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要旨 - 日本証券業協会

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要旨 - 日本証券業協会
記者会見要旨
日
時: 平 成 28 年 10 月 19 日 ( 水 ) 午 後 2 時 30 分 ~ 午 後 3 時 10 分
場
所: 東 京 証 券 会 館 9 階 第 1 ・ 2 会 議 室
出 席 者: 稲 野 会 長 、 森 本 副 会 長 、 岳 野 専 務 理 事
冒 頭 、森 本 副 会 長 か ら 自 主 規 制 会 議 の 審 議 事 項 等 の 概 要 に つ い て 、
岳野専務理事から証券戦略会議の審議事項等の概要について、説明
が行われた後、大要、次のとおり質疑応答が行われた。
(記者)
来 週 24 日 ~ 26 日 に「 国 際 投 資 信 託 協 会 」( IIFA)の 年 次 総 会 が 大
阪 で 開 催 さ れ 、来 年 か ら 開 始 さ れ る ア ジ ア 地 域 フ ァ ン ド・パ ス ポ ー ト
や投資信託のグローバル化に関して議論が行われる予定であるが、
これからの日本における投資信託ビジネスをどのように見ているか。
また、金融レポート等においても資産形成の重要性が示されている
が、これを踏まえた投資信託の果たす役割についてお聞きしたい。
(稲野会長)
ア ジ ア 地 域 フ ァ ン ド・パ ス ポ ー ト( Asia Region Funds Passport )
に 関 し て は 、日 本 も 協 力 覚 書 に 署 名 し て い る が 、既 に 署 名 し た 各 国 は 、
来年末までに国内における所要の制度整備を図った上で、導入を終
え た 国 か ら ARFP が 開 始 さ れ る こ と に な っ て い る 。
日 本 国 内 で 設 定・販 売 さ れ て い る 投 資 信 託 は 、基 本 的 に 海 外 の 投 資
家 に 対 し て は 販 売 さ れ て い な い が 、我 が 国 が ARFP に 参 加 す る こ と に
よって、一定の要件を満たした我が国の投資信託について参加各国
の投資家に販売することが容易となるわけである。この制度を活用
して各国の投資家に対して投資信託への投資を促すことは、我が国
の資産運用業界及び投資信託業界の国際競争力の向上にも資すると
考えている。
一 方 、 ARFP へ の 参 加 に よ っ て 、 日 本 の 投 資 家 に よ る ア ジ ア 地 域 で
組成される投資信託への投資についても一層容易になるため、日本
国内で設計、販売される投資信託についてもより一層競争力を高め
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ていくことが必要である。
現在、日本には外国籍投資信託を持ち込んで投資家に販売するた
め の 代 行 協 会 員 制 度 が あ り 、ま た 、外 国 の 投 資 信 託 を 日 本 の 投 資 信 託
運用会社が海外の運用会社と業務運用再委託契約を締結して、国内
籍投資信託に仕立て直して国内の投資家に販売していることが広く
行われているため、日本に外国籍投資信託を持ち込むことよりも日
本の投資信託を海外で販売する方が、相対的にはインパクトが大き
いのではないかと思っている。
ま た 、現 在 の 日 本 の 投 資 信 託 制 度 は 、諸 外 国 と 比 べ て ユ ニ ー ク な 点
があることから、そのままの形で海外に輸出することは容易ではな
い と 思 っ て い る 。し た が っ て 、将 来 的 な 発 展 の た め に は 国 内 の 制 度 を
変えていく必要があるとの指摘が一方でもあり、業界横断的に組織
さ れ た「 資 産 運 用 等 に 関 す る ワ ー キ ン グ・グ ル ー プ 」に お い て 本 年 6
月 30 日 に 取 り ま と め ら れ た 報 告 書 で は 、 各 種 提 言 が な さ れ て い る 。
関係者においては、引き続き取り組みを継続していただきたいと考
えている。
投資信託の役割についてだが、個人の中長期時間軸での分散投資
を 可 能 と す る 運 用 手 段 と し て は 、 ETF 及 び REIT を 含 め た 投 資 信 託 が
そ の 中 核 の 位 置 に 置 か れ る べ き だ と 考 え て い る 。投 資 信 託 は 、小 口 資
金においても分散投資によるリスク軽減或いは資金プール化による
効率化、さらには専門家の運用による成果を小口でも享受できると
いう点で、個人の投資に適した商品である。
ご 承 知 の と お り 、欧 米 に お い て は 、個 人 の 中 長 期 的 な 資 産 形 成 手 段
と し て 投 資 信 託 が 積 極 的 に 活 用 さ れ て お り 、特 に 、ア メ リ カ に お い て
は 投 資 信 託 残 高 が 約 18 兆 ド ル 強 と 、 我 が 国 の 投 資 信 託 残 高 の 約 12
倍の規模となっている。
そ の 背 景 と し て 、 401Kや IRA 等 の 税 制 優 遇 が 付 さ れ た 個 人 向 け の
資産形成制度の存在が大きいことから、日本においても自助努力に
よ る 資 産 形 成 を 支 援 す る 制 度 の 一 層 の 拡 充 を 図 る べ き で あ り 、 NISA
及 び ジ ュ ニ ア NISA の 恒 久 化・拡 充 並 び に 確 定 拠 出 年 金 の 利 用 促 進 は
大 き な テ ー マ で あ る 。こ れ ら に 関 す る 税 制 改 正 に つ い て は 引 き 続 き 、
全力で取り組んで参りたい。
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ま た 一 方 、投 資 信 託 委 託 会 社 に お い て は 、顧 客 の 中 長 期 的 な 利 益 に
適うロングセラーの商品を組成し長期運用していくという姿勢を一
層 明 確 に す る こ と が 必 要 で あ り 、販 売 会 社 に お い て は 、中 長 期 的 な 資
産形成に根差した預かり資産残高重視のビジネスモデルの確立、或
いは中長期的な資産形成に資する商品の販売の推進に向けた取り組
みをより一層進めていく必要があると考えている。
同 時 に 、投 資 家 の 裾 野 を 広 げ 、投 資 未 経 験 者 等 に も 長 期 投 資 を 促 し
ていくためには、投資信託のメリット及び長期積立投資や分散投資
の有用性を理解してもらうための取り組みを各業界あげてさらに進
めていくことが重要であると思う。日証協としても販売会社の自主
的な取り組みを支援できるよう取り組んでいきたい。
先 ほ ど ご 指 摘 が あ っ た よ う に 、今 月 の 24 日 ~ 26 日 に か け て 、「 国
際 投 資 信 託 協 会 」( IIFA)の 年 次 総 会 が 大 阪 で 開 催 さ れ る が 、こ の 機
会を捉えて、会議参加のため来日する各国の投資信託業界首脳らを
講演者或いはパネリストとして招いて、高齢化や中産所得層の拡大
に伴い世界的に重要性が増している資産運用業界及び投資信託の動
向・今 後 の 課 題 を テ ー マ と し た セ ミ ナ ー が 今 週 21 日 に 東 京 で 開 催 さ
れる予定となっている。投資信託協会及び日証協等の共催で開催さ
れ る 本 セ ミ ナ ー で は 、グ ロ ー バ ル な 経 済 発 展・技 術 革 新・規 制 動 向 が 、
投資信託および資産運用業界に及ぼす影響といった点が取り上げら
れる予定である。
また来年 1 月から加入対象者が大幅に拡大する個人型確定拠出年
金( iDeCo)の 可 能 性 や ARFP 等 話 題 は 豊 富 で 、日 本 の 投 資 信 託 や そ の
環境を広く理解してもらえる機会にしたいと考えており、有益な議
論がなされることを期待している。
(記者)
本 日 、金 融 審 議 会「 市 場 ワ ー キ ン グ・グ ル ー プ 」(第 7 回 )に お い て 、
高速取引の規制の方向について議論があったようだが、会長の見解
をお聞きしたい。
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(稲野会長)
日 証 協 は 、同 グ ル ー プ に オ ブ ザ ー バ ー と し て 参 加 し て い る が 、本 日
午前中に行われた会議であるため、概要のみを承知している前提で
の回答であることをお断りしたい。
アルゴリズム高速取引を行う投資家に対する規制の枠組み案とし
て 、登 録 制 の 導 入 、必 要 な 体 制 整 備・リ ス ク 管 理 の 義 務 、ア ル ゴ リ ズ
ム取引を行うことの当局への通知、各注文がアルゴリズム取引によ
る も の で あ る こ と の 明 示 、ア ル ゴ リ ズ ム 取 引 戦 略 の 届 出 、取 引 記 録 の
作 成・保 存 が 提 示 さ れ た 。さ ら に 、証 券 会 社 に お け る 受 託 制 限 、す な
わち無登録の投資家或いはリスク管理に不備がある投資家からの注
文の受託を禁止するといった措置もメニューとして並んでいる。加
えて、取引所の直接調査権限についてもテーマとして掲げられてい
る。
議論の内容をつまびらかには承知していないが、全体的にこのよ
うな規制の枠組み案に対し、概ね各委員は好意的であったと理解し
て い る 。た だ 、実 務 的 に こ れ ら の 規 制 に 実 効 性 を も た ら す こ と が で き
る か と い う 点 は 、一 定 の 課 題 も あ る の で は な い か と 認 識 し て い る 。例
え ば 、証 券 会 社 に お け る 受 託 制 限 に お い て 、リ ス ク 管 理 不 備 で あ る 投
資家をどのように認定するのか等、技術的に決して易しくはない課
題も存在していると思う。
いずれにせよ、今後この点に関して議論が深まっていくことに期
待したい。
(記者)
この高速取引の規制により、市場の取引量が減少するのではない
かという懸念もあるが、どのように考えているか。
(稲野会長)
規制が取引量にどのような影響をもたらすかはわからない。現時
点ではメニューが提示されたというだけで、すべての規制が実施さ
れ る か ど う か は こ れ か ら の 議 論 だ と 思 っ て い る が 、規 制 さ れ た 結 果 、
直ちに取引が大幅に減少するかについては、予断を持たないように
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したいと思う。状況を見なければわからない。
(記者)
証券戦略会議で、「金融庁 市場ワーキング・グループについて」
という議題があるが、具体的にどのような話があったか教えていた
だきたい。
(岳野専務理事)
証 券 戦 略 会 議 で は 、事 務 局 か ら 金 融 庁 の 市 場 ワ ー キ ン グ・グ ル ー プ
の審議の模様について報告をした。すべて公表済みの資料の要約で
あるため、ここでは敢えて資料の配付や説明は省略させていただい
た。
(記者)
先 日 、金 融 庁 の 森 長 官 が 都 内 の 講 演 に お い て 、販 売 会 社 の フ ィ デ ュ
ー シ ャ リ ー・デ ュ ー テ ィ ー に つ い て 、「 銀 行 や 証 券 会 社 が 安 定 的 な 資
産形成に資する良質な商品・サービスを提供することが投資による
成 功 体 験 を 顧 客 に も た ら し 、そ れ に よ る 顧 客 と の 信 頼 関 係 の 構 築 が 、
販売会社自身の経営の安定性の向上につながると信じている」とい
う 旨 の 話 を さ れ た が 、こ れ は 証 券 会 社 が 良 質 な 商 品・サ ー ビ ス を 提 供
す れ ば 、投 資 に お い て 成 功 体 験 が 得 ら れ て 、証 券 投 資 も 増 え る は ず で
あ っ た が 、今 ま で 証 券 会 社 が こ の よ う な こ と が 出 来 て い な か っ た 、と
いう指摘にも聞こえるが会長の見解をお聞きしたい。
(稲野会長)
必ずしも証券会社が良質なサービスや商品を提供できていなかっ
た と い う こ と で は な い と 思 う 。し か し な が ら 一 方 で 、投 資 家 側 か ら 証
券会社或いは金融機関の今までの行動をみた時に、すべて満足のい
く も の で あ っ た か と い う こ と を 考 え る と 、そ う で は な く 、我 々 業 界 に
おいても襟を正すべきところがあるのは全くそのとおりだと思う。
販売会社における金融商品やサービス提供の難しさは、金融商品
の性能を事前に完全な形で予想できないところにある。したがって
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投資家の意向がどうであるかということに忠実に沿った商品メニュ
ーやポートフォリオプログラムを提供できるかどうかが重要である
と 思 う 。も ち ろ ん 結 果 も 吟 味 さ れ る わ け だ が 、少 な く と も 結 果 を 須 く
事前に予想することはできない以上、証券会社や金融機関が有して
いる豊富な商品ラインナップを全方位的に活用することによって顧
客のニーズに応えていくところに道はあると思う。そのような点に
鑑みた時に顧客本位の業務運営は大きな課題であるが、より一層突
き詰めて顧客のベストインタレストを目指して行動していくことが
必要だと思う。
(記者)
森 長 官 は 講 演 の 中 で 、投 資 家 に 成 功 体 験 を 得 さ せ よ う 、と い う こ と
を 仰 っ て い る が 、そ の 時 々 の 相 場 状 況 も あ り 、こ れ は 非 常 に 難 し い 課
題だと思うが、会長の見解をお聞きしたい。
(稲野会長)
そもそも投資のタイムホライズンや投資の目的をどう理解するか
であるが、あくまでもそれぞれの投資家の志向や考え方に沿った商
品 が 提 供 さ れ る べ き だ と 思 う 。一 般 論 的 に 申 し 上 げ れ ば 、投 資 初 心 者
の 方 に と っ て み れ ば 、小 口 で も 投 資 が で き る 、小 口 投 資 に お い て も た
くさんの商品メニューがある、時間を味方につけることや分散投資
を実践することによってリスクとの関係でリターンをコントロール
で き る 、と い っ た こ と を 知 っ て い た だ い た う え で 、実 践 し て い く こ と
が 重 要 だ と 思 っ て い る 。そ の よ う な 観 点 か ら 申 し 上 げ れ ば 、今 般 金 融
庁 が 要 望 し た 「 積 立 NISA」 等 の 仕 組 み が 実 現 し た あ か つ き に は 、 こ
れを使って、これから新たに投資を始める方に対して広く訴求して
いくことが必要であり、そこで実践していただければ長い時間の中
での成功体験もおのずから相当程度の確率で生まれてくると考えて
いる。
(記者)
日銀の新たな金融政策から約1か月となるが、改めて会長の評価
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をお聞きしたい。
(稲野会長)
日銀の金融政策については、前回の記者会見で述べた評価から特
に 変 わ っ て い な い 。た だ 、一 方 で 日 銀 の 金 融 政 策 だ け で 経 済 成 長 を 実
現することはできないことを改めて強く感じており、その点は十分
認 識 す る 必 要 が あ る と 思 っ て い る 。実 際 、マ イ ナ ス 金 利 に は 副 作 用 も
あ り 、量 的 拡 大 に も 一 種 の 副 作 用 は あ る 。日 銀 の 金 融 政 策 と い う テ ー
マ か ら 離 れ る が 、よ り 一 層 の 経 済 成 長 と い う 観 点 か ら は 、「 日 本 再 興
戦 略 2016」 に 謳 わ れ た 「 成 長 戦 略 」 の 実 行 ・ 実 現 の 重 要 性 が 増 し て
くると感じている。
(記者)
先 月 、 個 人 型 確 定 拠 出 年 金 の 愛 称 が 「 iDeCo」 に 決 ま っ た が 、 認 知
度がどの程度広がったか会長の見解をお聞きしたい。
(稲野会長)
ま だ 、 認 知 度 を 測 る 術 は な い が 、 「 iDeCo」 と い う 愛 称 が 設 定 さ れ
た こ と に よ っ て 、認 知 度 は 上 が る も の だ と 思 っ て い る し 、ま た 、メ デ
ィアの皆様方にも積極的に取り上げていただいていることは心強く
思 っ て い る 。も ち ろ ん 、愛 称 が 設 定 さ れ 認 知 度 が 広 が る と い う こ と だ
けがすべてではなく、制度の実態を含めてよく理解していただくと
いうことが必要である。所得控除という税制上の大きなメリットが
あ り な が ら 、 4,000 万 人 程 度 の 潜 在 対 象 者 に 対 し て 、 20 数 万 人 の 利
用 に 留 ま っ て お り 、こ れ だ け 利 用 者 が 少 な い と い う こ と は 、も ち ろ ん
60 歳 ま で 引 き 出 し が で き な い と い う こ と は あ る が 、 名 称 も 含 め て 制
度の意義が必ずしも理解されていないと受け止めているので、愛称
が設定され、そして来年 1 月から大幅に対象者が拡大されることを
契 機 に 、よ り 多 く の 方 々 に こ の 制 度 の 意 義 を 知 っ て い た だ き 、そ し て
利用していただければと思っている。
以
7
上
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