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インテリジェントコンテンツにおける FrameMaker®とDITA CMS

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インテリジェントコンテンツにおける FrameMaker®とDITA CMS
インテリジェントコンテントにおけるFrameMakerとDITA CMSの新しい関係性(第一部)テクニカル白書
インテリジェントコンテンツにおける
FrameMaker®とDITA CMSの新しい関係性
第一部
FrameMaker 10以降のFrameMaker 11および Technical Communication Suite4
(TCS4)製品は、
企業環境においての文書作成アプリケーションとしての親和性が
増し、
これまでFrameMakerが関連付けられてきた技術文書のカテゴリーにおいて
非常にフレキシブルな対応が可能になりました。
より成熟したDITAへの対応、複数
のチャネル、
フォーマット、
スクリーンへのパブリッシュ、CMSとの統合です。
この3部
構成のテクニカル白書では、欧米の先進グローバル企業でコンテンツ戦略として取
り組みが進んでいるインテリジェントコンテンツの視点から、FrameMakerおよび
TCS、
DITA CMSの関係性について解説します。 インテリジェントコンテンツ
インテリジェントコンテンツとは、構造化コンテンツとして情報がリッチで、
セマンテック
(意味的)な分類
が可能なコンテンツとして定義されます。
これらの定義に準拠することで、
以下の4つ処理がコンテンツイ
ンフラストラクチャ
(コンテンツインフラ)上でシステマチック
(オートメーション)に可能になります。
•
コンテンツの自動発見(Automaically Discoverable)
•
再利用(Reusable)
•
再構成(Reconfigurable)
•
適合(Adaptable)
企業は製品やサービスの技術情報などのコンテンツ資産をインテリジェント化することによって、
これまで
企業の収益に目に見える形で貢献できなかったユーザーマニュアルなどのコンテンツ資産を、
テクノロジ
ーを活用することで顧客に直接、
顧客が望む形で提供することが可能になります。
インターネットの普及に
よって、顧客は、顧客自身が解決したい製品やサービスの問題に対しての答えをデバイス、言語、営業時
間に拘束されることなく、
キーワードによる短い文字列の検索により短時間で解決しようと試みます。
コン
テンツのインテリジェント化は、
ピンポイントで知りたいコンテンツのみを、適切なコンテキストで、顧客自
身が探し充てることをコンテンツインフラのテクノロジーによって可能にします。
インテリジェント化され
たコンテンツから成るコンテンツインフラは、
より豊かなメタ情報の動的な組み合わせをパーソナライズ
された顧客とのリアルタイムな対話型ページにおいて提供します。
また、動画などのリッチメディアへの対
応や、顧客からのフィードバックや顧客提供コンテンツ
(UGC:UserGenerated Content)などのソーシャル
機能を、
より包括的に統合して提供することを可能にします。
これらの新しいテクノロジーには、
まず第1に、
ダイナミックパブリッシングと呼ばれるコンテンツインフラ
の構成要素が含まれます。
プロフェッショナルコミュニティーの間では、
このテクノロジーは、
以下のように
定義されています。
『ダイナミックパブリッシングとは、顧客の個別の要望に応じたコンテンツを自動的に
組み立て、
パブリッシュすること』。
具体的にこの定義は、
以下の4つの概念から導き出されています。
•
自動化(オートメーション)
•
組み立て
(結合)
•
オンデマンド
(ジャストインタイム)
•
顧客のニーズおよび要求
第2のテクノロジーとしては、Wikiおよび対話型顧客サポートサイトのコンテンツインフラ構成要素による
ソーシャルなウェブ配信ポータルの提供です。
コンテンツのインテリジェント化とシステム化されたコンテ
ンツインフラはこれらの二つのテクノロジーを融合することにより、企業が目的とする顧客経験価値(CX)
の向上が可能になります。企業は、
アクセス解析ツールや顧客からのソーシャルなフィードバックからダイ
レクトに、顧客経験の貴重なデータを得ることが可能になります。結果としてはコンテンツ開発プロセスや
開発グループへのフィードバックループが可能になり、顧客満足度の向上のためへの目に見える形での
貢献が可能になります。
DITA(Darwin Information Typing Architecture)
製品をグローバルな市場で販売展開している国内企業にとっては、OASIS(アメリカの構造化データの標
準化推進団体)によって維持されている情報開発の標準化の規格であるDITAを製品ドキュメントの開発
部門に導入する事例が少しづつ増えて来ています。特にソフトウェアの業界では、欧米の多くのグローバ
ル企業がDITAを導入しています。
国内においてもDITAコンソーシアムジャパン
(DCJ)やTC協会などの啓蒙活動で注目されたり、
カンフェレ
ンスなどでテーマとして取り上げられることで、
ここ数年における最も知られた構造化コンテンツのボキ
ャブラリとして認知されるようになってきました。企業の顧客サポート取説部門や彼らを支援する制作会
社、翻訳会社でも避けられないものとなってきています。
DITAはインテリジェントコンテンツとして非常に優れ、理想的な、構造化コンテンツの標準規格です。
モジ
ュール化されたXMLのデータ形式であり、OASISの標準規格として多くのベンダーや専門家にサポートさ
れ、
さらに加えて共通の処理アーキテクチャに対応しているからです。具体的には以下の特長によ
り、DITAは企業においてのインテリジェントコンテンツのイネーブラとしてコンテンツ戦略の視点から考
えられています。
•
メタデータ
(Metadata)
•
コンディション
(Profiling)
•
特殊化(Specialization)
•
再利用(Reuse)
•
マップ
(Map)
DITA1.2から実装されたマップの拡張であるclassificationやsubjectSchemeによるタクソノミー機能の拡張
は、DITAがインテリジェントコンテンツのイネーブラとして、
より理想的であることを決定づけた、
と捉えら
れています。
インテリジェントコンテンツは、DITAによる構造化コンテンツのベストプラクティス開発手法
に準拠することが可能です。平準的な高品質の企業コンテンツ資産として、
インテリジェントコンテンツを
開発すれば、多目的に再利用されるコンテンツは、CX(顧客経験価値)における効果を最大限に発揮する
ことが可能になるといえます。
CMS(Content Management System)
CMS(コンテンツ管理システム)
という用語は、
インターネットの世界で広く使われていますが、DITAのア
ーキテクチャーで語られるCMSは、
その中でもCCMと呼ばれる構造化コンテンツ
(トピック部品や画像コ
ンポーネント)の管理をおこなう、
コンテンツ管理システムです。CCMは、他のコンテンツ管理システムに
比べると複雑です。
CCMの複雑さは、CCMが多くの関係性をシステムの情報として管理しなければならない点にあります。
リ
ンク管理と呼ばれるものです。DITAの規格が1.2になり、Keyベースのリンク管理が必要になり今後もさら
に複雑になっていくことになります。DITACCMは、DITA固有のアーキテクチャー要件に準拠しなければな
らないからです。
このためDITAの実務的な運用においては、
アーキテクチャーに特化したCCMが管理のために必要にな
ります。多言語コンテンツを見据えた場合は、原文と訳文言語コンテンツ間でのリンク管理が必要になり
ます。多言語翻訳にはシステマチックな管理と運用が必要ですので、多言語コンテンツの管理に加え、翻
訳プロセス管理機能もCCMに必要になるといえます。
基本機能としてCMSは、一般的には、
リポジトリ管理、
バージョン管理、
ユーザー管理に加え、
ワークフロ
ー機能を提供します。
このうちWCMは簡単に述べると基本機能に加え、HTMLやXHTMLのコンテンツを
HTTP(HTTPS)のインターネットプロトコルで配信するという、企業におけるインターネットの窓口として
の役割を担っています。
また、CMSと呼称する場合はこのWCMのことを指していることが非常に多いとい
えます。対して、ECM(エンタプライズコンテンツ管理)は、PLMやBPMなどの業務基盤の上に、
アッドオンと
してCCMやWCMの機能を拡張開発することが可能な、包括的な企業IT文書管理インフラストラクチャ―
としての捉え方がより正確です。
FrameMaker内臓のCMSコネクターは、
このECM製品に分類されるCMSに統合が可能です。
ECMの拡張と
してCCM機能が追加されたDITA CCM製品でない限り、DITAオーサリングツールとして、
この内臓コネク
ター経由で統合されるわけではありません。一般的に、CCM製品への統合は、CCM製品それぞれに対して
個別に開発された、
コネクター経由で統合が可能になります。
すでに全社規模で導入されたECMが存在する企業環境でない限りは、DITA準拠のDITA専用のCCM製品
を選択して、
コンテンツインフラを構成するほうが、
よりTCO的にはよいと考えられています。代表的な
ECM製品ベンダーでもDITAのコンテンツ管理には、
自社のECM製品ではなく、DITA準拠の多言語コンテ
ンツの管理にも優れた他者のCCM製品を採用して運用している事例もあります。
FrameMakerとCMSの関係性を理解するには、総称してCMSと呼ばれる管理システムそれぞれの関係を
理解しておくことが重要です。CMS、ECM、WCM、CCM、
それぞれの関係をわかり易くダイアグラム化すると
図1のようになります。
図1
CMSの分類とそれぞれの関係
それではDITAを扱うにあたってのCMSには、多重な関係性の管理以外にどんな機能が必要なのでしょう
か?多言語コンテンツの管理の複雑さや管理オブジェクトのファイルシステムやバージョン管理システム
ではなぜ問題になると考えられているのでしょうか? 具体的にはどんな機能をDITA CMSは持っていな
ければならないのでしょうか?これらの疑問は、次回のテクニカル白書においてFrameMakerが統合され
ているXdocs DITA CCMを事例として、
スクリーンキャプチャをを交えてそれぞれの機能の操作と共に解
説します。
FrameMaker 11のDITAオーサリング環境
FrameMaker 10以降のFrameMakerは、ほかのDITAをサポートしているXMLオーサリングツールと比較し
て全く遜色ない同レベルのDITAオーサリング環境を提供します。FrameMaker11は、加えてXMLコードビ
ューでのオーサリングを可能にし、XSLT2.0やXPathの編集環境を提供します。
またextendScriptによるマク
ロを作成し、例えば、非構造化版のFrameMakerからのDITAへの移行を変換マップでの方法に補足するこ
とにより精度を上げて自動化することが可能です。
図2
FM11のXMLコードビュー画面
とXSLTとXPath
図3
extendScriptマクロ
DITAオーサリングにおけるFrameMaker 11の利点としては、Adobeの画像やリッチメディア作成アプリケ
ーションとの連携が生産性向上のために成されていることです。TCS4における同梱のアプリケーション
ではないPhotoshopもFrameMakerから直接起動することが可能です。
FrameMaker 7.2以降の作業環境において特筆すべきプラグインとして、Leximation社のDITA-FMxが提供
されています。DITA-FMxは、幾つかのDITA構造化アプリケーションとプラグインがセットになったもので
す。単独のFrameMakerにDITAオーサリングとパブリッシングの、
よりDITAオーサリングにカスタマイズさ
れた生産性向上のための機能を提供します。FrameMaker 10以降でサポートされているDITA1.2への対
応は、
もうすぐリリースされるDITA-FMx 2.0版でおこなわれますが、現在多く使われているDITA 1.1におい
ては、現在単独の製品としてアップグレードが可能なFrameMakerと比較して以下のオーサリングにおけ
る機能拡張と生産性向上のための操作性の拡張がなされています。
表1
DITAマップサポート
提供されている機能
●
機能制限付で提供
制
機 能
8
9
10
11
FMx
DITAマップオーサリング(構造化アプリケーション支給)
●
●
●
●
●
畳むことが可能な構造化ツリービュー
●
●
●
●
●
タグの表示・非表示ビュー
●
●
●
●
●
ドラッグ&ドロップ インターフェース
●
●
●
●
●
Topicrefクリック操作からの参照トピックとマップの編集
●
●
●
●
●
見つからない参照先の見える形での通知
制
制
制
制
●
関係テーブルの作成および編集
●
●
●
●
●
マップに含まれるすべてのTopicrefのオープン
●
●
●
●
●
新規トピックとしてのTopicrefの挿入
●
●
●
●
●
マップに含まれるすべてのTopicrefラベルの更新
●
●
●
●
●
制
制
●
Topicrefラベルのオプション(タイトル、ファイル名、両方)
表2
新規ファイル作成
参照ファイル中のコンテンツ検索
●
すべての参照XMLファイルを含んだ(検索とスペルチャックのための)FM
ブックの作成
●
参照されているすべてのファイルのリストレポート作成
●
マップで参照含されるすべてのファイルのZIP生成
●
linkingおよびcollection-type属性ラベルの可視化
●
DITAマップのRMビューへの自動オープン(FM9/10/11)
●
機 能
情報型による新規トピックやマップの作成
8
9
10
11
FMx
●
●
●
●
●
タイトル文字列によるトピックファイル名の自動生成
●
新規トピックおよびマップのカスタムテンプレート指定
●
ファイル作成時のprologデータの挿入
●
表2
機 能
新規ファイル作成
8
9
10
11
FrameMakerファイルからのDITAマップおよびトピック作成
提供されている機能
●
機能制限付で提供
制
FMx
●
ファイルメニューからの新規DITAファイル
●
●
●
ファイル作成時の既存ファイルの上書き
●
●
●
ファイル作成時の情報型による新規トピックフォルダーの作成
表3
機 能
●
8
9
10
11
FMx
畳むことが可能な構造化ツリービュー
●
●
●
●
●
タグの表示・非表示ビュー
●
●
●
●
●
ドラッグ&ドロップ インターフェース
●
●
●
●
●
ダイナミックなconref作成と管理
●
●
●
●
●
必須エレメントに対しての自動IDアサイン
●
●
●
●
●
ダイナミックなxref作成と管理
●
●
●
●
●
トピックオーサリングサポート
自動スマートスペース
●
自動スマートクォート
●
エレメント構造への状況依存ヘルプ
●
参照解決時のオープンファイル数の制限(作業のスピードアップ)
●
フィルタリング属性値の複数選択サポート
●
ダイナミックなリンク作成と管理(related-linksセクション)
●
プリティプリントファイルの余分なパディング(余白)の削除
●
●
pgwide表のサポート
●
simpletableとchoicetableエレメントにおける正しいcolumn-widthsの
ラウンドトリップ
●
ファイル保存時のprologデータの自動挿入/更新
●
エレメントやトピックがどこで参照されているか解析(Where Used コ
マンド)
●
マニュアル操作で更新されたID属性のバリデーション
●
conrefからテキストへの変換
●
index-see、index-see-also、index-sort-asへのエレメントとしてのサポ
ート
●
カスタマイズされた索引エントリーのラベルとしてのindex-see、indexsee-also、index-sort-asの管理
●
表3
機 能
トピックオーサリングサポート
提供されている機能
●
機能制限付で提供
制
図4
DITA-FMxが統合された
FrameMAker 11
8
9
10
11
indextermのマーカーおよびコンテナートとしてのサポート(複雑なエレ
メントのネストを可能にするため)
FMx
●
XMLとエディタ間の容易な移動のための空白ノーマライズ
●
●
グラフィックオーバーレイオブジェクトのサポート(引き出し線と
Frame-art)
●
複数のマーカータイプのサポート
●
プロパティ表のcolumnオプションサポート
●
conrefやxref挿入時の利用可能なエレメントのみの表示
●
●
●
必要な場合のditabase以外のトピックベースDTDサポート
●
●
●
codeblock内のインラインタグのサポート
●
オプションとしてGUID IDを利用可能
●
新規および変更されたエレメントのstatus属性の自動設定
●
それぞれ個別にFMとDITA-OTに出力する場合に、画像のサイズ違い
での出力のサポート
●
強制改行の保持
●
表のセルの回転の保持
●
文書辞書エントリーの保存
●
以前のビュー設定のリストア
●
Bluestream XDocs CMSとの統合
●
SDL Trisoft CMS(LiveContent)との統合
●
このテクニカル白書Part 2
では、FrameMakerのパブ
リッシングの環境やDITA
CMS統合についてXDocs
CCMの事例を取り上げ解
説します。
執筆者プロフィール
インフォパース株式会社 代表取締役 関根哲也
国内大手翻訳・制作会社勤務時から、XMLのソリューションをグローバル企業に提供。独立
後、DITAとコンテンツ管理のスペシャリストとしてDITAをEnablerとする独自のコンテンツ
戦略業務を展開。国内企業のグローバル顧客サービスのためのインフラストラクチャ―構
築を、戦略とシステムインテグレーションの両面から支援。国際標準化団体OASISの会員でもあり、DITA、XLIFF、OAXAL
の普及活動にも自身のライフワークとして取り組んでいる。JDIG(Japan DITA Interest Group)議長。
アドビ システムズ 株式会社
〒141-0032 東京都品川区大崎1-11-2
ゲートシティ大崎イーストタワー
www.adobe.com/jp
Adobe Systems Incorporated
www.adobe.com
Adobe, the Adobe logo, Acrobat, Captivate, FrameMaker, Illustrator, Photoshop and RoboHelp are either registered trademarks or trademarks of
Adobe Systems Incorporated in the United States and/or other countries. All other trademarks are the property of their respective owners.
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