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阪急阪神ホールディングスグループ 都市交通事業の 節電・省エネへの
NEWS LETTER Special Number Vol.6 2015年6月発行 阪急阪神ホールディングスグループ 都市交通事業の 節電・省エネへのさまざまな取り組み 阪急阪神ホールディングスグループでは、 地球環境保全の観点から、 事業を行ってゆく中で、 節電 と省エネへの取り組みを行ってきました。一方、 私たちは、 お客様に対してより快適なサービスを 提供するという使命も同時に持っています。 今回は、 エネルギー需要の高まる夏を目前に、 私たちのコア事業の一つであり、事業の存立にエネ ルギーが不可欠な 「都市交通事業」 における節電・省エネとお客様の快適さを両立させる取り組み をご紹介します。 阪急電鉄株式会社・阪神電気鉄道株式会社 省エネを追求した新型車両の導入 環境にも人にもやさしい鉄道を目指して 阪急電鉄では、 より快適な移動空間の提供を目指し、 2013年度から環境性能を大幅に向上させた新型車両「1000系・1300系」 を全線に順次導入しています。 また、 阪神電気鉄道でも、人と地球環境へのやさしさを追求した新型普通用車両 「5700系」 を今夏に導入予定です。 都市の交通インフラを担う企業として、安心・安全を確保したうえで、最新技術を積極的に取り入れ、 快適な客室空間と省エネを両立する新型車両の開発に携わる両社の担当社員に話を聞きました。 お客様と社会からの要請に応え、 より快適で、 より省エネに 公共交通事業者として、 お客様のことを考えた、 快適性と安全性、 安全性や環境性の追求は当然のこと。 環境のことを考えた、 省エネ・節電を両立します。 Profile 阪急電鉄株式会社 都市交通事業本部 技術部 課長補佐 (車両計画担当) 松林 嗣(まつばやし・えいじ) 1979年入社。車両機器の 整備・設計・総合検査等の 業務を経て、 現職。 Profile 阪神電気鉄道株式会社 都市交通事業本部 車両部 車両課 課長補佐 小松 克祥(こまつ・かつよし) 1998年入社。 車両部、 運輸部 (御影駅長・神戸三宮駅長等) を経て、現職。 NEWS LETTER Special Number Vol.6 ノウハウを共有し、 同じグループの強みを車両開発にも反映 阪急のデータも活かし、 開発された阪神の新型車両 今夏に新型普通用車両5700系を導入予定の阪神電気鉄道・ 小松課長補佐は、 「今回の新型車両の導入には、 先に運用された阪 急の1000系・1300系車両が大変参考になった」 と語ります。 「阪急 での新型主回路システムのテスト走行に、 私たち阪神の技術スタッ フも同乗しました。 また、 運行開始前の1000系車両を見学し、 各設 備やテスト走行の測定データなどの情報も共有することで、 阪神の 新型車両の仕様を考える際の参考にすることができました」 。 今回 の車両開発にかかわらず、 阪急電鉄と阪神電気鉄道では定期的に 連絡会を開き、 互いのノウハウをスタッフ間で共有しています。 阪神電気鉄道 5700系車両(2015年夏導入予定) 阪神電気鉄道がこの夏に運用開始を予定する新型普通用車両5700系。 先行して新型車両を導入した阪急電鉄のノウハウが大きく活かされています。 阪急・阪神で共通した技術を採用し、 より大きな成果を 省エネ性を向上させる新たな技術の導入 阪急・阪神で技術を共有し、 より大きな成果を 「阪急の最新型車両である1000系・1300系では、 より快適な移 これらの技術の多くは、 阪急と同じく阪神の5700系でも採用さ 動空間を提供するため、 静かさと省エネ性能を追求し、 搭載可能な れています。 阪急1000系と同じく全閉自冷式永久磁石同期電動機 技術はすべて盛り込んだつもりです」 と、 阪急電鉄の松林課長補佐。 を用いたVVVFインバータ制御装置の主回路システムなどの採用 「大幅な省エネと静音性を により、 更新対象の既存普通用車両 (5001形抵抗制御車) と比べた 実現するため、 全閉自冷式永 消費エネルギー削減率は約57%と試算されています。 また、 照明も 久磁石同期電動機やVVVF 同じくすべてLED化しており、 これらによって消費電力量の大幅な インバータ制御装置を採用。 削減を見込んでいます。 併せて、客室照明や前照灯、 連携の効果はさまざまな点にあらわれています 尾灯・標識灯などすべての照 明のLED化に踏み切りまし 省エネ性を大幅に向上させた阪急1000系車両 このほかにも、 4か国語 (日・英・中・韓) による表示が可能な、 32イ た。 これによって、既存車両(5000系) と比較すると、消費エネル ンチハーフサイズ・フルハイビジョン対応の車内案内ディスプレイな ギーは約50%の削減となっています。 また、 前形式車両 (9000系、 ど、 両社で共通して導入された設備が多く見られます。 9300系) と比較しても、 約20%の消費エネルギーの削減が達成で きました」 。 ● 阪急梅田―神戸三宮間1往復の消費電力量※ 5000系 9000系 1000系 1300系 1509kWh 933kWh 777kWh ※普通列車として運用:走行距離64.6km 約50% 削減 消費エネルギー削減と騒音低減を目指して、 阪急1000系・阪神5700系で採用された 全閉自冷式永久磁石同期電動機。 阪急1000系・1300系(上)、阪神5700系の いずれにも採用されているディスプレイ。 より多くの情報表示が可能になりました。 阪急らしさ・阪神らしさを高めながら切磋琢磨する両社 「阪急車両」 の伝統を踏襲した快適な移動空間に お客様の声を採り入れて阪神の新型車両を開発 お客様が阪急に期待されるものの1つに、 「阪急の車両を見ると、 阪神は、 ほぼ1キロごとに駅があり、 普通用車両は短い駅間で加 落ち着く」 「関西に帰って来たなと実感する」 という声に代表される 速・減速を繰り返しながら、 後続の優等列車の運行に支障のないよ ように、 これまで培って来た伝統をこれからも引き継ぐという面があ う待避駅まで時刻表どおりに到達することが求められます。 一方で、 るのではと思っています。 普通列車には高齢者の方やお子様、 ベビーカーをご利用のお客様 1000系・1300系でも、 変わらない阪急のマルーンとアイボリーの も多くいらっしゃいますので、 5700系の開発にあたっては、 積極的 車体色、 銀色の窓枠といった伝統を踏襲しながら、 車体構造に 「ア に普通列車に乗り、 この車両に求められているものは何かを探りま ルミダブルスキン構造※」 を採用。 車体強度を向上させつつ、 遮音 した。 性、 断熱性を確保したほか、 前述の全閉自冷式永久磁石同期電動 また、 車体に関しては腐食しにくい無塗装のステンレスを採用し、 機の採用によって、 客室内における騒音レベルを約4デシベル低減 普通車の伝統カラーであるブルーをあしらいました。 出入口には空 し、 さらなる静粛性を実現しました。 ほかにも、 万一の急ブレーキの際 調運転時の車内保温・保冷のため、 関西の大手民鉄初となる扉開 に車内のお客様の安全が確保できるよう考慮した大型袖仕切りや縦 閉ボタンを設置しました。 客室内は、 お客様がお荷物の上げ下ろし 手すりを設置するなど、 「安全性」 にも配慮した車両となっています。 に負担のないよう、 荷棚の高さを約20mm低くしたほか、 つり手の ※アルミダブルスキン構造: 2枚のアルミ板を組み合わせて構成。車体強度の向上、遮音性、断熱性に優れています。 さらに車体正面の強度向上のため、 ダブルスキン部の拡大や梁の追加などを行いました。 高さを見直し、 従来の2段階からさらに低いものを加えた3段階と 阪急1000系 することで、 「快適性」 と 「バリアフリー」 を両立させています。 急ブレーキ時の2次衝突防止のため、 座席端の袖仕切りを大型化し、 縦手すりも設備 阪神5700系 阪神の普通用車両伝統のブルー系統でまとめられた車内。 座席端の袖仕切りは大型化し、万一の事故や 急ブレーキ時にお客様同士の接触を防ぐとともに、 湾曲させることで、 座席のお客様が肘を乗せやすく、 ドア横のお客様がもたれやすい形に。 阪急1000系 車いすスペースを各車両に1か所設置し、 移動が楽に行えるようスペースも拡大 阪神5700系 省エネの観点とお客様 からのご要望を受け、 車内に扉開閉ボタンを設置 次に開発する車両では何を採り入れていくべきか考え続ける 松林 「住みたいまちランキング」 では、 阪急阪神の沿線は常に上 位にランクインしています。 また、 お客様からは、 鉄道車両につい ても“より快適で良いものを”と期待されています。 小松 今後も 「人にやさしい、 環境にやさしい、 快適な移動空間の提 供」 を念頭に、 お客様のニーズをしっかりと受け止め、 次に開発する 車両では何を採り入れていくべきか考え続けていきたいと思います。 NEWS LETTER Special Number Vol.6 阪神電気鉄道株式会社・阪急電鉄株式会社・阪急バス株式会社 駅、 バス輸送での節電・省エネ 日々の業務から取り組む 節電・省エネ対策 車両以外にも、 さまざまな節電・省エネ対策を行っていま す。 ここでは、その中からユニークな3つの取り組みを紹 介します。 広場の天井の間接照明には、 LED 「エコがギュッと」 阪神大石駅の環境への取組み 朝 照明を生かした調光制御を導入し、 生体リズムに合わせて、 朝はお客様 阪神電気鉄道 大石駅では、 2014年4月から、 駅ホーム屋根に設 の覚醒感を高める白色に、 昼 (10時 置した太陽光パネルで発電を行っており、 発電した電力を駅のエレ ~17時) は活動に適した中間色、 夕 ベーターやエスカレーター、 照明で使用するほか、 お客様が携帯電 方からは“くつろいだ気分”になれる 話の充電に使える待合室のUSBポートにも供給しています。 太陽光 オレンジ色へと色味を変化させてい 発電による年間発電量は、 2014年度実績で123,000kWh (同CO² ます。 夜 削減量は69トン) にのぼり、 これは、 阪神梅田駅-元町駅間896往 復に相当。 日射強度が強い正午過ぎの大石駅の電力は、 100%太陽 時間帯に合わせて、照明の色を 光発電で賄われ、 余った電力は隣接する他駅でも使用されていま 切り替える調光機能によって、 お す。 それ以外にも、 大石駅で ています は、 ホームやコンコースの照 昼 客様の気分に合う照明を実現し 燃費の改善を競う 阪急バス 「エコドライブコンテスト」 明のLED化、 待合室への遮 熱フィルムの取付けなど、 環 阪急バスでは、 2008年4月より、 運転士の教習用に使う 「安全運 境負荷低減に向けた取り組 転訓練車」 の車内にメスシリンダーを設置して燃料の消費量を 「見 みを推進しています。 大石駅の発電状況を示すモニター LED照明導入で、 より 「やさしい」駅を実現 阪急梅田駅のリファイン工事 える化」 しています。 また、 運行記録計器 (デジタルタコグラフ) を使 い、 教習時の運転記録を公平に評価することで、 急発進、 急加速、 ア イドリングなどに対する具体的かつ適切な指導が可能になりまし た。 これにより、 運転士の間でも安全運転に加えて低燃費運転を心 2015年3月にリファイン工事を完了した阪急梅田駅。 現在の場所 がける意識が芽生え、 営業路線バスの運行において、 2014年度は、 へ移転してから約40年ぶりの大規模改装です。 今回は、 駅の構造を 本取り組みを始める前年度(2007年 変えず、 意匠の見直しで再生を図ることを重視。 そこで照明に着目 度) と比較して1車1km当たり約3.15% し、 消費電力の点からも、 すべての照明をLED化することを前提に、 の燃費改善が実現するなど明確な効果 照明デザイナーの協力を得ながら、 間接照明や面的照明などを組 が出ています。 さらに、 同社では 「エコド み合わせ、 温かみのあるランプ色のLED照明を統一的に使用。 明る ライブコンテスト」 を年2回実施。 営業所 すぎない落ち着いた空間を実現するとともに、 リファイン前に比べ 単位で燃費を算出し、 改善率が上位と て約30%の消費電力量の削減を実現しました。 なった営業所を表彰することで、 従業員 さらに、 阪急梅田駅のシンボリックな空間であるBIGMAN前 のモチベーションの向上を図っています。 グループ経営企画室 広報部 訓練車に設置したメスシリンダー 〒530-0012 大阪市北区芝田一丁目16番1号 Tel : 06-6373-5092 Fax : 06-6373-5670 http://www.hankyu-hanshin.co.jp