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第 1 章 序論 - 東京工業大学電子図書館
第1章 序論 1.1 研究背景 21 世紀に突入してからのモバイル機器の発展は著しい。それは携帯電話やノートパ ソコンに留まらず、携帯型音楽プレーヤーや携帯型ゲームの登場などにも顕著にみられ る。これらのモバイル機器の電源には充放電可能な二次電池、その中でもとりわけエネ ルギー密度が高いリチウムイオン二次電池が用いられている。Figure 1- 1 は、これまで に商品化されてきた様々な二次電池の重量エネルギー密度と体積エネルギー密度の関 係を示したものである。図より明らかなように、リチウムイオン二次電池は体積エネル ギー密度、重量エネルギー密度の双方の観点において他の二次電池を圧倒しており、こ れらの電池の今後の発展性を考慮してもリチウムイオン二次電池が将来のモバイル機 器用電源として、他の電池に譲らない最も有望な二次電池であることは明白である。 しかしながら、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度向上が近年鈍化傾向にあり、 モバイル機器の更なる使用用途の拡大に対応できない、という問題が最近取り上げられ ている。現に、1991 年にソニーによりリチウムイオン二次電池が実用化[1]されて以来、 約 10 年間で体積エネルギー密度は約 2.5 倍に増加したが、ここ数年では性能向上が飽 和化しているようにみられる(Figure 1- 2)。その理由は、基本的な電極材料系が変わら ず(正極材料は LiCoO2 又は LiMn2O4、負極材料が炭素材料)、充放電電圧範囲拡大も含め た電極材料利用率向上、電極高密度化、外装材料の軽量薄肉化、その他改良手法がほぼ 出尽くした為であると考えられる。リチウムイオン二次電池の用途はモバイル機器のみ ならず、その高エネルギー密度を生かして大型電源用、定置型電池や HEV(ハイブリ ット電気自動車) 、EV(電気自動車)などの自動車電源への適応も一般化されつつある 段階である。このようなニーズに応えるには、Figure 1- 2 にみられるような現行リチウ ムイオン電池の限界を超えた二次電池が必要であり、その為には一層の高エネルギー密 度を有する代替電極材料の開発が必須である。 このような問題点に立脚して、本章では従来のリチウムイオン二次電池用の負極材料、 正極材料開発の動向をエネルギー密度向上という点から述べ、その後に本論文のテーマ とその有用性を述べる。 -1- Figure 1- 1 Energy density of various secondary batteries.[2] Figure 1- 2 Trend of development of Li-ion batteries.[3] <リチウムイオン二次電池> リチウムイオン二次電池は Figure 1- 3 に示すように、リチウムイオンを正極、負極間 で挿入脱離し、それに伴う酸化還元反応のエネルギー収支を電力として取り出す。正極 材料に LiCoO2、負極材料に炭素材料を用いた場合の電池式は eq.1. 1 のようになる。 discharge LixC6 + Li1-xCoO2 charge -2- C6 + LiCoO2 eq.1. 1 式から明らかなようにリチウムイオンを挿入脱離できるような物質は二次電池電極 材料の候補となりうる。特に eq.1. 1 の例にみられるような、バルク構造を維持した状 態で行われるイオンの挿入反応をインターカレーション反応という。理想的な電極はよ り多くのリチウムイオン(高い容量)をできるだけ高速で(大電流で)挿入脱離できi、 サイクルによる容量劣化が少ない物質である。その中で正極は電極電位が高い物質、負 極は逆に電極電位が低い物質が求められている。以下に負極材料、正極材料の開発現状 と問題点を述べる。 Figure 1- 3 Schematic model of a lithium ion battery.[4] 1.2 負極材料 従来研究されている負極材料の中で、炭素材料、合金材料、酸化物材料の開発状況に ついて述べる。 1.2.1 炭素材料 グラファイト構造を有する炭素材料は現在においても主流の負極材料である。リチウ ムはグラファイトの層間にインターカレーションする。 リチウムイオン二次電池に用いられる炭素はその特徴から以下の 3 種類に分類され [5][6] る 。 ○ 黒鉛に代表されるような高結晶性炭素 i 電流密度に対する容量を維持する特性を「レート特性」という。 -3- ○ 熱処理により結晶化が進みやすい易黒鉛化炭素 ○ 熱処理により結晶化が進みにくい難黒鉛化炭素 以上に挙げた物質の典型的な充放電例を Figure 1- 4 に示す。 これらの中で高結晶性炭素 材料は Li+/Li 電位に対して低い 0.2-0.5 V でリチウムを充放電でき、不可逆容量が小さ いという利点がある。しかし、理論容量は LiC6 の 372 mAh g-1 と限られてしまうという 欠点がある[7]。この容量はリチウム金属の容量 3800 mAh g-1 に比べて極端に小さい。ま た、レート特性が悪いといった欠点も抱えている。一方、他の炭素材料の容量は高結晶 性炭素材料に比べ大きいが、初回不可逆容量が大きいという欠点がある。 上記の種々の利点を備えた高機能化を図る為それぞれの材料の複合化[8]、表面処理 [9][10] 等の検討が多くなされている。 Figure 1- 4 Charge and discharge curves of (a) graphite, (b) soft carbon and (c) hard carbon.[5][6] 1.2.2 合金材料 炭素材料の容量が小さいという欠点を補う為、リチウム合金材料を使用する方法が提 案されている。これまでにスズ、アルミニウム、ケイ素、アンチモン、鉛など多種の金 属が検討されてきた[11]。特に容量が大きいのは Li-Si 系合金であり、優れた特性をもっ ているので精力的な研究開発が進められている。常温ではリチウムとケイ素の量論比は 4.4 : 1 まで合金化反応が可能である。400°C においては、電解質に溶融塩を用いた場合 に容量が 4000 mAh g-1 を示すことが報告されている[12]。しかし、合金材料は大量のリチ ウムを吸蔵放出すると激しい体積変化を起こすために電極が微粉化し、サイクル特性が 劣化するという重大な欠点がある。この内部応力の問題を解決する有力な手段としてモ ルフォロジーを変化させるということが挙げられる。これまでにナノスケールの SnSb 合金の研究[13]に代表されるように活物質の微粒子化の研究が行われてきた。微粒子化す ることにより内部応力の緩和、表面積の増大による有効電流密度の減少というメリット -4- が得られ、サイクル特性、レート特性の向上に成功している。しかし、微粒子化を行っ ても粒子の凝集効果が起こり得るため結局は長寿命性に優れているとは言い難く、更に 大きな初回不可逆容量の問題は解決されていない。このように実用化には困難だと思わ れていた合金系負極だが、近年ソニーによってスズ系アモルファス材料を負極として用 いた Nexelion が商品化された[14][15]。詳細は明らかにされていないが、負極材料はスズ、 コバルト、炭素などの複数の元素を均一に分散させ、アモルファス処理を施した材料で、 従来の炭素材料を用いた電池に比べて体積当たりの容量が 3 割増加し、かつ低温特性向 上を成し遂げている。 1.2.3 酸化物材料 上述した大抵の材料は従来の炭素材料に比べて高容量を示すことが多い。よって次世 代負極材料開発の一番の焦点は更なる高エネルギー化よりもむしろ、サイクル特性向上 と初回不可逆容量の問題にあるといえる。特に後者の問題はモルフォロジーを変化させ れば改善するような問題ではなく、おそらくは負極材料開発の一番の障壁であると思わ れる。 そこで負極材料にも酸化数の変化する元素を用いて充放電の可逆性向上を図る研究 が成されている。その一例が酸化物である。1996 年に富士写真フィルム(株)の Idota ら は非晶質スズ複合酸化物(略称:ATCO)負極活物質を用いた高容量リチウムイオン二 次電池(名称:STALION)を発表した[16]。この電池では従来のカーボン負極の電池に 比べ約 1.3 倍の高エネルギー密度を与えることができると報告した。この報告以来、 Dahn らによる SnO、SnO2 の研究[17]を皮切りに様々なスズ複合酸化物が研究されてきた [18]-[23] 。しかしながら、合金負極並みに初回不可逆容量が大きいという欠点は改善でき ておらず、バルク内の構造や構成元素を見直す必要があると考えられる。 スズの代わりに、様々な酸化数を取りうる遷移金属を用いれば放電過程においても 金属種の酸化反応による電荷補償によってリチウム脱離容量をまかなえると期待でき る。2000 年、Tarascon らはナノスケールの 3d 遷移金属酸化物 MO(M=Fe, Co, Ni, Cu) [24] が優れたサイクル特性、レート特性を有することを報告するとともに酸化物負極の反 応機構を提案した。CoO の場合を例にとると eq. 1. 2 に示すような反応機構で充放電反 応が起きると考えられた。 CoO + 2 Li+ + 2e- ⇄ Co + Li2O eq. 1. 2 -1 この反応は結晶構造のアモルファス化を伴って約 900 mAh g の挿入容量を示す。この 大容量は CoO の空サイト数では説明できず、従来の正極材料におけるインターカレー ション反応とも合金化反応とも異なる。充電過程における Li-O 結合の生成は以前より アモルファス化、構成遷移金属の大きな酸化数変化という観点から示唆されてきたが、 上記の報告は実際に透過型電子顕微鏡(TEM)で Li2O 粒子の形成を確認している。こ の反応機構の解明は酸化物負極の大容量の解明という点からみれば意義は大変大きい。 -5- しかし、依然として大きな初回不可逆容量の問題は解決されていない。 また、様々な複合酸化物の充放電特性も検討されている。その中でも特にバナジウム、 モリブデンのように様々な価数を取りうる元素を含有する酸化物はより多くのリチウ ムの電荷補償をまかなえると考えられ、大きな可逆容量を示すことが期待される。バナ ジウム、モリブデンを含有した複合酸化物材料はこれまでに RVO4 (R=In, Cr, Al, Fe, Y)[25]、 MnMoO4[26] 、ブラネライト型酸化物 MnV2O6[27][28] 、及びそのモリブデン置換化合物 Mn1-xMo2xV2(1-x)O4[29][30]、LiMVO4(M=Co, Ni, Cd, Zn)[31]-[34]などが報告されている。その中 で、我々が行ってきたブラネライト型化合物と逆スピネル型化合物 LiCoVO4 の研究に ついて述べる。 <ブラネライト型酸化物材料[27]-[30]> Figure 1- 5 にブラネライト型構造を示す。 バナジウムが酸素八面体配位をとってお り、この八面体が層状に配列している。そ の層間にマンガンが位置している。この層 間は比較的大きな空隙が存在し、リチウム の挿入脱離がスムーズに行えることが期 待される。また、5 価のバナジウムを 6 価 のモリブデンで置換でき、電荷補償はマン Figure 1- 5 Brannerite-type structure of MnV2O6 ガンサイトの欠陥によって行われ、組成に with monoclinic system and space group, C2/m. して Mn1-xMo2xV2(1-x)O4 (0 ≤ x < 0.45)となる [35] 。 3 に示す。これらの材料、特にモリブデン置 換化合物の初回充電容量、放電容量は従来 の炭素材料に比べて飛躍的に高い。しかし ながら、両化合物とも不可逆容量が大きい。 可逆容量、不可逆容量の要因を探求する為 に、X 線吸収スペクトル(XAS)を用いて各 電位における各元素の酸化数、局所構造の 変化を調べた。その結果を Figure 1- 6 図中 に示す。両化合物ともバナジウムがリチウ ム挿入過程において+5 価から+2 価に大き Cell Voltage / V vs. Li+/Li Mn0.6Mo0.8V1.2O6 の充放電特性を Figure 1- 6 2 Mn 0 V 2+ Mn 2+ V 4+ Mn 0, 2+ V 4+ Mo 4+ 2 1 0 0 Mn 2+ V 5+ local structure around V ⇒ high symmetry 1 0 3 (a) MnV2O6 Mn 0, 2+ V 4+ MnV2O6 とそのモリブデン置換化合物 (b) Mn0.6Mo0.8V1.2O6 Mn 2+ V 5+ Mo 6+ local structure around V and Mo ⇒ high symmetry Mn 0 V 2+ Mo 0 500 Mn 2+ V 4+ Mo 4+ 1000 Capacity / mAh g-1 1500 く変化し、高容量を生じていることが分か Figure 1- 6 Charge and discharge curves of る。モリブデン置換化合物の場合、モリブ (a) MnV2O6 and (b) Mn0.6Mo0.8V1.2O6. デンも大きな酸化数変化を起こすので更 -6- なる高容量化が達成された。しかしリチウム脱離時に各元素とも元の酸化数には戻らず、 このことが大きな不可逆容量に直結していると考えられる。また、それに加えて局所構 造変化の可逆性も不可逆容量に大きく関連していることが示唆された。 初回不可逆容量の主要因となるリチウム挿入段階は主に 0.5 V 付近のプラトーに至る までの段階だと推測できる。すなわち、局所構造が対称性の高い構造(NaCl 型構造)に転 移するまでの Li 挿入分が不可逆容量に直結すると考えられる。 <逆スピネル型 LiCoVO4 [33][34]> Ohzuku らによって検討されたスピネル型酸化物 Li4Ti5O12 へのリチウムインターカレ ーション反応もまたリチウム挿入時にスピネル型構造から NaCl 型構造へ転移する[36]。 この相転位は格子定数の変化がほとんどない“zero-strain”特性を有し、1.5 V プラトー において 150 mAh g-1 の容量(約 1 Li に相当)を 100 サイクル可逆的に挿入脱離するこ とが見出された。このようにスピネル型酸化物であれば初期の段階から可逆容量が生じ、 不可逆容量を軽減させることができる可能性がある。また、上述したように高容量を得 る為には様々な酸化数を取りうるバナジウムが含有されていることが望ましい。 上記の条件を満たすバナジウム含有スピネル型酸化物として、我々は逆スピネル型酸 化物 LiCoVO4 を研究対象物質として、その充放電機構や不可逆容量についての考察を 行ってきた。以下、その概要を述べる。逆スピネル型酸化物 LiMVO4 (M=Ni, Co)は元々 高電位で作動する正極材料として 1994 年に Fey らに報告[37]されて以来、注目されてき た。LiCoVO4 で約 4.2 V、LiNiVO4 で約 4.8 V もの高い平均放電電位を有する[38]。結晶構 造や正極としての既往の研究など詳細は 1.4.3、 及び第 2 章で述べる。 ここでは、 LiCoVO4 へのリチウム挿入反応、すなわち負極材料として検討した結果を述べる。 Figure 1- 7(B)にみられるように、LiCoVO4 にリチウムを挿入すると Li4Ti5O12 と同様に 秩序化したアタカマイト型構造 Li2CoVO4 を生じる。更にリチウムを挿入してブラネラ イト酸化物と同様の条件で充放電を行った結果、不可逆容量がブラネライト型化合物に 比べて小さいことが Figure 1- 8 より分かる。これは、XAS の結果より LiCoVO4 におけ るバナジウムが MnV2O6 におけるバナジウムよりも酸化数、局所構造という点で優れた 可逆性をもつことに起因すると考えられる(Figure 1- 8)。このことが LiCoVO4 の優れた 可逆性に関連していると考えられる。一方で、コバルトは低電位まで充電したときに Co-Co 金属クラスターを生成し、これが 2.5 V まで放電しても完全に元の酸化数、局所 構造に戻らないことから、不可逆容量の一因であると考えられる。この析出したコバル ト金属は、ナノスケールの微粒子であることが多重散乱計算による XAS シミュレーシ ョンで示唆されており、電極活物質の有効表面積の増大という観点から、少なからずレ ート特性向上に寄与している可能性も示唆される。 -7- (A) (B) Cell Voltage / V vs. Li+/Li Figure 1- 7 Crystal structure of LiCoVO4 with inverse spinel type. 3 V 5+, tetrahedra Co 2+ V 5+, tetrahedral Co 0+, 2+ 2 same localstructural environment around V 1 0 0 V 2+ Co 0+ V 4+, octahedra Co 2+ 500 1000 1500 -1 Capacity / mAh g Figure 1- 8 Charge and discharge mechanism of LiCoVO4. 以上、負極材料開発について主に高エネルギー密度を有する材料の不可逆容量、可逆容 量の発生要因という観点から概説した。次世代リチウムイオン二次電池の負極材料開発 にはこれらの問題を避けて通れず、既存材料のモルフォロジーや表面状態を改善すると いった研究以上に電極バルクの構造、構成元素の特性を検討する必要があるであろう。 1.3 酸化物正極材料 次に、正極材料の開発動向について述べる。まずは酸化物材料を層状化合物、スピネ ル型化合物に大別して概説する。 -8- 1.3.1 層状化合物 LiCoO2 はa-NaFeO2 型と呼ばれる層状構造を有しており、リチウムイオン二次電池が 実用化されて以来現在に至るまで主流の材料である。LiCoO2 はリチウムを可逆的に挿 入脱離でき合成が容易であることの他に、高い平均放電電位(3.8 – 4.0 V vs. Li+/Li)、高 容量(120 – 130 mAh g-1)を示す[39]。しかしコバルトは高価で可採埋蔵量(一千万トン) も少ないので大型電池製造には適さない。現在こそ電極材料の主流であるが新規材料の 探索は必須である。 他の層状化合物の正極材料候補としては LiNiO2[40]が挙げられる。LiNiO2 は LiCoO2 と 同様にa -NaFeO2 型をとり、放電平均電位は約 3.6 V とやや低いものの容量は 150 mAh g-1 かそれ以上が期待できる。しかし、高電位における材料の熱的安定性が欠け、大きい容 量でサイクルを繰り返すと安定しないという欠点を有する。 これらの化合物をベースとした様々な固溶体化合物も検討されているが、その中でも 最近では LiNi0.5Mn0.5O2[41]-[46]、LiMn1/3Ni1/3Co1/3O2[47]などがとりわけ大きな注目を集めて いる。前者はコバルトを用いずに高い熱安定性を示してかつ高容量(150 mAh g-1)を示す という点で優れている。後者はカットオフ電位を上げれば 200 mAh g-1 もの高容量を維 持して充放電サイクルでき、極めて高い熱安定性を有しているという点で優れている。 1.3.2 スピネル化合物 LiMn2O4[48]は先の 2 つの物質にみられる層状構造とは異なり、立方晶スピネル型構造 という 3 次元の骨格構造を持つ。またマンガンが安価で資源豊富な材料であるため安定 した供給が可能であるという利点を有する。しかし、サイクル特性が LiCoO2 に比べて 劣っており、室温よりも高い温度下でマンガンが電解液中に溶出するといった構造安定 性に問題がある。これらの問題を解決する為に、容量は減少するが種々の異種金属(Co, Cr, Al, Ni, Fe など)で置換し、サイクル特性を向上させるという試みがなされている [49]-[51] 。またこれらの置換型マンガンスピネル酸化物のうち、LiMyMn2-yO4 (M=Co, Cr, Ni, Fe な ど ) は 5 V 級 の 高 電 位 ま で 作 動 さ せ る 試 み が な さ れ て い る [52]-[61] 。 中 で も LiNi0.5Mn1.5O4 はサイクル特性、レート特性も良好であり、Mn3+を含まないために 5 V 付 近でのみ充放電することから、高エネルギー密度電極材料として非常に魅力的である [57]-[61] 。しかし、電解液の酸化安定領域との整合で課題を残している。今後耐酸化電圧 が高い電解質、例えば固体電解質などの技術的進歩が進めば高電圧リチウムイオン二次 電池として実用化することも可能であると考えられる。 酸化物材料の開発も上述したように活発に進んでいるが、以下ではそれらとは異なる 観点で次世代電極材料開発にむけて研究されている「ポリアニオン系材料」について述 べる。 -9- 1.4 ポリアニオン系正極材料 結晶構造中に XO4 四面体(X = P, As, S, Mo, W etc)を含む正極材料はポリアニオン系正 極材料と呼ばれている。現在までにリチウムイオン二次電池の正極材料に応用されてい るポリアニオン化合物は多種報告されており、Figure 1- 9 にその一例を示す。 Figure 1- 9 Several polyanion cathode materials. いずれのポリアニオン系化合物も、例えば鉄系材料の場合、同じ Fe2+/Fe3+の酸化還元を 伴う Fe2O3 のような酸化物に比べて大きく電位が上回っている。 また、 LiCoO2 や LiMn2O4 における酸化還元反応は Co3+/Co4+又は Mn3+/Mn4+であり、Figure 1- 9 に示したポリアニ オン系材料中における酸化還元反応は Co2+/Co3+又は Mn2+/Mn3+で起こる。それにも関わ らず、ポリアニオン系材料の電池電位は LiCoO2 や LiMn2O4 の電位に匹敵する、もしく は上回っている。このような高電位特性は単純なイオン化エネルギーの解釈では説明が できず、以下に述べる inductive 効果と呼ばれる要因が考えられている。X – O 間結合が M – O 間結合に比べて相対的に大きい共有結合性を有する場合は酸素の電荷は X 方向 に偏り、M – O 間混成が小さくなる、すなわち M – O 間結合のイオン性が大きくなると 推測される。この場合、Mn2O3 や Fe2O3 に代表されるような酸化物のエネルギー準位概 念図(Figure 1- 10(a))と比較すると、Figure 1- 10(b)に示すように反結合性軌道のエネル ギーレベルが低くなる。この X 導入による M – O 間結合への寄与が inductive 効果と呼 ばれている[63]-[67]。この結果として、より高いエネルギーに位置する Li+/Li 酸化還元エ ネルギー準位と M3+/M2+酸化還元エネルギー準位との差が酸化物材料に比べて大きくな り(Figure 1- 10(b))、電位が高くなると推察される[63]-[67]。M – O 間結合のイオン性を高 -10- めるということは、電位を高める効果がある一方で遷移金属の価電子のホッピングを遮 り、電子伝導性が低くなるといった短所にも繋がっている。電子伝導性が低いというこ とは高速充放電下の条件で不利であり、ポリアニオン系化合物の共通の課題であるとい える。 このような問題点はあるものの、ポリアニオン系材料の高電位特性はやはり魅力的で あり、現行電池材料に置き換わる高エネルギー密度材料として現在までに多くの研究者 によって様々な観点から研究されている。以下では、化合物ごとに分類して既往の研究 を詳述する。 eg* like (a) (b) eg* like t2g* like t2g* like Fe 3d Fe 3d O 2p t2g like t2g like O 2p eg like eg like Figure 1- 10 Schematic description of energy level for M – O bonding with (a) large inductive effect and (b) small inductive effect. 1.4.1 オリビン型化合物 <LiFePO4> 1997 年に Padhi らによって発表されたオリビン型化合物 LiFePO4 は、以下に示すよう な理由により、現在最も注目されている材料と言っても過言ではない程、優れた正極材 料であるといえる[63]。下記の条件は冒頭で述べた将来の電極材料のニーズ、特に大型化 に向けた用途に適していると考えられる。 ○ 非常に安価な鉄を用いている。 ○ Fe2+/Fe3+の酸化還元を伴う材料としては高電位(約 3.5 V)を示す。 -11- ○ サイクル特性が良好である。 ○ 理論容量は約 170 mAh g-1 であり、エネルギー密度にして約 550 Wh kg-1 という従来 の LiCoO2、LiNiO2 といった材料を上回る。合成法を工夫すれば実際に理論容量に近 い高容量が得られる。 Figure 1- 11 にオリビン型 LiFePO4 の結晶構造を示す。 Figure 1- 11 Crystal structure of olivine-type LiFePO4. LiFePO4 の結晶系は斜方晶であり、空間群は Pnma に属する。FeO6 八面体は頂点共有 を形成してジグザグに bc 平面に平行に配列し、PO4 四面体と一辺を稜共有している。 また Li は b 軸に平行に配列しており、Li は b 軸方向に沿って拡散していると考えられ ている[68]。 充放電反応は以下のように進行する。 charge LiFePO4 discharge Li1-xFePO4 + xLi+ + xe- eq.1. 3 この反応は(1-x) LiFePO4 – x FePO4 の 2 相共存反応でありii、端点の FePO4 も同じ空間 群である[63]。この FePO4 も熱安定性に優れているので[70]、LiMn2O4 のように構成元素の 溶出などによる容量劣化の心配がない。しかしながら、2 相間の拡散が遅いことと低い 電子伝導性のために高速充放電が困難であるという問題点がある。この問題を解決すべ く、様々な研究例が報告されている。 ii 厳密には相の端点は LiFePO4 と FePO4 ではなく充電及び放電初期に固溶領域が存在す る。近年 Yamada らによってその固溶領域が明らかになっている[69]。 -12- 第一に、サンプルの微粒子化などモルフォロジーに関する研究が挙げられる。微粒子 にすることでサンプルの反応表面積を増大させる指針である。固相法の代わりに共沈法、 ゾルゲル法、水熱法などの手段によって微粒子化を図る方法が多数報告されている [71]-[73] 。また、固相法でも Yamada らによって良好な充放電特性が得られており、粒成長 と Fe3+含有相生成を抑えるという点から最適合成温度が 500℃から 600℃であることが 示されている[74]。 また、表面に炭素などの導電性物質をコーティングして電極コンポジットとしての導 電性を高める研究も多数為されている。これは、合成原料と炭素、もしくはある種の有 機化合物を均一に混合させて焼成することで、粒子表面に炭素をコーティングする方法 である。このことによって導電性向上が図れると考えられ、現に充放電容量向上、そし てレート特性向上の成果が得られている[75]-[78]。 上記のような表面に関する導電性向上の試みの他に、バルクの導電性を向上させる研 究もある。リチウムサイトに Mg2+、Al3+、Ti4+、Nb5+、W6+などの多価イオンを微量ドー プすると、10-10 S cm-1 から 10 –2 S cm-1 まで電気伝導度が上がると報告され、大きな反響 を呼んだ[79]。しかし、別のグループにより多価イオンがバルク中に固溶する効果よりも むしろ上述したような表面状態の変化が起因しているのではないか、という報告もある [80] 。 <その他のオリビン系材料> LiFePO4 の他にも同じ結晶構造を有する化合物として LiMPO4 (M = Mn, Co, Ni)が存在 する。LiMnPO4 は作動電位が約 4.1 V で Mn2+/Mn3+の酸化還元を伴う材料で、LiFePO4 とともに Padhi らによって 1997 年に発表された[63]。しかしながら LiFePO4 に比べると 充放電が困難であり、リチウムをほとんど脱離できていなかった。後に LiFePO4 のよう に合成法改良や表面状態の改善を試み、室温で 140 mAh g-1 程度の容量を得ることに成 功しているが[81]、LiFePO4 に比べて本質的に分極が大きくレート特性は劣る[82]。 LiCoPO4 も LiMnPO4 同様に 1997 年に正極材料への応用が検討されているが、そのと きは容量を得ることができなかった。Co2+/Co3+の酸化還元反応が約 4.8 V ほどで起き、 放電容量が得られると発表されたのは 2000 年のことであるが[83]、理論容量には及ばな かった(約 70 mAh g-1)。同じ固相法でも後に Okada らによって報告された LiCoPO4 は、 出発物質に Co3O4 ではなく CoO を使っており約 100 mAh g-1 の放電容量が得られた[84]。 更に Lloris らによって溶液法で合成した試料が 125 mAh g-1 の放電容量示すことが報告 され[85]、合成法の工夫により高容量を得ることも可能であることが示唆される。固相法 でも Co(COO)2·2H2O を用いた低温合成により、Lloris らの報告に匹敵するほどの放電容 量が得られると Nakayama らによって報告された[86]。 LiNiPO4 については 5 V までは容量が確認されておらず、おそらくは 5 V 以上でニッ ケルの酸化還元が起こると第一原理計算で予想されている[87]-[89]。 -13- 1.4.2 NASICON 型材料とその関連化合物 NASICON 型化合物は M2(XO4)3 (M; 遷移金属、X; S, P, As, Mo, W etc)で表される化合 物であり、MO6 八面体と XO4 四面体が頂点共有で 3 次元的に配列した構造をもつ。こ のような構造の特徴から、結晶構造中に大きな空隙、ボトルネックを有することが多く、 Li+ や Na+ 、更には 2 価の Mg2+ などのカチオンホスト材料となり得る。元の構造は NASICON(Na Super Ionic Conductor)の名が示すとおり、イオン伝導体材料であり 20 年以 上も研究されてきた[62]。NASICON 型化合物は M と X の取り合わせで多種多様の材料 設計が可能であり、リチウムイオンインターカレーションホスト材料としても様々な化 合物が検討されている。 Figure 1- 12 に M2(XO4)3 の結晶構造を示す[64]。 Figure 1- 12 Crystal structures of (a) monoclinic and (b) rhombohedral M2(XO4)3. [64] NASICON 型構造とは一般的に Figure 1- 12 (b)のように MO6 と XO4 で構成されるブロッ クが c 軸に平行に配列した三方晶系の化合物を指し、(a)のようにブロックが直交しなが ら配列する単斜晶系の多形も存在するiii。これらの化合物中にはリチウムイオンが組成 式あたり最大 5 つ入ることができる[67]。 以下では、これら NASICON 型、及び関連化合物についてポリアニオンの種類別に述 べる。 <MoO4 系、WO4 系> これらの物質は上述したような正極材料と異なり、始めにリチウムを挿入して放電す る。そのリチウム挿入及び脱離反応は以下の通りである。 iii 単斜晶系の構造は NASICON 型構造とは呼ばない。本論文における「NASICON 関連 化合物」とは単斜晶の多形を意味する。 -14- discharge Fe2(XO4)3 + xLi+ + xe- LixFe2(XO4)3 (0 < x ≤ 2) eq.1. 4 charge 1984 年に単斜晶 Fe2(MoO4)3 へのリチウム挿入脱離反応が初めて行われた[90]。更に同じ 結晶構造を有する Fe2(WO4)3 の充放電も行われ[91][92]、両化合物とも Fe3+/Fe2+の酸化還元 反応が起こる。その充放電は、3.0 V で斜方晶 Li2Fe2(XO4)3 (X=Mo, W)との二相共存反応 で進行する[91][92]。当時は上述したようなポリアニオン系正極材料の inductive 効果との 関連性は論じられておらず、また Mo や W といった重金属が含まれていることから重 量あたりの容量という観点から不利であり、実用性、学術性の両点の視点からもそれ以 来表立った研究対象にはなっていない。しかし、その効果を考慮した材料設計から中心 遷移金属が Fe 以外の化合物の合成と充放電を行った例もある。Prabaharan らのグルー プは中心金属が Co、Ni である NASICON 型化合物 Ni2(MoO4)3、 Co2(MoO4)3、 Li2Co2(MoO4)3、 Li2Ni2(MoO4)3 を 2004 年に相次いで報告している[94]-[99]。Ni2(MoO4)3、Co2(MoO4)3 ははじ めにリチウムを挿入する物質であり、初回挿入反応で Ni3+/Ni2+または Co3+/Co2+の酸化還 元がそれぞれ約 2.5 V、約 2.6 V で起こると報告されている。一方で、Li2Ni2(MoO4)3、 Li2Co2(MoO4)3 は始めにリチウムを脱離する物質であり、 初回脱離反応で Ni3+/Ni2+または Co3+/Co2+の酸化還元がそれぞれ約 4.4V、約 4.3 V で起こると報告されている。しかしな がらこれらの物質はいずれも分極が大きく、正確な平衡電位は明確には示されていない。 <SO4 系> Fe2(SO4)3 は Fe2(WO4)3 とともに 1989 年に Goodenough らによって初めて充放電挙動が 報告された[92]。この SO4 四面体による高電位挙動が注目されたのは 1996 年になり[64]、 それ以来最 も inductive 効果が 強いポリ アニ オンと考え られてい る。Fe2(SO4)3 は NASICON タイプと単斜晶タイプの 2 つの多形が存在し、どちらの化合物にも充放電試 験が為された。その結果、両化合物とも 3.6 V 程度の高い電圧を示し、類似した充放電 挙動を示すことが報告された。 SO4 系化合物は中心遷移金属が Fe 以外の化合物(主に Ti、V)も多種報告されており、 Table 1-1 にまとめた。 <PO4 系、AsO4 系> Goodenough らのグループは文献[64][66]で、中心遷移金属が Fe、V、Ti の様々な PO4 系化合物 Li3M2(PO4)3 も報告している(中心金属 M の酸化数がすべて 3 価の場合)。これ らの化合物にも単斜晶、三方晶の多形が存在する場合もあり、より空隙の大きい NASICON 型構造の化合物を合成する方法としてイオン交換法が試みられている。これ はまず固相法により Na 化合物 Na3M2(PO4)3 を合成し、それから濃 LiNO3 溶液(もしくは LiNO3 溶融塩)を用いて Li とイオン交換する方法である。中心遷移金属が Fe の場合はリ チウム脱離により Fe4+に酸化される例は見られない、すなわちはじめはリチウム挿入す -15- る材料である。一方、Ti と V の場合は 4 価/3 価による酸化還元による電荷補償が可能 で、はじめにリチウム脱離が可能である。これらをまとめた充放電反応を以下に示す。 discharge Li3Fe2(PO4)3 + xLi+ + xe- Li3+xFe2(PO4)3 (0 < x ≤ 2) eq.1. 5 Li3V2(PO4)3 eq.1. 6 charge discharge + - Li3-xV2(PO4)3 + xLi + xe (0 < x ≤ 2) charge SO4 ポリアニオンに比べると、PO4 系は全体的に酸化還元電位が卑にシフトする。こ れは S6+ に比べて P5+ への酸化物イオンの分極効果が小さいため、中心遷移金属への inductive 効果が PO4 の方が小さくなった為であると考えられている。化合物ごとにその 電位などの詳細を以下の Table 1-2 にまとめた。 これらと類似した化合物で、Masquelier らによって単斜晶、三方晶の Li3Fe2(AsO4)3 の 合成と電気化学的特性が報告されている[105]。充放電電位がほぼ同じであることに対し ては、P と As の電気陰性度がほぼ同じであり、Fe への inductive 効果もそれほど相違な い為と考えられている。 <混合ポリアニオン[106]> 唯一の報告であるがポリアニオン部分を置換させた物質も報告されている。Padhi ら によって報告された三方晶 LiFe2(SO4)2(PO4)である。これは溶液法で合成されており、 Li2Fe2(SO4)(PO4)2 などは得られず、この組成の物質のみ合成可能であると報告されてい る。約 3.0 V から 3.8 V 程度まで単調な充放電曲線を描き、初回リチウム挿入容量は約 1.5Li(約 110 mAh g-1)になる。充放電電位はちょうど三方晶 Li3Fe2(PO4)3 と Fe2(SO4)3 の中 間を単調に変化することから、両化合物の中間の性質を有すると考えられる。 -16- -17- Table 1- 1 Various sulfates as cathode materials of Li-ion batteries. -18- Table 1- 2 Various phosphates as cathode materials as Li-ion batteries 1.4.3 逆スピネル型化合物 これまでに報告されている逆スピネル型酸化物のうち、LiMVO4(M= Ni, Co)は、1.2.3 でも述べたが 1994 年に Fey らによって、LiNiVO4 が 4.8 V、LiCoVO4 が 4.2 V において 可逆容量を示す高電位正極材料として報告された[37][38]。これらの逆スピネル型構造は、 - 空間群 Fd3m をとり、Figure 1- 13(左図)にみられるようにバナジウムが四面体サイト(8a)、 遷移金属 M(M=Mn, Co, Ni)とリチウムがランダムに八面体サイト(16d)を占める。 LiMnVO4 は LiCoVO4 や LiNiVO4 と同じような簡便な固相法で合成すると逆スピネルで はなく、Figure 1- 13(右図)のような、リチウムとバナジウムが四面体サイトに位置する 斜方晶になる。しかし、高圧下で焼成すると逆スピネル型構造になることが知られてお り[107]、Goodenough らのグループが 55kbar で逆スピネル型 LiMnVO4 を合成してその充 放電特性を検討している[108]。その結果、斜方晶 LiMnVO4 のリチウム脱離反応が困難で あったことに対して、逆スピネル型 LiMnVO4 からは約 3.8 V(充電が 4.1 V、放電が 3.6 V)で充放電可能であり、0.6Li(約 90 mAh g-1)が可逆的に脱離挿入することが示された[108]。 LiMnVO4 の充放電についてはこれ以降報告がないが、LiCoVO4 と LiNiVO4 については 様々な合成法や充放電条件の検討が為されており、容量の改善が試みられている [38],[109]-[111] 。しかし、最初に報告[37]された乏しい可逆容量(LiNiVO4 が約 45 mAh g-1、 LiCoVO4 が約 40 mAh g-1)から現在までに、実用性のある容量改善までには到達してい ない。溶液法によって合成し、更にアルミナでコーティングした LiNiVO4、LiCoVO4 が それぞれ約 60 mAh g-1[111]、約 84 mAh g-1[112]の初回可逆容量を示すと報告されているが、 これらが現存する報告の最大クラスの容量と思われる。 Figure 1- 13 Crystal structures of (left) inverse-spinel type LiMVO4 (M=Mn, Co, Ni) and (right) orthorhombic LiMnVO4. -19- また、これらの派生物質として様々な固溶体の研究も為されている。LiCo1-yNiyVO4 (0 ≤ y ≤ 1)[113]-[117]、LiNiyMn1-yVO4 (0 ≤ y ≤ 0.4)[119]、LiCo1-yMyVO4(M=Cr, Fe, Cu)[120][121]、 LiNi1/3Mn1/3Co1/3VO4[122] などがそれである。この中でも特に溶液法によって合成した LiCo0.96Fe0.04VO4 が 85 mAh g-1 の初回可逆容量を示している[120]。 このように、逆スピネル型化合物は合成法や異種元素置換などの方法によっても実用 材料への応用は限界があると言わざるを得ない。しかしながら Goodenough らによって 言及されているように[67][108]、この逆スピネルの高電位特性の要因として VO4 四面体ユ ニットが PO4 四面体のようなポリアニオンとしての特性を有することにあるとすれば、 ポリアニオン系化合物の充放電反応を理解するという点では大変興味深い物質である といえる。 1.4.4 その他の材料 以上の分類以外にも報告されているポリアニオン系化合物を以下に述べる。 <縮合ポリアニオン系> リン酸塩は硫酸塩に比べて縮合塩を作りやすく、PO4 ポリアニオンの他に P2O7 を有す るピロリン酸塩系もいくつか報告されている。オリビン型 LiFePO4 の報告とちょうど同 時期に Padhi によって LiFeP2O7、Fe4(P2O7)3 へのリチウム挿入反応が報告されている[65]。 LiFeP2O7 は約 3.0 V で 0.55Li(約 65 mAh g-1)の挿入反応が起こり、Fe4(P2O7)3 は約 2.8 V か ら 3.5 V で単調な放電曲線を描いて 3Li(約 110 mAh g-1)の挿入容量が得られる。同じリ ン酸塩でかつ同じ Fe3+/Fe2+の酸化還元反応でもこのような充放電反応電位に差が現れ るのは、Figure 1- 14 のように Fe – O – P の結合様式が異なることに起因すると考えら れている。すなわち、ピロリン酸塩系の場合はより短い P – O 結合が存在するため、 inductive 効果がより顕著になったためであると考えられている。 Figure 1- 14 Several Fe-O-P linkages in (a) Li3Fe2(PO4)3, (b) LiFeP2O7 and (c) Fe4(P2O7)3. [65] -20- オリビン型 LiFePO4 の場合はこれらと異なり、PO4 四面体と FeO6 八面体が一辺を稜共有 してより PO4 四面体が強い共有結合性を有する為、より高電位を示すと考えられる[65]。 また、P2O7 ユニットはその格子マトリックス中に巨大なカチオンホストを有する為、 中心遷移金属に V や Mo といった多価を取りうる元素を導入すると大容量が得られる場 合がある。その例として、Yamaki らや Masquelier らのグループにより報告された、Ti、 V、Mo を含む TiP2O7、LiVP2O7、(MoO2)2P2O7 が挙げられる[123]-[126]。以下にこれらの結 晶構造、及び充放電電位、容量をまとめた。 (b) (a) Figure 1- 15 Crystal structures of (a) LiVP2O7 and (b) (MoO2)2P2O7. Table 1-3 Various pyrophosphate as cathode materials for Li-ion batteries. -21- <MOXO4 系> 上述した縮合ポリアニオン塩とは対照的に、M=Ti, V の化合物では MO6 八面体同士で 酸化物イオンを共有する化合物が存在する。Table 1-4 にこれまでに報告されている化 合物とその特性を示す。Table 1-1、Table 1-2 で示した化合物と比較すると、同じ酸化還 元対かつ同じポリアニオン中心の NASICON 化合物に比べて電位が低い。これは、結晶 構造骨格が Figure 1- 16 に示したように遷移金属 M に対して XO4 が 4 つしか配位して いないことから、M 周囲の 6 つの酸化物イオンすべてがポリアニオン中心 X に結合し ている NASICON 型に比べて電位が低くなるのではないかと考えられている[126]。 Figure 1- 16 Crystal structures of TiOSO4, LiTiOPO4 and Li2TiOSiO4.[126] Table 1-4 Various MOXO4-type compounds as cathode materials for Li-ion batteries. -22- <SiO4 系> 2004 年に Thomas らによって SiO4 四面体を有する新規材料 Li2FeSiO4 の合成と充放電 が初めて報告され[133]、現在に至るまで彼らによってその充放電反応機構が報告されて いる[134][135]。それに続いて Dominko らによって Li2MnSiO4 の合成と充放電特性が試みら れた。これらの物質は、M2+/M3+の酸化還元による 1 Li 脱離の理論容量が約 167 mAh g-1 と大きな容量に相当する。更に M3+/M4+の酸化還元を伴う充放電反応を起こすことがで きれば、最大 2 Li まで脱離、すなわち約 330 mAh g-1 もの高容量を得られる可能性を秘 めている。 Li2MSiO4 の結晶構造を Figure 1- 17 に示す。上述してきたポリアニオン系材料と異な り、酸化還元を起こす遷移金属種も四面体配位を形成している。 充放電電位は、Li2FeSiO4 がリチウム脱離時に約 2.80 V、挿入時に 2.76 V であり、初 回可逆容量は約 120 mAh g-1(0.72Li)を示す。この可逆容量は 60℃において数サイクルは 持続されることが確認されており、今後合成法など検討することによって充放電特性は より向上する可能性がある材料だと考えられる。 一方で Mn 系は Mn3+/Mn2+だけでなく Mn4+/Mn3+の酸化還元反応も容量に寄与すると 望まれていたが、分極が著しくサイクル劣化も大きい[136][137]。 Figure 1- 17 Crystal structure of Li2MSiO4. -23- <フッ素を導入した系> また、近年になってポリアニオン系材料にフッ素を、LiF として熱的に導入する研究 がいくつか為されている[138]-[140]。これは、電気陰性度の大きいフッ素を系内に導入する ことで遷移金属 M のイオン性を高めて、更なる高電位化を図る目的も含まれていると 思われる [140] 。この化合物例として Barker らによる LiVPO4F[138] 、Okada らによる Li2CoPO4F[139]がある。LiVPO4F は 4.1 – 4.2 V の充放電電位で可逆容量 120 mAh g-1 (約 0.7 Li)を示し、良好に充放電サイクルを行える。Li2CoPO4F は、電解液分解などの問題によ り詳しい充放電特性は調べられていないが、LiCoPO4 の約 4.8 V よりも更に若干高い電 位を実現していることが報告されている。計算化学的観点から Tarascon らのグループは ポリアニオン化合物のフッ素導入(又は置換効果を想定)の効果を第一原理計算により 検討している[140]。その結果、リチウム脱離に伴う M – F 結合長の変化が電位と大きく 関係することが見出された。すなわち、M – F 結合がリチウム脱離においても変化がほ とんどない場合には高電位を得られる可能性があると示唆している。 1.5 電子構造解析の重要性とその研究手法 新規材料を探索する上で、材料本来の性質を見極めることは重要である。その為には、 外的要因の影響を排除し、内的要因に着眼できることが理想であると考えられる。Table 1-5 に電池特性を左右する様々な因子を示す。 Table 1- 5 Various factors for the cell performance. Structural change Intrinsic factor Electronic structure Kinetic property of Li ion Effective surface area (particle size) Extrinsic factor Morphology Surface condition 内的要因のうち、バルクの電子構造は外的要因の影響を受けにくく、平衡論的視点から 材料の本質を捉えることができる。本研究では、この電子構造の観点からポリアニオン 系正極材料の本質的な性質を探求する。 1.4 で述べたように、これまでに多種多様のポリアニオン系化合物が検討されており、 その最大の焦点は「高電位特性」にあると言える。そしてその高電位特性は、通常の酸 化物系材料にはないポリアニオン中心 X がもたらす特異な電子構造が起因しており、 その電子構造の理解が重要であると考えられる。しかしながら、その重要性にも関わら -24- ず、ポリアニオン系材料については未だ未解明な部分が多い。酸化物材料においては電 子構造の研究がこれまでに多く為されており、以下では従来の電子構造の研究をまとめ、 これまでに得られている知見を述べる。 1.5.1 酸化物系正極材料についての既往の研究 電子構造に関する研究は実験的手法及び計算化学を用いた理論的研究の両面から、こ れまでに多くの研究が為されてきた。 具体的な実験手法としては X 線吸収分光法(XAS)などの分光学的手法が用いられ、電 極材料の電子構造、及びそのリチウム挿入脱離に伴う電子構造変化が検討されている。 代表的な正極材料 LiNiO2、LiCoO2、LiMn2O4 のリチウム脱離反応に伴う電子構造が XAS によって調べられ、その結果遷移金属の酸化還元に伴って酸素においても電子状態変化 が起こることが指摘されている[141]-[144]。特にニッケルの d 軌道レベルが低く、共有結合 性が大きい(電荷移動型電子配置)と考えられている LiNiO2 ではニッケルの電子状態 変化よりもむしろ酸素の方が大きいということも示唆されている[141]。この現象は遷移 金属の d 軌道レベルが酸素に比べて高い(モットハバード型電子配置)チタンの酸化物 においても、そのリチウム挿入反応によって酸素の電子状態が変化することが示唆され ている[145]-[148]。 また、第一原理計算による電子構造の解析では、1997 年に Ceder らによって層状酸化 物 LiMO2 のリチウム脱離前後の電子状態変化が検討されている。その結果、リチウム を脱離すると酸素のサイトの電子移動も起こることが確かめられ、更に価数変化を伴わ ない LiAlO2 においても酸素の電荷補償による高電位の電池が作製できる可能性を示唆 している[149]。実際に、LiCoO2 にアルミニウムを固溶させた LiCo1-yAlyO2 において、ア ルミニウム置換量の増加とともに電位が高まることが報告されており、このことはリチ ウム脱離に伴う電荷補償がコバルトから酸素へシフトしたことによると考えられてい る[150]。 1.5.2 オリビン型化合物の既往の研究 ポリアニオン系化合物の電子構造の研究は、オリビン型化合物については系統的に検 討されている。これらの研究を実験と計算による研究に分けて既存の報告を以下に整理 する。 <分光学的手法による研究> Nakayama らは LiCoPO4 のリチウム脱離に伴う電子構造変化を硬 X 線だけでなく、軟 X 線を用いた O K-edge、更には P K-edge XAS 測定によって検討している[86][152]。その結 果、オリビン型化合物においてもコバルトの酸化還元とともに酸素の電子状態変化、更 にはリンも若干のスペクトル変化を起こすことが示唆された。これは Co 3d – O 2p 間で 混成軌道が形成されている効果と、イオン性が非常に強いリチウムによる分極効果の両 -25- 方が寄与しているものであると示唆している。特に後者の分極効果によってリンのスペ クトルにも影響を与えているとしている。 LiFePO4 については Augustsson らが軟 X 線吸収分光(XAS)、及び放出分光(XES) によってリチウム脱離前後の電子状態を検討している[153]。FePO4 と LiFePO4 のスペクト ルの比較から、リチウム脱離後において Fe2+から Fe3+へ酸化されるとともに Fe 3d – O 2p 混成が大きくなることが示唆されている。筆者らは同時に結晶場多重項計算と DFT 計 算を用いてそれらの電子状態変化を支持する結果も得ている。 <計算化学による研究> 第一原理計算では、系内の電子相関を表現する為に様々な近似法が導入されている。 最も一般的には、局所的に一様な電子の電荷密度による交換相関エネルギーの関数形で 記述する近似法である LDA(Local Density Approximation)、または電荷密度の勾配を考慮 した GGA(Generalized Gradient Approximation)などがあるiv。しかしながら、これらの近 似を用いてもポリアニオン系材料のような系内の遷移金属 d 電子が局在化している系 の物性(構造安定性、電池電位、磁気特性等)を再現することは困難であった。この問題 を解決する為に d 電子局在化効果(ハバードモデルのパラメーターU)を導入した GGA+U (広義では LDA+U)という近似法によるオリビン型化合物の第一原理計算が試 みられ、その電子構造が検討されている。 Zhou ら、及び Bacq らは LiMPO4(M=Mn, Fe, Co, Ni)の電子状態を LDA、GGA、GGA+U によって系統的に調べている[87][88][154]。その結果、 いずれの化合物においても d 電子の局在化を取り入れた GGA+U の方が実際の電池電位 を再現できたことを報告している。その要因としてはいずれも d 電子間相互作用による 格子エネルギーの安定化(LiMnPO4)、もしくは不安定化(FePO4、CoPO4、NiPO4)に起因 すると述べられているv。このように U パラメータを導入した近似法はポリアニオン系 化合物の物性を解明するのに非常に有用であることが示されている。個々の詳細な議論 の様子はまた各章でも述べる。 1.6 本研究の目的と論文構成 次世代のリチウムイオン二次電池用電極材料には、より高エネルギー密度を有する材 料が求められ、その中でも大型化も視野に入れた安価で環境負荷のかからない材料が求 められている。その有力な候補に、ポリアニオン系化合物が挙げられることを述べた。 これらの物質における最大の特徴として高電位特性が挙げられ、その理由の多くは構造 中のポリアニオンがもたらす特異な電子状態にあるといえる。この点に着目し、ポリア ニオン系の電子構造に関する一貫した知見が得られれば電極材料実用化に有用である iv 第一原理計算についての詳細は第 2 章で述べる。 LiCoPO4 の場合、U を導入することによってコバルトの d 電子配置変化が起こり、そ れが格子エネルギーの不安定化を引き起こすと述べられている[154]。 v -26- だけでなく、高出力正極材料開発にもつながることが期待できる。しかしながらこれま での研究においては、オリビン型化合物においてはその商業的魅力からか多くの研究者 によって電子状態解明研究が為されているが、他のポリアニオン系化合物に関する研究 例は皆無といっていいほど見当たらない。特にそのポリアニオン種の違いによる電子状 態、及び充放電反応中の電子状態変化を解明することは重要であり、解明が急務である と考えられる。 冒頭の Figure 1- 9 に示したように、高電位特性の最大の要所は、1) 中心遷移金属種、 2) ポリアニオンユニットの種類の違い、と 2 つの点にあり本論文ではその 2 つの要因 に着目して議論展開する。まずは様々な遷移金属種を取りうる逆スピネル型化合物の遷 移金属による電子構造の相違点を議論する。次に様々なポリアニオン種を取りうる NASICON 型、及びそれに関連する化合物のポリアニオン種の違いによる電子構造の相 違点を検討する。以上の研究の総まとめとして Figure 1- 9 に示した化合物の、電位の序 列の発生と電子状態変化の相関性を遷移金属とポリアニオンの種類の観点から決定し、 ポリアニオン化合物全体を捉えて充放電反応機構の検討を行う。得られた知見を基にし て、新規材料物質として SiO4 四面体を有する化合物についての反応電位や充放電機構 を検討する。 各章の概要を以下に示す。 第1章 リチウムイオン二次電池の更なる高エネルギー化の為には従来の材料に代わる 新規材料開発が必要であることを述べた。まずは負極材料の開発現状とその問 題点を過去の我々の研究を元に述べ、特に不可逆容量の軽減が新規材料には重 要であることを述べた。次に正極材料の開発現状を、特に高電位特性を有する ポリアニオン系化合物に着目して化合物の種類とその電池性能をまとめた。そ してポリアニオン系正極材料は酸化物と異なる特異な電子構造を有することを 述べ、その化合物群の電子構造を系統的に検討することが重要であることを言 及し、本論文のテーマとする旨述べた。 第2章 様々な遷移金属種を取りうる逆スピネル型化合物 LiMVO4 (M=Mn, Co, Ni)の電 位序列発生要因や充放電反応における電子構造変化を、主に第一原理計算によ って検討した。また、従来謎とされてきた逆スピネル型構造におけるリチウム の拡散パスの解明も併せて行った。 第3章 本章と第 4 章では中心遷移金属を Fe に固定してポリアニオン種を変えて議論展 開する。その際に、本章ではまず NASICON 関連物質である単斜晶 Li3Fe2(PO4)3 -27- の充放電反応機構を XAS、57Fe Mössbauer 分光、第一原理計算により詳細に検討 した結果を述べる。その結果を元に Fe とポリアニオン種の電子構造変化を議論 する。 第4章 次に第 3 章で得られた知見を元に本章ではポリアニオン中心の価数が共に 6 価 である NASICON 型 Fe2(SO4)3、NASICON 関連物質単斜晶 Fe2(MoO4)3 の充放電 反応機構を XAS、57Fe Mössbauer 分光によって検討した結果を述べる。そして、 S と Mo による電子状態変化の違いと電位序列の相関性を述べる。更に第 3 章の 結果も併せて NASICON 型及びその関連化合物のまとめを行う。 第5章 本章では、最近注目されている新規材料物質である SiO4 系化合物 Li2MSiO4 (M = Mn, Fe, Co, Ni)の電子構造、及びその電極反応機構を第一原理計算によって検討 する。 第6章 本論文を総括する。 -28- 参考文献 [1] T. 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