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(仮称)神戸市犯罪被害者等支援条例(案)の概要

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(仮称)神戸市犯罪被害者等支援条例(案)の概要
(仮称)神戸市犯罪被害者等支援条例(案)の概要
※条例案については検討中であり、今後変更する場合がございます。
1.背景
犯罪被害に遭われた方やそのご家族は、犯罪等により、傷害を負わされ、家族の命
を奪われるなどの直接的な被害に加え、家族や自分が犯罪等の対象にされたことや家
族を失ったことにより、深い喪失感や激しい恐怖・不安を抱きます。また、一部の報
道によるプライバシーの侵害や心無い人からの中傷などにより、いわゆる二次的被害
を受け、心身に不調をきたし、子育てや家事、仕事などの日常生活に大きな支障とな
る場合もあります。
さらに、収入の途絶や高額な医療費負担などで生活に困窮されたり、自宅が事件現
場になり、あるいは、加害者から逃れるため住居を移す必要が生じることもあります。
また、刑事手続きや裁判等による時間的な負担等から、雇用関係の維持に困難をきた
すことも少なくありません。
このような被害者・ご遺族の状況を受け、平成 17 年に施行された犯罪被害者等基
本法などに基づいて、本市でも、国、関係機関等との役割分担を踏まえて、相談窓口
の設置や市民啓発などに取り組んでまいりました。
しかし、いまだ、全国的にも被害者等の精神的被害は深刻で、社会の理解も十分で
はない状況が指摘され(国の第2次犯罪被害者等基本計画(平成 23 年 3 月))、本市に
対しても多くの犯罪被害者・ご遺族の皆様から、実効性のある支援制度の確立への切
実な要望をいただいています。
私たちの暮らし・命を脅かすのは、犯罪だけでなく、災害・事故などにより、誰も
が、突然に、避けることができない被害を受けることがあります。
神戸市民は、あの阪神・淡路大震災の大きな苦難から、互いに寄り添い、支え合い
助け合うことで復興の過程を歩んできましたが、東日本大震災を経て、被災者の方々
の痛みに心を寄せるとき、互いに助け合い、支え合う精神のもと、災害・犯罪等の危
機に対応し、安全で安心して住み続けられる地域社会をつくっていく大切さを、改め
て認識するところです。
このたび、犯罪被害者・ご遺族の置かれている厳しい状況を踏まえ、その痛みを和
らげ、被害を回復し、一日も早く平穏な日常生活を取り戻していただくための支援を
総合的に実施し、そして、支援を通して多くの市民が命や絆の大切さに改めて気づき、
互いに支え合う地域社会づくりを推進することを目的に条例を制定することとしま
した。
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2.条例案の検討
今回の意見募集に際して、事前に「神戸市犯罪被害者等支援及び条例に関する検討
委員会(以下「検討委員会」といいます。)」を開催し、学識経験者、NPO、犯罪被
害者等、報道機関、兵庫県警察本部の方々から意見を頂戴しました。
今回お示しする資料は、検討委員会で頂戴したご意見を踏まえて作成しております。
3.条例の目的
(仮称)神戸市犯罪被害者等支援条例(以下「条例」といいます。)は、本市にお
ける犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務
を明らかにするとともに、犯罪被害者等を支援していくための施策の基本的事項を定
めることにより、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び軽減に向けた施策の総合的な
推進並びに犯罪被害者等の心に寄り添い、支える社会意識の形成を図り、もって市民
が安全で安心して住み続けることができる、互いに支え合う地域社会の実現に寄与す
ることを目的とします。
4.条例の用語の定義について
(1)犯罪等
犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいいます。
(2)犯罪被害者等
犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいいます。
(3)関係機関等
国、県、警察その他の関係機関、犯罪被害者等の支援を行う公共的団体及び民間
の団体その他の関係する者をいいます。
(4)二次的被害
犯罪等による直接の被害に加えて被害者等が被る経済的な損失、精神的な苦痛、
心身の不調、周囲の人々のうわさ及び中傷並びに報道機関の報道等によるプライバ
シーの侵害等をいいます。
5.条例に盛り込む事項
(1)基本理念
犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等の被った心身の苦痛、生活上の不利益等の
軽減及び回復に資するものであって、次に掲げる事項を基本理念として行われなけ
ればならないものとします。
①犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるよ
うになるまでの間、犯罪被害者等が受けた被害の状況及び原因、犯罪被害者等
が置かれている状況その他の事情に応じて、適切に途切れることなく行われる
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こと。
②犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう行われること。
③市、市民、事業者及び関係機関等は、災害、犯罪及び事故から得た教訓並びに
これらの被災者、被害者への支援活動から得た経験及び知識を生かし、相互に
連携し、及び協力して推進すること。
(2)市の責務
市は、基本理念にのっとり、関係機関等との適切な役割分担を踏まえて、犯罪被
害者等の支援のための施策を策定し、及び実施しなければならないこととします。
また、市は、犯罪被害者等の支援のための施策が円滑に実施されるよう、関係機
関等と連携し、及び協力しなければならないこととします。
(3)市民の責務
市民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の受けた心身の苦痛等の状況及び地
域で支え合うなどの支援の重要性についての理解を深めるとともに、二次的被害が
生じることのないよう十分に配慮するよう努めなければならないものとします。
また、市民は、市及び関係機関等が行う犯罪被害者等の支援に協力するよう努め
なければならないものとします。
(4)事業者の責務
事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が受けた心身の苦痛等の状況及び
犯罪被害者等の支援の重要性についての理解を深めるとともに、二次的被害が生じ
ることのないよう十分に配慮するよう努めなければならないものとします。
また、事業者は、犯罪被害者等が裁判所、警察等での必要な手続き等が行えるよ
う就労及び勤務について、十分に配慮した対応に努めなければならないものとしま
す。
(5)施策等
①相談及び情報の提供等
市は、犯罪被害者等が直面している問題について相談に応じ、市及び関係機関
等が行う支援に関する各種施策についての情報提供及び助言を行うとともに、支
援に必要な関係機関等との連絡及び調整を行うものとします。
また、市は、犯罪被害者等の支援に関する相談を総合的に行う窓口を設置する
ものとします。
②日常生活の支援
市は、犯罪等による心身の被害により生活が困窮する等の困難を抱える犯罪被
害者等が、日常生活を円滑に営むことができるようにするため、市及び関係機関
等が行う各種施策による支援が適切に提供されるようにするほか、犯罪被害者等
の置かれた状況に鑑み、次の施策を行うものとします。
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※以下の施策については、平成25年度予算編成において検討中です。
○市は、犯罪等により生活に困窮するに至った犯罪被害者等に対し、別に定め
るところにより、一時的な生活資金の援助等の支援を行うこと。
○市は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等
に対し、別に定めるところにより、一時的な住居の提供等を行うこと。
○市は、犯罪等により受けた精神的被害から早期に回復することができるよう、
関係機関等と連携し、必要な施策を行うこと。
○市は、犯罪被害者等が刑事手続等の負担により雇用関係の維持に困難をきた
すことのないよう、及び二次的被害の防止を図るため、関係機関等と連携し、
犯罪被害者等が置かれている状況について事業者の理解を深める等、必要な
支援を行うこと。
③民間支援団体に対する支援
市は、犯罪被害者等の支援に関する専門的な知識及び経験を活かし活動を行う
民間の団体その他の犯罪被害者等の支援に関係するものに対して、その役割の重
要性に鑑み、活動の促進を図るため、必要な支援を行うものとします。
④広報及び啓発
市は、犯罪被害者等が置かれている状況及び二次的被害の防止の重要性その他
犯罪被害者等の支援に関する事項について市民及び事業者の理解を深めるため、
広報及び啓発を行うものとします。
また、市は、安全で安心なまちづくりのための活動を行う地域団体その他の市
民団体及び関係機関等と連携して、人の命や絆、規範意識の大切さに係る啓発及
び防犯に関する知識の普及並びに犯罪被害者等の支援活動を支える人材を育成
するように努めるものとします。
⑤犯罪被害者等の支援を行わないことができる場合
市は、次に掲げる場合には、犯罪被害者等の支援を行わないことができるもの
とします。
○犯罪被害者等が犯罪等を誘発したとき。
○そのほか、犯罪被害者等の支援を行うことが社会通念上適切でないと認めら
れるとき。
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