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国債市場の開設―90年前の試みは

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国債市場の開設―90年前の試みは
FE014R0
国債市場の開設―90年前の試みは
研究のタイトル:
戦前日本の国債市場改革
―1920 年の国債市場開設を端緒に―
氏名:永廣 顕 教授
所属:経済学部経済学科
1.適用分野:
財政学、財政史、金融論、金融史
2.内容:
・特徴:
国債の発行,消化,流通,償還の各方面にわたり変化がみられた第一次世界大
戦期から第二次世界大戦終了までの日本における国債管理政策の展開過程を、
第一次資料にもとづいて分析し、国債管理政策の日本的特質の形成過程を解明
することが、研究全体のテーマである。その端緒となるのが、本研究が分析対
象とする 1920 年の国債市場の開設である。
・概要:
日本においては,2007 年度末の普通国債の残高は約 547 兆円に達すると見込
まれているが,こうした国債残高の累増は,長期金利の上昇など金融市場に大
きな影響を及ぼすと同時に,国債の元利償還費の増加という財政上の課題をも
もたらしている。このため,現在,国債管理政策の重要性が高まり,国債の発
行市場,流通市場全般に及ぶ国債市場の改革が進行しつつある。こうした国債
管理政策の現状を分析し,今後の国債管理政策のあり方を検討していく上で,
本研究はきわめて興味深い歴史的素材を提供している。
第一次大戦中から戦後にかけては、金融市場が逼迫する状況下で、国債残高
が累増する一方で、国債の償還政策も消極的となり、国債価格の低迷と物価の
高騰が懸念された。そこで、国債の安定消化と濫費の抑制を目的として、国債
の民衆化による中産階級以下の貯蓄奨励と零細資金の吸収が図られ、国債の発
行方法については、小額国債の郵便局売出を行うなどの施策が講じられたが、
流通市場においては、特に小額投資家の資金化が困難になっていたことから、
株式取引所内に国債市場が開設され、国債の取引所取引の拡大が図られること
になった。この新しい国債市場では、①従来の証券会社に加えて、銀行等から
の国債仲買人の選定、②国債の取引価格について、経過利子を別途計算する裸
相場の採用、③従来は消極的であった日銀の国債売買取次の開始―などの試み
がなされた。このように、国債の安定消化と民衆化を目的として国債市場は開
設されたが、国債仲買人にとっては、取引所取引よりも店頭取引の利益が大き
く、国債の取引所取引は不振であったことから、1925 年に国債の長期清算取引
が開始されることになるのである。
3.キーワード:
国債管理政策、国債市場の開設、国債の民衆化、国債仲買人、長期清算取引
4.連絡先:甲南大学フロンティア研究推進機構(甲南フロント)
TEL:078-435-2754
[email protected] http://www.konan-u.ac.jp/front/
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