附属病院安全管理部(以下「安全管理部」と
いう。)
の組織及び運営に関し、必要な事項を定めるものとする。
(目的)
第2条
安全管理部は、病院長の下に、医療における事故防止・安全管理の推進を
図る
とともに、医療従事者の知識や技術の質の向上を図ることを目的とする。
(業務)
第3条
安全管理部においては、長崎大学医学部附属病院医療事故防止委員会(以
下「医
療事故防止委員会」という。)と連携し、次に掲げる業務を行う。
一
インシデント及びアクシデントの発生原因の調査及び分析に関すること。
二
安全管理対策に関する実施状況調査及び評価に関すること。
三
安全管理対策の強化及び推進に関すること。
四
医療事故防止に関する啓発活動に関すること。
五
医療事故防止に関する教育及び研修に関すること。
六
医療事故防止対策マニュアルに関すること。
七
その他医療における事故防止・安全管理に関すること。
2
安全管理部は、医療における事故防止・安全管理の実施及び対応等について、
医療
事故防止委員会に報告するものとする。
(職員)
第4条
2
安全管理部に、次に掲げる職員を置く。
一
部長
二
リスクマネージャー会議議長
三
ゼネラルリスクマネージャー
四
医療情報部副部長
五
感染対策看護師長
六
副薬剤部長から選出された者
七
医事課長
八
総務課専門員
九
その他病院長が必要と認めた者
1人
若干人
職員は、病院長が命ずる。
(任期)
第5条
前条第1項第1号及び第6号の職員の任期は、2年とする。ただし、再任
を妨
前条第1項第1号及び第6号の職員に欠員が生じた場合の補欠の職員の任期
は、
げない。
2
前任者の任期の残任期間とする。
- 253 -
(部長)
第6条
部長は、診療科長又は中央診療施設の長のうちから病院長が指名する者を
もっ
て充てる。
2
部長は、安全管理部の業務を掌理する。
(副部長)
第7条
2
副部長は、第4条第1項第2号及び第3号の職員をもって充てる。
副部長は、安全管理部の業務を総括し、部長を補佐する。
(リスクマネージャー会議)
第8条
安全管理部に、医療における事故防止及び安全管理の推進に関する情報交
行うため、長崎大学医学部附属病院リスクマネージャー会議(以下「リスク
換を
マネージャ
ー会議」という。)を置く。
(任務)
第9条
リスクマネージャー会議は、インシデント及びアクシデントの調査・報告
を行
リスクマネージャー会議は、医療事故防止委員会及び安全管理部での決定事項
をリ
う。
2
スクマネージャーに伝達周知する。
3
リスクマネージャー会議は、リスクマネージャーに、当該部署の安全確保状況
につ
いて定期的に調査を依頼し、点検状況の報告を求める。
(組織)
第10条
リスクマネージャー会議は、次に掲げるリスクマネージャーをもって組
織す
る。
一
各診療科において指名されたリスクマネージャー
二
各中央診療施設において指名されたリスクマネージャー(次号から第5号ま
で
に掲げるリスクマネージャーを除く。)
三
各病棟及び中央診療施設の看護師長として指名されたリスクマネージャー
四
検査部技師長として指名されたリスクマネージャー
五
放射線部技師長として指名されたリスクマネージャー
六
薬剤部において指名されたリスクマネージャー
七
医事課栄養管理室長として指名されたリスクマネージャー
八
医事課において指名されたリスクマネージャー(前号に掲げるリスクマネー
ジ
ャーを除く。)
(任期)
第11条
前条第1号、第2号及び第6号のリスクマネージャーの任期は1年とす
る。
ただし、再任は妨げない。
2
前条第1号、第2号及び第6号のリスクマネージャーに欠員が生じた場合の補
欠の
リスクマネージャーの任期は、前任者の任期の残任期間とする。
(議長)
第12条
リスクマネージャー会議に議長を置き、安全管理部長が指名するリスク
ージャーをもって充てる。
2
議長は、会議を招集し、その会議を統括する。
- 254 -
マネ
3
議長に事故があるときは、議長があらかじめ指名するリスクマネージャーが、
その
職務を代行する。
(事務)
第13条
安全管理部及びリスクマネージャー会議の事務は、医事課において処理
する。
この内規に定めるもののほか、安全管理部及びリスクマネージャー会議
の運
(補則)
第14条
営等に関し必要な事項は、病院長が別に定めることができる。
附
則
1
この内規は、平成14年9月11日から施行する。
2
この内規施行後最初に任命される第4条第1項第1号及び第6号の職員の任期
は、
第5条第1項の規定にかかわらず、平成15年3月31日までとする。
3
この内規施行後最初に任命される第10条第1号、第2号及び第6号のリスク
マネージャーの任期は、第11条第1項の規定にかかわらず、平成15年3月
までとする。
- 255 -
31日
- 256 -
【 編 集 後 記 】
このマニュアルが院内のたくさんの人の手によって作られたことは言うまでもありませ
ん。それ以外にも,表の一部は当院のホームページのデザインも行ってくださっている,
岡山県在住のボランティアの方が作ってくださいました。この場で感謝の意を表したいと
思います。
Version 63 02/10/11 - 03/05/15
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2746 min
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