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小学校中学年 出会い 発見 参加
様々な人との出会いや交流をとおして、共に生きることに ついて考える。 出 会 い 発 見 参 加 17 時 間 目 的 ① 自分自身を振り返ったり、友達の新たな面を知ったりすることにより、自 分らしさや自分のよさ・友達のよさに気づくとともに、相手の立場に立っ て考える態度を身につける。 小学校中学年 小学校中学年 ② 障害のある人との交流、車椅子体験、地域の調査活動をとおして、身のま わりの様々な人権問題に気づき、その解決に向けた活動について考える。 ③ 地 域や人との関わりをとおして、自分と社会とのつながりに気づくとと もに、仲間と共に社会に参加しようとする態度を育む。 ■ テーマ設定の理由 この時期の児童は、想像力や言葉による理解力が高まり、抽象的な思考もできるようになる。また、ギャング エイジと言われるように、急速に仲間意識が発達し、大人からの干渉を拒むような小集団をつくって、そこで遊 びや活動をすることを喜びとするようになる。しかし、自分の行動に自信が持てなかったり、自分と違う立場の 人を受け入れにくかったりする状況も見受けられる。 こうしたことから、小集団での活動を多く取り入れ、地域の人々と接することで、社会への関心を高める学習 活動を企画した。活動 1「自分を知る・友達を知る」では、自分自身やクラスの仲間の内面を丁寧に観察するこ ととした。活動 2「体験から学ぼう」では、障害のある人から話を聞いたり車椅子体験を行ったりすることで、 自分たちのまちを見つめる際の課題意識を高めることとした。活動 3「まちで発見・地図で発見」では、調べた ことを地図にまとめていく作業をとおして、対話をしながら自分たちのまちの課題を共有することとした。活動 4「住みよいまちをつくろう」では、自分たちにできることを行動に移すことで、継続的に地域社会とかかわる ことをめざした。 地域社会を調べ、自分たちにできることを行動に移すことによって、様々な人から子どもたちに声がかけられ ると思われる。人と人との温かい交流があることに目を向けさせ、心のバリアフリーについても考えさせるとと もに、一人一人がまちをよくする力を持っていることを実感させる活動としたい。 ■ 活動の流れ 活動1 自分を知る・友達を知る STEP 1 自分発見! STEP 2 友達発見! 活動2 体験から学ぼう STEP 1 障害のある人の 話を聞こう STEP 2 車椅子体験をしよう セルフエスティーム 感受性 想像力 受容 傾聴 人権にかかわる諸問題 ※ は、 「基本方針」の目標に対応する主な概念を示しています。 ■ 48 活動3 活動4 まちで発見・地図で発見 住みよいまちをつくろう STEP 1 自分のまちについ て話し合おう STEP 2 住みよいまちにな っているか調べよう STEP 3 地図に表そう STEP 1 できることを考えよう 人権の意義・内容 人権意識 人権にかかわる諸問題 権利の行使と責任 多様性の尊重 協力 参加 参画 STEP 2 まちに出かけよう 活動 ● 1 自 分 を 知 る ・ 友 達 を 知 る 2 時間 自分自身を振り返ったり、友達の新たな面を知ったりすることによって自他の大切さに気づく。 1 自分発見 !・・・(1 時間) 小学校中学年 ・自分自身をじっくりと見つめることで、ありのままの自分に気づく。 ワークシート 1 自分自身を「わたしは」で始まる 1 文で表現し、ワークシートに書き込む。 ● 例 「わたしは、本を読むのが大好きです」 「わたしは、友達とよく野球をします」 ・小さなことにこだわらずにできるだけたくさん書くように助言しましょう。 ・いくつか例を示しましょう。 2 例 書いたことを発表する。 ・発表を強要せずに、みんなに紹介してもよいと思うものだ けを発表させましょう。 ・友 達の発表を聞いて、思いついたことを書き加えさせま しょう。 3 ワーク シート 気づいたことを発表する。 自分発見! 名 前 わたしは、 わたしは、 わたしは、 わたしは、 わたしは、 わたしは、 わたしは、 ・・・ ■ 最初は、自分を 1 文で表現することにとまどいを感じるでしょうが、慣れると楽しくなってきて、自主的に「自 分集め」をするようになってきます。繰り返し行うと、短い時間でいくつも書けるようになってきます。 ■ 継続して取り組むことで、意識して自分を見つめることができるようになるでしょう。書きためた「自分発見」 を見つめ直すと、「わたしってすごいなあ」「わたしって案外いいなあ」と自己肯定感を高めることにもつな がります。 49 ■ 2 友達発見 !・・・(1 時間) ・友達の新たな一面を知ることで、友達のよさに気づき、伝えることができる。 カード ( 何枚も綴じたもの ) 小学校中学年 ・・・・・・・・(4 人程度のグループ学習 ) 1 1 日かけてグループのメンバーの「よいところ」を探す。 ・あらかじめ単語帳のようなカードを用意しておく。 ・友達の行動を観察し、よいと思うところをカードに書かせましょう。できれば、そう思った理由も書かせ るようにします。 ● 例 まじめ:いっしょうけんめいそうじをするから 2 グループごとに、1 人ずつ自分が考えたメンバーの「よいところ」を発表する。 ・理由も説明させましょう。 3 新たに知った友達の一面について話し合う。 4 ふりかえり ・ふだん気づかなかった友達のよさを発見できたか、自分のよさを発見してもらってどう思ったかなどにつ いて振り返らせましょう。 ■ 友達の言動に関心を持たせ、よい面を見 つけさせましょう。 ■ 50 活動 2 体 験 か ら 学 ぼ う 4 時間 地域に住んでいる障害のある人の思いを聞いたり、車椅子体験をしたりすることにより、身のまわりの人権に ● 関する問題に気づく。 1 障害のある人の話を聞こう・・・ (2 時間) 小学校中学年 ・障害のある人の思いを聞き、社会の中にある課題に気づく。 1 障害のある人が生きていく上で、どんな問題や困難があるかを話し合う。 2 地域に住んでいる障害のある人の話を聞く。 ・楽しいことやうれしかったこと、困っていることなどを話してもらいましょう。 3 4 話を聞いて、疑問に思うことを質問する。 話を聞いて、感じたことや考えたことを書いて、 発表する。 ■ 障害のある人から、社会生活を営む上で、不便なことや改善されてきたことなどを聞き、バリアフリーにつ いて考えさせましょう。(『気づく・学ぶ・広げる人権学習』P79 〜 P81 参照 ) ■ 障害のある人の生活の中での努力や苦労、生き方に触れさせることにより、障害者問題に関心を持たせるよ うにしましょう。 51 ■ 2 車椅子体験をしよう・・・ (2 時間) ・車椅子体験をとおして、障害のある人が生活の中で不便に感じることを実感し、理解する。 車椅子 小学校中学年 ・・・・・・・・(4 人程度のグループ学習 ) 1 車椅子に乗って、1 人で移動する。 ・車椅子の操作の仕方は、事前に指導しておきましょう。 ・ちょっとした段差や坂が怖いことに気づかせるようにしましょう。 2 コースを決めて 2 人 1 組で、移動する。 ・相手に声をかけることの大切さに気づかせるようにしましょう。 3 車椅子体験をしてみて、気づいたことや感じたことを書いて発表する。 ・障 害のある人が困っているとき、自分に できることは何かを考えさせましょう。 ・施 設や設備面ばかりでなく、障害のある 人への理解や協力することの大切さなど についても考えさせるようにしましょう。 ■ 車椅子で校内を回ってみるだけでも困ることはたくさん見つかります。「障害のある人が生活している場では どうだろう」と、地域について調べてみようという意欲につなげましょう。 ■ 体験活動としては、高齢者疑似体験をして地域を調べる学習につなげることも考えられます。市町村の社会 福祉協議会などで高齢者疑似体験のプログラムや方法について相談してみましょう。 ■ 52 活動 3 ま ち で 発 見 ・ 地 図 で 発 見 7 時間 自分の住んでいるまちを調べることをとおして、人権にかかわる問題に気づくとともに、そのことを地図に表 ● すことにより、自分たちのまちの課題を発見することができる。 1 自分のまちについて話し合おう・・・ (2 時間) 小学校中学年 ・自分たちのまちのよいところとわるいところに気づく。 ふせん紙、模造紙 1 まちの「よいところ」と「わるいところ」について考える。( ブレーンストーミング ) ・個人で 10 分程度考え、ふせん紙に書かせるようにしましょう。 ・ 「よいところ」 「わるいところ」の例をあげ、様々な視点をもって考えさせるようにしましょう。活動2(P51) での障害のある人から聞いた話や車椅子体験などを思い起こさせ、障害のある人にとってよいまちになっ ているかどうかについても考えるよう助言しましょう。 ・ 「よいところ」はピンクのふせん紙に、「わるいところ」はブルーのふせん紙にというように色を分けるよ うにしましょう。 2 グループに分かれて、書いたふせん紙を分類をする。 よいところ みんなのための施設がある ・体育館がある。 ・図書館がある。 視覚障害のある人が 安心して道を歩ける ・点字ブロックがある。 ・音の出る信号機がある。 豊かな自然がある ・ザリガニがとれる。 ・木が多い。 ・近くの川でメダカやフナがとれる。 地域の人がわたしたちの ことを見てくれている ・朝、交通安全指導をしてくれている。 ・道を歩いていると、あいさつをしてくれる。 53 ■ わるいところ 小学校中学年 自分たちのまちをよごしている 車椅子に乗っている人や 視覚障害のある人が歩きにくい ・川に空き缶を捨てている。 ・道にごみが捨てられている。 ・道に座っている人がいる。 ・歩道に自転車が放置されている。 ・歩道に車を駐車している。 ・道に段差がある。 ・せまい道がある。 ■ 自分のまちについて考える活動をとおして、身のまわりにある人権にかかわる問題に気づかせましょう。また、 地域社会に積極的にかかわろうとする気持ちを育てるようにしましょう。 2 住みよいまちになっているか調べよう・・・ (2 時間) ・自分たちの住んでいるまちを問題意識を持って調べようとする。 1 屋上などの高い所から周囲を見渡すことにより、学校のまわりには何があるかを見つける。 ・子どもたちに自由に生活を語らせましょう。たっぷりとおしゃべりをさせることで学習課題を自ら発見さ せるようにしましょう。 ● 例 子どもたちの発見 「あの公園は広いけれど、中学生がキャッチボールやサッカーをしていて、ぼくたちは遊べない」 「あの川でザリガニがとれる」 「あの川には空き缶が捨てられている」 「駅の周りは自転車が置かれていて、歩きにくい」 「あそこには、盲人用信号がある」 ■ 54 2 調べに行く。 ・見たいこと、聞きたいことを考えさせておきましょう。 ・地域の人 ( 自治会長など ) や保護者に協力をお願いし、安全の 確保を図るとともに、自分たちのまちについて共に考える機 会としましょう。 小学校中学年 ・役 所、図書館、駅等では、そこで働く人がどのようにその施 設に来る方と接しているか観察させましょう。 ・実 際にまちの中で車椅子体験をさせ、通りやすくなっているか どうかを調べさせましょう。 ■ 実際にまちに出かけ、地域の中のものに触れ、たくさんのことに出会うことにより、地域のよい点、問題点 に気づかせるようにしましょう。障害のある人と共に行動することも考えられます。 ■ま ちで車椅子体験をする場合、安全に配慮しましょう。移動する際に、まわりの人の目をどう感じたかを振り 返らせ、施設や設備の問題だけでなく、心のバリアフリーも必要なことに気づかせましょう。障害は、障害の ある人に問題があるのではなく、まわり ( 社会 ) がつくっている面があることに気づかせることも大切です。 ■ 自分の調べに行きたいところ、調べたいことでグループ分けを行い、グループごとに調査活動を行う方法も 考えられます。 ■ デジカメ等を活用して記録させましょう。 3 地図に表そう・・・(3 時間) ・調べてきたことを地図に表すことで、自分たちのまちの人権にかかわる問題点に気づく。 模造紙(主要道路等を描いたもの) 1 これだけはぜひ書きたいということを発表する。 ●例 「公園では、お母さんたちが小さい子を遊ばせていた」 「川原で、おじいさんやおばあさんたちがゲートボールを楽しんでいた」 「駅の近くの交差点には盲人用信号があった」 「スーパーの駐車場には、障害のある人が車をとめるためのスペースがあった」 「駅は段差が多くて、車椅子のままでは電車に乗れない」 「駅のまわりには放置している自転車が多くて、歩きにくかった」 「一人で歩くと怖そうなところがある」 55 ■ 2 主要な道路や公共施設の写真が貼られた地図に、集めてきた情報を書き込む。 ・地図は分割しておき , すべての児童が同時に活動できるようにしましょう。 ・役所、図書館、駅等の主だった施設については、撮ってきた写真を貼るなどの工夫をしましょう。 小学校中学年 ■ 公共施設や道などについて調べたことを地図に表すことで、情報を共有し合い、課題を発見する手がかりと なります。まず、障害のある人からの話や車椅子体験を踏まえ、自分たちの住んでいるまちが、障害のある 人にとって住みよいまちになっているかどうかを考えさせましょう。そこから、高齢者にとって、子どもにとっ てなど視点を広げ、より深く自分たちのまちを見る練習をさせましょう。 ■ 地図づくりについては、『気づく・学ぶ・広げる人権学習』(P22 〜 P23)を参考にしてください。 ■ 56 活動 4 住 み よ い ま ち を つ く ろ う 4 時間 地域や人とかかわることをとおして暮らしを見つめ、学級の仲間と協力しながら行動したり、自ら社会に参加 ● しようとしたりする態度を育む。 1 できることを考えよう・・・ (1 時間) 活動計画シート、ふせん紙、模造紙 1 自分にできることを考え、ふせん紙に書く。 ・ふせん紙 1 枚に 1 つ書かせましょう。 2 模造紙に自分の考えを紹介しながら貼っていく。 ・同じ意見を近くに貼るようにし、後でどのような意見が出たか確認しやすいようにしましょう。 3 考えたことを話し合い、それぞれのグループごとに住みよいまちにするための計画を立 てる。 ・以下の観点を与えて、具体的に考えさせましょう。 活動計画シート 名 前 ■ 1 人でできること ■ 協力してできること ■ すぐにできること ■ いつかできること 1 人で 協力して すぐにできる いつかできる ワーク シート 例 A4 程度の用紙 ■ 作った地図から課題を見つけ、どのようにしたら解決につながっていくのかを考えさせましょう。 57 ■ 小学校中学年 ・今までの学習を振り返り、よりよいまちにするために自分たちにできることを考え、まとめることができる。 2 まちに出かけよう・・・(3 時間) ・自分たちにできることを考えて計画し、実践することができる。 計画を書く紙 小学校中学年 1 グループごとに実践することを決め、具体的な計画を立てる。 ● 例 ポスター作り 「何を描くか」「何枚描くか」「いつ描くか」 「どこに貼るか」 「誰に頼みに行くか」 「いつ貼りに行くか」等 2 立てた計画を発表する。 ・地図と照らし合わせながら発表させ、互いの計画を確認させるようにしましょう。 3 実際に行動する。 ●例 「道路のごみ拾いをする」 「公共施設の掃除をする」 「放置自転車の整理をする」 「市長・自治会長・施設の人と話をしたり、手紙を書いたりする」 「地域の人とポスターを作る。チラシを作り自治会長に頼み、回覧してもらう」 「車椅子を使っている人や高齢者の人とまちを歩く」 ■ 自分の考えたことを実行することによって、より地域に関心をもつようになり、保護者や地域の人々とのつ ながりも深くなると思われます。期間をおいて (1 か月程度 ) 実践したことを話し合い、新たな活動について 考えさせるなど、よりよい社会にするために積極的にかかわり、行動しようとする気持ちを持続させるよう にしましょう。 ■ 58 小学校中学年「出会い・発見・参加」 活動ごとの評価規準 活動 1 自分を知る・友だちを知る 目標 ● 自分自身を振り返ったり、友達の新たな面を知ったりすることによって自他の大切さに気づく。 価値・態度 技 能 ・自 分自身を見つめ、ありのままの 自分を受け入れることの大切さを 理解している。 ・自 分の個性やよさを認識し伸ばそ うとしている。 ・友 達のよさを発見し尊重しようと している。 ・自分のよさや友達のよさに気づき、 表現することができる。 活動 2 体験から学ぼう 目標 ● 地域に住んでいる障害のある人の思いを聞いたり、車椅子体験をしたりすることにより、身のまわりの人権に関する問題 に気づく。 知 識 価値・態度 技 能 ・障 害のある人が、生活の中で不便 に感じていることを理解している。 ・障 害のある人の話を共感的に聞こ うとしている。 活動 3 まちで発見・地図で発見 目標 ● 自分の住んでいるまちを調べることをとおして、 人権にかかわる問題に気づくとともに、そのことを地図に表すことにより、 自分たちのまちの課題を発見することができる。 知 識 価値・態度 技 能 ・自 分たちの住んでいるまちにも、 生活する上で障害となっているこ とがあることを知っている。 ・自 分たちのまちを問題意識を持っ て調べようとしている。 ・人権の視点を持って地域を観察し、 問題点を見つけ、考えたことを地 図に表すことができる。 活動 4 すみよいまちをつくろう 目標 ● 地域や人とかかわることをとおして暮らしを見つめ、学級の仲間と協力しながら行動したり、自ら社会に参加しようとし たりする態度を育む。 知 識 価値・態度 技 能 ・よ りよいまちにするために仲間と 協力しながら積極的に行動しよう としている。 ・調 べたことをもとに自分たちにで きることを計画し、実践すること ができる。 59 ■ 小学校中学年 知 識