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雪と雪・金属混合物の熱伝導度

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雪と雪・金属混合物の熱伝導度
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雪と雪・金属混合物の熱伝導度
村上, 茂樹; 前野, 紀一
低温科學. 物理篇 = Low temperature science. Series A,
Physical sciences, 48: 13-25
1990-03-12
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/18580
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
48_p13-25.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
S
h
i
g
e
k
iMURAKAMIandNorikazuMAENO 1
9
8
9 ThermalC
o
n
d
u
c
t
i
v
i
t
yo
fSnowand
Snow/MetalM
i
x
t
u
r
e
s
. LowTem
戸r
a
t
u
r
eS
c
i
e
n
c
e,S
e
r
. A,
48.(WithE
n
g
l
i
s
hSummary
p
.2
4
)
雪と雪・金属混合物の熱伝導度
村上茂樹
(北海道大学大学院理学研究科)
前野紀一
(低温科学研究所)
(平成元年 1
0月受理)
1
. はじめに
雪の中の熱輸送メカニズムとしては,
1
) 雪粒子の結合に沿う伝導,
) 対流による顕熱輸送, 4
)放射などが考えられる。
による熱輸送, 3
2
) 水蒸気の昇華凝結
このうち積雪内部では,
極端に大きな温度勾配下を除き対流は起きないと考えられるし 1), 一 般 に 放 射 は 無 視 し う る ほ
)と 2
) が重要なメカニズムと考えられる o このように純粋な熱伝導以外
ど小さい。従って 1
の熱輸送を含んだ,いわば実効熱伝導度のことを単に「熱伝導度」と呼ぶことにする。
積雪の熱伝導度は, 密度が 600kg/m3以下の範囲について Mellor (
1
9
6
4
)
2
) Yen (
1
9
8
1
)
3
)
司
によるレビューがある o 多くの研究は熱伝導度を密度の関数として表しているが,その値は同
じ密度の雪試料に対しでも研究者によって数倍の違いがある。このほらつきの主因は和泉・藤
岡 (
1
9
7
5
)
4
) や Pitman and Zuckerman (
1
9
6
7
)
5
) が示したように,雪粒子聞の結合の違いによ
ると思われる。しかし,積雪について熱伝導度と構造とを対応づけた研究は少ない。また,密
度 600kg/m3以上の範囲での熱伝導度の測定はほとんどない。
自然界には岩石氷河,凍土,氷衛星,主主星などの鉱物粒子を含んだ雪氷も存在する。凍土
7
) 鉱物粒子及び氷の含有率,空隙率といった
の熱伝導度についてはいくつかの測定があるが 6,
パラメーターを広い範囲にわたって変えて測定した例はない。
雪や鉱物粒子を合んだ雪氷の熱伝導度は,氷,空気,鉱物粒子の体積含有率と構造に依存
すると考えられる。本研究の目的は,これらの要素と熱伝導度の関係を調べることにある。雪
試料は密度 246kg/m3から 917kg/m3(純氷)までの天然と人工のものを用い,熱伝導度測定後,
薄片解析も行った。鉱物粒子を含んだ雪氷には鉱物粒子のモテ、ル物質として銅粒子と鉛粒子を
使った。これらの金属を使ったのは,物性が既知であるためと氷との熱的コントラストを明確
にするためである。熱伝導度の測定にはサーマル・プロープ法を用いた。測定はすべて
l
10C
で行った。
1
1
.
測定法
熱伝導!支の測定には非定常高~J~ 状熱訪日法のサーマル・プロープ法 8-10) を用いた。この方法は
* 北海道大学低温科学研究所業績
第 3
304号
低温科学物理篇第4
8輯 平 成 元 年
1
4
村上茂樹.I
J
I
I野紀一
測定のときに試料に与える温度勾配が小さく,測定時間が数分程度と短いので、試料が変質を起
こしにくいという特徴がある。
JJ;(が均一で等祖な無│仮試料内に存在する場合を考える。初期制度1'=1'
0 の試料
総状の熱 i
に時刻 t=Oより熱湯!から単位時間,単位長さあたり qの熱量を連続的に加える。加熱開始後,
時刻 t=t において熱源から距離 L だけ離れた試料内の点の ì~~度は
r
o
o
1
'(
L,t
)= 1
'
0
+~4iKとなる 11)。 ここで K は試料の熱伝導度,
μ
t
'
/
4
a
tム
-du
~-u
は試料の熱拡散係数,
(1)
μ
1
)
は積分変数である。 式 (
を漸近展開すると
ふ{
i叶長)+長
T(L
,
t
)= 1
'
0
+
E
7
5
!
(
£)
+
z
t
!ー
(
長
)_
.
.
.
}
となる。
(2)
2
)は加熱後の時間 tが十分大きく L
ここで 7はオイラ一定数 (
0
.
5
7
7
2…)である。 式 (
Vj4atが小さし、とき)
が小さし、とき (
ふ
,t
)= 1
'
0
+
1
'(L
(
与
)r
}
(3)
{
l
n
となる。時刻 t
[
, t
1
1
'とすると,式 (
3
)より
2間の温度差を L
斗 ln(
そ
)
L
1
1
'=
4
(4)
Heater
〆
IT
hermocouple
と書ける。式 (
4
)から q と L
1
1
'を 測 定 す れ ば
第 1図に実験に用いた子製のプロープの
構造を示した。長さ 60mm,外径 2mmのス
テンレス・スティール・チューブ内に,直径
0
.
0
7
6m mのコンスタンタ
γ線 を
2往 復 さ せ
たヒーターと,同じ直径の銅・コンスタンタ
ン熱電対とが入っている。 さら V
こチュープ内
FIll--EEOω
試料の熱伝導度 K が求まる。
S
t
a
i
n
l
e
s
s
S
t
e
e
lTube
の熱伝導を良くするためにチュープ内にはロ
ウを注入して固めてある。プロープを試料に
挿入するとき,プロープの表面にグリースを
⋮
一
回
一
塗った。軟らかし、試料に対してはプロープを
直接突き差し,硬いものにはドリルで直径
2mmの穴をあけてから挿入した。
第 2図に測定システムの概略を示した。
恒 瓶 槽 (HAAKEF3型)には,
-1PCのエ
.
l
O
Cで
チルアルコールを循環させ,精度士 O
第 1図
プロープの構造の模式図
1
5
雪と雪・金属混合物の熱伝苦手度
温度を一定に保った。直径 4~6 cm,
D
.
C
.Power
Supply
長さ 6~15 cmの円筒型の試料を恒
温槽内に入れ,その中心部にプロー
プを挿入した。試料の側面には熱電
対が取り付けられている。この熱電
対とプローブに内蔵された熱電対か
らの出力は冷接点と直流増幅~~ (
三
栄 6M72お よ び 大 倉 A M1
0
0
1
)を
経て
2チャンネノレベンレコーダー
0
5
3
)に 記 録 さ れ
(横河電機タイプ 3
る。試料の中心と側面の温度差が
O
O
.
lC 以 下 と な り , 両 者 の 変 動 が
O
.
0
1OC以 下 の 状 態 が 1
0分以上持続
原(高砂
したとき,直流定電流 j
GPT
6
0
1
)か ら 一 定 の 電 流 が 供 給 さ れ 測
定が始められた。測定はひとつの試
Cold
料について 2回以上行い,その平均
J
u
n
c
t
i
o
n
値を測定値とした ο
lII.試
試料は1.雪と氷
Cryostat
料
システムの概略図
第 2図
2
. 金属粒
. 金属粒子を含む雪の 3種類を用いた。
子を含む氷, 3
1.雪と氷
第 1表に雪と氷の試料をまとめた。試料は人工のものと天然、のものがある。天然のものは
温度勾配を水平にかけたときの熱伝導度を測定した。試料 A は氷を削って作った雪をシリンダ
ーにつめ,
一・軸圧縮して密度に変化を
第 1表
与 え た も の で あ る ( 第 3図 (
a
)
)
。圧縮一
雪氷試料の平均粒径と街度
一一一
¥
す る 際 の 圧 力 は 最 大 で 1MPa
,温度
は -10~-50C ,圧縮時聞は 10 分~数
¥¥│試
人
J
時間であった。天然試料である B
o(
し
まり雪),
料
l
名!平均粒径 [μmll 密 度 [kg/m
司
A1
抑 │ 凶 -812
B
3
9
0
389-807
Co(こしもざらめ雪)をそれ
ぞれふるいに通して結合を切り,
Aと
一
宗
一
可一一
E一
一
O-E 一
一
一四一日一
一口一 3 一
M 一目一
一
一一 B 一
然一
B K みほ
極の
J 区南そ
'
h
μ
知市刊んけ﹂﹂
hh つd
AW
示叩片
JHU 雪 U
似た門一示
図ま一ぺを
3 0 1 川宵片
第す乱写
ず
るを h 薄
あ百円刊一り
でド試行
ω
C 薄にほ
旦の
同様にして圧縮したものが人工試料
1
6
村上茂樹・官T
i野紀一
ト一一
第 3図
→
3mm-
3
試料の薄片写真 (
a
)試料 A,3
9
7kgfm3,(
b
)試料 B
o,3
5
4kgfm3,(
c
)試料 B,3
8
9kgfm
,
(
d
)試料 Do,4
2
9kgfm3,(
e
)みずほコア, 5
8
7kgfm3,(f)鍬粒子(平均粒径 22flm) を 9%
含む氷, (
g
)鉛粒子(平均粒径 640flm) を 15%含む氷
か,密度 897kg/m3で気泡を含むコア(地下集塊氷)
12,
1
3
) も使用した。
2
. 金属粒子を含む氷
鉛粒子と銅粒子が鉱物粒子のモデ、ル物質として用いられた。熱伝導度は,氷,鉛,銅がそ
.
3,36,405W/m.Kであり氷とのコントラストが明確である。金属粒子の平均粒径は
れぞれ 2
銅粒子が 22μm,鉛粒子は 16/llnと 640p mの 2種類である。試料は金属粒子と雪試料 Bを混
合し,それに OOCの水を加えて作ったむ測定終了後,試料を融かして金属の体積含有率 VMを
求めた、 VM は試料全体の休積に占める金属の体積として定義し ,3~433ぎまで変化させた。
1
7
雪と雪・金属混合物の熱伝導度
一方,試料は平均数万の空気を含んでいたが測定値は W oodside (
1
9
5
8
)
1
4
) のモデルに従い補
5
)。第 3[
玄1
(
f
)
, (
g
)に平均粒係 22μmの銅粒子を 9 %合んだ試料と平均粒径 640μmの鉛
正した 1
粒子を 15%含んだ試料の薄片写真を示した。
黒く見える部分が金属粒子である。
鉛粒子はほ
ぼ均一に分布しているが(第 3図 (
g
)
),銅粒子は凝集している可能性がある(第 3図
(
f
)
)
。 同じ
ことは平均粒径 16μmの鉛粒子についてもいえる。
3
. 金属粒子を含む雪
4
0!
1m の鉛粒子と雪試料
この試料は平均粒径 6
Bとを混合し,雪7
試 料 A,B
,Cと同様の圧
縮を行って作うた。但し,圧縮時の温度は OOC であった。鉛の体積含有~, VPb は 15%と 30%
の 2種類、とした。
I
V
. 実験
雪
1
.
と
結果
氷
第 4図に試料の密度 ρと測定された熱伝導度 K との関係を示した。 図 中 の 曲 線 は 最 小 二
POROSITY
0
.
6
0
.
8
2
.
5
0
.
2
(X-E¥﹀﹀)
BUBBLE ICE
1
:
:
. PURE ICE
-A
2
.
0
0.
4
A
oB
ロC
B
O
C
O
QD
O
+MIZUHO
(
J
)
回
X
1
.
5
コ
ロ Z00 ﹂︿EE凶工↑
﹀ト一﹀一ト0
1
.
0
0
.
5
O
200
400
DENSITY
第 4図
600
ρ
800
(kg/m3)
雪と氷の熱伝導度と密度の関係
。
1
8
村上茂樹・前野紀一
し
だ
た
乗法で求めた回帰 1
1総で (
5
)式で去される。
K と ρの単位は, それぞれ (W/m.K) お
3
よび (kgfm ,適用範囲は 2
50豆ρ豆917kg/m である。
3
)
K= 0
.
1
0
2-1.0
4x1
0
-3P十 3
.
7
3X 1
0
-6ρ2
4
(5)
方,第 5図は密度に対して試料の熱伝導度の対数をプロットしたものである。試料
B
o,
Co
,D。以外の試料については近似的に次の式が成り立つ。
lnK=m
ρ+
1
l
(6)
3
ここで 1
n
,nは定数である。密度約 650kg/m
以下ではそれぞれの試料ごとに
1
n,nの仰は異な
るが,これ以上の密度では nl,n の値は試料によらない。つまり試料 B
o,Co
,D。以外の測定結
果は 2本の直線で近似でき,
の任意の密度で
3
密度約 6
50kg/m3で折れ曲がる。ところで密度約 650kg/m
以下
A,B,Cの熱伝導度を比べると, A,B,Cの順に小さくなっている。すなわち
平均粒径の増加に伴って熱伝導度が減少している。この浬由については後に議論する。天然試
料である
B
o,Coは,それぞれこれらをふるいに通し結合を切って作った B,Cより大きな熱伝
導度を示す。
2
. 金属粒子を含む氷
第 6図に熱伝導度 K の対数と金属粒子の体積含有率
VM の関係を示した。 lnKと VM とは
ほぼ比例関係にあり,式 (
6
)と同様に
POROSITY
(¥ E¥
0
.
8
﹀﹀)
-A
X
A
oB
ロC
1
.
0
(
J
)
0
.
6
l
;
.
0.
4
0
.
2
BUBBLEICE
PUREICE
B
O
口 Z00 ﹂︿三江凶工ト
﹀ト一﹀一トOコ
(
]Co
Q 0
0
+MIZUHO
0
.
5
0
.
1
0
200
400
600
D
E
N
S
I
T
Y ρ(kg/m3)
第 5図
雪と氷の熱伝導度の対数と密度の関係
800
O
1
9
雪と雪・金属混合物の熱伝導度
三
﹀
)
E
・
(V4
201-
メ/
/
X
•
6
/ /
4
40
VOLUME FRACTION OF METAL VM
第 6図
mmm
30
﹃
20
﹁ rOFH
d
10
μ・
μO一
。
Pb
寸
A
JU
• Cu
o Pb
2
21FO
dzu
ロ Z00 ﹂︿EZU工↑
oコ
﹀ト一﹀一↑
10
8
イ
50
(%)
金属粒子を含む氷の熱伝導度の対数と金属の体積含有率の関係。
実線は測定値の回帰直線, 破 線 は W o
odside(
1
9
5
8
)
1
4
) の毛デノレ
に基づく計算値
lnK=mVM+n
が成り立つ。図中の 2本の直線(実線)は,銅と鉛についての回帰直線である。
(7)
鉛粒子につい
ては,熱伝導度の粒径依存性が認められない。これは平均粒径 16μmの鉛粒子が凝集し,実質
的には粒径 640μmの粒子と同じ効果を及ぼしているからと考えられる。
3
. 金属粒子を含む雪
金属粒子(鉛粒子)を含む雪について,熱伝導度の対数と空隙率の関係を第 7図に示した。
Vpb=15%の場合も 30%の場合も雪の場合と同様に,結果が 2本 の 直 線 で 近 似 で き 空 隙 率 約
0
.
3で折れ曲がりが見られる。破線は雪試料 Bについての結果で,折れ曲がりは B(
破線)と同
じ空隙率のところで起きている。このことからこの折れ曲がりは雪のものと同じメカニズムで
起きていると考えられる。
また金属粒子を含む雪の熱伝導度は,空隙率約 0
.
3以上では B よりも小さく,それ以下の
空隙率では B よりも大きい。この結果は,後で述べるように,雪氷試料の熱伝導度に対する金
属粒子の効果を考える上で重要な点である。
v
.
1
. 雪
と
考
察
氷
熱伝導度の測定後,雪試料の薄片を作り写真撮影し,雪粒子聞の結合部の太さ 2Xを測定
2
0
村上茂樹・前野紀一
(¥ E¥
10
﹀﹀)
5
X
コロ
﹀ト一﹀一トO
1
.
0
Z00 ﹂︿芸江凶エト
0
.
5
•
V
ptf30%
f
:
i
0
.
1
0
.
5
0.
4
_.=15%
ム V
ρb
0
.
3
0
.
2
0
.
1
O
POROSITY
第 7図
金属粒子(鉛粒子)を含む雪の熱伝導度の対数と空隙率の関係。
破線は試料 Bの測定値を示す
した。この測定にはデジタイザ(グラフテック欄,マイタブレット II-KD4
0
3
0
) を用いた。結
合部の切口が写真に垂直な円板であると仮定して1.'π
( X2)を求め,これを測定した面積で割っ
2
て単位面積あたりの結合部面積 (m2Jm
) を求めた。第 8図に密度と結合部面積の関係を示し
o,Co
,Doは大きな偵を示している。それ以外の試料は密度約 6
5
0kgJm3で急
た。天然の試料 B
速に結合部面積が増大している。
第 8図で B
o,Coは結合部の面積が同一密度のほかの試料より大きく , Doは特に大きい。
第 5図の熱伝導度はそのことに対応して, B より B
oのほうが, C より Coのほうがそれぞれ大
きくなっているし ,Doの熱伝導度はほかのものより特に大きくなっている。これらのことから
50k
g
J
粒子間結合は熱輸送に大きく寄与していることがわかる。また,結合部の面積は密度約 6
m3で、急速に増加しているが,熱伝導度は同じ付近で折れ曲がりがあり,両者が対応している
可能性がある。
海老沼・前野 (
1
9
8
4
)
1
6
) は雪の圧密過程において,歪速度の対数と密度との聞には近似的
に直線関係が得られ,直線がある密度で折れ曲がることを見つけた。彼らは,この宿度で氷粒
2
1
雪と雪・金属混合物の熱伝導度
1↓
0.
20ト
ー
-A
08
ロC
80
回 C
o
E
I
f
。
、
、
、
E
0
.
1
5ー
g
ー
ー
D
O
ー
+MIZUHO
+
ー
/
/
/
/
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/
/
+//
•
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ノ ~O
/
Pf
/
@
0
.
1
0ト
《
w
江
《
F円︾
ハU
ハU
OZO白
の
ロ
I
田
I
ー
ト
/I
/〆/
ー
ー
.//
.
.
./,
"
.
.
"
,
ー
J 、
。
ロ
ー ーーロ
。
.
勺
.
/
.
O
DENSITY
第 8図
800
600
400
ρ (kg/m3)
薄片単位面積当りの雪粒子聞の結合面積と筏度の関係
子の充填状態が-つの安定な状態に達し,それまで卓越していた粒子の再配列メカニズムが重
要でなくなるという意味でこの点を「限界街度」と定義した。限界密度は加える圧力に依存す
る。彼らの実験結果ーによれば, 本実験のように約 1MPaでサンプルを作った場合, 限界密度
50kg/m3 となるが,
は約 6
3
第 5図 に 見 ら れ る 直 線 の 折 れ 曲 が り は 密 度 約 650kg/m
となって
いる。
ここまでは雪の構造と熱伝導度の関係を考察してきたが,先に述べたように水蒸気の昇華
1
9
5
0
)
17) はマイナス数。C において積雪の熱輸
凝結による熱輸送も無視できない。吉田・黒岩 (
送における水蒸気の寄与率は約 50%であることを示した。
また,前野 (
1
9
8
6
)
1
8
) は Woodside
(
1
9
5
8
)
1
4
) と PitmannandZuckerman (
1
9
6
7
)
5
) の方法を使って積雪中の熱伝導度における水蒸
気の寄与率を計算した。その結果,
450kg/m 3 の場合
o
-lOC に お い て 密 度 200kg/m3 の場合 40~50% ,密度
20~30% という値を得た。
3
第 8図に示されたように密度約 500kg/m
以下では試料 A,B,C の結合部面積はほぼ一定
である。しかし試料 A,B,Cの熱伝導度はそれぞれ違っている。この違いは熱伝導度に対す
る水蒸気の寄与率が試料 A,B,C で異なるためと考えられる。第 1表に示したように試料 A
村上茂樹・前野紀}
2
2
は粒径がいちばん小さく,ついで Bそして C という順になっている。ゆえに比表而杭の大きさ
は A が最大,続いて B,Cの順となる。従ってこれらの試料が│寸じ温度勾配下にさらされたと
き,最大の水蒸気フラックスを持つものは A,続いて B,最小のものは Cで あ る と 考 え ら れ
る。これが第 5図で A,B,Cの熱伝導度が違うことの説明である。つまり同-悦度の雪の場
合,粒径が大きいほど熱伝導度に占める水蒸気の寄与は小さくなると思われる。事実, Sawada
e
ta
l
.(
1
9
8
2
)
1
9
) は粒径の大きな雪試料を使った熱伝導度の測定を行い,小さな測定{f
lを 得 て
いる。
2
. 金属粒子を含む氷
1
9
5
8
)
1
4
)のモデルを適用してみる。気体中に立方格子に配列
この試料に対して W oodside(
した均一な固体の球を考える。そして次の
3
.
0
2つの仮定のもとに,気体と固体の熱伝導
度からこの系の熱伝導度を求める。第一の
‘』
企も tf30%
仮定は気体の占める部分が小さく,対流に
ム V
ρb
'15%
よる熱輸送が無視できること,第二の仮定
は等温面は平面で熱流の方向に垂直である
2
.
5
ということである。ここで気体を氷に,間
体の球を金属粒子にそれぞれ置き換えて金
属を含む氷にこのそデルを適用してみた。
第 6闘に破線で計算結果を示した。銅,鉛
ともそれぞれの回帰線とほぼ一致すること
がわかる。
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3以上では,
第 7図において空隙率約 0
氷よりも 1桁も熱伝導度のよい鉛の粒子を
A
雪に混ぜているにもかかわらず,熱伝導度
の(直が雪試料 Bの 値 よ り 小 さ く な っ て い
る。第ーに金属粒子を含む雪の場合,金属
一ム
粒子自体は昇華を起こさないために同ーの
1
.
0
空隙率を持つ雪に比べて熱伝導度に対する
‘』
水蒸気の寄与率が小さくなる。この効果は
A 一
AaA
る 。 こ の 原 因 と し て 次 の 2つが考えられ
ム
空隙率が大きいほど大きいと考えられる。
なぜなら,熱伝導度に対する水蒸気の寄与
率は,空隙率が大きいほど(密度が小さい
ム
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1
ほど)大きし、からである 18)。第二に雪の中
に金属粒子が混じることによって,雪粒子
聞の結合の発達が妨げられる可能性が考え
0
POROSITY
第 9図
試 料 Bの熱伝導度で規格化した鉛粒子を
合む雪の熱伝導度と~隙率の関係
2
3
雪と雪・金属混合物の熱伝導度
られる。
.
3以下では,空隙の減少にともない,
第 7図の空隙率約 0
雪粒子間および雪粒子・金属粒
子聞の結合が発達すると思われる。そのため金属粒子の大きな熱伝導度の効果が効いてきて同
・の空隙率を持つ雪より熱伝導度が大きくなる。
このように金属粒子を含む雪は,含まない雪に比べて熱伝導度が大きくなる場合と小さく
なる場合がある。この様子を第 9図に示した。横軸は空隙率,縦軸は雪試料 Bの熱伝導度で規
格化した熱伝導度,KfK
.
3以上で 1より小さく,空隙率約
B が取ってある。町 KB は空隙率約 0
0
.
3以下では 1 より大きいことがわかる。
VI . ま と め
天然、および人工の雪と,金属粒子を含む雪氷について
l
10C で熱伝導度を測定した。人
工の雪試料は一軸圧縮して密度に変化を与えた。金属粒子は鉱物粒子のモデル物質として用
し
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こ
。
雪の熱伝導度の対数と密度との聞には近似的に直線関係が得られ,密度約 650kgfm3で直
線の折れ曲がりが見られた。この折れ曲がりは圧縮して作った人工の雪試料にも南極のみずほ
コアにも見られた。これらの試料の簿片解析を行った結果,密度約 650kgfm3 で結合が急速
に発達することがわかった。結合の発達が折れ曲がりのメカニズムと対応していると考えら
れる。
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1
4
) のモデルを用いた計算
金属粒子を含んだ氷の熱伝導度の測定結果は , Woodside (
結果とほぼ一致した。
金属粒子を含む雪の熱伝導度の対数と空隙率との聞にも,雪の場合と同様の直線関係が得
られ,空隙率約 0
.
3で直線の折れ曲がりが見られた。
また,金属粒子を含む雪の熱伝導度は,
.
3以上では同じ空隙率を持つ雪より小さく,空隙率約 0
.
3以下では同じ空隙率を持
空隙率約 0
.
3以上で金属粒子を含んだ雪の熱伝導度が雪より小さくな
つ雪より大きくなった。空隙率約 0
る原因は 2つ考えられる。第.~;こ金属粒子が混じったことにより,熱伝導度に対する水蒸気の
な与率が低下すること,第二に金属粒子が混じったことにより雪粒子聞の結合の発達が妨げら
れることが考えられる。
本論文は著者のひとり(村上)が理学研究科修士課程の修了研究として実施したものをま
とめたものである。終始助言をいただいた成瀬廉二助教授,西村浩一助手,サーマル・プロー
プ法について助言をいただいた福田正己助教授,南極みずほコアを提供いただいた成田英器講
師,地下集塊氷の試料を提供くださった藤野和夫教授に深く感謝の意を表します。
文 献
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7 雪氷の熱伝導メカニズム. 北海道大学大学院理学研究科修士論文.
1
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) 海老沼孝郎・前野紀一 1
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4 加圧焼結現象としての雪の圧密の研究 (
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) 吉田順五・黒岩大助 1
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0 積雪内部の昇華. 低温科学,物理篇, 3,8
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6 雪氷の構造と物性. 古今書院, 1
7
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) 前野紀一・福田正己編 1
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