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第47回東京都公民館研究大会「地域と歩む公民館Ⅱ」記録

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第47回東京都公民館研究大会「地域と歩む公民館Ⅱ」記録
第47回
47回
東京都公民館研究大会
記
録
日
時
2009 年(平成 21 年)12 月 13 日(日)
午前 10 時~午後 4 時
会
場
小金井市公民館(大会事務局市)
第1課題別集会 小金井市公民館本館(福祉会館3階)
第2課題別集会 小金井市公民館本町分館
第3課題別集会 小金井市役所本庁舎
第4課題別集会 小金井市役所第二庁舎
第5課題別集会 小金井市福祉会館2階
主
催
東京都公民館連絡協議会
1. 開催主旨
教育基本法の改正から約3年、社会教育はどのような方向に向かうのでしょうか。文部科学省の中で
は、生涯学習政策局がトップに位置づけられた反面、社会教育施設については各地で教育委員会の市長
部局への移管が進む中で、有料化や指定管理者制度等の導入が全国の公民館で進められています。
一方、生涯学習センター・文化センター・大学の公開講座など学びの場は増えていますが、これらと
公民館との違いはいったい何でしょうか。
公民館は、あらゆる市民に対して平等に学習の機会を提供するとともに、個々の学習をさらに深め、
課題解決のための学びの場、市民の出会いの場、という性格も持っています。また、個々の学びにとど
まらず、視野を拡げ、自らの可能性を伸ばすと共に、公民館を中心とした活動から一歩前に出て地域課
題を取り上げながら学習と活動が継続していくことが必要です。それは、生涯学習センターやカルチャ
ーセンターでは求めることが出来ないものです。
「市民協働」が叫ばれる昨今、市民と職員が力を合わせ
て課題に取り組むという公民館ならではの可能性を追求したいと思います。
昨年のテーマ「地域と歩む公民館」を引き継ぎ、さらに深め、公民館の存続そのものが問われている
今だからこそ、公民館の意義を再発見し、新たなビジョンの確立を目指して、本大会を開催します。
2.
主
催
東京都公民館連絡協議会
3.
後
援
東京都教育委員会 東京都市長会 東京都町村会
東京都町村教育長会
4.
参加者
東京都市教育長会
東京都市町村教育委員会連合会
市民 公民館運営審議会委員 公民館職員
小金井市教育委員会
社会教育関係者
生涯学習関係者
その他本研究大会に関心のある方
5.
日
時
2009 年(平成 21 年)12 月 13 日(日)
午前 10 時~午後 4 時
6.
会
場
課題別集会
福祉会館
7.
昼
食
公民館本館(福祉会館3階) 公民館本町分館
小金井市役所本庁舎 小金井市役所第二庁舎
周辺店舗をご利用下さい。持込の場合は飲食禁止の部屋がございますのでご確認下さ
い。(ゴミ等は持ち帰りにご協力下さい。)
8.
プログラム
課題別集会
午前 9 時 30 分
受付(各会場にて)
午前 10 時~午後4時(昼食
正午~午後 1 時)
(内容は裏面をご覧下さい。)
9.
参加費
10. 申込み方法
1000 円
別添申込書により 10 月 30 日(金)までに、参加費を添えて、在住市の公民館、
社会教育施設までお申し込み下さい。
(社会教育機関は下記振込先にお振込み下さい)
※ お申し込み後の参加費の返金はできません。
※ 会場の都合により、
ご希望の課題別集会に参加できない場合もありますので、
申込書には必ず第 3 希望の集会名までご記入下さい。
※ 手話通訳をご希望の方は、申込書にその旨ご記入下さい。
※ お申し込み後の参加については、課題別の参加希望に添えない場合があります。
○
参加費振込先 東京都公民館研究大会
事務局長
大関勝広(おおぜき まさひろ)
みずほ銀行小金井支店(114)
普通預金
○
口座番号
1178888
問い合わせ先
第47回東京都公民館研究大会事務局
小金井市公民館
〒184-0012
小金井市中町 4-15-14
℡042-383-1184
fax 042-387-1226
第47回東京都公民館研究大会
47回東京都公民館研究大会 課題別集会
第 一課題別集会
課題別集会名
討議内容
公民館の可能性を探る
市民参画や市民協働による形態を通して、広く公民
館そのものを利用しやすいようにするための方策をと
ってきた小金井市の企画実行委員の活動実績。他方、
公民館が指定管理者制度になる動きが各地で進んでい
ます。東京でもその動きが既にあり、来年から導入が
決まった市があります。この二つの流れから今後の公
民館のあり方を複合的に探っていきます。
第 二課題別集会
魅力ある講座
~だれもが参加でき
参加したくなる講座~
第 三課題別集会
仲間づくりで元気な街を
第 四課題別集会
子育て世代へのアプローチ
~公民館にできること~
第 五課題別集会
インターネットの活用と
広域連携
助言者
安藤聡彦さん
(埼玉大学教育学部教授)
時代や世代、社会的背景、根底にある社会教育とし
ての位置づけなども勘案し、魅力ある講座を組むこと
が求められます。しかしながら、限られた予算の中で、
多くの市民が参加でき、参加したくなる講座とするに
はどうしたらよいでしょうか。若者の呼び込み、地域 (月刊社会教育
の特性や課題の取りあげ、既成の枠にとらわれないア
ピール方法等から考えます。
谷口郁子さん
今、公民館の仕事は、講座を開催することにとどま
らず、講座から自主グループを作りだし、地域のネッ
トワークの中心として、そのグループの力を地域に還
元していくように育成することも目的としています。
また、公民館は地域にどんどん出ていき市民との交流
を深め、地域を活性化する働きも要求されています。
そのためには、公民館は常に地域にアンテナを張り巡
らし、現代的問題を広くキャッチすることが必要です。
ここでは、どのように公民館から発信し、どう地域と
のつながりを持ち、尚且つ街に活力を与えられるか探
ります。
子ども家庭支援センター、児童館など、子育て世代
に対する支援が多岐にわたって行われています。その
中で、公民館が子育て世代にできることは何でしょう
か。①公民館の食育をテーマにした講座、②保育室を
利用するグループ活動からの広がり、この2点の事例
発表を通して、子育て先輩との関わり、父親の関わり、
学習者が地域の子育ての担い手として地域に関わって
いくことについて考えていきたいと思います。
パソコンや携帯電話の普及により、インターネット
の利用が身近なものになりました。①講座や事業の案
内を今までの手段に加え、ネットで発信することによ
り、これまで公民館に接する機会のなかった人々も公
民館の事業に参加する機会が広がります。②一市内に
限らず周辺自治体との情報交換により公民館事業の広
域連携が可能となります。③さらに、広域連携により
生じる問題点等の研究をします。
事例報告者
すえかね
末包房子さん
(小金井市公民館企画実行委員)
なし
副編集長)
広瀬泉さん
朝岡幸彦さん
(元小金井市公民館
貫井南分館職員)
(東京農工大学教授)
野中和雄さん
(小平市中央公民館
シルバー大学 26 期会会長)
石川義則さん
中澤智恵さん
(東京学芸大学准教授)
(福生市
公民館松林分館職員)
長谷部豊子さん
(国分寺市民)
大橋元明さん
坂井知志さん
(常磐大学教授)
(小金井市
公民館運営審議会委員)
下道敏行さん
(稲城市
第四文化センター職員)
企画運営委員
◎司会者
◎吉岡勇(福生市公民館運営審議会委員)
遠藤昭定(小金井市公民館本館企画実行委員)
大森照三(小金井市公民館本館企画実行委員)
末包房子(小金井市公民館本館企画実行委員)
金田慧(まちだ中央公民館職員)
久保田幸子(東久留米市市民)
河野裕美(国立市公民館職員)
保谷しげ美(西東京市ひばりが丘公民館職員)
日野恭志(日野市中央公民館職員)
◎鈴木浩一(昭島市公民館職員)
古屋初枝(稲城市公民館運営審議会委員)
熊谷勉(小金井市公民館運営審議会委員)
大井弘俊(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
苅込美津代(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
千葉純子(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
古川泰子(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
吉川由美子(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
◎加藤謙司(狛江市立西河原公民館職員)
松浦妙子(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
本間マサ子(東大和市立南街公民館職員)
安尾賢一(東久留米市立中央公民館運営審議会委員)
前川正治(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
瀬上ゆき(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
伊藤清(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
妻木誠二(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
安部まり子(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
菊地信昭(小平市仲町公民館職員)
中田智久(小平市中央公民館職員)
◎佐藤 緑(国分寺市立もとまち公民館職員)
宮内恵利(昭島市公民館運営審議会委員)
大橋健治(町田市公民館運営審議会委員)
石川義則(福生市公民館松林分館職員)
萬福 薫(東村山市立富士見公民館職員)
大西百合子(小金井市公民館東分館企画実行委員)
椎野 稔(小金井市公民館東分館企画実行委員)
竹野悦司(小金井市公民館東分館企画実行委員)
藤 美智子(小金井市公民館東分館企画実行委員)
堀田勝弘(小金井市公民館東分館企画実行委員)
吉田和子(小金井市公民館東分館企画実行委員)
下道敏行(稲城市第四文化センター職員)
千葉桂子(西東京市公民館運営審議会委員)
◎三上佳代子(多摩市立永山公民館職員)
吉本 悟(小平市小川西町公民館職員)
大橋元明(小金井市公民館運営審議会委員)
藤井哲彦(小金井市公民館運営審議会委員)
安達亜紀(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
池内清三(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
田川尚子(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
並木 節(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
目
次
第47回東京都公民館研究大会の開催にあたって
・・・・・・・・・・・
1
秋 和 広 子( 東 京 都 公 民 館 連 絡 協 議 会 会 長 )
祝
辞 ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ ・・ ・
2
山根誠治(東京都教育庁地域教育支援部生涯学習課長)
第 1 課 題 別 集 会 「 公 民 館 の 可 能 性 を さ ぐ る 」・ ・・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ ・
1事例報告
3
末 包 房 子( 小 金 井 市 公 民 館 本 館 企 画 実 行 委 員 )
2事例報告への講評と講義
安 藤 聡 彦( 埼 玉 大 学 教 育 学 部 教 授 )
3グループ討議にあたり、助言者より討議課題の整理と提案
安 藤 聡 彦( 埼 玉 大 学 教 育 学 部 教 授 )
4ワークショップ
グループ発表
5 ま と め・講 評
安 藤 聡 彦( 埼 玉 大 学 教 育 学 部 教 授 )
第 2 課 題 別 集 会 「 魅 力 あ る 講 座 」・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
1司会による主旨説明
鈴木浩一(昭島市公民館職員)
2助言者による提言
谷 口 郁 子( 月 刊 社 会 教 育
3事例報告
16
副編集長)
企画委員による実施講座の報告
(1) 小金井市
大 井 弘 俊( 小 金 井 市 公 民 館 本 町 分 館 企 画 実 行 委 員 )
(2)日野市
日野恭志(日野市中央公民館職員)
(3)稲城市
古屋初枝(稲城市第二公民館運営審議会委員)
(4)昭島市
鈴木浩一(昭島市公民館職員)
4グループ討議の発表1
5グループ討議の発表2
6助言者による講評
谷 口 郁 子( 月 刊 社 会 教 育
副編集長)
第 3 課 題 別 集 会 「 仲 間 づ く り で 元 気 な 街 を 」・ ・・・ ・・ ・・ ・・・ ・・
28
1事例報告1
野 中 和 雄( 小 平 市 中 央 公 民 館 シ ル バ ー 大 学 2 6 期 会 会 長 )
2事例報告2
広瀬
泉(元小金井市公民館貫井南分館職員)
3助言者のコメント
4「仲間づくりで元気な街」について発表
5「仲間を作るグッドアイデア」について発表
6感想
朝 岡 幸 彦( 東 京 農 工 大 学 教 授 )
第 4 課 題 別 集 会 「 子 育 て 世 代 へ の ア プ ロ ー チ 」・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
42
1はじめに(司会)
2開会の挨拶
3助言者講義
中澤智恵(東京学芸大学准教授)
4事例報告1
石川義則(福生市公民館松林分館職員 )
5事例報告2
長谷部豊子(国分寺市民)
6助言者による課題整理:公民館に求められること
7グループ討議発表
8助言者のまとめ
中澤智恵(東京学芸大学准教授)
第 5 課 題 別 集 会 「 イ ン タ ー ネ ッ ト の 活 用 と 広 域 連 携 」・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
55
1講演
坂井知志(常磐大学コミュニティ振興学部教授)
2事例報告1
大橋元明(小金井市公民館運営審議会委員長)
3事例報告2
下道俊行(稲城市第四文化センター職員)
4グループ討議発表・意見交換等
(1)グループ討議発表
(2)意見交換
(3)まとめ・総評
坂井知志(常磐大学コミュニティ振興学部教授)
(4)質疑応答
第 4 7 回 東 京 都 公 民 館 研 究 大 会 を 省 み て ~ 事 務 局 か ら ・・・・・・・・・
73
第 4 7 回 東 京 都 公 民 館 研 究 大 会 集 計 表 ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
74
第 47 回東京都公民館研究大会
挨拶文
東京都公民連絡協議会会長
秋和広子
第 47 回東京都公民館研究大会の開催にあたり、多数の皆様のご参加のもと、
本大会を盛大に開催できますことを主催者の一人として大変嬉しく思います。
また、本大会を開催するにあたり、会場提供等、多大なご協力をいただきま
した研究大会事務局市である小金井市様に心より感謝申し上げます。
さて、本研究大会は開催要項にもありますとおり、
「地域と歩む公民館Ⅱ」を
テーマとして、前回大会の内容をさらに深めるべく、5つの課題別集会を設け
ました。今日、公民館のみならず、生涯学習・学びの機会は数多くあります。
しかし、その学びを自己の学習として完結するのではなく、さらに一歩踏み出
して、学習の成果を活動として地域に還元することで、人と人とのつなぎあい
や地域の課題解決に繋げる活動に発展させることができる、そんな役割を担う
のが公民館ではないかと考えます。各会場ともに大変、熱心な集中した議論が
なされていました。活動場所は違いますが、各地域の公民館に係わる市民、公
民館運営審議会委員そして公民館職員が共通のテーマの下、実践活動の紹介や
グループ討議で意見を交わし、交流を深めることができました。このことは、
公民館が、そして公民館で活動する市民が地域課題の解決に向け、何ができる
のかを考える大変有意義な機会となったことでしょう。
「地域と歩む公民館」を
考え、そして行動する足掛かりがまた一つできたのではないかと思います。ど
うか、この機に、本大会で得たものをそれぞれの活動の場に持ち帰り、さらに
広げていただきたいと思います。
最後に、お忙しい中、課題別集会においてご助言いただきました先生方、大
変ありがとうございました。また、本大会の準備にご尽力いただきました企画
委員の皆様、大会事務局の小金井市公民館職員の皆様、及びご支援・ご協力をい
ただきました各自治体・関係機関の皆様へ東京都公民館連絡協議会を代表して
お礼と感謝を申し上げます。
-1-
祝
辞
第 47 回東京都公民館研究大会が、関係者の皆様のご尽力により、小金井市で盛大
に開催されますことを心からお喜び申し上げます。
また、御参会の皆様には、日々の公民館活動を通じて、住民の教養の向上や生活
文化の振興、地域の課題解決等に多大なるご尽力をいただいていることに対して、
深く敬意を表します。
さて、近年、社会の急激な変化に伴い、新たな教育課題に応じた多様な学習の機
会が求められており、また、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現への
要請が高まっています。
このような中、平成 18 年 12 月の教育基本法の改正を踏まえて、昨年6月、社会
教育法が改正されました。その第3条では、学校・家庭・地域の連携・協力を進め
ることが国及び地方公共団体の任務として明確に位置づけられ、社会全体で教育を
向上させるために生涯学習・社会教育の役割がますます大きくなっています。
東京都では、昨年 12 月、第7期の東京都生涯学習審議会が、
「東京都における「地
域教育」を振興するための教育行政の在り方について-社会教育行政の役割を中心
に-」と題した第2次の答申を行いました。
この答申は、社会全体で教育を向上させるために「地域教育」という視点での取
組が必要であると提示しています。かつて、子供たちは地域の中で大人たちや友人
たちと交流し、様々な体験を通じて日常の生活習慣や社会性を体得してきました。
答申では、このような「地域の教育力」を再構築し、地域の人々のつながりを通じ
て「安心・信頼・支えあいのネットワーク」を作り出していくことが必要であり、
子供たちが地域の人々の主体的活動や交流の輪の中に入ることにより、
「学び」を深
め、自律的な育ちにつなげていく取組が「地域教育」であると述べています。
また、答申は、
「学校教育」と「社会教育」といった従来の教育行政の枠組みを乗
り越え、
「地域」を舞台に、横断的な施策の展開を図ることを提案しております。
公民館は、まさに「地域の教育力」を再構築し、社会全体で教育を向上させる原
動力として、また、乳幼児から高齢者まで生涯にわたる成長を支援していく拠点と
して大変重要であり、地域の期待は大きいものと考えます。
今年は社会教育法が制定されて 60 年という節目の年にあたります。
社会教育法とともに歩んできた公民館は、地域の人々にとって、最も身近な学習
や交流の場として、活力と潤いのある地域社会の形成に大きな役割を果たしていま
す。
今大会が、
「地域と歩む公民館」をテーマに開催されますことは、誠に時宜を得た
ものであり、この研究大会の成果を活かし、様々な新たな課題に対応した積極的な
公民館活動が広がっていくよう期待しております。
結びに、本研究大会が実り多いものになりますよう祈念するとともに、東京都公
民館連絡協議会の益々のご発展を祈念申し上げまして、お祝いの言葉とさせていた
だきます。
平成21年12月13日
東京都教育庁地域教育支援部生涯学習課長
山根 誠治
-2-
第1課題別集会
公民館の
公民館 の 可能性 を 探 る
第 4 7 回 東 京 都 公 民 館 研 究 大 会 の 全 体 テ ー マ は 、「 地 域 と 歩 む 公 民 館
Ⅱ 。」
公民館は、あらゆる市民に対して平等に学習の機会を提供するとともに、個々
の学習をさらに深め課題解決のための学びの場・出会いの場・公民館を中心にし
た学習活動から地域課題を取り上げながら学習と活動を連携させ継続していくこ
とが、生涯学習センター等とは大きく異なることだと思います。
市民協働が叫ばれる中で、市民と職員が力を合わせて様々な課題に取り組むと
いう公民館ならではの可能性を追求してまいります。
以上が、今回の大会の開催主旨です。
第 一 課 題 別 集 会 の テ ー マ は 、「 公 民 館 の 可 能 性 を 探 る 」 と い う テ ー マ で 幅 広 い
形で検討していきたいと思います。
市民参画や市民協働による形態を通して、広く公民館そのものを利用しやすい
ようにするための方策を取ってきた、市民参画型の小金井市企画実行委員活動実
績から学びます。一方、公民館が生涯学習センターや指定管理者となる動きが各
地で進んでいます。東京でもその動きが既にあり、公民館から生涯学習センター
に既に変わった所や来年から導入が決まった市もあります。この二つの流れから
今後の公民館の可能性を複合的に探っていきます。
この内容で、今日このテーマで研究を行いますのでよろしくお願いします。
助 言 者
安
藤
聡
彦
(埼玉大学教育学部教授)
事例報告者
事例報告者
末
包
房
子
(小金井市公民館本館企画実行委員)
司
会
吉
岡
勇
(福生市公民館運営審議会委員)
企画委員
遠
藤
昭
定
(小金井市公民館本館企画実行委員)
大
森
照
三
(小金井市公民館本館企画実行委員)
金
田
慧
(まちだ中央公民館職員)
久保田
幸
子
(東久留米市市民)
河
野
裕
美
(国立市公民館職員)
保
谷
しげ美
(西東京市ひばりが丘公民館職員)
-3-
1
事例報告「小金井市公民館
企画実行委員制度について」
末包房子(小金井市公民館本館企画実行委員)
事例発表は「小金井市公民館企画実行委員制度について」というテーマで、末
包房子さんに発表をお願いします。
おはようございます。
企画実行委員の末包房子と申します。企画実行委員の制度は、小金井市だけに
ある独自の制度で、全国的にも小金井市だけだと思います。それだけ特殊な制度
となっておりますので、本日のテーマになったのではないかと思います。
○企画実行委員とは
小 金 井 市 の 企 画 実 行 委 員 制 度 は 、公 民 館 条 例 の 第 2 1 条 「 公 民 館 が 行 な う 各 種
事 業 の 専 門 的 な 調 査 研 究 並 び に 企 画 実 施 に あ た る 。」 と あ り 、 こ れ が 企 画 実 行 委
員の任務となっています。小金井市の公民館が出来たのは、昭和28年。条例制
定と同時に企画実行委員制度はスタートしました。今のかたちとはだいぶ違い、
当初企画実行委員は43名で、活動内容ごとに社会部・文化部・産業部等に分か
れ配置されました。この時期が第1期企画実行委員のスタートで、現在は第20
期です。任期は、1期2年間です。40年続いているということです。
○企画実行委員の選任方法
企 画 実 行 委 員 の 募 集 は 、市 報 で 一 般 公 募 す る「 個 人 立 候 補 」と 、
「公民館利用者
団体推薦」された方で構成されます。小金井市には公民館が5館ありますので、
各館毎6名づつ30名を選びます。オーバーした場合は、調整会を開きまして話
し合いで、30名を決めます。その後、教育委員会に上申して、教育長が任命し
発足します。
○企画実行委員の任務
企画実行委員の、定例会を毎月1回実施しています。他に主催講座の企画(内
容・タイトル・講師)公募市民との講座準備会、講座当日の運営全般。これが一
番大変な役目だと思っています。講座は企画実行委員だけではなく、市民との共
同企画ですので、講座毎に準備会への案内を市報で公募します。応募した市民と
企画実行委員、職員の三者合同で講座を決めていく(トロイカ方式)会議になり
ます。
充 実 し た 内 容 の 講 座 を 企 画 す る た め に は 、準 備 会 ま で 漫 然 と 待 っ て い た の で は 、
いいものは出来ません。だから日常的に情報収集をすることが企画実行委員には
必要なのではないかと思っています。私自身、委員になったからは、責任をもっ
て、いま小金井市がどういう状態にあるのとか、どんな企画が必要なのか、また
小金井市だけでなく、もう少し広い目で、世界や日本を考え、問題解決のため、
あるいは社会を住み良くするためにはどうすればいいか考えながら、生活してい
-4-
ます。
講座の当日は、会場設営・司会・講師の紹介などをやっています。これは本館
のやり方ですので、5館全てが同じではありません。講座は、1回だけではあり
ません。4回あるいは15~16回という講座もありますので、終了後には、反
省会を行い来年度の講座につなげていくことになります。
さらに、企画実行委員は、定例会以外は、各館ごとに独自のやり方で動いてい
ま す の で 、共 通 理 解 の た め に 全 体 で 年 2 回 企 画 実 行 委 員 連 絡 会 を 開 催 し て い ま す 。
会議は5館の持ち回りで内容を決め、情報交換や連絡調整を図っています。今年
は本館が当番で、つい先だって2回目が終わったところです。
○地域に貢献できる企画実行委員を目指す
私が、企画実行委員として個人的に考えていることがあります。地域に貢献で
きる事を目指すためには、会議に出る、講座に参加するだけでなく、1年365
日が企画実行委員だと思っています。
先ほど申し上げましたが、良い講座を創るためには、常日頃から情報網を張り
巡らせ、自分なりの情報の手持ちを増やす。小金井市以外での他の講座を聞いた
りしてテーマや講師に接し、見聞を広める。個人的には新聞・本などから学んで
います。自発的な学習や情報収集は、公民館の講座を創るためには欠かせないも
のだと思っています。車の両輪です。これが同時に進行して車はスムーズに動く
のではないかと思っています。
企画実行委員の立場から社会を耕す。そういう願望を抱いています。それがひ
いては自分の生き甲斐にもなってくるのですね。行動することが苦痛でなく、楽
しくやっていれば自分の健康にも繋がるのです。ある時、聴いたのですが、定年
退職をした女性でしたが、
「 今 ま で 地 域 の こ と は 何 も し ら ず 、体 調 が 優 れ な か っ た
のに、公民館に来るようになったら健康になりました」といわれたのです。
情 報 の 収 集 に は 、順 番 が
あ る と 思 い ま す 。レ ジ ュ メ
に行動目標として何か分
からない文字を並べまし
たが、家から出て社会に
「 参 加 」す る こ と で 周 り が
見 え て き ま す 。次 に 真 ん 中
の「 三 か く 」を す る の で す 。
-5-
行動目標
⇒
参加
⇒
学習会
「果報は寝て待て」
三かく
⇒
汗・字・恥
⇒
参画
企画実行委員
「果報は練って待て」
汗をかく・身体を動かす。体操するだけではない。家から出て公民館に来る。
毎 日「 字 」を 書 く 人 は 、以 前 よ り 減 っ て き ま し た 。字 は 読 め て も 正 し く 書 け な い 。
私は常に居間に字引が置いてあり、分からない時はすぐ調べる。後ではなくその
時行動して確認しています。書いてみることで頭脳に刺激を与えるように心がけ
ています。
「恥」は、一時です。チャレンジすれ恥もかきます。何にチャレンジしてもい
いのですが、できれば知的好奇心がいいと思っています。
「 三 か く 」 を や り な が ら 、「 参 加 」 し て 漢 字 の 「 参 画 」 に 繋 げ る 。「 三 か く 」 が な
く、突然「参画」に飛び込んでも建設的な意見は出せないのではないのではない
でしょうか。身近な例としてどこの市でも審議会があると思いますが、それに突
然飛び込んだら2時間じっと座って耐える審議会があります。なんの準備もなけ
れ ば 意 見 は で ま せ ん 。企 画 実 行 委 員 も 参 画 で す 。
「 果 報 は 寝 て 待 て 」と い う 諺 は あ
りますが、寝て待っていたのではいい講座はできません。だから寝て待つのでは
な く 、「 ね っ て 」 な の で す 。
昨夜、手帳を見たら、今年は公民館に企画実行委員として来たのは、今日現在
で74回、年内この後まだ2回あるので76回となります。
これには、職員との連絡などは含まれていないので、会議や準備会に出た数で
す。企画実行委員の制度があるために、小金井市の公民館は文部省から2回優良
公民館表彰を受けています。また、他市、大阪や相模原市などからも視察にみえ
ました。講師の方からも他では「講演の内容は先生におまかせが多いのですが、
小 金 井 は 企 画 ・内 容 が い い 」と 誉 め ら れ ま す 。三 者 が 一 緒 に 企 画 し た 結 果 だ と 思 い
ます。また、今年初めて企画実行委員になった方の感想で「何て民主的な講座の
決め方。ここは日本だろうか」と「月刊こうみんかん」に紹介され、企画実行委
員になってよかったと言っています。
小金井市は55年前からこの企画実行委員制度が継続されていることを、高く
評価しています。私自身、企画実行委員としての活動を通して私の人生のキャン
バ ス に 、い い 絵 を 描 く こ と が 出 来 る 事 が 出 来 れ ば 良 い な と 思 っ て い ま す 。私 自 身 、
企 画 実 行 委 員 は 2 度 目 で 、通 算 約 1 0 年 。そ の 間 に 公 運 審 委 員 も 経 験 し ま し た が 、
公運審よりも実際に面白いし、やりがいがあると思っています。
-6-
2
事例報告への講評と講義
「公民館をとりまく課題~〈公民館と市民〉問題の戦後史」
安藤聡彦(埼玉大学教育学部教授)
皆様こんにちは。ご紹介にあずかりました埼玉大学の安藤と申します。中央線
の高架化を眺めながら、三多摩地区の長年にわたって培ってきた文化が今後この
大きな波の中でどのように維持されて行くのか、また武蔵小金井の南口再開発に
よる変化を見て中央線沿線の街々がどのように変わって行くのだろうかと考えな
がら電車を降りてまいりました。
お 手 元 に 小 金 井 市 の「 月 刊 こ う み ん か ん 」が あ る と 思 い ま す 。
「住んでみてわか
るモンゴル」という記事を興味深く拝見いたしました。実は毎年モンゴルのウラ
ンバートルへ行き、地元の方たちと「農業を起こす」活動をやっております。物
を育てる経験のない遊牧民や地方からの移住者の皆さんにどのようにして大根を
植えるか等を示す時、もし日本の公民館のような社会教育施設があれば現地の人
達の為に様々な方策が取れるのにと同僚達と語り合いながら苦労をしているとこ
ろです。
只今、小金井市の企画実行委員の活動についてのお話を伺い、公民館活動とい
う形で培われてきた文化の中にとても良いものがあると実感しました。公民館大
会が47回目をむかえ、日曜日にもかかわらず皆様朝早くから集まっておられ、
この事自体が大きな蓄積の表れではないかと思います。
今から30数年前に作られました有名な三多摩テーゼの中にも、企画実行委員
制度の事が出ております。どんな制度なのかと思っておりましたが、今日初めて
お話を伺ってすごいなと思いました。何がすごいかといいますと、たえず社会の
あり方に目を配り、どのような形で学習を作ったら良いかを常に考えておられ、
地域の学びのあり方そのものをデザインして行く為に各館6名ずつ総勢30人も
の市民の皆さんが動いているということです。
私 は 今 大 学 で 若 い 学 生 諸 君 達 と 関 わ り 、彼 等 に と っ て 学 び を 作 る こ と は 難 し く 、
同時に彼等はどうすればよいかと苦しんおります。大学の講義等でも私の話を学
生達はまるでテレビを見るように見ているなと感じることがあります。これでは
学習にはなりません。学習というのは目的意識を持ち能動的な営みであるはずな
のですが、彼等と話している時、何を学んでよいのか分からないという言葉が出
てきます。自分がこれから生きてゆく上で必要な学びは自分で考える事が出来な
ければいけないし、目的意識を持って学びを作って行くのが学習の主体であると
考えます。こういった意味で先程の末包さんは学びを作ることを喜びとし楽しん
でおられ、学生達が聞いたら驚いてしまうようなことです。
安藤:企画実行委員の皆さん方は自分たちで考え何が課題でそれをどうやって作
-7-
っていくのか、単なる抽象的な課題でなく講師の先生方にご意見をお出しになっ
たりするのですか?
末包:もちろんそうです。
この先生にこの内容でと提案します。
安藤:企画実行委員にあって、古い人が新しい
人に教えることはしていますか?
末包:しません。見て盗み取るということです。
安藤:先輩の背中を見て育つということですね。
末包:公民館の企画に参加するとき、平素より
勉強したことを各自持ち寄ります。
十人十色といいますが、いろいろな角度からの情報が集まり幅広いテーマを決め
るための基になります。
安藤:学習の中身を誰がどうやって決めるのか、市民の皆さんが中核となり職員
の皆さんと協働で行っているという事が非常に大きな意味を持っています。学習
者 達 が 学 習 を 作 る 側 に 立 ち 、学 習 の 中 身 を 決 定 し て い け る の は 学 習 の 自 治 と 言 え 、
社会教育だからこそ出来る事です。これを小金井市が企画実行委員制度として保
証しており社会教育の可能性を私達に教えてくれるという意味で大きな実践であ
ると学ばせて頂きました。
公民館の歴史は1970年代で大きく変わってきたのではないかと考えており
ます。公民館制度は戦後教育改革の中で形作られ1949年社会教育法の中心的
施設として位置づけられて今日に至っております。公民館の歴史の中では市民は
最 初「 公 民 」と 呼 ば れ 、
「 町 村 民 」と も 呼 ば れ て お り ま し た 。注 目 し た い の は 公 民
館制度が作られたその時に公民館運営審議会が設置されていたと言う事です。こ
れは「町村民」が自分達の教育のあり方の構想を練ったり、検討したり、審議し
たりする事を制度的に保証する為に置かれました。戦後、教育改革の中で言われ
た教育への住民参加、地方自治は学校教育の中では衰退してしまいますが社会教
育の中では維持され生き延びてきております。
その間一番大きなことは、1974年に出された三多摩テーゼ「新しい公民館
像をめざして」ではないかと思います。これは公民館のアイデンティティ宣言の
ようなものです。この中に「住民参加の原則」があり、住民の声を反映させる事
の大切さを改めて指摘したものです。ここに住民の参加例として小金井の企画実
行委員制度が記されています。全国的に保証されている公運審制度ですが、東京
では更に三多摩テーゼの中に条例で保証された小金井の事例が挙げられていると
いう事は、今日この問題を考える上で非常に意義深いことです。
1980年代の半ばに「社会教育の終焉」と言う議論があったのを覚えておら
-8-
れるでしょう。社会教育とは古く無駄なものであるとの議論であり、これからは
自分達が直接的に学習や活動を組織化すればよいとの考えです。この背後にはコ
ミュニテー政策が計画的に行われてきた事もありますし、1980年代は日本の
戦後史の中では大きな転換期でした。日常生活の中での未解決な問題を、自分達
で活動を作って解決してゆく新しい市民活動が1980年代以降広がり始め、こ
れがNPO等の台頭期になったことも「社会教育の終焉」論の背後にあったと考
えられます。こういった事から公民館と市民との関係に関しての議論が始まって
行く事になります。また1999年に地方分権一括法が通り社会教育法が改正さ
れました。それまで公民館運営審議会という名で制度的に保証されていた住民参
加の原則が、任意設置と修正されました。
本日の開催主旨の中に指定管理者制度と言う言葉が出てきます。これは200
3年9月の地方自治法の改正によって公民館のような公の施設を住民団体ないし
企業等に委託することを可能にした制度です。公民館等の運営を市場メカニズム
に導入したと言う事です。住民サービスを向上させながら一方で経費の削減や運
営の効率化を図る様々な取り組みが各地で始まっております。もっとも早く行っ
たのが米原市です。米原公民館は若い人達が運営するNPOが受け、全国的に話
題となりましたが、不祥事が発生してすべての人員が入れ替わる事態となってい
ます。このようなことで指定管理者制度は難しい問題を含んでいるようです。
公民館の体制は70年位までに確立されたと申し上げましたが、80年代以降
は公民館のあり方についての議論とか法律の改正、更には公民館のみならず公共
施設全体の制度改革がなされ公民館制度の再編期になっていると思われます。7
0年代までにあった公民館と市民の関係での市民像は「参加する市民」でした。
これに対して制度的に求められる市民の位置付けには二つの側面があります。一
つはサービスを受ける「消費者としての市民」という事で、もう一つは市民の皆
さんが指定管理者となって公民館を運営して下さっても結構ですと言う「経営者
としての市民」です。80年代以降は消費者としての市民や経営者としての市民
と公民館との関わりをどうするか、行政的位置付けが分かれてきたと言えます。
このような背景の中、例えば小金井市で長年蓄積された事例を土台としながら、
もう一度公民館と市民との関係の再構築を皆さんと一緒に考えて行ければと思い
ます。
そこで必要となるのは公民館が何のために存在するかの定義を、もう一度三多
摩 テ ー ゼ の よ う に イ メ ー ジ す る 事 で す 。そ し て か つ て は「 参 加 す る 市 民 」で あ り 、
今では「消費者である市民」や「経営する市民」と公民館との関係です。
公民館と共に生きる市民とはどういった市民であるべきかの市民像を、過去の
経験や蓄積を踏まえながらイメージして行く、午後の作業を、ワークショップ形
-9-
式で行います。
3
グループ討議にあたり、助言者より討議課題の整理と提案
ワークショップ「公民館事業に市民の声を活かすには?~中身とルート~」
安藤聡彦(埼玉大学教育学部教授)
午後は、公民館の可能性を、市民の視点・市民の声を活かす、あるいは市民参
加という点から、ワークショップを通して皆さんで討論し探っていきたいと思い
ます。それぞれの経験や考えといった蓄積を踏まえ、どのような方向性が求めら
れているか、皆さんが普段から模索されている事を出しあって考えていきましょ
う。進め方について今から提案いたしますが、皆さんからよりよいやり方があれ
ばぜひ出してください。
司会の吉岡さんの指示で8グループに分かれた後、自己紹介をし、お互いの情
報を共有したうえで始めましょう。また、司会進行役と、15時から発表する報
告者を決めておくと良いでしょう。次の30分位で、ポストイットに書き込むと
い う 作 業 を し て も ら い ま す 。一 つ 目 は 、
「 市 民 の 声 を 活 か す 」取 り 組 み の 現 状 を 書
き ま す 。ご 自 身 が 関 わ っ て い る 公 民 館 に お い て 、
「公民館事業に市民の声を活かす」
取り組みが、どのような内容について、どのようなルート(方法)を通して、行
われているのか、一つの取組みごと、黄色のポストイットに書き出してみましょ
う 。午 前 中 の 小 金 井 市 を 例 に す る と 、
「 市 民 に よ る 講 座 の 企 画 」が「 企 画 実 行 委 員
会」を通して行われている、というようにです。また、その取り組みについて、
10点満点で自己評価をつけてみて下さい。
「やってはいるけれどいまひとつうま
くいってない」という取組みをメモ的に数値化することによって、討議の際の材
料 と な れ ば と 思 い ま す 。二 つ 目 は 市 民 の 声 を 活 か す と き の 課 題 に つ い て 考 え ま す 。
ご自身が関わっている公民館において、
「 公 民 館 活 動( 事 業 )に 市 民 の 声 を 活 か す 」
取組みとして、今後どのようなことが必要とされているか、同じように一つの取
組 み ず つ 、赤 色 の ポ ス ト イ ッ ト に 書 き 出 し て み ま し ょ う 。難 し い と は 思 い ま す が 、
ここで皆さんの考えを出すことが、本日の課題の重要なところになってくると思
います。また、行政の方から「公民館事業に市民の声を活かす」事に関わって、
「 こ う い う 事 を し て 下 さ い 。」と い う 方 針 が 出 さ れ て い れ ば 、そ れ に つ い て も 書 い
てみて下さい。ポストイットの色はどちらでも結構です。例えば、市民参加の公
民館評価等がこれにあたるでしょう。
それぞれのポストイットには、どの市の話かわかるように、ご自身の公民館の
名称を小さく書いて下さい。私の例でいいますと、国分寺市恋ヶ窪公民館の公運
審もしておりますので「国分寺/恋ヶ窪」のように記入して下さい。
グループによって時間配分は様々でかまいませんが、書き込む作業がだいたい
- 10 -
できましたら、ポストイットを模造紙に貼り込む作業に移ります。張り込み方、
整理方法については、似ているもの同士をまとめるなど、模造紙2枚を使ってグ
ループ毎に工夫をして下さい。
以上の作業で、
「 公 民 館 事 業 に 市 民 の 声 を 活 か す;中 身 と ル ー ト 」に つ い て の 各
グループの経験と意見とが集約される事になります。3時にまたこの3階の学習
室に集まって、各グループで話された事を発表しましょう。
ワークショップの進め方ついて提案やご意見はありますか?
参 加 者 :「 午 前 中 の お 話 で 、『 市 民 』 と は 『 公 民 』『 参 加 す る 市 民 』、 そ し て 『 消 費
者としての市民』と『経営者としての市民』というようになっているということ
を言われましたが、この作業では、どのような『市民』を想定すればいいのです
か?」
ま さ に そ の と こ ろ を お 考 え い た だ き た い の で す が 、市 民 の 声 、と い っ た と き に 、
どのような市民であるのか、市民の声とはいったい誰の声なのかについて大きな
焦点となります。私の方から「こういう人が市民です」とは申しませんので、ど
ういう人の声をどのように活かすのかという事について、ぜひ皆さんで議論して
いただきたいと思います。例えば、どの公民館でも若い人の公民館活動への関わ
りが少ないといった現状があると思いますが、そういった若い人の声をどう活か
すかという課題があるか等考えています。
「 市 民 」と は ど う い う 人 な の か 、皆 さ ん
で検討してみて下さい。
参 加 者:
「 行 政 の 方 か ら の 方 針 に つ い て 、書 き 込 む ポ ス ト イ ッ ト の 色 は ど ち ら で も
よいということでしたが、二つ目の課題は個人的な意見として書くので、行政か
らの方針も同じ赤色を使い、ポストイットを対角線に折り目を付けておくと分か
り や す い と 思 い ま す 。 如 何 で し ょ う か 。」
提案ありがとうございます。そういたしましょう。では、各グループへも回り
ますので、その時にも色々ご意見を出してください。
4
ワークショップ「公民館事業に市民の声を活かすには?」グループ発表
「 市 民 の 声 を 活 か す 」取 り 組 み の 現 状 、
「 市 民 の 声 を 活 か す 」取 り 組 み の 課 題 、
行政から出された「市民の声を活かす」方針について討議し、グループ毎に発表
しました。
A グループ
1 . 現 状 ( 1 )企 画 委 員 : 市 民 参 加 に よ る 講 座 の 企 画( 小 金 井 )( 2 )「 公 運 審
だより」の活用(3)利用者懇談会を実施して市民の声を聞く
2 .課 題(1)企画 実 行委 員制 度 の導 入(2)アン ケ ート:若 い人 達 や公 民 館
に 来 な い 人 達 の 声 を 聞 く と い う 姿 勢 が 必 要( 3 )ま つ り 、集 い 等 : 後 方 支 援 で
- 11 -
盛 り 上 げ て 公 民 館 事 業 に 繋 げ て い く こ と( 4 )公 運 審 委 員 の 偏 ら な い 選 出( 5 )
「公民館だより」もっと分かり易く(6)他の公民館での講座の評価を参考
B グループ
1 . 現 状(
状 1 )イ ベ ン ト ・ サ ー ク ル :イ ベ ン ト の 実 行 委 員 を 通 し て 意 見 を 聞 く
(東大和市)
( 2 )サ ー ク ル の 活 動 を 通 し て 市 民 が 交 流・意 見 交 換( 国 立 )
(3)
自 主 サ ー ク ル・ア ン ケ ー ト・フ ィ ー ド バ ッ ク:市 民 と 職 員 が 協 働 し て 企 画( 4 )
公運審(5)独自な事例として:外国人を取り込んだ防災会議(国立)
2 . 課 題 ( 1 )職 員 の 向 上 ( 2 )事 業 時 間 の 工 夫: 夜 間 ・ 休 日 の 事 業 を 増 や す
等 、利 用 申 込 の 時 間 の 配 慮( 3 )企 画 委 員 制 度 の な い 市 も あ り こ の 充 実 、さ ら
に 、 も っ と 若 者 や 、 働 く 世 代 に も 呼 び か け る ( 4 ) 公 民 館 の PR: 広 報 の 各 家
庭 配 布 や 若 者 の 為 に 部 屋 の 充 実 な ど の 工 夫( 5 )地 域 へ の 還 元 と し て 公 民 館 で
学 ん だ 人 が 講 師 と な っ て 講 座 を 進 め る( 6 )利 用 者 の 方 の 本 音 の 声 を 聞 く 事 に
よりもっと充実した対応ができるといった意見が掲げられた。
C グループ
1 .現 状(
状 1 )実 行 委 員 会 と( 2 )利 用 者 懇 談 会 は 各 市 共 通 の 市 民 参 加 行 事( 3 )
公 募 講 座 : 例 と し て 準 備 会 制 度 ( 小 金 井 )( 4 ) 企 画 実 行 委 員 会 : 準 備 会 で 市
民 の 声 を 吸 い 上 げ( 小 金 井 )
( 5 )講 座 後:反 省 会( 国 分 寺 )や ア ン ケ ー ト( 6 )
広 報 そ の 他( 7 )公 運 審 : 男 女 共 同 参 画 会 議 委 員・ 公 民 館 職 員 の 意 見 交 換 で 男
女 参 画 事 業 が 行 わ れ て い る 。( 小 金 井 )
2 . 課 題(
題 1 )広 報 :公 民 館 広 報 は 各 館 で 発 行 、不 特 定 多 数 の 方 が 利 用 す る 場
所や公共の場所に掲示したら(2)利用者懇談会:積極的な関わりと婦人会、
老 人 会 、学 校 等 か ら も 意 見 を 吸 い 上 げ る( 3 )ア ン ケ ー ト: ニ ー ズ に 関 す る ア
ンケートは市全体でやったらどうか(4)事業評価報告書:もっと有効に利
用し、今後の運営に活かす。
D グループ
1 .現 状(
(2)
状 1 )イ ベ ン ト:青 少 年 、団 塊 の 世 帯 、成 人 向 け の 講 座( 小 金 井 )
委 員 会・準 備 会:実 行 委 員 会 を 作 り「 ロ ビ ー コ ン サ ー ト 」の 開 催( 西 東 京 )、
(3)
利用者懇談会:最も市民の声が聞ける所で、事例として「トイレをもっと綺麗
に し て 欲 し い 」( 西 東 京 )( 4 ) 講 座 : 事 例 と し て 、 国 際 交 流 ・ 終 了 後 の ア ン ケ
ート(小金井)などから市民の情報をキャッチしている。
2 . 課 題 ( 1 ) PR 活 動 の 推 進 : ア ン ケ ー ト 箱 の 設 置 ( 2 ) 青 少 年 対 応 : 小 中
高生(3)拡大:①他市との交流
② 公 民 館 ま つ り (1800 人 → 3000 人 )( 4 )
レ ベ ル ア ッ プ: 公 民 館 職 員 の 主 体 性・ 専 門 性 ア ッ プ を 図 っ て 欲 し い 、公 民 館 施
設 の 向 上( 5 )公 運 審:も っ と 市 民 の 声 を 採 り 上 げ 事 業 に 活 か し て 欲 し い( 6 )
- 12 -
職 員 に 対 し て:要 望 の 強 い 事 業 を も っ と 継 続 し て 定 着 さ せ リ ピ タ ー を 増 や す よ
う 努 め て 欲 し い 。 3 . 行 政 ( 1 ) 新 し い 公 民 館 活 動 を 考 え る ( 小 金 井 )( 2 ) 市
民協働事業の推進(國分寺)
E グループ
1 .現 状(
状 1 )利 用 者 懇 談 会( 2 )市 民 企 画 講 座:公 募 講 座 、自 主 講 座 な ど( 3 )
公民館まつり(4)その他独自な事例としては
①市民団体などの協力による
子育てサロン(稲城)②親子問題講座(町田)
③近隣大学の協力で医療、科
学、文芸講座(同)
2 . 課 題(
題 1 )公 運 審 と 市 民 お よ び 企 画 と の 関 わ り の 拡 大( 2 )マ ン ネ リ 化 防
止 の た め の 企 画 委 員 任 期 制( 3 )広 く 市 民 ア ン ケ ー ト( 4 )市 報 以 外 の 広 報 手
段( 5 )市 民 企 画 に よ る 公 民 館 利 用 者 の 集 い・ 問 題 提 起 の 会 ( 6 ) 図 書 館 な ど
他の社会教育分野の利用者との連携
3 . 行 政(
政 1 )市 民 と 職 員 に よ る 基 本 構 想 ・計 画 作 成( 日 野 )( 2 )事 業 評 価
(同)
F グループ
1.現状(1)事業へのアンケートの利用(2)市民企画講座:公運審がヒヤ
リ ン グ し て 市 が 決 定 ( 町 田 )( 3 ) そ の 他 グ ル ー プ 報 告 に な い 個 別 事 例 と し て
は、
①ジュニアリーダーを育てる(東久留米)②子供まつり(同)③障害児
との集い(同)④「シニアしゃべりの場」による人材発掘(田無)⑤「地域の
課題を考える」講座への準備会委員募集(西東京)など。
2 . 課 題 ( 1 ) 失 敗 例 か ら 学 ぶ: 準 備 会 方 式 で 人 が 集 ま ら な か っ た( 2 ) 他 地
域 の 事 例 か ら 学 ぶ :「 埼 玉 県 鶴 ヶ 島 方 式 」 か ら ( 3 ) 若 者 に 対 す る 取 組 : ① 若
者の意見をどう反映するか
3.行政
②若者向けのテーマが少ない
(1)突然の指定管理実施の決定(東久留米)
G グループ
1.現状(1)市民の意見を反映する制度として
①「公民館講座ボランティ
ア」
( 東 村 山 )②「 企 画 実 行 委 員 会 」
(小金井)
( 2 )個 別 事 業 毎 ①「 ま ち の 財 政 」
「 青 年 講 座 」( 国 立 ) ② 「 自 主 男 女 共 生 学 級 」
( 町 田 )な ど( 3 )ア ン ケ ー ト : ど ん な 講 座 が 必 要 か 市 民 全 体 に 問 い か け る シ
ス テ ム が 必 要( 国 立 )
( 4 )公 民 館 だ よ り:講 座 参 加 者 の 感 想 掲 載( 西 東 京 )
(5)
利 用 者 懇 談 会 : 年 6 回 開 催 事 業 開 設 要 求 ( 福 生 )( 6 ) 公 運 審
2.課題(1)職員:事務的ではなく市民と向き合う姿勢と平等に話し合え
るノウハウ(2)会場:利用予約の調整(3)課題・参加者の掘り起こし:
①社会的課題・地域的課題の掘り起こし
②市民サークルの発表会
③学習
要 求 の 公 共 性 ・ 今 日 性 を 判 断 す る 仕 組 み が 必 要 ( 4 ) PR( 5 ) 個 別 事 業 : 公
- 13 -
民館図書室・保育室運営の市民参加
3.行政
事業評価システムとの連動(福生)
H グループ
1.現状(1)公運審
(2)利用者懇談会(3)実行委員会(4)アンケー
ト(5)公民館だより(6)サークル
2 .課 題(
題 1 )若 者 の 声 を 聞 く:① 夜 間・休 日 の 場 所 開 放
② 学 校 出 前 講 座( 2 )
職員と市民の対話(3)連携・ネットワークづくり:話し合いの持ち方(①行
政部門・地域団体サークル間②公民館活動のコミュニテー化(4)施設の充実
4
まとめ・講評
安藤聡彦(埼玉大学教育学部教授)
8グループすべてを回らせていただきましたが、グループ毎に議論の仕方が
全く違っていて、発表も個性的なものが多く、大変おもしろく拝見させていただ
きました。皆さんの発表からも、市民の声を活かす現状と課題について、多くの
事を学ぶ事が出来ました。
実は、この場のこういう会そのもの、市民と職員が一緒に考える場が絶えずあ
るということがとても大きいと思いました。職員が市民の皆さんの声を聴き、日
常的に話をするという事が、公民館事業に市民の声を活かす第一歩であり、生命
線であり、大きな宝になると改めて感じました。
私は、国分寺の恋ヶ窪公民館の運営審議会委員をしていますが、例えば、西国
分 寺 の 駅 か ら タ ク シ ー の 運 転 手 に「 国 分 寺 市 の 恋 ヶ 窪 公 民 館 へ 」と 告 げ た と き に 、
多くの運転手に「は?どこですか?」と言われてしまうくらい、公民館が認知さ
れていないのです。知らなければ、市民の声は入ってきようもないわけで、些細
な こ と で す が 、「 公 民 館 が こ こ に あ り ま す よ 」 と い う サ イ ン が ど れ く ら い 出 て い
るかという事は大事なことだと思います。標識1つ、存在の認知の仕方で、ずい
ぶん変わってくるのではないかと思います。市民の声を公民館事業に活かしてい
くためには、ハー ドと ソ フト の 様々 な 面 から 考 えて いく 必 要が あ ると 思 いま す 。
「公民館事業に市民の声を活かす」という事の根っこにある問題は、日本の地
方自治体にある公共施設や公共空間をどうしていくのかという問題だと思います。
日本の公共空間は、整理はされてきていますが、まだまだ不十分なところがあり
ます。全体として、ある意味上から都市計画の中で作られているので、十分に市
民の声を活かす事や市民が願っているニーズを反映して事業を作って行くという
事が、まだまだ足りないのではないかと思います。
学習文化機関としての「独自性の原則」のあり方をどう考えるのか。学習文化
機関としての共通性、協同性をどのように考えたり広げたりする事ができるかと
- 14 -
いうところにあると思います。
様々な機関が、学習文化機関としての性格を持ってきているので、全体として
揺さぶりをかけられている中で、共通性を大事にしながら、繋がりやネットワー
クづくりがますます大切になってくると思います。同時に三多摩テーゼにあると
お り「 公 民 館 の 独 自 性 の 原 則 」を ど う 押 さ え る の か 。
「学びをデザインする事がで
きる力」というのが、公民館の中で最も蓄積されてきている事ではないかと思い
ます。午前中に報告者の末包さんの報告にもあったように「学びをデザインする
事のできる力」を東京都においては職員と市民が協働して数十年かけて作ってき
たという事が大きいし、そこに三多摩テーゼの中で言われている「独自性」の核
心があると思います。
「学びをデザインしていく事のできる力」をどのようにして「都市をデザイン
する事ができる力」という形で繋げていくのか。その繋ぎ方を市民の皆さんと職
員が一緒に考えていく事が大切ではないかと思います。自分たちの住んでいる地
域の公共施設を全体としてどのように共有の財産として定着させ豊かにしていく
のかというのが、今後の大きな課題になってくるのではないでしょうか。
東久留米市で指定管理者制度がスタートするという事についても、心配や危惧
もされるところですが、ある意味、慌てる必要はないと思います。最後に問われ
てくるのは「学びをデザインする事のできる力」だと思います。おそらく、そう
いう蓄積はないでしょうし、意地悪な言い方をすれば、うまくいかないのではな
いかと思います。実はそういうことが指定管理施設では、多く起こってきていま
すので、それを我々(市民)がしっかりと評価し、次に向けてどう底上げしてい
くのかという事が問われてくると思います。
- 15 -
第2課題別集会
魅力 ある 講座
~だれもが参加でき、参加したくなる講座~
討議内容
時代や世代、社会的背景、根底にある社会教育としての位置づけなど
も勘案し、魅力ある講座を組むことが求められます。しかしながら、限られた予
算の中で、多くの市民が参加でき、参加したくなる講座とするにはどうしたらよ
いでしょうか。若者の呼び込み、地域の特性や課題の取上げ、既成の枠にとらわ
れないアピール方法等から考えます。
助
言
者
谷
口
郁
子(月刊社会教育
副編集長)
司
会
者
鈴
木
浩
一(昭島市公民館職員)
企 画 委 員
日
野
恭
志(日野市中央公民館職員)
古
屋
初
枝(稲城市第二公民館運営審議会委員)
熊
谷
大
井
弘
苅
込
美津代(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
千
葉
純
吉
川
由美子(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
勉(小金井市公民館運営審議会委員)
俊(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
子(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
- 16 -
1
司会による主旨説明
鈴木浩一(昭島市公民館職員)
今回のテーマは、公民館の永遠のテーマとは思いますが、最近若い方がなか
なか参加しない、若い人に聞くと平日の講座では参加が難しい、内容も興味を
持てないという話も聞きます。その辺のところも本日の視点のひとつになるか
もしれません。昨年、社会教育法が改正され、その中で公民館の運営に関する
評価という項目ができました。そういったところへ、研究大会の討議により、
より良い講座になることは、その評価へと結びつき、その評価は、公民館の将
来性や可能性につながるのではないかと思います。
2
助言者による提言
谷口郁子(月刊社会教育
副編集長)
私も一緒に「魅力ある講座」という内容で一日学んでいきたいと思います。
な か な か「 魅 力 」と い う 言 葉 が 魅 力 的 で す ね 。
「 魅 力 あ る 講 座 」の 魅 力 の 中 に ご
自身が主体的に参加できる気持ちが入っているかどうか鍵になると思います。
ご自身の最初の動機がタイトルとぴったり合うかどうか。それが魅力に通じる
第一歩かなと思います。
「 魅 力 あ る 講 座 」と 銘 打 っ て も 中 身 に 魅 力 が な い と 人 数
が少なくなって悲惨な場合になる場合もあります。
魅 力 あ る 講 座 の 前 に 、ユ ネ ス コ 学 習 権 宣 言 の こ と を お 話 し て 、そ れ が 中 身 に
ど う 関 係 す る か 申 し 上 げ て か ら 始 め た い と 思 い ま す 。こ れ は 、宣 言 な の で 具 体
的 に 拘 束 力 は な い で す が 、学 習 と い う 言 葉 を キ ー ワ ー ド に 私 た ち が 学 ぶ 上 で こ
れ ぞ 大 切 だ と い う 中 身 を も っ た 宣 言 で す 。「 人 が 生 き 延 び る の に 不 可 欠 な も の
が学習だ」ということを初めて世界の人たちに宣言した文章です。
ユ ネ ス コ 学 習 権 宣 言 ( 1985年
1985 年 )
(略)学習権とは、
読み書きを学ぶ権利であり、
質問し、分析する権利であり、
想像し、創造する権利であり、自分自身の世界を読みとり、歴史を書
く権利であり、
教育の機会に接する権利であり、
個 人 的 ・ 集 団 的 技 術 を の ば す 権 利 で あ る 。( 略 )
第4回ユネスコ国際成人教育会議宣言(1985年)
藤田秀雄訳『ユネスコ学習権宣言と基本的人権』
- 17 -
日本で暮らす私たちは、これを全部できているのではないかと思いますが、こ
の「 読 み 書 き を 学 ぶ 権 利 」こ れ が 一 番 難 し く な っ て い る の で は な い か と 思 い ま す 。
個人情報保護法ができて、私たちの情報を守る法律でもありますが、年賀状が書
けない、手紙・ハガキ等の紙媒体の通信が非常に難しくなっています。アドレス
を交換するのも、関係を構築しないと情報を交換できない時代になっている。そ
ういうことからして、情報がたくさんあるにもかかわらず、自分自身の得ている
情報はごく限られた狭い世界であり、その情報が確かなのかどうか読み解く力、
もしくは分析・検証する力が私たちには獲得しにくい学習の中身をもっている。
この読み書きを学ぶ権利、この権利という言葉はカタカナで「ライツ」になる。
「いいですよ」という意味合いの言葉が日本語では「権利」になる。生き延びる
のにとても大切な「学習権」が魅力ある講座の基底にあるかどうかというのを考
えながら、今日の「魅力ある講座」の初めにしてほしいと思います。
3
事例報告
企画委員による実施講座の報告
(1)小金井市「オバマ新政権を迎えた国際情勢と日本」
大井弘俊(小金井市公民館本町分館企画実行委員)
私は、昨年の9月から企画実行委員になり、日も浅いですが、公民館職員と市
民 の パ イ プ 役 と い う こ と で 市 民 と し て 講 座 の 企 画 作 り に 参 加 し て い ま す 。昨 年 末 、
時事問題の講座を実施していなかったことと、アメリカ大統領選が話題になって
いたこともあり、企画実行委員会で提案し、取り上げることとしました。
講座のねらいは、新政権を迎えたアメリカ合衆国が国際情勢に及ぼす影響、そ
して今後の日本との関係について学んで国際感覚を身につけよう。講師は、元ポ
ーランド・ベルギー大使で、元東京経済大学教授の兵藤長雄さん。PR方法は、
市報・ポスター・チラシ。受付方法は、分館窓口と電話による先着順。人数は、
募集30人・申込42人・参加28人。開催日は、3月9日の午前中でした。
開催時期にタイミングがよかったのか、30名募集のところ42名の応募があ
りました。講座を企画した時点では、大統領がまだ決まっていなかったが、正式
に決まった時点で、大統領名を入れたタイトルにして開催しました。ちょうど興
味を持たれていた方が多く、感心を持たれて意義のある講座ができたと思ってい
ます。話題性のあるテーマであり、そして講師の先生が小金井市の公民館では多
く講座の講師をされていて、ファンも多い方であったのも要因だと思います。男
性の参加も多かったです。参加者の感想からも「時代にマッチした大変有意義な
企 画 で し た 。」等 、内 容 も 好 評 を い た だ き ま し た 。ま た 、今 年 の 1 1 月 に「 走 り 出
したオバマ政権化の米国を読み解く」というタイトルで講座を開催しましたが、
経 済 問 題 が 多 く 内 容 も 難 し か っ た せ い か 、2 回 目 に は 人 数 が 減 っ て し ま い ま し た 。
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タイミング的には、もう少し早い時期の方がよかったのか、そして講師が小金井
市では初めての講演だったこともあるようでした。公民館で応募が多く好評の講
座 は 、歴 史 関 連 の 問 題( 特 に テ レ ビ で 取 り 上 げ ら れ た も の )、身 近 な 郷 土 史 、時 事
問題、健康管理、音楽演奏や歌などのようです。実施のタイミング、タイムリー
な話題、内容での開催が必須であると感じます。また、講師により参加者の数・
年齢層がかなり左右されると感じました。市民目線を忘れないで、講座企画に誠
実に取り組んでいきたいと感じた2つの講座でした。
<助言者の言葉>
よく感想の中にある「勉強になった」とか「とても興味深く初めてのことだっ
た」というのは、一つ、知識を得たということです。知識を得たことが、その人
自身の生きる力になったのか、その先、その中身を検証しないといけない。人数
が集まったということは、最初の第一歩は魅力ある講座だったのでしょうが、講
師と十分に事前に話し合いをすること(初回に講師と受講生の関係が作れるよう
に)が、講座の魅力の持続性につながるのではないでしょうか。
( 2 ) 日 野 市 「 実 用 書 道 ・『 書 』 に 親 し む 」
日野恭志(日野市中央公民館職員)
成人事業としまして、現在開催中の講座で、5回のところ4回が終了したとこ
ろです。時間は、14時から16時。PR方法は、市報。人数は、募集20人・
申込65人・参加19人(内女性18人)で、延べ参加人数67人です。
実用書道ということで、結婚式・お通夜・告別式等で筆ペンを持つ機会が多い
昨今ですので、人前に出て字を書くことを学んでみたいという方が多かったので
しょうか、20人のところ65人という応募をいただきまして、45名ほどお断
りさせていただきました。内容としましては、大筆で基本を学びまして、そのの
ち小筆を使って芳名録・のし袋・はがき・封筒等の実習をしています。その中で
も 、変 わ っ た 実 習 が あ り 、爪 楊 枝 、割 り 箸 を 使 っ て 書 に 親 し む 内 容 も あ り ま し た 。
先生は、公民館でサークルの講師をしている方にお願いをしました。書道という
と、入りにくい面もありますが、やはり実用書道ということになりますと何かと
触れる機会も多く、市民の方も学んでみたいという気持ちが強かったのではない
かと思います。あと1回残っていますので、詳しい感想はわかりませんが、市民
ニーズは高かったと思っています。
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(3)稲城市「おつきあい上手になるマナー&話し方」
古屋初枝(稲城市第二公民館運営審議会委員)
この講座に参加した参加者代表としてお話いたします。若いお母さんが対象で
し た が 、私 の 世 代 も 3 人 い ま し た 。第 1 回 目「 マ ナ ー の 必 要 性
上手なしつけ方」
第2回目は「挨拶、言葉やしぐさのマナー」第3回目「食事のマナー」第4回目
「おつきあいのマナー」という内容でした。第1・4回目は、新作法学院の近藤
珠實先生、第2・3回目は、新作法学院の講師の先生でした。4回とも魅力ある
先生で、話がわかりやすく、私にはとてもよい学習になりました。私がこの講座
を受けてみようと思ったきっかけは、以前娘に言われた「お母さん、昔の常識は
今 の 非 常 識 よ 。」と 言 わ れ た こ と で す 。孫 と 遊 ぶ 事 で も 、親 の 教 え と 祖 母 で あ る 私
の教えが違っていた場合、孫は戸惑うだろうと思いました。親は一日中子供と一
緒にいて、子供は親を見て育ちます。親が知らなかったら、子供も知らないで済
んでしまいます。この講座を受けて私は、昔、娘にどんな教育をしてきたのか少
し反省しました。でも、改めて4日間教えていただいて、少し自身もついたよう
に思います。若いお母さんと私では受け止め方は違うかもしれませんが、しつけ
やマナーは小さいころより、繰り返し繰り返し教えなければいけないなと思いま
した。講座を受けた感想ですが、若いお母さんには、自分の子供を育てる場合、
このような講座があると大変参考になるのではないかと思いますし、世代を超え
て常識を養われる講座があればいいなと思いました。
(4)昭島市「裁判員制度」
鈴木浩一(昭島市公民館職員)
私が実際に企画したものです。昭島市には、公民館がひとつのため、公民館
以外の施設を利用して地域課題等のテーマを定期的に行っています。この事業
では、時局講演会として、今年の1月に2回実施しました。裁判員制度実施の
4カ月前でしたので、市民の関心が深いものと考えて、広く市民に学び考える
機会として実施しました。その当時、すでに名簿に登載されて通知されている
方 も い た の で 、か な り 反 応 が あ る の で は な い か と 思 っ て い ま し た 。1 回 目 は 、
「裁
判員制度の概要」として、東京地方裁判所の現役の主任書記官さんにおいでい
ただいて、講義いただきました。事前に、他の館での裁判員制度を見させてい
ただいて、質問時間が長かったので、1回目は質問時間を最長45分設定しま
し た 。 2 回 目 は 、「 裁 判 員 制 度 の 課 題 」 と い う テ ー マ で 、 裁 判 所 の こ と や 弁 護 士
会のことに詳しい中央大学法学部の教授に講師をお願いしました。また、ポス
ターやチラシ等の広報は、いつもより早めに、実施の2か月前から市内20か
所 以 上 に 設 置 、募 集 期 間 を 長 め に す る な ど 、か な り 力 を 入 れ ま し た 。申 込 者 は 、
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37名。男性17名女性20名でした。参加年齢は、20代・30代の申込み
がゼロでした。この年代が来てくれるのではないかと期待しましたが、残念で
した。後から考えると、土曜の午後という時間に「裁判員制度」という固い内
容だったので参加者が少なかったのかなと思いました。
4
グループ討議の発表1
テーマ「昭島市の事例発表について」
グループ③
・他市の職員で昭島市に住んでいる方がこの講座の情報を知らなかった。今後の
課題ではないか。
・裁判員制度実施の4ヶ月前に取り上げたことは褒めてよい。
・内容については、当時者意識をどう持たせるかは検討する余地がある。
グループ④
・タイトルをもっと魅力的にした方がよいのでは。
・2回目は、もっとテーマを絞って決めた方がPRになる。
・若い方をターゲットにするなら、平日の夜か土曜なら午前中の方がよいのでは
ないか。
グループ⑤
・若者向け講座の情報交換をした。
・若者をどう呼ぶかを視点にスタートした方がよいのでは。
・幅広い世代を呼ぶには、講義2回じゃなく、裁判所の見学などを取り入れたら
面白いのでは。
グループ⑥
・題名が漠然としている。
・制度の説明か、自分がなった時の説明かはっきりしてないのでは。
・裁判員制度について、公民館でやる必要があるのか。地域の切り口としてはど
うなのか。
グループ②
・事例発表された他の講座に比べて実用的ではない。
・多くの人にとってはよそごとで身近でない。
・具体的な副題など付けたらよいのでは。
- 21 -
・一方的な講義になっているので、参加型にしないと生きたものにならない。
・土曜にやるのであれば、午前中がよいのでは。
・5回くらいの講座にして、DVDを見せる、実際に裁判所に行くなどしないと
魅力的じゃない。
・応募50名は、多すぎる。50名募集なら、グループ分けをして、話し合いを
持つようにした方がよい。
・講座の後に懇親会などを企画した方が講座は長持ちする。
グループ①
・若い世代をターゲットにするのであれば、土曜でよいと思うが、時間が長いの
では。工夫して短くした方がよい。
・内約を詳しく載せた方がよい。
・講座に行って得すると思わせるような呼び掛け文にする。
5
グループ討議の発表2
テーマ「魅力ある講座を企画する」
<討議にあたり、助言者より>
社会教育法が改正されましたが、付帯決議が出されました。
社会教育法付帯決議(参議院文教科学委員会)より抜粋
一、国民の自発的、主体的な学習が担保されるように配慮すること。
二、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理
運営体制の構築を目指すこと。
三、各個人の学習活動と地域社会の教育活動との循環につながるような具体
的な取組について支援に努めること。
四、公民館運営審議会、図書館協議会及び博物館協議会等を通じて、地域住民
等の意見が反映されるよう十分配慮すること。
五、国際的に遜色のない博物館活動を展開できるような環境の醸成に努める。
六、多様な地域の課題等に応じた機能を持つネットワークの構築を推進する
こと。
七、社会教育主事、司書及び学芸員については、多様化、高度化する国民の
学習ニーズ等に十分対応できるよう、今後とも、それぞれの分野における
専門的能力・知識等の習得について十分配慮すること。
八、社会教育委員がその重要な職責と役割を十分に認識するような環境整備を
図る。
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是非、この付帯決議の意味、付帯決議を付けざるを得なかった努力を皆さんが
広めてほしいと思います。
(新しく改正された社会教育法には評価ということが盛
り込まれましたし、最近の法律の傾向としては、国民の責任を盛り込まれた法律
が多くなっています。国民の責任という言葉は、国民が丸ごと自分たちに責任が
あるということではなくて、その内実を高める、公的な学習権の保障の側面には
公的な専門職もしくは公務員の人たち、大臣等が法律を守る義務があるというふ
うに述べているので、そのことをあわせて、社会教育法の内実を高めるような講
座、魅力あるというのは、キャッチコピーだけではダメだということです。キャ
ッチコピーだけで人が集まっても、人が生き延びるのに必要な学習その中身の内
実が伴っているかどうかということが問われなければ、中身のある講座につなが
ら な い の で は な い か な と 思 っ て い ま す 。)
講座は、魅力のどこに焦点持っていくか、入口からどう広がり、その内実がど
う深まり、その後どういう風に個人の生き方が変わっていくのか、豊かになって
いくのか、魅力の中身はそこまで求めないと魅力の言葉に失礼ではないかと思い
ます。
各グループで企画するに当たり、ねらいと、講座が終わった後の展望なども含
めて話し合ってください。
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グループ①
タイトル「これからの日本、あなたはいくらで生活できますか?」
対象:年金対象者・中高年・若者
内容:不景気の中をどう生き抜くか
開催日:若者・中高年→平日夜間、年金対象者→平日日中
対象者別に3コースくらい作る。各4回程度
コース内容:地域情報・医療機関情報・得々情報・気をつけよう情報(年金対象
者)
グループ②
タイトル「初めてのガーデニング講座」
テーマ:園芸
花を育て、野菜を育てて地域にも還元する。
対象:初心者(あえてうたわない)
ねらい:育てるよろこびから地域づくり
開催日:土曜日10時~正午(その後、受講者でランチやお花屋さんに行くなど
交流がもてる時間)
1 回 目 : 講 座 ・ DVD 鑑 賞
4回目:材料を選定
2回目:実践
3回目:外に見学へ
5回目:自分たちで材料を持ちより実践
6回目:公民館
や地域に植える
グループ③
タイトル「20歳過ぎたら、あなたも裁判員」
サブタイトル:もしあなたが裁判員に選ばれたら
押さえておくべき知識と心構えを学んでもらう
開催日:土曜日または日曜日10時~正午
回数:1回
(若い人に来てもらうには1回の方が参加しやすい。とにかく公民
館 に 来 て も ら う き っ か け に な れ ば よ い 。 参 加 者 の 反 応 を 見 て 続 編 を 開 催 す る 。)
対象:若者(年齢制限は設けない)
保育:あり
講師:市内に在住の若い弁護士(身近な同世代から話を聞くことで参加の意識を
高める)
終 了 後 : 報 告 を HP で 行 い 、 次 回 か ら 来 て も ら え る よ う に ア ピ ー ル す る 。
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グループ④
テ ー マ ( タ イ ト ル )「 思 春 期 の 子 供 を 持 つ 親 の た め の 講 座 」
ねらい:思春期の子供を持つ親の不安を解消しよう
開催日:夏休み前
6月~7月中旬
土曜日午前中
回数:4回
1回目:現状を知ろう(一般的な子供の心を知る
講師:大学教授)
2回目:身近に子供と接している人から話を聞く(講師:塾の先生)
3回目:学校に関すること(講師:養護教諭)
4回目:親睦会(参加者全員で話し合い)
募集人数:30名
対象:中学生くらいの子供を持つ親
PR 方 法 : 学 校 に お 願 い し て 配 布 、 児 童 委 員 に 協 力 し て も ら っ て 親 に 配 布
その後:ネットワークが続くよう支援する
<助言者より>
最近の講座は、働いている男性の参加が少ないので、子供を持つ親がどうして
も母親になりがちなので、父親にも参加してもらえるようにかなり工夫しないと
母親だけが参加の講座になってしまうのではないでしょうか。
<実際に思春期の子供を持つ親向け講座を開催した市の方より>
男性の参加は、塾の先生をしている父親、孫のことを知りたい祖父の方などが
いました。土曜日の午前中に開催した「親子の食育講座」で、父親と調理をした
ものは集まりがよかったので、取り入れてみるとよいのではないでしょうか。
グループ⑤
タイトル「歩キニストむさしの」
サブタイトル:武蔵野の○○○を歩く(国分寺とその周辺を歩く)
期間:4月~四季を通じて
回数:事前学習と実地を合わせて8回
企画委員を募集する。
講師:地域に詳しい人・学生にもやってもらう
開催日:日曜日午前中
お昼も一緒に食べて交流をする
人数:30人程度
PR 方 法 : 大 学 の サ ー ク ル ・ 地 域 の 企 業 に も チ ラ シ を 配 る
費用:交通費実費・保険料(レク保険)100円くらい
学習方法:準備会・学習・実地
内容:武蔵野の地域の自然や歴史を見学する
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対象:一般(なるべく若い方)
運営は、グループに分けて、グループが企画によって先導するなど、受講生が主
体となって運営してもらう。
グループ⑥
テーマ:地域(環境について、地域の捉え方を探し地域に反映していく)
着地点:自身が生活の中でどう関わっていくか・今していることがどれだけ役に
立っているのか・人と人が繋がって地域が元気になる。
内容:講義→情報交換→地域探検・実践
回数:連続講座
対象:公民館を知らない人・テーマに興味を持ちづらい人
講師:初回に有名な人を呼んで、人に来てもらいやすくする。
その後:少し間を開けてから、もう一度集まって情報交換できる機会を持つ。
○どの企画に参加したいか挙手
一番人気:グループ⑤「歩キニストむさしの」
次点:グループ①「これからの日本、あなたはいくらで生活できますか?」
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6
助言者による講評
谷口郁子(月刊社会教育
副編集長)
(北海道せたな町の地域医療の崩壊を例に)1人の素晴らしい人がいても、そ
の地域の地域力(教育力)は上がらない。気付いたときにはどうにもならないと
きがある。色んな地域の人とお会いする時に、公民館、社会教育、生涯学習が活
発な地域力があるなと思います。それは、あえて政治学習や経済学習をしなくて
も 、人 々 の ネ ッ ト ワ ー ク が 地 域 に あ り 、生 活 の 会 話 の 中 に 学 習 の 要 素 が あ る 。日 々
のネットワークが地域力になり、間違った判断をしていかない。選択をするとき
に、その人たちの検証する力を持っていないと、不安にあおられてしまう。考え
る力、検証する力を魅力ある講座の骨組みにしてほしい。難しいテーマを組まな
くても、身近なもので楽しい中身を持ってして、人々のネットワークの中で学習
は深まる。
パウロフレイレの「エンパワメント」という言葉は、力をつけるという意味合
いを持つ。どんなに力を持っている人が人道的に指導しても、人の学習力はあが
らない。どうしたら生き延びるための力を獲得できるのか。話し合いを大事にす
る学習を大事にした研究者です。このエンパワメントが魅力ある講座の骨組みに
ないといけないかなと思います。
文 部 科 学 省 が ユ ネ ス コ と 一 緒 に「 公 民 館 」と い う パ ン フ レ ッ ト を つ く り ま し た 。
この中に、世界に誇れる公民館活動が紹介されています。近郊だと、福生公民館
の「環境教育講座」が紹介されています。岡山京山公民館の子供や若い人が参加
し て い る 講 座 、東 大 和 公 民 館 で 高 校 生 が 参 加 し た「 福 祉 マ ッ プ づ く り 」、長 野 新 村
公民館「新村音楽祭」等が紹介されています。
皆さんの力で魅力ある講座を参画していただきながら、地域力を是非アップさ
せていただきたいと思います。
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第3課題別集会
仲間 づくりで 元気な
元気 な 街 を
討議内容
今、公民館の仕事は、講座を開催することにとどまらず、講座から自
主グループを作りだし、地域のネットワークの中心として、そのグループの力を
地域に還元していくように育成することも目的としています。また、公民館は地
域にどんどん出ていき市民との交流を深め、地域を活性化する働きも要求されて
います。そのためには、公民館は常に地域にアンテナを張り巡らし、現代的問題
を広くキャッチすることが必要です。ここでは、どのように公民館から発信し、
どう地域とのつながりを持ち、尚且つ街に活力を与えられるか探ります。
助 言 者
朝
岡
幸
彦(東京農工大学教授)
事例発表
野
中
和
雄(小平市シルバー大学26期会会長)
広
瀬
司 会 者
加
藤
謙
司(狛江市立西河原公民館職員)
企画委員
松
浦
妙
子(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
本
間
マサ子(東大和市立南街公民館職員)
安
尾
賢
一(東久留米市立中央公民館運営審議会委員)
前
川
正
治(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
瀬
上
ゆ
き(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
伊
藤
妻
木
誠
安
部
まり子(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
中
田
智
久(小平市中央公民館職員)
菊
地
信
昭(小平市仲町公民館職員)
泉(元小金井市公民館貫井南分館職員)
清(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
二(小金井市公民館貫井南分館企画実行委員)
- 28 -
1
事例報告1
「高齢化に対応できる公民館に」
野中和雄(小平市中央公民館シルバー大学26期会会長)
・シルバー大学の概要
シ ル バ ー 大 学 入 学 資 格 は 60 歳 以 上 で す 。定 員 が 60 人 の と こ ろ 、希 望 者 が 非
常 に 多 く 、 競 争 率 が だ い た い 1.5~ 2.0 倍 と い う こ と で 、 す ぐ に 入 れ る 方 は 少
ないのが現状です。
学 習 時 間 は 発 足 当 時 の 昭 和 56 年 ( 1981 年 ) の 時 は 、 1 年 間 で そ の 後 平 成 13
年( 2001 年 )に 希 望 者 が 多 い た め に 期 間 を 半 年 に 短 縮 し 、た く さ ん の 受 講 者 が
参加できるようになりました。
時 間 は 週 一 回 2 時 間 、延 べ 24 回 程 度 で す 。現 在 は 37 期 が 受 講 中 で す 。内 容
は 、健 康 ・介 護 ・郷 土 史 ・地 域 の 文 化 史 ・ 高 齢 者 に 関 係 す る 遺 産 相 続 等 の 法 の
知 識 ・料 理 実 習 ・都 内 公 共 施 設 の 見 学・ 最 後 に 日 帰 り の 修 学 旅 行 と 、多 種 多 様
になっています。
6 ヶ 月 間 の 学 習 行 動 は 、10 人 前 後 の 班 単 位 の 活 動 で 、講 師 は 大 学 の 教 授 、あ
る い は 各 分 野 の 先 生 が 指 導 者 に な っ て お り ま す 。金 銭 的 な 負 担 は 、学 級 費 と し
て 500 円 を 納 め 、 あ と は 税 金 で 賄 わ れ て お り ま す 。
私 も 26 期 で 半 年 間 経 験 し 、 地 元 の 郷 土 史 、 そ れ か ら 普 段 出 来 な い 施 設 見 学
と か 高 齢 者 に 関 わ る 法 律 の 問 題 等 と 色 々 勉 強 に な り ま し た 。現 役 中 は 仕 事 の 忙
し さ で 、自 分 の 子 ど も の 面 倒 す ら 見 ら れ ず 地 域 の 人 々 と は 疎 遠 で し た 。と こ ろ
が シ ル バ ー 大 学 に 入 り 、 半 年 間 で い っ き に 50 人 の 友 達 が 出 来 ま し た 。 私 が 役
を や っ て い る 関 係 も あ り ま す が 、い ず れ に し て も 参 加 し た 人 は 大 勢 の 友 達 を 得
ております。
・26期会の活動(発足前の全体助走活動)
学 習 中 の 活 動 で 感 じ た こ と は 、研 修 中 に も 全 体 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 図 れ
て い な い と 思 い 、始 ま っ て 3 ヶ 月 目 が ち ょ う ど 暑 い 夏 で し た の で 、
「暑気払い」
と 銘 打 ち ま し て 昭 島 市 内 の 懐 石 料 理 店 で 懇 親 会 を 開 催 し ま し た 。 参 加 者 は 14
名 で し た 。 学 習 修 了 直 後 に は 、「 学 習 修 了 記 念 パ ー テ ィ ー 」 と し て 、 帝 国 ホ テ
ル で バ イ キ ン グ を 開 催 致 し ま し た 。こ の と き は 26 名 参 加 し 、26 期 会 が 26 名 と
いうことで、一つの話題にもなりました。
(26期会の発足)
平 成 16 年 12 月 14 日 に 26 期 会 が 正 式 に 発 足 致 し ま し た 。会 則 を 決 め 、全 員
で 6 班 56 名 、役 員 12 名 、年 会 費 1,000 円 、そ し て 私 が 初 代 の 会 長 と な り ま し
た 。今 ま で 5 年 間 活 動 し 、こ れ を 大 別 し て 2 つ に 分 け る こ と が で き ま す 。最 初
の 3 年 間 を「 始 動 期 」と 位 置 づ け 、こ の 間 の 最 初 の 年 は 基 本 路 線 を ひ く た め に
私が代表をやり、1 年で辞任しました。
- 29 -
(第1段階‐始動期)
発 足 当 初 の 結 成 記 念 イ ベ ン ト は 17 年 の 1 月 に 浅 草 で「 粋 も 味 わ う 浅 草 散 歩 」
と い う タ イ ト ル を つ け 、食 べ る だ け で は な く 、江 戸 文 化 や そ の 風 俗 の 絵 を 手 拭
い に し た「 民 芸 手 拭 い 」が 唯 一 そ の 浅 草 の ふ じ 屋 さ ん で 売 っ て お り ま す が 丁 度
そ の 展 覧 会 が 、浅 草 公 会 堂 で 開 催 中 で し た の で 、こ の 民 芸 展 を 見 て そ の 後「 今
半 」で し ゃ ぶ し ゃ ぶ を 会 食 し 、午 後 は 演 芸 ホ ー ル で お 笑 い を 楽 し み ま し た 。参
加 者 も 40 名 で 上 々 の 滑 り 出 し で し た 。
これからの運営について、5 月に全会員にアンケートをとり、会に対する期
待・希 望 を 企 画 に 反 映 さ せ る 資 料 作 り を し た わ け で す 。内 容 は 各 人 の 趣 味・趣
向 、 グ ル メ 嗜 好 ( 和 食 か 洋 食 か )、 あ る い は ど こ へ 行 き た い か 、 お 金 は ど れ く
ら い ま で 出 せ る の か を 聞 き ま し た 。最 終 目 的 は 全 体 活 動 の 活 発 化 で す が 、ま だ
日 が 浅 く 低 調 な グ ル ー プ も あ り ま す の で 、当 面 は 班 活 動 も 平 行 し て 行 う こ と に
し、班活動に 3 年間重点をおき毎月の役員会では班活動の報告をしてもらい、
班相互の刺激を与えながら、まず班の活性化を図りました。
(第2段階‐本格活動期)
第 2 段 階 と し て の 後 半 2 年 間 、 20 年 ・ 21 年 は 、 発 足 当 初 順 調 に 飛 び 立 っ た
26 期 会 で し た が 、3 年 目 の 終 盤 に な る と 、来 年 誰 が 役 員 を や る ん だ 、誰 が 会 長
を や る ん だ と い う こ と で 、い ず こ も 同 じ 秋 の 夕 暮 れ と 申 し ま し ょ う か 、次 期 会
長 の な り 手 が い な く な っ て し ま っ た の で す 。飛 び 立 っ た 飛 行 機 に 機 長 が い な く
なる、大変なことになります。やむなくまた私が請われまして、4 年目から再
登板をしたわけです。
(26期会の特殊性)
26 期 会 は 他 の 公 民 館 を 利 用 し て い る グ ル ー プ と は 異 質 で 、一 般 的 な 利 用 者 は
絵 を 描 く と か 、コ ー ラ ス や ダ ン ス を 楽 し む 、歴 史 を 勉 強 す る 、体 操 で 健 康 を 保
持するなど具体的な趣味を持って活動しておりますので運営の基本には複雑
さ が な い の で は な い か と 思 い ま す 。 と こ ろ が 26 期 会 は 、 学 校 の 同 窓 会 と 同 じ
で 、 趣 味 ・ 価 値 観 が 多 様 で わ ず か 6 ヶ 月 の 同 窓 で す 。 ま た 10 人 単 位 の 班 活 動
で 終 始 し た の で 、他 の 班 と の 交 流 が 殆 ど あ り ま せ ん 、も う 歳 も 歳 、記 憶 力 も 減
退 し 、名 前 も ろ く に 覚 え ず に 卒 業 し て お り ま す 。こ の よ う な と こ ろ に も 全 体 的
な仲間作りの困難性が横たわっていると思います。
(班活動から全体活動に重点を転換)
第 2 段階は本格活動期として本来の全体活動に重点を移すことにしました。
そ れ は 4 年 目 に 入 り ま す と 、本 人 の 健 康 の 問 題 、あ る い は 老 老 介 護 の こ と で 退
会 す る 人 が 出 て 、班 に よ っ て は 班 活 動 が 出 来 な い よ う な 状 況 も 全 体 活 動 に 重 点
を置くようになった要因です。
- 30 -
(イベントへの参加状況)
最近 2 年間の活動状況は別紙のとおりです。
(イベント企画の基本)
と に か く 参 加 し て も ら わ な け れ ば 始 ま ら な い 26 期 会 で す 。 参 加 意 欲 を か き
た て る 垢 抜 け た 魅 力 的 な 企 画 、こ れ を 考 え て や っ て ま い り ま し た 。目 的 は 平 た
く 言 え ば 仲 間 作 り で 、巷 の 同 窓 会 は 年 1 回 程 度 で す が 、先 ほ ど 申 し 上 げ ま し た
よ う に 、希 薄 な 仲 間 意 識 を 濃 く し て い く に は 、イ ベ ン ト 等 を 多 く し 全 体 活 動 に
積極的に参加してもらうことです。
趣 味・嗜 好 は 十 人 十 色 で 、そ れ だ け に バ ラ エ テ ィ に 富 ん だ 企 画 が 重 要 に な っ
て き ま す 。 そ こ で 私 が 実 行 し て い る イ ベ ン ト 企 画 の 基 本 10 の 項 目 を 挙 げ て み
ました。
・個人やグループでは経験しにくい非日常的なものや、夢を満たす企画
・食わず嫌いな世界へのいざない
・業者ではできないオリジナル企画(シルバーパス、割引、無料)
・業者との交渉による料金の値引きあるいは商品の提供(これはなかなか
難しいです)
・高齢者の特権を活用した企画
・旅行等でボケ防止の車中イベント(頭の体操により脳細胞が減らないよ
うに)
・多人数向けあるいは少人数向けの企画
・必ず下見をして価値ある内容に仕上げる。
・ 年 間 7・ 8 回 の 開 催
・参加者に必ずアンケートをとることで、次回以降の企画に活かす。
(主要役員の献身的努力)
これだけの企画を実行することは、役員としては大変です。私も現役時代、
幅 広 い ジ ャ ン ル へ の 興 味 関 心 で 得 た 貴 重 な 体 験 を 活 用 す る と 同 時 に 、常 に ト ッ
プ と し て リ ー ダ ー シ ッ プ が 必 要 で あ る 。そ し て 忘 れ て は な ら な い の は 影 で 支 え
て く れ る 人 た ち の 存 在 で 、車 の 両 輪 で あ る こ と を 自 覚 し 、う ま く 調 和 さ せ な が
らこの事業を運営しております。
・26期会の組織運営上の問題点(消極的な参画意識)
や は り 運 営 し て い く 上 で 色 々 問 題 も あ り ま す 。班 か ら 選 出 さ れ て く る 役 員 は
順 番 で 出 て き ま す し 、仕 方 な し の 役 員 だ か ら 無 断 で 欠 席 す る 、あ る い は 大 事 な
事 が 周 知 さ れ て い な い 、ど う も こ の 辺 が 円 滑 な 運 営 に 支 障 を き た し て い る わ け
で す 。我 々 の 役 員 は 自 治 会 の 役 員 と は 違 い ま す 。自 治 会 の 役 員 は 、大 体 回 覧 板
を ま わ し 、月 掛 け を 徴 収 す れ ば 大 体 の 役 目 は 終 わ る の で す が 、26 期 会 は 仲 間 作
- 31 -
り と い う 使 命 を 持 っ て い ま す 。た だ 順 番 で 出 て く る の で は 、色 々 と 支 障 が 出 て
きます。
(希薄な人間関係)
我 々 は 多 面 的 で 魅 力 的 な イ ベ ン ト を 展 開 し て い ま す が 、そ れ に 対 し て 反 応 が
鈍 い と い い ま す か 、会 費 を 納 め て い れ ば 上 げ 膳 据 え 膳 の 殿 様 気 分 あ る い は 福 祉
施 設 で サ ー ビ ス を 受 け て い る 感 じ な の か 、業 者 の イ ベ ン ト に 参 加 し て い る 感 じ
なのか、われわれの苦労に対して人情とか思いやりが少ない様な気がします。
こ れ が 幹 部 と し て 非 常 に き つ い こ と で す 。先 ほ ど 申 し 上 げ た よ う に 、存 続 を 望
ん で い る が 会 長 の な り 手 が な く 3 年 目 に 解 散 の 危 機 が あ り ま し た 。私 は 常 々 言
っております、
「 世 の 中 す べ て ギ ブ & テ イ ク 」。テ イ ク & テ イ ク で は 絶 対 に 成 功
し ま せ ん 。や は り 自 分 が 受 け た も の に 対 し て 、そ れ を 何 ら か の 形 で 返 し て い く
と、そういうことで共同社会というのは上手いくのだと思います。
(会費の値上げ)
そ れ か ら 会 費 の 問 題 で す が 、現 在 は 年 間 1,000 円 か ら 2,500 円 に な り ま し た 。
12 で 割 れ ば た っ た 208 円 で す 。他 の サ ー ク ル で は 最 低 月 1,000 円 は か か る と 思
い ま す 。参 加 の 形 態 に 多 少 違 い は あ り ま す が 、や は り 208 円 で 質 の 高 い イ ベ ン
トを提供するためには時間も、金もかかるということです。このへんがまた、
ネックの一つだと思います。
・26期会の今後の方向(26期会自体の活動)
今 後 は 、26 期 会 自 体 の 元 気 な 仲 間 作 り を 更 に 推 進 す る と い う こ と で 、班 毎 の
垣根を取り払い全体を意識した活動をすることに意識付けをしていかなくて
は い け な い と 思 い ま す 。そ れ か ら 、歳 も 歳 で す か ら 、こ れ か ら は 高 齢 者 の 健 康
維 持 の 講 座 ・イ ベ ン ト を 多 く し て い こ う と 、来 年 の 1 月 の 総 会 に は 、市 の 介 護
福 祉 課 と 打 合 せ し て お り 、介 護 に 関 わ る 講 座 を 企 画 し て い ま す 。い ず れ に し て
も 新 入 会 員 の い な い 26 期 会 で す か ら 、 あ と は 会 員 の 配 偶 者 ・ 友 達 等 、 シ ル バ
ー 大 学 も 36 期 も あ る の で す か ら 、 そ う い う 人 達 と の 交 流 も 必 要 に な っ て い ま
す 。そ し て 私 達 は 今 年 の 春 、実 施 し た 旅 行 で 会 員 の 友 人 等 で 5 人 の ビ ジ タ ー の
参加を得、地域における仲間作りに一筋の光明が見えたかなと思います。
(関連機関・中央公民館への要望)
最 後 に 中 央 公 民 館 へ の 要 望 で す 。我 々 の 積 極 的 な 活 動 を 推 進 し て い く た め に 、
ど う し て も 公 民 館 が 仲 立 ち を し て 欲 し い と 思 い ま す 。と い う の は 、シ ル バ ー 大
学 の 各 期 修 了 者 の 代 表 者 の 定 期 会 合 を 主 導 し 、会 合 に は 公 民 館 の ト ッ プ が 出 席
して頂き、グループ力を地域還元の促進の啓蒙もしてもらいたいと思います。
中 央 公 民 館 の 設 備 も 一 定 の 配 慮 を し て 欲 し い 。研 修 が 終 わ れ ば 一 般 の サ ー ク ル
と 同 じ だ と 言 わ れ て お り ま す が 、公 民 館 か ら 特 別 な 使 命 を 期 待 さ れ て い る の で
- 32 -
そ の 辺 の 配 慮 を し て 頂 き た い 。公 民 館 が 単 な る 場 所 貸 し に な ら な い よ う に 、そ
の辺を十分に検討していただきたいと思います。
※ 下 記 一 覧 は P 3 1 の( イ ベ ン ト へ の 参 加 状 況 )で あ げ た 別 紙 の 内 容 の 一 部 で す 。
「平成20年イベント一覧」
1
ちょっとオシャレな千鳥ヶ淵お花見ウォーキング
2
‐江戸文化体験シリーズ①‐黒船展と江戸風鈴づくり
3
‐カラマツの美しい‐新緑とグルメの軽井沢散歩の旅
4
‐写真コン入選記念‐フェルメール展と帝国ホテルバイキング
5
パイプオルガンコンサートと浪漫薫る丸の内の散策
6
振り込め詐欺被害に遭わないために
「平成21年イベント一覧」
1
横浜周遊スペシャルフルコース
2
残雪の穂高連峰が迫る新緑薫る上高地散策の旅‐ランチは帝国ホテル
3
‐江戸文化体験シリーズ②‐江戸押絵羽子板づくりと浜離宮散策
‐築地で江戸前グルメ‐
4
真夏の夜は
JAZZ
NIGHT
5
‐世界一巡り‐よみがえる浮世絵展と美しい響きのオルガンコンサート
6
日本美の華‐皇室の名宝展と帝国ホテルバイキング‐抽選でプレゼント!
7
‐3大イルミネーション巡り‐ロマンチックな幻想の世界への誘い
2
事例報告2
「産業振興と公民館~江戸野菜とまちづくり」
広瀬泉(元小金井市公民館貫井南分館職員)
イ
街づくりは、市民活動を通じて
こ の 講 座 を 開 催 す る 当 時 小 金 井 市 は 、街 づ く り の 目 玉 と し て 、駅 前 の 再 開 発
が 議 論 さ れ て い ま し た 。 そ れ か ら 約 4 年 。 総 事 業 費 : 303 億 円 、 市 の 事 業 費 :
130 億 円( 補 助 金 を 除 い た 市 の 負 担 部 分 56 億 円 )と い う 大 変 大 き な お 金 が 使 わ
れ 出 来 上 が っ た 駅 前 に 、み な さ ん は 今 日 駅 か ら 降 り ら れ て ど の よ う な 印 象 を 持
た れ た で し ょ う か 。小 金 井 市 の コ ン セ プ ト「 元 気 で す
萌えるみどりの小金井
市 」に ふ さ わ し い 印 象 を も た れ た で し ょ う か 。パ チ ン コ 屋 さ ん と 消 費 者 金 融 と
居酒屋さんがある他の駅前とあまり変わりばえしない印象だったのではない
でしょうか。
街 の 駅 前 が き れ い に な る こ と は 、そ れ は そ れ で い い こ と だ と は 思 い ま す 。で
も 、建 物 は 古 く な り 滅 び ま す 。自 然 や 、人 は 滅 び ま せ ん 、文 化 や 伝 承 と し て 色 々
な も の が 親 か ら 子 へ 、子 か ら 孫 へ と 伝 わ っ て い く の で は な い で し ょ う か 。ハ ー
ド に 大 き な 3 0 0 億 円 と い う お 金 が 使 わ れ ま し た が 、「 元 気 で 萌 え る み ど り の
- 33 -
小 金 井 市 」 に 沿 っ た 駅 前 再 開 発 が さ れ た の か 疑 問 に 感 じ ま し た 。「 元 気 で 萌 え
る み ど り の 小 金 井 市 」に す る 市 民 の 活 動 を 育 て 、そ う し た 市 民 の 活 動 に よ っ て
街づくりをするということのほうが重要ではないかと感じたのです。
ロ
三島市の市民による街づくり
参 考 に な っ た の は 、 静 岡 県 の 三 島 市 で の 取 組 み で す 。 三 島 市 は 人 口 が 11 万
2000 人 、き ょ う 参 加 を し て い ら っ し ゃ る 市 は 、町 田 な ど の 大 き い 市 は 別 と し て
だ い た い そ の く ら い で は な い で し ょ う か 。富 士 山 の ふ も と に あ っ て 、か つ て の
東 海 道 の 宿 場 町 だ っ た 、非 常 に 湧 水 の 多 い 街 な の で す 。そ う し た 地 域 の 歴 史 的 、
地 理 的 特 性 を 生 か し 三 島 市 は そ の コ ン セ プ ト を 「 せ せ ら ぎ の 街 三 島 」( 現 在 は
「 水 の 都 三 島 」の よ う で す が )と し て い ま す 。そ の 駅 前 は 、昔 か ら の 建 物 も 多
く 駅 の 傍 に は せ せ ら ぎ 館 と い う 小 さ な 情 報 を 提 供 す る 建 物 が あ る だ け の 、い か
にも昔からの街という印象です
三 島 に は 、街 づ く り 、地 域 づ く り の 市 民 活 動 の 伝 統 が あ る の で す 。富 士 山 か
ら の 大 き な 湧 水 が あ る 柿 田 川 も 、実 は 市 民 の 皆 さ ん の ボ ラ ン タ リ ー な 活 動 の 努
力 で き れ い に な り 、多 く の 観 光 客 の 皆 さ ん が 訪 れ る よ う に な り ま し た 。私 も そ
こ の 湧 水 を い た だ き ま し た 。そ し て い ま 三 島 に は 、NPO 法 人 グ ラ ウ ン ド ワ ー ク
三 島 と い う も の が あ り「 地 元・三 島 や 富 士 山 地 域 を 中 心 と し た 地 域 環 境 改 善 事
業 や 環 境 教 育 、 環 境 コ ミ ュ ニ テ ィ ビ ジ ネ ス 、 研 修 ・ セ ミ ナ ー な ど の 40 ヶ 所 以
上 の 多 彩 な プ ロ ジ ェ ク ト を 展 開 し 、ボ ラ ン テ ィ ア・ 市 民 、地 元 企 業 や 行 政 と の
パ ー ト ナ ー シ ッ プ の 下 」に 市 の コ ン セ プ ト「 水 の 都 」を つ く ろ う と 活 動 し て い
ま す 。グ ラ ウ ン ド ワ ー ク 三 島 で は 、枯 れ か か り 、ゴ ミ 捨 て 場 に 近 い 非 常 に 汚 い
川 だ っ た 源 兵 衛 川 を 、夏 の 暑 い 日 な ど は 水 浴 び が で き る ま で の き れ い な 川 へ の
再 生 事 業 を 行 っ て い ま し た 。そ れ を 見 学 に 行 き ま し た 。三 島 市 で は 、こ う い う
市 民 の 活 動 に 市 も お カ ネ を 出 し 、行 政 や 企 業 と パ ー ト ナ ー シ ッ プ を 組 み「 せ せ
らぎの街」を実現しようとしている取組みが行われているのです。
ハ
「江戸野菜で小金井を元気に」
公 民 館 と し て「 元 気 で 萌 え る み ど り の 小 金 井 市 」に 小 金 井 を し た い と 考 え て
い る 市 民 の 方 の お 手 伝 い が で き な い か と 先 ほ ど 申 し 上 げ ま し た 。そ こ で「 都 市
の 緑 地 の 保 全 、都 市 近 郊 農 業 の 再 生 」を 考 え て い る「 江 戸 野 菜 で 東 京 を 元 気 に 」
研究会(のちにNPO法人
ミ ュ ゼ ・ダ グ リ ) に 出 会 っ た の で す 。 か つ て 畑 作
地 帯 だ っ た 、小 金 井 の 歴 史 的 地 理 的 特 性 に ぴ っ た り で 市 の コ ン セ プ ト そ の も の
の 活 動 で す 。講 座 の 第 1 回 で 、東 京 農 工 大 学 の 江 口 先 生 に お 話 し い た だ い た よ
うに「1
都市農業はすごい
2
地産地消が都市を救う
3
持続可能な都
市 農 業 に 育 て よ う 」そ う い う 都 市 農 業 が 生 き て い る 町 に 小 金 井 を 育 て よ う 、と
い う 活 動 で す 。そ の お 手 伝 い を で き る よ う な 講 座 に し よ う と 考 え「 江 戸 野 菜 で
- 34 -
小金井を元気に」と銘打ったのです。
農 業 が 生 き て い る 街 と い う こ と で 横 浜 市 の 舞 浜 の 見 学 を 組 み 入 れ ま し た 。横
浜 に は 都 市 に は 珍 し く 、 農 政 課 が 残 っ て い る と こ ろ で 、 た ぶ ん 当 時 16 人 程 の
職 員 が い た と 思 い ま す 。と り あ え ず そ う い う 取 組 み を 行 っ て い る と こ ろ へ 行 っ
てみたわけです。
江 戸 野 菜 は 、基 本 的 に は 滅 び て い る の で す が 、ま ず 生 産 の 用 に 供 さ な け れ ば
な ら な い( 農 業 者 が 作 り や す い 、流 通 に 乗 り や す い 、食 べ て 美 味 し い 、病 虫 剤
が 少 な い 、 収 穫 が し や す い 、 労 働 が し や す い )、 江 戸 野 菜 の 復 活 の 可 能 性 に つ
い て 江 戸 川 の 農 業 試 験 場 に 見 学 を 兼 ね て お 話 を 伺 い ま し た 。今 の 技 術 を 使 え ば 、
そ う し た 品 種 改 良 は 可 能 で あ る と い う こ と で し た 。食 べ て も ら わ な け れ ば い け
な い わ け で す か ら 、辻 調 理 学 校 の 人 に 来 て い た だ い て 、江 戸 野 菜 が ど う い う 調
理 に 向 い て い る か の お 話 も 伺 い 、関 東 ロ ー ム 層 な の で ダ イ コ ン な ど の 根 も の の
野菜がおいしいということでした。
そ れ を 使 っ て い る 料 理 店 に も 試 食 に 行 き ま し た 。ま た 、実 際 に 農 業 者 の 方 が 、
自分たちの農業の可能性をどうみてどう農業をしていらっしゃるかというこ
と が と り わ け 大 事 で す が 、市 民 の 方 に 土 地 を 提 供 し 、農 地 を 維 持 し て い こ う と
さ れ て い る 地 元 の 高 橋 農 園 に 伺 い お 話 を お 聞 き し ま し た 。農 地 に 関 す る 税 制 が 、
都 市 の 農 業 を 困 難 に し て い る こ と や 畑 づ く り の 大 変 さ を 伺 い ま し た 。( 詳 し い
講座内容は、資料をご覧ください)
ニ
今後の課題
おおむねいまここから始まった講座は 、 3つ の 方向 に発 展 して き てい ま す。
1
都 市 農 業 の 再 生・活 性 化 :こ れ は 、市 の 経 済 課 に 引 き 継 が れ ま し た 。商
工・農 業 振 興 政 策 の 一 環 と し て 今 取 り 組 ま れ て い ま す 。市 内 の 飲 食 店 と タ イ ア
ッ プ し て 、「 お 花 見 弁 当 フ ェ ア 」「 秋 の 小 金 井 衣 食 住 散 歩 」の 中 で「 江 戸 東 京 野
菜 を 味 わ う 」な ど の 取 組 み が 商 工 会 、J A 、市 民 組 織 で あ る N P O 法 人
ミュ
ゼ ・ダ グ リ な ど が 共 催 で 行 わ れ て い ま す 。 こ れ か ら の 課 題 は 、 農 家 が ど う 取 り
組みの力になるにはどうしたらいいかということです。
2
公 民 館 の 活 動 を 通 じ て N P O 法 人「 ミ ュ ゼ ・ダ グ リ 」が で き ま し た 。小
金 井 に あ る 江 戸 東 京 た て も の 園 、農 工 大 科 学 博 物 館 、学 芸 大 学 間 教 育 実 践 施 設
な ど と 連 携 し て 色 々 な 活 動 を し て い ま す 。こ こ を 大 き く 育 て る 活 動 に 公 民 館 と
してどう援助できるかです。
3
今 公 民 館 で 取 り 組 ん で い る「 江 戸 野 菜 に 親 し も う 」と い う 講 座 で す 。そ
こでは市民に一人でも多く農作業や収穫の喜びなどを味わって頂きたいと取
り 組 ま れ て い ま す 。学 芸 大 学 の 畑 を 借 り 、種 か ら 育 て 、調 理 し て 胃 袋 に 収 め る
ま で の 活 動 を し て い ま す 。地 味 に 見 え ま す が 、こ の 講 座 が 1 、2 の 課 題 の 土 台
- 35 -
作 り に も な る と 思 い ま す 。一 人 で も 多 く の 参 加 者 と 、持 続 的 な 取 り 組 み が 必 要
とされています。
こ う し た 課 題 が 一 つ ひ と つ ク リ ア さ れ る こ と に よ り 、市 民 に よ る 市 民 自 身 の
街づくりがなされ、街は成長し、市民も成長していくと思います。
こ の 講 座 を 通 じ 、公 民 館 は 、あ く ま で も 、市 民 の も の で あ り 、そ れ を 実 現 す
る た め に 職 員 と し て 工 夫 を し 、様 々 な 困 難 を 市 民 と と も に 乗 り 越 え 冒 険 し て い
くことが必要だということを感じました。
3
助言者のコメント
朝岡幸彦さん(東京農工大学教授)
・シルバー大学などの高齢化事業は仲間づくりの場
・NPOや地域を見直してみるのは公民館の役割でもある
・公民館の部屋の利用については、これからは地域丸ごと公民館的考えで
・公民館だけで活動するのをやめる
・公民館は入口➙地域に広げる
・農家の人たちとの交流から学ぶ
・起業家を支える
・これからの公民館は仕事関係の講座もやってもいいのでは
- 36 -
4
「仲間づくりで元気な街」について発表
(1)必殺仕分け連:私たちの班では、今の公民館がどのようなことをやってい
る か 仕 分 け し て み ま し た 。ハ ー ド 関 係 は 気 軽 に 出 入 り が で き る 、保 育 が あ る 、
利 用 料 が 安 い な ど で す 。良 く な い の は 施 設 が 古 い 、夜 中 に 開 い て い な い で す 。
ソフト関係は様々な活動があり、講座が開設されています。情報が市民に伝
わりやすい仕組みができています。ただ若者が少ない、気軽に入れないとこ
ろがあります。職員関係はプラスの方は、市民と職員が同等の立場、募集の
情報が載るがあります。結論はハード面で地域の人に関われるように、場づ
くりが必要です。ソフト面では地域の人への呼びかけが必要と思います。
( 2 ) け や き 班:私 ど も は シ ョ ッ キ ン グ な テ ー マ に し ま し た 。公 民 館 が 悲 鳴 を 上
げている、市民に公民館は苦しんでいることを分かって欲しいということで
す。小金井市では企画実行委員会というグループがあって、市民と協働して
講座が出来上がっています。建物が老朽化しています。図書館にはみえるの
だけれど、公民館には足を運んでくれません。どうやって公民館に人を呼び
込むか、それが悲鳴を上げている状況です。職員の方は大変親切でサポート
体制が充実しています。いろんな講座が選べ、自己充実を図っています。公
民 館 そ の も の は 良 い で す 。し か し ハ ー ド の 貧 弱 さ を ど う 解 決 す る か 課 題 で す 。
また、利用者側の問題点として、自主的活動に踏み出せない、自己満足にな
っている部分があります。市によって違いますが、部屋取りも問題です。ま
た部屋そのものの使用料をいただいているところもあります。
( 3 ) 末 広 が り 班 : 自 分 と 地 域 の 再 発 見 と い う こ と で 、「 普 段 着 で 元 気 な 町 を 作
る 公 民 館 」と い う キ ャ ッ チ フ レ ー ズ に し ま し た 。施 設 、講 座 、自 主 サ ー ク ル 、
職員のことが出されました。悪い要素では古い施設であることです。良い要
素では講座が仕組まれていて、地元で気楽に行ける施設であることです。反
面、他の方に依存して自主グループができない面があります。特徴として保
育室も設けられているので、お子さん連れも利用できます。NPOや大学と
の 連 携 も 進 め な け れ ば な り ま せ ん 。一 方 職 員 の 質 の 低 下 が 重 大 で す 。そ れ と 、
縦割り行政の問題が出ています。
(4) ぼやき班:キャッチフレーズはオーソドックスに「公民館は地域の拠点」
です。大事なのは目標を達成する手段になることではないでしょうか。生き
がいにつながるということです。職員・仲間づくり・情報が大きな3つの要
素になります。設備に多くの問題があります。職員の問題では話しやすい、
事務室に入りやすいことです。講座では話のうまい先生、多種多様な講座が
ある、年齢の離れた人も気楽に交流できることです。情報の面では良い情報
が得られやすいです。行政の情報などいろんな資料が整っています。まつり
- 37 -
に参加するといろいろなメリットがあります。設備面では広い駐車場があり
ます。それからタダで利用ができます。市内の全公民館が使え、10時まで
使えます。こういうものが公民館活動を通じて、地域の活性化につながると
思 い ま す 。悪 い 要 素 と し て 、公 民 館 の 存 在 意 義 の P R が 足 ら な い と 思 い ま す 。
区部には公民館がないので、公民館の存在を知らない市民がいます。
( 5 ) ス マ イ ル 班 : 第 6 班 で は ハ ー ド ・ ソ フ ト ・ ア ク セ ス ・情 報 ・ 職 員 に 分 け ま
した。市によって条件が異なるので、両論併記になりました。無料である、
誰でも印刷ができるがあります。アクセスでいえば不便なところにあるもの
もあるし、駅前のものもあります。いろんな人の出入りがあってよいという
人もあれば、いろんな人がいるからちょっとという人もいます。チラシが多
くあってよいという人もあれば、多すぎるという人もいます。ベースとなる
ところとしては、職員が相談にのってくれて、支援してくれるのが下支えに
な っ て い る と 思 い ま す 。そ う い う 共 通 認 識 の 上 で 副 題 は「 皆 で 支 え る 公 民 館 」
でまとまりました。
( 6 ) 初 心 に 帰 っ て 班:公 民 館 研 究 大 会 に 、大 学 生 の 参 加 者 が い な い と い う と こ
ろ か ら 始 め た い と 思 い ま す 。公 民 館 利 用 者 の 年 齢 が 高 す ぎ る こ と が 施 設 面 に 反
映 し て い ま す 。公 民 館 は 公 共 施 設 で あ る こ と が 大 切 で す 。い ろ ん な 活 動 が 中 で
や り や す く な っ て い る と い う こ と が 出 ま し た 。い ろ ん な 方 を 受 け 入 れ る 、誰 で
も 参 加 し や す い 素 晴 ら し い 形 に な っ て い る と 思 い ま す 。反 面 、も う ち ょ っ と 広
い ホ ー ル が 欲 し い 、バ リ ア フ リ ー に な っ て い な い 、階 段 が 多 す ぎ る と い う の が
如 実 に 表 れ て い る と 思 い ま す 。さ ら に 交 通 の ア ク セ ス が 悪 い 例 も あ り ま す 。マ
イ ナ ス 面 を な く し て い く と 住 み や す い 街 が 出 て き ま す 。い ろ ん な 人 が 利 用 し て
い ま す け れ ど 大 学 生 は い ま せ ん 。公 民 館 は 若 い 人 た ち に ど う 思 わ れ て い る か が
問 題 で す 。い ろ ん な 人 た ち が 、い ろ ん な 楽 し み を や っ て い ま す 。一 方 で そ の 楽
し み が 、参 加 し て い る 人 た ち 中 心 に な り す ぎ て い て 、自 分 た ち の や り た い こ と
し か や っ て い な い 形 が 少 し 出 て き て い ま す 。我 々 の 班 は 初 心 に 帰 っ て 、公 民 館
の 在 り 方 は 誰 で も 参 加 で き 、思 い を な し 遂 げ ら れ る も の に な っ た ら よ い と こ の
二つを対比しました。
(7)それ行け公民館班:タイトルは「何時でも、誰でも公民館」です。今は
これになっていないので、ソフト・施設・職員に分けて論議しました。楽し
い講座が必要ではないかということと、励ましあって講座に行きましょうよ
ということです。職員に挨拶しない人がいるのだけれど、市民が笑顔で挨拶
し て い れ ば 周 り が な ご み ま す 。ネ ッ ト ワ ー ク を 形 成 す る と い う の も あ り ま す 。
全体的な市の中で講座をして、それを地区の公民館に配信するという方法も
あります。施設面では備品がある、一人でも行きやすい、一人でも居られる
- 38 -
場所がある、お料理室があるということです。常勤の職員がいるというのが
条件になってくると思います。住民が職員にアイデアを提示してくる、声を
かけられる間柄になると発展していくのではないでしょうか。住民がつなぎ
役をすることで連携すると思います。悪い要素はいろいろあるのですけど、
有料であることです。施設面ではエレベーターがない、古いことです。公民
館の標識がなく、どこに公民館があるか分からないというのがあります。コ
ンピューターが無いとか、楽器が少ない、自転車置き場が無いとか、隣の部
屋から声が聞こえてくるとか、古い施設が多くなっているんだろうと思いま
す。職員の悪いところは、職員がすぐ異動してしまうことです。職員の援助
が足りなかったり、住民との関係が希薄なことです。公民館の情報発信力が
無く、公民館担当になったら、自分の公民館を愛するならば、どんどん市民
に情報を出して係る必要があります。
(8)末広がり班:施設・職員・利用者・運営・実りについて、よい面と悪い面
を 出 し 合 い ま し た 。基 本 的 な こ と で 公 民 館 は み ん な の 税 金 で 賄 わ れ る の で 、無
料 で あ る の が あ り が た い と 思 い ま す 。公 民 館 で は 皆 が 平 等 で あ り 、自 由 に 自 分
の 意 見 が 述 べ ら れ る 場 で す 。そ れ が 公 民 館 の 基 本 的 に 良 い と こ ろ で は な い か と
思 い ま す 。職 員 に つ い て は 社 会 教 育 の 専 門 職 が い て 、絶 え ず 助 言・支 援 を や っ
て い た だ け る 、単 な る 部 屋 貸 し だ け で は な い こ と が あ り が た い と 思 い ま す 。反
対 に 、職 員 の 指 導 力 不 足 や 、異 動 が あ っ て 応 対 が 不 親 切 で あ る こ と に も つ な が
り ま す 。で も 職 員 が い る こ と で 、挨 拶・窓 口・人 間 的 な 関 係 が 温 か い も の に な
り ま す 。設 備 は 身 近 に あ る こ と 、ロ ビ ー・冷 暖 房 完 備・保 育 室 が あ る の が 利 点
で 、反 対 が バ リ ア フ リ ー 化 さ れ て い な い 、近 く に な い 、学 習 室 の 少 な さ 、会 場
確 保 の 困 難 さ で し た 。利 用 者 の 側 か ら 言 い ま す と い ろ ん な 世 代 が 集 ま っ て 、仲
間 づ く り し や す い 反 面 、自 分 の サ ー ク ル さ え 良 け れ ば よ い と い う 個 人 主 義 的 考
え が 多 く て 、ロ ビ ー に ホ ー ム レ ス が 常 駐 し て い る 公 民 館 が あ る そ う で す 。健 康
で 仲 間 づ く り が で き て 、学 び た い こ と を 学 び 、実 り を 地 域 に 持 ち 帰 る こ と が で
き れ ば あ り が た い な 、現 実 に は 反 対 多 い の で す が 、現 実 に 向 け て 皆 が 協 力 で き
ればよいと思います。
(9)泉グループ:思いや意見が、泉のように意見が出て泉グループでまとめま
し た 。施 設 の 中 で も 、交 流 が 広 が っ て い る と い う こ と が 良 い と こ ろ で は な い か
とこんなに出てきました。親子でも参加できる、世代を超えて友達ができる、
学 校 と の 交 流 も あ り ま す 。い ろ ん な 人 が い る こ と に よ っ て 、人 間 関 係 が 難 し い
こ と も 出 て き ま す が 、そ れ を 乗 り 越 え る の は 学 習 と 思 い ま す 。公 民 館 は 無 料 の
原 則 が 支 え に な っ て い ま す 。市 民 の 参 加 の 仕 方 が 大 き な テ ー マ に な っ て い ま す 。
具 体 的 に は 男 性 対 象 の 講 座 が な い こ と で す 。職 員 が い る と 頼 も し い し 、公 民 館
- 39 -
がアンテナ機能を持った接着剤の存在になることができるのではないでしょ
う か 。ど こ も お 金 が な い の が 現 状 で す が 、市 制 を 監 視 す る 市 民 を 育 て る 学 び は
古くて新しいキーワードです。
5
「仲間を作るグッドアイデア」について発表
( 1 ) 元 祖 末 広 が り 班:個 人 で で き る こ と は 、一 人 ひ と り が 呼 ん で く れ ば 良 い と
思 い ま す 。サ ー ク ル を 紹 介 す る 場 は い っ ぱ い あ り ま す 。ま つ り や 親 子 講 座 の 場
を や っ て い け ば 良 い と 思 い ま す 。ふ る さ と 交 流 会 を 開 く こ と で す 。ま た 、職 員
を皆が教育することが重要です。
(2) それ行け公 民館班: 職員・ソ フト・施 設 に分けて、 新しい講 座を考え る 、
市 の 財 政 仕 分 け を す る 、生 活 課 題 を 取 り 上 げ る 野 外 研 修 を す る こ と 、挨 拶 を す
る 、専 門 職 を 配 置 す る こ と で す 。時 間 を か け て 市 民 が 企 画 し 職 員 に 提 案 し た ら
どうでしょうか。
( 3 )初 心 に 帰 っ て 班:一 緒 に 食 べ る の が 一 番 だ と 思 い ま す 。高 齢 者 の 場 合 な ど 、
自 己 主 張 を 控 え め に し て 友 達 を 作 る と 良 い で す 。複 合 施 設 に は メ リ ッ ト と デ メ
リットがあると思います。
( 4 ) ス マ イ ル 班:工 夫 で 出 来 る も の と お 金 が か か る も の に 分 け ま し た 。講 座 は
工夫でできます。小・中・高学生の参加や若者の参加により活性化します。
専門職を育てることが大事です。飲みニケーションも大切です。
( 5 ) 本 家 末 広 が り 班 :学 び あ い 、高 め あ う た め に は 、イ ン タ ー ネ ッ ト で 発 信 す
ることです人が来るように。利用者グループのリーダー会を開いたらよいの
ではないですか。連続講座や、長い講座・イベント・学校連携が大切です。
- 40 -
(6) がんばれ公民館班:自治会にPRする、イベントの反省会での話し合い・
職員が利用者同士を紹介する・情報提供による仲間づくりが大切です。
(7)2班:イベント、フリーマーケット、さまざまな団体とのコラボレーショ
ン・施設訪問・お見合いパーティーをやったらよいと思う。スーパーなどに
PRしてもらったり、人材バンクを作ったり、転入者向け講座を開催しては
どうでしょうか。職員が地域の中に入っていくのがでました。
(8)ぼやき班:地域で活躍しましょう。公民館で出来ることだけでなく、外へ
出 て い く こ と が 大 切 で す 。サ ー ク ル の 斡 旋 や 、小・中 学 校 と の 提 携 、ま つ り に
子供を呼べば、親も参加します。
(9)泉グループ:情報発信・交流するために、市民中心での企画をすることが
必要です。キャッチフレーズは「目覚めよ職員、がんばれ市民」です。
6
感想
(1)野中事例発表者:各グループ成果が出たと思います。研究大会に各市のト
ップの館長が来ているかどうかで、熱心度が分かります。
(2)広瀬事例発表者:集まること、話すこと、見ることは大事です。来年調布
の職員が参加できるようお願いしたいです。
(3)朝岡助言者:疲れたけれど、充実したと思います。もっと公民館でワーク
ショップをやったほうが良いです。もっと要素を取り入れ外に出ていくこと
が大切です。公民館は理念のとおり育ってはいません。予算が削られ素晴ら
しいとだけは言えません。良いコミュニティセンターは下手な公民館より素
晴らしい、公民館でできない活動をしています。もっと公民館はできるはず
です。仲間づくりは元気な街づくりのために大事なことです。
- 41 -
第4課題別集会
子育て
子育て世代への
世代へのアプローチ
へのアプローチ
~公民館に
公民館にできること~
できること~
討議内容
子ども家庭支援センター、児童館など、子育て世代に対する支援が多岐にわ
たって行われています。その中で、公民館が子育て世代にできることは何でしょうか。
①公民館の食育をテーマにした講座、②保育室を利用するグループ活動からの広がり、
この2点の事例発表を通して、子育て先輩との関わり、父親の関わり、学習者が地域の
子育ての担い手として地域に関わっていくことについて考えていきたいと思います。
助 言 者
中
澤
智
恵(東京学芸大学准教授)
事例報告者
石
川
義
則(福生市公民館松林分館職員)
長谷部
豊
子(国分寺市民)
司 会 者
佐
藤
企画委員
宮
内
恵
利(昭島市公民館運営審議会委員)
大
橋
健
治(町田市公民館運営審議会委員)
萬
福
大
西
百合子(小金井市公民館東分館企画実行委員)
椎
野
稔(小金井市公民館東分館企画実行委員)
竹
野
藤
緑(国分寺市立もとまち公民館職員)
薫(東村山市富士見公民館職員)
悦
司(小金井市公民館東分館企画実行委員)
美智子(小金井市公民館東分館企画実行委員)
堀
田
勝
弘(小金井市公民館東分館企画実行委員)
吉
田
和
子(小金井市公民館東分館企画実行委員)
- 42 -
1
はじめに(
はじめに(司会)
司会)
本日は、
「子育て世代へのアプローチ~公民館にできること~」というテーマで、公民
館が子育て世代にできることを皆さんと考えていきたいと思います。
午前中は、本日の助言者、東京学芸大学准教授の中澤智恵さんによる講義、事例報告
として、福生市公民館松林分館職員の石川さんから講座の実践例を、国分寺市の市民の
長谷部さんからは、保育室を利用するグループ活動からの広がりについてお話をいただ
きます。午後は、助言者に事例報告を受けての課題整理をしていただき、グループ討議
を行いたいと思います。
2
開会の
開会の挨拶
子育てについては、子ども家庭支援センターや児童館など、子育て世代に対する支援
が多岐にわたり行われています。その中で公民館が子育て世代にできるものは何か、に
ついて、本年4月から9か月にわたり検討を行ってきました。
本日、助言者には東京学芸大学准教授の中澤智恵先生をお迎えして、当会の課題をど
うアプローチするか助言をいただき、研究課題の報告には福生市公民館松林分館の職員
石川さんから、約5か月にわたり行われた講座について企画運営、評価されました講座
について報告をいただきます。次に、元国分寺市立公民館運営審議会委員の長谷部豊子
さんに、保育室を利用するグループ活動からの広がり、事例発表を通して、子育て先輩
としてのかかわり、父親とのかかわり、学習者が地域の子育ての担い手として地域にか
かわっていくことについて考えたいと思います
3
助言者講義
中澤智恵(
中澤智恵(東京学芸大学准教授)
東京学芸大学准教授)
子育て世代へのアプローチ、公民館にできること、というテーマで議論を深めていた
だいて、材料となる国の施策や議論のポイントをご提案して午後につなげていければと
思います
子育て支援のこれまでとこれからということで、大きくポイントを3つにわけてお話
します。
1つめは、子育て支援がなぜ必要とされているのか、について振り返りたいと思いま
す。2つめは、子育て支援にかかわる国の施策動向について、とりわけ社会教育にかか
わる観点でどういう流れで進んでいるのかについておさらいをしていきます。3つめは、
公民館に求められること、どういうことが必要とされているのかについて提示していき
ます。
- 43 -
(1)子育て
子育て支援がなぜ
支援がなぜ必要
がなぜ必要とされているのか
必要とされているのか
子育てを取り巻く環境の変化について、色々な要素を列挙しました。①家族関係の変
化、②少子化、③社会全般の変化、これは、都市化や核家族化、ライフスタイルの変化
によって、生活が変わり、社会が変わり、子どもと大人の関係が変わり、地域との関係
が変わっていく。④地域の人間関係の希薄化。こうした子育て環境の変化によって子育
てが孤立化していく中、母親のみに子育ての責任が集中している状況がなかなか解決で
きないという現状があります。
次に性別役割分業の見直しについて。1975年の国際婦人年を皮切りに、男女平等
が行政的に取り組まれるようになりました。しかし、男性も女性も子育てと仕事とを両
立していくことが難しい。女性が子育てしたい仕事と両立したい、一方男性も子育てや
家庭に目を向け始めています。従来の男性が仕事をして、女性は家庭という観点はゆら
いでいます。夫と母の役割分担だけでなく、家庭、子育てについて、社会全体で見直し
ていくことが必要なのです。
少子化対策としては、子育て支援を充実させて、子どもを産んでもらわなくてはいけ
ないという社会的なニーズがあります。社会の変化に身を任すのではなく、批判的に生
活を見直すことが大事になってきます。少子化は危機だ、といわれているが少子化で何
が悪いのかを問い直す、少子化を理由にしない視点も提起したいと思います。
(2)子育て
子育て支援にかかわる
支援にかかわる国
にかかわる国の施策動向
従来の社会教育における「家庭教育」学習の支援について。家庭教育とは、親または
これに準ずる者が、子に対して行う教育のことを言います。1971年の社会教育審議
会答申にもとづいて、1974年に同建議が出されました。生涯教育の始期にあたる乳
幼児期における家庭教育の重要性を強調し、従来未開拓な分野とされていたこの期の家
庭教育に関する親の学習内容を明確にすることに重点を置いたものとして示されました。
70年代から公民館保育室が各地で作られるようになり、学習を支援していくために保
育室が広がっていきました。また、自主的なグループを作って学んでいくことが展開さ
れました。社会教育における家庭教育として、保育室活動、子育てサークル支援が大き
な柱でありました。
(3)子育て
子育て支援にかかわる
支援にかかわる国
にかかわる国の施策動向
-少子化対策として
少子化対策として
1990年に1.57ショック、出生率が下がったという発表があり、少子化を何と
かしなくてはいけないという議論になりました。人口が減少すると、働く人が少なくな
る、高齢者にとっては支える人が少なくなる、 色々なことが社会にとって大変だという
認識が広がりました。1994年のエンゼルプラン、1999年の新エンゼルプランで
は、学習よりは福祉政策の観点で計画が立てられました。
- 44 -
2000年の中央教育審議会「少子化と教育について(報告)」では、少子化が教育に
及ぼす影響が示されました。①子ども同士の切磋琢磨の機会が減少する②親の子どもに
対する過保護、過干渉を招きやすくする③子育てについての経験や知恵の伝承・共有が
困難になる④学校や地域において一定規模の集団を前提とした教育活動やその他の活動
が成立しにくくなる⑤良い意味での競争心が希薄になる、が報告されています。200
3年には次世代育成支援対策推進法、少子化社会対策基本法が定められ、企業も子育て
と両立できる労働環境を推進することが決められて国全体として次世代を育成していく
取り組みが推進されました。2004年には少子化社会対策大綱が策定され、2005
年から5年間の実施計画が出されました。ここでは、①固定的性別役割分業の見直し②
男性を含めた雇用環境の整備
定時に帰って来ることができる③子ども、若者の社会性
や自立の促進④地域における子育て支援⑤生活環境の整備、などが指摘されています。
(4)子育て
子育て支援に
支援に関わる国
わる国の施策動向
-「家庭
-「家庭の
家庭の教育力」
教育力」への介入
への介入
家庭の教育力が低下しているので何とかしなくてはいけない、という議論がされてい
ます。1998年の中央教育審議会答申では、過保護や過干渉、育児不安の広がりやし
つけへの自信の喪失など、今日の家庭における教育の問題は座視できない状況になって
いるため、家庭教育の在り方について多くの提言が行われました。1999年生涯学習
審議会答申では、家庭の教育力の充実に取り組む必要性を指摘しています。2000年
生涯学習審議会「家庭の教育力の充実等のための社会教育行政の体制について(報告)」
では、家庭教育に関する規定が入りました。2001年社会教育法改正で家庭教育に関
する規定がなされ、2006年教育基本法改正では、法律のなかで、家庭教育が位置づ
けられました。2008年の中央教育審議会「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方
策について―知の循環型社会の構築を目指して(答申)」では、社会全体の教育力の向上、
そのためには身近な地域における家庭教育支援基盤の形成することが大事だとされまし
た。
(5)子育て
子育て支援にかかわる
支援にかかわる国
にかかわる国の施策動向
-「家庭教育支援
-「家庭教育支援」
家庭教育支援」
2002年の家庭教育支援の充実についての懇談会「『社会の宝』として子どもを育て
よう!」が報告されました。従来の社会教育で行われていたものと比較すると①親だけ
でなく、社会全体による家庭教育の支援②地域で親子の学びや育ちを支えていく③家庭、
学校、地域、職場、行政が一体となった取組みの推進④公民館の家庭教育学習の拠点と
しての役割は極めて重要、とされました。
公民館の役割としては、①子育てサポーターの養成②子育てネットワークを広げてい
く③「子育てサロン」型の学習形態の展開への支援④子育て情報の発信が必要、とされ
ています。
- 45 -
2004年には、家庭教育支援における行政と子育て支援団体との連携についての調査
研究委員会報告がだされました。
「子育てサークルとは」として以下のような報告がされ
ています。
「子育てサークルとは、子育てに不安と悩みを持つ親同士の危機意識から、子育て中
の親同士が相互に支えあうことを目的に成立しているグループで、グループでの子育て
を模索し、話をしたり学習をしたり親子遊びなどをする活動を行っている」
2004年には、家庭教育支援における行政の子育て支援団体との連携についての調
査研究委員会報告がだされました。ここでは「子育てネットワーク」について説明がさ
れています。
「子育てネットワークとは、広く子育て中の親を支援することを目的として、子育て中
の親、子育てを終えた経験者、子育てサークルのリーダー、子育てに関する専門家など
が集まり、子育て中の親やサークルなどを結ぶ役割を果たしている。学習・啓発、託児
支援、子育て相談、情報提供、交流などを広域的に行う。
「わが子の子育て」というより
も、地域の子育て全体を視野に入れた活動を行っている。」
子育てネットワークの役割・意義して以下の5点が出されています。①個々の子育て
サークルの活動が継続できるよう、個々の子育てサークルやそのリーダーをつなぎ支え
る②子育てサークルのリーダーを養成する、運営について支えていく③子育てサークル
に入っていない親など、孤立した親を支える④子育てだけでなく、親のニーズにあった
学習機会を提供する役割を果たしている。⑤親同士はもちろん、さまざまな地域の人々
や団体とも結びついて、地域の問題を解決する能力を高め、子育てしやすいまちづくり
や広く地域づくりにもつながっているといわれる。
2004年家庭教育支援における行政の子育て支援団体との連携についての調査研究
委員会報告では、行政と子育支援団体との連携のメリットについて調査報告がされまし
た。
(6)公民館に
公民館に求められること
-家庭教育支援施策の
家庭教育支援施策の充実・
充実・推進
子育て支援にかかわる学習機会(講座・学級+サロン型学習形態)を充実ささせると
ともに、子育てサークル・子育てネットワークへの支援が重要となっています。そのな
かで、公民館に求められることして5点提示いたします。
①社会教育の限定化に抗する。
社会教育法が改正、教育基本法が改正されるなかで、社会教育が学校をサポートする
場、家庭教育をサポートする場所というように限定化されることについて考えていきま
す。社会教育とは、公民館とは、について、そもそも原点に立ち戻って考える、すべて
の人が学べる場としてに立ち戻ることが必要です。
②子育てをめぐる状況への批判的視点を持って問い直す
- 46 -
なぜ子育て支援が必要なのかを改めて問う必要があります。どういう問題状況がある
のかについて、地域地域で見直していきます。少子化「対策」のために必要なのか、そ
もそも必要なのか。家庭の教育力や私事への介入について、本来、 私事のことに公共が
介入していくことについて、危機感を失ってはいけなません。家庭のことを地域で、社
会で次世代育成していく観点が必要です。
③社会の側の、子どもへのまなざし再考
電車の中で子どもが騒いでいるとき、なぜ周りの人が関知しないのか。この社会が、
大人中心となっていないか、自分の生活や社会の在り方を見直す必要があります。
④性別役割分業の見直しの視点
男の生き方、女の生き方を見直します。子育てをしている社会全体、自分の関わりに
ついて。
⑤講座の在り方
保育室の在り方については、アンケート結果を配布しましたのでご覧下さい。各市の
講座について全公民館の情報ではありませんが、貴重な資料となっています。
サークル活動につながる仲間づくりの視点も大事です。親のニーズに合ったもの、と
同時に親のニーズに流されない、潜在的な欲求に目を向けていく必要があります。
4
事例報告1
事例報告1
公民館主催講座”
公民館主催講座”食育ってなんだろう
食育ってなんだろう”
ってなんだろう”の講座実践をとおして
講座実践をとおして
石川義則(
石川義則(福生市公民館松林分館職員)
福生市公民館松林分館職員)
講座のねらいについて
この講座を企画するにあたり、次のような講座のねらいを設定いたしました。
1つ目は「人との関係の中で学ぶことの大切さを認識する」です。
現代社会では、地縁血縁などの人間関係が希薄化し、世代間や同世代間での子育ての
交流や智恵の伝承が難しくなっていると考えられます。他者との連携がとりにくく、身
近に悩みを相談できる相手がいない中、いかに同じ悩みを抱える者同士が集まり、話し
合いを通して解決していくことができる人間関係を築いていけるか、を講座の重点目標
としました。この講座では、自分の意思を伝え、相手の発言に耳を傾けることを通して、
お互いにこの仲間ならば大丈夫、という安心感や信頼感を実感できる関係を築いていく
ことを目指しました。
2つ目は、
「自己をとりまく生活環境を客観的にとらえ、食べること生きることを暮ら
しの足元を見つめ、みずから考え行動できる力をつけていく」です。
モノと情報が氾濫する豊かで便利な消費社会の中で、日本の食の基本が崩れつつあ
ります。この講座では食にまつわる諸問題を取り上げ、現代の暮らしや子育てに求め
られる食育の視点を考えていきました。単にお金を払ってモノやサービスを手にする
だけではなく、自己をとりまく生活環境を客観的にとらえ、食べること、生きること
- 47 -
を暮らしの足元を見つめながら、自らの価値観や行動によって主体的に社会を形成し
ていくことについて考え、行動できる力をつけることを目指しました。
3つ目は、「子どもを預けることを学習にしていく」です。
子どもへの関わり方は子どもを育てる親の価値観が大きく影響します。第三者の大人
が子どもを見ることをとおして、子どもを多面的にとらえる。子どもは一人の人格のあ
る人間であることを再認識し、子どもの成長のためにどう関わっていったらいいのかに
ついて考えあう機会としました。
考察①「人との関係の中で学ぶ」について
この講座では、日常の出来事や子育てについての悩みなどを自由に話し合える、安心
感や信頼感を実感できる人間関係を築くことを目指しました。
まず、講座の中で自己紹介を繰り返し行うなど、参加者自身が自らを語るとともに、
相手の話を受け止めることができるような雰囲気作りを行いました。
自分の考えや思いは、言葉にして外に出さなければ相手に伝わりません。意見を述べ
たり、感想文を書くなど、思いを言葉にしていくことで、自らの考えが整理されていき
ます。
「私」が日々抱えている心配事は、実はみんなも同じようなことを思っていること
に気がつく。この気づきは、話し合いの中で自分の意見が出せる、また相手の話に耳を
傾けられるという安心感がある仲間関係がベースとなっているから出されたものだと考
えます。
個人的な興味関心事項について情報交換を行うならば、子育て期の母親が集まりやす
い公園や児童館に足を運ぶことで、その要求は満たされるかもしれません。しかし、必
ずしも同じ興味関心を持った者同士が集まるとはかぎらず、そのメンバーも流動的であ
ったりします。
「子育てというのは、一人で悩むのではなく、みんなの中で発言をして情
報交換をして悩みを解決していこう」という意見が講座の最後に出されました。約半年
間の講座を通して、仲間の中で話すことや、人との関係の中で学ぶことが大切であると
いう認識が広まっていきました。講座の初期の段階から、講座を終えた後は保育室を開
放し、参加者が自由に食事をとったり話し合いができるようにしました。最初は、数人
が食事をとる程度で利用していたのが、次第に人数が増えていき、保育室を利用する時
間も長くなっていきました。ここで、この午後の集まりに積極的に参加しようという気
持ちが強い参加者ほど、講座や感想文において積極的に意見を述べていることが見受け
られました。
「話すことは自分の考えを見つけるきっかけ」だと先に述べましたが、仲間
の中で自らの考えを伝えていった人ほど、話し合いの中から得た気づきが行動へと変わ
っていくことがわかりました。
次に、考察②「自己をとりまく生活環境を客観的にとらえ、食べること生きることを
- 48 -
暮らしの足元を見つめ、みずから考え行動できる力をつけていく」についてです。保育
者との話し合いのなかでは、食がうまくいっている母親は、子育てに自信を持っている
人が多いという意見が出された。食は子どもの育ちに直結するところなので、子どもが
食べてくれないと、そのこと自体が悩みの種となる。こうしたことから、参加者自身が、
食に自信を持つことや食生活が安定できること、を講座の柱とました。
食育は、心の自立や生活の自立、社会への自立といった生きる力を育むものであり、
子育ての原点でもあります。家庭や地域の食には、世代をこえた食のコミュニケーショ
ンがあり、そこに住む人たちの暮らし方や心の支えがあります。さまざまな食卓空間で
それぞれの気持ちを共有していくことで、食べ物が身体を育むと同時に、食の空間が子
どもの心を育んでいきます。
バラバラに食事をとることが容易な現代だからこそ、食卓に求心力が求められている
のだといいます。これについては、「食育とは単に栄養素やカロリー計算だけではなく、
食べ方、暮らし方、感謝の気持ち、人としての生き方など、生きることの原点を学んだ」
という意見がだされました。
この食育の講座では、参加者自身が食についての基準を獲得するとともに、ともに食
育を学ぶ仲間同士が、食の現状や課題に向き合い、意見交換をしながら考えを深めてい
くことを目指しました。しかしここで学んだことを、福生という地域にひきつけて考察
するといった検証はされていません。この講座で学んだことをいかに広めていくか、地
域で活用していくかについては、この講座を終えてできたサークルの支援をとおして継
続して考えていきたい。
最後に考察③「子どもをあずけることを学習にしていく」です。
子どもを育てる親の価値観によって、子どもへの関わり方が大きく変わっていきます。
第三者の大人が子どもを見ることをとおして、子どもの様子や気持ちを多面的にとらえ
ていく。そして、子どもは一人の人格のある人間であることを再認識し、子どもの成長
のために親がどう関わっていったらいいかについて学んでいきました。
講座全般をとおして、子ども同士の豊かな関係づくりのためには、異年齢の多くの子
どもが参加していることが必要であると感じました。
子どもが小さいときは、親の意思と子どもの意思との折り合いのなか、親子間の信頼
関係を築く過程で、子どもにいかに説明していくかが問われていきます。子ども自身の
世界が広がっていくと、子ども同士でどうやって折り合いをつけていくか、そこに親が
どうか関わっていくかが課題となっていきます。
親子それぞれのライフステージが変化していくことによって、親子ともどもさまざ
まな課題に直面していきますが、そのたびにお互いにどのように声をかけ、行動する
かについて考えていく必要があると考えます。そのためには、同じ課題に直面してい
- 49 -
る者同士が集まり、信頼関係を築きながら活発な意見交換を行うことが大切です。こ
の保育室併設講座は、そうした親子関係、家族関係、仲間関係を築く一歩としての位
置づけを見出していくことが必要であろうと思います。
5
事例報告2
事例報告2
「保育室の
保育室のグループ活動
グループ活動からの
活動からの広
からの広がり」
がり」
長谷部豊子(
長谷部豊子(国分寺市民)
国分寺市民)
(1)活動経歴
私はほとんど毎日、本多公民館に来ています。私だけでなく、夫も娘も来ています。
土日はお祭りに参加したりと、公民館から何かをする、という生活をしています。この
ように公民館を利用するようになったのは、自分が何かをしたということではなく、色々
な方とつながってやってきたということが挙げられます。
私は、本多公民館主催事業「母と子の教室」に参加して、自主グループ”くまさんく
まさん”で家庭における防災について活動を始めました。公民館の裏に消防署があった
ため、消防署の方に来ていただいて教室を開催しました。
こうして、子どもの育ちを中心に成果を期待しないグループ活動を行ってきました。
そのうち、公民館運営審議会の委員へのお誘いがありました。保育室関係から選出した
ほうがいい、活動を理解してもらったらいいと声をかけていただきました。公運審のと
き、子どもの居場所づくりを考えなくてはいけないという議論を行いました。公民館で
色々な団体が集まって一緒に何かやろう、が最初でした。子どもに関わる地域の団体が
参加しました。学校開放が言われた時期、私はPTAの役員もしていたので、自分たち
で遊びをやろうということで遊びのサークルを行いました。異世代交流事業では、大人
が子どもに教える、与えるというように見えてしまいがちですが、参加している方から
は、楽しかった、子どもから元気をもらったという話がありました。子どもたちにとっ
ても地域の方にとっても良かったものでした。
子ども家庭支援センターでは、運営委員として親子広場にかかわっていますが、最初
は、子育て支援は公民館にはなじまないと思っていました。子どもを育てる、親も学ぶ
という公民館には支援には抵抗がありました。支援される側だと、サービスを与える側
と受ける側、そういう関係ができてしまい、それは公民館では違うのではないかと思い
ました。公民館の保育室事業では、定員がいっぱいになると抽選に漏れた人がでてくる。
そういう人たちに何かできないかという議論の末、公民館の部屋を開放して広場の事業
を行いました。
(2)公民館での
公民館での活動
での活動を
活動を通して
子どもを持って社会との接点がなくなるから友達を作らなくてはという点では、今の
お母さんと同じ感覚を持っていました。公民館を通してできたいろいろな人とのつなが
- 50 -
りはずっと続いています。子どもの育ちと職員との関わりから始まり、グループでの活
動、他のグループや他館のグループとの関わりが始まりました。国分寺には保育室を利
用するグループが集まる場があります。PTA活動や、何かあって集まりがあると、そ
こに保育室利用者がいて情報交換ができました。
このように、公民館で地域の人と会う中で、様々な人が支えてくれていることに気が
つきました。保育室で大事にしていること”人は人とのかかわりの中で育つ”です。親
も育つ子どもも育つなかで、子どもの成長とともに親になっていきます。そこに地域の
人が支えてくれているのです。
(3)今後について
今後について
今年の9月に公民館の改善課題について答申がだされました。そのなかで公民館職員
に期待することとして①各種事業の企画・運営者としての役割。②市民の学習活動に対
する助言者としての役割③地域の人材や組織をつなぎ、学習の支援、促進という側面か
ら地域活性化促進する、コーディネーターとしての役割(2009年9月24日
本多
公民館公運審答申文抜粋)があげられました。社会教育主事の資格を持っている職員で
も、そういう職員以外でも公民館を大好きになって勉強してもらってもらえればいいと
考えています。
今の子育て世代とつながっていくことについて、子育て支援(サービス)を受けるだ
けではなく、担い手になっていくことの大切さについて理解を深めていきたいと思いま
す。
夫とのかかわりについてですが、家族の理解があって、子育ての時、夫も一緒に公民
館に関わり始めました。私の活動が徐々に増えていくなか、そこに夫も順応していって
くれたと思います。夫は公民館での活動はしていなくても、公民館に関わりができて活
動を理解してもらえているのだと思います。
6
助言者による
助言者による課題整理
による課題整理:
課題整理:公民館に
公民館に求められること
1
地域住民による公民館を通じての子育て支援の在り方について
2
子育て期の公民館学習・活動(個人のニーズ)から、地域活動等(社会的活動)
への展開の可能性について
3
公民館保育室の現代的意義とニーズについて
4
講座の作り方:仲間づくりへ
5
「サービス」でない「支援」のあり方
- 51 -
7
グループ討議発表
グループ討議発表
1グループ
○主催講座から自主活動に発展させていく場合に保育料がネックとなる○潜在ニーズ
を把握するのは難しい。講座の中でお母さんたちの中で見えてくる○子育て支援、保
育だけではなく、発達障害の問題、不登校
大きくなった子どもたちへ課題への支援
をすべきでは○職員の異動サイクルが短くなっている。地域と支えあってお互い育っ
ていく
2グループ
○子育ての支援の在り方についてそれぞれの市では何をやっているかを話し合った○
保育はサービスであり主催でやるべきではないか○講座の中で感想を書いたり、お母
さんたちの親睦が図れる方向へもっていく○関わりあいが大事。親子関係、家族関係、
仲間関係を築く第一歩○ねらいをたてて講座を企画することが大事
3グループ
○いずれはサービスの受け手でなく、学ぶ市民、主体者になってほしい○大人同士が
信頼関係をつくる。保育者、職員、市民と三者の関係を作ることが大事○講座が終わ
った後グループに発展して地域とのつながりが生まれていく。そういうときに学びの
市民となるためには、職員のかかわりが大事。○講座の話
通年で長い回数でやれて
いるのが大事。大人同士子ども同士のかかわりをつくるには回数がないと苦しい○公
民館出身者が地域をこんなに支えているじゃないか、公民館で学んで保育室で育つと
言うことが大事○講座にバラバラで参加しているのが、仲間の中で育つことが大事だ
と気づく。
- 52 -
4グループ
○保育室を考える会をつくり、議会に要望するまで踏み切った○単純に要望を受け入
れて欲しいと要求するだけでなく、ネットワークでつないでプッシュしていくことが
可能ではないか○ボランティア活動から、地元の地域の人とつながり、乳幼児まで目
を向けられる○ボランティアのモチベーション維持が大切
○サークルは自分たちが
主体でやっている。主権者意識が大事○現代人はひっ迫、孤立した状況がある。環境
を変える講座や孤立している人をつなぐための講座が大切○自分のことを少しでも話
すことができる環境を
5グループ
○予算消化だけでなく、必要としている講座を公民館が実施しているか○小中高生に
対するの親向きの講座を実施しているか○公民館の発信の仕方が下手ではないか○職
員にいろいろな世代がいるように、公運審も企画実行委員もいろんな世代が必要○新
しく公運審になった人にとっては、教育基本法、社会基本法などは全く分からない状
況で来る。そういう人に合わせた会議も必要
6グループ
○潜在的課題は、自分自身の育ち、幼少期の経験、夫との確執が一番大きな問題だと
みえてくる。○講座に参加できる人は救われる。来られない人へどう焦点をあてられ
るか○講座を受けた市民の責任○自分のことを話していく、自己紹介を繰り返してい
くなかで仲間関係ができていた○職員からの働きかけ○講座を通して学んだことを市
民は地域へどう返していくか○公民館は人と人をつなぐところであってほしい。公民
館に行けば自分と同じ悩みを持っている人に会えるんだ、という所であってほしい。
- 53 -
8
助言者のまとめ
助言者のまとめ
中澤智恵(
中澤智恵(東京学芸大学准教授)
東京学芸大学准教授)
地域住民による子育て支援の在り方についてですが、子育ての課題は当事者だけの問
題ではありません。地域で考えていくことが大事です。今日のグループの話を伺ってみ
ると、保育事業の基盤が危うい、まだできていないことがわかりました。保育室事業も
予算カット、子育て支援をやろうといっても予算カットというなか、いかにニーズがあ
る場を守っていく体制が求められているのを確認しました。
行政の行うことについては、評価が求められています。たくさん人が来ればいいのか
というとそうではありません。講座の参加者が、お客さんから学びの主体へと変わって
いく、そういう学びを作っていくには短期の講座では難しいし、大人数では丁寧な学び
を作るのは難しい。長い期間をかけて、少人数で話し合っていく講座の意味をアピール
していく必要があります。
国立の公民館において、女性の生き方を考える講座に関わらせていただいているので
すが、理念上と現実は難しいのですが、丁寧にかかわると変わっていくことがわかりま
した。一つは記録作りです。お客さんから脱却できるような学びを作っていくのですが、
話し合いが苦手で記録を学習者にしてもらおうとしてもなかなかできませんでした。伝
え合うを大事にしよう、話し合いや記録づくりを大事にしようということでスタートし
ました。記録はいやだという意見があるなか、なぜ記録をとるのかについて意義を考え
あいました。そのなかでは、もれなく正しく記述するのではハードルが高い。そのため、
記録ではなく、
「足跡」として、記述がもれてもいい、足らないところはみんなで補足し
あえばいいということで記録をつけることになりました。
記録や足跡として、自分たちはどういうことを学んだかを振り返ると、学びが深まっ
ていきます。気づいたことをみんなで共有していく、広がっていく、深まっていく、こ
のように少しずつチャレンジしてくことが大事です。すると、人の話を聞けていないこ
とに気づき、この気づきを共有して少しずつハードルを越えていく。まとめをつくるの
はイヤでも、作ることの意味を知り、お互いがお互いを支えあって、学びを深めていく、
こうした学習の環境を設定していくことが大事なのではないでしょうか。
- 54 -
第5課題別集会
インターネットの
インターネットの活用と
活用と広域連携
討議内容
パソコンや携帯電話の普及により、インターネットの利用が身近なものになり
ました。そのことは公民館にとっても様々な影響をもたらします。講座や事業の案内を今
までの手段に加え、インターネットで発信することにより、これまで公民館に接する機会
のなかった人々も公民館の事業に参加する機会が広がります。一市内に限らず周辺自治体
との情報交換により、公民館事業の広域連携が可能となります。広域連携により様々な問
題が生じることが予想されます。当課題別集会ではこれらのことについて研究をします。
助
者
坂
井
知
志(常磐大学コミュニティ振興学部教授)
事例報告者
大
橋
元
明(小金井市公民館運営審議会委員長)
下
道
敏
行(稲城市第四文化センター職員)
者
三
上
佳代子(多摩市永山公民館職員)
企画委員
千
葉
桂
吉
本
大
橋
元
明(小金井市公民館運営審議会委員長)
藤
井
哲
彦(小金井公民館運営審議会委員)
安
達
亜
紀(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
池
内
清
三(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
定
塚
邦
彦(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
田
川
尚
子(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
並
木
節(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
持
永
由知子(小金井市公民館緑分館企画実行委員)
司
言
会
子(西東京市公民館運営審議会委員)
悟(小平市小川西町公民館職員)
- 55 -
1
講演「
講演「インターネットの
インターネットの活用と
活用と広域連携につ
広域連携について
について」
いて」
坂井知志(
坂井知志(常磐大学コミュニティ
常磐大学コミュニティ振興学部教授
コミュニティ振興学部教授)
振興学部教授)
私は町田市に住んでいますが、大学は茨城県水戸市にあります。片道 3 時間半の通勤を
しています。今日お話しするインターネットを使えば、映像を通して自宅からお話するこ
とも可能です。実は、私はパソコンが大嫌いな人間です。私が大学で教えているミュージ
アムのことについて考えれば考えるほど、実物資料の良さというものを感じます。ですの
で、インターネットで全てを済ませようとする学生を見ると無性に腹が立ちます。ただ、
インターネットを使うことで、今までできなかったことができるという可能性に賭けない
というのも罪だと思います。
学生たちにこの1年で博物館・美術館に出かけたことがあるかと訊きますと1割もいま
せん。卒業するまでに10回以上まじめに観ている学生はほとんどいません。多くの学生
にとって博物館・美術館は身近な存在ではありません。水戸市には博物館・美術館がたく
さんありますが、実は足を運ぶことができないところが結構あります。私が勤めていた国
立科学博物館はナショナルセンター=全ての国民に対してサービスを提供することが役割、
と名乗っていますが、水戸や小金井の子どもが日常的に足を運べるかというと、台東区や
文京区の子ども以外は日常圏内の学習施設ではありません。ましてや、沖縄や北海道の子
どもたちが来るとなると当然地理的な問題があります。それを解消しようとする意気込み
が博物館・美術館界にはありません。届ける美術館・博物館を本気でやっているところが
日本のどこにあるのかということを、学生たちと勉強していくことが私の大きなテーマで
す。その一つの手段としてインターネットがあります。今から私はインターネットがすご
くいいものだというお話をしますが、そのためには様々なハードルがあります。まずは著
作権の問題です。この問題について社会教育の場でちゃんと理解している方はほとんどい
ない状態です。インターネットはこのように閉じられた学習会の中では認められています。
例えば公民館が主催したカラオケ教室で音楽を流したり楽音をコピーしたりすることはで
きます。それが自主的な活動として、同じ場所で同じ講師が同じ曲でカラオケ教室をした
場合には著作権料を払わなくてはいけません。そのことを職員も公民館運営審議会もあま
りわかっていません。そしてそれをインターネットに流した途端、著作権法による刑事罰
があることを知らない方があまりにも多いのです。なので、インターネットを実際に活用
できる実力を私たちは身に付ける必要があります。また、インターネットには世界のルー
ルもあります。そのルールを変えることの難しさをわかったうえで取り組まなければなら
ないことを理解いただきたいです。情報化とは一つの方法だと思います。障害者の方、高
齢者の方が在宅で学習できる可能性があるということで、いい面もありますが、実際に構
築するには丹念な積み上げが必要で、新たな学習のシステムを作る必要があります。私は
やりっぱなしの社会教育というものについてどうしても腹が立ちます。丹念な積み上げが
できているのかというと、例えばアメリカの国立公文書館では政令市や県庁所在地の映像
- 56 -
というのが丹念に撮られています。小金井の駅前の再開発の映像が丹念に5年ごと集めら
れているのは、日本の国立公文書館では期待できません。日本の記録は卑弥呼の時代から
中国の歴史書に頼っているように、日常を記録することが歴史であるという感覚、今の記
録を残していくことが歴史になるという感覚が日本人にはありません。アメリカの戦闘部
隊を見ますとアーキビスト=記録者が必ず部隊にいます。この戦争はどういう戦争である
かということ、その作戦で成功したこと、失敗した原因を丹念に記録し、大きな部隊にそ
れを判断する歴史家がいます。日本の軍隊は私たちと同じくやりっぱなしです。そういう
中でデジタルアーカイブという、本物が残せない日本であれば、せめてデジタルデータと
してものを残すことを博物館・美術館、社会教育の現場でやっていただきたいです。私は、
日常の生活をどのように残していくかということを公民館、図書館、博物館、学校が連携
してやれるよう、そういう専門的な知識を持つ人を養成することに時間をかけています。
図書館はサービスエリアという考え方がきちっとしています。分館網という考え方があ
りますし、入院中の本を読みたい人のために病院への配本や、距離的に本を借りに来られ
ない地域へ本を届けるブックモービルという考え方もあります。しかし、公民館にはそう
いった発想はないと思います。サービスエリアの捉え方が私たちの生活実態と本当に密着
しているのかを考えないといけません。市町村という枠は非常に大事ですが、実際に人間
が動いている生活圏について甘く見ているように思います。サービスエリアということに
ついて市町村を越えて協議する場がないと、実態と離れてしまうと思います。
届ける学習という発想が社会教育には非常に少ないです。健康で時間が余って学習して
いるという状態しか想定していない、教育委員会所管のところだけが学習をする場という
捉え方しかしていないことについて見直しが必要です。私は地域の学習の拠点は公民館で
あるべきだと思っています。それは博物館や図書館と協議し、サービスの体制やシステム
を作ることです。専門的に本がほしい人もいます。本と学習会がほしい人もいます。博物
館的な伝承みたいなことが必要な人もいます。その人たちへ公民館は学習を届ける場所で
すから、展示をするスペースではありませんというのは、公民館の当初の構想にはありま
せん。地域の総合的な社会教育施設として、この荒れ果てた日本をどう復興するにはどう
したらよいかというところから発想していますから、行政の縦割りなんていうのは関係な
い。産業から地域の再生を考えていて、それをたまたま館として作ったのが公民館です。
ですから中心が公民館でいいのですが、公民館にとどまることをどの法律でも規制してい
ないのに、入院中の学習したい人に公民館へ来なさいと言うのはいただけないと感じます。
そういう意味で、届ける学習を考えなくてはいけません。荒れた子どもたちが学習のため
に公民館に来てくれないと、ならばなぜ少年院がシェアに入らないのかが私には疑問です。
小金井の子が悪いことをして少年院に入った時に本を届ける、学習の面白さを届ける絶好
のチャンスと考えないのは私には理解できません。少年院では教官が子どもたちを10時
間寝かせています。理由は予算がないからです。少ない職員で子どもを見るには寝かせる
- 57 -
しかないということでやっている。ならば、そこで私たちに何ができるのかを考えなけれ
ば20%の再犯率は下がりませんし、地域の安心安全は図れないことを考えなければいけ
ません。今の公民館活動について、エリアや概念から変えていく必要があり、その中にイ
ンターネットがあることを理解いただきたいです。それから、健康で時間があって意識が
ある人しか公民館へ来ないという状態をどう解決していくかです。人が学習を必要とする
時とは、元気で時間がある時以上に、怪我や病気をした時です。入院した時にも色々なこ
とを考えます。もっと本を読みたいとか、映画を観たいとか色々と考えます。年をとって
初めて学習の大切さに気づくこともあると思います。経済的に困ったとき、人に騙された
とき、罪を犯したとき、生死を考えたときも学習するきっかけになると思います。
公民館の学習活動の課題としてよく言われるのがマンネリ化、同一学習者、選択肢の狭
さ、生活圏との不整合ということで、これは博物館・美術館も同じことです。来る方々が
常に同じ人たちで構成をされているのは公民館だけでありません。図書館も同じ傾向があ
ります。社会教育は立てこもり型だと私は思います。中ではとてもいい活動をしているの
に、なぜ人が来ないのだろうと言いながら、仲間内で留まっているのが立てこもりに見え
るのですね。本当に気の合った仲間たちと学習をすることが基本にあっていいとは思いま
すが、それが全てではまずいだろうということです。それから、ニーズへの不適合という
問題があります。一時期、社会教育は全国的にニーズ調査を行いましたが、実際に反映さ
れるのには一年半かかる、それでは意味がありません。もっと軽い調査をやるべきだと思
います。それから、調査に答えてくれそうな人を最初から対象とせずに、本当は違う層の
人たちに聞きたければ、そこへちゃんと調査しなければなりません。非行問題を取り上げ
た時に非行少年に来てもらいたければ、少年院と連携してその子どもたちや指導者に対し
て調査をすべきです。裕福で時間もあって塾にも通わせてくれる家庭に非行問題のニーズ
調査をするという今までの調査は、速さとニーズの対象者というものに対して丁寧ではな
いと思います。そして、社会教育は対面で人と人との関係を大切にするので、インターネ
ットというものを使うべきではないという、
「べき論」があります。私が扱っている問題で、
ペッドファイル=小児性愛者の問題があります。信じられないと思いますが、10歳未満
の子どもを性の対象者にすることはアジア、アフリカではたくさんあります。ですので、
インターネットに子どもの顔を出してしまうと、そういう大人たちに対してその地域の子
どもについて情報提供してしまう可能性があるので、私たちは慎重にやらなければいけま
せんという意味で、世の中のいいことだけを見て何かするのではなくて、悪いところと両
極を見ないとインターネットとは付き合えません。そういう意味では、人間関係のことも
大切にやってきた社会教育にとって、インターネットに対する拒否反応はわかりますが、
入院している子どもへ学習をどうやって届けるのだろう、一つや二つの事例だからそんな
ことはしなくていいとは私は思いません。無菌室の子どもへも社会教育を届けてあげたい。
それが生涯学習の理念だとも思います。その中での社会教育の役割は、博物館や図書館や
- 58 -
公民館の活動を届けるものだと思います。その唯一の手段がインターネットだと思います。
インターネットの利便性は、地理的な条件を克服することもできます。小金井にいなが
ら、富山のインターネット市民塾を受けることができます。また、スタンフォード大学で
もし日本語バージョンの授業が始まれば、英語ができなくても大学院の資格を年齢や地理
的な条件に関係なく受けることができます。私達が現地へ行くとなると何百万円もかかり
ますが、それが自宅で学習できます。また、今日は朝10時にここへ来なければこの話は
聞けませんが、収録しておけば都合の良い時に聞くことができます。本当は同じ時間、場
所に集まるほうがいいに決まっています。人間が嘘を言った時とかは言葉に騙されること
があります。それを感じ取ることができるのは対面でなければできません。それでも、そ
こに参加できない人には都合のいい時に見てくださいということが技術的に可能でありま
す。効率性の向上ということで、この学習会がここに集まった人に対してだけでなく集ま
れなかった人にもでき、また一つの学習会という資源を将来へも残すことができるという
ことが、利便性の一つの説明になると思います。先ほど申し上げた富山県のインターネッ
ト市民塾は各地に広がりつつあります。県民カレッジの学習をオープンにしていくことを
やっています。当然皆さんも受けられます。自分たちの学習や他のところでやっているこ
との案内情報を紙媒体で行うと、その場に行かなくては見られませんが、お互いにネット
上の同じ場所に載せればどこからでも見ることができる案内情報を出そうということです。
平成8年に旧文部省から生涯学習情報提供システムの高度化方策という報告書が出ました。
そこには、いつかは案内情報ではなく学習そのものが各学習施設や家庭に届くので、その
時の準備をしましょうと書かれています。実際に先駆的にしたのが富山の事例です。ニュ
ーヨークに在住しているジャズピアニストに学ぶピアノ教室、自分の庭でセミが羽化する
姿を子どもと観察し、そこに参加できない子どもにも見せるという講座もします。グロー
バルな視点と地域性をインターネット市民塾は大事にしています。もう一つ大事にしてい
るのはオンラインとオフラインといいますが、インターネットで学ぶことはオンラインで
す。オフラインとは大学で言うスクーリングですね。富山には立山という山がありますが、
立山を学ぶのでしたらインターネットで学ぶだけではなく、当然みんなで山に登ろうとい
う講座を組む、このセンスの良さが市民塾にはあります。市民塾が富山以外に情報を提供
し、それを小金井市民はただ受講するだけでいいのかどうか、小金井らしいもの、稲城ら
しいものを日本中に提供することを考えていただきたいと思います。
最後に、これからの公民館活動についてお話しします。私がデジタルアーカイブをやっ
ていますと、沖縄の戦跡に関するアーカイブをやろうとすると、沖縄へ頻繁に行かなけれ
ばならないつらい状況があります。そう考えると私が住んでいる町田や、勤務している水
戸のアーカイブをしていくのが一番素直だと思います。これにはスタンフォード大学のも
のすごい日本研究者だろうが絶対にかなわないことです。ですから、私たちは自分の地域
- 59 -
を学習課題にすることが第一に必要だと思います。そして、例えばアジア・アフリカで小
児性愛者が子どもを買って死に至らしめていることをどうやって止めていくかを考えるグ
ローバルな視点も必要で、そのような人たちが私たちの地域にもいるかもしれないことは、
動いてみないとわからない部分があります。地域だけでは地域は良くなりませんし、グロ
ーバルな課題に対応することも必要かと思います。自分の地域の人、世界の人と共存する
視点がインターネットには必要な感覚かと思います。まずは自分たちのやっていることを
より多くの人たちが知って受講できるというところから積み上げていき、それを次に残す
ことです。残すものさえあれば、将来それをインターネットに載せることは簡単なことで
す。残していなければ、今後どうやって講座を残していくのかということを併せてやる、
いっぺんにやるのではなく少しずつやる方がいいと思います。それと、インターネットで
申し込む人と往復はがきで申し込む人とが不公平になってはいけないという感覚も忘れて
はいけません。今のパソコンは非常に使いづらいです。高齢者の方々はパソコンが使えな
いのは当たり前だという感覚、また、障害のある人にとっても不利になるという感覚を社
会教育は忘れてはいけません。世田谷の生育医療センターにはベッドサイドまでインター
ネット端末がきています。寝たきりの子どもに対しては寝たままでインターネットができ
ます。物事はどんどん解決の方向に向かっていますが、まだインターネットの世界は様々
な問題があることも併せて検討いただきたいと思います。案内情報に対する問題点は午後
の討議で考えていきますが、私たちが考えているインターネットの世界は、学習内容その
ものを届けていきたいというレベルにあると理解いただきたいと思います。
学生だとこういう話をすると3割は寝てしまいますが、大人の方だと何と気持ちのよい
ものだろうと感謝申し上げて終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。
- 60 -
2
事例報告1
事例報告1「各市の
各市のインターネットの
インターネットの活用状況について
活用状況について」
について」
大橋元明(
大橋元明(小金井市公民館運営審議会委員長)
小金井市公民館運営審議会委員長)
(1)ホームページの
ホームページの優位性と
優位性と必要性
紙媒体の広報誌と比べてホームページの優位性はたくさんあります。情報発信の即時性、
簡便性のほか、紙媒体はページや字数に制限がありますが、ホームページにはありません。
動画や音声など情報の種類がたくさんあります。高齢者や障害者のために文字の拡大がで
きます。視覚障害者のための音声読み取りとか。紙媒体にはない情報の双方向性とか。そ
れと広域連携とも関係がありますが、広域性ですね。世界に向けて発信できます。また紙
もいらないし、印刷や配布が不要なため維持コストが安いことが挙げられます。
なぜホームページが必要かというと、よく私は市民から今公民館は何やっているのと聞
かれます。月刊誌では最新情報を伝えられないことがあります。サークルの情報は全く伝
えていないですね。サークルあっての公民館だと思います。また、公民館に縁遠い無関心
な若者、通勤者への発信、それから24時間対応しなければなりません。公民館が重要で
あることをアピールするにはホームページでないと難しいと思います。全国に発信できれ
ば公民館から町おこしができます。携帯電話でどこからでも情報が得られます。自宅でも
学習できます。動画、音声、イーラーニング等多彩な情報が得られ、高齢者や障害者にも
優しい。これらのことに月刊誌では対応できないわけです。
(2)インターネットの
インターネットの普及率
インターネットの普及は、今国内でだいたい1億人に達しようとしています。パソコン
の普及率が85.9%、携帯電話は95%を超えています。企業は99%ですね。100
0人以上の大企業は100%利用しています。インターネットの利用率ですが、50代ま
では90%です。高齢になるにしたがい、だんだん下がってきますが、使っている人はか
なりいます。インターネットを使わない手はないという時代になってくると思います。必
要な情報は何から得るかという総務省の調査からは、若者の半分以上が必要な情報をイン
ターネットから得ています。
(3)各市公民館の
各市公民館のインターネット活用状況
インターネット活用状況
先日、インターネットの活用状況について都公連加盟の各公民館へアンケートをお願い
しました。13市から回答がありました。ご協力ありがとうございました。簡単にお知ら
せします。パソコンは職員一人に一台ずつ配備となっています。全部有線LANです。回
線は光とケーブルテレビが多いです。作成と運営は市のホームページの中です。これは午
後議論したほうがいいですが問題です。職員のみでの作成が11件、外部委託が1件です
ね。職員のみで市民参加なしという状況です。これは他の地域と比べて、多摩地区の異な
るところです。維持経費もないという市がほとんどです。提供している情報ですが、案内
情報がほとんどです。多摩地区の公民館の特徴として、予約システムを完備していること
です。講座の案内について、講座の申し込み方法は電話がほとんどです。メールは2件、
- 61 -
インターネットのフォームは1件です。アーカイブについては、先ほど先生がお話されま
したが、残念ながらありません。学習情報も非常に少ないです。サークル活動については、
私はとても重要なことかと思いますがありません。公民館運営審議会の活動報告が4件で
す。インターネットの活用上の課題については、各市ばらばらです。私自身、市民参加し
ていないことが非常に問題だと思いますが、課題として意識されていません。
(4)全国公民館ホームページコンクール
全国公民館ホームページコンクール
平成18年から2年おきに開催されています。最優秀賞、優秀賞、優良賞のものの中か
ら紹介します。入賞したホームページはほとんどが市のサイトと独立して作られています。
作り方も市民主体です。ホームページのアップの内容ですが、多摩地区は会場利用案内、
講座案内はありますが、講座記録やニュース、サークル紹介等が全くありません。こうい
ったものが市民にとって本当は必要です。生きた情報を載せる必要があると思います。
最優秀賞の伊丹市は市民が主体となった手作りのホームページです。講座の案内が出て
いて、インターネットから申し込みできます。広島市の安公民館は講座の案内、写真が出
ていて親しみやすいです。地域の情報は写真をクリックすると大きくでます。地域の情報
を小学校の教材としても使っています。次に富山県砺波市の東般若公民館です。坂井先生
のお話にもありましたが富山県は生涯学習への IT の活用が非常に盛んです。動画が見ら
れます。写真と記事も出ております。サークル活動の案内ですが、サークルは皆さん独自
のブログやホームページを持っていて、そこにリンクすることができます。福井県小浜市
の加斗公民館もいかにも手作りホームページです。行事案内、終わった行事の報告をすぐ
載せています。福井市の清明公民館は、ブログを使っています。近くの山の状況を公民館
から伝えています。同じくブログを使ってサークル活動の状況を伝えています。那覇市の
若狭公民館もブログを使っています。那覇市の各公民館が一つの情報システムとしてブロ
グを使っています。相模原市のホームページです。公民館が32館あり、それぞれ住民が
独自のホームページを作っています。相模原市のホームページの取組みが載っていますが、
公民館のホームページは住民自らの視点で作っています。ホームページ委員会で企画作成
を行っています。
(5)補足と
補足と今後の
今後の展望
その他の情報としてどのようなものがあるかについて、私どもの小金井 info という小金
井市の地域情報サイトをご紹介します。行事とか商店街の案内のほか、特売情報、イベン
ト情報、医療、福祉、環境、生涯学習、施設等いろんな情報を載せています。グーグルマ
ップを活用した施設案内、住所、電話、開館時間、身障者トイレの案内を載せています。
ここに公民館が今何をやっているか、公民館講座を全て載せるくらいのつもりにすると良
いと思います。
パソコン教室を受講した人が家でもできるようイーラーニングは音声、動画も出ます。
私たちは教育委員会と協働で、2003年から定年後の地域参加講座をやっています。全
- 62 -
部過去の記録を残してホームページで公開しています。特徴は講座のレジュメやテキスト
を載せているところです。先ほど先生がおっしゃられていた、学習情報、アーカイブを載
せています。公民館から講座の内容を発信すれば、みんながアクセスすると思います。公
民館は講座をたくさんやっているので、智の宝庫ですので、こういった情報発信は素晴ら
しいことです。市民参加をどのように進めるか、職員だけで作っていては良いホームペー
ジはできないと思います。公民館の情報にはそんなに秘密的なものはありませんので、市
のサイトから独立したサイトでよいと思います。多摩地区の場合、どこの公民館もホーム
ページ予算がゼロです。情報発信にはお金がかかりますので、どこかの予算を削って、情
報発信に予算をまわす必要があります。市民のニーズに応えるホームページ作りです。今
公民館で何をやっているかを講座の案内とか図とか載せて見やすくしてほしい。応募受付
は電話だけではだめです。勤めている人は応募できません。閉館時間にも応募できるよう
にすることです。それからサークル活動あっての公民館だと思います。公民館が賑わって
いるのは市民の皆さんがサークル活動しているからです。ホームページでこれを支援する。
学習情報を載せる。全国と比べて多摩地区はレベルの高い講座をやっていますが、全く発
信していません。これをすれば素晴らしいものになる。地域の歴史・産業・観光も載せる
と学校の教材にも使えます。高齢者、障害者等公民館へ来られない方へ情報を提供する必
要があります。また、若い人へは携帯電話との連携が不可欠です。今年は電子本元年です。
アメリカではブームになっています。電子本一枚に1500冊、学校の教科書にもしよう
とか色々な動きが始まっています。電子新聞、電子雑誌のサイト等新たな情報革命が始ま
ろうとしています。電子本はパソコンより簡単ですし、図書館も変わるといわれています。
このままでは情報革命の中で公民館が取り残されていると感じます。是非ホームページ作
りを通して広い視野で公民館活動に取り組んでほしいと思います。ホームページが非常に
重要な役割をすると思いますし、ホームページ作りが進むと公民館同士で広域連携ができ
ると思います。時代が変わろうとしています。皆さんもホームページの意義を学んでいた
だいて、市民に親しみやすい施設にしていただけたらと思います。
3
事例報告2
事例報告2「広域連携について
広域連携について」
について」
下道敏行(
下道敏行(稲城市第四文化センター
稲城市第四文化センター職員
センター職員)
職員)
平成18年11月、東京都市長会作成「広域連携の勧め~多摩の魅力を高める18の連
携~」を、東京都市長会事務局から取り寄せて配布しました。この資料をもとにポイント
を説明いたします。
はじめに、「提言にあたって」をご覧ください。様々な連携が求められていることと、
ぜひ助成制度を活用し連携の目が育ってほしいと願うところであると書いてあります。
(1ページ)
ページ)平成11年から、いわゆる「平成の大合併」により3200余りの自治体が
1820に集約されたが、多摩は合併を選択しませんでした。理由は各市とも平均10万
- 63 -
人の人口規模を有し、自立性の高い自治体運営をしていたからです。しかし多摩の自治体
も単独では様々な限界があり、今後は多摩全体の魅力を高めるために共通のテーマや目的
をもつ自治体が今まで以上に連携して取り組む自治体間連携を提言するとしています。
続いて、広域連携の背景です。市長会が更なる自治体連携を提唱する背景には次の点が
あります。生活圏の広がりです。多摩地域は私立の学校や大学も数多く存在するほか、商
業施設もいくつかの集積地点があります。このため通勤通学はもちろん、ショッピングセ
ンターなど住民の生活圏や活動範囲は当たり前のように行政区域を越えて広域化していま
す。このことから行政区域を越えた生活圏を一つの自治体と捉えるような連携が有効です。
(3ページ)
ページ)広域連携による10の効果として、1実現性が高まる、2発言力が強化され
る、3対外的なアピール度が増す、4事業効果が高まる、5住民の利便性が向上する、6
社会資源が共有できる、7効率的になる。派生効果として、8職員の意識改革、9資質の
向上、10スキルアップが図られるとあります。多くのメリットがあることから市長会で
強く広域連携を求めています。
(10ページ
10ページ)
ページ)連携の方向性について4つのパターンを記述しています。連携することで、
1効果が高まる、2利便性が高まる、3効率性が高まる、4実現性が高まる、取組みがあ
るとしています。
(22ページ
22ページ)
ページ)広域連携活動に対する助成制度の創設とあります。ここでは、新たな連携
母体のスムーズな立ち上げと財政支援の仕組みを提案しています。具体的な財政支援の範
囲は、連携母体の立ち上げやその運営に要する経費とし、調査研究費、広報費などを想定
しています。
(23ページ
23ページ)
ページ)資料編をご覧ください。多摩における広域連携一覧として18分類149
件の広域連携を掲載しています。
(30ページ
30ページ)
ページ)一覧の中に文化行政分野とあり、そこに東京都公民館連絡協議会、昭和2
6年1月設立、連絡調整型の連携であると載っています。
以上が公民館の広域連携に関する市長会提言にあるポイントです。公民館は市民の出会
いや学び合いの場であるべきですが、最近の課題としていつも同じ参加者になっていると
か、事業内容が参加者を確保しやすいカルチャーセンターと違いがわからない趣味嗜好の
企画に偏りがちになるとか、自ら公民館の存在価値を低めているのではと思います。午前
中の講義にもありましたが、今後、公民館でもインターネットで講座情報を発信できれば、
公民館の利用者でない人の目にも留まります。公民館が地域住民に講座提供をするのは当
然ですが、広く情報提供をした場合に、近隣市外の参加希望者を認めないのは市長会の流
れと違いますので、公民館としての広域連携の仕組みを作り、受け入れを検討する価値は
あると考えます。インターネットの活用による広域的な情報提供と幅広い受講者への門戸
開放により、これまで地域で定員を満たすことができなかった本来公民館でやるべき幅広
い企画事業を、勇気を持って取り組めるのではと考えます。また、あくまで市民優先で定
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員に空きがある場合に限り市外の人を認めるのか、あらかじめ市外者枠を設けるのか、さ
らに交通事情の良い特定の自治体や、活気のある公民館に参加希望者が偏る場合のルール
作りについても検討いただければ幸いです。市長会としての広域連携の考え方を紹介しま
したが、今までの研究大会では企画委員の中にも広域連携の概念がなかったので、市長会
の提言をバックボーンに支援が得られることで、財政的に厳しいとか市外を認めるのはま
ずいとかいうことを前提に答えを出すのではなく、前向きにグループ討議をしてほしいと
思います。
4
グループ討議発表
グループ討議発表・
討議発表・意見交換等
(1)グループ討議発表
グループ討議発表
(1班)○情報交換が中心でした。公民館を運営するうえでインターネットをどういう位
置づけにしたら市民に見てもらえるかを話すうちに、可能性や欠点がでてきました。○公
民館に限らずインターネットは不可欠です。その可能性をいかに活用していくかが重要で
す。それには職員及び運営していく人のスキルを磨くことが必要であり、独自の媒体をも
つことも必要では。○情報を常に更新しなければなりません。紙ベースの情報よりもイン
ターネットの情報が後だったなんてことがないよう、どんな媒体でも情報が同時に発信で
きなければいけません。そのためには職員の力だけでは無理です。○まとめとして、最も
重要なことは載せる情報はもちろん、その施設や講座等に魅力がなければ見向きもされま
せん。施設の運営自体を魅力あるものにするのが肝心です。広域連携やインターネットの
活用は新しい課題ですが、行きつく先は公民館の魅力作りがキーポイントでは。情報の出
しっぱなしや講座のやりっぱなしをなくすため、事業を評価し、その評価を見極めること
なくして情報発信ばかりにとらわれない視点も大切では。○スキルを磨く以外に本来の仕
事を通して、例えば市民向けのホームページ作り講座等を開催する必要があるのでは。
(2班)○市報や情報誌以外に、迅速で情報量の多いホームページの充実が必要では。○
ホームページの運営主体は市がやっているのがほとんど。実際は個人情報がないので作成
運営主体はNPOでも可能では。○どんな情報を発信するか、魅力ある公民館にするため
には若い世代が公民館に興味を持てるよう、インターネットを活用すべきでは。○高齢者
向けにパソコン講座を積極的に行うことが必要では。○広域連携について、各市の公民館
ホームページ相互でリンクできるようにする。講師の情報も連携できるようにしてはどう
か。○講座募集で空きがあったときの対応として、市民が中心の講座を開催すべきなので
他市の人を参加させるのは難しい。○弱者を救済するためにインターネットを活用する。
田舎は交通の便が悪く、情報収集のためインターネットを活用している。○多摩地区でも
今後インターネットを活用して公民館を活性化すべきでは。
(3班)○どこも公民館のホームページは市のぶらさがり。独立館であれば独自にHPで
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きるのでは。○どんな情報を載せるのか。主催講座を中心に載せ、各活動団体の企画イベ
ントについては公民館独立HPだったら載せてもよい。○誰が作るのか。職員のほか市民
が望ましい。○どこまでの情報を載せるのか流動的である。住所の町名までは載せる。電
話番号はサークルの承諾を得て掲載している。行政は不完全なもの載せるのか。多少不完
全でも市民サービス向上のために載せるのもよいのでは。常に新しい情報がのぞましいが
メンテナンスがたいへんである。○弱者配慮のため既存の紙媒体は残し、インターネット
でさらに色々な人に見てもらう。○学校等様々なところと連携して情報が広げられるとよ
い。公民館の活動をもっと広げるために有効であるが気をつけなければいけない部分もあ
る。
(4班)○自己紹介と午前中の講義や事例発表についての感想を話した。○電子ブックに
ついて公民館と図書館との連携が必要である。○アナログの感覚を忘れずに、使えない人
にも目を向けなければいけない。○利用者は公民館からテーマを探すよりもまずテーマや
事例探しが先にあるため、ホームページの必要性については疑問がでた。公民館の魅力を
より多くの人に案内し、新しい参加者を掘り起こすためには必要では。○ホームページを
作るだけでなく、いかに更新し魅力的な情報を載せ、体系化して講座の記録を残すかが大
事。○ホームページ委員会等を作り、ホームページ作りの講座を開いたらどうか。○市外
の参加者の受け入れについて、基本的には市内在住在勤在学で、空きがあれば市外受け入
れる市もある。○図書館は他市と連携して本の貸し借りをしているが、公民館はなぜそう
いうことがないのか。そもそもそういった発想や要望がなかったのでは。○テーマごとに
どこまで広域に参加者を受け入れるかを考える。例えば多摩川について考える講座であれ
ば、他市と連携してもよいのでは。○応募については市内優先の考えかたがあるので、市
内と市外の申込み期間を変える等のルール作りをすれば、市民からの不満は出ないのでは。
(5班)○10名参加。自由に意見を発表。○特に若者にインターネットを通じて公民館
のホームページを見てもらうにはどうしたらよいか。午前中の優秀な公民館のホームペー
ジまでたどり着けるのか。紹介だけでなくコンテンツの充実が大切。○公民館は交流の場
なのでインターネットの活用だけで済むのではなく、バランスが大事。ネットを見れば全
てがわかるのではなく、ホームページを見て興味がわくことで公民館に来てもらうことが
目的である。○なぜ今広域連携ということが出てきたか、目的や内容等何を広域連携する
のか明確な答えは出せなかった。各自治体の足並みはばらばらである。導入の連携から徐々
にスタートしたらどうか、答えはまとまらず。○今日のようにいきなり集まるのも広域連
携ではないか。○公民館の最終目的はなにか。文科省の指針として、期待される公民館像
がある。大きくは時代性とか市民ニーズや国策というベースがある。その中で今日のテー
マを考えるとコンテンツははずせない。コンテンツが全ての基本である。今まで良いコン
テンツがあっても記録をしてこなかった。公民館の最終目標に達するためのデータベース
がない。あの時なにやっていたかという資料が乏しい。集積していたら大きな財産になっ
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ていた。○広域連携となると各自が確立していないと連携できない。何を連携するのか、
広域連携とインターネットはイコールでない。広域連携のメリットが明快にならず、いろ
んな思いがある。乱暴なところだと、広域ポータルサイトで予算確保するのは。○インタ
ーネットについては、元気で安定して生活している人しか公民館来られないため、弱者、
引きこもり、若者にもアピールするツールとして必要である。また記録性のものがあれば、
そこで学習することもできる。今回、話し合うベースができたのではと思う。
(2)意見交換
(下道さん
下道さん)
さん)グループ内で広域連携の提言について質問がありました。市長会の予算は全
体で取り組むものには使えるが、単独の市のホームページ立ち上げには使えません。広域
連携をするから何市かで取り組む場合に使えることをご理解ください。
(参加者)
参加者)先生のお話はためになりました。乱暴な質問ですが、時代が多様性をもってき
ていて、いろんな考えがあり収拾がつきません。先生が総理大臣だったら、どんな予算配
分で多様性をまとめる政策を作りますか。
(坂井先生)
坂井先生)私は町田市民ですが、町田市で例えると市民が、小児科の夜間診療がなくな
ることを市報で知るのはまずいと思います。そういう意味では、市議会とか公務員が悪い
のではなく市民が悪いと思います。市民が基本的に物事を決めていく自覚がない限り、病
院や老人施設、道路は悪くなると思います。総理大臣として市民が問題意識をもち、議論
するだけでなく結論をしっかりもたない分野に予算はつけません。ですので、業界団体か
らの要望だとかだけでなく、市民の意識が本気かどうかで予算をつけます。また、政治家
として総理大臣として大事なことは現場に足を運ぶことです。多様性に対応するのではな
くて、その中から大事なことを選ぶセンスが総理大臣には必要ではないかと思います。
(参加者)
参加者)先生はパソコンが嫌いとおっしゃっていました。人間は昔から生きていくには、
読み・書き・計算でしたが、今は読み・書き・パソコンです。ですから今さら世の中から
パソコンはなくせないと思います。また、日本の大学にはなぜ芸術学部がないのでしょう
か。アメリカのスタンフォードやイギリスのケンブリッジにはありますが、何故ですか。
そして、公民館の最終目的はどんなものとお考えですか。
(坂井先生)
坂井先生)好き嫌いで仕事はすべきではないと思っています。人間関係でも意見が違う
から友達であることもあり、意見が同じというだけで友達であるとは思いません。私はパ
ソコンを5台使っています。好き嫌いでいえば嫌いですが、使わないかといえば使います。
そこは使い分けが必要だと思います。人間は対面のほうが良いが、インターネットの世界
には他に可能性もたくさんあるのではということを探っていきたいのです。芸術学部は日
大以外にはありません。欧米とは文化の意識の違いがあり、芸術をするというためでなく、
東大法学部のために大学が構築されてきたという日本の大学の歴史と、ヨーロッパのよう
- 67 -
な長い歴史との違いだと思います。今日は公民館の最終目的を聞くための会ではないので、
公民館の最終目的について議論する時間をまた別途作っていただきたい。公民館の自主的、
自発的に行う学習というものを学習の基本にしたいです。強制力のある義務教育よりも魅
力を感じます。知識は自分が学びたいときに学ぶのが一番良いし、その一つとして公民館
があってほしいと思います。
(3)まとめ・
まとめ・総評
坂井知志(
坂井知志(常磐大学コミュニティ
常磐大学コミュニティ振興学部教授
コミュニティ振興学部教授)
振興学部教授)
午前中の事例発表から午後のグループ発表までを通じて、ランダムにお答えいたします。
単純に広域連携事業自身を立ち上げればいいのではということを、予算あるなしにかか
わらず、こういうことができるのではということもお話しいたします。普段やっている事
業をどうしてくのか、情報をどう提供していくのか、広域連携事業というものをどう立ち
上げるかということを検討いただくのが良いと思います。
「広域連携の勧め」の21ページ
をご覧ください。これ自身が広域連携の講座にならないかということを検討したほうが、
最後に予算が必要なのはインターネットの立ち上げの部分にあるので、市長会を説得する
のにはこういうものを学習課題にして、それを学ぶ場所が公民館であると。ただ公民館が
広域事業をやるためにはインターネットがない、イーラーニングができない、その設備を
広域の予算でできないかということも一つの方法だと思います。もし、この会場でインタ
ーネットが使えれば、インターネット市民塾のホームページを見たり、色々なところを紹
介したりすることができますが、こんな劣悪な状況は今非常に少ないです。インターネッ
トができないところは会議室として使いません。レンタルスペースにもならないのが公民
館です。ですから若者が集まるわけがない。インターネットカフェやマクドナルドでは無
線LANが使えます。そういう環境を整備することを思えば、広域でお金があればみんな
でまとまって、市長会が考えている連携事業について公民館で学習課題に取り上げること
をなぜ考えないのかと思います。ホームページをどうやって立ち上げるのかについて、大
橋さんから市と独立したホームページを立ち上げることについてお話がありました。相模
原市に航空博物館というのがあり、最初のホームページはボランティアスタッフが立ち上
げました。その後、館のホームページができた時に色々とトラブルがありました。トラブ
ルはあったほうがよいと思います。ホームページを立ち上げることについて市の職員と議
論すべき時期であると思います。ホームページの立ち上げを広域連携の一つと考えるのは
いかがでしょう。やるからには夢を持ったほうが良いと思います。どうやったらできるの
か人によってこだわりがあると思います。それぞれの夢を目的化して、それを達成するた
めに短期的、中期的、長期的にどうしたらいいのかを、案内情報から最後に講座を届ける
ところまでを皆で話し合う。絶えず修正しながら、官と民が話し合いを持つというのが広
域事業の成功の鍵かと思います。電子ブックの話がありましたが、電子ブックのコンテン
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ツ不足が問題になっています。そこで多摩の市長会の講座を無料で提供しますとなれば、
向こうはのってくるかもしれません。相手が困っていることに対して、公民館はコンテン
ツをたくさん持っていると思います。受ける側だけでなく提供する側にまわると新しい世
界、民間が協力する部分も出てくると思います。インターネットの環境は絶えず変わりま
す。一斉に整備すると一斉に古くなることに気をつけなければいけません。少しずつ時間
差をつけて購入しても、機器を一斉に導入することについての将来の不安を考えなくては
いけません。それからそれぞれの地域には必ず地域の資源があります。学習の結果も地域
資源というふうに捉えて、多くの地域の方々にも提供し、将来の子どもたちに残すという
余裕も欲しいと思います。ハンガリーにはパーセント法というのがありまして、自分の税
金の3%を何につかうかを自分が決められます。がんの子どもたちに対する支援をしてい
る NGO、NPO の団体にその3%を使ってほしいとか、国民が決めることができます。と
すると、私たちは行政に対して文句言うだけでなく、もう少し主体的にこうしたらどうか
と提案ができる市民であることが必要だと思います。行政の職員は当然部署を変わらざる
を得ません。でも一つの分野にずっとこだわっている市民の方がノウハウもってくる時代
がやってきます。その時には、市民は文句を言うのではなくて、こうしなければいけない
のではないかと時間をかけて結論を出し、当然結論には限界がありますので、切り捨てて
しまった痛みも感じる市民であることが求められるのではと思います。博物館と図書館と
公文書館の連携というものが議論されています。デジタルになった途端、それらの情報は
同じ舞台に書かれます。それは本の情報だからとか、電子ブックには関係なくなります。
そういうことで、世界的にはデジタルメーターの利便性というものが議論されていますの
で、インターネットを使った講座情報の先には、そこで使う教材をどう提供できるのかを
考えなければいけません。境界を取り除いて、何ができるのかということを先に考えてみ
て、その後に法律がどうなっているのか、行政の役割分担がどうなっているのか、行政の
今の限界を見極めることも大事です。どうしたらできるかをみんなで話し合うのが広域で
考えるうえでは必要です。一旦境界を取り除き、メリットは何か、解決すべき課題は何か
を洗い出すことが生産的だと思います。広域連携のメリットはたくさんありますが、デメ
リットは便利なところに対する負担が非常に大きくなることです。そういう意味では市町
村を基本として人的、予算的な問題をどうするのかにぶつかるので、そこは行政の方に十
分議論していただかないといけません。広域人事、それに伴う予算も含めて、今までのや
り方と違う仕組みを作らないとうまくいかないと思います。スタンフォードでなるほど広
域事業でも使えるなと思ったのは、大学には大学で用意した科目のほかに、会員が20名
以上集まったら講座を設けてくれる仕組みがあります。インターネットの掲示板を作って
やりたいことを皆で話し合い、それについて講座を設けたら私は参加するという、自分た
ちで色々なものを提案する方法を取り入れるのもいいと思います。それから、いろんな立
場の人が集まって物事を進めていくことは必要ないと思われるかもしれませんが、広域の
- 69 -
ことをやるからこそいろんな市からいろんな立場の人が集まるという仕組みを作ったほう
がよいかもしれません。少なくともメーリングリストのようなものは作ったほうが良いと
思います。それから、生涯学習や社会教育は大学と行政の純粋な問題かもしれませんが、
生涯学習や社会教育をやったことにより、例えば自殺者がどれだけ減るかとか、認知症の
脳の萎縮を抑えられるかとかを、公民館とは何ぞやということだけでなく、実際に何の効
果があるのかを実証しないと、おそらくこれから地方自治体の職員はこれを必ず言われま
す。
著作権、肖像権、個人情報の問題を甘く見ると公開できなくなります。著作権というも
のは厄介なところがあります。私は今日ネクタイをしていませんが、ジャスラック=音楽
著作権協会の会議で私はミッフィーのキャラクターのネクタイをしてお話ししました。私
の話は著作物なので、私の承諾を得ないで録音、録画すると著作権法違反になります。が、
私の映像をとっている時に、ネクタイのミッフィーは私の著作ではありません。それにつ
いて了解をとるのか。また、街中で街の映像を取っているときに、たまたま音楽が流れて
きた音楽に対して、著作権処理する必要があるでしょうか。これに対して私はふざけるな
と言います。では、全国公民館連絡協議会がふざけるなと言っているかというと言ってい
ません。年1回、文化庁は各団体に著作権改正要望を訊いていますが、社会教育の団体か
らは一つも要望が上がりません。ですから文化庁からすると著作権法は今のままでいいと
思っています。これはちゃんと解決しなければいけないことです。著作権法は義務教育に
対しては手厚くする可能性は常にあります。ですから学校教育に社会教育がついていかな
いと、学校教育でやっていいことが社会教育ではだめだということがあり得ます。著作権
法はちゃんと勉強しないと頭に入りません。特に公民館職員には必須事項だと思います。
著作権に関しては情報源があります。文化庁のホームページに著作権に関する手引きがあ
りますし、子どもでもわかる著作権とか、著作権の契約書の作り方まで出ています。私の
学科の学生は、著作権の契約書が作れないと卒業できません。著作権と情報倫理というの
が必須科目です。博物館のパネルを作る、展示物を作るときに著作権法を知らないと大変
なことになるのが今の時代です。著作権法については、市民の方もポイントは知っておい
たほうがいいと思います。著作権、肖像権、個人情報はそんなに問題ではないという誤解
が多くあります。大学の授業であれば何をやってもいいと思っている教員が多数ですが、
法35条では正規の授業以外は著作権法で許されていません。ですので、学級通信にドラ
えもんを書いたら著作権法違反です。そういう問題があるのですが、それを改正しろとい
う要望が出ていません。校長会、教育長会からも。肖像権についても、先ほどのペッドフ
ァイルの問題意識がないと、例えば幼稚園のホームページに子どもの名札と顔がばっちり
写っているというのは、今の時代には本当に怖いことだと思います。
最後に、広域連携をしたときに、知的財産部という部署を作らないと大変なことになる
と思います。ヘルプデスク的に何か困ったことがあればそこが対応します。フェアユース
- 70 -
という考え方を導入しているアメリカの著作権法には、教育や研究には著作権は自由です
よと書いてあります。それを導入することが文化庁で議論されていますが、フェアユース
という考え方は訴訟で決めていきましょうということです。ということは自由の範囲を訴
訟で決めるということです。訴訟になった時、ジャスラックは10人の著作権の弁護士を
揃えます。私たちは何人の弁護士を揃えられますかということです。そういう意味ではち
ゃんとしたセクションをつくらないと難しいのではないでしょうか。そこは、全部職員で
やるわけにはいかない。日本全国を考えて大学等と連携して考えなければいけないと思い
ます。それから研修部というものをお考えいただいたほうがいいと思います。著作権や肖
像権について、市民や職員にしていただく研修を企画する部門が必要だと思います。また、
広域連携をどのように進めていくかという企画の部門も必要だと思います。今あるものを
どう開いていくのかということと、広域の事業を進めていくことを分けて考えればと思い
ます。時間をかけていただき、できるところから探していくことを考えたほうがいいと思
います。ただ、来年またこの部会がひらかれて、来年まで話が進んでいないことが一番危
惧するところです。自発的に皆様方が勉強会をしないとなかなか進まないので、どこかの
市が動かないからということではなく、やれる人からできるところから始めることをお考
えいただきたいです。魅力ある学習を公民館はやっているにもかかわらず、外からはなか
なかわからないということを感じます。若い人が公民館に足を運ぶことが、今のままでは
難しいということを私自身の危機感としてあります。私はパソコンやインターネットが嫌
いといいながら徹底的に使っています。私がフィリピンで泊まっているところでビデオを
まわして、著作権について話しているものがインターネット上にでています。なんでフィ
リピンに行って著作権のことを自分で撮っているのかと思いますが、自分で撮って編集し
て自分で立ち上げるのは、当然コストがゼロだからです。こういうものを企画する方々に
とって、著作権というものが大事だと思うから発信しているわけです。できないことをや
るのではなくて、また好き嫌いで物事を決めるのではなくて、必要なことを少しずつ積み
上げていくことをお願いしたいです。町田の一市民として、是非広域連携事業を実現して
いただきたいと要望いたします。どうもありがとうございました。
(4)質疑応答
(質問・
質問・参加者)
参加者)私の地域の公民館では名簿の問題が議論になっています。資料集を作っ
た時に名簿は付けないという最近の風潮があります。が、私は名簿を載せたほうがいいと
思います。少なくとも住所、氏名、性別は載せた方がいいと思います。町内会でも名簿は
なるべく載せてほしくない人もいるし、連絡する時に困ります。福祉を個人情報保護より
優先するという意見もありますが、どのように考えたらよいでしょうか。
(回答・
回答・坂井先生)
坂井先生)私立大学情報教育協会のホームページには、教員のためのガイドライ
ンが出ています。氏名、住所は個人情報にあたります。一時期学校でも卒業アルバムを作
- 71 -
らないとか、名簿を作らないということがありました。基本的にはその人に許諾を得てい
くということです。ただし拒否する権利が相手にあります。また、情報は管理しなければ
ならないので、名簿や緊急連絡網をそこら中に貼ったりという昔の感覚は許されないこと
です。私の学校の付属幼稚園では緊急連絡網を鍵のかかるロッカーに保管しています。個
人情報については行き過ぎの部分がたくさんあると思います。今、その行き過ぎを議論し
ているところですので、是非その議論に参加してください。結果的には許諾を得ていくこ
とが一番大事なことだろうと思います。それを拒否することについて否定しないように、
拒否をすることの自由度、それは博物館でもあることですが、例えば DV から逃げている
家族もいるので、それに対して写真を撮ることのリスク、名簿に載せることのリスクがあ
りますので、拒否することの自由さについても保証しなくてはいけません。
- 72 -
第47回東京都公民館研究大会
47回東京都公民館研究大会を
回東京都公民館研究大会を省みて~
みて~事務局から
事務局から
1 本年の研究大会の特徴
第一に、全体が一堂に会する場が一切なく、課題別集会だけに純化したことです。昨年は出
席者数に制限を設けた上ではありますが報告集会を開催しました。これが全体会の代わりとな
り、会長挨拶や東京都教育庁からの祝辞等を直接受ける場にもなりました。しかし、その分課
題別集会の時間が短くなったこと、移動に一定の時間を要したこと、挨拶等いわゆるセレモニ
ー実施の是非、等々多くの声が上げられ、今回の企画につながりました。課題別集会に純化し
たことはおおむね好評でしたが、大会テーマとの関係や全体の動きが見えない等いくつかの課
題も指摘されました。
第二に、企画委員会の充実です。ここ数年の傾向として公運審委員を含め各市複数の企画委
員を派遣していただいていますが、とりわけ今回は小金井市の特徴でもある企画実行委員が大
会企画委員にも加わったため、より充実した企画委員会が実現しました。
2 大会テーマ
「地域と歩む公民館」というテーマを掲げた昨年の大会。そこで論議された議題のいくつか
が、今年に残されました。教育基本法の改正と、その後の社会教育法の改正後の動きをどうと
らえるのか。公民館は取り残されてはいないか。公民館らしさとは何なのか。公民館が地域に
出るとはどういうことか。こういった多くの課題を前にして本年のテーマについての論議が始
まりました。
大会企画委員の会議では、思い切って「地域と歩む公民館Ⅱ」として昨年からのテーマを深
めることになりました。同時に、公民館をめぐる指定管理者制度の導入が進む中、あらためて
公民館の果たす役割を再確認しようという思いも出されて確認されました。
3 大会までの運営
昨年3月から各市の公民館運営審議会委員、大会事務局市である小金井市の公民館企画実行
委員、各市の職員が大会企画委員として準備に集まっていただき、ほぼ一年間、にわたり大会
の企画運営にご活躍いただきました。次回事務局を担当する小平市の職員には、来年のために
もと快く座長を引き受けていただきました。6月ころまでは、大会の方向性を確認するために
大会趣旨の討議というかたちで討議を深めました。その後は、課題を整理して各課題別集会へ
とつなげていきました。一方、全体会をなくしたことの是非、一体性のある大会とするために
はどのようなフォローが必要なのかの議論も行いました。都公連機関紙「トリターマ」へ逐次
論議のプロセスを掲載していくことも、そのような論議のなかから生まれました。
4 大会当日
三多摩各市から351名の参加がありました。かつての参加者数から比べると少ないとい
う声もありました。しかし、いくつかの市が東京都公民館連絡協議会から脱退する状況下にお
いては、それなりに頑張った結果ではないかという声もいただきました。また、東京都公民館
連絡協議会の非加盟市からの参加者も多く、行政の判断で社会教育・生涯学習活動への市民参
加に不平等が生じる現在のあり方を真剣に受けとめなければいけない課題も浮き彫りになりま
した。
5 アンケート
169通のアンケートの回答がありました。大会のテーマについては、73パーセントの方
が妥当であったと回答しています。しかし、大会テーマの達成や課題別集会当日の運営につい
ては、改善の余地があるという回答も多く、今後の課題となりました。また、他市との交流や
学習機会として有意義であったという声は多く、
行政の枠組みを超えた研究大会の意義があら
ためて確認されたかたちになりました。
- 73 -
第47回東京都公民館研究大会集計表
課題別
集会番号
集会場所
参加
当日
合計
申込人数
申込数
申込人数
1
小金井市公民館(福祉会館3階・4階)
76
1
77
2
小金井市公民館本町分館
69
3
72
3
小金井市役所本庁舎第一会議室
73
2
75
4
小金井市役所第二庁舎 801・802
56
0
56
5
(小金井市)福祉会館2階
60
2
62
事務局
小金井市公民館(福祉会館3階・4階)
9
0
9
343
8
351
合計
- 74 -
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