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戦争と人々のくらし

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戦争と人々のくらし
社会科学習指導案
社会科学習指導案
戦争と
戦争と人々のくらし
第6学年
指導者
~アジア・太平洋に広がる戦争~
1組
木野本
三智子
2組
柳原
伸一
1 学習指導要領の
学習指導要領の内容(1)―ケ
我が国の歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や文化財,資料
などを活用して調べ,歴史を学ぶ意味を考えるようにするとともに,自分たちの生活の歴史的背景,
わが国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるようにする。
ケ 日華事変,我が国にかかわる第二次世界大戦,日本国憲法の制定,オリンピックの開催などに
ついて調べ,戦後わが国は民主的な国家として出発し,国民生活が向上し,国際社会の中で重要
な役割を果たして来たことが分かること。
2
単元について
単元について
この単元
この単元は
単元は
【概略】
概略】本単元では, 日本と中国との戦いが全面化し
たこと、アジア・太平洋地域において連合軍と戦って
敗れたことについて調べ、日本が戦時体制に移行し、
国民が大きな被害を受けたこと、アジア・太平洋地域
に大きな損害を与えたことを理解できるようにする。
【中心となる
中心となる教材
となる教材】
教材】平岩地域には,東広島市の医療の
拠点となる「東広島医療センター」があり,救急病院
としての役割を担っている。この病院はかつて,傷痍
軍人広島療養所として,結核患者を受け入れる病院で
あったが,原爆投下された8月6日からは,救護班が
出動し,病院内でも原爆患者を収容し,広島の復興に
重要な役割を果たしてきた。また、当時の救護班の一員
として爆心地で活動した方が地域内におり、直接お話
を伺うことが可能となっている。
児童は
児童は
【 太平洋戦争について
太平洋戦争 について】
について 】 本学年の児童は,5 年
時に社会見学で原爆資料館に行き,毎年の平和
学習により,太平洋戦争について多少の知識は
もっていると考えられる。しかし,具体的な戦
時中の国民生活の様子や 15 年戦争に突入して
いく世の中の流れについては知らない児童が多
い。
【 判断や
判断 や 資料の
資料 の 読 み 取 りについて】
りについて 】 年表や,読
み物資料または絵図などから,当時の様子を読
み取ることが少しずつではあるが,できるよう
になってきている。
地図や聞き取った話からも読み取れるように
していきたい。
指導の
指導の手だて
【児童とのかかわり
児童とのかかわり】
とのかかわり】 自分たちの住んでいる平岩地域に過去にこの地に起こったできごとについ
て多少なりともかかわりのある施設や戦争体験者がおり広島の復興に重要な役割を果たしてきたこと
をとりあげる。
【考えの根拠
えの 根拠】
根拠】考えの裏づけとして、戦争体験者である地域の高齢者への聞き取り調査,当時の
写真,手記、記録、新聞、グラフ、年表、地図などの資料を効果的活用するとともに,多様な学
習形態を工夫し資料を多面的に読み取らせる。
【言語活動】
言語活動 】調査や,学習で得た知識を解釈し,説明できるように準備をし,自分の考えを論述
させていく。
3 単元の
単元の目標
戦争のはじまりや戦場の広がり,各地への空襲,沖縄戦,広島・長崎への原爆投下,戦時下の国民の
関心・意欲・
くらしについて関心をもち,意欲的に調べ,考えながら追究することができるようにする。
態度
思考・判断
表現
観察・技能
知識・理解
日本と中国との戦いが全面化したことや,太平洋の地域へと戦争が広がっていったことについて,
学習問題や予想,学習計画を考え表現し,調べたことをもとにそれらの原因と背景や,これらの戦争
が国民やアジア・太平洋地域の人々に大きな影響を与えたことを考え,調べたことや考えたことを適切
に表現する。
戦争や人々のくらしの様子などについて,地域の資料館の見学や戦争体験者からの聞き取り活動,
地図や地球儀,年表などの各種の基礎的資料を活用して調べたことや考えたことをノートや作品にま
とめることができる。
戦争に至った背景,せんそうが拡大していく経緯と,その戦争によって,国民が大きな被害を受け
たことやアジア・太平洋地域の人々に大きな被害を与えたことをとらえることができる。
4 内容構造図
長引く中国
との戦争
1931 年(昭
和 6 年)満
州にいた日
本軍が,南
満州鉄道の
線路を爆破
し,これを
中国軍の仕
業だとして
戦争を始め
た。(満州事
変)
日本軍は,
占領した
ナンキン
で,捕虜に
した兵士
をはじめ,
女性や子
どもをふ
くむ多く
の人々の
命をうば
った。
グラフ
「 米 の 値
段」
「昭和初期
の失業率」
年表
「昭和時代
の で き ご
と」
地図
「中国で
拡大する
戦争」
写真
「中国へ
せめ入る
日本軍の
兵士たち」
広がる戦場
ドイツが
1939 年 に
イギリス,
フランス
と , 1941
年には,ソ
ビエト連邦
と戦争を始
めた。
日本は,
1941 年 イ
ギリス・ア
メリカと戦
争を始め
た。
地図
「広がる戦
場」
くらしの制限
朝鮮の人々
の姓名を日
本名に改名
させた。(創
氏改名)徴
兵をおこな
って日本の
軍人として
戦場に送っ
た。
武器の原材
料となる鉄
などの使用
が制限され
た。
さとうや米
などの生活
必需品は,
切符制・配
給制となっ
た。
年表
「戦争中の
人々のくら
し」
絵図
「戦争中の
国 民 の 服
装」
戦争の状況
国内では,中
学生や女学生
は兵器工場に
動員され,大
学生は不足す
る兵力を補う
ために,兵士
として,動員
された。
空襲で国土が
やきつくされ
た。
アメリカ軍の
反撃により,
沖縄が戦場と
なった。
日本の敗戦
8 月 6 日に広島
に 9 日に長崎に
原爆が落とさ
れた。
8 日ソ連が日本
に侵攻した。
15 日無条件降
伏をした。
写真「がまを攻撃す
るアメリカ兵」「ア
メリカ兵に降伏す
る住民」
地図「戦場となった
沖縄県」
写真「終戦直後の広
写真「兵器工場
島の原爆ドーム」
で働く女学生」
「敗戦直後の長崎
「出陣する大学
浦上天主堂」
生たち」
「空き地
表
での野菜作り」
「第二次世界大戦
でのおもな国・地域
のぎせい者」
地図
「日本全土にせ
まる連合国」
事実を表わす知識
満州事変
戦争は,原爆の投下やソ連の侵攻によって終わ
った。その際,日本の国民だけでなく,アジア・
太平洋地域の人々も命を落としたり,人生が大き
くゆがめられたりした。
説明できる知識
中国とはじめた戦争が長引いたため,
アメリカやイギリスなどの連合国との戦
争へと拡大していった。
概念
今日の自分たちの生活は,長い間の我が国の歴史や先人たちの働きの上に成り立
っている。また,先人たちの生活は自分たちの生活と深く関わっている。
5 指導計画(
指導計画(全 9時間
本時 1 組 8 /9
2組
2/9 )
次 時
学 習 活 動
評 価 規 準
写真や戦争体験者の話から戦争について調べ,戦争へと突き進
戦争体験者の話を手が
Ⅰ 1
んでいった当時の様子について学習問題を見出すとともに,学習
計画を立てることができる。
戦
争
へ
の
道
Ⅱ
戦
争
と
人
々
の
く
ら
し
日本がどうして戦争をすることになったのかや,人々の
くらしはどうなっていったのかを考える。
2(2組本時)
本
時
1930 年ごろの日本は,どんなようすだったのか調べ
てみよう。
1930 年当時の日本の様子から,日本が満州事変に至った経緯と
理由をとらえることができる。
3
戦場が中国から太平洋の地域へ拡大していった様子をとらえ,
アジア太平洋地域の人々に大きな損害を与えたことをとらえるこ
とができる。
なぜ,日本は15年間も戦争を続けることになった
のだろう。
戦場が中国から太平洋の
地域へ拡大していった様子
と,アジア太平洋地域に大き
な損害を与えたことをとら
えている。 【知識・理解】
4
戦争中の人々のくらしについて調べ,戦争がくらしにも大きな
影響を与えていたことや当時の人々の気持ちについて考えること
ができる。
戦争中の苦しいくらしを
調べ,当時の人々の思いに迫
り,その気持ちについて考
え,適切に表現している。
【思考・判断・表現】
なぜ,日本軍は満州を手に入れようとしたのだろう。
戦争がはじまると,人々がどのようなくらしをするこ
とになっていったのだろう。
5
写真や戦争体験者の話から,戦争中の人々のくらしの変化や戦
争がくらしに大きな影響を与えたことをとらえることができる。
くらしが苦しくなっていく中で,日本の国内にいた
子どもや女性たちは,どのようなことを考えて生き
ていたのだろう。
6
アメリカ軍の反撃で,兵士だけでなく国内の人々も戦争の被害
にあったことをとらえることができる。
アメリカ軍の反撃によって,日本はどうなっていっ
たのだろう。
7
原爆投下やソ連の参戦を調べることから,日本が降伏した経緯
や戦争が終わった理由について考えることができる。
戦争は,どのようにして終わったのだろう。
8(1組本時)
Ⅲ
ま
と
め
かりに,知っている知識と
結びつけながら話し合う
ことで学習問題を見出す
とともに,学習計画を立て
ている。
【思考・判断・表現】
9
今まで学習してきた戦争の学習をふりかえり,戦争と平岩地域
とのかかわりを調べることで,自分の意見や考えをもつことがで
きる。
原爆投下と平岩地域のかかわりについて,自分の考え
をもとう。
満州事変の経緯や国内の
混乱を調べ,日本が国際社会
で孤立していったことをと
らえている。 【知識・理解】
写真や戦争体験者の話か
ら,戦争中の人々のくらしの
変化や,戦争がくらしに大き
な影響を与えたことをとら
えている。
【知識・理解】
本土への空襲や沖縄戦を
調べることから,兵士だけで
なく,多くの人々が戦争の被
害にあったことをとらえて
いる。
【知識・理解】
戦争が人々のくらしや生
命の犠牲の上に行われてい
ることや戦争が終わった理
由について考え,適切に表現
している。
【思考・判断・表現】
日本が起こした戦争の学
習をふりかえり,自分たちの
住んでいる平岩地域と結び
つけることで,より一層自分
の考えを深めている。
【思考・判断・表現】
新聞作りを通し 15 年にわたる戦争から学んだことをまとめる。
日本がおこした戦争の学
学習したことをまとめ,平岩での事実を発信しよう。
習を振り返り,新聞にまとめ
自分の考えを深めている。
中国と始めた戦争が長引いたため,アメリカやイギリスなどの
【思考・判断・表現】
連合軍との戦争へと拡大していった。日本の国民だけでなく,
アジア・太平洋地域の人々も命を落としたり,人生が大きくゆ
がめられたりした。
6 本時の
本時の展開 (第6学年1
学年1組 指導者 木野本三智子 男子9
男子9名 女子14
女子14名
14名 計23名
23名)
(1)本時の目標
平岩地域における戦争の歴史を知り,戦争に対する自分の考えをもつことができる。
(2)研究主題とのかかわり
○ 身近な平岩の地域にある東広島医療センターの歴史を知ることで,年表や文献から自分の考
えをもたせる。
(根拠をもとに判断)
○ 東広島医療センターの地域へ果たした役割を知ることで,戦争について風化させることな
く,語り継いでいく取組を実践しようとさせる。
(社会参画の意識)
(3)学習の展開
学習活動
1
つかむ
2
約20年前の東広島
医療センターの写真を
見る。
予想される反応
指導の手だて(☆評価の視点)【言語活動】
・医療センターはこの当た
りにあったんだね。
・いつごろできたんだろ
う。
・このころどんなことがあ
ったんだろう。
・この資料を見て,もっと知りた
いことはないかを考えさせる。
資料
①
②
・東広島市医療センターが原爆投
下(太平洋戦争)とのつながり
があることを知らせる。
③
④
原爆と平岩地域との
つながりについての学
習課題をつかむ。
平岩地域と原爆投下とのつながりを知って,戦争についての自分の考えをもとう。
3
考える
読みもの資料「元看
護婦栩兼さんの話」を
読む。
① 疑問に思うことを
解決する。
深め合う
・栩兼さんはどんな気
持ちでこの話をしてく
れたんだろう。
4
⑤
・ほかに当時の様子が分か
る資料がほしい。
・自分の考えを確かなものにす
るためにはどんな資料が必要か
考えさせる。
【読み取り】
・イメージできにくい部分につ
いては,解説を加える。
まとめる
・東広島医療センターは戦 ・東広島医療センターの変遷
前からあり,原爆患者を
と,栩兼さんの歴史の二つの事
受け入れていたんだな。
象を軸に復興に向けての考えを
・当時は,若い看護婦さん
書かせ,自分の知識の再構成を
が手当てをするのに一
させる。
【解釈】
生懸命働いていたんだ。
・平岩にも原爆と深いかか
5 交流し合った意見を
わりがあったんだね。
・新聞の切り抜きを示し,戦争を
まとめる。
風化させてはならないことを伝
える。
☆平岩地域とのつながりを知っ
6 学 習 の ま と め を す ・戦争や原爆についてぼく
て,自分にできることは何かを
る。
たち私たちが語り継い
考え,平岩から発信していこう
でいこう。
としているか。(発言内容)
⑥
⑦
自分の考えを交流す
る。
① ペアトーク
② 相手の意見に感想
をもつ。
③ 全体トーク
自分たちの住んでいる平岩地域に,戦争や原爆とかかわりのある施設があったこと
の事実を正しく伝えていこう。
⑧
(4)板書
平岩地域と原爆投下とのつながりを知
って,自分の考えをもとう。
写真⑤
栩兼さん
写真①④
( 東広島医療
センター)
写真③
(国立療養所
(傷痍軍人広
広島病院)
島療養所)
⑦東広島医療
写真⑥
(8 月 6 日
センターの歴
の救護班)
史を示す年表
【児童の意見や考え】
・ 東広島医療センターは戦前からあり,原爆患者を受け入れていたんだな。
・
当時は,若い看護婦さんが手当てをするのに一生懸命働いていたんだ。
・
平岩にも原爆と深いかかわりがあったんだね。
・
戦争や原爆についてぼくたち私たちが語り継いでいこう。
(5)資料
③ 昭和 14 年
「傷痍軍人広島療養所」
⑤
写真②
② 昭和 20 年
「国立療養所広島病院」
【まとめ】
この事実を正しく伝え
るために,平岩から発信
していこう。
①④ 平成元年と 23 年
「東広島医療センター」
栩兼さんの話」(児童に配付)
⑦ 年表
⑥原爆投下の日の
【東広島医療センターの歴史】
救護班
読み物資料「元看護婦
写真
⑧ 新聞の切り抜き記事
(平成23年7月28日付
中国新聞)
昭和 14 年
2 月 9 日 傷痍軍人広島療養所として開設(500 床)
11 日 初めて福山陸軍病院より患者 3 名を収容
昭和 17 年 増築 500 床分工事開始
昭和 19 年 増築工事竣工 収容定員 1000 名
昭和 20 年 厚生省に移管,「国立広島療養所」と改称
8 月 6 日 原子爆弾による患者救護のため救護班を
編成し,トラックにて広島市内に救援に
いく。
8 月 15 日 終戦
昭和 40 年 一般病棟 150 床承認
昭和 41 年 救急病院の指定を受ける。
昭和 45 年 「国立療養所広島病院」と改称
平成 16 年 「独立行政法人 国立病院機構 東広島医療
センター」に改称
7
本時の
本時の考察
(1) 根拠をもとに判断させることができたか。
歴史年表から根拠を読み取る際,分か
らない言葉があると,児童は随時辞典
で調べている。
課題「栩兼さんはどんな思いでこの話をし
てくれたのだろう。」について考える。
「あやまちを繰り返さないように若
い人たちに伝えたいと思ったんだと
思います。」発表している様子
教師から提示した年表(地域の施設の歴史年
表)から,疑問点や気づきを出し合い,解決していく方向
に進めていった。実際に先人の働きを示すことで,興味・
関心を高めたり確認したりすることができた。
課題としては,地域に住む先人の思いを含めながら,ア
ジア・太平洋戦争の悲惨さを再度確認できるとよかった。
絵空事ではなく,実際に起こったことだということを児童
が実感をもてる授業の形になるともっとよかった。さらに
充実させるためには,先人の知恵を学び,地域教材を通し
て,国土・社会・歴史を教えていくためにはどうすればよ
いか模索していきたい。
(2) 自分とのかか
自分とのかかわりに
とのかかわりに着目
わりに着目させることができたか
着目させることができたか。
させることができたか。
次時の授業は,「原爆と平岩地域とのかかわりを,新聞
を通して伝えていこう。」という内容で,児童は,教科書,
資料集,ノート,
「栩兼さんの話」読み物資料等を見ながら
新聞を作成した。自分の思い込みによるものではなく,根
拠を明確にした事実を元に筋道たてて判断していくことを
配慮してきた。本時での学習を一番身近な人に伝えるため,新聞にまとめて,広めていくことにし
た。その後,家族,そして栩兼さんご本人にも新聞をお渡しすることができた。
本時の板書
8 本時の
本時の展開(
展開(第6学年2
学年2組 指導者 柳原伸一 男子8
男子8名 女子14
女子14名
14名 計22名
22名)
(1)本時の目標
1930 年当時の日本の様子から,日本が満州事変に至った経緯をとらえることができる。
(2)研究主題とのかかわり
○友だちの資料と自分の資料とを関連させながら読み取らせることで,学習課題解決の根拠とな
る多様な資料を効果的に活用し,社会事象を多面的に考察させる。
(根拠をもとに判断)
(3)学習の展開
指導の手だて
予想される反応
学習活動
資料
(☆評価の視点)【言語活動】
つかむ
1
15年にわたる戦争
の発端となった満州事
変の概要を知り,学習課
題をつかむ。
なぜ,日本は満州を手に入れようとしたのだろう。
2
グループごとに資料
を読み取る。
・ A(書籍等の文章):広い土地と豊かな資
・ A・B・Cの3つのグ
考える
住させることができ,不景気から抜け出せ
①
ループに分かれて,資
②
料を読み取る。(新聞な ③
る。
どの文章,地図,年表
源を手に入れれば,生活に苦しむ農民を移
やグラフ)
・ B(グラフ):農産物の物価が急激に安く
なり,失業者が増加している。満州地方に
たくさんの人が移住している。
【読み取り】
・ 各グループのリーダー
を中心に読み取りを進
・ C(年表・写真):アメリカの不景気に続
める。
き,日本も不景気になっている。貧しい暮
らしをしている農家の人々がいる。たくさ
【解釈】
・ あとで違うグループの
深め合う
人にも伝えられるよう
んの人が満州で畑を作っている。
3
にメモをとる。
ABCの3人が一つ
のグループになって考
えをまとめ,発表する。
【説明】
・ ABC の資料を関連させ
て考えを述べさせる。
4
☆
学習のまとめをする。
根拠となる資料の部
分を示しながら,読み
まとめる
取ったことをメモを
もとに表現できたか。
(発言内容)
広い土地と豊かな資源のある満州を手に入れれば,生活に苦しむ農民を移住させるこ
とができ,不景気から抜け出せる。
5
その後の日本はどう ・ 満州を手に入れたおかげでどんどん豊か
になっていった。
なってい く かを予想 す
・ 中国や世界の国々が日本の行為を非難し,
る。
大きな戦争へと発展していった。
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
(4)板書
課題
なぜ,日本は満州を手に
入れようとしたのか?
予想
・ 広い土地を手に入れ
手豊かになろうとし
たから。
・ 後で中国を攻めるた
め。
・ たくさんの人を手に
入れるため。
意見交流
資料 A
資料 B
資料 C
まとめ
当時の日本の様子は? 満州で何をしようとした?
次時の予告
その後,日
本はどうな
っていった
か?
・ 豊かに
なって
強くな
った。
・ 中国と
戦争し
た。
資料 A(書籍等の文章)
・ 思い切った土地改革なくして農村には救いがない。しかし,日本は山国であって耕地がない。はやい
話がとなりにある満州だ。あの沃野(よく肥えた土地)を日本農民に分配しようではないか。諸君は
必ず十町歩の地主になれるのだ。しかし,そのためには,天皇を中心に国民が団結しなければならな
い。(1930 年「わが異端の昭和史」平凡社より)①
・ 満蒙(まんもう・中国の満州近辺の土地)の問題はわが国の生命線である。
(1931 年 松岡洋右 満州
鉄道副総裁・後の外務大臣)②
・ 岩手県御堂村では,全村の小学生児童 900 名のうち 400 名が欠食児童(給食の時間に弁当をもって来
れない児童)であった。青森県北津軽郡では,百姓たちは布団と名のつくものは一枚も持っていない。
みんなわらの中に寝るのだ。(1932 年「中央公論」より)③
資料 B(グラフ)
(%)
④
⑤
農産物の価格の変化(1929年を100とする)
⑥
失業者数(万人)
移民数(人数)
100
60000
60
48.9
50
80
まゆ
むぎ
米
60
40
20
40
30
36.7
41.3
41.4
29.4
20000
20
10000
0
0
1929
1930
1931
1932
1933
(年)
1929
1930
資料 C(年表・写真)
年
1929年
1931
1932
⑦
出来事
アメリカ合衆国,大不景気になる。
(株価が大暴落し,銀行が次々に倒産。)
1930年
日本,大不景気になる。
1931年
満州鉄道爆破事件が起き,満州事変が始まる。
1932年
日本が満州国を中国から独立させる。
輸出激減。生糸暴落。農産物の物価急落。昼飯なしの児童急増。
東北地方,冷害で農作物に大きな影響。
満州への計画的な移民が始まる。
40000
30000
10
0
50000
1933 (年)
32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45
19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19
⑧
⑨
年度
9
本時の
本時の考察
(1) 根拠をもとに判断させることができたか。
A(書籍等の文章)B(グラフ)C(年表・
写真)の3つのグループに分けることで以下の
ような成果があった。
① 課題解決に必要な資料に多く触れさ
せることができた。
② グループごとに種類の違う資料を読
み取らせることで,解決したい事象
について多様な資料を関連させなが
ら多面的・複合的に考えさせること
ができた。
③ 自分が担当した資料は自分が責任を
もって他のグループの児童に説明す
るという役目をもたせることで,資
グループごとに分かれて,担当の資料を読み
料を自分のものとして読み取ろうと
取っている。読み取りは「読み取りのものさし」
する意欲を喚起することができた。
を使って,適切に読み取ることができるように
④ 自分の資料を他の児童に説明させる
話し合っている。リーダーが進行役になり,グ
ことで,読み取ったことを整理して
ループの読み取りを深めていく。
理解させることができた。
資料の読み取り方を上記のように工夫したことで,「1930 年ごろの日本の様子」や「満州事変に
至った経緯」について自分や友だちの資料を活用し関連させて考えさせることができた。
ただ,前時までの復習に時間がかかったので,本時の初めから読み取りの時間を設定し,最後の
学習課題のまとめ方をより充実させていけるように改善したい。
(2) 友だちとのかかわりを深めることができたか。
グループを作って,課題解決に向けた資料の読
み取りをすることで,互いの意見を自由に交流す
る必要感が生まれ,児童同士のかかわりが深まっ
た。また,複合的に資料を関連させたことでかか
わりがより一層深まった。
3人で話し合ったことも,自由に意見がいえる
場づくができたと感じる。
このような学習の仕方を他の単元でも行い,よ
り一層のかかわりをもたせていきたい。
A,B,Cの資料を関連させると課題解
決に必要な事柄が見えてくる。
自分の担当する資料から読み取ったことを他
のグループの友達にわかりやすく説明する。説
明することで読み取りへの意欲を喚起し,理解
をより深めることができた。
Fly UP