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三田市の公民館及び図書館の今後の方向性について — 答 申 —
三田市の公民館及び図書館の今後の方向性について — 答 申 — 平成25年3月 三田市社会教育委員の会 目 次 はじめに………………………………………………………………………………1 1公民館の今後の方向性について…………………………………………………2 (1)公民館・行政組織の現状…………………………………………………2 (2)公民館の今後の方向性の検討に至った経緯と背景……………………2 (3)公民館のめざす姿…………………………………………………………3 (4)公民館運営のあり方………………………………………………………3 2図書館の今後の方向性について…………………………………………………5 (1)図書館・行政組織の現状…………………………………………………5 (2)図書館の今後の方向性の検討に至った経緯と背景……………………5 (3)図書館のめざす姿…………………………………………………………5 (4)図書館運営のあり方………………………………………………………6 おわりに………………………………………………………………………………7 三田市社会教育委員名簿……………………………………………………………7 資料 諮問書…………………………………………………………………………8・9 はじめに 平成 24 年 4 月 17 日に、三田市教育委員会から「三田市中央公民館の今後の方向 性について」及び「三田市立図書館の今後の方向性について」の諮問を受け、三田市 社会教育委員の会で、研究協議を行ってまいりました。 三田市は、第4次三田市総合計画の市の取り組みとして「市民の多様なニーズや社 会の要請に応えるため、公民館や図書館等の生涯学習施設を地域における学習の場、 人づくり・地域づくり・まちづくりの拠点として機能させます。」と掲げています。 国の教育振興基本計画では、公民館については、 「公民館をはじめとする社会教育施 設について、地域が抱える様々な教育課題への対応や社会の要請が高い分野の学習な ど地域における学習の拠点、更には人づくり・地域づくり・まちづくりの拠点として 機能するよう促す。」と謳われています。図書館については、「図書館が住民にとって 身近な『地域の知の拠点』として、だれもが利用しやすい施設としての機能を果たす よう促す。あわせて、司書の資質の向上を図るため、その履修すべき科目の見直し等 養成課程の改善を図る。また、 『子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画』を踏 まえ、子どもが読書に親しむ機会の提供と諸条件の整備を支援する。」と謳われていま す。 地域における学習の拠点、人づくり・地域づくり・まちづくりの拠点として機能す る公民館及び図書館の今後の方向性とは、どの様な目的を持ち、どの様な形態の施設 であるのか、教育振興基本計画等を踏まえつつ、様々な角度から議論を重ね、この答 申に至りました。 社会教育委員の会は、教育委員会に属し教育長を経て教育委員会へ助言することが できる立場にあることから、教育委員会におかれては、この答申を踏まえた議論によ り、三田市の社会教育及び生涯学習に関する施策が充実するよう、また、市長部局と も連携しながら推進していただくことを期待しています。 平成25年3月11日 三田市社会教育委員の会 議長 1 田中 亨胤 1 公民館の今後の方向性について (1) 公民館・行政組織の現状 公民館は昭和 21 年の文部次官通牒「公民館の設置運営について」により公認さ れ、昭和 24 年に社会教育法によって法的に位置づけられました。昭和 39 年には 大蔵省から旧三田税務署庁舎の払い下げを受け、単独館としての三田市立公民館が 設置されました。 その後、市民の学習意欲が高まる中、本格的な学習施設を望む声が上がり、昭和 49 年に現在の三田市中央公民館(以下「公民館」という。)が完成しました。大集 会場、視聴覚室、講座室等を設け、市民のグループ活動の拠点となりました。今で は年間10万人を超える利用者を迎える等、多くの市民に慣れ親しまれる代表的な 生涯学習施設となっています。 また、昭和 58 年度には、公民館分室が開館し、小中グループの研修・交流や地 域の集会等に利用されました。分室は、平成 19 年度で廃止となりましたが、その 施設は現在青少年育成センターやふるさと学習館等、生涯学習施設として活用され ています。 市内の類似施設としては、市民の主体的な学習及び文化活動並びに市民相互の多 様な交流を促進し、コミュニティ意識の醸成を図り、活力ある住みよい地域社会の 形成を目的として、平成 6 年度に高平、平成7年度にフラワータウン、平成 8 年度 に広野、平成 12 年度に藍、平成 17 年度にウッディタウン、平成 18 年度に有馬富 士共生センター等、各地区に市民センターが順次開設されてきました。その他、ふ れあいと創造の里やまちづくり協働センター等も設置されています。 平成 24 年度からは地域担当制がスタートし、それら施設に地域担当職員を配置 し、地域コミュニティの活性化と市民力・地域力の向上を図り、更なる協働のまち づくりが推進されています。 (2) 公民館の今後の方向性の検討に至った経緯と背景 公民館は、市民が集い、語り、学びあうための生涯学習の中核施設として、学習 機会や学習情報の提供、学習相談、100 を超える登録グループ等文化活動グループ の育成及び婦人会、子ども会等社会教育関係団体の活動に対する支援を長年にわた り行ってきました。 この間、公民館や利用者をとりまく状況は大きく変化し、戦後の復興期に制定さ れた社会教育法に準拠する公民館のあり方は現在の社会情勢や利用実態に合わない 点もありました。このため、市では平成17年に、 「貸館等使用料の減免等に関する 基本的な方針について」を策定し、公民館と市民センター等の減免基準は同一のも のとなりました。 2 また平成 20 年度からは、市の組織改編により、市長部局が公民館を所管してお り、現在は各地域の市民センターと公民館が市長部局により運営されています。こ の状況を踏まえ、従来の名称、組織、設置目的を含む管理規則等を再検討し、施設 機能の見直しを行うことが求められており、今後の方向性について諮問されました。 (3) 公民館のめざす姿 今後の公民館がめざす姿として、安全に、安心して暮らせるまちづくりのために、 住民自らが考え、行動することを支援する施設であることが重要です。この点は、 これまでも社会教育施設に求められてきたことであり、今後も、個人の生きがい追 求や満足感の充足だけではなく、市民が学んだことを地域に還元できるように促す 施設であることを望みます。 公民館に集う人たちが交流し、互いに高めあい、公民館を起点とし、学びの成果 を広く市民や地域に発信し、実際に地域課題の解決に至るプロセスを展開していく ことが、まさに、人づくり・地域づくり・まちづくりを推進する拠点として機能す る公民館であると考えます。子どもから高齢者まで、誰もが気軽に利用できるプロ グラムを提供する等、地域に密着した施設づくりに努めることも重要です。 専門性や公共性を保ちながら、社会教育施設・生涯学習施設である公共の施設と して、期待される役割は以下のとおりです。 ①市民の自発的な生涯学習を支える役割 ライフステージや地域課題に応じた多様な分野や学びの段階に応じた学習の 機会や情報の提供等。 ②市民同士の交流拠点としての役割 学びをきっかけに市民が集い、交流が生まれ、それを通して、地域づくり、 まちづくりにつながる場所。多世代の交流による地域の活性化。 ③市民の学びを地域に還元する役割 人と人をつなぎ、個の学びから地域に広がるような活動の促進。 (4) 公民館運営のあり方 前述の姿を実現する公民館運営のあり方について、委員により様々な意見があり ます。市民、地域、まちのための公民館機能の充実ということを念頭に、社会教育 施設・生涯学習施設である公民館の更なる充実、活性化を望む意見や、公民館と市 民センターを区別することなく、地域の実情に即し柔軟に対応できる施設としては どうかという意見等です。 近年、三田市では、公民館をはじめ各地域の市民センターや総合文化センター、 3 まちづくり協働センター等におけるグループ活動や市民自らの学習活動も盛り上が りを見せている中、生涯学習の機運が高まり、学習機会の提供等ソフト面の更なる 充実が求められています。従って公民館、市民センター等の更なる充実をはかり、 まち全体で生涯学習を推進することを望むとともに、コミュニティ活動に重きを置 いた現在の市民センターを生涯学習施設として有効に機能させるため、各市民セン ターにおいても生涯学習プログラムを実施する等、生涯学習機能を付加・充実させ ることを提案します。 公民館のめざす姿を実現するためには、現体制による更なる充実はもとより、市 長部局が公民館を運営している三田市の現状を考慮しながら、同時に、先進地にお ける公民館運営等、他市の事例にも学ぶ必要があります。今後、市民センターの活 性化とともに、公民館も社会教育法に基づく施設から地方自治法第 244 条の公の施 設とすることで、まちの実情に合わせ柔軟に運営できる施設とすることも検討いた だき、最良の方法を見出されることを望みます。 4 2 図書館の今後の方向性について (1) 図書館・行政組織の現状 平成2年3月、ニュータウンと市街地の中間点である南が丘に三田市立図書館(以 下「図書館」という。)が開設されました。平成 17 年 4 月には藍市民センター図書 室が図書館藍分室と組織変更され、また、同年6月には図書館ウッディタウン分館 (ウッディタウン市民センター内)が開設されました。これにより、本館を中心と する市内3施設が整備され、移動図書館の北部地域巡回運行と合わせて市内全域へ の図書館体制が整備されました。また、平成 20 年度の組織改編により、図書館は 公民館と同様に、市長部局において運営されています。 開館以来、人口増加が緩やかになってからも利用者数は伸び続け、年間貸出冊数 は、平成2年度の約 44 万冊から平成23年度には約 123 万冊に増加しました。ま た、市民一人当たりの年間貸出冊数は 10 冊を超えており、全国同規模自治体及び 県下では、トップクラスの利用実績を維持しています。 (2) 図書館の今後の方向性の検討に至った経緯と背景 図書 館の今後の方向性の検討に至った経緯と背景 近年、公共図書館では開館時間の拡大をはじめとする更なるサービス向上が求め られています。そのため管理運営面では、本館運営、選書、調査相談等、図書館運 営の根幹的部分において、司書職員を中心とした体制を維持し、分館等は指定管理 者制度または業務委託を導入する自治体が増加しています。 一方、国会での大臣答弁や法改正の付帯決議において、事業の継続・安定性や専 門的職員の育成等の課題があることから、図書館全体への指定管理者制度の導入は 慎重に検討する必要があるとされています。これらの動向と背景を踏まえ、三田市 としても図書館運営のあり方について、本館、分館、分室の役割に即して検討が必 要であるとの考えから、諮問されました。 (3) 図書館のめざす姿 図書 館のめざす姿 今後の図書館がめざす姿としては、従来の閲覧や貸出サービスももちろん大切で すが、新たなニーズや時代の変化に対応するとともに、暮らしに役立ち、身近に感 じることのできる施設となることです。また、地域に貢献する知の情報拠点として、 学校や他の社会教育施設、生涯学習施設等との連携を密にし、多機能化、複合化、 紙媒体(紙の書籍等)による情報と電子媒体(電子書籍等)による情報を組み合わ せるハイブリッド化、インテリジェント(コンピュータ制御)化されること等も重 要です。 5 図書館が住民にとって身近な『地域の知の拠点』、『まちづくりの拠点』として、 だれもが利用しやすい施設としての機能を果たすこと、あわせて、引き続き子育て 支援の拠点として、子どもが読書に親しむ機会の提供と諸条件の整備を支援する施 設であることを望みます。 専門性や公共性を保ちながら、社会教育施設・生涯学習施設である公共の施設と して期待される役割は以下のとおりです。 ①暮らしに役立ち、暮らしの中の問題を解決できる・考えることができる役割 暮らしの中での困りごとや関心ごとについて必要な情報を探したり、考えた りすることができる場。レファレンスサービスの充実。子育て支援の拠点等。 ②地域の知の拠点としての役割 本の貸出サービスのみではなく、複合的かつ多機能的な地域貢献できるサー ビスの提供。誰もが利用でき、市民にとって身近に感じることができる場。 地域ならではの情報の収集と活用等。 ③市民や地域とつながり、市民が学ぶ機会を図書館以外にも広げる役割 学校や他の社会教育施設、生涯学習施設等との連携。市民の新しいニーズや 時代の変化に応じた企画の立案。図書館を利用しない市民に向けての情報発 信等。 (4) 図書館運営のあり方 図書 館運営のあり方 前述の姿を実現する図書館運営のあり方について、委員により様々な意見があり ます。市民の生涯学習の場として、安定性、継続性、公共性の観点から、現在の体 制による図書館サービス(蔵書やレファレンス等)の更なる充実、活性化を望む意 見、第三者機関等により、図書館運営を評価することも大切とする意見、或いは、 図書館が多様な市民ニーズに応えるためのサービス拡充には、民間活力(指定管理 者制度等)導入を検討してはどうかという意見等です。 民間による運営を考えた場合、市民 NPO や民間企業は、経営面や継続性等に不安 を抱えるということは一般的に言われますが、市民の立場に立った運営でのサービ ス向上や、効率性や民間のノウハウを活かした柔軟な取り組みが期待できること等 それぞれ特徴があり、慎重に検討する必要があります。 いずれにしても、今回、図書館運営の更なる充実の必要性から諮問に至った経緯 を考慮すると、現体制による抜本的な見直し、或いは、民間活力(指定管理者制度 等)導入の検討も避けては通れないと考えます。前述の諸点を勘案しながら、図書 館のめざす姿を実現するためには、公民館と同様、市民、地域、まちのための図書 館ということを念頭に、現体制による更なる充実・改革はもとより、効率、効果等 も考慮し、民間活力(指定管理者制度等)導入も検討いただき、最良の方法を見出 されることを望みます。 6 おわりに 三田市ではこれまで、教育委員会、市長部局を問わず様々な事業・講座等の実施に より、市民の学びの機会や、学びを活かす仕組みが提供され、多くの分野で市民活動 が活発に行われてきました。とりわけ、近年は市民ニーズの多様化も急激に進みつつ ある一方では、景気の見通しも不透明な状況が長期間続いている中で、効率的かつ効 果的な行政運営が強く求められており、生涯学習の観点からは、市民にとっての公民 館、図書館運営のあるべき姿への検討が課題となっています。これらの課題解決によ って、生涯学習のまちづくりの更なる推進に繋がっていくと考えます。 これからの三田市の生涯学習推進体系における社会教育をはじめ、学校教育、家庭 教育、幼児教育、それぞれの位置づけから、教育委員会には、今までの礎を築かれて きた方々の思いを受けとめながら、社会教育施設としての公民館及び図書館の組織や 運営等のあり方について慎重に判断し、より良い教育行政を進めていただきたいと考 えます。 最後になりましたが、今回の答申にあたり、更なる社会教育・生涯学習の推進によ り、今後とも人づくり・地域づくり・まちづくりを基盤とした三田市の発展を願って います。 三田市社会教育委員名簿 三田市 社会教育委員名簿 た な か ゆき たね 議長 田中 亨 胤 ま ご め た け し 副議長 馬込 武志 こ す ぎ たか ひろ 委員 小杉 崇 浩 こ ま つ ひ で こ 委員 小松 英子 こんどう け い こ 委員 近藤 桂子 なかじま み ね こ 中島 美 ね 子 なかにし 委員 中西 尚美 は せ が わ と も こ 長谷川 智子 ふじむら 委員 おさむ 委員 松浪 治 や ま だ 委員 はるひこ 藤村 晴彦 まつなみ 委員 な お み く み よ 山田 久美代 委員 7 8 9