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Water Building for TOKYO - 水循環ビルトインプラントの試設計 - 00. コンセプト 雲/雨 建築が雨水や汚水の「排水源」として存在するのではなく、小 さなダムのような役割を担い、水質・浸透時間・建築空間にお 蒸発 / 蒸散 け る 使 い 方 を 多 段 階 に コ ン ト ロ ー ル し 、多 目 的 に ま ち を 潤 す 「 湧 水 点 」 と な る 水 循 環 、 建 築 を 提 案 す る こ と を 目 的 と す る 。「 水 の建築とは何か」を模索することがテーマである。 01. 背景 導水 浸透 ダム 上水 下水 かつての江戸では水のサイクルがあった。地形を読み解きながら「水」を通し、 皇居、内濠、外濠を連続させることによって形成された、それが水都東京の骨 ▲開放系の循環 格である。しかし東京の水辺空間は徐々に失われ、水サイクルが崩れてきたと 考えている。そして都市における建築の多くは、外部環境から切り離されるよ うにつくられ、自然の水サイクルからも切り離されてしまっている。 ▼水質検査の結果(実測)2014年10月18日 COD(mg/L) + アンモニア態窒素(NH 4 -Nmg/L) 亜硝酸態窒素(NO 2 -Nmg/L) - * 後楽園 飯田濠(暗渠化) 牛込濠 B:市ヶ谷濠 2 C:新見附濠】 D:牛込濠1 E:牛込濠2 0 3 1 2 3 - 1 0.2 0.02 0.03 0.05 3リン酸態りん(P O 4 -Pmg/L) 0.04 0.015 0.005 0.2 0.2 0.2 0.2 2 硝酸態窒素(NO 2 -Nmg/L) 神楽坂 * A:市ヶ谷濠1 0.01 0.5 0.02 0.2 0.03 0.75 0.05 * 秋葉原 CASE STUDY 1 新見附濠 c a s e s tud y 1 1 市谷濠 弁慶濠 下水を活用した街区 大きな循環をつくりだすサテライト下水処理施設 * 東京 赤坂 * C B A * 新橋 市谷濠 D 新見附濠 E 牛込濠 飯田濠 神田川 ▲21C TOKYO 水循環から外れた外濠 ▼外濠を構成する課題 02. 敷地 【水循環から外れた江戸城外濠】 1. 水質の改善 2. 水辺空間の利用 大下水として整備された外濠であるが、玉川上水の余水や、湧水・雨水を受け 3. 歩行者交通のアクセス 入れて下流へ流す構造となっていた。しかし、昭和 40 年 (1965) に玉川上水か 4. 歴史資源の保存と活用 らの導水は廃止され、現在濠への流入水は、下水道からの未処理水と降水のみ である。東京の水循環から外れ、水質が悪く、水辺空間が活用されていない江 戸城外濠を研究対象とする。 03. ビジョン & リサーチ 「外濠の水質を整え、水辺を活用していく Water Building」を提案する。まず 水質を根本的に整えるためには未処理水の流入を抑え、濠に流れをつくり東京 の大きな水循環に組込む必要がある。そのためには、外濠上流(市谷濠)に新 たな水源を確保することが必要である。外濠に導水するのにどのような水源が あるか東京における主要水源の水配分を考えながら、調査検討を行った。結果、 下水を用い再生水をつくりだすかである。結果、東京の河川水配分に影響が少 なく安定して供給可能な下水(市谷幹線 50000-100000 ㎥ / 日)を用い再生水 を導水することに決定した。そこで汚水・雨水を用いたビルディング型のプラ ント(サテライト汚水処理施設)を設計する。 フェイズ 1 フェイズ 2 フェイズ 3 フェイズ 4 ・調査・計画の検討 ・改善策の実施 ・活用検討 ・空間整備の実施 ・半地下化の検討 ・整備の実施 5. 防災空間の確保 ・有効活用の検討 ・整備の実施 8F-ROOF:Sotobori カフェテラス 04. ウォーターフローモデル 1. 市谷幹線から取水した下水はビル地下のブロック D に貯留 2. ポンプで最上ブロック A に圧送され、流量調整池に貯留 3 . 後 は 自 然 流 下 で ブ ロ ッ ク B ( 反 応 タ ン ク )、 C ( 処 理 水 槽 ) を 経 て 浄 水 A 浄水された水は 2 階のビオトープ及び、グランドレベルの水路で利用された後、既存 B の吐き出し口を通じ市ヶ谷濠に導水される。また、雨水は屋根面及び街区全体で保水 ろ過 導水 下水 処理方式:MBR(膜分離活性汚泥法) し、雨水貯留池に集められ B1 水族館や多目的に利用される。 B B ▼水の利用分類 集水 保水 配水 整水 蒸散 蒸発 浸透 B 導水 D 再生水盤 C 3-7.5F:プラントボイド 雨水貯水槽 再生水盤 Sotobori 05. プログラム 06. 構造計画 建築用途はプラント & ミュージアム・公共施設である。以下に概要を示す。 この建築は二つのスキンとスラブ、柱によって構成さ れている。内側には RC の壁(プラント)があり、それ サテライト汚水処理施設 B1F:Sotobori 水族館 3F-7.5F を膜が包む。二つのスキンの間には見学可能なスラブ、 Sotobori 温水プール 1F 動線が入る。膜は木のメッシュサポート材が取り付き、 Sotobori 水族館 B1F キャンティレバーの梁で支持される。壁の抜け部分に Sotobori カフェテラス 8F-ROOF は鉄骨のブレースが入り、構造を補強する。 膜 ガラス繊維布 ランドスケープ:リバーウォーク 柱 鉄骨 スラブ 壁 水の部分は耐水性 RC スカートボイド ROOF / GL+52000 雨水盤 テラス 雨水管 cafe 8F / GL+47000 流量調整池 7.5F / GL+42000 反応タンク 7F / GL+37000 機械室 6F / GL+33000 反応タンク 5.5F / GL+28000 反応タンク 5F / GL+23000 機械室 4F / GL+19000 反応タンク 3.5F / GL+14000 処理水槽 3F / GL+9000 機械室 2F / GL+5000 再生水槽 ▼1F / GL+0 雨水貯水槽 sotobori 下水管 外濠水族館 B1F / GL-5000 4000 4000 4000 4000 4000 4000 24000 A-A’ SECTION scale = 1:300 X1 X2 X3 X4 X5 X6 X7 テラス ROOF / GL+52000 cafe 8F / GL+47000 7.5F / GL+42000 7F / GL+37000 6F / GL+33000 スカートボイド 1F から見上げ 5.5F / GL+28000 8F から見下げ 5F / GL+23000 4F / GL+19000 3.5F / GL+14000 07. 空間計画 3F / GL+9000 スカートボイド 再生水盤 2F / GL+5000 再生水槽 1. 処理設備とパブリックスペース(ミュージアム)を交互にビルディング状に積み重ねていく 2. 内部と外部の間に吹き抜けと膜を設け中間領域(スカートボイド)をつくる 更衣室 水路 テラス ▼1F / GL+0 温水プール 水路 流量調整池 再生水槽 下水管 中間領域がパブリックを結ぶ断面的な動線となり、水が浄化されることを体感しながら外部へ水循環のシルエットを滲み出 sotobori させる空間設計を行った。スカートの下の空間は内部とも外部ともつかない曖昧な場となり、普段は広場として機能し人々 は通り抜けたり、見学したりする。 4000 4000 4000 4000 4000 7000 20000 4000 4000 4000 4000 7000 4000 4000 4000 28000 55000 B-B’ SECTION scale = 1:300 Y1 Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 Y7 Y8 Y9 Y 10 Y 11 Y 12 Y 13 Y 14 A Y1 Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 Y7 Y8 Y9 Y10 Y11 Y12 Y13 Y14 Y1 55 000 20000 4000 4000 70 00 4000 40 00 40 00 Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 Y1 Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 28 000 70 00 40 00 40 00 40 00 40 00 40 00 40 00 40 00 20000 4000 4000 20 000 4000 40 00 40 00 40 00 40 00 40 00 40 00 40 00 市ヶ谷駅 X1 X1 4000 12000 雨水盤 4000 X3 X3 museum X4 EV 4000 B’ テラス 温水プール 4000 更衣室 再生水槽 X2 4000 再生水槽 4000 B X2 12000 X1 テラス 4000 4000 流量調整池 X2 X4 更衣室 X3 4000 エントランス 24000 7.5F ROOF 4000 X4 X5 4000 Y1 Y2 Y3 X6 Y4 Y5 Y6 Y1 Y2 Y3 20000 4000 Y4 Y5 Y6 20 000 4000 40 00 40 00 40 00 400 0 40 00 40 00 40 00 4000 4000 X7 X1 X1 X2 4000 X3 4000 X3 X4 X4 7F 8F Y1 A’ Y2 Y3 Y4 Y5 Y1 Y6 4000 40 00 40 00 40 00 4000 Y4 Y5 Y6 Y1 Y9 Y10 Y11 Y12 Y13 40 00 40 00 40 00 4000 7000 4000 4000 4000 7000 4000 4000 4000 4000 Y5 40 00 Y6 40 00 12000 4000 4000 X2 EV X3 museum 4000 X4 4000 Y4 40 00 反応タンク 4000 public space X3 Y14 28000 4000 Y3 40 00 X1 55000 20000 4000 Y2 20 000 4000 機械室 4000 Y8 4000 12000 Y3 20000 4000 12000 Y7 public space 6F Y2 4000 Y6 EV X3 管理室 X2 Y5 Y6 40 00 X4 50 (m) scale = 1:400 取水 Y5 40 00 4000 4000 管理室 X1 Y4 機械室 4000 4000 4000 12000 X3 Y1 GL PLAN Y4 40 00 X2 EV 5F 25 40 00 X1 反応タンク X4 市谷幹線下水管 Y3 20 000 4000 X2 Sotobori Y3 Y2 20000 4000 X1 Y2 EV 4000 12000 EV 4000 12000 X2 Y1 cafe 4000 反応タンク 4000 外濠水族館 X4 4000 4F 5.5F Y1 Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 Y7 Y8 Y1 X1 Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 400 0 31 000 20000 4000 X2 4000 40 00 40 00 70 00 40 00 70 00 40 00 20 000 40 00 X1 40 00 X2 X3 X4 X4 40 0 0 4000 X6 museum 4000 トイレ 管理室 4000 4 0 00 120 00 4000 EV 16 000 40 0 0 X3 X5 反応タンク 4000 4000 4 0 00 処理水槽 X2 流量調整池 X5 X7 広場 3F 3.5F 外濠水族館 Y1 雨水貯水槽 Y2 Y3 Y4 Y5 Y6 Y7 Y8 Y9 Y10 Y11 Y12 Y13 Y14 55 000 20000 4000 4000 4000 70 00 40 00 40 00 70 00 28 000 40 00 40 00 40 00 40 00 40 00 吐出し口 1 4000 X1 機械室 X2 40 00 再生水盤 EV X3 40 00 X4 24 000 40 00 Sotobori 40 00 X5 40 00 X6 X7 2F 25 吐出し口 2 40 00 X1 EV 2 400 0 400 0 4000 4 000 再生水槽 X3 X4 4000 再生水槽 UNDER GROUND PLAN 50 (m) scale = 1:400 public space 40 00 40 00 40 00