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2012 あしあとてらす

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2012 あしあとてらす
長野こども療育情報誌
あしあとてらす
2012
春号
患者家族の手記:
保育園のももちゃん
~生まれてからのあしあと
重い障がいを持つ
こどもたちのための遊び
障がいを持つこどもたちの
歯磨き・口腔ケア
長野こども療育推進サークル
ゆうテラス
長野県立こども病院
しろくま図書館内
七五三のももちゃん
長野こども療育情報誌
「あしあとてらす」
2012 年
春
準備号
目次
患者家族の手記
「ほいくえんのももちゃん~そのあしあと」・・・・・・・・・・
2頁
重い障がいをもつこどもたちのための遊び ・・・・・・・・・ 14頁
こども病院でのボランティアの役割
・・・・・・・・・・ 18頁
障がいをもつこどもたちのための口腔ケア
2
・・・・・・・・ 20頁
あしあとてらす
患者家族の手記
ほいくえんのももちゃん~そのあしあと
ももちゃんのお母さん:北島朗子さん
「ももちゃ~ん」保育園でたくさんのお友達
が声をかけてくれます。今日はももの通ってい
るあんず保育園でのこいのぼり運動会です。去
年までは先生が抱いてダンスをしたり、かけっ
こをしたりしてくれたのですが、体が大きくな
ってきたので、先生ごと転んだら大変との配慮
から、今回からはバギーに乗っての参加です。
ともあって、
(その段階で普通は発見されてしか
るべきとの後日談あり)いつも自分の予定だけ
で忙しく動いていて、頼みごとなどしづらい父
には、その段階では言えませんでした。…時間
があの時に戻ってくれたらなあ…。車内でみる
みるうちに容体は悪化し、産科の処置室に着い
て出血も始まり、だんだんと意識も遠のいてい
きました。
平成 19 年4月 11 日水曜日 19 時 04 分。緊急
帝王切開により、ももは予定日より1ヶ月早く、
1,980gで生まれました。妊娠高血圧症候群、い
わゆる妊娠中毒症で8日間入院していた病院を、
混んできたからとのことで、一旦退院を促され
て出た1週間後でした。
病院で寝ていれば安定してみえても、家に帰れ
ば家事もあるしで、世の女性達はなかなか家で
は安静にしきれません。11 日当日は、午前中に
検診にも行ってOKもでていたので、いつも通
り安心して家事もこなし、お昼寝をして体を休
めました。
その日の夕方、まず腰が抜けるような感覚が
しました。何回か気のせいだと思ってやり過ご
し、その後吐き気がしてきた段階で「おかしい
…、いつもと違う。」と思い産科に電話をしまし
た。朝も2回ほど腰が抜けるような感じはした
のですが、検診で伝えたところ、問題なしとの
ことでした。
あとから思えば腰に感じた異変は、胎盤が剥が
れ始めて引っ張られていたものでした。
電話でも「陣痛とは違うみたいだしもう少し
様子みて。」と言われましたが、尋常ではなさそ
うです。主人が仕事から帰ってきたと同時に、
車に乗せてもらって病院に行きました。出血で
もあればもっと早く、家にいた父に乗せて行っ
てもらうこ
ともできた
かもしれま
せん。午前中
に検診を受
けて大丈夫
だと言われ
たというこ
3
生後15時間た
っ たこ ろ 。つ ぶ
らな瞳が愛し
い。
頭の大きさ
はパパの握りこ
ぶしくらい。
「胎盤早期剥離」による新生児仮死。それが
後に告げられた事実でした。父の仕事の関係で、
院長自らが担当医でもあったこと(多忙の為も
う1人主治医あり)、その関係でお医者さんや看
護師さんに知り合いが多かったこと。普通なら
メリットとなることが、事故を招いた要因の1
つとなってしまったのでした。
知り合いがいて、内々に優遇される場合に、
お客様、患者様としての立場でふんぞり返って
いられる人と、逆に遠慮してしまう人…。
私はあきらかに後者です。今となっては、ある
部分では親しいからこそ知り得た、病院混雑な
どの情報など無視して、もっと主張すれば良か
ったな、と思っています。
「…あの時もっとこうしていれば…ああしてい
れば…。」
自分の子供の誕生日とい
えば、世間一般では晴れや
かな日。しかし私にとって
はももの誕生日=心も体も痛かった日…。毎年
ももが誕生日を迎える度に、
「お腹の中では元気
だったももを、ちゃんと産んであげられなかっ
た…。」という後悔の念と共に、ズキン…と胸に
込み上げる、鉛のような気持ちを、当時は持て
余していました。今では「ももちゃんお誕生日
おめでとう!」と嬉しく思うばかりですが、や
はり心の片隅には、しっかり以前の鉛が残って
います。この感情は無理に消そうとしないでう
まく折り合い、一生付き合っていくものなのか
もしれません。
及ぶ範囲内だとしても、病院によって看護師さ
んやお医者さん、はたまた患者さんの人数や、
医療機器など設備も違うわけだし、その病院の
出来ることとしては精一杯やって下さったので
はないだろうか…?
医療の素人である患者の思いと、お医者さん
の考えとは見解が異なるのかもしれないし…。
(こうなってまで、相手の事情ばかりを考えて
いる自分に嫌気が差しました…。)でも、ももの
ことは避けられた事故であり、医療機器の充実
って問題ではないって言ってたしなあ…などと
様々な想いが去来し、一時期は悶々としたもの
でした。むしろ真実なんて知らなかった方が、
私みたいな性格の者には、今だけを見て進みや
すかったのかもしれません。
院長はじめ関わって下さった方にはお伝えし
ていませんので、言い分もあるでしょう。
「必要
なことは全てやってやったぞ」と思ってもいる
でしょうし、ましてや見逃していたという認識
とは、ずれているのかもしれません。もし訴え
ていたとしたら、逆に恩知らずと言われたかも
しれませんね。これからの患者さんの為には「
同じことを繰り返さない」という意味では、訴
えるというやり方も有効なのかもしれませんが、
訴えることによる、その後の北島家の幸せバラ
ンスを考えると、それはできませんでした…。
でも手術当日運が良かったのは、11 日の夕方
は各科の会議があったとのことで、麻酔科から
産科、小児科すべてのお医者さんが揃って残っ
ていたことです。「あと 30 分も遅れていたら母
子共に助からなかったよ。」と伝えられ、私の為
に遅くまで残って下さった、お医者さんやスタ
ッフの方に感謝しています。
術後、
「胎盤剥離は7千人に1人くらいのめっ
たにない症例だし、どうしようもないんだよ。」
と説明をして頂きました。原因も不明、予測も
不可能だと説明され、私なりに当時は納得しま
した。しかし日が経つにつれ、仕事先などで他
県の院長や副院長クラスのお医者さん達と、プ
ライベートで話す機会が増えました。
「…胎盤剥離自体は一旦起こると人間の力じ
ゃ止めようもないけど、そうなる前の予兆が必
ずあるから、医者なら誰でもそれ前の検診でわ
かるよ。早くてももう出さなきゃ危ないなとか
ね。そういう状態の妊婦を退院させるなんて普
通は考えられないよ。ももちゃんの時は、残念
だけど見逃されたねえ。」―――と相当数のお医
者さんから言われました。他にも、
「処置室で助
産師が心音の確認をして、心音無かったわけで
しょ?心音確認に何分かかってるわけ?医者呼
ぶまでも手間かかりすぎだよ!」とか、今後の
医療の為に「訴えるべきだ。」と仰る方も多数い
らっしゃいました。
どんな仕事をしている人でも失敗はあります。
しかし医師という職業は、その仕事の対象とな
る人の「病気や怪我」というマイナスからのス
タートです。しかも、初め病気になったのは医
師の責任ではないにもかかわらず、治療段階で
は、それがたとえ一度だけの判断ミスだったと
しても、患者さんやその家族の一生を左右して
しまう程に重いものなんだなあ…と、つくづく
思います。私
の半身は今で
も、過酷な労
働条件のもと
に働く医師達
を尊敬してい
ます。
…訴えるっていってもなあ…。人と争うの嫌
だし、これからも病院にはお世話にならなきゃ
いけないし…、皆さん親切で精一杯やっても下
さったし…。でも異常に気付いてくれていれば、
こんなことにはならなかったのか…。医療技術
うんぬんではなく、お産は 100%安全ではない
ことも知識として知っています。たとえ医術の
退院間近。
たいせつな宝物
ちゃんをお風呂
に入れます
4
遠ざかっていく、救急車のサイレンの音などが
忘れられません…。
数日後に、他のママさん達と頂いたお祝い膳
の虚しかったこと…。ママさん達は母子同室ら
しく、
「赤ちゃんがうるさくて眠れな~い。」
「看
護師さんが面倒みてくれればいいのに。」なんて
言って談笑しています。私は黙って聞きながら
「赤ちゃん元気で傍にいてくれるってのに何贅
沢言ってんの!」なんて内心思ったりもしてし
まいました。
その後、こども病院に1ヶ月程お世話になり、
平成 19 年5月7日月曜日。ももは、晴れて北島
家の門をくぐることができました。
小さなお鼻には胃まで届く
栄養チューブ。まなざしに
は生きる決意が。
いずれにしても訴えるということは奥が深い
問題であり、私達家族には荷が重すぎました。
ももに戻ります。無事に蘇生できたわけです
が、脳に酸素がいかない時間が長すぎた為に、
大脳基底核がやられ、運動機能などの主だった
機能に障がいが残りました。
しつこいようですが、これも次の日に、主人
が病院スタッフより先に異常に気が付いたんで
す。
「足でペダルを漕いでるみたいでね。変だっ
たんだよ。でも誰も気が付かなくて僕が言いに
行ったんだよ。」
と後にパパより。すぐにお医者さんに診て頂
き、ママには一度も会えないまま、県立こども
病院に緊急転院することになりました。それで
も一目会いたくて、こども病院のドクターに無
理を言って、私の個室にほんの少しだけ連れて
きてもらいました。
ぐっすりねんねでお家に帰ったももち
ゃん。目覚めたら猫の格之進がのぞき
こんでました。お家に帰って初めて会
った家族が猫って・・・(=^・^=)。
ももは自分で名前を選んだんですよ!
なかなか名前を決めるところまでいかなくて、
長らく「北島ベビー」のままでした。5月生ま
れに合う名前をあらかじめ考えておいたのに、
それが使えなくなったせいもあるし、出産後色
々あったので、名前どころではなかったという
のも実情です。期限がきて困ったパパが、北島
の姓に合うとされている名前を、NICU の呼吸器
の中にいる赤ちゃんの前で、ゆっくりと全部読
み上げたそうです。
「もうこうなったら赤ちゃん
に決めてもらおう!」というわけです。プリン
トされたものを見たら、名前の候補が3~40
種類ほどもあったでしょうか。
「もも」という名
前を読み上げたところで顔の表情が変わり、手
器具やチューブに繋がれ、埋もれてはいまし
たが、
「可愛い~!!」まず思ったことです。そ
の後は、
「あの時悠長に病院に電話なんてかけて
いないで、もっと早く病院に行っていたら…。
混んでるからといって、退院してもいい、なん
て言わないでずっと入院していれば…。ごめん
ね、ごめんね…ママのせいで苦しい思いをさせ
て…。」などの想いが次々と湧き出てきて、涙が
止まりませんでした。でも、こども病院の先生
に「大切にお預かり致します。」と言って頂き、
悲しいながらも安心したことを覚えています。
…その後、病室を出ていく我が子を含めた全員
の後ろ姿や、私の赤ちゃんを乗せてだんだんと
5
足の反応もあったそうです。気のせいかと思っ
て、もう一度全ての名前を繰り返し読み上げた
けれど、2回目も「もも」の名で、新生児特有
の笑顔が出たそうです。偶然かもしれませんが、
そのようにして、「北島ベビー」は「北島もも」
となりました。
で、小さいとはいえ、体重の何倍もの重さがマ
マの腕にかかります。
股関節も固いので、おんぶも出来ません。
感覚も過敏で、
「やっと寝たあ」と思ってお布団
への着地に成功!!と思ったら、家の柱がみし
っと鳴っただけで起きた…、私が前髪をかきあ
げた、
「さらっ」の音で起きた…の繰り返し。珍
しく成功した時に限って、父がのどかにドスド
ス2階から降りてきて、起きてしまった…なん
てこともしょっちゅうでした。着地時はまるで
時限爆弾を扱うかのごとき有様だったんですよ。
退院の日。
お姫さまですね
ももの診断名は、
「新生児仮死による低酸素性
虚血性脳症による重症後遺症(体幹の重度機能
障害)」というなが~いものでした。
脳の写真はつるっつる…。蘇生できたこと自体
が奇跡的なほど壊れていました。普通なら亡く
なっていてもおかしくないほどの時間、呼吸で
きなかったのですから…(ももの生命力には驚
かされました)。運動機能はおろか、発語もする
かわからない、表情も出るかわからない、食事
もとれるようになるかわからない状態。全ての
項目に「…まずは無理だろう…。」の言葉が前提
としてあるのです…。
「でも、子供の脳はまだまだ発達するから、今
後良くなることもありますよ。」と、先生に慰め
られ、そこに希望を見い出すことによって、な
んとか立っていられたのでした。
泣きだしたら止まり
ませんでした…。
ママの睡眠時間は
平均2時間足らず!!
とにかく、痙攣止めのお薬が飲めるようにな
った2才までは、夜昼眠れない子でした。もも
が初めての子で、子育て初心者マークの私です。
我ながらよくもったなあと思います。後に生ま
れた下の子は双子の男の子なので、交互に起き
て確かに大変ではありますが、ももに鍛えられ
たママにとってはへっちゃらです。ももは、赤
家での子育ては、想像を絶する過酷なものと
なりました。ももは眠くなると、脳に信号がガ
チャガチャと出てしまうのです。眠りたいのに
眠れない睡眠障害で、しかも泣く声の大きさは、
健康な子が具合の悪い日に本気で泣く時くらい
に、常に音量はマックス。痙攣して突っ張るの
で、抱いて揺すって体を丸くしてあげないとも
もは休めません。力いっぱい泣いて突っ張るの
6
ちゃん2人分以上のパワフルな子だったんだな
あ…と、つくづく思います。
うけど、聞くだけ聞いてみよう。」と思い立ち、
一時保育をお願いできるかどうかを聞きに、も
もを連れて自宅近くにある保育園の門を叩いた
のでした。
私の母にも助けてもらいながらの育児でしたが、
日曜以外は母も夕方まで勤めがあったため(ち
なみに、日曜は家の農業があります)、母の都合
と、どうしても休めない私の仕事に行く日が重
なってしまうような日には、市の支援センター
のボランティアサービスを利用しました。
「こういう子なんですが、週1日お願いできな
いでしょうか?」から始めたわけですが、当時
の園長先生が親身になって聴いて下さって、相
当なお時間を割いて面談をして下さったのです。
産まれた時の様子から、眠れなくて困ることま
でお話をしました。
「…お母さん、よくここまで
頑張ってももちゃんを大きくしてきましたね。」
そう労わって頂いた時は、思わず涙がこぼれま
した。
「いっそのこと、保育園に入れちゃいましょ
うよ!」と先生に提案して頂いた時は、驚くと
ともに、そこまで気にかけて下さる方との出会
いに感謝をしました。はじめは市で断られたと
風の便りで聞きましたが、最終的には入園を許
可して頂きました。数回にわたり断られても、
当時の園長先
生や主任先生
(現園長先生)
が、何回も市に
お願いに行っ
て下さったの
です。給食の先
生にも援護を
して頂きまし
た。もも担当の素敵な先生もわざわざ探してき
て下さいました。本当に、感謝してもしきれな
い思いでいっぱいです。
当時もも1才7か月。こうして、ただのももち
ゃんだった子は、
「あんず保育園ひよこ組のもも
ちゃん」に変身したのです。
近所のおばあちゃん(当時97
歳)に抱っこしてもらいました。
共にいのちの力を讃えあうか
のようなふれあいです。
市の検診もそうですが、障がいのある子を連
れて来る親はあまりいません。会場で一緒にな
る、健康に育っている赤ちゃん達や、幸せそう
なお母さん達を前にして、恥ずかしい、みじめ
だ…という気持ちを思い知らされるからなのだ
そうです。しかし私は、ももが可愛いすぎるせ
いか!?どこへでも連れて歩きましたし、仕事
もあったため、生後3か月位から様々な年代の、
大勢の方の手をお借りして育児をしました。支
援センターでも症状をお伝えし、元保育園長先
生や、元保育士さんなどのボランティアさんに
も託児をして頂きました。
ある時、センターのお休みの日と仕事と、母
の都合が重なって困った時、
「多分ダメだとは思
先に述べた通り、保育園に入った当初は2才前
だったので、まだ痙攣止めのお薬や、眠れるお
薬がなかった時期です。園児がお昼寝をする時
間に眠れないももは、園長室という VIP な部屋
に隔離!?です。ずうっと先生達が抱いていて
下さいました。ですから2才を過ぎて、お昼寝
布団で眠っているももを知った当時の先生達は、
「うわーっ!ももちゃんが1人で眠ってるよ!」
と言って、感動して見に来て下さったそうです。
7
代々、ひよ
こ組のお子
さん達も、な
にかともも
のお世話を
してくれま
す。ももが泣
いていると
頭を撫でに
きてくれた
り、私が迎えに行くと荷物を持ってきてくれた
りしてくれます。みんなあんなにちっちゃいの
に、自分より小さい子や、体が不自由な子であ
るももを労わってくれます。
が、理解うんぬん以前の、上のクラスの一部の
保護者による誹謗中傷もありました。いずれも
又聞きなのですが、深い考えから出た意見では
なさそうでしたので、右から左に流しました。
何か、ももがご迷惑をおかけしてしまった…、
などの出来事でもあれば、謝罪をしたり話し合
いをお願いしたりしなければなりませんが、障
がい児が近くにいること、すなわち「存在自体
が嫌だ」、という単純な悪意ある言葉に、いちい
ちカチンときて、怒ったり傷ついたりしていた
ら身が持ちません。聞き流すことも必要な時が
あります。朝夕のももの送迎時には、たとえそ
のお母さん達から返事は返ってこなくとも、毎
日私の方から、笑顔でさらりと挨拶をしたもの
でした。
入園当初、
「他の保護者さん達全員に、ももの
症状などをお話しようと思いますが、いかがで
しょうか?」と園長先生にご相談したところ、
「うつるような病気があるわけでなし、こう言
ったら何だけどももちゃんは動けないから、他
の子に手を出して怪我させるような心配もない
し。知り合ったお母さん達に聞かれたら、少し
ずつお話したらいいんじゃないでしょうか。」と
アドバイスを頂きました。そして現在に至るわ
けですが、他のママさん達と仲良くなって当時
のことを聞いてみると、
「ももちゃんの障がいの
こと聞きたかったけど、聞きづらくて初め声を
かけられなかったんだよ。」という声もありまし
た。私は「聞かれたら話す」位に気楽に構えて
いたので、
「そうかあ、こういうことは聞きづら
いものなのかあ。」と意外に感じたものでした。
リハビリ中。
ちょっとずつでも
前進、前進!
身体障がいは、見た目でわかりやすいので、
理解して頂く努力をあまり積極的にせず、のん
びりしすぎていたようで反省しています。ほと
んどの保護者の方に温かく受け入れて頂き、ま
た色々と助けても
頂きました。…が
…、
「障害児なんだ
から施設にでも入
れときゃいいのに。
」
「ああいうのが一
緒だとちょっとね。
」…。
直接言われたわ
けではないのです
8
しかし、月日が経つとともに、そういうお母
さん達とも話をする機会が訪れ、親しくもさせ
て頂くようになりました。なんでも、クラスが
違うお友達も、お子さん達が家に帰ってきても
もの話をしてくれるんですって。
「今日ももちゃ
んがね~笑ってたよ~。」とか、
「泣いてたから、
よしよししてあげたんだよ。」とか。「うちの子
が他の子のお世話をするようになったなんて!」
と驚いてもいらっしゃいました。
その他にも、保育園に行きたがらないお子さ
んに「ほら!ももちゃんも来るよ!って言えば、
喜んで朝保育園に行ってくれるんだよ。ももち
ゃんのお蔭でほんと助かるわ~。」そういうこと
を沢山話して頂き、私はとても嬉しかったもの
です。ももくらいに障がいの重い人は全般に、
経済力という面では社会のお役には立てないこ
とが多いでしょう。
しかし保育園という、これから出ていくであ
ろう社会の入り口において、ももがすでに「誰
かの役にたっている」と、思わせてくれるみな
さんとの出会いに感謝するとともに、親として
救われるような思いがしたものです。こういう
出来事も、保育園に入れて頂いて良かったこと
の一つです。
くんだ、と思ってい
た当時は驚きました。
お薬のお蔭でだいぶ
減ったとはいえ、ま
だまだ突っ張るので、
食べる傍からカロリ
ーを使い果たしてし
まいます。例えるな
らば、全力疾走を一日中しているようなもので
しょうか。
ひよこ組のちびっこ達との遠足では、ベビー
カーに乗って出かけます。子供達がもものベビ
ーカーを押し
てあげようと
したり、ももが
泣くと、その辺
に生えている
花を摘んで、渡
してくれたり
するそうです。
大人も含め、
どんな人でもどんな子でも、意地悪な部分や優
しい部分も色々あって、全部合わせてその人で
す。ももは人が持つ「優しさ」という部分を引
き出すプロのようです。話すことも、寝返りす
らもできない子ですが、ももは不思議な力のあ
る幸せな子です。
障がい児だから、みんな気を使って優しくし
てくれている…というだけではないような気が
します。ももを通して、私はいつも良い出会い
を頂いています。
保育園での食事は、入園当初はまだ口の発達
が未熟で、あまり食べられなかったのですが、
給食の先生が手間をかけて、みんなと同じメニ
ューを、成長に応じてすりつぶしたり刻んだり
工夫して頂き、毎日おいしいものを沢山頂いて
います。他のお子さんが食べる時間より、ゆっ
くり丁寧に食べさせて頂いているようです。運
動機能が損なわれているということは、何と!
!咀嚼能力の低下にもつながっているそうです。
発語もしかりで、全ての筋肉のバランスが整っ
ていないとダメなんですって。運動機能なんて
ダメでも、食事くらいは本能なんだから口は動
9
体重がなかなか増えないので、食事の他に赤
ちゃんが飲むミルクを、乳首の先をハサミで切
って大きくした哺乳瓶でもらっています。以前
はイソジンうがい薬のビッグサイズに付いてく
る、うがいコップで水分補給をしていましたが
(丸みと大きさがちょうどいい)、こぼれる分を
合わせるとあまり量が望めなかったので、当時
担当して下さっていた、加配保育士さんのアイ
ディアで哺乳瓶となりました。下の子がお腹に
いる頃から、急に今まで飲んでいたミルクを飲
まなくなったので、まさかまた飲んでくれるよ
うになるとは思ってもみませんでした。下の子
を妊娠中、もも
は飲まない、食
べないの食事
拒否で一時は
ガリガリにな
ってしまった
ものです…。ミ
ルクの復活で、
食事がうまく
摂れない体力
の落ちているような時があっても、脱水症状な
どの心配が減りました。給食の先生や市の栄養
士さんも定期的に食事の相談をして下さいます。
いつも気にかけて下さっている先生達に感謝し
ています。
ももは音楽が大好きです。お友達がダンスを
しているとニコニコしています。誰かが転ぶの
を見ても、
「うふっ」と笑います。相撲、野球も
好きです。特にお相撲さんが大好きで、土俵か
ら投げられると喜んでいます。苦手なものは、
深刻な内容のニュースです。キャスターさんの
顔も声もいつもより厳しくなっているし、音楽
も暗いものを使っているからでしょうか?地震
のニュース画面では、悲鳴を上げて泣き出しま
した。繰り返し映像で流される、瓦礫と化した
街並み…。障がいのある子は特に、また、障が
いが無くても小さいお子さん達には、それがよ
その場所でおきている出来事としてではなく、
今目の前でおきていることとして認識されてし
まうのでしょう。地震以来、ももは、ニュース
番組全般が見られなくなりました。
て、
「キャーキャー」言って笑っています。無理
して健康な他のお子さんと一緒のことをさせな
くても、こんな参加
の仕方もあるのです
よ。全然走ってない
わりに威張ったポジ
ションで!?ももも
大満足でした。
保育園で安心なのは、定期的にある歯科検診
です。虫歯
を発見して
頂き、治療
することが
出来ました。
歯医者さん
ではあらか
じめ、もも
の症状と、
飲んでいる
お薬についてお話をしておきました。面倒な患
者さんなのにも関わらず、優しく声をかけなが
ら、丁寧に治療して下さいます。ももは、その
歯医者さんの先生達が大好きです。虫歯が治っ
た今でも、定期的に歯のお掃除に通っています。
年度が替わり、ももより小さいお子さんが入
園してくるようになると、悪気はなくてもお子
さん達が走り回ったりして、危ない場面が増え
たそうです。先生が心配して下さっても、
「少し
くらい踏まれても大丈夫!大丈夫!」なんて私
は応えた覚えがありますが、それでも先生達が
心配して下さって、市の職員さんに相談して下
さったようです。ある日もも専用の、お昼寝用
ベビーベッドが設置されていました。市役所の
方が個人で探して、園まで運んで下さったそう
です。ありがとうございます。
さて、いよいよこいのぼり運動会。ももはど
んな活躍を見せてくれるのでしょうか?
冒頭にも書いた通り、事前に打ち合わせをして
ありました。ももにとっても、おそらくは、先
生にとってもベストなアイディアのものです。
何と!かけっこのゴールで先生と一緒に、ゴー
ルテープを持たせてもらったのです!!お友達
がももに向かって走ってくるのが楽しいらしく
10
私はのんびりしてい
て、わりあいとぼけ
た親なので、逆に、
先生や市の方達から頻繁にももの保育に関して、
提案などをして頂きました。
「クラスが上がっていっても、絨毯のある今の
ひよこ組にいた方がいいかどうか?」
「運動会の参加方法は何か良い案はないか?」
「成長に伴って、ももちゃんにとって(一般的
な子の保育園である)ここの保育が適したまま
でいるのかどうか?」などなどです。提案のす
べてが、「ももにとってより良いことは何か?」
の視点で考えて下さっていることに気付かされ
ます。
当初、一般的な子の保育園に入園させるとい
うことが、ももにとって、また、他のお子さん
達にとっていいことなのか…、リハビリもでき
るそれなりの施設に入った方が、やはりいいの
かどうかを家族で考えました。
リハビリは、やればやっただけ良いに決まっ
ています。幼いころに集中して行うリハビリは、
その後の回復に、計り知れない程の効果をもた
らすと言われています。…随分と考えました…
…。が、ももの脳の壊れ具合を考えると、リハ
ビリで少々の動きが出るようになることよりも、
日常で同じ年頃の子の笑い声、歌声を聞きなが
ら、心と脳の発達を促した方が、ももにとって
は望ましいのではないか、という思いに至りま
した。それには、
「遊びを通して生活のリズムを
つかむ」ということが理念であろう、保育園時
代しかないと思いましたし(小学校からは勉学
が主)、ももの体調や成長を考えても、地域の健
常児と一緒に日常を過ごせる機会は、今の時期
しか望めないだろうとも思いました。いまのと
ころこの考えが元にあるので、今日まで、保育
園での生活を楽しく過ごさせて頂いています。
自然にももを受け入れてくれた、園のお子さん
達に感謝しています。
歯医者さんにて。これからなにす
るの?大人の話をじーっと聞い
ているももちゃん。
しかし今後、成長に伴う変化に柔軟に対応す
ることによって、「ももにとって何が良いのか」
を視点に、養護学校という、本来の選択肢が加
わることでしょう。勿論、これはただの親であ
る素人の考えです。専門医が聞けば反対するか
もしれません。しかし、結果的にももにたくさ
んの表情と、体の動きが出てきました。お友達
が構ってくれるので手を動かしたり、たまには
思わず踏まれるので(笑)、それを避けようとし
て、手足が動いたりするのです。ある意味、刺
激的な良いリハビリかもしれません。ちなみに、
病院でのリハビリは診察の他に月4回、家や保
育園でも、うつ伏せやマッサージなどをして、
できるだけおこなっています。
要は、施設や保育園に身を置く、メリットデ
メリットについて、
「納得してそこに身を置いて
いるかどうか」なのではないでしょうか。もも
の通う保育園では、面談を丁寧にして下さいま
すので、私と先生との間で誤解や行き違いが生
じることもありません。たとえ行き違いがあっ
たとしても、すぐに解決できます。そうでなけ
ればきっと、常識的な要望とは種類の違う、
「1
日中リハビリして。」とか「加配保育士はうちの
子の先生なんだから、他の子の世話なんてしな
いで、うちの子だけみてて。」なんて無理難題を
言う親も出てくることでしょう。
「だったらリハ
11
ビリのできるそれなりの施設に行って下さい。」
となってしまいます。
ちなみに、障がいを持つ他のお子さんのお母
さんから、私が聞かれる質問で一番多いのが、
「フツウの子と一緒の園で、ももちゃんみたい
な子はどんな様子なの?周りは健康な子ばかり
だから、一緒にいてみじめにならない?」と並
び、
「どうやって健常児の保護者達とうまくやっ
ていけてるの?」というものがあります。うま
いかどうかは自身ではわかりませんが、もしう
まくいっている部分があるとしたら、それは、
ももを保育園に入園させるにあたって、あらゆ
る状況やおこりうる問題についてあらかじめ熟
慮したお蔭かな、と思っています。そして入園
を決めた後は、
体勢に影響の
ないような細
かいことをぐ
ちぐち考えず、
言わず、もも
やお友達の成
長を日々見守
っているだけ
なんです。
身体の障がいも発達の障がいも、関わりの根
っこは同じだと思うんです。健常児と一緒に学
ぶ場で伸びていく子と、必ずしもそうではない
子もいるのかもしれません。その部分の見極め
もとても大切です。子供の様子に目を閉ざし、
親のエゴだけで障がいを持つ子を、無理して一
般の子の通う園や学校に入れたとしたら…。そ
のお子さんにとっては、成長の妨げになるだけ
ではなく、苦しいだけかもしれません。そして
そのお子さんだけではなく、周りのお友達も、
その子との関わりの中で、限度を超えて疲れ切
ってしまうかもしれません。そうなると、健常
児の保護者や園などとの問題も生じやすくなり、
結局は保護者であるお母さんやお父さんだけで
はなく、周りも巻き込んでギスギスしてきてし
まいます。
周囲とのバランスもとても大事なことです。
障がいの程度や、そのお子さんの気質などをふ
まえて、どこに通うかを決められると、お子さ
んも楽しんで成長できる場となるのではないで
しょうか。そして園や学校、施設として保護者
には、
「出来ることと出来ないこと」を丁寧には
っきりと説明し、親も納得して共に進めれば、
もものように楽しく過ごせるのではないかなと
思います。「出来ません…。」そう聞くと一見冷
たく感じるかもしれませんが、初めに「出来る
ことと出来ないこと」のラインを明確にしてお
けばおくほど、そこから始まる「前例はないけ
ど、こうしたらできるかもしれないから、やっ
てみましょう。」の言葉も生きてくるのではない
でしょうか。
そうすると、親も一緒に真剣に考えるチャン
スを頂けることになります。その逆もしかりで、
「検討してはみたけど、これこれこういう事情
で、どうしても現時点では出来ないの。お母さ
んごめんね。」などの残念な結果であったとして
も、勿論親はがっかりはするだろうけれど、不
満よりも、先生達が精一杯考えて下さったこと
に対する感謝の思いの方が強く湧いてきます。
「じゃあ次はどういうやり方があるだろう?」
という前向きな気持ちにも切り替えやすいもの
です。伝え方一つで、こんなに言葉の印象が変
わるって不思議です。
保育園という、公共の社会に身を置くように
なってつくづく思うのは、障がいがあってもな
くても、地域や関わる方達との良い関係作りが
大切なんだなあ、ということです。
周りの方に、我が子の障がいについて理解して
頂きたかったら、「まず相手のことについても、
理解する努力を怠ってはならない。」ということ
です。
私も含め、とかく障がい児の親御さんは、自
分だけがツラくて、苦労をしているような錯覚
に陥りやすいのではないでしょうか?
例えば、健常児を持つママさんがこう言った
とします。
「うちの子には困ってるの…。お友達
の物は壊すし女の子のところは叩くし…、だか
らこの頃私まで他のママさん達に無視され始め
てるの…。もうどうしたらいいかわからない…
…。」いかがですか?障がいを持つ子を育ててい
る親御さんがこれを聞いたら、おそらくは大多
数の方が、
「それくらいなに!子供は五体満足だ
し何不自由してないじゃない!!そんなことく
らいで悩むなんて甘いよ!!」
これに近いような感情が湧くのではないでしょ
うか。障がいを持つ子を育てていく日々の大変
さ、将来に対する不安や気苦労を思えばそう思
12
うのは無理もないのかもしれません…。
しかし、それを言葉や態度に出してはなりま
せん。これでは自分の子さえ良ければ他の子は
どうでもいい、という親とあまり変わらなくな
ってしまいます。確かに自分の子が一番大切で
す。でもどのお子さんも、そのお家の方にとっ
てはいちばんの宝物なんです。宝物ちゃん達が
悲しんでいると、親も心が痛くなってきます。
その痛みは、たまたま引き金となっただけの表
面的な原因を探し、他者への怒りの感情として
変化していきやすいものです。
みんな一人で生きているわけではありません。
色んな方との関わりで、ご縁があって生かされ
ています。近しいママさんやお子さんが困って
いたら、気にかけてさしあげてください。
そして何より、健康な子なら、
「健康だからこそ
」の、複雑な悩みがあることを理解しなければ
なりません。
次のように考えたら共感しやすいでしょうか。
できるだけ助け合ってみんなで楽しく子育てが
できたら、将来我が子を助けてくれる、頼もし
い大人が増えるではありませんか!と。なんた
って、ももが大人になる頃助けてくれるのは、
今の子達世代なんですから。そうしてみんなが
共に成長すれば、将来、健常者も障がい者も、
お年を召した方も若者も、地域で当たり前のよ
うに支え合いながら、暮らしていけるのではな
いかなと思います。
おたがいさまの心で、うまく折り合っていきた
いものです。
そんなこんなで、今あるものに感謝して幸せを
感じている北島家でした。
追記 ――――――――――――――――
年齢による体の衰えだけは、どんな人にも平
等に訪れます。歳を重ねていけば、耳の聞こえ
が悪くなる人、目が見えづらくなる人、手や足
が動かしづらくなってくる人もいるのでしょ
う??人にお手伝いをして頂くことが増えて
きます。もしそうなったとしたら、「役に立た
ない人」になるのでしょうか??私は違うと思
います。お歳を召した方からは、学ばせて頂く
ことが多いものです。その人その人の役割が違
うだけです。どこのご近所にもきっといらっし
ゃる、おじいちゃん、おばあちゃん達と、沢山
お話をさせて頂ければ、タダで勉強することが
できてお得ですね(笑)。どの人も私にとって
必要な人です。そして私も(今より努力して)、
身近な人や社会にとって、必要とされる人間で
あり続けたい、と願っています。
行政による道路や建物の整備など(バリアフ
リー)と合わせ、人の想いや優しさも、更にパ
ワーアップしていければいいなあと思います。
障がい児(者)が、安心して楽しく暮らせる街
こそが、私達が歳を重ねた時に、暮らしやすそ
うな街だとは思いませんか?
「
朝
霧
」
第
六
十
巻
出
産
時
の
重
度
障
害
残
す
も
も
園
児
仲
間
に
幸
せ
配
る
手
も
足
も
利
か
ず
言
葉
も
出
で
ず
と
も
笑
顔
で
感
謝
を
返
す
も
も
ち
ゃ
ん
朗
子
さ
ん
の
父
上
北
第島
一
号功
さ
よん
りの
短
歌
13
「も
も
ち
ゃ
ん
は
来
て
る
か
な
」の
一
言
は
登
園
促
す
決
め
手
と
友
は
保
育
園
に
通
い
始
め
て
二
年
半
も
も
は
仲
間
と
優
し
さ
交
わ
す
「今
あ
る
も
の
に
感
謝
し
て
幸
せ
感
じ
て
い
る
北
島
家
」に
て
吾
娘
は
文
閉
ず
重い障がいをもつこどもたちの遊び
絵本から生まれる遊び
絵本から飛び出して体験・遊びへとつなぐ
とき、こどもたちの世界はひろがります。
「やさいのおなか」
。絵本を見てみましょ
う。表紙はかぼちゃの「おなか」。玉ねぎのお腹はぐるぐる渦巻
き、ピーマンはおはなが咲いたようなお腹のかたち。
絵本を見ていると野菜の切り口でぺったんはんこを作りたく
なりますね。野菜の切れ端にいろんな絵具をつけて、台所でもぺ
ったん!やってみましょう。
季節の遊びも絵本からうまれます。
「どんぐりころころ」
(大久保茂徳/監修
片野隆司
/写真撮影 ひさかたチャイルド)や「びっくりまつぼっくり」
(多田多恵子/ぶん 堀川
理万子/え
福音館書店)等を見ると、秋の野山にお散歩に行きたくなりますね。まつぼ
っくりは乾くと傘が開き、湿り気を帯びると閉じます。傘を閉じて縮こまったまつぼっ栗
を拾ってきたら、口のせまいガラスのびんにコロン、と入れておきましょう。ゆっくり乾
いたまつぼっくりは…傘が開いて大きくなって、びんから出られなくなります。誰かに見
せたらびっくりしますよ。
「どうやって入れたんでしょう?」ってなぞなぞを楽しむのもい
いですね。
「のりものくれよん」(まつながあき/さく はやしるい/え くもん出版)や「しんぶ
んしでつくろう」も遊びをもっと豊かにしてくれます。形はまちまちでも、赤はしょうぼ
うしゃ、白と黒はパトカー、と言われてよく見たら、黄色く塗ったしかくがショベルカー
に見えてきました。お母さんと一緒に絵本を見て、いろんな色のカードを作りましょう。
ほら、青は空の色、黄色はいい天気、灰色は曇り空、もう一度青が出てきて「明日も、元
気いっぱいいい天気でしょう」といろいろ画用紙の紙芝居が出来上がりました。
絵本は空想の世界、誰かの楽しい体験の記録。絵本から「いいこと思いついた!」
「あ、
こんなこともできるんだ!」というピカッ!をもらったら、外に出ましょう。
平成 23 年 11 月
日実施 研修会「障害を持つこどもたちのための遊び」より
すがのっくる 代表 豊島さおり 先生のお話から
「ととけっこう~よがあけた~」
幼い日、どんなわらべ歌を歌ってもらいましたか?
こどもたちの口にもまわりやすい、優しいことば、耳触りのよい響き。日本のわらべ歌の
リズムはゆっくりと歩くリズムに近いようです。
わらべ歌は、周りの大人が昔、自分が子供だったころに語りかけるように歌ってもらっ
た歌をこどもたちに届け、伝えてきたもの。単に言葉で歌い聞かせるだけではなく、動作
も添えて愛情を伝えるものです。
こーこはとうちゃん似んどころ…
「いないいないばあ」も小さいこどもたちも
繰り返して楽しめます。「いないいない・・・」
で見えないものが「ばあ~」とでてくるうれしさ。
ストーリー
こーこはかあちゃん似んどころ…
こーこはばあちゃん似んどころ…
だいどうだいどうギュっギュっぎゅ~。
1・2の場面展開で、短いながらも物 語 があります。
見えなくなったお顔がまた見えることの繰り返しは、
ものごとの「変化」というものへの信頼をよりふかいものにします。
ペープサートでもやってみましょう。
一瞬で絵が変わるのは大人でもびっくり。
「わぁ!」って感動しますね。
このうれしい「わぁ」を作ってくれた大人への好感・信頼が一気に高まる瞬間に、こども
は大人と仲良しになるのです。
手遊びにもわらべ歌がたくさんありますね。
「おせんべお
せんべやけたかな?」では掌をくるっくるっとひっくり返し
合うだけの遊びですが、互いの掌を重ね合わせ息を合わせて
する動作はお互いの心を仲良しにしてくれます。
こどもさんに障害があっても同じです。わらべ歌のリズム
と言葉の響き、愉快な動作はこどもがこどもらしく過ごす時
間を作ってくれます。
平成 23 年 11 月実施
研修会「障害を持つこどもたちのための遊び」
より 本と子どもの発達を考える会 谷口和恵 先生のお話から
15
小さな子どもにとっては「絵本」と「おもちゃ」の区別なんてあるのかしら?
絵本をなめたり投げたり、おもちゃをためつすがめつ眺めていたり。
「楽しいこと」をして
いるときのこどもたちの目の輝きに出会うと、
「こころとあたまがものすごい勢いで育って
る!」という歓びを感じます。
だからこそ、本と同様に、おもちゃはこどもの心と体、たましいを育てる大切なもの。
儲けのために作られたものではなく、こどものために作られたおもちゃと出会わせてあげ
たいものです。
ドイツのベック社「シロフォンつき玉の塔」は小さい珠がジグ
ザグの坂を転がって言って、最後に「チンチロロン…」と美しい
音を鳴らします。落ちた玉を拾ってまた上の穴からぽとん…ころ
ころ…コロコロ…チンチロロン。追視ができるようになった赤ち
ゃんから楽しめ、お座りできるようになり、小さな玉を指先でつまめるようになればさら
に楽しい、いつも同じ動きと音なのにいつも満足させてくれるおもちゃです。絵本「ころ
ころころ」(元永定正/さく
福音館書店)と一緒ならもっと楽しめるでしょう。玉はこど
もが飲み込んでも安全な大きさと材質でできています。ヨーロッパ安全基準は世界一厳し
いのです。
シロフォンつき玉の塔
カラームカデは、あんよができるようになったお子さんなら間違いなく喜んでくれます。
ムカデの足は 1 本 1 本まるで好き勝手に動きます。くるくる、ころころ、からから。ひも
をもってこのムカデさんを引っ張って歩く時のおチビさんの得意げなお顔!歩くって嬉し
い、誰かをリードして歩くのも楽しい、それがこんなに楽しいおもちゃならもっと嬉しい!
カラームカデ
16
スイス:ネフ社の「ネフスピール」は不思議な形の積み木です。
ネフさんが 1958 年に作ったこの積み木は、カエデの木でできています。こどもたちの
手にちょうどいい大きさ、なめても大丈夫な塗料で元気な4原色に塗られて 16 個。立方体
をリボンのかたちにカットしたものなのですが、いろんな組み方があり、無限に形が作れ
ます。この積み木はこどもたちは大人が思いもよらないような形を上手に積みあげますよ。
不思議な形への思いと発想はこどもたちのほうが豊かなのでしょうね。
キュボロ社の、積み木の中をビーズが転がる「キュボロ」も、作り手がこどもたちに「ほ
ら、こんなにおもしろい!」と目を輝かせて誘う声が聞こえるようなおもちゃです。子ど
もと一緒に、かつて子どもだった人が目を輝かせるおもちゃ。そんなおもちゃに出会って
ほしいものです。
ネフ社の
ネフスピール
平成 23 年 11 月実施 研修会「障害を持つこどもたちのための遊び」より
本と子どもの発達を考える会 代表 越高令子先生のお話から
17
こどもたちは遊びの中で育ちます。それは障がいや病気があってもなくてもおんなじ!
病院に入院しているこどもたちも、元気で飛び回っているこどもたちと同様に、
いえ、それ以上に遊びが必要です。
体の痛み、不安、寂しさをじっとこらえて明日の自分のために闘うこどもたち。
病院では、こどもたちを囲む大人はみんな「病院の人」です。だからこそ、
病院ボランティアさんはこどもたちの心に元気の灯りをともすために必要なのです。
こどもたちを、「病気のこども」にしないために。
「ただのこども」として病気や障害を乗り越え、飲みこんで、
明日につながる今日を生きることを楽しむために。
こども病院での
長野県立こども病院 ボランティアコーディネーター 市瀬明美
病院の外の風を届ける
ご家族や患者さんへの
ストレス軽減や日常生活の補助
成長を続けるこどもたちへの心身の状況
やニーズに合わせる
ボランティアさん自身が充実感・達成
感を得て、継続した活動へとつなげる
こども病院には、多く
のボランティアさんが患
者・ご家族の皆様方のた
めに関わってくださって
います。この病院では「
こども」たちが患者さん
の多くを占め、
「病院」という特殊な環境の中で生
活をしています。
毎日病気と向き合い、戦いながら成長を続ける
こどもたちが、治療を離れたところでは楽しいこ
とを経験し、病院の外で普通に生活しているこど
もたちと多少なりとも同様の経験ができるという
ことは、とても大切なことです。そのために得意
分野を生かし、
活動してくだ
さっているボ
ランティアさ
んの存在は患
者さんやご家
族の皆様方に
とって大変重
要な役割を果
たしています。
例えば、おはなしの会の方が絵本を読んでくだ
さったり、似顔絵やヘア・カットの方が病室へ来
てくださることで患者さんだけでなく、ご家族の
方も一緒に何気ない日常の会話を楽しみ、笑い声
が病室に響いたりすることがあります。日々、病
気や治療の話など難しい話や重苦しい空気の中で、
一瞬でも笑顔がこぼれる時間があるということは
とても大切なことです。
する機会でもあるため重要な役割も果たしてい
ます。
それから、病棟や診察室に入れないお子さんや
ご兄弟姉妹を預かっていただいたり、エントラン
スで会計等をお待ちの時間などに、お子さんと遊
んでくださるボランティアさんがいてくださるお
かげで、ご家族の方々はどれほど安心して病院で
の時間を過ごすことが出来るでしょう。
ぐりとぐらと
季節のお花
まだまだ紹介しきれませんが、本当に多くのボ
ランティアの皆様がこども病院のためにお心とお
力を注いでくださっています。そしてボランティ
アの皆様には患者さんやご家族の皆様方、また職
員へも日頃より大変温かく、優しいお気持ちで接
してくださっています。このような心温まる活動
やお気持ちに対して本当に感謝致しております。
末筆ではありますが、心よりお礼申し上げたいと
思います。
いつも本当にありがとうございます。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。
似顔絵を描く
ボランティアさん
そして、病院の廊下や庭で咲いている花々、壁に
飾ってある手作りの作品や絵などに足を止めて会
話を楽しんでいる様子を見かけることもよくあり
ます。また、コンサートや公演では小さな赤ちゃ
んからご家族みんなのために心和むような雰囲気
と時間を作ってくださいます。その様子を拝見す
ることはご家族や職員にとっても、とても微笑ま
しい姿であると同時に普段見られない様子を発見
中庭花の会
19
障害を持つ
こどもたちのための
口腔ケア
お口の元気は体の元気!
はみがきしましょ♪
たべたらすぐに~
障害があってもなくても、こどもたちのお口のケ
アはとっても大切。お口の中のばい菌は、むし歯を
作るのはもちろん、誤嚥性肺炎の原因にもなります
。お口の中のちょっとした傷が全身状態を悪くする
こともあります。お口は「いのちの素」をとりこむ
たいせつな入り口。お口の健康を守りましょう。
バイ菌の塊はどうやって取り除く?
むし歯の要因は、歯質・食物(特に甘いもの)
・細
菌です。この条件がそろった状態で時間がたつと歯
がどんどん浸食されていくのです。食事のあと、で
きるだけ早く、歯ブラシで歯磨きをしましょう。
固まって強くなったバイ菌の集団をやっつけるに
は、ガーゼや綿棒よりも歯ブラシの力がいちばん!
…そう、たとえば、台所の流し台のヌルヌル汚れ、
これも細菌の塊です。このヌルヌル汚れ、洗剤をつ
けただけでは落ちませんが、たわしでこするとよく
落ちますね。
お口の中のバイ菌の塊、バイオフィルムも同じこ
と。歯磨き剤やうがい薬を使うよりも、歯は歯ブラ
シできれいに!を徹底しましょう。
では、歯みがきの方法です。
どんなやり方が効果的なの
でしょうか。
たいせつなのは、歯の面に
歯ブラシの先が垂直にあた
るようにすること。
歯ブラシにもち方は鉛筆
をもつようなペングリップが
いいでしょう。力が入りすぎ
て歯ぐきを傷つけることを防
ぎます。歯の表面を歯ブラシ
の毛先で磨くイメージで磨い
てみましょう。力を入れ過ぎ
お口の中のバイ菌は・・・
お口の中の汚れは、ほうっておくとバイ菌たちを ると歯ブラシの毛が反ってし
増やす材料になってしまいます。このばい菌たちは まって却ってうまく磨けません。
また、歯磨き剤をつけるとお口の中がスースー
、ばらばらでいるうちは弱いので、ちょっとした力
でやっつけることができます。ところがバイ菌が増 するので、きれいになっていなくても磨けてしまっ
えて、ヌルヌルネバネバの細菌のすみか:バイオフ たような気がしてしまいます。丁寧に時間をかけて
ィルムを創ってしまったらもうたいへん。このすみ 磨くのには泡立ちが邪魔が邪魔になることもある
でしょう。歯磨き粉はつけないか、つけてもごく少
かに固まった細菌たちの団結力は強力です。
この細菌の集団をやっつけるには、集団の団結を 量にしておきましょう。特に嚥下・うがいができな
こわし、ばらばらにす いお子さんには歯磨き剤は使
るのがいちばんです。 わなくてよいでしょう。
歯 石になる 前にバ イ
オ フィルム を取り 除
障害をもつお子さんの中
きましょう。
には、お口を開けるのが苦手
なお子さんもいます。無理に
開けさせるとケガの素です。
20
奥歯を磨くときには唇を無理に引っ張って入口を
大きく開けるよりも、指をカギ形にしてほっぺの裏
側から奥を広く開けて歯ブラシが入るようにする
と無理なく介助しやすい開口が得られます。
歯磨きしたあとは水で口の中をすすぎたくなり
ますが、寝たきりのこどもさんのベッドサイドでは
難しく、水が気管に流れ込むと危険です。歯磨き刺
激によって出た唾液を吸引してあげたらいいでし
ょう。
摂食訓練が始まったら
むし歯予防を
むし歯つくりの要素、歯質・食べ物・細菌。この
三つがそろった状態で時間をおくと虫歯ができて
しまいます。摂食訓練が始まり、食べ物が口に入る
ようになったらむし歯予防も同時に始めましょう。
時間
こどものむしばはお母さん次第?
口から食べ物を摂らない、経管栄養のお子さん
は虫歯が少ない、と言われています。
でも本当にそうでしょうか?
生まれたときにはむし歯菌なんてなかった赤ち
ゃんがむし歯になるのはお母さんが菌をうつすか
らだそうです。だって、お母さんもお父さんも、可
愛い赤ちゃんについついチュッ!ってしてしまう
んですもの。母親の保有するむし歯菌が多いと、こ
どものむし歯感染率が高い、というデータもありま
す。お母さんにむし歯対策をしたらこどものむし歯
感染が減ったそうです。
障害や病気のあるなしに関らず、お母さんのお
口の中の虫歯菌をやっつけることもこどもをむし
歯から守るための大事なポイントなんですね。
食べ物
むし歯
歯質
細菌
歯質を強くするには
歯質を強くするためにはフッ素塗布を取り入れ
ましょう。フッ素塗布は寝る前に行うのが効果的で
す。いつもの通りに歯を磨き、仕上げ磨きもきちん
としたら、フッ素剤を歯ブラシにつけてもう一度磨
きます。そのあとは、うがいをしないで寝てしまい
ましょう。フッ素剤が歯を守ってくれます。
甘い味はあぶない
大人も子供も大好きなスイーツ。摂食訓練中の
こどもたちにとっても、甘い味は食べてうれしいも
のです。でも、砂糖の甘さは虫歯菌をよろこばせま
す。
キシリトールなどの代用甘味料を使ったお菓子
を選ぶようにしましょう。
「歯に信頼マーク」や「
トクホマーク」のついたものもお勧めです。
歯に信頼マーク
長期脳死で嚥下はもちろん呼吸もできなか
った筆者の長女。でもケーキのクリームをお
口に入れたりしてたら、前歯がちょっとむし
歯になっちゃいました。
21
トクホマーク
保存液には牛乳や生理的食塩水を使ってくださ
い。大切な歯根膜を死滅させないで歯医者さんま
で届けることができます。
乳歯が抜けたら…
こどもの歯が抜けて、大人の歯が生えてくると
き。成長が感じられてうれしいですね。
乳歯がぐらついてきたら早めに歯医者さんに言
って、抜いてもらってください。そのうちでいいか
な~なんて、思っていると、気付かないうちに乳歯
が抜けてしまった、ということもあります。抜け落
ちた歯をうっかり飲み込んだり、気道から肺に落ち
込んでいったりしたら大変!重い肺炎にもつなが
ります。乳歯がぐらぐらしてきたら、できるだけ早
くにかかりつけの歯医者さんに抜いてもらってく
ださい。
お口の中はバイ菌がいっぱい。口の中のケガや、
歯が抜けた跡など、血が出ているところからバイ菌
が血管の中に入っていくことがあります。心臓の弱
いお子さんは感染性心内膜炎という恐ろしい症状
に陥ることもあります。
心疾患のあるお子さんは、
・むし歯を作らない
・歯がぐらぐらしてきたら歯医者さんへ
を徹底してください。
また、体の筋肉の使い方が上手でないこどもた
ちの中には、緊張すると唇や舌を噛んでしまうこ
とも多く見られます。繰り返し唇や舌を噛んでい
ると傷が腫れて盛り上がってしまい、さらに傷つ
きやすくなる、という悪循環におちいりやすくな
ります。
かかりつけの歯医者さんに相談して、マウスガ
ードを作ってもらいましょう。
お口の健康を守るために
心臓に異常のないお子さんでも、体が弱ってい
るときには発熱することもあります。こどもの歯が
抜ける、というのは、成長の証。本来とてもうれし
いことです。それでも病気の引き金になってしまう
こともあるのですね。
お口の健康を守るためにカギになること。
それは病気や障害があってもなくても同じです。
かかりつけの歯医者さんをもつことと、定期健
診です。
てんかんのあるお子さんは・・・
てんかんのあるお子さんのよく使うお薬には、
歯肉を太らせる副作用があります(歯肉肥大)。こ
の副作用は歯と歯の間から歯肉が太り始めます。
重症になると歯が歯肉に埋まってしまうこともあ
ります。歯ブラシの毛先を使って丁寧に磨くこと
できれいな口を保つことができます。
また、てんかん発作の時に転んだり、ぶつけた
りすることで口の中や周りをけがすることもあり
ます。口の中を切ってしまったり、歯が歯ぐきに
めりこんでしまうことも。そんなときは すぐに
歯医者さんに行きましょう。
折れたり抜けたりした歯が気管に落ち込んだり、
飲み込んでしまったりしたら大変です。歯を拾っ
て保存液に入れ、できるだけ早く歯医者さんに行
きましょう。
22
むし歯だけでなく、口の中の病気や不安なこと
に関して、気軽に相談してアドバイスをもらえ
るかかりつけの歯医者さん。こどもさんが小さ
い頃はむし歯にならないように、いい歯がきれ
いに生えるように。大人になったら歯周炎の予
防と歯石除去など、年齢やお口の状況に応じた
専門的なケアをしてもらいましょう。お口は私
たちの健康といのちの素を取りこむ大切な入り
口です。全身の健康を支えるためにも、歯だけ
でなく、お口の中全部を大切にケアしていきま
しょう。
一緒に健康なお口を
保っていきましょう!
ごあいさつ
生まれたときのトラブルから、自発呼吸さえできない重い障害を負った長女は、4 歳で亡くなるまで、長野県
立こども病院で幸せに過ごしました。私たち家族も、スタッフのみなさんに見守られ導かれて、親として・家族
として・社会人として育てていただきました。一度も我が家に連れて帰れなかった切なさは消えませんが、我が
家の子育てを支え続けてくれた医療への感謝を伝えたくて、当事者としての思いを語り続けてきたものです。
また、県内外の同じような立場のご家族や支援者のみなさんに直接会ってお話を聞いていく中で、当事者の言
葉にならない思いを代弁し、当事者が主体的に編み出す解決策や大きな夢を、広く共有していきたいという思い
が募ってきました。
こどものための医療・福祉・教育、そしてコミュニティ。それぞれの温かな心と技術や制度が職種の壁、地域
の壁を越えて、こどもとそのご家族のところに届くように。こどもを真ん中に、こどもを育てる人たちが手をつ
ないで明るい輪を作れるように。
重い障害や病気をもつこどもを育てる家族や支援者が、それぞれの夢と専門性を持ち寄ってゆるやかにつなが
り合い、こどもたちの明日につながることを祈って活動を始めました。
ゆうテラスは、さまざまな研修会を企画、運営します。
重い障がいを持つこどもたちを支援するための看護や介護の技術を学ぶ実技実習、こどもたちの現状を知り、
理解するための講習会、こどもたちの成長を豊かにするための遊びや絵本についての勉強会など。
ゆうテラスは、障がいをもつこどもたちの情報誌「あしあとてらす」を年に 6 回発行します。
成人とは違うこどもの気管切開や胃ろうのこと、医療的ケアが必要なお子さんの学校生活、地域での居場所や
在宅療育の実際の様子など、家族の視線での取材と情報発信をおこないます。
ゆうテラスはみなさんの「発信の場」を用意します。
こども病院しろくま図書館内に、障害や病気を持つこどもたちのための療育情報をたくさん集め、情報発信し
ていきます。こども病院だけではなく、長野県外いろんな病院や施設で育つこどもたちの様子や、ご家族の工夫、
困りごとなど、「今」の「現場」から生の声をお寄せください。県内各地の患者会や様々な施設にも直接お邪魔
して、お話を伺い、情報収集しています。
「こんな時、ほかの人はどうしてるのかな?」
「先輩はどうやってこの
心配事を解決したの?」「ほかの地域ではどうしてるんだろう?」そんな疑問に少しでもお答えできたらうれし
いです。
細く長く活動していきたいと思います。どうぞご支援くださいませ。
長野こども療育支援サークル ゆうテラス
代表
亀井智泉
活動をご支援ください
・寄付を募集しています。
・会員になってくださる方を募集しています。
会員になってくださったら、情報誌「あしあとてらす」を年 6 回、
確実にお手元にお届けします。
研修会の情報を優先してお届けします。
法人会員は「あしあとてらす」に広告も掲載していただけます。
年会費 個人会員:一口 3,000 円
法人会員 一口 30,000 円 です。
入会費は不要です。 振込先:八十二銀行 豊科支店 普通口座 848973
長野県立こども病院しろくま図書館内
長野こども療育推進サークルゆうテラス
電話 0263-73-6700 内線1602
長野こども療育情報誌 あしあとてらす 2012年
発行:長野こども療育推進サークル
春 準備号
ゆうテラス
〒399-8288
長野県安曇野市豊科 3100
長野県立こども病院 しろくま図書館内
電話:0263-73-6700
内線 1602
印刷:電算印刷株式会社
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