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事例発表の概要 1
事例発表の概要 1 「青パトから地域が見える」 榎本地区(大阪市鶴見区)安全なまちづくり推進委員会 委員長 木村 武史 私たちは平成 16 年に放出駅前を中心に毎日のように発生していたひったくり を何とかしようと、榎本地区安全なまちづくり推進協議会を立ち上げた。 放出駅前では、ひったくり犯人は隣町から踏切を越えて侵入し、ショッピン グ街あたりでひったくりをした後、そのままUターンして逃げていた。 ここは、容易にパトカーでも追跡はできないところ。そのため、私たちで何 とかしようと自主防犯活動を開始した。活動を開始して今年で7年目。 平成 17 年 2 月には、府下で第1号となる青色防犯パトロール車も活動を開始 した。 青色防犯パトロール隊の隊員は、現在は 83 人。活動は毎日で、登下校時、夕 方、夜、夏場や年末は深夜も行っている。 こうした、地に足を付けた地道な活動を続けていると、ひったくり減少はも とより、まちの日常生活やニーズ、問題点などがよく見えてくる。 地道な活動を続け、活動を通じてまちの人たちと話し合っていくことが、 「安 全安心なまちづくり」に向けて非常に重要であると感じている。 今年 3 月、小学 6 年生が卒業しました。ちょうどこの子たちが 1 年生の時に、 私たちは見守り活動を始めた。 私は以前、見守り活動しているときふと感じたことがあった。 小学校には、午前 8 時 30 分までにほとんどの子が登校する。しかし、いつも 同じ子が遅刻することに気が付いた。 私は、学校にそのことを伝え聞いてみることにした。学校からは「家庭にい ろいろと事情がある」と聞かされた。 それから、私たちは少しでもその子の心の支えになればと思い、毎日寄り添 う気持ちで、ハイタッチと元気なあいさつを交わすようにした。 卒業の時には、ハイタッチを交わす手が、最初はもみじの様な手であったが、 グローブの様な大きな手になっていた。 その子に、「卒業おめでとう」と声をかけた時には涙が出てしまった。 また、小学校の生徒には、あいさつができなくて下を向いて元気なく歩いて いる子が多いことにも気が付いた。 私たちは、子どもたちに元気なあいさつを呼び掛けるとともに、元気な子ど もに育ってもらうために、青少年の健全育成を目的とした「よさこいソーラン」 のチームも作った。無論、このチームには障がいをもった子どもたちも参加し ている。このチームの中にもいろいろな子どもがいた。 チームにいたある不登校の子どもが、他市に転校していった。そして、1年 ほど経って私の携帯に突然電話があり、子どもは、 「おっちゃん、1週間ほど何 も食べてない」と、私に助けを求めて頼ってきたことがあった。私は、 「お母ち ゃんはどうした」と聞きましたが、その子は「お母ちゃんはいない」と答える だけ。 私はすぐにその子の家に行き、弁当を食べさせながら話を聞いた。その子の 家庭にはいろいろと事情があることが分かり、このままではダメだと思い、市 に協力を求めることにした。 私たちの青パトは夜もパトロールをしているが、ある日、不良少年グループ に取り囲まれるということがあった。 しかし、毎日地道に活動を通じて少年たちに声をかけていると、少年たち一 人ひとりの顔が見えるようになり、あいさつをする少年も出てきた。このこと が理由かどうかは分からないが、地域のひったくりの発生もぐっと減った。 高齢者の方々からは、町会と連携した青パト活動で、悪質商法などの訪問販 売が未然に防げたり、減少したとの声をいただいている。 高齢者の同じ方が悪質商法に何回もだまされているとの話を聞き、その人と 話をしたことがある。すると、 「話を聞いてくれるいい人だった」と犯人を悪く 言わない。その人には、話し相手がいないことに気が付いた。 そこで、老人会などへ参加するように説得し、その人は地域の料理教室の「男 の台所」に参加してくれるようになった。 「おかたづけ隊」という活動もしている。 「おかたづけ隊」とは青パトをして いる中で発見した、まちを汚している違法な張り紙や看板の撤去や無秩序に駅 前に放置されている自転車を整理する活動。 時間の関係もあるので「青パトから地域が見える」ということのごく一部を お話しさせていただいた。 もちろん、青パト活動を初めてから、地域の刑法犯・街頭犯罪が大きく減少 したことはいうまでもない。 こうした地道な活動を続けている私たちも、活動の限界を感じるというか、 悔しい瞬間がある。それは、私たちが青パトでパトロールしている地域以外や、 私たちが寝ている間の深夜のひったくりの発生。 これまで、私たちは早くから「これには防犯カメラしかない」と思っていた。 私たちの地域では、私たち自身の働き掛けや、行政のおかげでかなり設置が 進んでいる。今後、市の補助で駅前通りにも設置される。 声かけや、子どもや女性に対するいたずらやちかんは、人の目の届きにくい 路地や共同住宅のロビーや非常階段で発生している。私たちは青パトから降り て見守り活動を行っているが、こうした場所への防犯カメラの設置が必要だと 強く感じている。 最後になるが、私たちは、 「ここ(榎本地区)から日本を変えるんだ」という 気持ちで活動し頑張っている。