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(2013年5月)(PDFファイル)

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(2013年5月)(PDFファイル)
全米保険長官会議(NAIC)による
「同等性を有する管轄区域リストの作成
および維持に関する手続き案」の概要
(2013年3月29日付ドラフト対応版)
一般社団法人 日本損害保険協会 国際部
(2013年5月作成)
1
(まとめ) 俯瞰図
これまで
今般
米国では州内出再が
基本
州外出再する場合、
一定の条件を満たした「Accredited
Reinsurer」への出再でない限り、
出再社は出再効果を得られない
Accredited reinsurerには二種類ある
Reinsurer
Domiciled in
Another State
Reinsurers
Maintaining Trust
Funds
(NAICの種々のモデ
ル法をあまねく充足し
ているaccredited
state(すなわち米国
内の同等な他州)の
受再者であることが
想定されている。担
保要件はなし。)
(引受負債相応額の
担保拠出を含む。)
※これまで、日本社
などはこちらに含まれ
ていた。当業界もこの
内外差別的な担保要
件の撤廃を長く求め
てきた。
内外差別規制であり、問
題
国外その他からの規制改革要望への答えとし
て、担保を拠出している会社を対象に新たに
「Certified Reinsurer」というステイタスが創設
されることになった(担保要件の水準が個社の
健全性等に応じて一定緩和される)
ただし二重条件を課せられる
(今般のNAICモデル法・規制による)
Certified
Reinsurerになる
ためには個社審
査をクリアする必
要がある
かつCertified
Reinsurerになる
ためにはそもそも
母国(免許を受け
た国)がQualified
Jurisdictionであ
る必要がある
二重審査であり、問題
かつ既にNY州等で
Certified Reinsurer資格
を得ている会社もあり、こ
の段階での要件追加は
問題
2
米国における再保険担保規制
•
•
•
米国外の再保険会社によるクロス・ボーダーの受再に関し、当該社の信
用リスクの濃淡に関係なく、一律に引受負債相応額の100%の担保が求
められている。
これにより不当に過大なコストが課され、ビジネス上の不利益が生じてい
る。
本規制は米国外の受再保険者のみをターゲットにした差別的な規制と
なっている。
※ ニューヨーク州(NY)とフロリダ州(FL)は、独自に再保険規制改革を進め、優良な格付を有し、一定の条件を満たし
た再保険者には再保険担保の減額を認める制度を既に導入している。(NY:2010年導入、FL:2008年導入)
•
損保協会は、日米規制改革イニシアティブ等の政府間協議やNAICが実
施したパブリックコメントの機会を利用し、再保険担保撤廃・低減を訴え
てきた。
※(ご参考)第8回日米規制改革イニシアティブ報告書:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/keizai/pdfs/8_houkoku_j.pdf
3
2011年採択の再保険モデル法(1)
•
全米保険長官会議(NAIC)は、2001年から、再保険規制改革の検討を
行ってきた。2011年秋に、再保険担保の減額制度を含む改革案が、
NAICモデル法およびモデル規制として正式に採択された。
◆ 2011年採択版モデル法
http://www.naic.org/documents/committees_e_reinsurance_related_docs_preface_adopted_ex_plenary_111106.pdf
◆ 2011年採択版モデル規制
http://www.naic.org/documents/committees_e_reinsurance_related_docs_preface_adopted_ex_plenary_111106_3.pdf
•
当該モデル法・モデル規制の検討段階において、損保協会から適宜、再
保険担保の撤廃・低減に向けた意見を提出している。
◆ 2010年NAICパブコメに対するコメント
http://www.sonpo.or.jp/about/action/youbou/pdf/0003/2010_08.pdf
◆ 2011年NAICパブコメに対するコメント
http://www.sonpo.or.jp/about/action/youbou/pdf/0003/2011_08.pdf
※ モデル法・モデル規制とは、各州の保険長官で構成するNAICが独自に作成する
規範だが、NAICには監督権限はなく、各州にこれらを遵守させる強制力はない。
4
2011年採択の再保険モデル法(2)
•
一定の資本要件や報告要件を満たせば、再保険会社が有する格付(※)
に応じ、求められる再保険担保は下の表にある割合となり、減額が認め
られることとなる。テーブルに基づく担保の減額制度は、改革を先行実施
しているニューヨーク州やフロリダ州の制度と類似している。
(※ 複数の格付け機関を用いることが求められる。)
•
州外の米国内再保険会社にも同じ要件が課せられるため、内外差別的規制では
ない。
クラス
担保率
A.M. Best
S&P
Moody’s
Fitch
Secure-1
0%
A++
AAA
Aaa
AAA
Secure-2
10%
A+
AA+、AA、AA-
Aa1、Aa2、Aa3
AA+、AA、AA-
Secure-3
20%
A
A+、A
A1、A2
A+、A
Secure-4
50%
A-
A-
A3
A-
Secure-5
75%
B++、B+
BBB+、BBB、BBB-
Baa1、Baa2、Baa3
BBB+、BBB、BBB-
Vulnerable – 6
100%
B以下
BB+以下
Ba1以下
BB+以下
5
同等性を有する管轄区域の選定手続き(1)
•
NAICのモデル法に定められる再保険担保の減額制度の適用を受ける
ためには、以下の2つの評価が実施される。
1.海外再保険会社が本拠を置く管轄区域について、出再保険会社の監
督者(州当局)が「同等性を有する管轄区域(Qualified Jurisdiction)」と
認めること。
2.個別再保険会社の信用リスクについて、出再保険会社の監督者(州当
局)が評価し、再保険担保減額の適用が適切であると認めること。
(補足)
• 今回市中協議に付されている文書は、上記1.に関する手続きを規定するもの。
• 本件は昨年末にも市中協議を実施しており、今回の市中協議案は2次案(修正案)に関する
もの。
6
同等性を有する管轄区域の選定手続き(2)
•
•
•
•
最終的に同等性を判断するのは個別州保険長官だが、これを補助するためのリ
ストをNAICが作成する。
評価対象国の意思表明によって手続きが開始される。この手続きは、当該国の
保険当局(我が国では金融庁)からの情報提供や必要に応じたオンサイト評価を
含む一定の協力が前提となっている。
評価は、①FSAP(※1)やROSC (※2)等の一般公開情報を基にした評価(評価
対象国には当該情報のアップデート、および一般公開情報でカバーされていない
範囲で評価情報の指標(セクションA – G)に定める情報の提出が要請される)、
②(必要に応じて)対象国による補足情報の提出、③(必要に応じて)オンサイト
評価、という手順で行われる(セクションA – Gの内容は次のスライドを参照)。
同等性が認められた場合、対象国の再保険監督制度の変更等に対応した継続
的な再評価、および5年に1度の全般的再評価の実施が想定されている。(5年に
1度の全般的再評価については、妥当と判断された場合には簡略な取り扱いが
認められる。)
※1 FSAP: IMFと世界銀行が共同で実施する金融セクター評価プログラム
※2 ROSC: IMF/世界銀行の「国際基準の遵守状況に関する報告書」
(補足)
• 2次案では、特に3点および4点目の手続が修正されている。
• 具体的な修正内容は、スライド10ページをご参照。
7
同等性を有する管轄区域の選定手続き(3)
•
対象国の評価は、まず最新のFSAP、ROSCその他関連する公開情報を
基にするが、以下の指標(セクションA – G )で特定される情報のうち、公
開情報でカバーされないものについて、当該国に提出が求められる。
A.法律および規制
E.対象国の再保険者の業績
B.規制実務および手続き
F.米国の最終判決の執行に関する
制限
C.米国に本拠を置く再保険者に
適用される規制
G.清算手続( "Solvent Scheme of
Arrangement")※
D.監督協力および情報共有
※"Solvent Scheme of Arrangement":
裁判所の認めた方法に従って複数の債権者との間の保険債務を一括して清算する手続き
8
前回提出した損保協会のコメント
•
•
•
•
•
評価対象国の規制の同等性評価が認められた場合、当該国の再保険
会社の個別審査は簡略化されるべき。
NAIC作成の同等性評価手続きは、既にニューヨーク州やフロリダ州で担
保の減額が認められている再保険会社の活動に悪影響が無いようにす
べき。
自己評価報告書への記載要件が過剰である。
FSAP(※)において、ICP(保険基本原則)の遵守状況が優れていると
評価されている管轄区域に対しては、NAICによる再評価は不要とする、
あるいは簡素化するべき。
5年毎に全体再評価を行うことは過剰である。
◆ 前回の意見照会時の損保協会のコメント
http://www.sonpo.or.jp/about/action/international/regulations/usa/pdf/qj/0002.pdf
9
前回版からの主な変更点
•
•
•
•
•
•
•
評価対象国に提出が求められていた自己評価報告書に関する記載が削除され
た(損保協会のコメント反映)。
対象国に追加提出が求められる情報は、一般に公表されていない情報に限られ、
一般公開情報と重複する情報の提出を求められた場合には、提出は不要である
旨が明記された(損保協会のコメント反映)。
評価情報の指標(セクションA – G )としては、前回版ドラフトで自己評価報告書
に含めるべき分野とされていた項目がほぼ採用されたが、各項目は満たすべき
要件の詳細な同等性を評価するためのものではなく、もたらされる結果を重視す
るアウトカムベースの評価手法が採用されることが明記されている。(セクション
A・Bについては、付属資料としてガイダンスが作成され、ここにもアウトカムベー
スでの評価の実施が明記された。)
評価にかかる費用をNAICが負担する旨が明記された。
評価手続に組み込まれていたオンサイト調査が任意実施となった(損保協会のコ
メント反映)。
5年に1度の全般的再評価について、妥当と判断された場合は簡略な取り扱いが
認められることが明記された(損保協会のコメント反映)。
評価プロセスで取り交わされる情報の機密保持に関する文言が拡充された。
10
損保協会コメント(概要)
•
前回のコメント募集の結果を反映した今回のドラフトの修正を歓迎する。
•
評価対象国の規制の同等性評価が認められた場合、当該国の再保険
会社の個別審査は簡略化されるべき。
•
NAIC作成の同等性評価手続きは、既にニューヨーク州やフロリダ州で担
保の減額が認められている再保険会社の活動に悪影響が無いようにす
べき。
11
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