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平成21年度 「地域密着型金融の取組み状況」について
平成 21年度 「地域密着型金融の取組み状況」について 北國銀行では、 「豊かな明日へ、信頼の架け橋を」という企業理念のもと、地域金融機関と して円滑な資金供給と多様で良質な金融サービスの提供を通じて、地域社会の更なる発展 と地域経済の活性化に貢献するため、平成 21年度から23 年度の3 年間を期間とする「地 域密着型金融の取組み方針」を策定し、実践しております。 このうち、平成 21年度の取組み状況につきまして、できる限り分かりやすく紹介させてい ただくため、本書を作成いたしました。ご高覧いただければ幸いに存じます。 【CONTENTS】 ■ ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化 ■ 事業価値を見極める融資手法をはじめ中小企業に適した資金供給手法の徹底 3 ■ 地域の情報集積を活用した持続可能な地域経済への貢献 4 平成 22 年 5月 ライフサイクルに応じた 取引先企業の支援強化 【 創業・新事業支援 】 ■ 産学官連携による情報提供 ■ コンサルティングと資金供給 【 経営強化支援 】 ■ 相談・専門家派遣 ■ 海外ビジネス支援 【 事業承継支援 】 ライフサイクルに 応じた支援強化 ■ 支援体制の構築 ■ 外部支援機関との連携に よる専門家派遣 ■ ビジネスマッチング 【 事業再生支援 】 ■ 経営改善計画の策定および 実践支援 ■ 中小企業再生支援協議会等 との連携強化 創業・新事業支援 創業や新事業への支援は、当地産業の持続的な発展に、欠かすことの出来ないテーマであります。創業・新事業支援にあたり、まず産学官と の連携を強化するなかで、セミナー等を実施し、新規事業者に対して起業や新事業の事業展開に資するような有益な情報を提供していきます。 また地域でのネットワークを利用した創業・新事業段階におけるコンサルタントや資金調達面での支援も行っていきます。その際には、若手 経営者向け勉強会等の開催による機会創出や公的支援の活用提案、地域の創業・新事業支援を行う機関等との連携による支援に取り組みます。 最後に、地域への医療体制確立の取組みを側面から支援すべく、地元関係機関と連携した医療開業案件への取組み体制を構築いたします。 平成 21 年度の具体的な取組み内容 ■「いしかわ産業化資源活用推進ファンド」を周知 ■ 農業進出・農商工連携を支援 ●農業ビジネス・農商工連携をテーマにしたセミナーを開催(2 回) 平成 20 年 5 月に創設された同ファンド(基金総額:200 億円 うち ●日本政策金融公庫が実施する農業経営の改善支援を行える農業経 当行 80 億円拠出)の周知ならびに活用を促すため、活性化ファンドセミ 営アドバーザー制度の試験に当行行員 3 名が合格 ナーを開催し、ファンド申請書類作成等を支援しました。 ※ 21 年度は 86 件を認定(うち当行取引先 70 件) ●石川県農業信用基金協会と債務保証契約を締結し、幅広い資金ニー ■ 第3 期北國エグゼクティブカレッジを開講(21 年5 月~22 年3 月) ※今後も農業ビジネスを将来の成長産業として捉え、各種取組みを実 ズに対応 施していきます。 コーディネーターに北陸先端科学技術大学 院大学教授を招き、全 12 講義を実施。実践 ■ 創業・新事業支援融資商品の実績 的な経営改革手法の提供や参加者相互のネッ トワーク形成に役立つ場を提供しています。 平成 21 年度 ※若手経営者を中心に 18 名が受講 70 件 / 468 百万円 経営強化支援 経営強化支援では、最新の手法を利用した専門的なノウハウが必要不可欠となっています。そこで、経済産業省中部経済産業局より採択され た「地域力連携拠点事業」を活用し、本部行員と外部専門家の連携により、専門性の高い相談業務を実施しました。 ビジネスマッチング業務は、取引先企業の販路開拓支援や新事業・新技術の創出につながる重要な業務です。各種商談会を開催し、相談会を通 じて、取引先企業に参加を呼びかけるなかで、販路開拓支援を行っていきます。 また取引先への海外ビジネス支援も重要な経営強化支援であり、専門的知識をもった行員の育成を継続的に実施していきます。 平成 21 年度の具体的な取組み内容 ■ 地域力連携拠点事業による取組み ■ 各種商談会の開催によるビジネスマッチング業務の強化 ●本部行員 3 名のコーディネーターを設置し、相談業務を展開し、外部専 開催月 門家を派遣(相談企業数:168 先 専門家派遣企業数:71 先) ●経営相談所を従前からの法務税務相談窓口に加え、経営支援の相談窓 口として活用(相談件数:67 件) 11 月 ●各種セミナーを開催(6 回) 商談会名 : 362社 第 5 回 FIT ネット商談会 来場者数 : 2,118名 ※「食」をテーマにした商談会 商談件数 : 1,140件 成約件数 : 224件 参加企業数 : 17社 ※経済産業省が実施した相談企業へのアン ケート等において、当行が優良拠点とし ての評価を得ました。 12 月 ■ 海外ビジネス支援の取組み シンガポールバイヤー うち当行取引先 : 12社 北陸食材商談会 商談件数 : 17件 成約件数 : 9件 出展企業数 : 139社 ●本部内にアジアデスクを設置し、取引先の海外ビジネスについて相 談(相談件数:71 件) 12 月 ●上海・シンガポール駐在員事務所による海外現地法人訪問とニーズ 発掘(訪問件数:118 件) 実績 参加企業数 ものづくり商談会@上海 うち当行取引先 : 10社 2009 WINTER 来場者数 : 2,400名 商談件数 : 3,500件 ●「中国常州投資セミナー」を開催(参加企業数:31 社) 事業再生支援 事業承継支援 お客さまとのリレーションを強化し、早い段階で経営に関する問題 点の共通認識を持ち、経営改善計画書の策定支援および経営指導を行 うことで顧客満足の向上および当行の資産等の健全化を目指します。 また中小企業再生支援協議会および外部専門家との連携強化によ り最適な事業再生手法の活用に加え、これらの実践の中で再生ノウ ハウを蓄積していきます。 さらに中小企業対象の事業再生ファンド組成を検討し、長期的視 点に立った再生支援に積極的に関与していきます。 地域企業の経営者における悩みとして多いのが、事業承継の問題 です。当地においても経営者の高齢化が進んでいる企業が多く、地域 金融機関として事業承継への取組みは、企業経営者とのリレーション シップ構築の中で重要な要素となっています。 そこで、本部に事業承継担当者を配置し、営業店と本部が一体と なって適切な提案を行えるよう体制を整えており、担当者が協働して 事業承継課題の解決を支援していきます。 また業務提携している税理士、会計士事務所の活用および事業承継 センターとの連携、専門家派遣により、事業承継相談に積極的に取り 組んでいきます。 平成 21 年度の具体的な取組み内容 ■ 中小企業再生支援協議会の活用 再生計画策定先 うちメイン行として案件を持ち込んだ先 平成 21 年度の具体的な取組み内容 14 先 12 , 366 百万円 9先 10 , 950 百万円 ■ 地域力連携拠点事業による事業承継相談、専門家派遣 事業承継相談件数 ※ 金額は平成 22 年 3 月末現在の債権残高です。 専門家派遣 ■ 再生支援取組み状況 経営改善支援取組み先 408 先 うち再生計画策定先 199 先 うちランクアップ先 30 先 平成 22 年 3 月、当行と石川県中小企業団体中央会は経済産業省中部経 済産業局の「中小企業応援センター事業」の採択を受け、4 月より共同で 「かが能登かなざわ中小企業応援センター」として、事業承継等の中小企 業の高度・専門的な課題に対し、 ランクアップ率 再生計画策定率 7.2% 7.4% 48 . 8 % 窓口相談や専門家派遣、他支援 機関との連携等により、中小企 業の経営力向上を支援してい きます。 ※ 経営改善支援取組み率の対象となる債務者数(正常先除く)は 5 , 635 先です。 DIP ファイナンスの実績 1先 3件 ■ 外部機関との連携による取組み強化 ※ 上記先数には正常先を含んでおりません。 経営改善支援取組み率 19 件 5 , 200 百万円 事業価値を見極める融資手法をはじめ 中小企業に適した資金供給手法の徹底 中小企業に適した資金供給手法の徹底 不動産担保・個人保証に過度に 依存しない融資の取組み 融資取引に関する 説明態勢の整備・強化 ■ 中小企業向け融資手法の ■ 顧客説明ルールの改訂 多様化およびノウハウの蓄積 事業価値を見極めた 融資手法の確立 ■ 信用格付制度の高度化 ■ 目利き機能の向上 融資取引に関する説明態勢の整備・強化 不動産担保・個人保証に過度に依存しない 融資の取組み 融資取引に関するお客さまの立場に立った説明態勢の整備と強 化を行っていくためには、行内ルールの見直しが必要と考えており、 定期的に融資取引に関する説明マニュアルの改訂を行っています。 また併せて行内周知を徹底していくため、クレジットポリシーお よび融資取引に関する顧客説明態勢の集合研修および店内研修を実 施しています。今後も継続的に研修を行い、融資取引に関する顧客 説明の周知徹底をさらに強化させていきます。 不動産担保や個人保証への過度の依存からの脱却は、お客さまの ニーズからも、その重要性がさらに増しています。そこで、お客さ まの幅広い資金ニーズに柔軟に対応するため、融資手法の多様化お よびノウハウの蓄積に積極的に取り組んでいきます。 特にABL等の動産・債権譲渡担保融資、シンジケートローン、プ ロジェクトファイナンス等を活用して、中小企業向け融資手法の多 様化に取り組むとともに、ニーズに応じて、政府系金融機関と連携 し、新たな融資手法にも取り組んでいきます。 また信用格付制度の高 度化により、お取引先企 業の信用リスク量を、正 確かつ精緻に把握するこ とで、貸出金利の適正化 目 利 や無担保融資枠の適切な き 設定、個人保証へ過度に 依存しない融資の取組み へとつなげていきます。 定性情報を活用した取引先の事業価値を 見極めた融資手法の確立 取引先の事業価値を見極めた融資手法を確立するためには、中小 企業向け融資判断に有効と思われる財務情報以外のお取引先の情報 (これを定性情報といいます)の蓄積が必要と考え、定性情報の蓄積 による信用格付制度高度化を実施しています。 また、融資担当者を対象とした業種別与信判断研修を通じ、行員 の目利き能力の向上、各種事業知識の習得に努めています。 ※ ABL(アセット・ベースト・レンディング)…動産担保融資 平成 21 年度の具体的な取組み内容 平成 21 年度の具体的な取組み内容 ■ 融資手法の多様化 ■ 信用格付制度高度化プロジェクト 平成 22 年 3 月、業界最大手であるABL総合支援会社「トゥルー バグループホールディングス株式会社」と業務提携しました。 平成 19 年度より開始した信用格付制度高度化に向けたプロジェクト の中で、中小企業向け融資判断に有効と思われる定性情報 16 項目(代表 者の資産状況、代表者の資質、後継者の有無、技術力、販売力、事業計画 ■ 平成 21 年度 動産・債権譲渡担保融資の実績 の有無ほか)のデータ収集・蓄積を行うことができるシステム開発が完了 動産・債権譲渡担保融資実績 6件 175 百万円 うち売掛債権担保融資 3件 55 百万円 うち動産担保融資 3件 120 百万円 し、平成 20 年 11 月より定性情報の収集・蓄積を開始しました。 1 年を通じて、中小企業融資先 7 , 000 社以上の定性情報の収集、 蓄積を行いました。今後も継続して定性情報の収集、蓄積を行い、 平成 22 年度終了後にデータ分析試行を予定しています。 3 地域の情報集積を活用した 持続可能な地域経済への貢献 地域経済活性化への 取組み ■ プロジェクト案件への参画 ■ 助成活動 ■ 地域貢献事業への参画 地域に根ざした 商品・サービス 金融経済教育の 充実 ■ お客さまの声の吸収 ■ 金融犯罪対策への取組み強化 ■ バリアフリー対応 ■ 金融経済教育セミナーへ ■ ポイントサービスの推進 ■ 企業見学、職場体験の受入れ の講師派遣 地域経済活性化への取組み 地域経済の活性化に関しましては、持続可能な成長を視野に入れた同時的・一体的な「面」的再生への取組みが、まさに必要となっており、当 行としましても地域活性化事業へは積極的に参画していきます。具体的には、地域におけるプロジェクトファイナンス関連案件を積極的に推進 し、外部機関との関係を強め、社会貢献融資のノウハウ習得、実践を行っていきます。 (財)北國銀行産業振興財団による助成活動も継続して実施していきます。 その他、地公体が実施する地域貢献事業に積極的に参画することで、地域経済活性化の推進に取り組んでいきます。 平成 21 年度の具体的な取組み内容 ■ 地域におけるプロジェクト案件への参画 ■ 地公体が実施する地域貢献事業への参画 金沢大学附属病院「金沢先進医学センター」整備事業へ参画 石川県が地球温暖化防止活動を支援する 仕組みとして展開している「いしかわエコ ■(財)北國銀行産業振興財団による助成 チケット事業」の協賛企画として「北國環 境定期預金」 (いしかわ eco ファンド認定 21年12 月に、石川県内12 企業に総額1, 600 万円を助成しました。こ 商品)を発売しました。 れにより、過去 27回にわたり、累計 325 件 4 億 3, 200 万円の助成を行い ※本定期預金の募集金額 50 億円の 0 . 05 % ました。 (250 万円)を、 「社団法人いしかわ環境 パートナーシップ県民会議」に寄付しま した。 4 地域に根ざした商品・サービス お客さまの声を継続して吸収し、営業店と本部が一体となって、地域の顧客ニーズに対応した多様な商品・サービスを提供していくことは、地 域金融機関の責務であります。 多様なサービスの一環として取り組んでいますポイントサービスを積極的に推進しており、会員数の増強、ポイント利用提携先や利用方法の 拡大、地域貢献につながるポイント寄付等サービス基盤の拡大に努めていきます。 また高齢者やお身体の不自由なお客さまに利用しやすい銀行窓口を目指し、サービス介助士の全店配置、認知症サポーターの養成に取り組みます。 その他、公金(税・手数料)にかかる新収納手段(コンビニ・マルチペイメント)の導入提案を進めていきます。 平成 21 年度の具体的な取組み内容 ■ お客さまの声の吸収 ■ サービス介助士、認知症サポーターの養成 ● 22 年 2〜3 月に、挨拶や応対の明るさ、店舗美化に関するお客さま サービス介助士を全店に配置したほか、認知症サポーターを養成し、 の評価を収集するため、 「CS 店頭アンケート」を実施しました。 (ア お客さまが利用しやすい銀行窓口を目指します。 ンケート回収 14 , 339 枚) ●アンケートと同時に、全営業店を実際に調査するモニタリングも実 施しました。 ※アンケート結果、ご意見・ご要望に基づいて、サービス改善を図っ ていきます。 サービス介助士資格取得者(22 年 3 月末現在) 156 名 認知症サポーター(22 年 3 月末現在) 205 名 ■ ポイントサービスの推進 22 年 1 月よりテレホンバンキングでのポイント利用受付を開始しま した。 22 万 6 , 000 人 (対前年比:6 万 5 , 000 人増加) 会員数(22 年 3 月末現在) 利用ポイント(21 年度) 1 億 700 万ポイント (対前年比:6 , 100 万ポイント増加) 金融経済教育の充実 子どもたちにとっては、汗を流し、働いてお金を手に入れるといった健全な労働感や金銭感についての教育を受ける機会が少なく、また高齢 者世代では、振り込め詐欺をはじめとした金融犯罪に巻き込まれるケースが増えております。 そこで、金融のプロとして、当地の未来を担う子供たちをはじめ、幅広い世代の皆さまに対して金融経済教育のさらなる充実を図るとともに、 企業見学や職場体験も積極的に受け入れていきます。 平成 21 年度の具体的な取組み内容 ■ 金融経済教育セミナーに講師を派遣 ■ 金融犯罪対策への取組み強化 「振り込め詐欺被害ゼロの日」 (年金支給日)、 「声掛け強化キャンペーン」、 「口座利用限度額引下げキャンペーン」を実施しました。今後も継続的に 取組み、金融犯罪の未然防止に努 めていきます。 ※ 21 年度中に、4 件の振り込め詐 欺(全て架空請求)を未然防止 しました。 小学生 「夏休み親子銀行探検隊」 「職場見学」 中学生 高校生 「わく・ワーク体験」 「職場学習」 実施回数: 1 回 約 60 名が参加 中学生向け 実施回数: 1 回 約 160 名が参加 高校生向け 実施回数:29 回 約 4 , 200 名が参加 短・大学・大学院生向け 実施回数: 9 回 述べ 500 名が参加 ※石川県教育委員会との連携に よる石川県内全日制高校向け 金融教育セミナー:26 回 ※金沢学院大学と寄付口座に関 する覚書を締結:5 回の講義 を実施 ■ 企業見学、職場体験の積極的受入れ 「職場参観日」 小学生向け 2 校 7 名が参加 41 組 104 名が参加 60 名が参加 ■ その他金融経済教育を展開 8 校 22 名が参加 ●大学生向けインターンシップを受け入れました。 2 校 6 名が参加 「インターンシップ」 5 校 14 名が参加 「企業見学」 3 校 85 名が参加 ●金沢大学職員向け研修会の開催および講師を派遣しました。 ● 「エコノミクス甲子園」石川大会を継続開催しました。