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見本テキスト
107-1155-1005-17
■ 2017 年 合格目標
1・2次上級本科生
上
巻
TAC
中小企業診断士講座
~はじめに
上級本科/単科のカリキュラムについて~
上級本科/単科では、主として平成 28 年度 1 次試験の当該科目において、残念ながら
不合格となってしまった方(60 点未満の方)を対象に、平成 29 年度 1 次試験の当該科目
において、合格点を獲得する確率を高めることを主目的としています。
カリキュラムは大きく分けると、以下の 2 つのパートで構成されています。
(1) 1 次応用編
①
1 次上級講義(4 回)
1 回目の講義の前半で、平成 28 年度本試験を含めた当該科目の過去問の特徴や出
題傾向、難易度等を分析し、平成 29 年度 1 次試験に向けての対策を明確なものとし
ます。それを受けて、頻出領域や重要論点、予想論点等を中心とした解説講義を行い、
苦手論点の克服や弱点の補強を図ります。
なお、基礎知識の確認のために、1 次養成答練を自宅学習用の教材として配付致し
ます。
②
1 次上級答練(1 回)
上級講義を受けて、60 分の答練と 80 分の解説講義を行います。上級講義や 1 次養
成答練で学んだ基礎知識や重要論点等の早期の習得を図ります。
(2) 1 次直前編
①
1 次完成答練(2 回)
これまで学んできた知識等の「本試験問題への対応力」の習得を図ります。より実
践的な完成答練に取り組むことにより、本試験での得点力強化を図ります。
②
1 次最終講義(1 回)
1 次試験前の最後の講義になります。これまで学んだ知識等の総整理/総まとめを
行います。
※
上級本科生の方には、1 次公開模試が組み込まれています。
当カリキュラムを十二分に活用されることによって、平成 29 年度 1 次試験における
受講生の皆様の合格が磐石なものとなるよう、心より祈念しております。
TAC 中小企業診断士講座
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
上級講義
上級講義
第1回
【過去問分析編】
1.出題傾向分析と対策 ·····························
P. 2
2.平成 28 年度
出題分析表 ························
P. 14
3.平成 28 年度
本試験問題・正解 ··················
P. 19
1.生産形態 ·······································
P. 47
2.ライン生産方式 ·································
P. 62
3.セル生産方式 ···································
P. 79
【上級講義編1】
生産管理 ◆
上級講義
上級講義
第2回
【上級講義編2】
生産管理 ◆
4.JIT 生産方式 ····································
P. 94
5.管理・生産方式 ·································
P.105
6.VE ············································
P.118
7.スケジューリング ·······························
P.131
8.在庫管理・購買管理 ·····························
P.148
※以下は上級テキスト(下巻)の内容です。
上級講義第 3 回・4 回のコンテンツ(予定)
上級講義
上級講義
第3回
【上級講義編3】
生産管理 ◆
1.I E
2.品質管理
3.設備管理
4.その他の生産に関する管理事項
店舗・販売管理 ◆
1.店舗施設に関する法律知識
上級講義
上級講義
第4回
【上級講義編4】
店舗・販売管理 ◆
2.店舗設計
3.販売促進
4.物流戦略
5.販売流通情報システム
6.商品予算計画に関する計算問題
※第 3 回・第 4 回のコンテンツは変更する可能性があります。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
過去問分析編
1.出題傾向分析と対策
2.平成 28 年度
出題分析表
3.平成 28 年度
本試験問題・正解
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
1.出題傾向分析と対策
(1) 全体の傾向
①
設問数および頁数
平成24年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
平成28年度
数
43
41
43
44
45
5 択 問 題
8
9
8
13
13
26
24
27
33
30
2.09
2.20
2.09
2.05
2
設
問
頁
数
1 問当たり
の時間 (分)
※枝問(例:設問 1)も 1 問として集計している。
運営管理は、平成 18 年度の制度変更で重点科目という位置づけとなり、試験時間
は 90 分で問題数は 40 問強となっている。平成 28 年度は 45 問と過去 5 年間の中で
最多となった。問題の一部には、図表の読み解き問題や計算問題などが含まれており、
特に平成 27 年度以降、解答に時間を要する問題が増加している。平成 27 年度に 13
問に増加した 5 択問題は、平成 28 年度も同様に 13 問であった。なお過去 5 年間に
おいて、5 択問題はすべて店舗・販売管理からの出題となっている。
②
難易度
1 )平均点
平 均 点
平成24年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
平成28年度
63.3
57.5
61.0
63.1
55.7
TAC データリサーチによると、平均点は、ほぼ毎年 60 点前後で推移していたが、
平成 28 年度は 55.7 点となった。これは、現行の試験制度になった平成 18 年以降
で最低の平均点である(以前の最低は平成 25 年度の 57.5 点)。平成 26、27 年度
と、平均点が 60 点以上かつ易化傾向にあった反動と考えることができる。
-2-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
2 )設問別の正答率
平成 24 年度
平成 25 年度
平成 26 年度
平成 27 年度
平成 28 年度
ランク
設問数 構成比 設問数 構成比 設問数 構成比 設問数 構成比 設問数 構成比
A
8
18.6%
7
17.1%
9
20.9%
15
34.1%
6
13.3%
B
18
41.9%
12
29.3%
12
27.9%
12
27.3%
12
26.7%
C
10
23.3%
11
26.8%
13
30.2%
9
20.5%
12
26.7%
D
5
11.6%
7
17.1%
6
14.0%
4
9.1%
12
26.7%
E
2
4.7%
4
9.8%
3
7.0%
4
9.1%
3
6.7%
AB割合
AB割合
60.5%
60.5%
46.3%
46.3%
48.8%
48.8%
61.4%
61.4%
40%
40%
DE割合
DE割合
16.3%
16.3%
26.8%
26.8%
20.9%
20.9%
18.2%
18.2%
33.3%
33.3%
※枝問(例:設問 1)も 1 問として集計している。
TAC データリサーチによると、平成 28 年度では A・B ランクの問題が 40%し
かなかったこと、D ランク問題が 12 問あったことなどが特徴的である。また、
A・B ランクの問題 18 問のうち 16 問が 2 点問題(2 問が 3 点問題)であり、得点
が伸びづらい要因の 1 つであった。本試験においては A・B ランクの問題の取りこ
ぼしを最小限に抑えつつ、さらに C ランクの問題も対応できるようにしていきた
い。
※正答率、ランクとも TAC データリサーチによるもの。ランクの意味は以下のと
おり。
A:正答率 80%以上
B:正答率 60%以上 80%未満
C:正答率 40%以上 60%未満
D:正答率 20%以上 40%未満
E:正答率 20%未満
-3-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
(2) 生産管理と店舗・販売管理の科目別の傾向
①
難易度
平成 24 年度
平成 25 年度
平成 26 年度
平成 27 年度
平成 28 年度
ランク
設問数 構成比 設問数 構成比 設問数 構成比 設問数 構成比 設問数 構成比
生産管理
店舗・販売管理
A
2
9.1%
1
4.8%
2
9.5%
4
18.2%
2
9.1%
B
9
40.9%
5
23.8%
7
33.3%
7
31.8%
5
22.7%
C
6
27.3%
7
33.3%
7
33.3%
7
31.8%
6
27.3%
D
3
13.6%
4
19.0%
3
14.3%
3
13.6%
9
40.9%
E
2
9.1%
4
19.0%
2
9.5%
1
4.5%
0
0%
AB割合
AB割合
11
50.0%
50.0%
6
28.6%
28.6%
9
42.9%
42.9%
11
50.0%
50.0%
7
31.8%
31.8%
DE割合
DE割合
4
18.2%
18.2%
8
38.1%
38.1%
5
23.8%
23.8%
4
18.2%
18.2%
9
40.9%
40.9%
A
6
27.3%
6
30.0%
7
31.8%
11
50.0%
4
17.4%
B
9
40.9%
7
35.0%
5
22.7%
5
22.7%
7
30.4%
C
4
18.2%
4
20.0%
6
27.3%
2
9.1%
6
26.1%
D
2
9.1%
3
15.0%
3
13.6%
1
4.5%
3
13.0%
E
1
4.5%
0
0%
1
4.5%
3
13.6%
3
13.0%
AB割合
AB割合
15
68.2%
68.2%
13
65.0%
65.0%
12
54.5%
54.5%
16
72.7%
72.7%
11
47.8%
47.8%
DE割合
DE割合
3
13.6%
13.6%
3
15.0%
15.0%
4
18.2%
18.2%
4
18.2%
18.2%
6
26.1%
26.1%
※枝問(例:設問 1)も 1 問として集計している。
平成 28 年度の生産管理の領域における A・B ランクの問題の割合は 31.8%であり、
平成 25 年度の 28.6%に次ぐ低さになった。また D・E ランクの問題の割合は 40.9%
であり、過去 5 年間で最も高くなった。
平成 28 年度の店舗・販売管理の領域における A・B ランクの問題の割合は 47.8%
であり、過去 5 年間で最も低くなった。また、D・E ランクの問題が 6 問(26.1%)
あり、難化の原因の 1 つとなった。
2 つの領域を比較すると、店舗・販売管理の数値が生産管理の数値を上回ることか
ら、店舗・販売管理の方が比較的取り組みやすいといえる。店舗・販売管理の頻出論
点については、何としても得点できるようにしたい。
-4-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
(3) 対
①
策
運営管理の対策
運営管理の出題の傾向は比較的安定していたが、平成 28 年度は難化した結果とな
った。平成 29 年度には再び易化する可能性もあるが、平成 28 年度の難易度におい
ても 60 点を確保できるための対策が必要と考える(易化した際には 70 点以上をね
らいたい)。上級講義では頻出領域の理解度を深めることに重点を置き、上級答練や
完成答練では本試験問題の改題や応用問題、対応に時間を要する問題などを解くこと
で問題対応力を強化することに重点を置く。
②
領域別対策(生産管理)
生産管理は、各論点の基本的な考え方について本質的な理解を得ることが望まし
い。また、出題サイクルを考慮し、平成 29 年度に出題される可能性の高いもの(今
後の答練で出題するもの)は、詳細な知識まで押さえることが望ましい。なお、出題
頻度の低い領域で、かつ D・E ランクの難問に対しては、無理に学習時間を割く必要
はない。
以下は、生産管理の傾向を含めた対策をまとめたものである。今後の学習対策の指
針として有効に活用してほしい。また、以下の項目は、基本テキストの章立てに準じ
ているため、両者を照合させながら学習を進めてほしい。
★マークについて
★★★:最重要領域
★★:重要領域
-5-
★:余裕があったら押さえておく程度
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【第 1 章
項
目
①生産管理
の基礎
★★★
傾
向
目
①工場の設
備配置
(レイアウト)
★★★
②生産方式
★★★
③ 製品の開
発・設計
と VE
★★★
対
JIS の生産管理用語が毎年
出題されている。特に
PQCDSME、 生 産 性 、 生産
リ ー ド タ イ ム 、 3S 、 5S 、
ECRS 等の用語は繰り返し
問われている。
また、基本的な生産形態 に
関する問題(H28-2、H272、H24-9)も出題されてい
る。
【第 2 章
項
生産管理概論】
傾
策
頻出事項であるので、基本
基本テキストに
基本 テキストに
記載がある
がある JIS 用語は
記載
用語 は 押 さえておきた
い。
生産形態については、受注生産
受注生産・
受注生産 ・ 見込
生産、
生産 、 個別生産・ロット
個別生産 ・ロット生産
・ロット 生産・
生産 ・ 連続生
産 、 多種少量生産・
多種少量生産 ・ 少種多量生産の特
少種多量生産
徴を押さえる。その際には、それぞれ
を対比させて理解することが重要であ
る。2 次試験対策としても必須である
ため知識を整備してほしい。
生産のプランニング】
向
対
定期的に出題され ている 。
設備配置、レイア ウト決 定
の P-Q 分析、SLP などは頻
出テーマである。H28 は出
題 が な か っ た が 、 H27 と
H26 は SLP、H25 は機能別
職場、H26 と H24 は工場計
画と工場レイアウ ト(設 備
配置)が出題された。
毎年 1~3 問程度出題されて
いる重要領域。特 に、ラ イ
ン 生 産 方 式 、 JIT 生 産 方
式、製番管理方式 などの 各
生産・管理方式の 出題頻 度
が高い。
VE は H25~28 まで 4 年連
続で出題されている。ま
た、製品開発や製 品設計 か
らも出題される。
-6-
策
基 本 的 な 設 備 配 置 、 P-Q 分 析 お よ び
P-Q 分析結果に伴う 3 つの「物
物の流れ
分析」は重要である。この「物の流れ
分析
分析」は IE の 工程分析と
工程分析 と 合 わせて理
わせて 理
解 してほしい。また、SLP は H27 と
H26 に出題されているが、過去にも繰
り返し問われているため、今後におい
ても出題可能性は高い。SLP は計画手
計画手
順 と各用語
各用語の内容を押さえる必要があ
各用語
る。
ラ イン 生産 方式 、JIT、 製 番管理 、 オ
ーダーエントリー方式
ーダーエントリー 方式などの各生産・
方式
管理方式は今後も出題されると考えら
れるため、各生産方式の特徴、長所短
所等は確実に押さえる必要がある。特
に、ライン生産方式は出題可能性が高
いため、ラインバランシング
ラインバランシングやサイク
ラインバランシング サイク
ルタイムなどの計算問題を含め、過去
ルタイム
問と答練を使って対応力を強化してほ
しい。
VE については、H29 の出題可能性も
十分考えられる。基本論点をしっかり
理解し、答練で知識を定着させたい。
製品開発については、用語について問
製品開発
う問題が出題されている。基本テキス
トと答練を押さえておく程度でよい。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
項
目
傾
向
対
毎年 1 問程度であるが出題さ
れている。工作機械、加工技
術、ナノテクノロジー、結合
技術などの専門的な知識から
出題された。
⑤生産計画 毎年 1~2 問程度出題されて
と生産統 い る 頻 出 領 域 で あ る 。
制
PERT や生産統制などの基
★★★
本問題が出題され ている 。
一方、需要予測や スケジ ュ
ーリング、稼働率 などの 計
算問題が出題され ると難 問
となることもある。
⑥資材管理 H28 にストラクチャ型部品
★
表の必要部品数計 算が出 題
された。2~3 年に 1 問出題
されている。
⑦在庫管理・ 毎年 1~2 問出題されている
購買管理 重要テーマである 。特に 、
★★★
定量および定期発 注方式 に
関する基礎的な問題が多
い。近年は店舗の 在庫管 理
として出題される ことも 多
いが整備する知識 は、生 産
管理同様である。
④生産技術
★
-7-
策
詳細な知識が問われる一方、範囲が広
く、学習効率が低いため、試験対策を
とらなくてよい。
ジ ョンソン法
ョンソン 法 、サイクリックスケジュ
サイクリックスケジュ
ーリング、PERT
などのスケジューリ
ーリング
ング手法は重要であるため、上級講義
で学習していく。需要予測
需要予測の移動平均
需要予測 移動平均
法 や指数平滑法
指数平滑法はモデルの特徴を押さ
指数平滑法
えておきたい。生産統制
生産統制は
生産統制 3 つの管理
を押さえた上で、目的や具体的活動内
容をイメージできればよい。
出題サイクルを考慮し、MRP や部品
表の基本的な知識を確認しておけばよ
い。
定量発注方式と定期発注方式
定量発注方式 定期発注方式は、その
定期発注方式
特徴および公式を正確に理解し覚える
必要がある。また、H24 で出題された
補充点方式
補充点 方式は、引き続き上級講義で取
方式
り上げる。なお、購買管理
購買管理や外注管理
購買管理 外注管理
は、基本テキストレベルの基礎知識で
十分対応できる。また、在庫管理
在庫管理に
在庫管理 に 関
する JIS 用語も押さえ、過去問もしっ
用語
かり取り組んでほしい。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【第 3 章
項
目
①IE
★★★
②品質管理
★★
③設備管理
★★
④廃棄物等
の管理
★
傾
生産のオペレーション】
向
対
IE は毎年 2~5 問程度出題さ
れている。類題が繰り返し出
題 さ れ る こ と も あ る 。 H28
は、深い知識を問う問題や、
図表を絡めた問題が出題され
対応が難しかった。一方、基
本テキストに沿った学習で十
分得点できる問題も多い。
毎年 1 問程度の出題数であ
る。QC7 つ道具の出題頻度が
高く、その中でも管理図の出
題が目立つ。H28 では 1 選択
肢のみではあるが、管理図が
問われた。新 QC7 つ道具は
H27 に 出題 さ れ た。 ま た、
TQM が H26、H25 に出題さ
れている。
H27 に設備保全、H26 に設
備の信頼性・安全性、設備総
合効率、H25 に TPM(自主
保全)が出題された。H28、
H24 では平均故障間隔 やシ
ステム信頼度の計算も出題さ
れた。
H24~27 まで出題が続いた
が、H28 は出題されな かっ
た。環境関連法規は対応困難
な出題が多い。資源有効利用
促進法や省エネ法が出題され
ている。その他過去には、環
境基本法、循環型社会形成推
進基本法、家電リサイクル法
のほか、PRTR 制度や廃棄物
等の再生処理技術など専門的
な分野からも出題された。
-8-
策
基本テキストの内容を理解し、知識を
定着させることが得点をする第一歩で
ある。H29 対策として、工程分析
工程分析、
工程分析
運搬分析、動作研究
運搬分析 動作研究、稼働分析
動作研究 稼働分析、時間
稼働分析 時間
研究を押さえることが重要である。こ
研究
れらは体系的に覚え、やや深い用語の
知識も補充した上で、過去問や答練等
により対応力を磨く必要がある。
QC7 つ 道具と新
QC7 つ道具について
道具
は一定の理解が必要である。道具の名
称とその内容を一致させることができ
るレベルは最低限必要である。その上
で、それぞれの目的についても理解し
たい。TQM については、詳細な知識
を問う問題が出題されているため、あ
まり深入りせず、基本的な考え方のみ
を理解し、今後の答練で出題するポイ
ントを押さえるようにしたい。
設備保全の
設備保全 の 体系とそれぞれの保全活動
体系
の名称と意義、設備総合効率
設備総合効率を中心に
設備総合効率
押さえてほしい。
代表的な環境関連法規の概要を押さえ
る程度にとどめ、それ以上の詳細につ
いては学習効率の観点から深入りしな
い方が得策である。答練や模試で出題
された内容を押さえる程度でよい。
ただし、省
省 エネ法
エネ法 および LCA に関し
てはポイントを押さえてほしい。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【第 4 章
項
目
①生産情報
システム
★★★
②製造業に
おける情
報システ
ム
★
傾
生産情報システム】
向
対
H28 に FMS が出題された。
H27 と H24 には CAD/CAM/
CAE に関する論点が出題さ
れ、H25 に は シ ミ ュ レ ー シ
ョンが出題された。
H27 と H24 に、SCM、ブル
ウィップ効果が出題された。
策
CAD/
/ CAM/
/ CAE について基本事項を
確実に押さえたい。H28 に出題され
た FMS を含む自動製造システムは、
用 語 の 正 誤 判断 が で き るよ う に し た
い。
毎年出題される論点ではなく、店舗・
販売管理でも取り扱う論点のため、対
策の優先度はさげてよい。
生産管理においては、サイクル時間やスケジューリング、需要予測、余裕率などに
関する計算問題
計算問題が出題される。これらの対策については、以下の理論や公式を押さえ
計算問題
てほしい。
・レイアウト(H25-3 参照)
・ラインバランシング
・ライン編成効率およびバランスロス率の公式(H25-9 参照)
・ディスパッチング法
・ジョンソン法を利用した総所要時間の算出(H27-10 参照)
・サイクリックスケジューリング
・PERT の理解(H28-10、H26-10、H24-14 参照)
・移動平均法と指数平滑法など公式を含む需要予測(H27-9 参照)
・線形計画法(H26-11 参照)
・流動数グラフ(H27-17 参照)
・ストラクチャ型部品構成表の部品点数の算出(H28-9 参照)
・定量発注方式における発注点の算出(H24-10 参照)
・定量発注方式における経済的発注量の算出(H27-11、H26-9 参照)
・定期発注方式における発注量の算出(H28-33、H24-10 参照)
・余裕率の算出(外掛け法、内掛け法)
・正味時間の算出
・標準時間の算出(H26-15 参照)
-9-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
③
で0ミリ相当
領域別対策(店舗・販売管理)
店舗・販売管理(以下店舗)は、生産管理に比べて難易度が低い状態が続いている。
近年の特徴としては、まちづくり 3 法を中心とした流通政策論に関する出題が続い
ており、今後もこの領域に関して出題が続く可能性は高い。店舗施設関連の出題や
GMROI・値入率など過去の類題が繰り返し出題される傾向が見られるため、過去問
の対策が重要となる。また、物流と販売流通情報システムのウエイトが店舗の半分を
占めており、これらも過去に出題された類題や同様の出題パターンとして繰り返し出
題されている。初見の論点も出題されているが、基本テキストと答練、過去問を通し
た万全な対策によって 7 割以上得点することは十分可能である。
【第 1 章
項
目
①店舗施設
に関する
法律知識
★★★
②店舗立地
と出店
★
③商業集積
★★
傾
店舗・商業集積】
向
対
まちづくり 3 法が毎年 1~
2 問程度出題されている。
関連法として建築基準法が
H27 に 、 消 防 法 が H28 、
H24 に出題された。
H25 に ハ フ モ デ ル が 出 題
された。
商店街の空洞化や小売業の
業態に関する問題が出題さ
れている。H24~H27 に 4
年連続でショッピングセン
ターをテーマとした出題が
続いている。
-10-
策
まちづくり 3 法は、背景やそれぞれの
法律の特徴を理解する必要がある。 大
規模小売店舗立地法の目的や概要を理
規模小売店舗立地法
解し、 都市計画法については、区分さ
都市計画法
れる土地の用語、大規模集客施設が立
地できる用途区域も押さえてほしい。
基本テキストを中心に、各答練で出題
された論点を学習すれば十分である。
ライリーの法則等は何を算出するため
のモデルなのかを押さえておけばよい
(公式を覚える必要はない)。
小売業 の 業態(GMS、パワーセンター
業態
等) の 名称はイメージできるようにし
名称
ておきたい。ショッピングセンターや
統計関連は、すべて押さえるのは非効
率であるため、基本的な知識(賃料の
徴収形態など)で解ける問題を答練で
出題していく。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【第 2 章
項
目
①店舗施設
の機能
★
②店舗設計
★★★
③店舗の照
明と色彩
★
傾
目
向
対
近年の出題はない。
策
店舗の機能については、大まかに押さ
えておけばよい。
店舗設備、什器、陳列など
の用語については、知って
いれば容易に正解できる問
題が頻出である。陳列に関
する出題が多い。
用語の定義、意味、使い方、メリット・
デメリットなどについて、基本テキス
ト、答練等を中心に理解しておけば十
分対応できる。類題が繰り返し出題さ
れているため、過去問も重要である。
なお、頻出となっている商品の配置や
陳列については、コンビニやスーパー
などの手法を自分の目で確認すること
でイメージすることができる。是非や
ってみてほしい。
以前は毎年出題されていた 基本テキストを中心に、各答練で出題
が、近年の出題は少ない。 された論点を学習すれば十分である。
照明については H27 に出題 用語については、特に、 照明について
照明
され、色彩については H27 押さえておいてほしい。
と H25 で出題された。
【第 3 章
項
店舗施設】
商品仕入・販売(マーチャンダイジング)】
傾
向
対
①マーチャ
ンダイジ
ング・商
品管理・
商品予算
計画
★★★
GMROI、 交 差 比 率 、 値 入
率、商品回転率、在庫高予
算、相乗積などを中心とし
た計算問題が出題されてい
る。近年の商品予算計画の
問題は難易度が高くなく、
公式を理解していれば確実
に得点できる。
②商品計画
★
③商品調達・
取引条件
★
出題頻度は低い。
出 題 頻 度 は 低 い 。 H28 、
H24 に 消 化 仕 入 、 委 託 仕
入が問われている。
-11-
策
GMROI、
、 交差比率、
交差比率 、 値入率、
値入率 、 商品回転
率 、 在庫高予算 、 相乗積に関する公式
相乗積
は暗記しておくことが必要となる。ま
た、それぞれの公式が持つ意味も知っ
ておく必要がある。さらに、過去問や
答練等の計算問題は、実際に手を動か
して短時間かつ正確にこなせるよう準
備しておいてほしい。苦手とする方も
対策に努め得点できるようになってほ
しい。
基本テキストを中心に、各答練で出題
された論点を学習すれば十分である。
基本テキストを中心に、各答練で出題
された論点を学習すれば十分である。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
項
目
④価格設定
と販売促
進
★★★
傾
向
ISM と ISP を中心に出題
頻度が高い領域である。基
本テキストの内容で対応で
きる問題が多い。
【第 4 章
項
目
①物流機能
★
②物流戦略
★★★
対
傾
策
ISM、ISP は重要な論点であるため、上
級講義でも取り上げる。ISM、ISP は、
背景や具体的な手法まで押さえてほし
い。その際には、食料品店等の店内活動
を自分の目で見て理論を確認すること
で、イメージとして知識の定着が可能と
なる。また、過去に出題されているカテ
カテ
ゴリマネジメントについても、基本的な
ゴリマネジメント
知識を押さえておきたい。
物流・輸配送管理】
向
対
H28 に 1 選択肢で輸送機
能や保管機能の果たす役割
が問われた。
毎年 5~8 問程度出題され
ている。特に「小売チェー
ンの物流」「一括物流」「在
庫型と通過型物流センタ
ー 」「 物 流 ABC 」「 IC タ
グ」「トレーサビリテ ィ 」
に出題が集中している。
-12-
策
物流の機能や特徴の基本事項を理解し
てほしい。なぜその機能が有効かにつ
いて考えてみてほしい。
特に、 卸売業 の 物流体系 、 一括物流 シ
ステム 、 ロジスティクス 関連 、 物流情
報 システム(
システム ( IC タグ・トレーサビリテ
ィ ) が重要である。物流関連は、2 つ
(通過型と在庫型)の物流センターの
特徴をしっかり理解すると同時に、一
括物流センターを小売業が求める理由
を理解する。IC タグとトレーサビリティ
はセットで仕組みを理解する。ロジス
ティクスは用語の意味を覚える対策で
よい。過去問も重要である。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【第 5 章
項
目
①販売流通
情報シス
テムの概
要
★★★
②販売流通
業におけ
る情報シ
ステム
★★
傾
販売流通情報システム】
向
対
同じような論点が繰り返し
出題されている。特に POS
システム、JAN コード等が
よく出題されている。
SCM ( ブ ル ウ ィ ッ プ 効 果
含む)や ECR、QR に関
する基本的な出題が中心と
なっている。
策
GTIN ( JAN コ ー ド 、 ITF )、 EDI が 重
要。類似問題が出題される傾向が強い領
域であるので、過去問をしっかり学習し
てほしい。また、GLN、
、 GS1- 128 など
も出題されているため、対策が必要であ
る。
対策としては ECR の関連用語の CRP、
、
VMI、
、 CAO 、 ク ロ ス ドッキ ン グ 、 SCM
ラベル、
ラベル 、 ASN を押さえておけばよい。
答練でも十分な対策を実施する予定であ
る 。 な お 、 領 域 的 には 上述 の POS や
ECR と関連が深く、また切り分けるこ
とも難しいため、この領域も頻出テーマ
であると考えてよい。さらに、過去に出
題された投機戦略は延期戦略と合わせて
内容を理解してほしい。その際には、サ
プライチェーンマネジメントとセットで
理解を深めることが重要である。この理
論は暗記ではなく、理解が重要である。
上記項目以外の近年の出題傾向として、まちづくり 3 法関連以外の法律や、官公
庁のガイドラインなどの出題が見られる。これらは答練で出題されたものについて理
解できればよい。
店舗・販売管理は、単に知識として知っているか、知らないかを問う問題も多い。
生産管理との相違点は、全く知らない用語や論点であっても、ある程度選択肢を絞る
ことができたり、正答を導くことが可能であったりする点である。繰り返し問われる
傾向も強いため、過去問をしっかり学習してほしい。
-13-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
2.平成 28 年度
問
題
出題分析表
出題テーマ
正答率 ランク
備
考
第1問
生産リードタイム
短縮改善活動
67%
B
○:分析手法は暗記のみならず活
用イメージを持っておきた
い。
第2問
少品種多量生産
多品種少量生産
82%
A
○:基本問題である。
第3問
プッシュ型、
プル型管理方式
69%
B
○:他の選択肢の表現は多少悩まし
いが、選択肢エはピンポイント
で選べるようにしたい。
第4問
VE における機能
68%
B
○:基本問題である。
第5問
機械加工設備と
製品種類 ・数量と
の関係
26%
D
第6問
ライン生産方式
56%
C
第7問
製番管理方式
53%
C
第8問
発注量の算出
37%
D
第9問
部品構成表
21%
D
第10問
CPM
49%
C
第11問
工数計画
余力管理
21%
D
第12問
内外作区分
91%
A
第13問
品質展開
38%
D
第14問
標準作業
71%
B
第15問
時間測定と分析
23%
D
第16問
作業分類
38%
D
-14-
○:①の汎用工作機械が、多品種
少量生産向けであることを判
断し、2 択までは導きたい。
○:サイクルタイム、編成効率、
バランスロス率の意味、計算
方法は覚えておきたい。
△:他の生産管理方式についての
同様の出題に備えたい。
×:2 年連続出題される可能性は
高くないが、問題文の条件ど
おりに計算をする練習にはな
る。
×:2 年連続出題される可能性は
高くないが、問題文の条件ど
おりに計算をする練習にはな
る。
△:他のスケジューリングの処理
問題に対応したい。
△:生産計画、生産統制の内容を
理解しておきたい。
○:基本問題である。2 年連続出
題される可能性は高くない
が、2 次(事例Ⅲ)にも通じ
る考え方である。
×:2 年連続出題される可能性は
高くない。他の製品開発関連
用語の理解を深めたい。
○:基本問題である。
△:専門的な内容であり、全てを
理解する必要はない。IE の各
手法について用語や目的を理
解するようにしたい。
○:作業分類の内容を理解し、分
別できるようにしたい。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
問
題
出題テーマ
正答率 ランク
備
考
△:2 年連続出題される可能性は
高くない。第 1 類の動作要素
のみ確認してほしい。
△:2 年連続出題される可能性は
高くないが、文章問題でも対
応できるようにしておきた
い。
第17問
サーブリッグ分析
35%
D
第18問
RASIS
51%
C
第19問
優劣分岐点
48%
C
第20問
内外作区 分による
総費用最小化
66%
B
第21問
工程改善
53%
C
第22問
産業用ロボット
34%
D
第23問
中心市街地活性化法
38%
D
第24問
消防法
13%
E
訪日外国人の
消費動向
39%
D
消費税免税店
(設問 2) (輸出物品販売場)
制度
23%
D
第26問
買 物弱 者 応 援マ ニ
ュアル
89%
A
第27問
商品仕入
69%
B
第28問
商品回転率
75%
B
第29問
フェイス 数の変化
による棚割改善
86%
A
×:まちづくり 3 法の方向性であ
るコンパクトシティについて
の理解はしておきたい。
×:基本問題である。2 年連続出
題される可能性は高くない。
○:基本問題である。選択肢ア、
イ、エについて、分母分子を
書いて視覚的にも確認できる
ようにしてほしい。
△:基本問題である。2 年連続出
題される可能性は高くない。
第30問
消費財の分類
91%
A
○:基本問題である。
第31問
売価値入率計算
58%
C
○:基本問題である。商品予算計
画は毎年出題がある。十分に
練習を積みたい。
(設問 1)
第25問
-15-
×:解説を一読する程度でよい。
△:2 年連続出題される可能性は
高くないが、問題文の条件ど
おりに計算をする練習にはな
る。
○:選択肢イとウが生産リードタ
イム短縮につながることを理
解しておきたい。
×:解説を一読する程度でよい。
△:まちづくり 3 法の背景や現状
について方向性を理解してお
きたい。
×:解説を一読する程度でよい。
×:解説を一読する程度でよい。
日頃から話題となっている社
会情勢にはアンテナを張って
おきたい。
×:解説を一読する程度でよい。
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
問
題
出題テーマ
正答率 ランク
備
考
第32問
販売促進方法
57%
C
第33問
在庫管理
88%
A
第34問
物流ネットワーク
78%
B
第35問
輸配送管理
44%
C
第36問
共同物流
58%
C
第37問
物流センターの機能
7%
E
第38問
物流センターの運営
40%
C
支持度
(サポート)
71%
B
10%
E
○:販売促進手法の内容と目的を
理解し、非計画購買の分類に
ついては解説を確認して覚え
てほしい。
○:発注方式、在庫の概念を一通
り覚えてほしい。
×:基本問題である。2 年連続出
題される可能性は高くない。
○:基本問題である。関連する用
語を正確に覚え、他の用語と
何が違うか判断したい。
△:正解肢エは判断できるように
したい。
○:選択肢アの表現は悩ましかっ
たが、選択肢ア、イ、ウの内
容は確認してほしい。
○:選択肢ア、ウ、エの判断をで
きるようにしたい。
×:知識がなくてもその場の対応
で図を書いて判断できるよう
にしたい。
×:2 年連続出題される可能性は
高くない。
66%
B
○:基本問題である。
50%
C
△:GTIN などコードの標準化に
関連する用語を覚えておきた
い。
79%
B
×:解説を一読する程度でよい。
62%
B
×:解説を一読する程度でよい。
(設問 1)
第39問
(設問 2) リフト値
第40問
第41問
第42問
第42問
IC タグの特徴
GTIN アロケーシ
ョン(設 定)ガイ
ドライン
個人情報関連
ガイドライン
フラッシ ュマーケ
ティング
※正答率、ランクとも TAC データリサーチによるもの。ランクの意味は以下のとおり。
A:正答率 80%以上
B:正答率 60%以上 80%未満
C:正答率 40%以上 60%未満
D:正答率 20%以上 40%未満
E:正答率 20%未満
※重要度の基準(H28 本試験をベースにした、今後の学習計画上の参考基準)
○:重要
△:余裕があったら押さえておく程度
-16-
×:対策不要
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
<参考>
・得点層別(「60 点以上」および「60 点未満」)の正答率・ランクおよび正答率の差異
【生産管理】
60 点以上
※
60 点未満
正答率
ランク
正答率
ランク
正答率の
差異
第1問
83%
A
65%
B
18%
第2問
96%
A
83%
A
13%
第3問
84%
A
70%
B
14%
第4問
85%
A
66%
B
19%
第5問
35%
D
25%
D
10%
第6問
67%
B
56%
C
12%
第7問
68%
B
51%
C
17%
第8問
54%
C
32%
D
22%
第9問
35%
D
17%
E
18%
第10問
73%
B
43%
C
30%
第11問
32%
D
18%
E
13%
第12問
100%
A
97%
A
3%
第13問
55%
C
35%
D
21%
第14問
81%
A
74%
B
7%
第15問
28%
D
24%
D
3%
第16問
54%
C
35%
D
19%
第17問
48%
C
32%
D
16%
第18問
71%
B
47%
C
24%
第19問
71%
B
42%
C
29%
第20問
86%
A
64%
B
22%
第21問
75%
B
48%
C
28%
第22問
40%
C
35%
D
5%
問
題
四捨五入の関係で、「60 点以上の正答率」-「60 点未満の正答率」と「正答率の差
異」は必ずしも一致しない。
※
正答率の差異の網掛けは、差異が 15%以上の問題である。
-17-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【店舗販売管理】
60 点以上
60 点未満
正答率
ランク
正答率
ランク
正答率の
差異
第23問
49%
C
36%
D
12%
第24問
17%
E
13%
E
4%
(設問 1)
51%
C
38%
D
13%
(設問 2)
33%
D
21%
D
12%
第26問
99%
A
94%
A
5%
第27問
85%
A
69%
B
16%
第28問
93%
A
75%
B
18%
第29問
97%
A
90%
A
8%
第30問
100%
A
96%
A
3%
第31問
82%
A
52%
C
29%
第32問
72%
B
56%
C
15%
第33問
98%
A
93%
A
5%
第34問
92%
A
80%
A
12%
第35問
62%
B
39%
D
23%
第36問
74%
B
56%
C
18%
第37問
7%
E
8%
E
-1%
第38問
53%
C
38%
D
15%
(設問 1)
88%
A
71%
B
17%
(設問 2)
10%
E
12%
E
-1%
第40問
80%
A
66%
B
14%
第41問
65%
B
47%
C
18%
第42問
92%
A
81%
A
11%
第43問
78%
B
60%
B
17%
問
題
第25問
第39問
※
四捨五入の関係で、「60 点以上の正答率」-「60 点未満の正答率」と「正答率の差
異」は必ずしも一致しない。
※
正答率の差異の網掛けは、差異が 15%以上の問題である。
-18-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
3.平成 28 年度
本試験問題・正解
【問題】
第1問
ある機械加工職場における生産リードタイムの短縮を目指した改善活動に関する記述
として、最も不適切なものはどれか。
ア
処理を開始してすべての処理を完了するまでの総所要時間を短くするために、ディ
スパッチングルールを変更した。
イ
流れ線図を作成し、「設備間の距離×物流量の総和」を計算してレイアウトを変更
した。
ウ
納期管理を徹底するために、PERT を使ってロットサイズを変更した。
エ
マンマシンチャートを作成し、作業者の作業手順を変更した。
第2問
生産形態に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
少品種多量生産では、加工・組立の工数を少なくする製品設計が有用である。
イ
少品種多量生産では、工程の自動化が容易で、品種の変化に対するフレキシビリテ
ィが高い。
ウ
多品種少量生産では、進捗管理が難しく、生産統制を適切に行わないと納期遵守率
が低下する。
エ
多品種少量生産では、汎用設備の活用や多能工化が有用である。
-19-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第3問
プッシュ型管理方式およびプル型管理方式に関する記述として、最も適切なものはど
れか。
ア
プッシュ型管理方式では、顧客の注文が起点となって順番に製造指示が発生するた
め、余分な工程間在庫を持つ必要がない。
イ
プッシュ型管理方式では、生産計画の変更は最終工程のみに指示すればよい。
ウ
プル型管理方式では、管理部門が生産・在庫情報を集中的に把握する必要があり、
大掛かりな情報システムなどの仕掛けが必要となる。
エ
プル型管理方式では、稼働率を維持するための作りだめなどができないため、過剰
在庫が発生する可能性は少ない。
第4問
VE における製品の機能に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
貴重機能は製品の使用目的にかかわる機能である。
イ
製品の機能は基本機能と二次機能に分類され、二次機能は基本機能を補助する。
ウ
必要機能はその製品の基本機能になる場合が多いが、貴重機能が基本機能になる場
合もある。
エ
不必要機能は製品の二次機能に発生する場合が多い。
-20-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第5問
下図は、機械加工設備をロットサイズと製品の種類で分類したものである。空欄①~
③にあてはまる設備の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
多い
①
製品の種類
②
少ない
③
小さい
ロットサイズ
大きい
〔解答群〕
ア
①:FMS
②:トランスファーマシン
③:汎用工作機械
イ
①:FMS
②:汎用工作機械
③:トランスファーマシン
ウ
①:汎用工作機械
②:FMS
③:トランスファーマシン
エ
①:汎用工作機械
②:トランスファーマシン
③:FMS
第6問
生産ラインの工程編成に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
サイクルタイムは、生産ラインに資材を投入する時間間隔を規定する。
イ
正味稼働時間を生産量で除算することにより、サイクルタイムを求めることができ
る。
ウ
総作業時間を生産速度で除算することにより、最小工程数を求めることができる。
エ
バランスロスは、1 から編成効率を減算することで求めることができる。
-21-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第7問
製番管理方式の特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
多くの製品に共通して使用する部品の発注に適している。
イ
継続生産における部品の数量統制に適している。
ウ
製造命令書の発行時に在庫中の常備品を引き当てることができる。
エ
納期変更や製品仕様の変更があった場合に、特定の部品の発注指示、生産指示など
の変更が容易である。
第8問
製品 A は調達ロットサイズが 20 単位で、リードタイムは 2 期である(n 期の期末に
発注したものは、n+2 期の期首に納入される)。各期の所要量は必ず確保することを前
提に、期末在庫量が最小になるように各期の発注量を決定する。1 期から 5 期までの所
要量などの情報の一部が下表で与えられているとき、1 期から 3 期までの発注量の合計
(表の①~③の合計)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
期
1
2
3
4
5
所要量
50
10
70
5
30
期首在庫量
10
受入確定量
40
20
①
②
期末在庫量
発注量
③
〔解答群〕
ア
80
イ
95
ウ
100
エ
120
-22-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第9問
下表は、製品 A の部品構成を示している。製品 A を 30 台組み立てる際に、部品 d
の所要量として、最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:個)。
製品 A の部品構成表
A
a
c
子部品
数量 (個)
子部品
数量 (個)
子部品
数量 (個)
a
2
c
2
d
3
b
2
d
2
e
3
c
3
e
2
〔解答群〕
ア
240
イ
390
ウ
570
エ
750
-23-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第10問
下 表 は 、 あ る プ ロ ジ ェ ク ト 業 務 を 行 う 際 の 各 作 業 の 要 件 を 示 し て い る 。 CPM
(Critical Path Method)を適用して、最短プロジェクト遂行期間となる条件を達成し
たときの最小費用を、下記の解答群から選べ(単位:万円)。
作業名
先行作業
所要期間
最短所要期間
単位当たり短縮費用
(万円)
A
―
5
5
―
B
A
4
3
90
C
A
5
2
50
D
B、C
8
3
120
〔解答群〕
ア
650
イ
730
ウ
790
エ
840
第11問
工数計画およびそれに対応した余力管理に関する記述として、最も不適切なものはど
れか。
ア
各職場・各作業者について手持仕事量と現有生産能力とを調査し、これらを比較対
照したうえで手順計画によって再スケジュールをする。
イ
工数計画において、仕事量や生産能力を算定するためには、一般的に作業時間や作
業量が用いられる。
ウ
工数計画において求めた工程別の仕事量と日程計画で計画された納期までに完了す
る工程別の仕事量とを比較することを並行的に進めていき、生産能力の過不足の状況
を把握する。
エ
余力がマイナスになった場合に、就業時間の延長、作業員の増員、外注の利用、機
械・設備の増強などの対策をとる。
-24-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第12問
内外作区分に関連する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
一過性の需要に対応するためには、生産設備を増強して、内作で対応することが好
ましい。
イ
自社が特殊な技術を持っており、その優位性を維持するためには、該当する部品を
継続的に内作することが好ましい。
ウ
特許技術のような特に優れた技術を他社が持っている場合には、外作することが好
ましい。
エ
秘密性や重要性が低い部品で、自社において稼働率が低く、コストが引き合わない
ときには外作することが好ましい。
第13問
品質保証活動の中で用いられる品質展開に関する記述として、最も不適切なものはど
れか。
ア
顧客の要求や設計者の意図を生産部門まで確実に伝えるために、品質展開を行った。
イ
顧客の要求を技術的な品質特性に変換するために、品質特性展開表を作成した。
ウ
顧客の要求を整理するために、要求品質展開表と構成部品展開表から品質表を作成
した。
エ
他社製品との比較や自社製品のセールスポイントを設定するために、品質展開の結
果を活用した。
-25-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第14問
作業管理に利用される「標準作業」に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
作業管理者を中心に、IE スタッフや現場作業者の意見を入れて全員が納得した作
業でなければならない。
イ
作業者の教育・訓練の基礎資料とするため、熟練作業者であれば実施可能になる最
善の作業でなければならない。
ウ
生産の構成要素である 4M(Man, Machine, Material, Method)を有効に活用し
た作業でなければならない。
エ
製品または部品の製造工程全体を対象にした作業順序・作業方法・管理方法・使用
設備などに関する基準の規定でなければならない。
第15問
作業改善を目的とした時間測定と分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
作業時間が管理状態にあるかどうかを確認するために、pn 管理図を作成して分析
した。
イ
作業時間の測定精度を高めるために、やり直しを行った作業等の異常値は記録から
除外して測定を行った。
ウ
作業方法の変化を見つけ易くするために、作業の各サイクルに規則的に表れる要素
作業と不規則に表れる要素作業は区別して時間測定を行った。
エ
測定対象となる作業者に心理的な負担を与えないために、測定の実施を事前に通告
せずに作業者から見えない場所で測定を行った。
-26-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第16問
1 人の作業者が電気部品の組み立てを行っている工程でワークサンプリング法を実施
した結果が下表に示されている。この実施結果から算出される「主体作業」と「職場余
裕」の時間構成比率の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
作業項目
度数
120
ハンダ付け
基盤への部品の取り付け
90
基盤のネジ止め
80
組立作業完了後の製品検査(全数)
60
ロット単位での完成部品の運搬
33
不良品の手直し
30
ネジ・ハンダの補充(不定期)
22
部品不足による手待ち
24
打ち合わせ
19
朝礼
12
水飲み
5
用便
5
500
合計
〔解答群〕
ア
主体作業:58%
職場余裕:11%
イ
主体作業:58%
職場余裕:12%
ウ
主体作業:70%
職場余裕:11%
エ
主体作業:70%
職場余裕:12%
-27-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第17問
サーブリッグ分析で用いられる記号は、次の 3 つに分類される。
第 1 類:仕事を行ううえで必要な動作要素
第 2 類:第 1 類の作業の実行を妨げる動作要素
第 3 類:作業を行わない動作要素
下表は、「部品容器から左手で取り出した部品を右手に持ち換えた後、ある定められ
た位置に部品を定置する動作」をサーブリッグ分析したものである。この動作の中で第
1 類に分類される左手の動作要素の数と右手の動作要素の数の組み合わせとして、最も
適切なものを下記の解答群から選べ。
部品を取り置く動作のサーブリッグ分析の結果
左手
右手
部品に手を伸ばす
TE
UD
避け得ぬ遅れ
部品を選ぶ
ST
UD
避け得ぬ遅れ
部品をつかむ
G
UD
避け得ぬ遅れ
部品を運ぶ
TL
UD
避け得ぬ遅れ
部品を保持する
H
G
部品をつかむ
部品をはなす
RL
H
部品を保持する
手元に手を戻す
TE
TL
部品を運ぶ
避け得ぬ遅れ
UD
P
避け得ぬ遅れ
UD
RL
部品をはなす
避け得ぬ遅れ
UD
TE
手元に手を戻す
〔解答群〕
ア
左手:3 個
右手:2 個
イ
左手:4 個
右手:3 個
ウ
左手:5 個
右手:4 個
エ
左手:6 個
右手:5 個
-28-
部品を位置決めする
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第18問
下表は、ある設備の故障状況に関して、故障後の設備修復が終わってから再び故障に
至るまでの故障間隔とその頻度を度数分布表にまとめたものである。設備の修復時間を
ある一定時間以下に短縮することにより、90%以上のアベイラビリティ(可用率)を
達成したい。これを達成するための設備の平均修復時間の最大値として、最も適切なも
のを下記の解答群から選べ(単位:時間)。
故障間隔の階級値(時間)
度数
70
3
80
5
90
13
100
7
110
2
〔解答群〕
ア
6
イ
8
ウ
10
エ
12
-29-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第19問
製品製造のための年間固定費と変動費単価がそれぞれ異なる 3 つの設備案 A、B、C
の中から、年間の総費用が最小となる最適設備を選択することを考える。設備間での生
産量に関する優劣分岐点は、以下の値であることが分かっている。設備の年間固定費が
A、B、C の順に高いとき、最適設備の選択に関する記述として、最も適切なものを下
記の解答群から選べ。
1. 設備 A と設備 B の生産量に関する優劣分岐点は 2,500 個/年である。
2. 設備 B と設備 C の生産量に関する優劣分岐点は 7,500 個/年である。
3. 設備 A と設備 C の生産量に関する優劣分岐点は 5,000 個/年である。
〔解答群〕
ア
年間の生産量が 2,000 個のとき、設備 A を選択した。
イ
年間の生産量が 4,000 個のとき、設備 B を選択した。
ウ
年間の生産量が 6,000 個のとき、設備 A を選択した。
エ
年間の生産量が 8,000 個のとき、設備 C を選択した。
-30-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第20問
個別受注生産を行う工場において、次月の計画として下表に示す A~E の注文を受注
した。すべての注文を社内で処理する(すなわち、内作する)能力がないため、いくつ
かの注文については外作を行うことを検討している。以下の条件のもとで内外作に割り
当てる注文を適切に決定することにより、内作費用と外作費用を合わせた総費用の最小
化を考える。総費用の最小値として、最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:
万円)。
1. 注文を処理するのに必要な処理時間、内作で処理した場合に発生する費用、外作
で処理した場合に発生する費用は下表のとおりである。
注文
A
B
C
D
E
処理時間(時間)
10
20
10
20
10
内作費用(万円)
10
10
20
20
9
外作費用(万円)
15
24
22
28
15
2. 内作では、2 つ以上の注文を同時に処理することはできない。
3. 上表の注文の処理に利用できる社内製造時間は 30 時間である。
〔解答群〕
ア
69
イ
84
ウ
88
エ
90
-31-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第21問
2 段階の直列工程で毎日 80 個の単一製品を製造する生産ラインを考える。製品 1 個
当たりの前工程での処理時間は 4 分、後工程での処理時間は 5 分であり、処理時間の
バラツキは両工程ともに十分に小さい。また、前工程から後工程への中間製品の運搬ロ
ットサイズは 10 個としている。80 個の製品の総生産時間を短縮するための方策に関す
る記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
作業改善によって後工程での処理時間を短縮する。
イ
前工程と後工程での担当作業を見直し、生産ラインの編成効率を高める。
ウ
前工程と後工程の間の運搬ロットサイズを小さくする。
エ
前工程の入口と後工程の出口とを「かんばん」で結ぶ。
第22問
工場内で利用される産業用ロボットに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
運転中の作業者への危険を回避するため、労働安全衛生法の規制対象となる産業用
ロボットを運転する際には、柵または囲いを必ず設けなければならない。
イ
垂直多関節型ロボットは、上下方向に部品を強く押し込んだりする作業の自動化に
向いている。
ウ
水平多関節型ロボットは、多方向からの複雑な作業の自動化に向いている。
エ
労働安全衛生法の規制対象となる産業用ロボットの可動範囲内において教示等を行
う作業者は、同法で定める特別教育を必ず受講しなければならない。
-32-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第23問
平成 26 年に、中心市街地活性化法の一部が改正された。改正前に、内閣官房・中心
市街地活性化推進委員会が『中心市街地活性化に向けた制度・運用の方向性(平成 25
年 12 月)』をとりまとめた。当該報告書における、平成 26 年改正前の中心市街地活性
化法に基づき認定された中心市街地の状況に関する記述として、最も適切なものはどれ
か。
ア
認定された中心市街地内における大規模小売店舗の出店件数(大規模小売店舗立地
法に基づく届出数)は、認定された中心市街地外と比べて多かった。
イ
認定された中心市街地内の小売業の事業所数・年間販売額は増加していた。
ウ
平成 24 年度末までに基本計画が終了した市町村において、基本計画に設定された
評価指標のうち、目標を達成した評価指標は全体の 5 割に達していた。
エ
平成 24 年度末までに基本計画が終了した市町村において、基本計画に設定された
評価指標別の目標達成率としては、「通行量」、「施設入込数等」が比較的高いのに対
し、「空き店舗等」が低かった。
第24問
小売店舗(一般住居と併用するものは除く)における防火管理に関する記述として、
最も適切なものはどれか。
ア
店舗に設置されている消火器具や火災報知設備などの機器点検は、1 年に 1 回行わ
なければならない。
イ
店舗に設置されている非常電源や配線の総合点検は、2 年に 1 回行わなければなら
ない。
ウ
店舗は、機器点検・総合点検を行った結果を消防長または消防署長へ 3 年に 1 回
報告しなければならない。
エ
店舗は、特定防火対象物である。
-33-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第25問
外国人旅行者の状況や外国人旅行者向け免税店制度の内容に関する以下の設問に答え
よ。
(設問 1)
観光庁の『訪日外国人の消費動向
平成 27 年
年次報告書』から確認できる近年の
訪日外国人の実態に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
平成 27 年の訪日外国人の年間旅行消費額は 3 兆円を超え、過去最高額を記録し
ている。
イ
平成 27 年の訪日外国人の年間旅行消費額を費目別にみると、買物代が 50%を超
える。
ウ
平成 27 年の訪日外国人の年間旅行消費額の多い国・地域のトップ 3 は、米国、
タイ、韓国である。
エ
訪日外国人の年間旅行消費額は、平成 22 年から平成 27 年まで毎年連続で増加し
ている。
(設問 2)
消費税免税店(輸出物品販売場)制度に関する記述として、最も不適切なものはど
れか。
ア
一般物品の免税対象額は、同一の非居住者に対して、同一店舗における 1 日の
一般物品の販売合計額が 3 千円を超えるものであること。
イ
消耗品においては、免税購入する非居住者から、購入後 30 日以内に輸出する旨
の購入者誓約書を提出してもらうことが免税販売における要件である。
ウ
免税手続きカウンターを設置した商店街と隣接している商店街は、一つの特定商
業施設として免税販売手続きが可能である。
エ
輸出物品販売場を経営する事業者は、所定の手続きを踏めば、外航クルーズ船が
寄港する港湾の施設内に臨時販売場を設置して免税販売をすることができる。
-34-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第26問
経済産業省の『買物弱者応援マニュアル Ver.3.0』における「買物弱者」に対する流
通業者やサービス業者の取り組みとして、最も不適切なものはどれか。
ア
郊外での大型店の出店・開発
イ
消費者からの注文に応じて商品を届ける宅配サービス
ウ
消費者の居住地域での仮設店舗の出店
エ
商品を積載した車による移動販売
オ
来店手段となるバス等の運行
第27問
小売店の商品仕入に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
委託仕入では、一定期間店頭で販売し、売れ残った商品だけ小売店が買い取る。
イ
委託仕入では、商品の販売価格は原則として小売店が自由に設定する。
ウ
委託仕入において、店頭在庫の所有権は小売店にある。
エ
消化仕入では、商品の販売時に小売店に所有権が移転する。
オ
消化仕入をすると、小売店の廃棄ロスが発生しやすい。
第28問
小売店の商品管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
ある期間の商品回転率が 6 である場合、当該期間の売上高は期末在庫高の 6 倍で
ある。
イ
売上高が減った場合でも、平均在庫高を一定に保てば商品回転率は維持できる。
ウ
売場に商品を補充する際、先入れ先出しをすると必ず商品回転率が高まる。
エ
売れ筋商品の品ぞろえを増やして売上高が増加すれば、平均在庫高が増えたとして
も必ず商品回転率が高まる。
オ
需要期後に売れ残った季節商品を値引きや廃棄して処分すると、その処分をしない
よりも商品回転率は高まる。
-35-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第29問
下表は、商品 A から商品 E の 5 商品の販売棚における陳列数と最近 1 か月の売上数
量を示したものである。これらの 5 商品の商品単価と商品パッケージのサイズは同じ
で商品棚に陳列できる最大フェイス数は 20 とした場合、棚全体の売上数量を増やすた
めに商品棚割を改善する考え方に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群か
ら選べ。なお、期間中に品切れは発生していなかったものとする。
商品 A
販売棚のフェイス数
売上数量
商品 B
商品 C
商品 D
商品 E
8
6
2
3
1
120
50
50
60
20
〔解答群〕
ア
売場面積あたりの生産性が最も高い商品 A のフェイス数を増やす。
イ
商品 D と商品 E のフェイス数を 2 ずつにそろえる。
ウ
商品補充の作業性の面で最も効率が悪い商品 D のフェイス数を増やす。
エ
フェイス数を 1 つ増やしたときに売上数量が増えるフェイス効果は、商品 A よ
り商品 E の方が高い。
-36-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第30問
消費者の購買慣習からみた商品分類として、最寄品、買回品、専門品という分類があ
る。これら 3 つの分類と分類にあてはまる商品の一般的な特徴に関する次の a~c の記
述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a
消費者は商品へのこだわりがあり、複数の店舗を比較して買う。
b
消費者は手近にある情報により、買うことを決める。
c
消費者は時間をかけることを惜しまずに、遠方の店舗でも買いに行く。
〔解答群〕
ア
買回品
―
b
イ
専門品
―
b
ウ
専門品
―
c
エ
最寄品
―
a
オ
最寄品
―
c
第31問
下表の条件で 3 種類の商品を仕入れ、販売単価を設定したとき、3 商品全体の売価値
入率(小数点第 2 位を四捨五入)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
仕入単価
(円)
販売単価
(円)
仕入数量
(個)
商品 A
60
100
300
商品 B
70
140
100
商品 C
90
120
200
〔解答群〕
ア
36.8%
イ
38.3%
ウ
61.7%
エ
63.2%
-37-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第32問
小売業の販売促進の方法と主な目的に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
売り場におけるクロスマーチャンダイジングは、関連する商品同士を並べて陳列す
ることで、計画購買を促進する狙いがある。
イ
エンドなどにおける大量陳列は、商品の露出を高めて買い忘れを防止するなど、計
画購買を促進する狙いがある。
ウ
会計時に発行するレシートクーポンは、次回来店時の計画購買を促進する狙いがあ
る。
エ
試食販売などのデモンストレーション販売は、リピート購買を促進する狙いがある。
オ
新聞折り込みチラシは、お買い得商品の情報を伝えて、想起購買を促進する狙いが
ある。
第33問
小売店舗における在庫管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
あらかじめ設定した発注点に基づいて発注すると、発注間隔は必ず一定になる。
イ
安全在庫は、需要の変動に備えて過剰在庫を防止するために設定する在庫量のこと
である。
ウ
需要の変動に備えて安全在庫を見込む場合でも、定期発注方式で発注量を算定する
ときには安全在庫を含めない。
エ
発注から補充までの期間が短いほど、安全在庫量を少なくすることができる。
-38-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第34問
物流ネットワークに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
商品回転率が低い商品は、多くの物流拠点に分散在庫するよりも、少数の物流拠点
に集中在庫する方が望ましい。
イ
複数の物流拠点を水平的に統合すると、通常、物流段階数が少なくなる。
ウ
物流活動は、販売活動を行う各営業所がそれぞれ物流拠点を設けて行わなければな
らない。
エ
物流拠点の数は、輸配送コスト以外に物流サービスだけを考慮すれば合理的に決定
することができる。
第35問
輸配送管理に関する用語の記述として、最も適切なものはどれか。
ア
一貫パレチゼーションは、積載効率を高め、輸送効率を向上させる。
イ
パレチゼーションは、自家用物流施設内では行われず、自家用物流施設と社外物流
施設間において行われる。
ウ
プールパレットとは、自家用物流施設内で商品を保管することを主目的としたパレ
ットのことである。
エ
複合一貫輸送とは、ある輸送単位の貨物を組み替えることで、異なる輸送機関を組
み合わせて行う輸送のことである。
オ
ユニットロードとは、複数の物品又は包装貨物を、機械及び器具による取扱いに適
するように、パレット、コンテナなどを使って一つの単位にまとめた貨物のことであ
る。
-39-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第36問
共同物流に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
共同物流とは、複数の企業が物流機能を共同化することであり、同業種の企業同士
で行われ、異業種の企業同士では行われない。
イ
共同物流は、複数の企業にとって、配送先の店舗や物流拠点が共通しているときに
行われ、配送先が異なるときには行われない。
ウ
共同物流を担う物流事業者を指定するのは発荷主であり、着荷主が指定することは
ない。
エ
複数の企業が共同配送を行うと、各企業がそれぞれ配送していたときに比べて、配
送車両の積載効率が高まることはあるが、各企業にとっての配送数量が減ることはな
い。
オ
複数の企業がそれぞれ所有する商品を共同で配送することはあるが、同じ物流拠点
に共同で保管することはない。
第37問
物流センターの機能に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
クロスドッキングとは、物流センターの荷受場で、入荷品を事前出荷通知に基づき
保管するか出荷するかを識別して、出荷品を出荷場に通過させることである。
イ
店舗に対して一括物流を行うには、物流センターで在庫を持つ必要がある。
ウ
店舗の発注から店舗への納品までの期間は、一般的に、在庫を持たない物流センタ
ーを経由して納品する方が、在庫を持つ物流センターを経由して納品するよりも短い。
エ
包装は、内装と外装に大別され、前者を商業包装、後者を工業包装ともいう。
オ
保管機能とは、商品を一定の場所で、品質、数量の保持など適正に管理し、空間的
懸隔と時間的懸隔を克服するものである。
-40-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第38問
物流センターの運営に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
仕分けとは、物品を品種別、送り先方面別、顧客別などに分ける作業のことであり、
シングルピッキングの後に行われ、トータルピッキングの後には行われない。
イ
棚卸方法の一つである循環棚卸は、実在庫量と理論在庫量の差異を補正するために
行われる。
ウ
荷主は、物流センターの運営を物流事業者に委託するとき、委託先の物流事業者が
所有する物流センターを利用しなければならない。
エ
ピッキングとは、保管場所から必要な物品を取り出す作業のことであり、ピッカー
が保管場所まで移動しなければならない。
第39問
ある小売店の一定期間における ID-POS データを用いて、100 人のある顧客セグメ
ントに対するマーケットバスケット分析を行ったところ、商品 a と商品 b の購買に関
して、下表のような結果が得られたとする。
このとき、以下の設問に答えよ。
購買した商品群
購買した顧客数
商品 a
20
商品 b
40
商品 a
かつ
商品 b
10
(設問 1)
支持度(サポート)に関係する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
商品 a のみを購買した顧客数は 10 人である。
イ
商品 b のみを購買した顧客数は 30 人である。
ウ
商品 a と商品 b を共に購買した顧客数は 10 人である。
エ
商品 a も商品 b も購買していない顧客数は 40 人である。
オ
商品 a も商品 b も購買していない顧客数は、商品 b のみを購買した顧客数より多
い。
-41-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
(設問 2)
リフト値(lift(商品 a ⇒ 商品 b))の値として、最も適切なものはどれか。
ア
0.25
イ
0.50
ウ
1.00
エ
1.25
オ
2.50
第40問
従来のバーコードでは実現が困難であった高度な商品等の管理や業務の効率化を実現
するツールとして、近年、電子タグ(IC タグ、RF タグ、無線タグなど)が注目されて
いる。この電子タグの特徴に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
電子タグの IC チップには、メモリが搭載されており、識別情報などを記録するこ
とができる。
イ
電子タグは、金属で被覆しても、通常非接触で読み取り可能である。
ウ
電子タグは、必要に応じて、メモリに書き込まれたデータを保護し、セキュリティ
を強化することができる。
エ
電子タグは、無線を使って通信するため、非接触で読み取り可能である。
オ
電子タグは、用途に応じてカード型やボタン型の形状が存在し、小型化や薄型化も
進んでいる。
-42-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
第41問
流通システム開発センターが定める「GTIN アロケーション(設定)ガイドライン
(2009 年版)」によると、個々に GTIN を設定すべき要素として、最も不適切なもの
はどれか。
ア
商品の正味量
イ
商品の等級
ウ
商品の販売店舗
エ
商品ブランド名
オ
商品名
第42問
「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン
(平成 26 年 12 月)」の対象となっている個人情報として、最も不適切なものはどれか。
ア
企業が保有している雇用管理情報
イ
企業の財務情報等、法人等の団体そのものに関する情報
ウ
特定個人を識別できる情報ではないが、周知の情報の補完によって個人を識別でき
る情報
エ
日本国民ではない外国人の個人に関する情報
オ
防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報
第43問
ある共同購入クーポンサイトで、出品数、購入条件、販売期間、取引成立量を限定し、
高割引率を設定するフラッシュマーケティングを活用してクーポン(商品・サービス)
を販売する場合、その期待する効果として、最も不適切なものはどれか。
ア
初回限定のトライアル利用商品の販売を通じた新規顧客の獲得
イ
ソーシャルメディアでの情報拡散を通じた商品や店舗の宣伝
ウ
提供サービス閑散期における稼働率の上昇
エ
リピーターの増大
-43-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【正解】
問題
解答
配点
問題
解答
配点
問題
解答
配点
第1問
ウ
3
第16問
ウ
3
第30問
ウ
2
第2問
イ
2
第17問
ウ
3
第31問
ア
2
第3問
エ
2
第18問
ウ
2
第32問
ウ
2
第4問
ア
2
第19問
ウ
2
第33問
エ
2
第5問
ウ
2
第20問
イ
2
第34問
ア
2
第6問
ウ
2
第21問
エ
2
第35問
オ
3
第7問
エ
2
第22問
エ
2
第36問
エ
2
第8問
ウ
3
第23問
エ
2
第37問
ア
2
第9問
エ
3
第24問
エ
2
第38問
イ
2
第10問
ウ
2
ア
2
(設問 1) エ
2
(設問 2) エ
3
(設問 1)
第25問
第11問
ア
3
第12問
ア
2
第13問
ウ
第14問
第15問
第39問
ア
3
第26問
ア
2
第40問
イ
2
2
第27問
エ
2
第41問
ウ
2
イ
2
第28問
オ
3
第42問
イ
2
ウ
2
第29問
エ
2
第43問
エ
2
(設問 2)
作成日:平成 28 年 8 月 8 日(月)
※解答・配点は一般社団法人中小企業診断協会の発表に基づくものです。
正解・配点について、個々のお問い合わせには応じられません。
-44-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
上級講義編1
【生産管理】
1.生産形態
2.ライン生産方式
3.セル生産方式
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
~運営管理の上級講義の位置づけ~
上級講義は、平成 29 年度第 1 次試験において、運営管理で難化した場合でも 6 割、易
化した場合は 7 割以上の得点を獲得することを目的としています。6 割以上の得点を確保
するためには、基礎力を確実に理解することが前提となります。上級講義では、頻出領域
の理解を深めることに重点を置き、「上級答練」「完成答練」「公開模試」では、アウトプ
ットの訓練と知識の補充に重点を置きます。なお、ご自宅での学習として「2017 年度運
営管理基本テキスト(前述の領域別対策をご参照下さい)」および「1 次養成答練」を各
自進めておいてください。「1 次養成答練」は、「上級答練」が始まる前には解いておいて
ください。
本講義は、「既知のテーマをさらにわかりやすくして理解を深めること」、「プラスαと
いう位置づけとして、新たに補充すべき論点を学ぶこと」の 2 点をコンセプトとしてい
ます。本講義を有効に活用して、6 割の確保を確実なものにし、さらに総得点を引き上げ
る科目にしていただければ幸いです。
-46-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
1.生産形態
◆テーマのポイント!
注文と生産の時期による生産形態の分類には、受注生産と見込生産がある。また、仕
事の流し方、流す単位(固まり)による生産形態の分類には、個別生産と連続生産、それ
らの中間であるロット生産がある。そして、製品品種と生産量による生産形態の分類には、
多品種少量生産と少品種多量生産がある。ここでは、受注生産と見込生産、個別生産と連
続生産について、それぞれを対比しながら理解を深める。
また、ロット生産には、個別生産や連続生産にはない概念がいくつか存在するため、
ロット生産に関するやや深い論点について学習する。なお、これらのテーマは H28-2
(多品種少量生産、少品種多量生産) H27-2(見込生産)、H26-9(ロットサイズ)、
H24-9(生産形態とレイアウトの組み合わせ)で出題されているため、過去問も確認して
おいてほしい。
〔1〕受注生産と見込生産
(1) 受注生産と見込生産の比較
受注生産と見込生産の定義は以下のとおりである。
受注生産
(make to order)
order
(JIS Z 8141-3204)
見込生産
(make to stock
sto ck)
ck
(JIS Z 8141-3203)
顧客が
顧客 が 定 めた仕様
めた 仕様の製品を生産者が生産する形態。
仕様
生産者が市場
生産者 市場の
市場 の 需要を
需要 を 見越して
見越 して企画
して 企画・
企画 ・ 設計した製品を生産
設計
し、不特定
不特定な
不特定 な 顧客を
顧客 を 対象として市場に出荷する形態。
対象
受注生産は、顧客が注文した仕様どおりに生産することである。見込生産は、需要
予測を基に、市場で受け入れられると思われる製品を生産することである。それぞれ
は異なる目的、性格を持つため、生産に関連する特徴も大きく異なる。これらの特徴
を理解することは、2 次筆記試験(事例Ⅲ)の本文の読み解きにも必要となる。
-47-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
比較項目
受注生産
見込生産
生 産 開 始
顧客の注文により生産開始
市場調査・需要予測に基づいて生産
製 品 仕 様
客先仕様(受注時に確定)
生産者仕様(受注前に確定)
生 産 計 画
立てにくい
立てやすい
製 品 在 庫
なし
あり
仕 掛 品在 庫 多い
少ない
操
不安定
安定
製 品 種 類
顧客から要求された数
生産者が一定の数に制限
生 産 能 力
柔軟的
固定的
受 注 変 動
へ の 対 応
生産能力により調整
製品の在庫により調整
業
度
(参考文献:玉木欽也『戦略的生産システム』白桃書房)
以上の特徴を基に、それぞれのメリットとデメリットを整理する。
比較項目
受注生産
見込生産
・顧客のニーズに合致した製品を
提供できる。
・顧客のニーズの変化に対して柔
軟な対応ができる。
・製品在庫を保有しなくてよい。
・仕様を生産者が決めるため、生
産に対する不確定要素が少な
く、生産計画や生産統制など、
生産管理を行いやすい。
・少品種多量生産となりやすく、
メ リ ッ ト
生産工程の簡素化、自動化が容
易で低コスト生産が可能であ
る。
・自社で生産時期を決定できるた
め、稼働率が安定しやすい。
・仕様を顧客が決めるため、仕様 ・需要予測の精度により、顧客ニ
変更や納期変更が発生しやす
ーズに合致しない製品を製造し
く、生産管理が容易ではない。
てしまうことがある。
デ メ リッ ト ・多品種生産となりやすく、生産 ・顧客ニーズの変化に対して柔軟
効率が低い。
な対応が取りにくい。
・受注の変動による稼働率が不安 ・ 製 品 在 庫 コ ス ト の 負 担 が 大 き
定になる。
い。
-48-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
また、それぞれの経営課題を比較する。
比較項目
受注生産
見込生産
①コスト・納期見積り精度の向上
コスト見積り精度が低いと?
・見積りが低すぎると?
→損失発生
・見積りが高すぎると?
→失注
納期見積り精度が低いと?
・見積りが短すぎると?
→納期遅延、特急費用発生
・見積りが長すぎると?
→競争力低下
課
題
②生産リードタイムの短縮
受注時に仕様が確定し、受注前
の生産はできない。顧客の納期の
要求に応えるために、設計、調
達、作業を可能な限り短縮化する
必要がある。
・生産リードタイムが長いと?
→受注できない
①需要予測の精度向上
需要予測の精度が低いと?
・需要予測量>実需要量
→過剰在庫
・需要予測量<実需要量
→機会損失、市場シェア低下
②柔軟な生産体制の確立
(需要予測-生産計画-生産工程
の連動)
生産体制が柔軟でないと?
・需要予測量と実需要量の乖離
(結果は①と同じになる)
③受注の平準化
・繁忙期には?
→生産能力不足→機会損失
・生産能力を増強すると?
→閑散期の稼働率低下
経営課題については、2 次試験(事例Ⅲ)の解答の方向性を導くヒントともなり得
る。「なぜ各課題への対応が必要となるか」について、考えてみてほしい。
-49-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
(2) 受注生産の種類と生産プロセス
①
特注生産(個別受注生産)
受注
設計
調達
生産
納品
受注した後に客先のニーズに合わせて特別に設計したもの(二度と同じ受注の見
込みがないもの)を生産する方式。
受注後に「設計・調達・生産」を行うため、顧客にとっての納品リードタイムは
最も長くなる。また、「設計・調達・生産」の期間は、すべて一元的に管理される。
②
規格品受注生産(繰り返し受注生産)
設計
受注
調達
生産
納品
受注の際、あらかじめ「見込設計」した(メニュー化した、繰り返し受注が発生
する見込みがある)製品の品番を顧客に指定してもらい、指定されたものを生産す
る方式。複数の品番の設計は生産者仕様であるが、その中から生産する製品を指定
するのは顧客である(顧客仕様)。
顧客にとっての納品リードタイムの間に「設計」はなく、①特注生産よりも納期
を短く設定できる。また「設計」期間と「調達・生産」期間は、別に管理すること
となる。
(3) 見込生産の生産プロセス
yes
設計
調達
生産
在庫補充
受注
失注
在庫あり?
納品
no
在庫補充
受注の前に、設計・調達・生産を終え、製品を在庫保有し、注文と同時に在庫製品
を出荷する方式。顧客にとっての納品リードタイムはゼロに近い(即納)。在庫がな
い場合(欠品時)は、顧客が在庫補充までの期間を許容すれば、在庫補充して納品し、
許容できなければ失注することとなる。
-50-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
(4) 受注生産と見込生産の流動数曲線
納期、生産量、在庫の関係(流動数曲線)
受注生産
見込生産
累積生産量
累積受注量
累積納品量
累積生産量
累積受注量
累積納品量
製品在庫量
受注残
累積受注量
累積生産量
累積受注量
≒累積納品量
平均納期
累積生産量
=累積納品量
製品在庫期間
t
(生産即納入と仮定)
t
(品切れなし、店頭注文を仮定)
(参考文献:藤本隆宏『生産マネジメント入門Ⅰ』日本経済新聞出版社)
受注生産では(物流期間などを除けば)生産完了=納品なので、累積生産量曲線=
累積納品量曲線となる。また、受注が生産に先立っているので、累積受注量曲線が累
積納品量曲線の上にくる。その垂直方向の差を「受注残
受注残」と呼ぶ。受注残とは、顧客
受注残
から注文を受けたがまだ顧客に納入していない(≒生産完了していない)分の数量で
ある。受注順に納入するなら、水平方向の差が「平均納期
平均納期」になる。そして、顧客
顧客が
平均納期
顧客 が
許容する
許容 する納期
する 納期や
納期 や 生産リードタイムによって
生産 リードタイムによって、
リードタイムによって 、 納品日と
納品日 と 生産着手日が
生産着手日 が 決定される
決定 される。
される
見込生産では(品切れの場合を除き)受注=納品なので、累積受注量曲線=累積納
品量曲線となる。また、生産が受注に先立っているので、累積生産量曲線が累積納品
量曲線の上にくる。その垂直方向の差が「製品在庫量
製品在庫量」となり、水平方向の差が「製
製
製品在庫量
品在庫期間」となる。そして、在庫コストや品切れコスト、生産リードタイムを考慮
品在庫期間
し、自社
自社に
自社 に 最 も 有利な
有利 な 在庫量を
在庫量 を 決定することで
決定 することで、
することで 、 納品可能日と
納品可能日 と 生産着手日が
生産着手日 が 決定さ
決定 さ
れる。
れる
なお受注生産の場合、受注残は顧客にとっては納入期間延長につながるため好まし
くない。一方生産者にとって、ある程度の受注残を抱えることは常に生産待ちの注文
があることを意味し、安定操業につながるため、好ましい状態といえる。このバラン
スをとっていくことが受注生産企業の課題ともいえる。
-51-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
(5) 受注生産と見込生産の中間形態
ここまで受注生産と見込生産、それぞれのメリット・デメリットや、課題、管理ポ
イントの違いなどを見てきた。ここでは、需要の 3 要素の観点と生産方式との関連
を考える。
需要の
需要 の 3 要素
Q(
( 仕様)
仕様 )
C
D
自ら希望する仕様に
こだわり、(○)
他人も好む規格品で
満足し、(△)
ある程度の高価格は
許容し、(△)
低価格を志向し、
(○)
ある程度の納入期間
を許容すれば、(△)
すぐに製品を手にし
たければ、(○)
生産者が
生産者 が 選択
する生産方式
する 生産方式
受注生産
見込生産
※○は有利な点、(△)は不利な点
それぞれの生産方式にはメリット、デメリットがあるが、顧客の要求は QCD 全て
において高度化する一方である。それぞれのメリットを取り、デメリットをカバーす
るために、受注生産と見込生産の中間的な生産形態も存在する。
①
部品中心生産
部品加工工程までは計画需要に基づき見込生産し、組立工程は顧客の注文に基づ
いて受注生産する方式である。部品を先に製造し在庫しておくことで、受注してか
ら生産完了までの期間を短縮化できる。また、最終製品の在庫を持たずに、部品、
半製品までの在庫を保有することで、総在庫金額や死蔵リスクの低減につながる。
部品中心生産に類似した生産方法に、PC メーカーなどで採用される BTO(Build
To Order)がある。
-52-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
<補足>
ディカップリング・ポイント
見込生産
受注生産
消費者
設計
部品調達
計画需要情報
部品加工
在庫
組立
ディカップリング・ポイント
出荷
実需
ディカップリング・ポイントとは、見込生産と受注生産の分岐点のことである。
ディカップリング・ポイントに、見込生産された部品・半製品を在庫し、注文に
基づいて受注生産を行う。ディカップリング・ポイントの設定をサプライチェー
ン上の川上側とすれば、生産管理のポイントは受注生産に近くなり、川下側にす
れば、生産管理のポイントは見込生産に近くなる。
在庫ポイント
顧客
製品 原材料 原材料 内製
企画/ 調達 在庫
部品
設計
加工
中間
外注
仕掛品 部品
在庫
調達
外注
部品
在庫
製品
組立
製品
在庫
出荷/ 流通
流通
在庫
販売/
サービス
生産方式
ディカップリング・ポイント(DP)
特注受注生産
Engineering to
Order(ETO)
顧客
注文
DP
顧客
注文
規格品受注生産
Make to Order
(MTO)
DP
顧客
注文
受注加工組立
Build to Order
(BTO)
DP
受注仕様組立
Configuration
to Order (CTO)
顧客
注文
DP
受注組立
Assemble to
Order(ATO)
MTS
見込生産
顧客
注文
DP
顧客
注文
Make to Stock
(MTS)
DP
流通在庫補充販売
Ship to Stock
(STS)
予測主導/見込対応
顧客
注文
受注対応
(参考文献:中央職業能力開発協会編『ビジネス・キャリア検定試験
標準テキスト【共通知識】生産管理 2 級』社会保険研究所)
ディカップリング・ポイントの設定は、サプライチェーンの設計やビジネスモ
デルの構築の上で、きわめて重要である。
-53-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
②
見込・受注複合生産
1 つの生産ラインで、見込生産の品目を生産しながら、受注生産の品目も生産す
る方式である。生産設備を有効に活用するためには有効な手段であるが、前述の受
注生産と見込生産の管理ポイントの違いから、生産管理はより複雑化する。
例としては、金属加工製品や革製品の製造業において、自社製品の規格品を見込
生産しながら、特注品や OEM 受託製品を受注生産する企業が存在する。
※平成 27 年度第 2 次試験事例Ⅲの C 社(鋳物製品製造業)は、仕様の異なる規格
品以外のマンホール蓋や農業機械部品、産業機械部品を受注生産し、生産能力の
余力部分で需要の多い規格品のマンホール蓋を見込生産している。これにより、
生産計画、生産統制などが複雑化し、管理を統合した IT 化の検討をしている。
(6) その他受注生産に関わる用語
・内示注文:親会社などの主要顧客が見込生産をしており、その専属的な下請企業
(外注工場、協力工場など)が親会社に対する受注生産をしている場合
には長期契約をしていることが一般的である。このような関係がある場
合に、1~3 カ月先の確定していない発注予想情報が親会社から下請企
業に通知されることがある。これを内示注文という。
※平成 26 年度第 2 次試験事例Ⅲに登場する X 社は、主要顧客から大日程生産計画
に基づいた 3 カ月および中日程生産計画に基づいた 1 カ月の発注情報の内示を毎
月受けている。これは、まさに内示注文である。
(7) 練習問題
生産形態に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
見込生産では需要予測の精度向上が重要課題であるため、生産着手時期を消費時
点にできるだけ近づけることが望ましい。
イ
受注生産では価格と納期の見積精度の向上が求められ、注文を受ける前の段階で、
必ず設計工程に着手しなければならない。
ウ
見込生産では生産量を増加させることで生産量 1 単位あたりの生産コストを低
減でき、受注生産では中間仕掛在庫を持つことで短納期に対応できることがある。
エ
見込生産では、適正な生産計画を策定するために、計画期間を短く設けたり、計
画を柔軟に修正できる体制を築いたりすることが重要となる。
-54-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
<解答>
ア
○:正しい。見込生産は、生産者側が市場の需要を見越して企画・設計した
製品を生産し、不特定な顧客を対象として市場に出荷する形態であり、
需要予測精度の向上と柔軟な生産体制の確立が重要課題となる。需要予測
の精度を向上させる方法の 1 つに、生産リードタイムを短縮し、可能な
限り生産開始時期を消費(販売)時点に近づける方法がある。逆に、生産
を前倒しすると、需要を予測するタイミングが実需から遠ざかるため、需
要予測の精度は低くなる。なお、できるだけ生産開始を引き延ばし(時間
を遅らせる)、実需に即応する形で店頭に納品することで、ニーズや実需
に適応させる生産・流通体制の仕組みを延期化という。
イ
×:受注生産は、顧客が定めた仕様の製品を生産する形態であり、顧客が要求
する品質において価格と納期の見積精度の向上、生産リードタイムの短縮
が重要課題となる。また、生産の平準化(製造現場の繁閑(操業度)をな
らすこと)も重要である。選択肢の前半の記述は正しいが、注文を受ける
前の段階で製品設計に着手しないケースがあるため不適切である。受注生
産は受注後に顧客の要求に従って設計する「個別受注生産(特注生産)」
と、あらかじめ生産側で仕様、規格内容が決まっている「繰り返し受注生
産(規格品受注生産)」に分けられ、必ずしも毎回、顧客要求に従った新
規設計を必要とするわけではない。
ウ
○:正しい。見込生産は少種多量生産に適した生産形態で、大量生産により規
模の経済を追求し、製品 1 単位あたりの生産コストの低減が可能である。
経営課題として、需要予測に見合った生産能力の維持、生産ラインの連続
運転と稼働率の維持が重要である。しかし、実需以上の生産を行うと過剰
在庫が発生し死蔵在庫となりかねず、結果としてキャッシュフローの悪化
や、製品あたりのコストの上昇を招いてしまうため注意が必要である。一
方、受注生産では、短納期化は経営課題の 1 つであり、本肢の記述のよ
うに、業種業態、顧客の要求などによって、中間仕掛在庫や半完成品など
を持つことで、短納期化に対応する場合がある。
エ
○:正しい。見込生産では、適正な生産計画を策定するために、計画期間を短
く設けたり、計画を柔軟に修正できる体制を築いたりすることが重要とな
る。
よって、イが正解である。
-55-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
〔2〕個別生産と連続生産の基本事項
(1) 個別生産の定義
個々の注文に応じて、その都度 1 回限りの生産を行う形態。つまり、繰り返し性
のない生産で、「連続生産」の反義語である。
(2) 連続生産の定義
同一の製品を一定期間続けて生産する形態。標準化され、また、設計変更も少ない
同一の製品を連続して生産するのに適している。生産する製品が停滞なく流れ、次か
ら次へと同じ製品が生産されていく形態である。
数量
B
A
10
C
D
E
20
5月
I
G
F
H
10
20
6月
K
J
10
20
L
M
N
10
7月
個別生産
数量
10
20
5月
10
20
6月
10
20
10
7月
連続生産
(参考文献:玉木欽也『戦略的生産システム』白桃書房)
(3) 個別生産と連続生産の相違点
個別生産と連続生産のそれぞれの特徴や相違点を確認する。また、個別生産は、連
続生産に比べて、引合いから受注後の手続、生産コストの低減や納期厳守など、複雑
な要素が多いため、特に以下のような管理の進め方がポイントとなる。
-56-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
管理する事項
個 別 生 産
連 続 生 産
定
義
個々の注文に応じて、その都度 1 回
限りの生産を行う形態
同一の製品を一定期間続けて生産す
る形態
製
品
製品仕様は顧客によって決まる
製品仕様は生産者によって決まる
品
質
数
量
顧客との折衝により製品仕様規格を
明確にする
顧客との折衝により納期と数量が決
定され契約後に生産する
市場調査により互換性があり品質変
動が少ない
需要予測により生産して販売
機械・設備
汎用設備
専用設備
在
庫
納入期間の短縮のために、どこまで
仕掛品を生産するか、どの程度の仕
掛品在庫を保有すべきかなどの管理
が重要
需要変動に対処するために、需要予
測の精度を高めながらも緩衝在庫を
保有し、品切れ防止、死蔵ロス防止
の管理に重点を置く
保
全
保全コストと不稼働損失とのバラン
スから、事後保全が基本となる
ライン停止の損失を防止するため、
予防保全が基本となる
熟
練
作業や段取り替えに対する熟練を必
要とし、習熟期間は長い
専門化、標準化、単純化のため習熟
が早い
の
方
①重要
重要な
重要 な 留意点:
留意点 : 納期見積りの正確
性を高め、契約した納期遅延を防
止すること
②生産計画
生産計画について
生産計画 について:
について : 各工程の能力
に遊びが生じないよう、経済的な
工程計画と日程計画を組む
③その
その他
その 他
・受注の統合化、部品の共通化が可
能な場合は、1 回当たりの生産量
の大きさを工夫(大きく)して経
済性を高める(GT の考え方)
・共通部品が使えるよう、できるだ
け部品の標準化を図る
・各工程の遊休を正確かつ迅速につ
かみこれを排除する
①重要
重要な
重要 な 留意点:
留意点 : 需要量に適応しう
る生産能力を持った工程を設計す
る
②生産計画
生産計画について
生産計画 について:
について : 生産能力が決
まっているので、一定生産水準で
生産できるように生産計画を立て
る
③その
その他
その 他
・販売高と生産高の差の調整は、製
品在庫を緩衝として行う
・製品品種の急な変更は困難である
ので、新製品の生産やモデルチェ
ンジは計画的に行う
管
進
理
め
(参考文献:『新版生産管理の基礎』村松林太郎著
-57-
国元書房
一部加筆修正)
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
〔3〕ロット生産の基本事項
(1) ロット生産の定義
品種ごとに生産量をまとめて複数の製品を交互に生産する形態。断続生産ともいい、
個別生産と連続生産の中間的な生産形態である。何個ずつ生産するか、その単位をロ
ットサイズ(生産ロットまたはバッチ)という。生産する製品の切替えのたびに段取
り替えが発生する。
数量
Z
X
Y
10
20
Z
X
10
5月
Z
X
Y
20
Y
10
6月
20
X
10
7月
ロット生産
(参考文献:玉木欽也『戦略的生産システム』白桃書房)
(2) ロット生産が採用されるケース
ロット生産は、次のような条件を満たしているときに採用される。
①
多種類の製品を同一生産設備で生産する際に、段取り替えをすれば可能な場合。
②
製品ごとに専用ラインを設けるだけの需要は期待できず、各製品の平均需要速度
に比べて生産設備の生産速度が速い場合。
需要
<
供給
(3) 段取り替えの手順
ロット生産では、何個ずつ生産するか、その単位をロットサイズ(生産ロットまた
はバッチ)といい、生産する製品の切替えのたびに段取り替えが発生する。
段取り替えには、設備を止めないとできない作業である内段取りと、設備を止め
ずにできる外段取りに分けて活動を進める点に大きな特徴がある。
段取り替えの一般的な手順は次のとおりである。丸暗記する必要はないが、おお
よそのイメージはもっておいてほしい。
なお、次頁で確認できる 4. 内段取り作業の改善や 5. 調整作業の排除などの改善
手法には、「ECRS の原則」の順番で改善を進めればよい。
-58-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
一般的な
一般的な段取り
段取り替えの短縮
えの短縮の
短縮の手順
1.段取り替え作業の分析
2.外段取り作業のピックアップ
3.内段取り作業の外段取り化
作業の分析
4.内段取り作業の改善
→作業の改善(
(ECRS)
ECRS)
5.調整作業の排除
→作業の標準化
6.外段取り作業の改善
( E)
①
調整作業を無くす
②
1 回で調整ができる (C)
③
測定に時間をかけない
7.標準化と教育
8.運用の仕組みづくり
外段取り化以前のポイントは、
整理整頓の徹底である
(5S など)
(4) 経済的ロットサイズ
ロットサイズとは、ロットあたりの数量のことである。ロットサイズを小さくする
と在庫リスクは小さくなるが、段取り替えが多くなるため生産性は低くなる。逆にロ
ットサイズを大きくすると段取り替えは少なくなるため生産性は高くなるが、在庫リ
スクは高くなる。このようなことから、段取り替えロスと在庫費用のバランスのとれ
た最適なロットサイズで生産することが課題となる。つまり、ロットサイズは、生産
活動を経済的・効率的に遂行できるように決める必要がある。この考え方が経済的ロ
ットサイズである。
【参考】「経済的ロットサイズ」
期間要求量を R、1 回あたり段取り替え費用を S、製品 1 単位あたりの在庫
費用を C としたとき、段取り替え費用と在庫費用の和を最小にするロットサイ
ズ Q は、以下のとおりになる。
Q=
2SR
C
<参考>
在庫リスク=売れ残りリスク、死蔵リスク、在庫費用発生リスクなど
在庫コスト=上記の結果の廃棄ロス、保管費用、管理費用など
-59-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
費用
総費用
在庫費用
段取り替え費用
ロットサイズ→大
経済的ロットサイズ
【参考】自動機械の種類
生産に利用される自動機械は、汎用機と専用機に大別され、それぞれ適して
いる生産形態に合わせて利用されている。
汎用機は、種々のワークの加工に対応できるように作られた工作機械を指
す。市販されている工作機械の大半が該当する。機械の操作については熟練を
要するが、広範な加工が可能であり、多品種少量生産に向いている。
専用機は、特定のワークを能率的に大量加工できるように作られた工作機械
を指す。機械の操作については熟練が不要で、少品種大量生産に向いている。
(5) 練習問題
生産形態に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
ア
連続生産では、専用設備が配置されることが多く、ライン停止の損失を防止する
ために事後保全が行われる。
イ
個別生産は、繰り返し性のない生産で、見込生産の反義語である。
ウ
ロット生産とは、生産量ごとに品種をまとめて複数の製品を交互に生産する形態
である。
エ
製品の平均需要速度が設備の生産速度より遅く、専用ラインを設ける程の需要が
期待できない場合には、ロット生産が適している。
-60-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
<解答>
ア
×:連続生産において、専用設備が配置されることが多いという前半の記述は
正しいが、ライン停止の損失を防止するために予防保全が行われるため不
適切である。設備の故障によりラインが停止する際の損失が大きくなりや
すいため、設備故障を事前に防ぐことを目的とする予防保全が行われる。
イ
×:前半の記述は正しいが、個別生産は連続生産の反義語であるため、不適切
である。個別生産や連続生産が、仕事の流し方による分類上の用語である
ことはしっかり押さえてほしい。
ウ
×:ロット生産とは、品種ごとに生産量をまとめて複数の製品を交互に生産す
る形態である。同一の製品を適切な数量にひとまとめにしたものをロット
と呼ぶ。月々の生産量が専用ラインを設けるほど多くない製品を生産する
場合、同一品目を連続して毎日流すことができないので、あるロットを一
括して流し、しばらくして次のロットを流す、といったように反復的に段
取り替えをして異なる品種を生産することになる。
エ
○:正しい。製品の平均需要速度が設備の生産速度より遅く、専用ラインを設
ける程の需要が期待できない場合には、ロット生産が適している。多品種
の製品を同一生産設備で生産する際に、段取り替えをすれば可能な場合に、
ロット生産が適する。なお、専用ラインを設ける程の需要が期待できる場
合には、製品別レイアウトによる連続生産を行う。
よって、エが正解である。
-61-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
2.ライン生産方式
ライン生産方式
◆テーマのポイント!
ライン生産方式は頻出テーマである。平成 27、24 年度では出題がなかったが、ほぼ毎
年出題されており、平成 28、25 年度では 2 問出題された。平成 29 年度においても引き
続き出題が予想されるため、用語や公式の暗記だけではなく、ライン生産方式を理解する
ことに重点を置く。本項では、かなり古いが平成 17 年度本試験で難問が出題されている
ため、本問を取り上げて理解を深めることにする。
〔1〕ライン生産方式の基礎知識
(1) ライン生産方式とは
いわゆる流れ作業のことで、「生産ライン上の各作業ステーションに作業を割り付
けておき、品物がラインを移動するにつれて加工が進んでいく方式」である。主に需
要予測に基づいた見込生産で、需要量が多くて市場が安定しており、プロダクトライ
フサイクルが長い製品に適している。製品の種類が少なく(少種多量生産)、専用ラ
インによる単純な加工経路をとることが多い。
(2) ライン生産方式のメリット・デメリット
メリット
・作業の単純化、機械の専用化により、単能工で作業ができる。
・作業者の間接作業が少ないので生産性が高い。
・物の流れが単純で工程管理が容易になる。
・製品の移動が機械化しやすく、移動コストも安くなりやすい。
デメリット
・製品や生産量の変化に対して融通性が低い。
・レイアウト上の制約が多く、また、作業内容や順序が変わると装置の配置換えの
必要がある。
・単能工化する傾向にあるため、負荷の急増や作業者の欠勤対応を図りにくい。
・作業が単調なため創意工夫を発揮しにくく、労務面での問題が起こりやすい。
(3) ラインバランシング
生産ラインの各作業ステーションに割り付ける作業量を均等化する方法。
-62-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
(4) サイクル時間、サイクルタイム、ピッチタイム
生産ラインに資材を投入する時間間隔。通常、製品が産出される時間間隔に等しい。
結果的に、要素作業時間の最長時間に相当する。
サイクルタイム=
生産期間
(その期間中の)生産量
例)生産期間 600 分÷生産量 600 個=サイクルタイム 1 分
(5) (単一品種ラインの)編成効率(%)=
各工程の所要時間合計
×100
サイクルタイム×工程数
※混合品種組立ラインの編成効率については、後述する。
(6) バランスロス率(%)=
サイクルタイム×工程数-各工程の所要時間合計
×100
サイクルタイム×工程数
※バランスロス率(%)=100-ラインバランス効率(%)
(7) 組余裕率(%)=
サイクルタイム×工程数-各工程の所要時間合計
×100
各工程の所要時間合計
〔2〕過去問研究
前述したように、平成 17 年度本試験で難問が出題されているため、本問を取り上げて
理解を深めることにする。この問題を理解し、各選択肢について説明することができれば、
ライン生産に関する理解は、ほぼ万全と考えてよい。
【平成 17 年度
第 2 問】(抜粋)
1 種類の製品を対象にしたラインバランシングに関する次の記述のうち、最も適
切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a
最低限必要な作業ステーション数は、サイクルタイムが一定ならば、製品 1 個
あたりの作業時間の総和が増えるほど多くなる。
b
バランスロスの値は、同一の製品の下では、作業ステーション数が増えると大
きくなる傾向がある。
c
サイクルタイムおよび作業ステーション数が一定の下では、各作業ステーショ
ンへの作業の負荷を均等に近づけるほど編成効率の値は高くなる。
-63-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
選択肢 a について
①
a
最低限必要な作業ステーション数は、サイクルタイムが一定ならば、製品 1
個あたりの作業時間の総和が増えるほど多くなる。
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
a
○:正しい記述である。以下の図で説明していく前に、本肢の用語を整理する。
◆作業ステーション:生産ラインを構成する作業場所であり、作業要素の
割り付け対象
◆サイクル時間:生産ラインに資材を投入する時間間隔。備考:通常、製
品が産出される時間間隔に等しい。サイクルタイムまたはピッチタイム
ともいう。※結果的に、要素作業時間の最長時間に相当する。
◆生産リードタイム:生産の着手時期から完了時期に至るまでの期間
◆製品 1 個あたりの作業時間の総和:生産リードタイムからロスタイムを
控除した時間。ロスタイムがゼロであれば、生産リードタイムと同数に
なる。
*前提*
●1 種類の製品を生産しているラインを前提としている。
●本肢の内容を別の観点から整理すると、「1 日の生産量を維持したまま
(サイクルタイムは一定である)、作業時間の総和が長い製品を生産しな
ければならないとすれば、作業ステーション数を増加して対処する」とい
うことである。この内容が、正しいのか、誤っているのか、を考える。
要素作業時間 (分)
サイクルタイム 1 分
1
作業時間の総和 3 分
・1 日 6 時間操業 360 分
・1 日生産量=
360 分÷1 分=360 個
1
2
3
作業ステーション
-64-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
●上記の作業時間の総和 3 分の製品から、5 分の製品に変更する。つまり、
複雑な設計の製品を生産しなければならず、作業時間の総和が 5 分に増
えたということである。1 日の生産量は維持したままであるので、サイク
ルタイムは 1 分のままである。
要素作業時間 (分)
サイクルタイム 1 分
1
作業時間の総和 5 分
・1 日 6 時間操業 360 分
・1 日生産量=
360 分÷1 分=360 個
1
2
3
4
5
作業ステーション
●以上のように、1 日の生産量を 360 個で維持したまま(サイクルタイムを
変更させない)、作業時間の総和が長い製品をこのラインで生産しなけれ
ばならない場合は、作業ステーション数を増加させれば対処できるという
結論である。よって正しい記述である。
●ただし、上記の例はラインバランシングが完璧に行われていて、バランス
ロス率が 0%という非現実的な状態を前提としている。単位作業を分割し
て、作業ステーション数を増やせば、バランスロス率は上昇するのが通常
であるということに注意が必要である。
★ポイント!
①
サイクルタイムと生産リードタイムの違いを理解すること。
②
製品 1 個あたりの作業時間の総和は、棒グラフの総面積と考えれば良
い。生産リードタイムは、サイクルタイム×作業ステーション数(の面
積)と考えればよい。
-65-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
選択肢 b について
②
b
バランスロスの値は、同一の製品の下では、作業ステーション数が増えると大
きくなる傾向がある。
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
b
○:正しい記述である。ここでも、図を用いて解説する。
要素作業時間 (分)
要素作業時間 (分)
A ライン
サイクルタイム
6
5
ロスタイム
4
3
B ライン
6
サイクルタイム
ロスタイム
5
4
3
1 個あたりの作業
時間の総和=
2.5+3+2+2.5+
3+2=15 分
2
2
1
1
2
3
1 個あたりの作業
時間の総和=
5+6+4=15 分
1
1
作業ステーション
2
3
4
5
6
作業ステーション
A ラインは、ライン編成効率が悪いと仮定して、約 16.7%のバランスロ
ス率だとする。設問に「同一の製品の下で」という制約があるので、1 個
あたりの作業時間の総和を 15 分と変化させずに、作業ステーション数を
2 倍にする。それが B ラインである。
A のバランスロス率(%)=
1+0+2
×100(%)≒16.7%
6×3
B ラインは、A ラインの 1~3 の作業ステーションの単位作業を 2 分の 1
に分割し、6 つの作業ステーションに機械的に割り振った状態である。理
論上は、1 個あたりの作業時間の総和が 15 分と変化しなければ、下記の
ように、バランスロス率も変化しない。よって、本肢は一見不適切のよう
に思われる。
B のバランスロス率(%)=
0.5+0+1+0.5+0+1
×100(%)≒16.7%
3×6
しかし、これは計算上の話であり、実際には本肢の記述のように、バラン
スロスの値は大きくなる傾向になる。例えば、A ライン 2 の 6 分の作業
を 2 つに分割した場合、ピッタリ 3 分×2 の作業に分割することは事実上
きわめて困難である。仮に、3.5 分と 2.5 分に分割されたとすると、サイ
クルタイムが長くなり、その結果バランスロス率が上昇してしまう。この
-66-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
ように、1 つの作業ステーションの作業を複数に分割すると、作業時間や
負荷のバラツキが大きくなるため、バランスロス率の値は大きくなる傾向
になる。以上から、本肢は適切な記述となる。
要素作業時間 (分)
6
サイクルタイム 3.5 分
5
ロスタイム
4
3
1 個あたりの作業
時間の総和=
2.5 + 2.5 + 2.5 +
3.5+2+2=15 分
2
1
1
2
3
4
5
6
作業ステーション
100-
15
≒28.6%
3.5×6
※バランスロスは大きくなる傾向がある→○正しい
もう 1 つ、具体例を挙げて説明する。A ラインのサイクルタイムとなっ
ている「作業ステーション 2」をピッタリ半分に作業を分割して(現実的
には不可能であるが)、作業ステーション数を 4 つに増やしてみる。する
と、C ラインのように、サイクルタイムは 5 分、バランスロス率は、5÷
20=25%となる。よって、作業ステーション数を増やせば、A ラインと
比べてバランスロスの値は大きくなる傾向があるといえる。
要素作業時間 (分)
要素作業時間 (分)
A ライン
サイクルタイム 6 分
6
ロスタイム 3 分
5
4
3
1 個あたりの作業
時間の総和=
5+6+4=15 分
2
1
1
2
C ライン
6
サイクルタイム 5 分
5
ロスタイム 5 分
4
3
1 個あたりの作業時
間の総和=
5+3+3+4=15 分
2
1
3
1
作業ステーション
2
3
4
作業ステーション
バランスロス率=3÷18×100(%)≒16.7%
バランスロス率=5÷20×100(%)=25%
-67-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
選択肢 c について
③
c
サイクルタイムおよび作業ステーション数が一定の場合、各作業ステーション
への作業の負荷を均等に近づけるほど編成効率の値は高くなる。
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
c
×:不適切な記述である。ライン編成効率は、各作業ステーションの作業時間
が均等になるように、要素作業がバランス良く割り付けられているかどう
かを表す尺度である。
サイクルタイム 5 分
作業時間 12 分
5
4
3
2
要素作業時間 (分)
要素作業時間 (分)
A ライン
B ライン
サイクルタイム 5 分
作業時間 12 分
5
4
1 と 3 の負荷を均一化
3
2
ライン編成効率
=12÷15×100(%)
=80%
1
1
2
ライン編成効率
=12÷15×100(%)
=80%
1
3
1
作業ステーション
2
3
作業ステーション
上記の A ラインの 1 と 3 の作業を均一化したのが B ラインである。サイ
クルタイムと作業ステーション数が一定であれば、ボトルネック工程以外
の負荷を均一化させてもライン編成効率は変化しない。よって、本肢の
「高くなる」という記述は不適切となる。なお、ボトルネックとなってい
る 2 の単位作業を 1 や 3 に割り振るような負荷の均一化であれば、サイ
クルタイムが短くなるので、ライン編成効率の値は高くなる。具体的には、
A ラインの 2 を 4.5 分に短縮し、山崩しした 0.5 を 3 に割り振ると、3.5
分となり、ライン編成効率は(4+4.5+3.5)÷(4.5×3)≒88.9%と高
くなる。
-68-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
近年のライン生産方式の出題を確認すると、頻出のテーマを確認することができる。
【平成 28 年度
第 6 問】
生産ラインの工程編成に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
サイクルタイムは、生産ラインに資材を投入する時間間隔を規定する。
イ
正味稼働時間を生産量で除算することにより、サイクルタイムを求めることが
できる。
ウ
総作業時間を生産速度で除算することにより、最小工程数を求めることができ
る。
エ
バランスロスは、1 から編成効率を減算することで求めることができる。
【平成 26 年度
第 7 問】
ライン生産方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
混合品種組立ラインでは、生産する品種により作業ステーションの構成を切り
替え、多品種が生産される。
イ
混合品種組立ラインの編成効率は、一般に、すべての品種の総作業時間の総和
を(作業ステーション数×サイクルタイム)で除すことで計算される。
ウ
サイクルタイムは、ピッチタイムとも呼ばれ、生産ラインの生産速度の逆数と
して計算される。
エ
ライン生産方式では、一般に、生産設備をライン上に配置し、作業者がライン
を移動するにつれて製品が加工される。
【平成 25 年度
第 9 問】(改題。問題文のみ)
混合品種組立ラインの編成を検討した結果、サイクルタイムを 150 秒、ステー
ション数を 10 とする案が提示された。生産される 3 種類の製品 A、B、C の総作
業時間と 1 か月当たりの計画生産量は、以下の表に与えられている。この案の編
成効率を求めよ。
-69-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【平成 22 年度
第 8 問】
サイクル時間 50 において組立ラインのラインバランシングを行ったところ、ワ
ークステーション数が 5 となり、次表に示される各ワークステーションの作業時
間が得られた。この工程編成における編成効率の値に最も近いものを下記の解答群
から選べ。
ワークステーション
1
2
3
4
5
作業時間
46
50
47
46
46
〔解答群〕
ア
0.90
イ
0.92
ウ
0.94
エ
0.96
【平成 20 年度
第 17 問】
ライン生産方式に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
各工程の作業時間は、サイクルタイム以下でなければならない。
イ
サイクルタイムはピッチタイムとも呼ばれ、品物が生産ラインから送り出され
ていく時間間隔を意味する。
ステーション数×サイクルタイム
で計算される。
作業時間の総和
ウ
生産ラインの編成効率は、
エ
タクト方式は、すべての工程が同時に作業を開始し、一定時間間隔をもって、
品物が一斉に次の工程に移動する方式である。
-70-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
以上を基に、ライン生産方式の出題における頻出テーマは以下のとおりとなる。
頻出テーマ
サイクルタイム
作業ステーション
編成効率
バランスロス率
出題内容
・定義
・算出方法
・編成効率と作業ステーション数との関係
・総作業時間やサイクルタイム、編成効率との関係
・必要工程数の算出方法
・「単一品種ライン」における編成効率の算出方法
・「混合品種組立ライン」における編成効率の算出方法
・算出方法(100%-編成効率)
これらについて、揺るぎない知識の整備、問われ方が変わっても適切・不適切の判断が
できる対応が求められる。今後、各種答練や公開模試などの機会に繰り返し出題していく
が、上記過去問についても繰り返し解き、理解の促進に努めてほしい。
(過去問の解答)
【平成 28年度
第 6 問】正解:ウ
【平成 26年度
第 7 問】正解:ウ
【平成 25年度
第 9 問】(後に問題と解答を記載する)
【平成 22年度
第 8 問】正解:ウ
【平成 20年度
第 17問】正解:ウ
-71-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
以下は、平成 13 年度で出題されたかなり古い問題であるが、サイクルタイムや編成効
率の本質的な理解を確認するには良い問題である。まずは取り組んでみよう。
【平成 13 年度
第 4 問】
ある製品を 1 つのラインを用いて生産している。そのラインには 5 つの工程が
あり、それぞれの工程では作業者が 1 人ずつ配置されて作業を行っている。各工
程に負荷された作業時間はそれぞれ、12 分、15 分、10 分、11 分、12 分である。
また、このラインは 16 分間隔でものが次の工程に進む。ライン編成効率に最も近
い値はどれか。
ア
20%
25%
イ
ウ
75%
エ
80%
【解答】
まず、ライン編成効率の公式を確認する。
ライン編成効率=
各工程の所要時間の合計
サイクルタイム×工程数
分子は、12 分+15 分+10 分+11 分+12 分=60 分となる。
問題文に「このラインは 16 分間隔でものが次の工程に進む」との記述がある。こ
れはサイクルタイムが 16 分であることを指している。よって、
ライン編成効率=
60
×100%=75%
16×5
となる。
なお、ボトルネック(最長作業時間)である 15 分の数値を使って 15 分×5=「75
分」という数値を分母に用いてしまうと、編成効率が 60÷75=80%となり、エを選
択してしまうが、これは誤りである。
よって、ウが正解である。
作業時間の変動を吸収するバッファ 1 分
要素作業時間 (分)
16
14
12
サイクルタイム 16 分
ロスタイム
10
8
6
ライン編成効率
=60÷80=75%
4
2
1
作業ステーション
2
3
4
5
-72-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
〔3〕練習問題
【問題 1】
1 種類の製品を生産しているラインにおいて、ライン編成効率が 70%、サイクルタ
イムが 3 分、作業ステーション数が 10 のラインがある。
Q1 :操業時間が 1 日 8 時間の場合、生産量はいくつか。
Q2 :顧客からこの製品を来月から毎日 240 個納入してほしいという注文が入った。操業
時間の 8 時間以内にこれを生産する場合、作業ステーション数をいくつにすれば
よいか。
【解答 1】
Q1 :操業時間は 480 分(=8 時間×60 分)である。サイクルタイムが 3 分なので、生
産量は 160 個(=480 分÷3 分)となる。
Q2 :各工程の所要時間の合計は 21 分である。これは以下の式により算出できる。
ライン編成効率(%)=
70% =
各工程の所要時間合計(x)
×100
サイクルタイム×工程数
x
×100
3 分×10
x = 21 分
操業時間 480 分内に 240 個生産しなければならないので、サイクルタイムは 2 分
(=480 分÷240 個)となる。そのため、作業ステーション数は、各工程の所要
時間の合計 21 分÷サイクルタイム 2 分=10.5 となる。
よって、11 の作業ステーションが必要になる。
-73-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【問題 2】
以下の条件のもとで、6 つの作業ステーションで作られる製品を 1 日に 100 個生産す
るとき、①サイクルタイム、②製品 1 個あたりの生産リードタイムについて、最も適切
なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
〔条件〕
・1 日のライン稼働時間:10 時間
・バランスロス率:10%
①
サイクルタイム(分)
a
6分
b
10 分
②
生産リードタイム(分)
c
32.4 分
d
36 分
〔解答群〕
ア
aとc
イ
aとd
ウ
bとc
エ
bとd
【解答 2】
①
サイクルタイムは、1 日のライン稼働時間 600 分÷生産量 100 個=6 分となる。
②
製品 1 個あたりの生産リードタイムは、サイクルタイム×工程数で算出できるた
め、36 分(=サイクルタイム 6 分×6 工程)となる。なお、生産リードタイムはロ
スタイムを含むため、バランスロス率 10%の数値は使用しない。
要素作業時間 (分)
バランスロス率 10%
6
サイクルタイム 6 分
5
4
3
生産リードタイム
(ロスタイムを含むグラフ全体の面積)
=6 分×6 工程=36 分
2
1
1
2
3
4
5
1 個あたりの作業時間の総和
(棒グラフの面積)
=36 分×90%=32.4 分
6
作業ステーション数
よって、a と d が適切であるので、イが正解である。
-74-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
〔4〕ライン生産方式の分類
製品ラインは、同一の製品を毎日生産する単一品種ライン(いわゆる専用ライン)と多
品種ラインに分類でき、多品種ラインは、ライン切替方式と混合品種ラインに分類できる。
単一品種ライン
ライン生産方式
ライン切替方式
多品種ライン
固定サイクル投入方式
混合品種ライン
可変サイクル投入方式
(1) ライン切替方式
多品種製品を生産するラインで、生産する品種により、作業ステーションの構成を
切り替える必要がある場合は、ライン切替方式にする。
(2) 混合品種ライン方式
多品種製品を生産する生産ラインで、各工程の要素作業が類似し、作業工程数も同
一工程にすることができて、段取り替えを行わなくても生産可能な場合は、混合品種
ライン方式を採用する。
とるべき
方式
ライン切替方式
混合品種ライン方式
条件
品種間で要素作業に全く異なる 各品種とも各要素作業はほぼ類
手
順
ものがある。
似している。
異なった品種を作るためには、 段取り替えを行わなくとも、異
段取り替え
段取り替えが必要。
なった品種の生産が可能。
総組立時間は、品種ごとに異な 作業工程数は品種が異なっても
作 業 工 程 数 る。したがって、作業工程数は 技術的に同一工程数にすること
品種によって異なる。
(参考文献:『新版生産管理の基礎』村松林太郎著
-75-
ができる。
国元書房)
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
(3) 混合品種ラインの計算問題
混合品種ラインの編成効率およびサイクルタイムを求める式は以下のとおりである。
サイクルタイム=計画期間中の予定稼働時間÷品種毎の生産量をすべて合計した値
各製品の(生産量×総作業時間)を合計した値
混合品種組立ラ
=
インの編成効率
ステーション数×サイクルタイム×各製品の生産量の合計
【練習問題】
混合品種組立ラインの設計を行うにあたり、生産される 3 種類の製品 A、B、C
の計画生産量は以下の表のとおりであるとき、サイクルタイムの値として最も近
い値を下記の解答群から選べ。なお、1 ヵ月の予定稼働時間は 150 時間とする。
生産量(個/月)
製品 A
製品 B
製品 C
100
200
300
〔解答群〕
ア
2.5 分
イ
5分
ウ
10 分
エ
15 分
【解答】
サイクルタイム=9,000 分(=150 時間)÷600 個=15 分
よって、エが正解である。
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上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【平成 25 年度
第 9 問】
混合品種組立ラインの編成を検討した結果、サイクルタイムを 150 秒、ステー
ション数を 10 とする案が提示された。生産される 3 種類の製品 A、B、C の総作
業時間と 1 か月当たりの計画生産量は、以下の表に与えられている。この案の編
成効率に最も近い値を、下記の解答群から選べ。
製品 A
製品 B
製品 C
総作業時間(秒/個)
1,400
1,450
1,450
生産量(個/月)
2,000
1,000
1,000
〔解答群〕
0.94
ア
イ
0.95
ウ
0.96
エ
0.97
【解答】
編成効率は以下のとおりとなる。
1,400 秒×2,000 個+1,450 秒×1,000 個+1,450 秒×1,000 個
=0.95(95%)
10 ステーション×150 秒×(2,000+1,000+1,000)個
よって、イが正解である。
【平成 26 年度
イ
第 7 問】(抜粋)
混合品種組立ラインの編成効率は、一般に、すべての品種の総作業時間の総和
を(作業ステーション数×サイクルタイム)で除すことで計算される。
【解答】
混合品種組立ラインの編成効率は以下のとおりに算出できる。
各製品の(生産量×総作業時間)を合計した値
混合品種組立ラ
=
インの編成効率
ステーション数×サイクルタイム×各製品の生産量の合計
本肢の説明では、各品種の生産量を考慮していないため、不適切となる。
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〔5〕その他のライン生産方式に関連する用語
その他のライン生産方式に関連する用語は以下のとおりである。
(1) コンベヤシステム
コンベヤシステムとは、コンベヤを利用した作業方式であり、静止作業式コンベヤ
システムと移動作業式コンベヤシステムがある。
静止作業式コンベヤシステムとは、作業者がコンベヤ上の品物をいったん作業台に
移し、静止した品物に対して作業を行う方式である。一般に、品物が小さく軽量な場
合、および、コンベヤ上で作業を行う事が困難な場合に採用される。
移動作業式コンベヤシステムとは、コンベヤ上を移動中の品物に対して作業を行う
方式である。作業者は各自に割り付けられた作業が終了したら、所定の位置まで戻り
次の品物にとりかかる。一般に、品物が大きく、または、重くて簡単にコンベヤから
取り外しができない場合に採用される。
(2) タクト生産方式
タクト生産方式とは、ラインに投入されたすべての品物の移動と加工が同期して繰
り返されるライン生産方式である。全工程の作業者が各自の作業に同時に着手し、一
定時間間隔ですべての品物が一斉に次工程に移動する。全ラインが完全に同期化して
作業と搬送が行われるため、指揮棒を意味する「タクト」を生産方式に付したこの名
称が用いられるようになったものとされる。
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3.セル生産方式
セル生産方式
◆テーマのポイント!
セル生産方式は平成 25 年度、平成 27 および 24 年度(グループ別レイアウト)に出題
されている。出題頻度を考慮すると、ライン生産方式の方が優先度は高いが、セル生産方
式の出題可能性も考えられるため、ここではグループテクノロジーを加えた論点を取り上
げて知識の強化を図っていくことにする。
〔1〕セル生産方式の定義
セル生産とは、異なる機械をまとめて機械グループを構成して工程を編成する場合の生
産方式で、その機械グループをセルと呼んでいる。このセル生産方式は、(学術的には)
グループテクノロジー( GT )を利用したもので、使用する部品の類似性に基づき部品は
(類似の加工工程により作られる部品群として)グループ化され、それに対応する機械も
グループ化した生産が可能となる。このようにグループ化して生産することにより、新た
なラインの編成をすることなく、ある程度の混合生産も可能となる。そのため、ラインを
別途組むことが少なくなり、部品の運搬の手間や間接作業が減少でき、時間短縮と仕掛品
の削減が可能となる。
ただし、実際の組立作業現場においては、コンベヤを撤去し、ラインの編成のない 1
人や複数者による組立方式が採用されており、それをセル生産と呼ぶことがある。冒頭で
述べたように、ここでは GT 利用を前提として、コンベヤラインを使用しないでセルを構
成して生産(組立)する方式を「セル生産方式」と統一して呼ぶことにする。
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〔2〕グループテクノロジー(GT)
GT とは、「多種類の部品をその形状、寸法、素材、工程などの類似性に基づいて分類
し、多種少量生産に大量生産的効果を与える管理手法」である。この考え方は、システム
の柔軟性を確保しつつ、類似性に着目して処理のロットサイズを大きくすることによって
生産性を向上することを狙いとしているものである。
具体的にどのような方法によってグルーピング(分類)するのかについては、以下を参
照してほしい。
(1) 多品種工程分析(加工経路分析)による分類
部品加工に使用される旋盤やボール盤、フライス盤のような工作機械の経路が共
通・類似した部品を「パーツファミリー」としてグループ化し、そのマシングループ
(機械加工ライン)を設置する。
〔グループ化前(多品種工程分析図の例)〕
部品番号
工作機械
旋盤
ボール盤
フライス盤
1
2
◎
◎
◎
◎
◎
3
4
◎
◎
◎
◎
◎
5
6
◎
◎
◎
◎
〔機能別レイアウトの例〕
、6
部品 22.6
3、 5
部品 3.5
部品 1
1.4
、4
旋盤
ボール盤
ボール盤
フライス盤
フライス盤
この例では、旋盤、ボール盤、フライス盤ごとの機能別レイアウトによって生産し
ている。部品によって加工経路は異なっている。
-80-
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〔グループ化後(パーツファミリーとマシングループに分類した図の例)〕
工作機械
旋盤
ボール盤
フライス盤
A
1
4
◎
◎
◎
◎
◎
◎
旋盤
フライス盤
2
6
◎
◎
◎
◎
3
5
◎
◎
◎
◎
パ ー ツ フ ァ ミ リー
マシングループ
部品番号
B
ボール盤
フライス盤
C
〔グループ別レイアウトの例〕
パーツファミリー
マシングループ A
マシングループ B
旋盤
旋盤
ボ盤
フ盤
パーツファミリー 2、6
2.6
フ盤
・
1、
4
マシングループ C
3.5
パーツファミリー 3、5
ボ盤
フ盤
このように、パーツファミリーごとに加工経路順に機械を並べることで、擬似的な
「製品別レイアウト 」 のようになる。これにより、段取り替えの削減、部品の移動の
効率化が可能になり、仕掛品の削減などが期待できる。さらに、作業者にとって覚え
るべき作業の種類が削減され習熟期間が短縮できる。以上から、効率的な生産が可能
になり、量産効果を得ることができる。このようなマシングループ別のレイアウトを
「GT レイアウト」あるいは「グループ別レイアウト」という。
しかし、図のようなパーツファミリーごとのマシングループ別のレイアウトは、機
械設備が複数必要になるため、設備効率が低下するという欠点がある。
※これまで説明してきた、GT 手法を用いたマシングループを「セル」と呼んでおり、
この生産方式が「セル生産方式」である。つまり、GT はセル生産方式の基本的概
念であるといえる。
-81-
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(2) 部品分類コード( GT コード)による分類
部品分類コードは、加工される部品を機能・材質・形状などの属性に従って分類し、
一定のルールに基づいて各カテゴリーを数字や記号で表現(コード化)したものであ
る。この方法によって多種類の部品を体系的に分類する。
〔部品分類コードの例と部品の例〕
桁数
1
2
3
4
5
6
2
2
2
5
5
5
3
3
3
3
4
2
0
0
2
1
2
5
部品番号
平
面
長
部品 B
外部形状
全
径
料
部品 A
材
コード
部品機能
A
B
C
部品 C
以上のように、直感的に外見が異なり、類似性を確認できない部品であっても、コ
ードの上 3 桁は同じであり、6 桁を見ても類似していることから、GT を適用した生
産効率化が可能になる。この例では、部品の機能、材料、径が同じ部品であるため、
まとめて加工することを検討することができる。このように、コードが近く類似性が
高い部品をグループ化することで、量産効果を得ることが可能になる。
(参考文献:『生産マネジメント入門Ⅰ』
-82-
藤本隆宏著
日本経済新聞社)
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〔3〕主要なセル生産方式の種類
U 字型ラインの形状をとる生産方式の考え方をベースとして、多能工による多工程持
作業を原則としたセル生産方式の主な種類について紹介する。
(1) 1 人生産方式
原則として、1 人の熟練作業者が製品を 1 個ずつ(小ロットもあり)完成させる方
式であり、ライン生産方式の対極をなす生産方式である。1 人で作業するため、他の
作業者のスピードに制約されることがなく、自主管理ができる。理論上は 100%のラ
インバランス効率であり、仕掛品も発生しない。その反面、作業スピードは作業者の
ペースに委ねられ、マイペースになり生産性が落ちてしまうため、セル規制(ルー
ル)が必要になる。後述する巡回セル方式と同様に全能工(すべての工程を担当でき
るという意味。万能工とも呼ぶ)が必要となる。
〔 1 人生産方式のイメージ〕
物の流れ
◆ポイント!
In
◎仕掛品やロスの最小化が可能
▲1 人に 1 セルが必要なので、設
備や検査装置など、コストが高
い設備が必要な場合は、巡回セ
Out
ル方式に比べて投資が膨らむと
いう短所がある。
(2) 巡回セル方式
数人でセル内の設備を共有して、同じようなスピードで作業者がセル内をぐるぐる
巡回しながら作業を進める方式である。分業は行わず 1 個作りが基本である。この
方式も U 字型のレイアウトを採用する場合が多い。
1 人生産方式よりも設備効率・スペース効率が高く、数量の変動には作業者の人数
を加減して対応ができるので、生産量の調整が比較的行いやすい。1 個の製品の生産
を 1 人で進める場合、バランスロスや作業者間の仕掛品の発生もない。しかし、複
数人で作業する場合は、作業者の作業スピードの差による待ち時間が生じることもあ
る(追い抜き困難)。よって、最も遅い作業者でサイクルタイムが決定してしまう。
また、作業者の育成が課題となる(全能工の養成)。
-83-
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〔巡回方式のイメージ〕
物の流れ
◆ポイント!
In
1 人生産方式の長所に加えて
◎設備効率・スペース効率が
高い
作業者の流れ
◎生産調整がしやすい
Out
一方、短所は
▲最も遅い作業者でサイクル
※物と作業者は一緒に動く(巡回する)
イメージ
タイムが決定してしまう
(3) 分割セル方式
1 人で製品を完成させるのではなく、作業工程ごとに担当を決めて完成させていく。
この方式も U 字型のセルの編成が多く、セル内の複数の作業者で作業を分担する。
そのため、全能工が困難な臨時従業員や経験の浅い作業者でも受け持つことが可能で
ある。一方、すべての作業を 1 人の作業者が行わないことから、バランスロスの増
加や作業者間の仕掛品の発生もあり得る。また、最も遅い作業者でサイクルタイムが
決定してしまう。中途半端な位置づけのため、最終的には 1 人生産方式や巡回セル
方式をめざす過渡的な方式と位置づけられる場合もある。
〔分割方式のイメージ〕
物の流れ
◆ポイント!
In
長所(1 人生産方式に比べて)
◎習熟が早い
◎歩行ロスは少ない
作業者の担当範囲
短所
Out
▲ライン生産方式の短所が表
面化しやすい(仕掛品の滞
留、バランスロス増など)
-84-
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で0ミリ相当
〔4〕セル生産方式の長所と短所
ここで、セル生産方式の長所と短所を考察する。なお、本項では、U 字型のレイアウ
トを構成しているセル生産方式を前提として述べることにする。
【長所】
①
同期化が進み、生産性の向上と製造リードタイムの短縮が期待できる。
1 人で製品を完成させる 1 人生産方式の場合は、工程間のバラツキは存在しないた
め、バランスロスがない状態にあり、完全な同期化が可能になる。ロスが発生しない
ため、生産性が高く、理論上は製造リードタイムも短縮できる。
②
ライン生産方式に比べて、工程内の仕掛品が少なくなる。
①の同期化の内容から、1 人で生産している場合は仕掛品が発生しない。なお、複
数人の分割セル方式では仕掛品が発生することもある。
③
ライン生産方式に比べて多種少量生産、多種小ロット生産、変種変量生産に柔軟に
対応しやすい。
a )単一製品の生産量の変化に対して融通性が高い
・生産量の変動に対して、U 字内部の作業者を増減させることで、必要生産量に
最適な作業者を割り当てることが容易である(巡回セル方式)。
・また、ライン生産方式に比べて、U 字ラインそのものを増減することは容易で
あるため(スペースの問題はあるものの設備投資の額も小さく、準備にかかる期
間も短い)、生産調整も柔軟に対応しやすい。
b )製品の種類の変化に対して融通性が高い
多種少量生産の場合でも、ライン生産方式に比べて、複数の種類の製品を同じセ
ルで生産することが容易である。もちろん、この場合は類似性のある製品である必
要はあるが、その場合は、わずかな段取り替えで対応できるので、生産効率が高く
なる。
④
不良を作り続ける前に、素早い対策を打つことができる。
U 字ラインの場合、最終工程は出口となり、最終検査を兼ねる場合が多い。特に
分割方式の場合は、この工程は熟練者が担当することが多く、不良が発見されるとセ
ル内作業は直ちに停止され、不良を作り続けることを防止できる。ライン生産方式で
は、セル生産方式に比べて不良の発見が遅れがちになり、不良を作り続けてしまい、
結果的に、大量のロスが発生するおそれがある。
⑤
ライン生産方式に比べて設備投資の負担が少ない。
⑥
多能工であるため、モチベーションや生産性が向上しやすい。
-85-
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【短所】(留意点)
①
多能工化や全能工化への作業者の育成が容易ではない。
・作業者個人の技能の差が生産性に大きく影響する。作業者に依存する生産形態なの
で、作業者の技能やモチベーションが作業結果に大きく影響する。
・新製品への切替えの際、習熟期間が長くなる可能性がある。スキルの低い状態が続
くと生産性も低い状態が続くことになる。
②
セル生産方式を継続的に手直しするための改善努力やそのための仕組みが必須。
・セル生産方式を軌道に乗せるためには、優れた人材(生産技術者、生産管理者、作
業者)が必須である。その上で、改善努力が求められる。
・セル生産方式に適した設備と設備配置、治工具を使用し、改善努力をする。
③
セル生産方式に適した「製品設計」「生産設計」「組立容易性」が必須。
1 人ですべてを生産することを考えれば、「作りやすさ」はさらに重要となる。
作りにくければ、生産時間や習熟コストがかかり、生産コストも上昇する。
④
生産管理上の留意事項や課題の存在。
・セルごとに生産性の相違が生じやすいため(作業者能力によって左右される)、進
捗管理が難しい。そのため、生産時点情報管理のシステムを活用して効果を上げて
いる企業もある。
生産時点情報管理( POP : Point Of Production) とは、「生産活動において発生す
る情報を、その発生場所(機械、作業者、ジョブ)で即時に収集し必要な指示(情
報)を提供する情報管理システム」のことで、バーコードとバーコードリーダーに
よって、生産現場の正確な状況をリアルタイムで把握するシステムである。
(参考文献:玉木欽也『戦略的生産システム』白桃書房)
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〔5〕過去問対策
【平成 25 年度
第 8 問】
需要量が多く、市場が安定している製品の組立を行う生産方式を決定することに
関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
製品の組立作業に必要な設備の多くが高価であるので、一人生産方式を採用す
ることにした。
イ
製品の組立作業要素の数が多く複雑であるので、ライン生産方式を採用するこ
とにした。
ウ
製品の組立作業要素の数は少ないが作業者の作業時間変動が大きいので、一人
生産方式を採用することにした。
エ
製品の組立作業要素の数が少なく効率の高いライン編成ができないので、一人
生産方式を採用することにした。
【解答】
ア
×:組立作業に必要な設備の多くが高価である場合は、ライン生産方式を採用すべ
きである。一人生産方式の場合、例えば工場内に U 字ラインを並べると仮定
すると、U 字ラインの数だけ高価な生産設備を用意する必要があり、資金面
の制約により現実的とは言えない。そもそも一人生産方式のメリットの 1 つ
に、高額な設備投資の必要性が少ないということがあることにも留意したい。
イ
○:正しい。仮に、組立作業要素の数が多く複雑な製品を一人生産方式で組み立て
る場合、作業者が覚えなければならない組立作業手順が過大になり習熟ロスが
大きくなることがあり得る。ライン生産方式であれば、ラインに並ぶ複数の作
業者が組立作業手順の一部を分担して覚えればよいので、一人生産方式に比べ
て習熟ロスを小さく済ませることができる。
ウ
○:正しい。一人生産方式の場合は一人の作業者が作業を完結させる繰り返しにな
ることから、多少の組立時間のばらつきは吸収することができ、遅れが出た際
に全体を止める必要があるライン生産方式に比べ、工程全体に影響を及ぼすお
それは少ない。
エ
○:正しい。組立作業要素の数が少ないのであれば、ライン生産方式を導入したと
しても作業ステーション数は少なくなり、分業する必然性が低いと考えられる。
よって、この場合は一人生産方式で対応する方がよい。
よって、アが正解である。
-87-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【平成 18 年度
第 15 問】
次の図に示される、8 つの工程が U 字型に配置された組立ラインを考える。各
工程の上側の数値は作業時間を示している。3 人の作業者が分割方式によって生産
を行うとき、最適な作業分担のもとでのサイクルタイムを下記の解答群から選べ。
ただし、作業者の移動時間は無視できるが、作業者の動線は交差できないものとす
る。
3
4
2
6
工程 8
工程 7
工程 6
工程 5
3
4
2
6
工程 1
工程 2
工程 3
工程 4
〔解答群〕
ア
10
イ
11
ウ
12
エ
13
【解答】
問題の設定は分割セル方式であり、作業者の動線は交差できないとあるため、図中の
複数の工程を 3 人がそれぞれ受け持つ組合せを考え、最も長い作業者の作業時間がサ
イクルタイムとなる。条件のもとではどのような組み合わせをしても最長時間が 12 と
なり、これがサイクルタイムとなる。組み合わせ例としては、「工程 1 と 2 と 3⇒タイ
ム 9」、「工程 4 と 5⇒タイム 12」、「工程 6 と 7 と 8⇒タイム 9」が考えられる。
よって、ウが正解である。
-88-
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左右 14 ミリ
で0ミリ相当
〔6〕練習問題
【問題 1】
セル生産方式に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
製品の組立ラインにおいて、流れ作業から作業者 1 人で製品を組み立てる生産方
式に変更した場合、組立容易性はきわめて重要な設計要素となる。
イ
セル生産方式はライン生産方式に比べて、高額な設備が不要な場合に適しており、
不良を作り続けるロスを防ぎやすいという特徴がある。
ウ
一人生産方式では、一人の作業者により作業が完結し、生産量の変動には屋台の台
数を変更することで対応が図られる。
エ
分割セル方式において、期間あたりの生産量を増やすためには、工程の分割度を高
めて作業者人数を増やし、サイクルタイムを長くする必要がある。
オ
U 字ライン生産方式は、一人の作業者に複数の作業を割り当てるための多能工化
が前提であり、習熟に時間が掛かると生産性が低くなることがある。
【解答 1】
ア
○:正しい。セル生産方式や一人生産方式によって生産性を向上させるには、セル
生産に適した製品設計や組立容易性(作りやすさ)に留意する必要がある。
イ
○:正しい。セル生産方式は設備効率を高めにくいため、高額な設備が不要な場合
に適している。また、セル生産の場合、製品 1 つが産出された時点でセル内
の作業者が直接検査を行うことが多いため、不良の発見が早く不良を作り続け
るロスを防ぎやすいという特徴がある。
ウ
○:正しい。セル生産の代表的な 3 方式には、一人生産方式、分割セル方式、巡
回セル方式がある。一人生産方式は自己完結性の高い方式で、生産量の変動
には屋台の台数を変更する。
エ
×:分割セル方式において、期間あたりの生産量を増やすためには、工程の分割度
を高めて作業者人数を増やし、サイクルタイムを短くする必要がある。
オ
○:正しい。U 字ライン生産方式では、一人の作業者に割り付ける作業の組み合
わせが豊富になるため多能工化が前提となる。習熟に時間が掛かると、しばら
くは生産性が低くなることがある。
よって、エが正解である。
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左右 14 ミリ
で0ミリ相当
【問題 2】
セル生産方式に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
ア
セル生産方式を採用する企業が増加しているのは、生産量や受注量が小ロット化し
たり、製品の短命化によりラインの変更頻度が増加したりしているためである。
イ
分割セル方式の場合、特定の作業工程に要する時間が他の作業工程に比べて長くな
る場合は、最長時間を要する作業工程がセルの生産性を決定することになる。
ウ
巡回セル方式は、一人生産方式と比べると、設備稼働率やスペース効率が高いが、
分割方式と比べると低くなる。
エ
セル生産方式において、生産性が高まる根拠の 1 つとしては、グループテクノロ
ジーの導入が挙げられる。
【解答 2】
ア
○:正しい。1 製品あたりの生産量の減少や顧客ニーズの多様化、多種少量(変種
変量)生産化、製品ライフサイクルの短縮化などにより、固定的なライン生産
方式では変化に対して柔軟な対応が困難になっており、セル生産方式を採用す
る企業が増えている。セル生産方式では、理論的には GT を採用していること
により、変種変量生産や多種少量生産においても量産効果が得られたり、運搬
の手間や間接作業が削減できたりするため、生産性の向上や生産リードタイム
の短縮が可能になる。
イ
○:正しい。セル内において 2 人以上の複数人で生産する場合では、最も遅い工
程(作業者)の作業時間でセル全体の生産性が決定する。次図のような、セル
内で複数人の作業者が作業を分担する分割セル方式の場合、作業者 B の作業
が最も遅い 3 分であるため、このセルのサイクルタイムは 3 分となってしま
う。
作業者 A:2 分
物の流れ
In
作業者の担当範囲
Out
作業者 B:3 分
-90-
上下 20 ミリ
左右 14 ミリ
ウ
で0ミリ相当
×:巡回セル方式は、一人生産方式と比べると、設備稼働率やスペース効率が高く、
分割セル方式と比べても高い。一人生産方式や分割セル方式は、複数工程を一
人で受け持つため加工中以外の工程に必要な設備は使用されない。一方、巡回
セル方式は、ある作業者が 1 つの機械を使用している間、前後に位置する作
業者が他の工程に必要な設備を使用することになる。また、セルのスペースあ
たりの産出量も高めることが可能となる。
エ
○:正しい。セル生産方式により生産性が向上する根拠の 1 つとして、グループ
テクノロジーの導入がある。これにより類似部品とそれらを加工する機械のグ
ループ化を図ることになり、部品の運搬の手間や時間の省略、作業効率の向上、
大ロット流しなどの効果を得ることができる。
よって、ウが正解である。
-91-
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